金融機関を狙うサイバー攻撃が続くなか、2024年10月に金融庁が公表したガイドラインでは監視体制の整備が求められ、24時間365日の継続監視も対応が望ましい水準として示されました。一方で、監視や分析、インシデント対応を担う専門人材を自社だけで確保し続けるのは難しく、監視・運用をどう回すかに悩む金融機関は少なくありません。
限られた人員で規制が求める水準を満たしつつ、攻撃の検知から対応までを止めずに回し続けるには、監視・運用をどのような形で外部に任せればよいのでしょうか。
本記事では、金融機関が監視・分析・インシデント対応を任せられるSOC・監視運用サービスを比較・解説します。内製との違いや提供形態の種類、金融機関ならではの選び方のポイント、費用の目安、金融庁ガイドラインとの関係まで整理しました。自社の体制や課題に合った任せ方を見極めるための材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
この記事では、銀行・信用金庫・保険会社・証券会社などの金融機関が、自社のセキュリティ監視・運用を外部に任せるためのサービスを取り上げます。具体的には、監視・分析・インシデント対応を代行または支援するSOC・MDR・MSS、および複数の金融機関で監視を共同化する共同利用型のサービスが対象です。
セキュリティ対策は、エンドポイント(PCやサーバーなどの端末)の防御、ネットワークの防御、ID・アクセスの管理、データの保護など、複数の層で構成されます。SOCサービスはこれらの層を横断して「監視・検知・対応」を担う役割を持ちます。個別の防御製品を導入するだけでは埋まらない「導入後に誰が見張り、攻撃を受けたときに誰が動くか」という部分を引き受けます。
監視・運用に限らず、端末やネットワークの防御まで含めてセキュリティ対策全般を幅広く比較検討したい場合は、社内情報セキュリティ対策を横断的に比較した記事もあわせてご覧ください。本記事は、そのなかでも「監視・運用を外部に任せる」という選択肢に絞って掘り下げます。
なぜ金融機関にSOCサービスが必要か
ここでは、金融機関が監視・運用を外部に任せる動きが広がっている背景を整理します。導入の動機は、脅威・規制・人材の3つに大きく分けられます。
第一に、金融機関を標的とする攻撃の高度化です。金融庁はガイドラインで、サイバー攻撃が高度化・巧妙化していることを課題として挙げています。あわせて、取引先や委託先を経由したサプライチェーン由来のインシデントで金融機関が影響を受ける事例が発生していることも指摘しています。資金やカード情報、顧客の個人情報を扱う金融機関は、攻撃者にとって狙う価値が高く、被害が顧客や決済インフラに波及しやすい業種です。
第二に、継続的な監視が求められる点です。金融庁のガイドラインでは、顧客サービスの提供内容を踏まえた「常時監視(24時間365日)」を行うことが、対応が望ましい事項として示されています。攻撃は営業時間を選ばないため、夜間・休日も含めて検知と初動を途切れさせない体制が論点になります。
第三に、専門人材の確保の難しさです。ガイドラインでは、確保すべき人材の例として「ログの監視・モニタリングを行う人材」「サイバーインシデント発生時に対応を行う人材」「フォレンジック調査等を行う人材」が挙げられ、外部からの採用や外部人材の活用も選択肢として認められています。
こうした人材を24時間体制で自社に揃え続けることは、多くの金融機関にとって負担が大きく、監視・運用を外部に任せる動機になっています。
出典・参考資料(1件)
金融機関向けSOCサービスとは
ここからは、SOCサービスが具体的に何をするのか、似た言葉との違いや内製との使い分けを整理します。
SOCサービスが担う仕事(監視・分析・インシデントレスポンス)
SOCは、ネットワークやサーバーなどの各デバイスを監視し、サイバー攻撃の検出や分析などを行う組織を指します。SOCサービスは、この監視・分析の機能を外部の専門事業者が代行・支援する形で提供するものです。
仕事の流れは、おおむね「監視」「分析・トリアージ」「インシデント対応」の3段階です。ファイアウォールやEDR、各種サーバーなどが出すログやアラートを常時監視し、検知した事象が本物の脅威かどうかをアナリストが分析して切り分けます。脅威と判断したものは、影響範囲の調査や封じ込め、復旧の支援へとつなぎ、必要に応じて経営層や監督当局への報告に使える記録を残します。
サービスによって引き受ける範囲は異なります。検知と通知までを担うものから、一次対応や遠隔での遮断・隔離まで踏み込むもの、さらに封じ込めから復旧までを一貫して支援するものまで幅があり、この対応範囲の違いが選定の重要な分かれ目になります。

SOC・MDR・MSS・CSIRTの違い
監視・運用を検討すると、SOCのほかにMDRやMSS、CSIRTといった言葉が出てきます。重なる部分もありますが、役割の重心が異なります。
SOCは監視・検知・分析を中心とする組織や機能です。MDR(Managed Detection and Response)は、EDRなどの検知製品とアナリストによる対応支援をセットで提供する形態で、検知した脅威への対応まで踏み込む点に重心があります。
MSS(Managed Security Service)は、ファイアウォールやIDS/IPSなどのセキュリティ機器の運用と、ログ・アラートの監視・通知を代行するサービスの総称です。対応まで踏み込むMDRに対し、MSSは監視・通知に重心があり、検知後の対応は利用企業側が担うのが基本という違いがあります。本記事で扱うサービスの多くは、このMSSからMDRまでを一つの体系で提供しています。
CSIRTは、金融庁のガイドラインでも「組織内CSIRT(Computer Security Incident Response Team)」と示されるとおり、組織内の情報セキュリティ問題を専門に扱い、インシデント発生時の緊急時対応を担うチームです。
実務では、SOCやMDRが日々の監視と初動を担い、重大なインシデントが起きたときに社内のCSIRTが意思決定と全体統制を行う、という役割分担になることが多くみられます。外部のSOCサービスを使う場合でも、最終的な判断や対外対応を担う窓口を社内に置いておく考え方は変わりません。
内製SOCと外部委託(SOCサービス)の違い・向き不向き
監視・運用を自社内で完結させる内製SOCと、外部のSOCサービスに委託する形には、それぞれ向き不向きがあります。

内製SOCは、自社の業務やシステムを深く理解したうえで監視・対応を組み立てられ、ノウハウが社内に蓄積する利点があります。一方で、24時間体制を維持するには複数名の専門人材を交代制で確保する必要があり、採用・育成・定着のすべてを自社で抱えることになります。
外部委託は、専門事業者の体制と脅威情報を使い、短期間で24時間365日の監視を立ち上げられる点が強みです。ただし、委託先に任せきりにするのではなく、委託先がどこまでの対策を行っているかを把握し、不足する領域に自社で手を打つ責任は金融機関側に残ります。この点は金融庁のガイドラインでも、監視・分析を外部委託している場合に委託先の対策内容を把握するよう求められています。
自社の人材状況・システムの複雑さ・求める対応範囲を踏まえ、全面委託・一部委託・内製との併用のいずれが合うかを見極めることが出発点になります。
出典・参考資料(1件)
金融機関向けSOCサービスの提供形態(タイプ分類)
ここからは、金融機関が監視・運用を「どう任せるか」という利用形態の観点で、サービスを4つのタイプに分けて整理します。自社がどの形で任せたいかを思い描きながら読み進めてください。
なかでも委託型とクラウドMDR型は混同しやすいタイプです。大まかには、既存の機器や各種ログの種類を問わず自社環境の監視を引き受けるのが委託型、特定ベンダー製品のデータやクラウド基盤を前提に検知から対応までを一体で提供するのがクラウドMDR型、と整理すると区別しやすくなります。
共同利用型(複数の金融機関で監視を共同化する)
複数の金融機関が1つの監視基盤を共同で利用し、人材・ログ分析基盤・脅威情報を集約して運用する形態です。監視のコストを参加機関で分担できるうえ、同業の金融機関を横断して得られる脅威の知見を自社の防御に活かせる点が特徴といえます。自社単独で専用のSOC基盤を構築・維持するのが負担になる金融機関に向いています。
委託型(監視・運用をアウトソースする)
自社の環境に合わせて、監視・分析・対応支援を外部のSOCへ委託する形態です。顧客のセキュリティ機器やサーバーのログを、事業者のSIEM(ログを集約・分析する基盤)やアナリストが監視し、検知から一次対応までを引き受けます。対応範囲や監視対象をプランで選べるサービスが多く、既存のシステム構成を大きく変えずに監視を外部化したい金融機関に適しています。
常駐・内製化支援型(技術者が常駐し内製へ伴走する)
事業者の技術者が顧客先に常駐し、監視・分析から内製化のロードマップ策定までを支援する形態です。単なる代行ではなく、自社でSOCを運用できる体制づくりに伴走する点が特徴で、将来的には監視・運用を内製化したいが、当面は専門家の支援を受けながら進めたい金融機関に向いています。外部SOCのアラートを整理し、本物の脅威だけを社内に引き継ぐ橋渡しの役割を担うこともあります。
クラウドMDR型(検知から対応までをマネージドで提供する)
セキュリティ製品のベンダーの製品・クラウド基盤を軸に、ベンダー自身または国内のパートナー(SIer・代理店)が検知から対応までをマネージドで提供する形態です。EDRやXDR、NDRといった製品のデータをもとに、アナリストが24時間体制で検知・トリアージ・脅威ハンティングを行います。特定ベンダーの製品導入を前提に、監視・対応まで一体で任せたい金融機関に適しています。
4タイプの特徴と、どのような金融機関に向くかを整理すると次のとおりです。
| 共同利用型 | 委託型(監視・運用のアウトソース) | 常駐・内製化支援型 | クラウドMDR型 | |
|---|---|---|---|---|
| 任せ方の特徴 | 複数の金融機関で監視基盤を共同利用し、コストと脅威知見を共有する | 自社環境に合わせて監視・分析・対応支援を外部SOCへ委託する | 技術者が常駐し、監視・分析から内製化のロードマップ策定まで伴走する | ベンダー製品・クラウド基盤を軸に、ベンダーまたは国内パートナーがマネージド提供する |
| こんな金融機関に向く | 単独で専用SOCを持つ負担を避けたい、同業の知見を活かしたい | 既存構成を保ちつつ監視を外部化したい、対応範囲を選びたい | 将来は内製化したいが、当面は専門家の支援を受けて進めたい | 特定ベンダーの製品導入を前提に、監視・対応まで一体で任せたい |
| 該当する主なサービス | FinSOC(NTTデータ) | IIJ C-SOC、JSOC(ラック)、NRIセキュア MSS、NTTセキュリティ・ジャパン など | SOC支援サービス(東証コンピュータシステム) | CrowdStrike Falcon、SentinelOne、Trend Vision One、Darktrace など |
※上記は各タイプにおける一般的な傾向です。個別のサービスにおける実際の提供形態・対応範囲については各社情報をご確認ください。
しかし、自社がどのタイプに適しているか、といった判断が難しいケースも存在します。そのような場合でも自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるように、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
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金融機関向けSOCサービスの選び方
ここからは、金融機関がSOCサービスを選ぶときに確認したい観点を整理します。自社の状況に当てはめながら、一つずつ確認してみてください。
金融機関での導入実績があるか
金融機関は、勘定系やインターネットバンキング、保険・証券の基幹システムなど、業界特有のシステムと規制を抱えています。同じ金融機関での監視・運用の実績があるサービスは、こうした環境や規制対応の勘所を踏まえた監視設計・報告がしやすい傾向があります。公式サイトやプレスリリースで、銀行・保険・証券などの導入事例が示されているかを確認するとよいでしょう。
導入実績が公表されていない場合は、問い合わせの段階で近い業態・規模の対応経験を確認します。公表されている事例は地方銀行や大手保険会社が中心ですが、証券会社や信用金庫でも監視・運用の課題は共通するため、自社と規模・業態が近い導入経験があるかを問い合わせ時に確かめるとよいでしょう。
SLAと報告体制で監督当局・経営層に説明できるか
監視・対応を外部に任せても、監督当局や経営層への報告・説明の責任は金融機関側に残ります(規制上の根拠は後述します)。そのため、SOCサービスがどのような報告を、どの頻度・様式で出してくれるかを事前に確認しておくことが重要になります。
検知から通知までの時間や対応の範囲を定めたSLA(サービス品質の取り決め)、月次レポートやインシデント時の調査報告の内容を確認します。経営層への説明や監督当局への報告にそのまま使える粒度の記録が残るかどうかは、規制対応の実務で差が出る部分です。
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既存のセキュリティ製品を活かせるか
すでにEDRやファイアウォール、SIEMなどを導入している場合、それらを監視対象として活かせるかどうかで、導入時のコストと手間が変わります。既存製品のログを取り込んで監視できる委託型であれば、入れ替えの負担を抑えられます。一方、ベンダーのクラウドMDR型は、そのベンダーの製品を軸にした監視・対応に強みがあります。
自社の資産を活かしたいのか、特定ベンダーの製品に寄せて一体運用したいのかで、適した形態が分かれます。
共同利用型を選ぶべきか
共同利用型を検討する軸は、コスト分担と業界知見の取り込みという利点を、監視設計の自由度とのバランスでどう見るかです。自社単独で専用基盤を持つ負担が重いほど利点が活きますが、個社固有の監視要件が多い場合は、標準的な枠組みでどこまで対応できるかを委託型と見比べて確認しておく必要があります。
内製とどう組み合わせるか
監視・運用のすべてを外部に任せるか、一部を内製と組み合わせるかも検討のポイントです。将来的に自社でSOCを運用したい場合は、常駐・内製化支援型のように内製化を見据えた伴走を受けられるサービスが選択肢になります。当面は外部に監視を任せつつ、重大なインシデント時の意思決定や対外対応を担う窓口を社内に残す、という組み合わせも現実的です。
自社にどこまでのノウハウを残したいかという方針から逆算して、任せる範囲を決めるとよいでしょう。
【比較表】金融機関向けSOC・監視運用サービスの比較
ここからは、自社の要件に合わせて客観的に比較・検討できるよう、主要な金融機関向けSOC・監視運用サービス15社を、提供形態の4タイプに分けて横並びで整理します。提供形態・監視時間・対応範囲・主な監視対象・金融機関での導入実績・費用の出し方の観点で比較できます。
| サービス名 | FinSOC(NTTデータ) | IIJ C-SOCサービス | JSOC MSS(ラック) | NRIセキュア MSS | NTTセキュリティ・ジャパン MSS/MDR | BBSec MSS / G-MDR | 日立 MSS | SOC支援サービス(TCS) | CrowdStrike Falcon | SentinelOne | Darktrace | Vectra AI | Trend Vision One | Cortex XDR | Arctic Wolf Aurora Protect |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | 共同利用型 | 委託型 | 委託型 | 委託型 | 委託型 | 委託型 | 委託型 | 常駐・内製化支援型 | クラウドMDR型 | クラウドMDR型 | クラウドMDR型 | クラウドMDR型 | クラウドMDR型 | クラウドMDR型 | クラウドMDR型 |
| 監視時間 | 24時間365日 | 24時間365日 | 24時間365日 ルール更新等は平日日中 | 24時間365日 | 24時間365日 | 24時間365日 | 24時間365日 デバイス監視。ログ監視は要確認 | 公式での明示なし | 24時間365日 (MDR利用時) | 24時間365日 (MDR利用時) | 24時間365日 (MDR利用時) | 24時間365日 (MXDR・マクニカ監視代行) | 24時間365日 (MDR利用時) | 24時間365日 (SIerのマネージドXDR利用時。SLAは各社) | 24時間365日 (マネージド利用時) |
| 対応範囲 | 封じ込め・復旧まで | 分析・一次対応まで 上位プランで遠隔遮断・隔離 | 分析・自動対処まで 封じ込めはC119オプション | 監視・分析+運用支援 対応範囲は要確認 | 封じ込め・復旧まで MDRの場合(MSSは通知が中心) | 封じ込め・対応まで G-MDRの場合(MSSは通知が中心) | 分析・一次対応まで IT運用部門と連携 | 封じ込め・恒久対策まで 内製化支援を伴走 | 封じ込め・対応まで MDR利用時 | 封じ込め・復旧まで MDR・自動ロールバック | 封じ込め(自律対処)まで MDR利用時 | 検知・調査・対応まで MXDR利用時 | 封じ込め・対応まで MDR利用時 | 検知・遮断まで 対応はSIerのマネージドXDR | 監視・対応まで マネージド利用時 |
| 主な監視対象 | ネットワーク・サーバー等のログ横断(金融機関向け) | ネットワーク・エンドポイント等のログ横断 | ネットワーク・エンドポイント・クラウド横断 | エンドポイント・クラウド・OT等 横断(5領域) | エンドポイント・ネットワーク・OT等のログ横断(70種以上) | ネットワーク・エンドポイント・クラウド横断 | クラウド・エンドポイント・ネットワーク横断 | エンドポイント・ネットワーク(SIEM/EDR/FW) | エンドポイント中心(ID・クラウドへ拡張) | エンドポイント中心(クラウド・ID等へ拡張) | ネットワーク中心(NDR)、クラウド・OT等へ拡張 | ネットワーク中心(NDR)、ID・クラウドへ拡張 | エンドポイント・クラウド・メール・NW横断(XDR) | エンドポイント中心(XDR)、クラウド・NW・IDへ拡張 | エンドポイント中心(EDR) |
| 金融機関での導入実績 | 地方銀行5行で採用・導入予定 (横浜・京都・池田泉州・広島・東日本) | 住友生命(生命保険、2019年取材時点) | 公式での明示なし | 三井住友海上(保険) 銀行・証券は明示なし | 公式での明示なし | 公式での明示なし | 公式での明示なし | 公式での明示なし | 公式での明示なし | 公式での明示なし | 公式での明示なし (国内240社超、業種横断) | 公式での明示なし | 公式での明示なし | 公式での明示なし | 公式での明示なし |
| 費用の出し方 | 要問い合わせ (共同利用でコスト分担) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ (定額制・エンドポイント数課金) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ (日本円価格は非公開) | 要問い合わせ | 要問い合わせ (監視デバイス数で見積もり) | 要問い合わせ | 要問い合わせ (クレジット型ライセンス) | 要問い合わせ (運用はSIer各社が設定) | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※本表は2026年10月時点の各社公式情報にもとづきます。費用は各社とも金額を非公開とし、要件に応じた個別見積もりが実態です。金融機関での導入実績は公式サイト等で確認できたもののみを記載し、確認できないものは「公式での明示なし」としています。監視時間・対応範囲は上位プランやマネージドサービス利用時の内容を含みます。
サービス個別紹介
ここからは、提供形態のタイプごとに各サービスの特徴と金融機関での導入状況を紹介します。
共同利用型のSOCサービス
まずは、複数の金融機関で監視基盤を共同利用するタイプのサービスです。
1. FinSOC / 金融総合セキュリティサービス(株式会社NTTデータ)

複数の金融機関が監視基盤を共同で利用できる共同利用型のSOCで、株式会社NTTデータが2026年3月に提供を開始しました。複数機関の監視を共同化し、人材やログ基盤を集約することで、1社ずつSOCを構築・運用する場合に比べて体制づくりの負担を抑えられる形態です。
金融分野の専門家が脅威情報を収集・分析し、24時間365日のセキュリティ監視を行います。検知だけでなく、不正侵入やマルウェア感染、情報漏えいが起きた際の初動対応・調査分析・復旧までをインシデントレスポンスサービスでカバーし、月次の監視レポートも提供します。金融庁が公表した「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」への対応をうたっている点も、金融機関にとって確認しやすい材料です。
すでに横浜銀行・京都銀行・池田泉州銀行・広島銀行・東日本銀行で採用または導入が予定されており、地方銀行での利用が先行しています。費用は公式サイト・ニュースリリースに記載がなく、要問い合わせです。
委託型のSOCサービス(監視・運用のアウトソース)
続いて、自社環境に合わせて監視・分析・対応支援を外部へ委託するタイプのサービスです。
2. IIJ C-SOCサービス(株式会社インターネットイニシアティブ)

顧客のセキュリティ機器や運用機器が出すログを、IIJの情報分析基盤とSIEMで24時間365日分析し、検知から一次対応までをワンストップで引き受ける委託型のSOCサービスです。IIJ独自の脅威インテリジェンスを組み合わせ、調査の精度を高めています。
監視範囲やログの分析間隔、通知手段に応じて、ベーシック・アドバンスト・プレミアムの3つのプランが用意されています。IIJの判断で対応して事後報告するアクティブ型の対応や、EDRでの遠隔からの遮断・隔離、過去最大1年分をさかのぼる脅威ハンティングは、最上位のプレミアムプランで提供されます。
金融機関では、住友生命保険相互会社が2019年の取材時点でC-SOCサービスを含むIIJの各サービスを導入した事例が公開されています。料金は監視対象や対応範囲に応じた個別見積もりで、公式サイトでは公表されていません。
3. JSOC マネージド・セキュリティ・サービス(株式会社ラック)

株式会社ラックは、大規模なセキュリティ監視センター「JSOC」を運営しています。その監視基盤を使う監視・運用サービスには、2つの系統があります。顧客ネットワークのファイアウォールやIPSなどを24時間365日監視する従来のマネージド・セキュリティ・サービスと、Microsoft Sentinelを統合的な監視基盤として活用する新サービス「JSOC xPDR」です。
独自の脅威インテリジェンス「JLIST」で攻撃元のIPアドレスを侵入前に遮断し、独自の検知ルール「JRULE」を標準の監視に組み込みます。xPDRでは、条件に合致した場合に端末の隔離や認証の拒否を自動で実行します。封じ込めや駆除といったインシデント対応まで任せたい場合は、サイバー救急センターのC119オプションを組み合わせる形になります。
金融業界の脅威情報や対応ノウハウを強みに掲げる一方、JSOC監視サービス単体での金融機関向けの導入実績は公式には示されていません。料金は依頼内容や環境に応じた個別見積もりで、xPDRは契約から約2か月でのサービス開始が目安とされています。
4. NRIセキュア マネージドセキュリティサービス(NRIセキュアテクノロジーズ株式会社)

マネージドセキュリティサービスは、NRIセキュアテクノロジーズ株式会社が創業以来の中核としてきた事業です。「SecurePROtecht」のブランドのもと、24時間365日の「AI×人」による監視とログ解析を行います。
監視の方式は2通りあります。NRIセキュアが管理する共用のSIEM基盤で監視する「共用SOC」と、顧客環境のSIEMを同社のアナリストが監視する方式のどちらかを、自社の構成に合わせて選べます。エンドポイントやOA環境、Web・アプリケーション、OT・IoTまで、複数の領域を監視対象とします。
公式に公開されている導入事例には三井住友海上火災保険などがあり、銀行・証券を名指しした実績は明示されていません。Frost & Sullivanのマネージドセキュリティサービス部門では、2017年から5年連続で表彰を受けています。料金は公式サイトに記載がなく、要問い合わせです。
5. NTTセキュリティ・ジャパン マネージドセキュリティサービス(エヌ・ティ・ティ・セキュリティ・ジャパン株式会社)

日本とスウェーデンの2拠点のSOCから、グローバルに監視を行う体制が特徴のサービスです。NTTグループのセキュリティ専業会社が運営し、専門のアナリストが24時間365日体制で監視と分析を担います。
公式の説明では、MSSはアラートの通知と関連情報の提供が中心で対応は主に契約企業側が担うのに対し、上位のNTT Security MDRは封じ込めや駆除支援、復旧策の提案まで踏み込みます。MDRは脅威の検知から端末の隔離までを即時に実施し、70種類以上のログ収集と400日間のログ保存に対応します。
金融機関向けの導入事例は、公式サイトでは確認できませんでした。料金について、MDRは初期費用0円でログ量を問わない定額制、エンドポイント数に応じた課金とされていますが、具体的な金額は公表されていないため問い合わせが必要です。
6. BBSec マネージドセキュリティサービス(株式会社ブロードバンドセキュリティ)

株式会社ブロードバンドセキュリティは、東証スタンダード市場に上場する独立系のセキュリティ専業企業です。委託型のMSSからフルアウトソース型のMDRまでを一つの体系で用意し、いずれも24時間365日で専門家が監視と対応にあたります。
MSSは顧客のセキュリティ機器を常時監視して予兆やインシデントを通知する役割が中心で、フルアウトソース型の「G-MDR」は分析・検知から遮断・封じ込め、被害調査、対応支援までを一貫して引き受けます。エンドポイントを監視する「EDR-MSS」は、SentinelOneやMicrosoft Defender for Endpointなどの主要製品に対応します。
ログ分析にはSplunkを基盤として用い、AWSやSASE、WAF向けの監視、サイバー保険を付帯するメニューも揃えています。金融機関向けの導入実績は、公式サイトでは示されていません。料金は公開されておらず、要問い合わせです。
7. 日立 マネージドセキュリティサービス(株式会社日立製作所)

株式会社日立製作所が、自社のセキュリティ監視センター(SOC)のエキスパートを通じて提供する委託型のSOCサービスです。SIEMにはMicrosoft Sentinelを用い、顧客環境または日立のSOC設備で監視を行います。
パブリッククラウド(AzureやAWS)のログ監視、Microsoft 365やSASE・EDRを対象とするゼロトラスト環境の監視、IDS/IPSの監視まで、幅広い環境に対応します。セキュリティデバイスの監視は24時間365日体制で行われます。
脅威インテリジェンスを用いた分析とMicrosoft Sentinel連携での調査を行い、IT運用部門との連携でインシデント対応を速める点に特徴があります。金融業界に特化した訴求はなく、MSSとしての金融機関向けの導入実績も公式サイトでは示されていません。料金は公開されておらず、要問い合わせです。
常駐・内製化支援型のSOCサービス
次に、技術者の常駐やロードマップ策定で内製化を支援するタイプのサービスです。
8. SOC支援サービス(株式会社東証コンピュータシステム)

監視・運用のすべてを代行するのではなく、自社のセキュリティ技術者を常駐させ、顧客によるSOCの内製化を伴走する点を特徴とするサービスです。提供元の株式会社東証コンピュータシステム(TCS)は、外部SOCから上がるアラートをトリアージし、本物の脅威だけをエスカレーションする「ブリッジ機能」も用意しています。
現状把握と運用引き継ぎに始まり、プロセス構築、ナレッジ移転、KPIによる評価を経て自律運用に至る5フェーズのロードマップで、段階的な内製化を支援します。SIEM・EDR・ファイアウォールのログ監視や分析、インシデント対応、機器運用、月次レポート、OJTによる人材育成まで対応範囲は幅広く、外部委託から自社運用への移行を見据えた体制づくりに向きます。
金融業界に特化したSOC支援としての導入実績は公式サイトでは示されていませんが、同社は東京証券取引所のシステムを長年支えてきた証券・金融分野のITベンダーです。公式ページに24時間監視の記載はなく、料金も公開されていないため、監視時間や費用は要問い合わせとなります。
クラウドMDR型のSOCサービス
最後に、ベンダーの製品・クラウド基盤を軸に、ベンダー自身または国内のSIer・代理店が検知から対応までを提供するタイプのサービスです。
金融という条件を外し、監視・対応をどこまで代行してもらえるか(検知の通知だけか、封じ込め・復旧まで任せられるか)で主要なMDRサービスを広く見比べたい場合は、次の記事で国内のサービスを代行範囲・課金単位・監視体制の観点から整理しています。
9. CrowdStrike Falcon(クラウドストライク合同会社)

クラウドストライク合同会社が国内展開する、単一の軽量エージェントで次世代アンチウイルス(NGAV)からEDR・脅威ハンティングまでを統合するエンドポイント保護プラットフォームです。監視・対応を外部に任せる選択肢として、専任チームによるマネージド検知・対応「Falcon Complete」が用意されています。
Falcon Completeでは、CrowdStrikeの専門家が24時間365日体制で検知・脅威ハンティング・封じ込めまでを一貫して担います。上位プランの「Adversary OverWatch」でも、人のアナリストによる脅威ハンティングを24時間365日提供します。侵害が発生した場合に備えたBreach Prevention Warranty(侵害防止保証)が付帯する点も特徴です。
国内では日本語の公式サイト・電話サポートに加え、複数の販売代理店・SIer経由で導入や運用支援を受けられます。金融機関での導入実績は公式には明示されていません。料金は日本円建ての正式価格が公開されておらず、Falcon Completeを含め要問い合わせです。
金融機関で使う際は、国内の一次サポートや運用支援の窓口が複数の代理店・SIerに分かれる点を踏まえ、求める報告体制やSLAをどの窓口と取り交わすかを導入時に確認しておくとよいでしょう。
10. SentinelOne(SentinelOne, Inc.)

SentinelOneの「Singularity Platform」は、エージェント側のAIが脅威を自律的に検知し、不正なプロセスやファイルをリアルタイムで隔離・停止するエンドポイント型のプラットフォームです。ランサムウェアで暗号化されたファイルを、OSの再構築なしで攻撃前の状態へ戻す特許取得済みの1クリックロールバックを備えます。
監視・対応を任せる場合は、同社のマネージド検知・対応サービス「Wayfinder MDR」や、上位契約のThreat Services Advisorsによる脅威ハンティングを利用できます。上位パッケージのSingularity Completeでは、常時稼働のAI対応エージェントを含む24時間365日のサポートが示されています。
日本法人のSentinelOne Japan株式会社が国内提供を担い、東京エレクトロンデバイスやウィザースなどの代理店経由で販売・導入支援を受けられます。金融機関での導入実績は公式には明示されていません。料金は公式サイトで非開示のため、要問い合わせです。
監視・対応まで任せる場合、運用の窓口は国内代理店となります。業務停止を避けたい金融機関は、必要な報告頻度や夜間・休日の対応時間を代理店との契約で明確にしておくと、いざという時の動きがぶれません。
11. Darktrace(Darktrace Limited)

組織固有の「正常な挙動」を自己学習型AIが学習し、その逸脱から未知の脅威までを検知するのがDarktraceの特徴です。ネットワークの挙動分析(NDR)を起点に、検知した事象はCyber AI Analystが自動で調査し、Autonomous Responseがデバイス隔離などの封じ込めを自律的に実行します。
監視・対応を任せる場合は、2024年6月に提供を開始したDarktrace Managed Detection & Responseがあります。100名を超えるアナリストが、英国・米国・シンガポールの3拠点から24時間365日体制でSOC監視・調査を担います。半期ごとの運用効率化レポートや四半期ごとのレビューも含まれます。
日本法人のダークトレース・ジャパン株式会社が国内で展開し、日本語の公式サイトを備え、販売は代理店経由が中心です。国内導入は240社を超えますが業種横断で、金融機関での導入実績は公式には明示されていません。料金は監視対象のデバイス数に応じた個別見積もりのため、日本国内でのMDR提供体制や日本語サポートの詳細とあわせて、資料請求や問い合わせで確認するとよいでしょう。
ネットワークの挙動分析を軸とする点は、エンドポイント中心の既存対策を補い、行内ネットワークでの内部不正や侵入後の横展開を監視したい金融機関にとって検討の価値があります。
12. Vectra AI(Vectra AI, Inc.)

Vectra AIは、ネットワークトラフィックの挙動をAIで分析し、侵入後のラテラルムーブメントや認証情報の悪用といった脅威を検知・優先順位付けするNDR製品です。検知エンジン「Attack Signal Intelligence」が、大量のアラートを実際に侵害が起きている箇所へ絞り込みます。
監視・対応を任せる場合は、24時間365日対応のマネージドサービス「Vectra MXDR」があり、フルマネジメントと共同マネジメントを自社のSOC成熟度に応じて選べます。国内では代理店のマクニカが、セキュリティアナリストによる脅威分析・報告や検知アラートの監視代行を提供します。
国内の販売・サポート・MDRの主たる窓口はマクニカ株式会社で、日本語での対応を受けられます。公式が示す国内導入は三菱電機・遠鉄グループ・近鉄百貨店などで、金融機関での導入実績は公式には明示されていません。料金は公式・代理店ともに非公開で、要問い合わせです。
国内の監視代行から報告までの窓口がマクニカに集約されている点は、日本語での運用・報告体制を重視する金融機関にとって、任せた後の運用イメージを確かめやすい材料になります。
13. Trend Vision One(トレンドマイクロ株式会社)

トレンドマイクロ株式会社が提供する統合サイバーセキュリティプラットフォームで、エンドポイント・サーバー・クラウド・メール・ネットワークなど複数レイヤーのデータを単一コンソールで相関分析します。中核機能はXDR(拡張検知・対応)です。
監視・対応を任せる選択肢として、マネージド検知・対応(MDR)やインシデント対応サービスをメニューに揃え、24時間365日体制の総合サポートを提供します。検知から対応の支援に加え、侵害発生前に活用できるサービスやパープルチーミングも用意されています。
国内法人のトレンドマイクロ株式会社が日本語でのサポートを担います。導入事例は公表されているものの、金融機関での導入実績は公式には明示されていません。料金は2026年にクレジットベースの単一ライセンス「TrendAI Flex」へ一本化され、具体的な価格は非公開のため要問い合わせです。
国内法人が日本語で一貫してサポートし、同社のクラウドサービスは政府情報システム向けのISMAPにも登録されています。調達やガバナンスの基準と照らし合わせて検討したい金融機関には、確認しやすい材料といえます。
14. Cortex XDR(パロアルトネットワークス株式会社)

Cortex XDRは、予防(EPP=次世代アンチウイルス)と検知後の対応(EDR)を単一エージェントに統合し、エンドポイント・クラウド・ネットワーク・アイデンティティのデータを相関させて脅威を検知・調査・対応するXDRプラットフォームです。提供プランはPreventとProの2種類です。
製品自体はベンダーのプラットフォームですが、監視・運用まで任せたい場合は、ソフトバンク・SCSK・NRIセキュアなどの国内SIer・販社が「マネージドXDRサービス」として運用代行・導入支援を提供しています。運用の担い手やSLAは各社で個別に設定されます。
日本法人のパロアルトネットワークス株式会社が、日本語の公式サイトと専用フリーダイヤルでサポートを提供します。公式サイトでは国内導入社数の公表はなく、金融機関での導入実績は公式には明示されていません。料金はPrevent・Proとも非公開で、要問い合わせです。
運用はソフトバンクやNRIセキュアなどのSIerが代行し、SLAや報告体制は各社で個別に設定されます。金融機関としては、どのSIerのマネージドXDRで運用するかまで含めて比べると、実際の運用イメージがつかみやすくなります。
15. Arctic Wolf Aurora Protect(Arctic Wolf Networks, Inc.)

Arctic Wolfは、マネージド検知・対応(MDR)を本業とする米国企業で、Aurora Protectはそのプラットフォーム上のエンドポイントセキュリティ製品です。旧Cylance由来の予測型AI(Alpha AI for Endpoint)により、マルウェアを実行前の段階で遮断します。
監視・対応まで任せる場合は、上位の「Aurora Managed Endpoint Defense」で、同社のSOCが24時間365日の監視・アラートトリアージ・脅威ハンティングを担います。公式ページによれば、AIエージェントがAurora Endpoint Security利用者のアラートの96.5%を処理したとされています。
日本へは2025年2月に本格参入し、日本法人のアークティックウルフジャパン合同会社と代理店のテクマトリックスが提供を担います。国内提供は日が浅く、金融機関での導入実績は公式には明示されていません。料金は公式サイトで非公開のため、要問い合わせです。
MDRを本業とする一方で国内提供は日が浅いため、金融機関での対応経験や、日本語での運用・報告をどこまで受けられるかは、問い合わせの段階で確かめておきたい点です。
金融機関向けSOCサービスの費用の目安
ここでは、SOCサービスの費用がどのように決まるかを整理します。多くのサービスは金額を原則非公開とし、監視範囲と対象ログ量で大きく変動するため、要件に応じた個別見積もりとするのが実態です。ただし、金額そのものは伏せていても、料金の決まり方(課金単位)までは公表している事業者もあります。
たとえば一部の事業者は、初期費用0円に、ログ量を問わない定額と、監視対象のエンドポイント数に応じた課金を組み合わせた料金モデルを公式に示しています。金額は非公開でも、こうした課金単位が分かれば、自社の端末数や監視範囲から費用のあたりを付けやすくなります。
費用を大きく左右するのが監視時間です。平日日中帯のみの監視か、24時間365日の常時監視かで必要な体制が変わり、夜間・休日を含む常時監視を求めるほど費用は高くなる傾向があります。
次に、監視対象の範囲とログ量です。監視するネットワーク機器・サーバー・エンドポイントの数や、取り込むログの量が増えるほど、分析の負荷に応じて費用が上がります。対応範囲も要因で、検知・通知までか、一次対応や遠隔遮断まで含むか、封じ込め・復旧まで支援するかによって料金の設計が異なります。料金が一律で示されず個別見積もりになるのは、この監視範囲と対象ログ量で費用が大きく動くためです。
一方、共同利用型は複数の金融機関で監視基盤を分担する仕組みのため、自社単独で専用基盤を構築・運用する場合と比べて費用を抑えやすい設計です。削減率などの具体的な数値は公式には示されていませんが、費用を分担する構造そのものが特徴といえます。
見積もりを依頼するときは、課金単位(端末数・ログ量・監視対象数のどれで決まるか)、最低構成、対応範囲の3点を各社にそろえて確認するとよいでしょう。金額が非公開でも、この3つの軸をそろえれば、条件を合わせて費用を比較できます。
金融庁ガイドライン(2024年10月)への対応とSOCの位置づけ
金融機関がSOCサービスを検討する背景には、金融庁「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」(令和6年〔2024年〕10月4日・金融庁)があります。このガイドラインは、主要行等から中小・地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者等まで幅広い金融機関等を適用対象としており、銀行・信用金庫・保険・証券のいずれもその範囲に含まれます。
ここでは、ガイドラインのどこに監視・運用が関わるのかを確認します。
まず、ガイドラインは経営陣が整備すべき態勢の一つとして、SOCによる監視体制を名指しで挙げ、そのなかで外部リソースの活用も認めています。
経営陣は、サイバーセキュリティについて、組織体制の整備のほか、以下のようなサイバーセキュリティ管理態勢の整備を行うこと。
出典:金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン 2.1.1 基本方針、規程類の策定等【基本的な対応事項】③|金融庁
・ 情報共有機関等を通じた早期警戒のための情報収集・共有・分析体制
・ SOC等のサイバー攻撃に対する監視体制(外部のリソースの活用を含む)
・ サイバー攻撃を想定した危機管理態勢(サイバー攻撃を受けた際の報告及び広報体制、組織内 CSIRT(Computer Security Incident Response Team)等の緊急時対応及び早期警戒のための体制を含む) 等
この記述は、SOCによる監視体制の整備を経営陣に求めると同時に、括弧書きで「外部のリソースの活用を含む」と明記している点が重要です。つまり、監視体制を自社だけで整えるのではなく、外部のSOCサービスを活用して整えることも、ガイドライン上で正面から認められています。
監視の水準については、対応が望ましい事項として常時監視が示されています。
顧客サービスの提供内容を踏まえた常時監視(24 時間 365 日)を行うこと。
出典:金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン 2.4.1 監視【対応が望ましい事項】b|金融庁
この24時間365日の常時監視は、ガイドライン上は「対応が望ましい事項」として位置づけられており、すべての金融機関に一律で義務づけられた必須要件ではありません。ただし、顧客サービスの内容によっては求められる水準となるため、夜間・休日を含めて監視を途切れさせない体制をどう確保するかが論点になります。
自社だけで常時体制を組むのが難しい場合に、24時間365日の監視を提供するSOCサービスが選択肢となります。
監視・分析の外部委託についても、ガイドラインは選択肢として想定したうえで、委託する側が担うべき責任を示しています。
サイバー攻撃に対するリスク低減を図るために、サイバー攻撃の脅威に応じて、必要な監視・分析などの対策を講ずること。なお、これらの対策を外部委託している場合には、当該委託先で実施している対策の具体的な内容を把握するとともに、対策の講じられていない領域が判明した場合には、必要な措置をとること。
出典:金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン 2.4 サイバー攻撃の検知【基本的な対応事項】②|金融庁
監視・分析を外部委託する場合でも、委託先で実施している対策の具体的な内容を把握し、不足する領域があれば必要な措置をとることが求められています。SOCサービスを選ぶ際に、対応範囲やSLA、報告の内容を確認すべき理由はここにあります。委託は「任せきり」ではなく、委託先の対策を把握する責任は金融機関側に残ります。
インシデントが発生した後の対応と報告も、ガイドラインが求める事項です。
インシデント発生時は、法令等に従い、規制当局等に速やかに報告をすること。
出典:金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン 2.5.2.3 顧客対応、組織内外の連携、広報【基本的な対応事項】③|金融庁
監視による検知から、インシデント対応、そして規制当局への報告までが一連の流れとしてガイドラインに位置づけられています。SOCサービスが残す調査記録や報告が、この当局報告や経営層への説明に使える粒度かどうかは、金融機関にとって選定の実務的な判断材料になります。
監視・検知・対応・報告という一連の仕事を、自社の体制でどこまで担い、どこを外部に任せるかを、ガイドラインの求める水準と照らし合わせて設計することが出発点です。
まとめ
金融機関向けのSOC・監視運用サービスは、監視・分析・インシデント対応を外部に任せることで、人材難のなかでも規制が求める水準の監視体制を整える手段です。金融庁のガイドラインは、SOCによる監視体制の整備を経営陣に求めつつ、外部リソースの活用や監視・分析の外部委託を正面から認めています。
提供形態は、共同利用型・委託型・常駐や内製化支援型・クラウドMDR型に大きく分かれ、自社がどの形で任せたいかによって適したサービスが変わります。選ぶ際は、金融機関での導入実績、SLAと報告体制、既存製品を活かせるか、共同利用型の是非、内製との組み合わせ方といった観点で、自社の体制と課題に照らして比較することが欠かせません。
比較表と選定診断ツールもあわせて活用し、監視・運用を任せる相手を見極めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. SOCサービスとは何ですか?
A. SOCサービスとは、ネットワークやサーバーなどを監視してサイバー攻撃の検知・分析・対応を担う「SOC(Security Operations Center)」の機能を、外部の専門事業者が代行・支援するサービスです。監視、分析・トリアージ、インシデント対応の3段階を引き受けるもので、金融機関は自社だけで専門人材を抱え続けなくても監視・運用を回せます。
引き受ける範囲はサービスによって幅があり、検知と通知までのものから、封じ込め・復旧まで支援するものまで分かれます。
Q. SOCサービスとMDR・MSSは何が違いますか?
A. SOCサービスとMDR・MSSは重なり合う部分が多く、対応の踏み込みの深さで区別されます。MSS(Managed Security Service)はログやアラートの監視・通知を中心とする委託サービス、MDR(Managed Detection and Response)はEDRなどの検知製品とアナリストによる対応支援をセットにして、検知した脅威への対応まで踏み込む形態を指します。
SOCはこれらの監視・分析・対応を担う組織・機能そのものを指す言葉です。実際のサービスでは、監視中心のMSSから対応まで含むMDRまでを一つの体系で提供する事業者も多いため、名称よりもどこまでの対応範囲を引き受けるかで比べることが大切です。
Q. 金融機関にSOCサービスの導入は必須ですか?
A. 外部のSOCサービスを利用すること自体が一律に義務づけられているわけではありませんが、SOCによる監視体制の整備は金融庁のガイドラインで経営陣に求められています。同ガイドラインは、整備すべき監視体制について「外部のリソースの活用を含む」と明記しており、自社で内製するか外部のSOCサービスを使うかは各金融機関が選べます。
専門人材を自社だけで確保しきれない場合に、外部委託が現実的な選択肢になります。
Q. 金融機関のSOCは24時間365日の監視が必須ですか?
A. 24時間365日の常時監視は、金融庁のガイドライン上は「対応が望ましい事項」と位置づけられており、すべての金融機関に一律で義務づけられた必須要件ではありません。ただし顧客サービスの提供内容によっては求められる水準となるため、夜間・休日を含めて検知と初動を途切れさせない体制をどう確保するかが論点になります。
自社だけで常時体制を組むのが難しい場合に、24時間365日の監視を提供するSOCサービスが選択肢となります。
Q. SOCは内製と外部委託のどちらを選ぶべきですか?
A. どちらが良いと一概には決まらず、判断の軸は自社の人材状況・システムの複雑さ・求める対応範囲の3点です。自社システムへの深い理解とノウハウの社内蓄積を重視し、専門人材を交代制で抱えられるなら内製、短期間で24時間365日体制を立ち上げたい、あるいは人材を確保しきれないなら外部委託が向きます。
外部委託を選ぶ場合も、委託先の対策内容を把握する責任は金融機関側に残ります。全面委託・一部委託・内製との併用のどれが合うかは、自社にどこまでノウハウを残したいかから逆算して決めるとよいでしょう。
Q. 金融機関向けSOCサービスの費用の目安はどのくらいですか?
A. 金融機関向けSOCサービスの多くは料金を公開しておらず、要件に応じた個別見積もりとするのが実態のため、一律の相場は示しにくいのが実情です。費用は、監視時間(平日日中のみか24時間365日か)、監視対象の数とログ量、対応範囲(検知・通知までか、封じ込め・復旧まで支援するか)によって大きく変わります。
自社の監視対象・求める対応範囲・監視時間を整理したうえで複数社に見積もりを依頼すると、費用を比較しやすくなります。なお共同利用型は、複数の金融機関で監視基盤を分担する仕組みのため、単独で専用基盤を構築・運用する場合に比べてコストを抑えやすい特徴があります。
Q. 共同利用型のSOCサービスにはどんなメリットと注意点がありますか?
A. 共同利用型のSOCサービスのいちばんのメリットは、監視基盤を複数の金融機関で共有することで費用を分担でき、同業で蓄積された脅威の知見を自社の防御にも活かせることです。自社単独で専用基盤を持つのが重荷になる金融機関に向いています。注意したいのは、共有基盤ゆえに監視設計のカスタマイズや個社固有の要件への対応に制約が出うる点で、専用環境の委託型と見比べて確認しておくと安心です。
Q. すでに導入しているEDRやXDRを活かしてSOCサービスを使えますか?
A. 既存のEDRやXDR、ファイアウォール、SIEMなどのログを取り込んで監視できる委託型のSOCサービスであれば、現在の製品を活かしたまま監視を上乗せでき、入れ替えの負担を抑えられます。一方、セキュリティ製品のベンダー自身が提供するクラウドMDR型は、そのベンダーの製品を軸にした監視・対応に強みがあります。
自社の資産を活かしたいのか、特定ベンダーの製品に寄せて一体で運用したいのかで、適した形態が分かれます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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