掛け取引で商品やサービスを提供すると、その代金は「売掛金」として、実際に入金されるまで手元に残ります。毎月の入金確認や消込に手作業で追われ、金額が合わずに手が止まる、どの取引先がいくら未回収か把握しきれない、といった場面は少なくありません。
売掛金管理は、計上・請求・入金確認・入金消込・残高や滞留の把握・督促という一連の流れでできています。それぞれの工程で何をするかを押さえておくと、月末に慌てず、回収の遅れにも早く気づけます。
本記事では、売掛金管理とは何かと毎月の業務フロー全体をまず整理したうえで、手間のかかる入金消込のやり方、売掛金管理表による残高・滞留の見方、回収が遅れたときの督促の段取りまでを、具体例と条文にもとづいて順に解説します。あわせて、Excelで続けるかシステムに移すかの判断材料も整理します。自社の売掛金管理を見直す手がかりとしてご活用ください。
目次
一括ダウンロードする
売掛金管理とは?毎月の業務フロー全体
ここからは、売掛金管理とは何か、そしてなぜ必要かをおさえたうえで、毎月の業務フロー全体を順を追って見ていきます。まず全体像を掴むと、後半の入金消込や督促が「どの工程の話か」を迷わず読めます。
売掛金管理とは・なぜ必要か
売掛金管理とは、掛け取引で生じた未回収の代金(売掛金)を、売上として計上した時点から入金による回収が完了するまで、抜け漏れなく管理する業務です。取引ごとに「いつ・どの取引先に・いくら請求し・いつ入金される予定か」を記録し、実際の入金と突き合わせて残高を正しく保ちます。
管理が必要な理由は大きく2つあります。1つは資金繰りです。売掛金は「入金されるまで手元にないお金」であり、回収予定を把握できていないと、支払いに必要な資金がいつ入るのかが読めません。もう1つは貸倒れの防止です。滞留している売掛金に早く気づいて手を打てば、回収不能になる前に対応できます。
売掛金管理の業務フロー全体
売掛金管理は、次の流れで毎月繰り返します。自社の業務がいまどの工程にあるかを確かめながら読み進めてください。

- 売上計上:商品の出荷やサービスの提供が完了し、売上として認識できる状態になった時点で、売掛金を計上します。
- 請求書の発行・送付:締め日ごとに取引先別の請求額を確定し、請求書を発行して送付します。
- 入金確認:入金予定日に、通帳やネットバンキングの入出金明細で実際の入金を確認します。
- 入金消込:確認した入金を、どの請求に対するものかを特定して消し込み、売掛金の残高を減らします。
- 残高・滞留の把握:消込後に残った売掛金を取引先別・経過月数別に確認し、滞留していないかを点検します。
- 督促:入金予定日を過ぎても入金がない売掛金について、取引先へ連絡し、状況に応じて督促を進めます。
このうち、手間がかかりミスも起きやすいのが「入金確認」と「入金消込」です。次の章から、この2工程を中心に具体的なやり方を見ていきます。
売掛金と混同しやすい勘定科目との違い
売掛金は「本業の営業取引で生じた未回収の代金」を指します。似た場面で使う勘定科目と取り違えると、残高が合わなくなるため、初めに区別しておきます。
- 未収入金(未収金):本業以外の取引で生じた未回収の代金です。たとえば不要になった固定資産を売却した際の未回収代金が該当します。
- 未収収益:継続的な役務提供の契約で、すでに提供した分の対価のうち、支払期日が到来していないものです。
- 前受金:商品やサービスを提供する前に、代金の一部または全部を先に受け取ったものです。売掛金とは逆に、負債として扱います。
入金消込のやり方|手作業の実際
ここからは、売掛金管理で最も手間がかかる入金消込を、実際の作業に落とせるように具体例で解説します。「システムなら自動でできる」で終わらせず、手作業では何につまずくのかを先に押さえておきます。
入金消込とは・何を突き合わせるか
入金消込とは、通帳やネットバンキングで確認した入金を、どの請求に対するものかを特定し、その分の売掛金を帳簿から消す作業です。突き合わせるのは「請求のデータ(取引先・請求額・入金予定日)」と「実際の入金(振込人名義・入金額・入金日)」の2つで、両者が一致すればその請求は回収済みとして消し込みます。
単純に見えますが、実務では両者がそのまま一致しないことが多く、そこで手が止まります。代表的なのが、振込人名義のずれ、振込手数料による差額、一部入金やまとめ入金です。順に処理の考え方を見ていきます。
振込名義のずれ・振込手数料の差額の処理
1つ目は振込人名義のずれです。請求先の会社名と、実際に振り込まれた名義が違うことはよくあります。担当者個人名、親会社名、屋号などで振り込まれるケースです。この場合は、請求先ごとに「この名義で振り込まれる」という対応表をあらかじめ作っておくと、毎月の特定が速くなります。
2つ目は振込手数料による差額です。振込手数料を取引先が差し引いて振り込むと、請求額より入金額が少なくなります。たとえば請求額200,000円に対して入金が199,780円だった場合、差額の220円は取引先が差し引いた振込手数料と考えられます。
この差額を自社が負担する取り決めであれば、220円を「支払手数料」または「売上値引」として処理し、その請求は消込済みとします。差額を残したままにすると、いつまでも売掛金が消えず、残高が合わなくなります。
請求200,000円に対し199,780円が入金され、差額220円を自社負担(支払手数料)で処理する場合の仕訳は、次のようになります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 199,780円 | 売掛金 | 200,000円 |
| 支払手数料 | 220円 |
差額を取引先の負担とする取り決めであれば、不足分は未回収の売掛金として残し、次回以降に請求します。どちらの扱いにするかは、取引条件をあらかじめ決めておくことが大切です。
一部入金・複数請求まとめ入金・相殺の処理
3つ目は、請求額の一部だけが入金される「一部入金」です。たとえば請求額300,000円に対して150,000円だけ入金された場合、入金された150,000円分を消し込み、残りの150,000円は未回収の売掛金として残します。残額の入金予定を取引先に確認し、いつ回収できるかを管理表に記録しておきます。
仕訳では「借方 普通預金150,000/貸方 売掛金150,000」と入金分だけを消し込み、残る150,000円は売掛金として帳簿に残す形です。
4つ目は、複数の請求がまとめて1回で振り込まれる「まとめ入金」です。たとえば同じ取引先への3件の請求(各100,000円)が、合計300,000円として1本で振り込まれることがあります。この場合は、入金額がどの請求の合計と一致するかを特定し、3件それぞれを消し込みます。金額がぴったり合わないときは、一部の請求だけが含まれている、値引きや相殺が入っている、といった可能性を1件ずつ確認します。
5つ目は、取引先が仕入先でもあり、売掛金と買掛金を相殺したうえで差額だけが入金される「相殺」です。相殺の場合、入金額は請求額より少なくなりますが、差額は未回収ではなく、買掛金との相殺で解消されています。たとえば売掛金200,000円のうち、同じ取引先への買掛金80,000円と相殺し、残り120,000円が入金された場合の仕訳は、次のようになります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 80,000円 | 売掛金 | 200,000円 |
| 普通預金 | 120,000円 |
相殺の合意があるかを取引先ごとに確認しておかないと、差額を未回収と誤認して督促してしまうおそれがあります。相殺の有無と金額は、消込の前に取引条件で押さえておきます。
これらの突き合わせを、通帳とExcelを見比べながら1件ずつ手作業で行うと、件数が増えるほど時間がかかり、消込漏れも起きやすくなります。後半では、この作業を効率化する方法も取り上げます。
売掛金管理表の作り方と残高・滞留(売上債権年齢)の見方
ここからは、売掛金の残高と滞留を「見える化」する売掛金管理表の作り方を解説します。項目をそろえて記録しておくと、どの取引先の入金がいつから遅れているかを一目で把握できます。
売掛金管理表(元帳)に持たせる項目一覧
売掛金管理表(売掛金元帳)は、取引先ごとに売掛金の発生と回収を記録する台帳です。次の項目をそろえておくと、残高の計算と滞留の確認がしやすくなります。Excelで作る場合も、この列構成をそのまま使えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取引先名 | 請求先の会社名。名義がずれる場合は振込名義も併記 |
| 売上計上日 | 売掛金を計上した日 |
| 請求書番号 | 発行した請求書の管理番号 |
| 請求額 | 締め日ごとに確定した請求金額 |
| 入金予定日 | 締め日と入金サイトから算出した回収予定日 |
| 入金日 | 実際に入金された日 |
| 入金額 | 実際に入金された金額 |
| 残高 | 請求額から入金額を差し引いた未回収額 |
実際に記入すると、次のようなイメージになります。
| 取引先 | 売上計上日 | 請求額 | 入金予定日 | 入金日 | 入金額 | 残高 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A商事 | 4/30 | 200,000円 | 5/31 | 5/31 | 199,780円 | 0円 |
| B工業 | 4/30 | 300,000円 | 5/31 | 5/31 | 150,000円 | 150,000円 |
| C社 | 4/30 | 120,000円 | 5/31 | — | — | 120,000円 |
入金があるたびに入金日・入金額を記録し、残高を更新します。残高が0円になればその請求は回収完了、残高が残っていれば未回収として次の督促・確認の対象になります。
売上債権年齢(年齢調べ)で滞留を把握する
残高を取引先別に見るだけでなく、「その売掛金が発生してからどれくらい経っているか」で分類すると、滞留に早く気づけます。これを売上債権年齢表(エイジングリスト、年齢調べ)と呼びます。未回収の売掛金を経過月数ごとに区分し、取引先別に金額を並べる表です。
- 1か月未満:通常の回収サイクルの範囲内。特段の対応は不要
- 1〜3か月:入金予定日を過ぎている。入金確認と督促の連絡を始める
- 3〜6か月:滞留が長期化。督促状など書面での対応を検討する
- 6か月以上:回収不能のおそれが高い。法的手段や貸倒れの検討対象になる
これを取引先ごとに一覧にすると、次のような売上債権年齢表になります。滞留している売掛金が、どの取引先で・どれくらい経過しているかが一目で分かります。
| 取引先 | 1か月未満 | 1〜3か月 | 3〜6か月 | 6か月以上 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| B工業 | — | 150,000円 | — | — | 150,000円 |
| C社 | — | 120,000円 | — | — | 120,000円 |
| D商店 | — | — | — | 80,000円 | 80,000円 |
経過月数の区分は、自社の取引条件に合わせて調整してかまいません。大切なのは、残高を「金額」だけでなく「どれだけ経過したか」で見ることです。滞留が長い売掛金ほど回収の難易度が上がるため、早い段階で手を打つほど回収できる可能性が高まります。
売上債権年齢で「6か月以上」に区分される滞留は、回収不能=貸倒れに至るおそれがあります。貸倒れとして損失に計上するための要件や、そもそも貸倒れを防ぐための手立ては、次の記事で詳しく解説しています。
一括ダウンロードする
売掛金が回収できないときの督促の進め方
ここからは、入金予定日を過ぎても入金がないときの督促を、進める順に解説します。いきなり強い手段に出るのではなく、段階を踏みながら、初動を早くすることが回収率を左右します。
督促の段取り(電話・メール→督促状→内容証明郵便→法的手段)と初動の速さ
督促は、相手の反応を見ながら次の順で強めていくのが一般的です。最初から法的手段に進むより、まず柔らかい連絡で解決を図るほうが、取引関係を保ちやすくなります。
- 電話・メールでの確認:入金予定日を過ぎたら、まず電話やメールで入金状況を確認します。単純な振込忘れや請求処理の遅れであれば、この連絡だけで入金されることも多くあります。
- 督促状の送付:連絡しても入金がない場合、書面(督促状)で支払いを求めます。請求内容・未払金額・支払期限を明記します。
- 内容証明郵便:それでも応じない場合、内容証明郵便で督促します。後述のとおり、いつ・どのような文書を送ったかを客観的に残せます。
- 法的手段:任意の督促で回収できないときは、支払督促や訴訟といった法的手段に進みます。
内容証明郵便は、日本郵便が「いつ・どのような内容の文書を・誰から誰あてに差し出したか」を証明するサービスです。
一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。
出典:内容証明|日本郵便株式会社
証明されるのは文書の存在と差し出した事実であって、文書に書いた内容が正しいことまで証明されるわけではありません。それでも、督促した事実と日付を客観的に残せるため、後の法的手段に進む前段として使われます。
任意の督促で応じない場合の法的手段としては、金銭の支払いを求める請求について、簡易裁判所の裁判所書記官に申し立てる「支払督促」があります(民事訴訟法382条・383条)。通常の訴訟より簡易な手続きで、相手が異議を申し立てなければ、より早く手続きを進められます。
いずれの段階でも共通するのは、初動を早くすることです。滞留が長引くほど相手の資力が悪化し、回収は難しくなります。次に、督促と切り離せない「時効」を確認します。
売掛金の消滅時効は5年(民法166条)/時効を止めるには
売掛金は、放置すると時効によって請求できなくなります。民法166条は、債権の消滅時効を次のように定めています。
(債権等の消滅時効)第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
出典:民法第166条(債権等の消滅時効)|e-Gov法令検索
売掛金は、通常は取引の相手も支払期日も把握しているため、実務上は「権利を行使することができることを知った時から5年」で扱います。2020年4月に施行された改正民法により、以前あった職業別の短期消滅時効は廃止され、原則5年に統一されました。
ここで誤解が多いのが「時効を止める」方法です。内容証明郵便などで支払いを求める催告をしても、それだけで時効がリセットされるわけではありません。民法150条は、催告があったときは「その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」と定めており、催告で得られるのは6か月間の猶予にとどまります。再度の催告を重ねても、この猶予は延長されません。
時効の進行そのものを止め、更新(それまでの経過をリセット)するには、裁判上の請求や支払督促といった手続きが必要です。民法147条は、裁判上の請求や支払督促があると時効の完成が猶予され、判決などで権利が確定すれば、時効はそこから新たに進行を始めると定めています。
また、取引先が支払いを約束する、未払金の一部を支払うなど債務を承認した場合も、民法152条により時効は更新されます。催告で6か月の猶予を得ている間に、承認を得るか法的手続きに進むことが、時効を確実に止める道筋です。
出典・参考資料(4件)
本記事では督促の段取りと時効を中心にまとめました。回収の初動から、支払督促や訴訟といった法的手段、回収できないときの対処までを一続きで確認したい場合は、次の記事で詳しく解説しています。
売掛金管理でつまずきやすい点・ミス
ここからは、売掛金管理で起きやすいミスと、その予防策を整理します。あらかじめ「つまずきどころ」を知っておくと、残高が合わない事態を防げます。
転記ミス・消込漏れ・属人化
Excelで手作業管理していると、請求額や入金額の転記ミス、消込のつけ忘れが起きます。1件のずれでも残高が合わなくなり、原因を探すのに時間がかかります。入力後にダブルチェックする、入金消込は当日中に処理するなど、作業のルールを決めておくと防ぎやすくなります。
もう1つ根深いのが属人化です。特定の担当者しか消込のやり方や取引先ごとの事情を把握していないと、その人が不在のときに業務が止まり、引き継ぎもうまくいきません。管理表の項目や消込のルールを文書化し、誰が見ても同じように処理できる状態にしておくことが、属人化の予防になります。
締め日・入金サイトの取り違え、値引き・返品での金額不一致
取引先ごとに締め日や入金サイト(締めてから入金までの期間)が異なると、入金予定日の計算を誤り、まだ入金時期でないものを「未回収」と勘違いすることがあります。取引先別に締め日と入金サイトを管理表に記録しておくと、予定日を正しく把握できます。
また、値引きや返品があった請求は、入金額が請求額と一致しません。値引き・返品の金額を売掛金から適切に減額しておかないと、消込のときに差額の原因が分からず手が止まります。値引き・返品が発生した都度、その内容と金額を記録しておくことが、金額不一致の予防につながります。
Excelで管理するか、システム(会計ソフト・債権管理システム)で管理するか
ここからは、売掛金管理をExcelで続けるか、システムに移すかの判断材料を整理します。取引件数や求める効率化の度合いによって、適した方法は変わります。
Excelでの管理方法と限界
Excelは、初期費用がかからず、すぐに始められるのが利点です。前述の売掛金管理表の項目を列にして、取引ごとに記録すれば管理できます。取引先や取引件数が少ないうちは、Excelでも十分に回せます。
一方で、件数が増えると限界が見えてきます。入金消込を1件ずつ手作業で突き合わせる負担が大きくなり、前述の転記ミス・消込漏れ・属人化といったつまずきが顕在化しやすくなります。複数人で同じファイルを編集すると上書きの事故も起こり、売上債権年齢の集計も、都度手作業で行うと手間がかかります。
システム化で楽になること(入金消込の自動化・工数削減・ミス削減)
会計ソフトや債権管理システムを使うと、金融機関の入金データを自動で取り込み、請求データと突き合わせて消込を提案・実行できます。振込名義のずれや手数料差額、まとめ入金といった手作業でつまずくケースも、システム側で自動処理できる範囲が広がります。売上債権年齢表や残高の集計も自動化され、滞留の把握が速くなります。
請求書の発行は今の仕組みを続けつつ、入金消込だけをシステムで自動化したい場合は、消込に特化したツールから比較するのが近道です。照合方式や例外対応、会計ソフト連携で選ぶ観点は、次の記事でまとめています。
工数削減の効果は、導入する企業や製品によって異なります。参考として、入金消込特化型システム「V-ONEクラウド」の提供元が公表している導入事例を挙げます。ある企業では、月間30時間かかっていた手入力・目視確認による入金消込業務が62%削減され、月間11.5時間に短縮されたとされています。
これは提供元が公表する単一の導入事例であり、すべての企業で同じ効果が出るとは限りませんが、消込の自動化がどの程度の工数に効きうるかの目安になります。
出典・参考資料(1件)
どちらを選ぶかの判断材料(取引件数・費用感)
選ぶ際の目安は、取引件数と、消込にかかっている時間です。取引先が少なく、毎月の消込が短時間で終わっているなら、Excelを続ける判断も合理的です。一方、入金件数が多く、消込に毎月まとまった時間を取られている、ミスや属人化が課題になっている、といった場合は、システム化で得られる効果が大きくなります。
こうした判断の参考として、実際にシステム化を相談する企業にどのような傾向があるかを、マネーフォワード クラウド債権管理を提供する株式会社マネーフォワードは次のように述べています。

ご相談は経理部門からいただくケースがほとんどで、すでに他のシステムを使っているというよりは、「手作業から脱却したい」というお悩みを持つ方からのご相談が多い印象です。まだまだアナログからデジタルへの移行ニーズが強い領域だと感じています。
費用面では、債権管理システムの多くが、月ごとの請求・入金の件数に応じた従量制の料金体系を採っています。件数や利用範囲によって金額が変わるため、公表価格を掲げず、自社の件数に応じた見積もりを問い合わせや資料請求で提示するサービスが多いのが実情です。
そのため、まずは複数のサービスの資料を取り寄せ、自社の件数での費用感と、消込の自動化でどれだけ工数が減るかを見比べて判断するとよいでしょう。
一括ダウンロードする
売掛金管理(入金消込・滞留督促)の効率化におすすめのサービス
ここからは、入金消込や滞留督促の自動化に対応した債権管理システムを紹介します。いずれも、手作業でつまずきやすい消込を自動化し、残高や滞留の把握を助けるサービスです。自社の取引件数や課題に合うものを、資料で比較してみてください。
ここでは代表的な3サービスを取り上げますが、消込特化・請求一体・与信督促・ERP統合といったタイプ別に債権管理システム全体を比較したい方は、次の記事で詳しく解説しています。
| サービス名 | 請求管理ロボ | Bill One債権管理 | マネーフォワード クラウド債権管理 |
|---|---|---|---|
| 提供範囲 | 請求書発行〜集金〜入金消込〜催促まで一気通貫 | 請求書発行〜入金消込〜督促 | 入金消込〜債権残高管理〜回収予定〜滞留督促 (請求書発行は含まず) |
| 請求書発行 | ●発行・送付に対応 | ●発行・送付に対応 | ×消込特化(既存の請求システム・Excelを残せる) |
| 入金消込の方式 | 金融機関の入金情報を自動取得し請求と自動照合。バーチャル口座で取引先を自動特定し、振込手数料の差額・前月未入金の繰越も自動処理 | 取引先ごとに固有のバーチャル口座を割り当てて消込。合算入金・振込名義のずれも事前マスタ登録なしで自動処理(Bill One Bank/NEOBANK基盤) | 機械学習(ML)による自動照合。締め請求・サブスク型請求・分割入金など複雑なパターンにも対応(目安3ヶ月で精度が安定) |
| 督促・滞留管理 | 自動催促メール(期限前リマインド/期限後催促を日数で設定)。電話・SMS・IVRの多チャネル督促は債権回収ロボ連携で対応 | リマインド対象の請求書を選んでメールで一括通知。発行済み請求書の入金状況をリアルタイムで確認 | 滞留請求の一覧と回収予定表で入金遅延を明細単位で可視化。営業担当へメール・チャットで通知 |
| 対象企業規模 | 公式に明示なし(導入1,000社以上) | 大企業〜中小(公式訴求) | 売上規模の大きい企業・取引件数の多い企業 |
| 料金体系 | 要問い合わせ (月額+請求件数の従量制、3ヵ月オンボーディング) | 要問い合わせ (発行する請求書の件数に応じた年額制、ユーザー数課金なし) | 要問い合わせ (請求・入金の件数従量制) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | ミーティングを予約する |
1. 請求管理ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求管理ロボは、東証グロース市場に上場する株式会社ROBOT PAYMENTが提供する、請求書の発行から集金・入金消込・催促までを自動化するクラウドサービスです。導入企業は1,000社以上と公式に案内されています。
入金消込では、金融機関から入金情報を取得して請求と自動照合し、バーチャル口座を使って入金元の取引先を自動で特定します。前月未入金の翌月繰越や振込手数料の差額処理にも対応します。
督促は、期限前のリマインドと期限後の催促を日数で設定できる自動催促メールが中心で、電話やSMSを含む多チャネルの督促は同社の「債権回収ロボ」との連携で拡張できます。会計ソフトやSalesforceなどとも連携し、請求から仕訳までをつなげられる点も特徴です。
2. Bill One債権管理(Sansan株式会社)

Bill One債権管理は、請求先ごとに固有のバーチャル口座を割り当てる方式で入金消込を自動化します。名刺管理や請求書受領で知られるSansan株式会社が、Bill Oneプラットフォーム上の債権管理機能として提供しています。
取引先ごとに専用の振込口座を用意するため、複数の請求をまとめて振り込む合算入金や、請求先名と振込名義が一致しない入金といった、従来の自動消込が苦手とするケースも自動で処理できると案内されています。手作業の消込で最もつまずきやすい部分を、口座の割り当てという仕組みで解決する点が特徴です。請求書の発行から入金消込、リマインドによる督促までをBill One上で一元管理できます。
3. マネーフォワード クラウド債権管理(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド債権管理は、入金消込・債権残高管理から回収予定管理・滞留督促管理までをカバーする、消込に特化したクラウドサービスです。請求書の発行機能は持たず、すでに別システムで請求書を発行している企業が、消込工程だけを効率化する使い方にも向きます。
消込には機械学習による自動照合を用い、締め請求やサブスクリプション型の請求、分割入金といった、実務で頻発する複雑なパターンにも対応します。得意先ごとの残高を発生経過月数別に表示する管理帳票や、未消込請求の入金遅延を可視化する回収予定表を備え、滞留した請求は営業担当へメールやチャットで通知して回収を促せます。会計やSalesforceとの連携で、経理と営業が回収・滞留の状況を共有できる点も特徴です。
まとめ
売掛金管理は、計上・請求・入金確認・入金消込・残高や滞留の把握・督促という一連の流れで回します。とくに手間がかかる入金消込では、振込名義のずれ・手数料差額・一部入金やまとめ入金を、請求と入金を突き合わせて1件ずつ処理していきます。売掛金管理表と売上債権年齢表で残高と滞留を見える化しておくと、回収の遅れに早く気づけます。
回収が遅れたときは、電話・メールから督促状、内容証明郵便、法的手段へと段階を踏み、初動を早くすることが回収率を左右します。売掛金の消滅時効は原則5年で、催告だけでは6か月の猶予にとどまるため、その間に承認を得るか法的手続きに進むことが、時効を確実に止める道筋になります。
取引件数が増えて消込の負担や属人化が課題になってきたら、入金消込を自動化する債権管理システムの導入も選択肢に入ります。まずは各社の資料で、自社の件数での費用感と効率化の効果を見比べてみてください。
一括ダウンロードする
よくある質問(FAQ)
Q. 入金消込とは何をする作業ですか?
A. 入金消込とは、口座に入金されたお金がどの請求に対する支払いかを特定し、その分の売掛金を帳簿から消していく作業です。通帳やネットバンキングで確認した入金(振込人名義・入金額・入金日)と、請求のデータ(取引先・請求額・入金予定日)を突き合わせ、一致すればその請求を回収済みとして処理します。
振込名義のずれや振込手数料の差額、一部入金・まとめ入金で金額がそのまま合わないことも多く、売掛金管理のなかで最も手間がかかる工程です。
Q. 売掛金の消滅時効は何年ですか?時効を止めるにはどうすればよいですか?
A. 売掛金の消滅時効は、権利を行使できることを知った時から原則5年で、内容証明などの催告だけでは時効はリセットされず得られるのは6か月間の猶予にとどまります。時効の進行そのものを止めて更新するには、この6か月の間に、裁判上の請求や支払督促といった法的手続きに進むか、取引先から支払いの約束・一部弁済など債務の承認を得る必要があります。
2020年4月に施行された改正民法により、以前あった職業別の短期消滅時効は廃止され、原則5年に統一されました。
出典・参考資料(3件)
Q. 売掛金の督促はいつ・どの手段で行えばよいですか?
A. 売掛金の督促は、入金予定日を過ぎたらまず電話・メールで確認し、応じなければ督促状、内容証明郵便、法的手段(支払督促・訴訟)へと段階的に強めていくのが基本です。単純な振込忘れや請求処理の遅れであれば最初の連絡だけで入金されることも多く、いきなり強い手段に出るより取引関係を保ちやすくなります。
いずれの段階でも回収率を左右するのは初動の速さで、滞留が長引くほど相手の資力が悪化し、回収は難しくなります。
Q. 売掛金管理はExcelとシステムのどちらで行うのがよいですか?
A. 売掛金管理をExcelとシステムのどちらで行うべきかは、取引件数と、入金消込にかかっている時間で判断するのが目安です。取引先が少なく毎月の消込が短時間で終わっているならExcelを続ける判断も合理的ですが、入金件数が多く消込に毎月まとまった時間を取られている、転記ミスや消込漏れ・属人化が課題になっている場合は、消込を自動化する会計ソフトや債権管理システムの効果が大きくなります。
まずは複数のサービスの資料で、自社の件数での費用感と工数削減の効果を見比べて判断するとよいでしょう。
Q. 売掛金と未収入金の違いは何ですか?
A. 売掛金と未収入金の違いは、その未回収代金が本業の営業取引で生じたものか(売掛金)、本業以外の取引で生じたものか(未収入金)にあります。たとえば商品販売やサービス提供の代金は売掛金、不要になった固定資産を売却した際の未回収代金は未収入金です。同じ「未回収のお金」でも勘定科目が分かれるため、取り違えると帳簿上の残高が合わなくなります。
Q. 売掛金管理を怠ると、どのようなリスクがありますか?
A. 売掛金管理を怠ると、回収予定が読めず資金繰りが悪化するリスクと、滞留に気づかず貸倒れ(回収不能)になるリスクが生じます。売掛金は入金されるまで手元にないお金のため、回収予定を把握できていないと、支払いに必要な資金がいつ入るのかが読めません。
また滞留した売掛金に早く気づけないと、取引先の資力悪化や時効の到来で回収できなくなる前に手を打てません。売掛金管理表と売上債権年齢表で残高と滞留を見える化しておくことが、こうしたリスクの予防につながります。
債権管理システムの料金・資料を一括チェック
MCB FinTechカタログでは、入金消込や滞留督促を自動化する債権管理システムの最新資料を無料で一括請求できます。自社の取引件数での費用感や、消込の自動化でどれだけ工数が減るかを、各社の資料でまとめて比較できます。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















