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パブリッククラウドのセキュリティとは?責任共有モデル・主なリスクと対策、クラウド別の設定確認を解説

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AWS や Microsoft Azure、Google Cloud といったパブリッククラウドを使い始めると、「事業者が堅牢なデータセンターを運用しているのだから、セキュリティは任せておけば大丈夫」と考えたくなります。しかし、実際に報じられるクラウドの情報漏えいには、クラウドそのものの欠陥ではなく、利用する企業側の設定ミスや権限管理の不備が原因となるものが少なくありません。

パブリッククラウドのセキュリティは、事業者と利用者が責任を分担する「責任共有モデル」の上に成り立っています。事業者が守る範囲と、自社が自分で守らなければならない範囲があり、後者を放置すると、たとえ事業者が万全でも事故は起こります。まず押さえるべきは、この線引きです。

本記事では、責任共有モデルで自社が守る範囲を整理したうえで、パブリッククラウドの主なセキュリティリスクとよくある事故、取るべき具体的な対策、AWS・Azure・Google Cloud それぞれの設定確認ポイントを解説します。

あわせて、設定ミスを人手だけで見きれないときの手立てとして、継続的に検査する仕組みや脆弱性診断サービスも紹介します。自社が明日から何を確認すればよいかを判断する材料としてご活用ください。

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責任共有モデル|事業者と自社の責任の線引き

パブリッククラウドのセキュリティを考える出発点が、責任共有モデルです。クラウド事業者は、データセンターの物理的な保護やハードウェア、仮想化基盤といった「クラウドを動かす側」のセキュリティを担います。一方で、その上に置くデータ・アカウント・各種設定は、利用者である自社が守る範囲です。

自社が守る範囲は、クラウドの提供形態(IaaS・PaaS・SaaS)によって変わります。サーバーに近いIaaSほど利用者の担当が広く、SaaSに近づくほど事業者の担当が増えます。各クラウドが公開している責任共有モデルをもとに整理すると、おおむね次のように分かれます(代表例としてMicrosoft Azureの区分を用いています)。

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提供形態別の責任分担データID・アカウント/アクセス管理構成・設定アプリケーションネットワーク制御OS物理ホスト・ネットワーク・データセンター
IaaS利用者利用者利用者利用者利用者利用者事業者
PaaS利用者利用者利用者共有共有事業者事業者
SaaS利用者利用者利用者共有事業者事業者事業者

※Microsoft Azure の責任共有モデル(責任マトリックス)をもとに作成。担い手の呼称・区分はクラウドや契約により異なるため、詳細は各クラウドの公式情報をご確認ください。

表からわかるとおり、提供形態が変わっても、データ・ID(アカウント)・設定といった中核は、常に利用者の責任です。Microsoft は、提供形態によらず利用者が負う責任を次のように示しています。

デプロイの種類に関係なく、常に次の責任を負います。
・データ – データの分類、データ保護、暗号化の決定、データ ガバナンス要件への準拠など、データに対する責任を負います。
・エンドポイント – モバイル デバイス、ノート PC、デスクトップなど、クラウド サービスにアクセスするクライアント デバイスとエンドポイントを保護する責任があります。
・アカウント – ユーザー アクセスの作成、管理、削除など、ユーザー アカウントの管理を担当します。
・アクセス管理 – ロールベースのアクセス制御 (RBAC)、多要素認証、条件付きアクセス ポリシーなど、アクセス制御の実装と管理を担当します。

出典:クラウドでの共同責任|Microsoft Learn

AWS も同じ考え方を「クラウドのセキュリティ(AWSが担う)」と「クラウドにおけるセキュリティ(利用者が担う)」という形で区別しています。AWS が運用するのはハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク・施設で、利用者はゲストOSやアプリケーション、セキュリティグループ(ファイアウォール)の設定に責任を負います。

Amazon S3 のような抽象化されたサービスでも、データの管理(暗号化を含む)とIAM(認証・アクセス管理)での権限設定は利用者の責任です。

Google Cloud も責任共有モデルを定義しています。IaaSでは責任の大半が利用者にあり、PaaSではIAMとアプリケーションの制御を事業者と共有しつつ、データとクライアントの保護は利用者が担います。SaaSでも、利用者はアクセス制御と預けたデータに責任を負います。

Google はこれに加えて「運命共有(shared fate)」という考え方も示し、事業者が安全な初期設定やガードレールを用意して利用者を支援するとしています。こうした支援は活用しつつも、設定の最終的な責任は自社に残ると捉えておくことが大切です。

出典・参考資料(2件)

パブリッククラウドの主なセキュリティリスクとよくある事故

ここからは、利用者の責任範囲で実際に何が起きるのかを整理します。パブリッククラウドの事故は、高度な攻撃よりも、設定や権限管理の不備から生まれるものが目立ちます。

最も多いのが、ストレージや権限の設定ミスによる情報の公開です。本来は社内限定のはずのデータが、公開設定のまま放置されて誰でも閲覧できる状態になる、という形で起こります。次に、認証情報(アクセスキーやパスワード)の漏えいによるアカウントの乗っ取りがあります。乗っ取られると、データの持ち出しだけでなく、不正なプログラムの実行やシステムの停止にまで被害が広がります。

さらに、必要以上の権限を付与したアカウントが悪用されるリスクや、操作ログを取得・監視していないために異常や不正な設定変更に気づけないリスクもあります。いずれも、クラウドの機能の問題ではなく、利用者側の運用で防げる種類の事故です。

総務省は「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」で、設定ミスが増えている背景と、そのリスクを次のように説明しています。

クラウドサービスが普及し、重要な社会インフラになるとともに、その設定ミスによる情報漏洩等のトラブルが増えています。
(中略)
クラウドの設定ミスによるリスクで代表的なものは、情報漏洩が起きることです。特に、個人情報や機密情報が漏洩するとより深刻な事態になります。
さらに、管理者のIDやパスワードが漏洩すれば、システムが乗っ取られたり、システムが停止したりするなど、あらゆる脅威の発生が考えられます。

出典:クラウドの設定ミス対策ガイドブック|総務省

情報処理推進機構(IPA)が公表する「情報セキュリティ10大脅威 2024」でも、「不注意による情報漏えい等の被害」が組織向けの脅威で6位に入っており、設定ミスや確認漏れといった運用上のミスが、依然として大きなリスクであることがうかがえます。

総務省のガイドブックは、設定ミスを、誤った値を設定する「誤設定」、何も設定せず初期状態のまま不都合な値が有効になっている「未設定」、環境の変化に合わせて設定を変えるべきなのに変えていない「未変更」の3つに整理しています。初期設定のまま公開範囲を見直していない、という「未設定」「未変更」が、事故につながりやすいパターンです。

出典・参考資料(2件)

代表的なインシデント事例

実際の事故は、いくつかの典型的な型に分かれます。「何をすると漏れるのか」を自社に照らして確認するために、代表的なものを押さえておきます。

  • ストレージの公開設定の不備:顧客情報や社内資料を保管したクラウドストレージを「全員に公開」の設定のまま運用し、URLを知る第三者が中身を閲覧・ダウンロードできる状態が続く。個人情報を含むと漏えい件数が大規模になりやすい。
  • アクセスキー(認証情報)の窃取:クラウドにアクセスするためのキーをソースコードに書き込んだまま公開リポジトリに上げてしまい、第三者がそのキーで仮想サーバーを無断利用したりデータを持ち出したりする。
  • 管理コンソールの設定不備:クラウドの管理画面や管理用ポートへのアクセスを社内や特定のIPに限定しておらず、推測されたパスワードやフィッシングで管理者権限を奪われ、設定を書き換えられる。

いずれも、次の章で解説する対策で発生を抑えられます。自社の環境に当てはめながら読み進めてください。

自社が取るべきセキュリティ対策

ここからは、前章のリスクに対応する具体的な対策を整理します。抽象的な心構えではなく、「どのリスクに対して何を確認すればよいか」という形で押さえると、自社の状況に当てはめやすくなります。

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リスクと対策の対応ストレージ・権限の設定ミスによる公開認証情報の漏えい・アカウント乗っ取り過剰な権限・アクセス管理の不備異常や不正な設定変更に気づけない
対応する対策ストレージの公開設定をブロックし、最小権限(必要な権限だけを付与)を徹底する多要素認証(MFA)を必須にし、長期のアクセスキーより一時的な認証情報を使うアクセス制御(場所・端末・時間)と、保存・通信データの暗号化を行う操作ログを記録・監視し、変更を追えるようにする
確認することストレージの公開設定、IAMで過剰な権限が付いていないか管理者・特権アカウントのMFA、未使用の認証情報の棚卸し管理ポートの公開範囲、暗号化の設定各クラウドのログ記録・監視が有効になっているか

※上記は代表的なリスクと対策の対応です。実際に必要な対策は自社の利用状況により異なります。

これらの対策の多くは、各クラウドが公式に推奨している内容です。たとえばAWSは、IAMのベストプラクティスとして、多要素認証の要求、最小権限の付与、未使用のユーザー・権限・認証情報の定期的な見直しと削除を挙げています。

認証情報の管理では、長期間有効なアクセスキーをソースコードや設定ファイルに書き込まない、という原則が重要です。アクセスキーの代わりに、必要なときだけ発行される一時的な認証情報を使う仕組みに切り替えると、漏えい時の被害を抑えられます。

対策の軸になる多要素認証(MFA)は、SMSコード・認証アプリ・パスキーなど方式によって安全性も使い勝手も変わります。二段階認証との違いや認証の3要素から整理して、自社に合う方式を選びたい場合は、次の記事が参考になります。

チェック項目を一から作る必要はありません。クラウドごとに推奨設定を具体的な項目として定めたCIS Benchmarksや、クラウドサービス向けの情報セキュリティ管理策をまとめたISO/IEC 27017といった標準があり、これらを土台にすると確認の漏れを防ぎやすくなります。

出典・参考資料(3件)

クラウド別の最低限の設定確認ポイント

対策の考え方は共通ですが、実際の設定箇所や機能の名称はクラウドごとに異なります。ここでは、AWS・Azure・Google Cloud それぞれで最低限確認しておきたいポイントを、自分の使うクラウドに合わせて見られるよう整理します。共通して確認するのは、認証・アクセス管理(ID)、ストレージの公開設定、ログの記録・監視の3点です。

AWS・Azure・Google Cloud それぞれの設定確認ポイントを、認証・アクセス管理(ID)、ストレージの公開設定、ログの記録・監視の3観点で整理した一覧図。AWSはIAM・S3ブロックパブリックアクセス・CloudTrail、AzureはMicrosoft Entra ID・Blob Storageの匿名アクセス無効化・Azure Monitor、Google CloudはCloud IdentityとIAM・Cloud Storageの公開アクセスの防止・Cloud Logging。

AWS の設定確認ポイント

AWSでは、認証・アクセス管理をIAMで行います。ルートユーザーと管理者ユーザーには多要素認証を設定し、各ユーザー・ロールには最小権限だけを割り当てるのが基本です。前述のとおり、長期のアクセスキーに頼らず、一時的な認証情報を使う運用が推奨されています。

ストレージで確認しておきたいのが、Amazon S3の公開設定です。S3には「ブロックパブリックアクセス」という機能があり、バケットやオブジェクトが誤って公開されるのを防げます。AWSは、アカウント単位でこの4つの設定をすべて有効にすることを推奨しています。

To help ensure that all of your Amazon S3 access points, buckets, and objects have their public access blocked, we recommend that you turn on all four settings for block public access for your account.

出典:Blocking public access to your Amazon S3 storage|Amazon S3 User Guide

ログについては、アカウント内の操作履歴を記録するAWS CloudTrailを有効にし、不審な操作を追跡できる状態にしておくことが重要です。

出典・参考資料(2件)

Azure の設定確認ポイント

Azureでは、認証・アクセス管理を「Microsoft Entra ID」で行います。多要素認証や条件付きアクセスを有効にし、ロールベースのアクセス制御(RBAC)で権限を必要な範囲に絞ることが基本です。

ストレージで確認しておきたいのが、Azure Blob Storageの匿名アクセスです。Microsoftは、匿名での読み取りアクセスはセキュリティリスクになり得るため、無効にすることを推奨しています。ストレージアカウントの「AllowBlobPublicAccess」を「False」に設定すると、アカウント全体の匿名アクセスを止められます。

ログについては、Azure Monitor やストレージのログを使い、匿名要求や不審なアクセスを監視できる状態にしておくとよいでしょう。

出典・参考資料(1件)

Google Cloud の設定確認ポイント

Google Cloudでは、認証・アクセス管理を「Cloud Identity」とIAMで行います。多要素認証を有効にし、IAMで最小権限を割り当てる考え方はAWS・Azureと同じです。

ストレージで確認するのが、Cloud Storageの公開設定です。Cloud Storageには「公開アクセスの防止(public access prevention)」という設定があり、Googleはこれを次のように説明しています。

Public access prevention protects Cloud Storage buckets and objects from being accidentally exposed to the public.

出典:Public access prevention|Cloud Storage documentation

この設定を有効にすれば、誤ってバケットやオブジェクトを一般公開してしまう事故を防げます。あわせて、IAMで付与された公開範囲が広すぎないかも確認しておきたいところです。

ログは、Cloud Logging で操作ログや監査ログを記録し、設定変更やアクセスを追えるようにしておきます。

出典・参考資料(2件)

運用の出発点|定期点検・文書化・権限の棚卸し

クラウド別の設定を一度確認したら終わり、ではありません。継続的にセキュリティを保つための運用の出発点として、まずは次の3点から始めるのが現実的です。

1つ目は、定期的な点検です。クラウドの環境は変化し続けるため、設定は一度決めたら終わりにできません。総務省のガイドブックも、人のミスをゼロにするのは難しいとしたうえで、点検の重要性を次のように述べています。

人間のミスを0にすることは困難なので、設定をチェックすることが重要です。それも複数の目で行うことが望ましいです。
(中略)
クラウドの環境は常に変化しているので、一度設定したら終わりではありません。環境の変化に対応するためには、定期的・継続的なチェックも必要です。

出典:クラウドの設定ミス対策ガイドブック|総務省

担当者によるセルフチェックだけでなく、別の人が確認するダブルチェックの体制にできると、見落としを減らせます。

2つ目は、設定値や確認手順の文書化です。確認すべき項目と基準を書き出しておくと、担当者が変わっても同じ水準で点検を続けられます。3つ目は、権限の棚卸しです。使われていないアカウントや過剰な権限は、定期的に見直して削除することが大切です。

これらの運用を体系立てて進めたい場合は、クラウドの推奨設定を具体的な項目として定めたCIS Benchmarksや、クラウドサービス向けの情報セキュリティ管理策をまとめたISO/IEC 27017といった標準が土台になります。

出典・参考資料(3件)

設定ミスを継続的に検査する手立て(CSPM・脆弱性診断)

ここまでの設定確認と定期点検を人手だけで続けるのは、環境が変わり続けるなかでは限界があります。総務省のガイドブックも、人によるチェックに加えて、機械によるチェックを組み合わせることを勧めています。

なお、チェックを複数にした結果、1 つ1つのチェックがおろそかになっては意味がありません。人によるチェックだけでなく、機械によるチェックを組み合わせるのも手です。

出典:クラウドの設定ミス対策ガイドブック|総務省

この「機械によるチェック」にあたるのが、クラウドの設定を継続的に検査する仕組みです。クラウドの設定不備を自動で検査する仕組みはCSPM(Cloud Security Posture Management)と呼ばれ、ストレージの公開設定や過剰な権限などを定期的に洗い出します。あわせて、クラウド上で動くアプリケーションの脆弱性診断や、認証・アクセスの強化も、設定ミスや乗っ取りへの備えになります。

CSPMと脆弱性診断は、見るところが違います。CSPMは「設定が正しいか」(公開設定・権限・暗号化の有無など)を検査します。一方、脆弱性診断はOS・ミドルウェア・ライブラリや自社アプリに残る「既知の弱点」(修正プログラム未適用の欠陥など)を洗い出します。

設定ミスと既知の弱点は別の問題なので、片方だけでは穴が残ります。まず設定をCSPMで継続的に正し、動かしているアプリやサーバーは脆弱性診断で定期的に点検する、という二本立てが実務の基本です。

CSPMが検査するのは、AWS・Azure・Google Cloudといったクラウド基盤の設定です。Microsoft 365やSalesforceなど、SaaS側の設定不備を同じように継続検査する仕組みはSSPMと呼ばれます。自社でSaaSの利用が多く、そちらの設定も気になる場合は、CSPMやCASB(クラウド利用を可視化・制御する仕組み)との違いや製品の選び方を次の記事で整理しています。

自社だけで継続的な検査の体制を組むのが難しい場合は、こうした機能を提供するサービスの活用も選択肢になります。ここでは、設定ミスの継続検査(CSPM)・脆弱性診断と、認証・アクセスの強化という切り口で、代表的なサービスを紹介します。

出典・参考資料(1件)
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対策サービスの比較Aikido SecurityCloudGate UNO
主な役割設定ミスの継続検査(CSPM)+脆弱性診断認証・アクセスの強化(IDaaS)
主な検査・対策領域クラウド設定(CSPM)
ソースコード(SAST)・依存ライブラリ(SCA)
Webアプリ(DAST)・コンテナ
シングルサインオン(SSO)
多要素認証・パスキー(FIDO2)
アクセス制限(端末・場所・時間)
対応クラウドAWS・Azure・Google Cloud
(設定を検査)
各クラウドの管理コンソール
Google Workspace・Microsoft 365 等(SSO・多要素認証で保護)
提供形態SaaS(自動スキャン型)SaaS(クラウド型IDaaS)
無料トライアルありあり(30日間)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る

※各社公式情報・掲載ページによる(2026年11月時点)。最新の仕様・料金は各社情報をご確認ください。

Aikido Security(株式会社AndGo)

Aikido Securityのウェブサイト

Aikido Security は、ソースコード・依存ライブラリ・クラウド設定・コンテナ・稼働中のWebアプリを1つの管理画面でまとめて検査するSaaSです。日本では株式会社AndGoが販売・問い合わせの窓口を務めています。クラウドの設定不備を継続的に検査するCSPMの機能を含み、設定ミスの早期発見に役立ちます。

CSPMはAWS・Azure・Google Cloudに対応しており、公開状態のストレージや過剰な権限といった設定の問題を洗い出せます。加えて、アプリケーションの動的診断(DAST)やソースコードの静的診断(SAST)、オープンソースの依存関係チェックにも対応し、検知したアラートを自動で振り分けて誤検知を減らす仕組みを備えています。日本円での請求書払いに対応し、無料トライアルも用意されています。

CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

CloudGate UNOのウェブサイト

CloudGate UNO は、株式会社インターナショナルシステムリサーチが自社開発するクラウド型のID基盤(IDaaS)です。責任共有モデルで常に利用者の責任となる「ID・アカウント」「アクセス管理」を強化する手立てで、アカウント乗っ取りや不正アクセスへの備えにあたります。シングルサインオンに、多要素認証やアクセス制限を組み合わせて提供します。

AWS・Azure・Google Cloud の管理コンソールへのログインにも多要素認証やアクセス制限をかけられるため、前述の管理コンソールの乗っ取り対策にもつながります。

認証面では、パスキー(FIDO2)によるパスワードレス認証に対応し、フィッシングに強い認証環境を全プランで利用できます。アクセス制限は「端末・場所・時間」の3つの軸で設定でき、私用端末からのアクセス禁止や時間帯による制御も可能です。管理画面からセキュリティ設定のリスクを3段階で可視化する機能も備え、設定の抜け漏れに気づきやすくしています。30日間の無料トライアルが用意されています。

同社は、この可視化機能を開発する背景にある不正アクセスの実態を、次のように説明しています。

平澤氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部マーケティング部
平澤氏
独自インタビューより

昨今の不正アクセスの多くは、設定ミスや確認漏れが原因です。多忙なシステム管理者がリスクを即座に把握し、今どのリスクを修正すべきかという具体的な判断を下すための指針を、赤・黄・青の三段階で可視化します。

ここで取り上げたのは、クラウドの設定ミス検査と認証強化という2つの切り口のサービスです。端末・ネットワーク・データなど、守る対象ごとに社内セキュリティソリューション全体を見渡して検討したい場合は、次の記事で代表的なサービスとタイプ別の選び方を比較しています。

まとめ

パブリッククラウドのセキュリティは、事業者に任せきりにするものではなく、責任共有モデルのもとで自社が守る範囲を押さえることから始まります。データ・ID(アカウント)・設定は、提供形態がIaaSでもSaaSでも常に利用者の責任です。

その範囲で起きるリスクは、設定ミスによる公開・認証情報の漏えい・アクセス管理の不備・ログの欠如に整理でき、それぞれに具体的な対策があります。

AWS・Azure・Google Cloudごとに設定箇所を確認し、人手で見きれない部分は設定ミスを継続検査する仕組みや脆弱性診断、認証の強化で補うことで、事故の発生を抑えられます。まずは自社のストレージの公開設定と管理者アカウントの多要素認証から確認してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. パブリッククラウドのセキュリティとは何ですか?

A. パブリッククラウドのセキュリティとは、AWS や Microsoft Azure、Google Cloud といった共用のクラウド基盤を安全に使うために、事業者と利用者が責任を分担して講じる対策の総称です。事業者はデータセンターやハードウェア、仮想化基盤など「クラウドを動かす側」を守り、利用者はその上に置くデータ・アカウント・各種設定を守る、という「責任共有モデル」が前提になります。

事業者の基盤が堅牢でも、利用者側の設定や権限管理に不備があれば情報漏えいは起こります。パブリッククラウドのセキュリティを考えるときは、まず自社が守る範囲を把握することが出発点になります。

Q. パブリッククラウドの責任共有モデルで、自社が守る範囲はどこですか?

A. パブリッククラウドでは、データ・ID(アカウント)・各種設定の3つが、提供形態が IaaS でも SaaS でも常に利用者(自社)の責任です。事業者が担うのは物理設備・ハードウェア・仮想化基盤などで、サーバーに近い IaaS ほど利用者の担当範囲が広く、SaaS に近づくほど事業者の担当が増えます。

Microsoft も、デプロイの種類に関係なく、データ・エンドポイント・アカウント・アクセス管理は常に利用者の責任になると示しています。どの形態を使う場合でも、アカウントの管理とアクセス制御、預けたデータの保護は自社で行う前提で考えると、守るべき範囲を見誤りません。

出典・参考資料(2件)

Q. パブリッククラウドの設定ミスを防ぐために最優先すべきことは何ですか?

A. 設定ミス対策としてまず着手すべきは、ストレージの公開設定をブロックすることと、管理者・特権アカウントへの多要素認証(MFA)の徹底です。パブリッククラウドの情報漏えいは、ストレージの公開設定不備と、認証情報の漏えいによるアカウント乗っ取りから起きるものが大半だからです。

総務省は、設定ミスの多くが初期設定のまま見直していない「未設定」「未変更」から生じると整理しており、人のミスをゼロにするのは困難なため機械によるチェックの併用も勧めています。まずは自社のストレージ公開設定と管理者アカウントの MFA を確認し、そのうえで最小権限の徹底や継続的な検査へ広げていくのが現実的です。

出典・参考資料(1件)

Q. CSPM と脆弱性診断は何が違いますか?

A. 両者の違いは、CSPM がクラウドの「設定の不備」を継続的に検査するのに対し、脆弱性診断はアプリケーションやシステムに潜む「欠陥(脆弱性)」を検査する点です。守る対象と見つけるものが異なるため、どちらか一方ではなく組み合わせて使うのが基本です。

CSPM(Cloud Security Posture Management)は、ストレージの公開設定や過剰な権限といったクラウドの設定の問題を自動で洗い出す仕組みで、責任共有モデルで利用者の責任となる「設定」の抜け漏れを継続的に見張ります。

一方、脆弱性診断はクラウド上で動く Web アプリやソフトウェアのセキュリティ上の欠陥を検査するもので、設定が正しくてもアプリ側に残る弱点を見つけます。近年は、両方の機能を1つのサービスにまとめて提供する製品もあります。

Q. パブリッククラウドは安全ですか?

A. パブリッククラウドの基盤そのものは事業者が堅牢に守っていますが、安全かどうかは利用者側の設定と運用しだいで決まります。「事業者に任せておけば大丈夫」という前提は誤りで、実際に報じられる情報漏えいの多くはクラウドの欠陥ではなく、利用者側の設定ミスや権限管理の不備が原因です。

IPA の「情報セキュリティ10大脅威 2024」でも「不注意による情報漏えい等の被害」が組織向けの脅威に挙がっており、設定ミスや確認漏れが依然として大きなリスクであることがうかがえます。責任共有モデルで自社が守る範囲を押さえ、本記事で解説した設定確認と継続的な検査を行えば、パブリッククラウドを安全に使う土台を整えられます。

出典・参考資料(1件)

Q. セキュリティの専任者がいない中小企業でも、パブリッククラウドの対策はできますか?

A. 専任のセキュリティ担当がいなくても、ストレージの公開設定と管理者アカウントの多要素認証という最低限の確認から着手でき、人手で見きれない部分は外部サービスで補えます。すべてを一度に完璧にする必要はなく、優先度の高い項目から始めるのが現実的です。

クラウドの環境は日々変化し、設定も増え続けるため、継続的な検査を自社だけで組むのは負担が大きくなります。設定ミスを自動で検査する CSPM や脆弱性診断、認証・アクセスを強化する ID 基盤(IDaaS)といったサービスを活用すると、限られた人員でも抜け漏れを抑えやすくなります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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