案件ごとの採算が、終わってみないと分からない。制作会社や広告・web制作の現場では、外注費や制作工数がかさんでいても、Excelへの入力が追いつかず赤字案件に気づくのが遅れる、という悩みがよく聞かれます。案件数が増えるほど集計は属人化し、共通費の割り振りも手作業になりがちです。
映像・広告制作やweb制作、出版、ゲーム開発、マーケティング支援といったコンテンツ制作業では、案件(プロジェクト)単位で外注費・労務費・制作工数を積み上げて個別の原価と粗利を見る「個別原価管理」が欠かせません。では、自社の業態や進め方に合った原価管理システムやその提供元(ベンダー)は、どのような観点で選べばよいのでしょうか。
本記事では、コンテンツ制作業の案件別原価管理に使える17サービスをタイプ別に比較・解説します。案件原価の集計範囲や工数・会計システムとの連携、費用相場に加え、業態ごとに原価のどこを重く見るべきか、既製パッケージで足りるか受託開発が必要かの判断軸まで整理しました。自社に合う製品・提供元を見極める材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
一括ダウンロードする
本記事の対象範囲
この記事は、映像・広告制作、web制作、出版、ゲーム開発、マーケティング支援など、案件(プロジェクト)ごとに外注費・労務費・制作工数を積み上げて採算を把握したいコンテンツ制作業の担当者に向けて、原価管理システムとその提供元を比較します。受注した案件単位で原価と粗利を見たい、進行中の赤字案件を早く把握したい、という課題を持つ事業が対象です。
紹介する17サービスは、いずれも案件単位で外注費・労務費・工数を集計し、個別原価や採算を可視化できる製品です。製造原価や工事原価の管理を主目的とする製品や、全社の予算実績管理が中心で案件別の原価を積み上げない製品は、案件ごとに原価を積み上げる本記事の製品とは性質が異なります。業態や会社規模を限定せずに管理会計システム全般を比較したい場合は、カテゴリ全体を扱った次の記事もあわせてご覧ください。
コンテンツ制作業の原価管理とは
コンテンツ制作業の原価管理とは、受注した案件ごとに、かかった費用を集計して原価と利益を把握する取り組みを指します。全社の損益を月次でまとめる財務会計とは異なり、「この案件はいくらで受注し、外注費と人件費がどれだけかかり、いくら残ったか」を案件単位で見るのが特徴です。
制作業では1つの案件に外注スタッフ・社内メンバー・さまざまな経費が関わります。そのため、案件ごとの採算を見える化できるかどうかが、受注判断や見積もり精度に直結します。
案件別に原価を積み上げるとは(外注費・労務費・制作工数の案件紐づけと配賦)
案件別の原価は、大きく3つの要素から成り立ちます。外部の制作会社やフリーランスへ支払う外注費、社内メンバーが案件に費やした時間を人件費に換算した労務費(制作工数)、そして交通費や素材購入費などの経費です。これらを案件ごとに紐づけて集計し、受注金額と突き合わせることで、案件単位の粗利が見えてきます。
この「案件ごとに費用を積み上げて原価を出す」考え方は、会計実務で確立した個別原価計算にあたります。企業会計審議会の原価計算基準は、個別原価計算を次のように定めています。
個別原価計算は、種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態に適用する。
出典:原価計算基準 三一|企業会計審議会(昭和37年11月8日)
個別原価計算にあっては、特定製造指図書について個別的に直接費および間接費を集計し、製品原価は、これを当該指図書に含まれる製品の生産完了時に算定する。
この基準は製造業を前提に書かれたものですが、「特定製造指図書」を「1件の制作案件」に読み替えると、コンテンツ制作業の原価管理の骨格とそのまま重なります。案件に直接ひもづく外注費や制作工数は直接費として案件に賦課し、家賃や管理部門の人件費のように複数案件にまたがる間接費(共通費)は、一定の基準で各案件へ配賦します。
原価計算基準も「個別原価計算における直接費は、発生のつど又は定期に整理分類して、これを当該指図書に賦課する」「間接費は、原則として予定配賦率をもって各指図書に配賦する」として、両者を区別しています。原価管理システムは、この集計と配賦を手作業に頼らず自動で行う仕組みといえます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:原価計算基準 三一・三二・三三|企業会計審議会(昭和37年11月8日)(全文・Wikibooks 再録)
案件原価と粗利の関係を図にすると、次のとおりです。

Excel・属人集計で案件採算が見えない問題
多くの制作会社は、案件の収支をExcelで管理することから始めます。案件数が少ないうちは機能しますが、件数が増えると限界が見えてきます。外注費の請求書と社内の作業時間を転記する手間が膨らみ、入力が遅れると進行中の案件が赤字になっていても気づけません。
とくに課題になりやすいのが、次の3点です。案件が終わって請求書が出そろうまで最終的な採算が分からないこと。担当者ごとに集計方法がばらつき、数字の根拠が人に依存すること。そして、複数案件で共有する費用の配賦を毎回手計算していることです。これらは、案件原価を自動で積み上げる仕組みを導入する動機になります。
コンテンツ制作業の原価管理システムでできること(主な機能)
コンテンツ制作業向けの原価管理システムは製品ごとに得意分野が異なりますが、一般的に以下の機能を備えています。
| 内容 | |
|---|---|
| 案件別の予実・採算の可視化 | 受注金額(予算)と実際の原価を案件ごとに突き合わせ、進行中・完了後の粗利や利益率を可視化します。赤字が見込まれる案件を早期に把握できます。 |
| 工数の案件紐づけ(労務費化) | 社内メンバーが各案件に費やした作業時間を記録し、人件費単価を掛けて労務費に換算します。工数入力の画面やタイマーを備える製品もあります。 |
| 外注費・経費の案件集計 | 外注スタッフやフリーランスへの支払、交通費・素材費などの経費を、発注・支払データと紐づけて案件ごとに集計します。 |
| 共通費の配賦 | 複数案件にまたがる間接費(管理部門の人件費・家賃など)を、売上高や工数などの基準で各案件へ配賦します。 |
| 源泉徴収・支払管理 | 個人クリエイターや個人事業主への報酬にかかる源泉徴収税額の計算や、支払予定の管理を行います。 |
| 会計・基幹システム連携 | 集計した原価や仕訳データを会計ソフトや基幹システムへ連携し、二重入力を防ぎます。 |
コンテンツ制作業では、デザインや原稿、作曲などの報酬を個人へ支払う場面が多く、所得税法第204条第1項第1号により、これらの報酬は源泉徴収の対象とされています。こうした業態特有の処理に対応できるかどうかも、機能面の確認ポイントになります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:所得税法 第204条(源泉徴収義務)|e-Gov法令検索(条文)
「ベンダー」は製品の提供元か、自社に合わせて作る開発会社か
「原価管理 ベンダー」と検索すると、既製の原価管理システムを販売する提供元と、自社の業務に合わせてシステムを構築する受託開発会社の、2種類の情報が混在しています。どちらを探すべきかは、自社の業務が既製品でどこまで賄えるかによって変わります。
判断の目安は、おおむね次の3つに分かれます。まず、案件原価の集計・配賦が標準的な進め方で足りるなら、既製の原価管理システム(パッケージ・クラウド)を選ぶのが導入も早く費用も抑えられます。次に、会計や販売管理とまとめて整えたい場合は、会計・基幹システムの一部として原価管理機能を使う方法があります。
そして、工程や原価の構造が特殊で既製品では表現しきれない場合に初めて、受託開発会社に自社専用のシステムを作ってもらう選択肢が現実的になります。
受託開発は自由度が高い反面、費用と開発期間がかさみ、完成後の保守も必要です。多くのコンテンツ制作業では、業態に対応した既製品が選択肢として十分にそろっているため、まずは既製の製品で要件を満たせるかを確認し、合わない部分だけを個別対応で補う進め方が現実的です。本記事では、既製の原価管理システムとその提供元を中心に比較します。
どの道を選ぶかの目安を、一枚にまとめました。

タイプ別の特徴(制作・広告業に特化/案件収支・原価の専用/会計・基幹と一体)
コンテンツ制作業で使える原価管理システムは、成り立ちによって大きく3つのタイプに分かれます。自社がどの型を必要としているかを先に見極めると、候補を絞り込みやすくなります。
1つ目は制作・広告業に特化したタイプです。映像・広告・web制作などの商習慣に合わせ、媒体費・外注費・制作工数を案件に紐づける項目やテンプレートを標準で備えます。自社の業務にそのまま当てはめやすいのが強みです。
2つ目は案件の収支・原価を管理する専用タイプで、業種を問わず案件(プロジェクト)単位で予実・原価・採算を可視化します。制作業に限らず幅広い受注型事業で使われます。3つ目は会計・販売・基幹システムと一体のタイプで、会計ソフトやERPの一部として個別原価・配賦・損益を全社の数字と一体で管理します。経理まで含めて整えたい企業に向きます。
| 特徴 | |
|---|---|
| 制作・広告業に特化したタイプ | 映像・広告・web制作などの業態に合わせ、媒体費・外注費・制作工数の案件紐づけを標準装備。自社業務に当てはめやすい(例: クラウドERP ZAC、Reforma PSA、MA-EYES、プロカン など) |
| 案件の収支・原価を管理する専用タイプ | 業種を問わず案件(プロジェクト)単位で予実・原価・採算を可視化。プロジェクト型事業に広く対応(例: マネーフォワード クラウド個別原価、HUE Classic Project Management、Lychee Redmine など) |
| 会計・販売・基幹システムと一体のタイプ | 会計・販売管理・ERPの一部として個別原価・配賦・損益を全社の数字と一体管理。経理まで含めて整えたい企業向け(例: Oracle NetSuite、freee販売、Biz∫ など) |
既製品では工程や原価構造が合わず受託開発を検討する場合の考え方は、前の章で述べたとおりです。
案件(プロジェクト)単位で収支や原価を管理する仕組みは、制作業に限らずIT・システム開発やコンサルティングなど受注型の事業で広く使われています。コンテンツ制作業に絞らず、プロジェクト型事業全般の収支管理システムをタイプ別の選び方や料金まで見比べたい場合は、次の記事が参考になります。
プロジェクト収支管理システム比較20選|タイプ別の選び方と料金、案件別原価の作り方を解説
案件が終わって締めてみるまで、その仕事が黒字だったのか赤字だったのか分からない状態になっていませんか。受託でビジネスを回している企業では、珍しくありません。売上は請求書で追えても、そこにぶつける原価は、メンバーの作業時間と外注費と経費に散ら…
業態別の原価管理のポイント
同じコンテンツ制作業でも、業態によって原価のどこが重くなるかは異なります。自社の原価の主役がどこにあるかを把握すると、必要な機能と向いているタイプが見えてきます。
| 原価の主役と押さえどころ | |
|---|---|
| 映像・広告制作 | 出演・ロケ・編集などの外注費と媒体費が大きく、源泉徴収対象の報酬も多い。外注費・媒体費の案件紐づけと源泉徴収への対応が要。制作・広告業に特化したタイプが向く |
| web制作 | 社内の制作工数(労務費)が原価の中心で、一部に外注が入る。工数入力から労務費への換算が肝で、専用タイプや特化タイプが扱いやすい |
| 出版 | 原稿料・デザイン外注・印刷費が中心で、個人への報酬が多く源泉徴収が頻発。外注費管理と源泉徴収、会計連携を重視するなら特化・会計一体タイプ |
| ゲーム開発 | 開発期間が長く、社内エンジニア・デザイナーの労務費(工数)が積み上がる。長期案件の工数・進捗と予実を追える専用タイプが向く |
| マーケティング支援 | 人月の労務費に、広告運用の外注費・媒体費が加わる。工数と外注費を案件単位で合算できる専用・特化タイプが扱いやすい |
自社の業態を踏まえ、原価の主役(外注費中心か、制作工数=労務費中心か)に合った機能を備えているかを確認すると、製品選びの精度が上がります。
コンテンツ制作業向け原価管理システムの選び方
ここからは、自社の型と業態を踏まえたうえで、製品を見比べるときの実務的な確認ポイントを整理します。
案件単位で外注費・労務費・制作工数を集計・配賦できるか
最初に確認したいのは、自社の原価の構成要素をすべて案件に紐づけられるかです。外注費・経費を案件ごとに登録でき、工数入力から労務費へ換算でき、複数案件で共有する共通費を基準に沿って配賦できるか。この3点がそろって初めて、案件の本当の粗利が見えます。
どの要素を重く見るかは、先に整理した業態別の原価の主役によって変わります。工数(労務費)が中心の業態なら工数から人件費への換算精度を、外注費が大きい業態なら発注・支払データとの連携を、とくに重点的に確認するとよいでしょう。
工数管理・会計システムとの連携を確認できるか
原価管理システムは、工数管理や会計システムと連携して力を発揮します。すでに工数管理ツールや会計ソフトを使っている場合は、それらと連携して数字を取り込めるか、あるいは原価管理システム自体に工数入力機能が含まれるかを確認しておきたいところです。連携できないと、同じ数字を複数のツールへ二重入力することになり、かえって手間が増えます。会計ソフトへ原価や仕訳を渡せるかどうかは、月次決算の負担にも関わります。
導入後の運用・改善の支援体制を確認できるか
原価管理は導入して終わりではなく、自社の案件の進め方に合わせて設定を調整しながら運用します。初期設定の支援があるか、運用開始後に相談できる窓口があるか、業態に合わせたテンプレートや導入事例が用意されているかを確認しておくとよいでしょう。とくに経理の専任者が少ない制作会社では、設定や運用で頼れる支援体制があるかどうかが、定着を左右します。
費用相場と提供形態
コンテンツ制作業向けの原価管理システムは、提供形態と対象企業規模によって費用に幅があります。クラウド型(SaaS)は初期費用を抑えて始めやすく、中小規模の制作会社向けで月額数千円から数万円程度、機能やユーザー数が増える中堅向けで月額数万円から十数万円程度が目安です。
一方、会計・基幹システムと一体のタイプや大企業向けの製品では、初期費用が数十万円から数百万円規模になり、料金を公開せず個別見積もりとするベンダーが多くなります。受託開発を選ぶ場合は、要件や規模によって費用がさらに大きく変動します。各製品の具体的な料金は、このあとの比較表で確認してください。公開されていない料金は「要お問い合わせ」として扱っています。
自社に合うタイプを診断する
ここまで見てきたタイプや業態から、自社がどれに当てはまるか判断が難しいこともあります。自社の業態・会計連携の要否・会社規模に答えるだけで、合うタイプと候補サービスを案内する「30秒で終わる選定診断ツール」を以下に用意しました。候補を絞り込む手がかりとしてご活用ください。
一括ダウンロードする
【比較表】コンテンツ制作業向け原価管理システム比較
ここからは、自社の課題や要件に合わせて客観的に比較・選定できるよう、コンテンツ制作業で使える原価管理システム17サービスを、先ほどの3つのタイプ別に整理して紹介します。案件原価の集計範囲・工数/会計連携・料金・提供形態を横並びで確認してください。
制作・広告業に特化したタイプの比較
| サービス名 | クラウドERP ZAC | Reforma PSA | MA-EYES | プロカン | SMILE V 2nd Edition Project Director | プロジェクト収支管理Rebo | LEEAD | ADMAN |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応業態・特化領域 | IT・広告・制作・コンサル等のプロジェクト型業種(導入は広告・PR・制作業が最多) | IT・広告・イベント・制作・設計業など(従業員50名以下が目安) | 広告業特化の「A ver.」とプロジェクト型全般の「V ver.」 | IT「プロカンIT」/制作・広告「プロカン制作」/建設「プロカン建設工事」 | 広告制作業・SI業・コンサルティング業など案件型業種 | ソフトウェア開発・広告制作・TV番組/映画制作など企画・制作業 | クリエイティブ・広告/企画業、士業・コンサル、IT・システム業 | 広告代理店・広告制作会社に特化 |
| 案件原価の集計範囲 | 外注費・仕入・労務費・経費を案件に紐づけ | 外注費・労務費を案件ごとに管理(工数登録が前提)+共通費配賦 | 人件費・外注費・経費を案件原価へ(標準はプロジェクト単位、製品・ジョブ単位も可) | 予算・実績・工数原価・外注費・経費を案件ごとに集約 | 受注〜発注・仕入・売上・請求・入金・支払を一元管理し、工数で労務費を算出 | 売上予算・原価予算を月単位で登録。仕入・外注費・社内発注・仮払などを債権債務システムで管理 | 売上・工数・費用の計画値と実績値を案件ごとに管理 | 1案件に売上明細と原価明細(媒体費・制作費・外注費)を複数紐づけ、工数から社内原価も把握 |
| 工数管理 | 内蔵(工数入力→案件別労務費に自動集計) | 内蔵(工数入力→労務費配賦) | 内蔵(工数登録→労務費算出) | 内蔵(工数×労務単価、Googleカレンダー連携) | 内蔵(Web画面で工数入力)+勤怠「Universal 勤次郎」連携 | 公式に明記なし | 内蔵(2025年10月に「LEEAD工数管理」を追加、日単位で実績工数を入力) | 内蔵(作業内容ごとの工数から労務費を含む社内原価) |
| 会計・基幹連携 | 仕訳インポート対応の会計システムと連携(勘定奉行クラウドはAPI連携) | 固定フォーマットのファイル連携(勘定奉行クラウド・弥生会計デスクトップ版・マネーフォワード クラウド会計 等) | 勘定奉行クラウドとAPI連携 | 弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードと連携 | 「SMILE V 2nd Edition 会計」と連携 | 勘定奉行・大蔵大臣にアドオン版で仕訳自動作成、他はCSV出力 | CSVインポート・エクスポート(特定ソフトへのAPI連携は公式に明記なし) | 勘定奉行・弥生会計・OBIC7・PCA会計など8製品に連携実績(オプション) |
| 料金(初期/月額) | 初期100,000円/モジュール×ライセンス課金+保守60,000円〜(単価は要お問い合わせ) | 初期0円/月額30,000円(税抜)〜 | 要お問い合わせ(30日間の無料トライアルあり) | 初期150,000円(税込165,000円)〜/月額30,000円(税込33,000円)〜 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ(30日間の無料トライアルあり) | 初期300,000円〜/月額42,000円〜 |
| 提供形態 | クラウド | クラウド | クラウド(SaaS/SaaS+/一括) | クラウド | オンプレミス中心 | オンプレミス(パッケージ) | クラウド | クラウド/オンプレミス |
案件の収支・原価を管理する専用タイプの比較
| サービス名 | マネーフォワード クラウド個別原価 | HUE Classic Project Management | Lychee Redmine | Flagxs |
|---|---|---|---|---|
| 対応業態・特化領域 | IT・システム開発業、クリエイティブ業などプロジェクト型事業 | SI・工事・コンサル・研究開発などプロジェクト型(中堅〜大企業向け) | IT・製造業など業種を問わず(Redmineベースのプロジェクト管理) | 中〜大企業・SI企業(WBS標準化のプロジェクト管理) |
| 案件原価の集計範囲 | 工数→労務費按分、間接費の多段階配賦、原価算出をプロジェクト単位で一貫 | 見積〜請求、発注〜支払まで案件別の予算・実績・原価を管理 | コストグループ別の工数単価×作業時間で人件費、経費(交通費・外注費)も入力 | プロジェクト損益管理(P/L)。グレード別単価×工数で人件費を自動換算し予実を比較 |
| 工数管理 | 内蔵(日次・月次入力)+勤怠システム4種と連携 | 工数から人件費への反映の仕組みは公式に明記なし | 内蔵(原価管理はプレミアムプラン以上) | 内蔵(工数実績から人件費を自動換算) |
| 会計・基幹連携 | マネーフォワード クラウド会計Plusと連携 | 月次決算で原価計算→仕訳→会計システムへ連携 | 会計システムとの連携は公式に明記なし(Teams・Slack連携、REST API) | 外部連携の範囲は公式に明記なし |
| 料金(初期/月額) | 要お問い合わせ(個別見積もり) | 要お問い合わせ | クラウド月額900円〜/ユーザー(原価管理はプレミアム1,400円〈税別〉〜)+クラウド利用料5,000円〜/月(30日間無料トライアル) | 要お問い合わせ |
| 提供形態 | クラウド | オンプレミス+クラウド運用代行(HUE Classic Cloud) | クラウド/オンプレミス | クラウド |
会計・販売・基幹システムと一体のタイプの比較
| サービス名 | Oracle NetSuite | freee販売 | 楽楽販売 | Biz∫ | 勘定奉行クラウド[個別原価管理編] |
|---|---|---|---|---|---|
| 対応業態・特化領域 | 会計・販売・在庫・CRMを統合(中堅〜大企業・グループ経営向け) | クリエイティブ・制作業、メディア・広告業、IT開発など人件費比率の高い業種 | 広告代理店・広告制作、IT開発など(ノーコードの販売管理) | 年商500億円以上の大手企業中心(Optimaで中堅へ拡大) | 中小〜成長企業(会計ソフト+個別原価管理の受注・案件型事業) |
| 案件原価の集計範囲 | アドオン(SuiteProjects)で直接費・間接費を案件予算に配賦、工数は会計へ自動転記 | 案件別の原価・粗利、原価推移レポートで進行中案件の月別原価(人件費反映は別契約の工数管理連携が前提) | 受注(売上)・発注(原価)・間接費を案件ごとに紐づけ収支を自動集計 | 会計モジュールにプロジェクト原価管理と多段階の間接費配賦 | 案件別の労務費計上、設定基準での配賦、進捗度に応じた原価振替 |
| 工数管理 | 内蔵(アドオンのタイムシート) | 連携(別契約の「freee工数管理」) | 内蔵(工数と原価・利益率を紐づけ。入力粒度・単価設定の具体は公式非公開) | 公式に明記なし | 公式に明記なし(労務費計上に対応) |
| 会計・基幹連携 | ERPに会計を内包(案件原価・損益を全社の会計数字と一体管理) | freee会計と一体 | 勘定奉行クラウド・freee会計など複数の会計ソフトへ仕訳連携 | 会計・販売購買・人事給与を統合(ERP一体) | 勘定奉行クラウドの会計基盤に一体(API・CSV連携) |
| 料金(初期/月額) | 要お問い合わせ(年間ライセンス+初期費用) | 初期0円/スターター月約5,000円〜(3名・年払・税抜)、スタンダード月約40,000円〜(10名・年払・税抜) | 初期200,000円(税抜)/月額70,000円(税抜)〜 | 要お問い合わせ | 初期50,000円〜/月額27,500円〜(iAシステム、年額330,000円〜。30日間無料体験) |
| 提供形態 | クラウド | クラウド | クラウド | オンプレミス/クラウド(Biz∫Optima)/ハイブリッド | クラウド |
※上記は2026年10月時点の各社公式情報に基づく一般的な傾向です。実際の機能の搭載有無や提供形態・料金は各社の最新情報をご確認ください。
コンテンツ制作業向け原価管理システムの比較・個別紹介
ここからは、各サービスの特徴を個別に紹介します。対応する業態や案件原価の集計範囲、工数・会計システムとの連携、提供形態を確認し、自社に合う製品を見極める材料としてください。
制作・広告業に特化したタイプ
映像・広告・web制作などの業態に合わせ、媒体費・外注費・制作工数の案件紐づけを標準で備えるタイプです。自社の業務にそのまま当てはめやすい製品がそろっています。
1. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

東証プライム上場の株式会社オロが提供する、IT・広告・コンサルなど案件単位で業務が進むプロジェクト型業種に特化した統合型クラウドERPです。導入企業の業種は広告・PR・制作業が最も多く(約4割、2024年7月時点の公式発表)、映像・広告制作やweb制作との相性がよい製品といえます。
案件ごとに外注費・仕入・労務費・経費を紐づけて個別原価を積み上げます。工数管理で担当者が案件と作業項目を指定して工数を入力すると、自動的に案件別の労務費として集計され、直接作業は指定した案件へ直課、間接作業は部門配下の案件へ再配賦されます。
会計システムとは仕訳データのインポート機能を持つ製品と連携でき、勘定奉行クラウドとはAPI連携が案内されています。料金は機能(モジュール)×ライセンス数の課金で、ZAC初期設定費用100,000円と保守費60,000円〜/月。各モジュールの単価は公開されておらず、製品資料の請求が必要です。
2. Reforma PSA(株式会社オロ)

同じ株式会社オロが、クラウドERP「ZAC」の機能を案件・プロジェクト型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化した製品です。IT・広告・イベント・制作・設計などの業種を対象とし、従業員50名以下を目安に、これから人数が増える企業や部門単位での導入に向くとされています。
案件ごとに外注費と労務費を管理し、仕掛中でも案件別の損益を把握できます。従業員がプロジェクト・作業内容ごとに工数を入力すると、労務費配賦計算で案件原価に反映され、複数案件にまたがる共通費の配賦にも対応します(いずれも工数登録が前提です)。
会計システムへは固定フォーマットのファイル連携で、勘定奉行クラウドや弥生会計デスクトップ版、マネーフォワード クラウド会計などへ仕訳を出力できます。料金は初期費用0円、月額30,000円(税抜)からで、利用機能と人数により変動し、導入期間は1〜2か月程度が目安です。
3. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

株式会社ビーブレイクシステムズが提供するクラウド型ERPで、広告業界に特化した「A ver.」と、システム開発・コンサルなどプロジェクト型全般向けの「V ver.」の2ラインナップを展開しています。コンテンツ制作業では、自社の業態に近い方を選べる点が特徴です。
日々の工数登録から人件費・外注費・経費を案件原価へ反映します。労務費は、メンバーのマスタに設定した基準時間の単価(個人別またはジョブグレード別)と実際の作業時間を掛けて算出。原価は標準でプロジェクト単位ですが、製品やジョブなど別の単位でも管理できます。
配賦基準は工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数といった非システム情報も設定できます。勘定奉行クラウドとはAPI連携で仕訳データを取り込めます。料金は公式非公開で、SaaS・SaaS+・一括の3形態から選べ、30日間の無料トライアルが用意されています。
4. プロカン(株式会社PROCAN)

株式会社PROCANが提供する、案件単位で進む受託型ビジネス向けのプロジェクト収支管理システムです。IT・システム開発、制作・広告・クリエイティブ、建設・工事と業種別に3つのラインがあり、本記事の制作・広告業は「プロカン制作」が対象になります。
案件ごとに予算・実績・工数原価・外注費・経費を集約し、収支をリアルタイムに可視化します。社内人員の工数は「工数×労務単価」で原価に換算し、外注費などの社外コストと合算して案件ごとの粗利を見える化します(労務単価の設定方法は公式に明記なし)。Googleカレンダー連携による工数入力支援もあります。
会計ソフトは弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードとの連携を業種別ページで案内しています。料金は初期費用150,000円(税込165,000円)から、月額30,000円(税込33,000円)からで、利用ID数・機能に応じて変動し、IT導入補助金の対象です。
5. SMILE V 2nd Edition Project Director(株式会社OSK)

大塚商会グループの株式会社OSKが開発し、株式会社大塚商会が販売するプロジェクト収支管理システムです。「SMILE V」シリーズの業種特化製品の一つで、広告制作業・SI業・コンサルティング業など、案件単位で業務を進める業種を対象としています。
見込み発生段階から受注・発注・仕入・売上・請求・入金・支払までを一元管理し、「案件ポータル」で進捗と収支をリアルタイムに確認できます。予定値・着地見込み・最終結果を比較するシミュレーションで異常値を早期に把握でき、Web画面での工数入力により案件ごとの労務費を算出します。
勤怠管理システム「Universal 勤次郎」と連携して勤怠・工数データを労務費に反映でき、「SMILE V 2nd Edition 会計」とは売上・仕入・経費や入金・支払情報を連携できます。提供はオンプレミス中心とみられ、料金は公式に固定料金表がなく要お問い合わせです。
6. プロジェクト収支管理Rebo(株式会社ディータイド)

株式会社ディータイドが提供するReboは、ソフトウェア開発・広告制作・TV番組制作・映画制作など、企画・制作業に対象業種を絞ったプロジェクト収支管理パッケージです。コンテンツ制作業の商習慣に合わせた設計が特徴です。
案件ごとに売上予算・原価予算を月単位で登録し、予算と実績を月ごとに対比する「予算実績対比表」で早期に損益をシミュレーションできます。仕入費用・外注費・社内発注・仮払・即時支払などを「Rebo債権債務システム」でまとめて管理し、売掛・買掛残高や入金・支払予定まで見通せます。
勘定奉行・大蔵大臣に対応するアドオン版では伝票登録と同時に仕訳データを自動作成でき、その他の会計システムへはCSV出力で連携します。提供はオンプレミス型のパッケージソフトウェアで、料金は要お問い合わせ、無料トライアルの案内はなくデモ対応のみです。
7. LEEAD(株式会社ETVOX)

株式会社ETVOXが2021年に提供を開始したLEEAD(リード)は、バックオフィス業務全体ではなくプロジェクト会計に機能を絞ったクラウドサービスです。クリエイティブ・広告/企画業、士業・コンサルティング業、IT・システム業の3業種を対象に掲げています。
案件ごとに売上・工数・費用の計画値と実績値を登録して予実を管理し、今後半年〜1年の収支見通しや人員計画まで見える化します。2025年10月には日単位で実績工数を入力する「LEEAD工数管理」を追加し、入力データを本体へ自動連携する構成に拡張しました(工数から人件費への換算ロジックは公式に明記なし)。
会計システムとはCSVインポート・エクスポートによる連携が基本で、特定ソフトへのAPI連携は公式に明記されていません。料金は公式非公開で、企業の状況に応じた複数プランを用意。最短即日で導入でき、利用開始後30日間の無料トライアルがあります。
8. ADMAN(株式会社サイネット)

株式会社サイネットが提供するADMAN(アドマン)は、広告代理店・広告制作会社に特化したクラウド型(オンプレミス版も選択可)の販売管理システムです。導入実績は広告業界で150社以上とされています(公式に時点の表記なし)。
汎用システムが前提とする「商品」単位の1対1構造ではなく、1つの案件に売上明細と原価明細(媒体費・制作費・外注費など)を複数紐づけられる1対N対N型のデータ構造を採用しています。広告業特有の「媒体」をマスターで管理でき、クリエイティブ部門の作業内容ごとの工数から、進行中案件の労務費を含む社内原価も把握できます。
会計連携オプションでは、勘定奉行・弥生会計・OBIC7・PCA会計など8製品への連携実績があります(freee・マネーフォワードなどクラウド専業会計との連携は公式に記載なし)。料金は初期費用300,000円から、月額42,000円からで、ユーザー数・オプションにより変動し、詳細は要問い合わせです。
案件の収支・原価を管理する専用タイプ
業種を問わず、案件(プロジェクト)単位で予実・原価・採算を可視化する専用タイプです。制作業に限らず幅広い受注型事業で使われています。
9. マネーフォワード クラウド個別原価(株式会社マネーフォワード)

工数入力から労務費の按分、間接費の配賦、原価の算出までをプロジェクト単位で一貫して扱う個別原価管理システムです。株式会社マネーフォワードが2023年に提供を開始しました。IT・システム開発業やクリエイティブ業など、プロジェクト単位で収益と原価を管理する事業を対象に掲げています。
社内メンバーの作業時間は日次・月次で入力でき、勤怠管理システム4種との連携で実労働時間を取り込めます。勘定科目ごとに従業員別の単価を設定して労務費を按分し、家賃や管理部門の人件費などの間接費は、工数比率・従業員数比率・売上予算比率などの基準で各プロジェクトへ多段階に配賦します。
集計した費用データや資産振替の仕訳はマネーフォワード クラウド会計Plusと連携でき、月次決算での二重入力を防げます。料金は利用人数や契約内容に応じた個別見積もりで、公式サイトでは公開されていません。
10. HUE Classic Project Management(株式会社ワークスアプリケーションズ)

株式会社ワークスアプリケーションズが提供する、案件ごとの採算を可視化し原価計上までを統合するプロジェクト収支管理システムです。見積・受注・売上・請求から発注・仕入・支払まで、案件に関わる取引を一括で管理できます。
SI・工事・コンサルティング・研究開発などプロジェクト型の業種を対象とし、協力会社とのWEB-EDI連携やグループ会社対応、法改正に対応する保守体制を備えます。導入事例は大手〜中堅の情報サービス業・製造業が中心で、中堅〜大企業向けの製品に位置づけられます。中小規模向けの軽量プランは公開されていません。
提供形態は、自社運用のオンプレミス型パッケージに加え、AWSまたはOracle Cloud上で運用を代行するマネージドサービス「HUE Classic Cloud」も選べます。月次決算機能では原価計算から仕訳、会計システムへの連携までを一連で処理します。料金は初期費用・月額とも公開されておらず、問い合わせが必要です。
11. Lychee Redmine(株式会社アジャイルウェア)

オープンソースのプロジェクト管理ツール「Redmine」をベースに、ガントチャートやカンバンなどの操作画面を拡張した有償のプロジェクト管理ツールです。株式会社アジャイルウェアが2014年から提供し、クラウド版とオンプレミス版の両方を用意しています。
プレミアムプラン以上では、コストグループ別に工数単価を設定し、作業時間を掛け合わせて人件費を自動で算出します。交通費や外注費などの経費も案件ごとに入力でき、予算・コスト予想・収支予測をレポート画面で確認できます。見積もり工数と実績工数の比較もあわせて行えます。
クラウド版は1ユーザー月額900円のスタンダードから利用でき、工数単価による人件費算出や原価管理の機能はプレミアムプラン(1ユーザー月額1,400円、税別)以上で使えます。別途クラウド利用料が月額5,000円からかかります。30日間の無料トライアルをクレジットカード登録なしで試せます。
12. Flagxs(フラッグス株式会社)

成果物・工程・タスクの3階層でWBS(作業分解構成図)を標準化し、タスクと工数のデータを一元管理するクラウド型のプロジェクトマネジメントプラットフォームです。フラッグス株式会社が提供しています。
2024年10月に追加されたプロジェクト損益管理(プロジェクトP/L)では、要員のグレード別に単価を設定し、工数の実績から人件費を自動で金額換算します。進行中のプロジェクトでも当初予算と実績をリアルタイムに比較でき、着地予測も確認できます。複数プロジェクトを横断するリソースアサイン管理では、掛け持ちメンバーの過剰な割り当てを把握できます。
想定するのは中〜大企業やSI企業で、情報セキュリティの国際規格ISO/IEC 27001とクラウド向けのISO/IEC 27017を取得しています。会計・販売管理システムとの外部連携の範囲や料金は公式サイトで公開されておらず、問い合わせでの確認が必要です。
会計・販売・基幹システムと一体のタイプ
会計・販売管理・ERPの一部として、個別原価や配賦、損益を全社の数字と一体で管理するタイプです。経理まで含めて整えたい企業に向いています。
13. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

会計・財務から販売・購買・在庫、CRMまでを単一のクラウド基盤に統合したクラウドERPで、日本国内では日本オラクル株式会社が提供・サポートを担います。公式サイトによると200か国以上で利用され、27以上の言語と190以上の通貨に対応します(2026年10月時点)。
コンテンツ制作業の案件別原価は、アドオンのプロジェクト管理機能(SuiteProjects)で扱います。発注データを案件に紐づけて直接費・間接費を案件予算に配賦し、タイムシートで記録した工数は会計へ自動転記されるため、案件の原価と損益を全社の会計数字と一体で管理できます。
導入は認定パートナー経由が中心で、料金は会社規模や利用ユーザー数などに応じた年間ライセンスと初期費用からなり、金額は公開されていません。会計・販売・在庫までを1つの基盤に統合したい中堅〜大企業や、海外拠点を含むグループ経営の企業に向いた製品です。
14. freee販売(フリー株式会社)

フリー株式会社のクラウド会計ソフト「freee会計」と一体で使えるよう設計された販売管理システムで、2022年11月に提供を開始しました。見積から受注・売上・請求・入金、案件別の原価・粗利までを案件単位で一元管理します。
クリエイティブ・制作業やメディア・広告業、IT開発など人件費比率の高い業種を主な対象に掲げ、2024年12月追加の「原価推移レポート」で進行中案件の月別原価を可視化し、赤字の予兆を早期に把握できます。ただし人件費を原価へ反映するには、別契約の「freee工数管理」との連携が前提です。
初期費用は0円で、個人・小規模向けのスタータープランが参考価格で月約5,000円から(3名・年払・税抜)、承認フローや内部統制を強化したスタンダードプランが月約40,000円から(10名・年払・税抜)。正式な料金は問い合わせでの確認が必要です。
15. 楽楽販売(株式会社ラクス)

見積・受注・請求といった販売業務に、発注・仕入や案件単位の原価・収支管理までを1つにまとめたクラウド型の販売管理システムです。提供元は株式会社ラクスで、マウス操作中心のノンプログラミングで画面や帳票、承認フローを自社の業務に合わせて組み替えられる点を前面に出しています。
広告代理店・広告制作やIT開発などを対象業種に挙げ、受注(売上)と発注(原価)、間接費を案件ごとに紐づけて収支を自動集計し、原価率の悪化をリアルタイムに把握できます。勘定奉行クラウドやfreee会計など複数の会計ソフトへ仕訳データを連携できます。
料金は初期費用200,000円(税抜)、月額70,000円から(税抜、利用ユーザー数・データベース数で変動)で、初期費用には3か月間の導入支援が含まれます。無料トライアルも用意されています。
16. Biz∫(株式会社NTTデータ・ビズインテグラル)

会計・販売購買・人事給与を、ワークフロー基盤「intra-mart」の上に統合した国産のERPパッケージです。開発・販売は株式会社NTTデータ・ビズインテグラルで、NTTデータの公式資料では年商500億円以上の大手企業を主な対象とし、採用実績は2,000社を突破しています(2025年12月時点)。
会計モジュールにプロジェクト原価管理と多段階の間接費配賦を備え、案件別の原価・損益を会計・販売の数字と一体で扱えます。必要なモジュールとユーザー数の組み合わせで導入でき、一般会計だけといった最小構成から段階的に広げられます。
提供形態はオンプレミス、クラウド(サブスクリプション型のBiz∫Optima)、ハイブリッドから選べ、クラウド版では中堅企業へも対象を広げています。料金は公開されておらず、要お問い合わせです。全社の基幹システムと原価管理をまとめて整えたい大手・中堅企業に向いた選択肢です。
17. 勘定奉行クラウド[個別原価管理編](株式会社オービックビジネスコンサルタント)
![勘定奉行クラウド[個別原価管理編]のウェブサイト](https://i0.wp.com/wpcatalog.cryptobk.jp/wp-content/uploads/2026/09/kanjo-bugyo-cloud-kobetsu-genka-sitecapture.png?resize=1200%2C517&ssl=1)
株式会社オービックビジネスコンサルタントの会計ソフト「勘定奉行クラウド」に、プロジェクト(案件)別の個別原価管理を加えたエディションです。銀行明細やクレジットカード、給与データからの自動仕訳という会計基盤の上で、案件単位の原価を会計処理と一体で扱えます。
請負金額・進捗・予定期間を案件ごとに一元管理し、プロジェクト別原価報告書に発生額・入金・粗利・予算を集約して出力します。案件ごとの労務費計上や設定した基準に基づく配賦、進捗度に応じた原価振替に対応し、案件単位で採算を確認できます。
料金は月額27,500円から(iAシステム、年額330,000円から・初期費用50,000円)で、分析機能や管理会計機能を加えた上位システムも用意されています。30日間の無料体験があり、中小〜成長企業向けの価格帯です。
導入前に押さえる注意点
原価管理システムは導入すれば自動で効果が出るものではありません。コンテンツ制作業でつまずきやすい点を、あらかじめ押さえておきましょう。
第一に、自社の業態に機能が合うかです。製造業や建設業向けに作られた原価管理システムは、制作案件の原価構造と噛み合わないことがあります。媒体費や源泉徴収、制作工数の扱いなど、自社の業態で必要な処理に対応しているかを導入前に確かめておきましょう。
第二に、工数入力が現場に定着するかです。案件原価の精度は、制作スタッフが日々の作業時間を正確に入力できるかに大きく左右されます。入力画面が使いにくかったり負担が大きかったりすると入力が形骸化し、原価の数字も信頼できなくなります。現場が無理なく続けられる入力方法かどうかを、試用時に確認しておくと安心です。
第三に、既存の工数管理ツールや会計システムとの連携を確認しないまま導入してしまうことです。連携できないまま運用を始めると、同じ数字を複数のツールへ入力し続けることになり、せっかく原価管理を仕組み化してもかえって手間が残ります。現在使っているツールと連携できるかは、契約前に実際のデータでためしておくと安心です。
まとめ
コンテンツ制作業の原価管理では、案件ごとに外注費・労務費・制作工数を積み上げ、進行中から採算を見える化できるかが鍵になります。製品は、制作・広告業に特化したタイプ、案件の収支・原価を管理する専用タイプ、会計・基幹システムと一体のタイプの3つに分かれ、自社の業態と原価の主役、そして会計まで一体で整えたいかによって向き不向きが変わります。
まずは自社がどの型に近いかを見極め、案件への費用の紐づけと配賦、工数・会計システムとの連携、導入後の支援体制を軸に比較するのが近道です。気になるサービスが見つかったら、資料を取り寄せて機能と料金を具体的に確かめてみてください。
一括ダウンロードする
よくある質問(FAQ)
Q. コンテンツ制作業の原価管理とは何ですか?
A. コンテンツ制作業の原価管理とは、受注した案件(プロジェクト)ごとに外注費・労務費(制作工数)・経費を集計し、案件単位の個別原価と粗利を把握する取り組みです。全社の損益を月次でまとめる財務会計とは異なり、「この案件はいくらで受注し、いくらかかって、いくら残ったか」を案件ごとに見える化するのが特徴で、会計実務では個別原価計算にあたります。
Q. コンテンツ制作業でも原価管理システムは必要ですか?
A. コンテンツ制作業の原価管理システムは、案件ごとの外注費や制作工数が大きく、案件数が増えてExcelでの集計が追いつかなくなった制作会社ほど効果を発揮します。映像・広告制作、web制作、出版、ゲーム開発、マーケティング支援など、案件単位で採算が変わる受託・プロジェクト型の事業では、進行中の赤字案件を早期に把握でき、受注判断や見積もり精度の向上につながります。
Q. 案件の原価管理はExcelではなく専用システムにすべきですか?
A. 案件数が少ないうちはExcelでも管理できますが、外注費や工数の転記が追いつかず、採算の把握が案件終了後まで遅れるようになったら専用システムへの切り替えを検討する目安です。Excelは担当者ごとに集計方法がばらついて属人化しやすく、複数案件で共有する共通費の配賦を毎回手計算する負担も大きいため、進行中にリアルタイムで案件別採算を見たい段階になると専用システムが向きます。
Q. コンテンツ制作業向け原価管理システムの費用相場はどのくらいですか?
A. クラウド型(SaaS)は、中小規模の制作会社向けで月額数千円から数万円程度、中堅向けで月額数万円から十数万円程度が目安です。会計・基幹システムと一体のタイプや大企業向けの製品では初期費用が数十万円から数百万円規模になり、料金を公開せず個別見積もりとするベンダーが多くなります。受託開発を選ぶ場合は要件や規模によって費用がさらに大きく変動するため、具体的な金額は各社の資料で確認してください。
Q. 原価管理システムはクラウド型と買い切りのパッケージ型のどちらを選べばよいですか?
A. 初期費用を抑えてすぐ始めたい・場所を問わず使いたい中小規模の制作会社はクラウド型(SaaS)、自社サーバーでの運用やセキュリティ・既存システムとの作り込みを重視する企業はオンプレミス型(買い切り)が向きます。
クラウド型はメンテナンスをベンダーに任せられ月額で利用できるのに対し、オンプレミス型は初期投資が大きい反面ランニングコストを抑えやすい特徴があります。製品によってはクラウド・オンプレミスの両方を選べるものもあります。
Q. 既製の原価管理システムと、自社に合わせた受託開発のどちらを選ぶべきですか?
A. 多くのコンテンツ制作業では業態に対応した既製パッケージがそろっているため、まずは既製品で自社の要件を満たせるかを確認するのが現実的です。受託開発は自由度が高い反面、費用と開発期間がかさみ完成後の保守も必要になるため、工程や原価の構造が特殊で既製品では表現しきれない場合に初めて検討する選択肢になります。既製品で合わない部分だけを個別対応で補う進め方も有効です。
Q. 自社の業態に合う原価管理システムのタイプはどれですか?
A. 外注費・媒体費が原価の主役になる映像・広告制作や出版は「制作・広告業に特化したタイプ」、制作工数(労務費)が中心のweb制作・ゲーム開発・マーケティング支援は「案件の収支・原価を管理する専用タイプ」が扱いやすい傾向があります。
経理まで含めて全社の数字と一体で整えたい場合は「会計・販売・基幹システムと一体のタイプ」が向きます。自社の原価のどこが重いか(外注費中心か、制作工数=労務費中心か)を基準に選ぶと、製品選びの精度が上がります。
Q. 原価管理システムは工数管理ツールや会計ソフトと連携できますか?
A. 多くの製品が会計ソフトへの仕訳データ連携や、工数管理機能の標準搭載・外部の工数管理ツールとの連携に対応しています。ただし連携方法はAPI連携・CSV連携・標準機能など製品ごとに異なり、なかには人件費を原価へ反映するために別契約の工数管理機能を前提とする製品もあります。すでに使っている工数管理ツールや会計ソフトと二重入力なくつながるかを、導入前に必ず確認してください。
コンテンツ制作業向け原価管理システムの料金・資料を一括チェック
MCB FinTechカタログでは、コンテンツ制作業の案件別原価管理に使えるサービスの最新資料を無料で一括請求できます。案件原価の集計範囲や工数・会計連携、料金をまとめて見比べられます。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















