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契約書はスキャンして保存できる?電子帳簿保存法の要件と原本の扱い・進め方

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キャビネットに積み上がった紙の契約書を、スキャンしてPDFで保存・管理したい。そう考えたときに最初に気になるのが、「そもそも契約書はスキャンして電子保存してよいのか」「スキャンしたら紙の原本は捨ててよいのか」という点ではないでしょうか。

結論として、紙の契約書はスキャンして電子データで保存できます。ただし、原本を破棄して電子データを正式な保存に代える場合は、電子帳簿保存法が定めるスキャナ保存の要件を満たす必要があり、原本を破棄してよいかは状況によって判断が分かれます。

本記事では、契約書のスキャン保存の可否と法的な根拠を整理したうえで、スキャナ保存の要件・具体的なやり方・原本の扱いを解説します。あわせて、スキャンした契約書を台帳で検索・期限管理まで行えるサービスも紹介します。紙の契約書の電子化を進めたい方が、安心して一歩を踏み出すための材料としてご活用ください。

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契約書はスキャンして電子保存してよい

紙の契約書はスキャンして電子データで保存できます。税務書類として保存が義務づけられている契約書についても、電子帳簿保存法のスキャナ保存制度によって、一定の要件を満たせば書面の保存に代えてスキャン文書での保存が認められています。

スキャナ保存制度は、電子帳簿保存法第4条第3項を根拠とする制度です。国税庁の一問一答は、この制度を次のように説明しています。

スキャナ保存制度は、取引の相手先から受け取った請求書等及び自己が作成したこれらの写し等の国税関係書類(決算関係書類を除きます。)について、一定の要件の下で、書面による保存に代えて、スキャン文書による保存が認められる制度です(法4③)。

出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】令和8年7月(問1)|国税庁

対象となるのは、棚卸表・貸借対照表・損益計算書などの決算関係書類を除く、ほぼすべての国税関係書類です。契約書もこの対象に含まれるため、スキャン保存できる書類かどうかで悩む必要はありません。次章から、その「一定の要件」を具体的に見ていきます。

出典・参考資料(2件)
  • 出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】令和8年7月(問1・問2)|国税庁(リンク)
  • 参考資料:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第4条第3項|e-Gov法令検索(リンク)

スキャナ保存の要件(電子帳簿保存法)

ここからは、契約書をスキャナ保存する際に満たすべき要件を解説します。この要件が求められるのは、スキャンした電子データを原本の保存に代える(=紙の原本を破棄する)場合です。原本を紙で残したまま、手元用の複製としてスキャンするだけであれば、以下の要件を厳密に満たす必要はありません。

要件は大きく、読み取り時の画質、タイムスタンプと入力期間、検索機能の3つに分かれます。あわせて、近年の改正で緩和された点も押さえておきましょう。

電子帳簿保存法のスキャナ保存の3要件を示す図解。要件1は画質で、解像度200dpi以上、RGB各256階調以上のフルカラーで読み取り、契約書は重要書類のためグレースケール不可。要件2はタイムスタンプと入力期間で、受領からおおむね最長2か月と7営業日以内に入力し、訂正・削除の履歴が残るシステムなら付与に代えられる。要件3は検索機能で、取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できるようにする。

解像度・カラーの要件

スキャンの画質については、解像度と色階調に基準があります。国税庁の一問一答は、読み取り時の要件を次のように定めています。

⑴ スキャニング時の解像度である25.4ミリメートル当たり200ドット以上で読み取るものであること。
⑵ 赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ256階調以上で読み取るものであること。

出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】令和8年7月(問5)|国税庁

具体的には、解像度は200dpi以上、色は赤・緑・青それぞれ256階調以上のフルカラー(いわゆる24ビットカラー)で読み取る必要があります。なお、白黒のグレースケールでの保存が認められるのは領収書などの「一般書類」に限られ、契約書は「重要書類」に当たるためカラーでの読み取りが必要です。市販の複合機や業務用スキャナの標準設定であれば、この画質はおおむね満たせます。

タイムスタンプと入力期間の要件

スキャンしたデータには、いつスキャンしたかを証明するタイムスタンプの付与が求められます。入力(スキャンとタイムスタンプ付与)を済ませる期限は、次の2つの方式から選べます。

  • 速やかに入力する方式:書類を受け取ってから、おおむね7営業日以内に入力する。
  • 業務サイクル後に入力する方式:事務処理規程で「業務の処理に係る通常の期間」(最長2か月)を定めておき、その期間の経過後、おおむね7営業日以内に入力する。

後者を使えば、書類を受け取ってから最長で「2か月とおおむね7営業日」まで入力を猶予できますが、そのためには入力の期限を定めた事務処理規程をあらかじめ用意しておく必要があります。

ただし、訂正や削除の履歴が残るシステム(あるいは訂正・削除ができないシステム)で保存する場合は、その保存をもってタイムスタンプの付与に代えることができます。クラウド型の契約管理サービスの多くはこの仕組みを備えているため、自社で個別にタイムスタンプを付与しなくても要件を満たせるケースが増えています。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】令和8年7月(入力期間・タイムスタンプ関係)|国税庁(リンク)

タイムスタンプを付与せずに済ませるには、具体的にどのようなシステムや社内規程を備えればよいのか。訂正削除履歴が残るシステムや事務処理規程の要件を条文で確認したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。

検索機能の要件

保存したスキャン文書は、後から探し出せる状態にしておく必要があります。検索の項目として求められるのは、取引年月日・取引金額・取引先の3つです。この3項目で検索できるようにしておけば、検索機能の要件を満たせます。

実務上は、ファイル名に「日付_取引先_金額」を含めて整理する方法や、Excelなどで台帳を作成して管理する方法のほか、検索項目の入力に対応した契約管理サービスを使う方法があります。件数が多くなるほど手作業での管理は負担が大きくなるため、後述するサービスの活用が現実的な選択肢になります。

2022年改正・2024年緩和で変わった点

スキャナ保存の要件は、近年の税制改正で段階的に緩和されています。まず2022年(令和4年)1月1日以降の保存分から、税務署長への事前承認が不要になりました。

令和3年度の税制改正により、令和4年1月1日以後に保存を行う国税関係書類については承認制度が廃止されたほか、次のような改正がされました。

出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】令和8年7月|国税庁

さらに2024年(令和6年)1月1日以降の保存分からは、主に次の点が緩和されました。

⑴ 国税関係書類をスキャナで読み取った際の解像度、階調及び大きさに関する情報の保存時に満たすべき要件が廃止されたこと。
⑵ 国税関係書類に係る記録事項の入力者等に関する情報の確認要件が廃止されたこと。

出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】令和8年7月|国税庁

ここで注意したいのは、緩和されたのは「解像度・階調・大きさに関する情報を保存する義務」であって、200dpi以上・256階調以上で読み取る要件そのものは残っている点です。「2024年の緩和で解像度の基準がなくなった」と受け取るのは誤りで、読み取り時の画質基準は引き続き満たす必要があります。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】令和8年7月(問5・問8・改正沿革)|国税庁(リンク)

過去に受け取った契約書のスキャナ保存

スキャナ保存は、これから受け取る契約書だけでなく、すでに手元にある過去の契約書にも使えます。ただし、過去に作成・受領した重要書類(過去分重要書類)をスキャナ保存する場合は、あらかじめ所轄の税務署長に「過去分重要書類の適用届出書」を提出しておく必要があります。旧契約をまとめてデータ化するときは、この届出が必要になる点に注意しておきましょう。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】令和8年7月(過去分重要書類の適用届出書)|国税庁(リンク)

契約書スキャンのやり方と手段の選び方

ここからは、契約書を実際にスキャンする手段と、自社に合った方法の選び方を解説します。要件を満たす画質でスキャンできれば、使う機器や方法は問いません。契約書の枚数や体制に応じて、無理のない手段を選ぶことが大切です。

スキャンを始める前の下準備も、仕上がりを左右します。ホチキス・クリップ・付箋を外し、ページの向きと順序をそろえてから読み取ると、読み取りミスや後からの並べ替えを減らせます。複数ページにわたる契約書は、1件を1つのPDFにまとめておくと、後述する台帳での管理や検索がしやすくなります。

スキャンの手段と向き不向き

契約書をスキャンする主な手段は、オフィスの複合機、専用のドキュメントスキャナ、そしてスキャニング代行サービスの3つです。枚数・体制・機密性の観点で向き不向きが分かれます。

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手段オフィスの複合機専用のドキュメントスキャナスキャニング代行サービス
向いているケーススキャンする契約書が少量で、既にある機器で始めたい場合継続的に一定量をスキャンし、自社内で完結させたい場合大量の紙契約が一度にたまっており、自社の工数を割けない場合
留意点1枚ずつの読み取りやファイル整理に手間がかかる。解像度・カラー設定を要件に合わせる高速両面読み取りに対応した機種を選ぶと効率的。導入コストがかかる外部に原本を預けるため、機密情報の取り扱い体制(プライバシーマーク等)を確認する

少量であれば手元の複合機で始められますが、数百件・数千件の紙契約がたまっている場合は、専用スキャナの導入か代行サービスの利用を検討したほうが現実的です。

冊子・製本された契約書のスキャン方法

製本された契約書やホチキス留めの書類は、そのままでは読み取りにくいため、扱いに一工夫が必要です。方法は、裁断してから通常のスキャナで読み取る方法と、裁断せずに読み取る方法に分かれます。

原本をきれいに残したい場合は、上から撮影するオーバーヘッドスキャナや、ガラス面に伏せて読み取るフラットベッドスキャナを使えば、裁断せずにスキャンできます。裁断や製本のまま対応してくれる代行サービスもあるため、原本の形を保ちたいか、効率を優先するかで選ぶとよいでしょう。

スキャニング代行の料金相場

スキャニング代行サービスの料金は、原本を裁断するかどうかや書類の状態によって変わります。あるスキャニング代行サービスの公表料金では、裁断してスキャンする場合が1枚あたり7.5円〜、製本を裁断せずにスキャンする場合が1枚あたり25円〜と案内されています。最低料金は45,000円〜で、いずれも2026年9月時点の税別価格です。

これはあくまで一例(下記の参考資料)で、原本の廃棄・ファイル名付与・向き補正などのオプションで費用は加算されます。自社の複合機や専用スキャナで対応すれば1枚あたりの費用はかかりませんが、その分の機器導入費と作業の手間が必要です。枚数と社内の体制を踏まえ、複数のサービスから見積もりを取って比べることをおすすめします。

出典・参考資料(1件)
  • 参考資料:契約書スキャニング代行(電子化)|スマートゲート株式会社(リンク)

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スキャン後に原本を破棄してよいか

スキャンして電子保存したあと、紙の原本を破棄してよいのかは、多くの担当者が迷うところです。税務の観点と、契約上のリスクの観点は分けて考える必要があります。

原本を破棄できる条件と、残す方が無難なケース

税務書類としては、スキャナ保存の要件を満たして保存していれば、スキャン後に紙の原本を破棄しても差し支えありません。要件を満たした電子データが、書面の保存に代わるものとして認められるためです。

一方で、契約上のリスクを考えると、すべての契約書の原本をすぐに破棄するのが最善とは限りません。金額の大きい重要な契約や、取引先が原本の保管を求めている契約、不動産関連など後々の紛争リスクがある契約については、原本を一定期間残しておく判断も合理的です。要件を満たしているかに不安がある段階では、破棄を急がず原本を保管しておくと安心です。

スキャンした契約書の証拠力

スキャンした契約書は、民事訴訟では原本そのものではなく写しとして扱われます。民事訴訟法では、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」(第228条第4項)と定められており、図面や写真などの文書でない物件については書証の規定が準用されます(第231条)。

紙の原本にある署名・押印による真正性の推定が、スキャンした写しにそのまま及ぶとは限らないため、万一の紛争で原本の提出を求められる場面も考えられます。税務上は問題なくても、重要な契約は原本を残しておく方が無難だと考えられます。証拠力の扱いは個別の事情によって変わるため、判断に迷う場合は専門家への確認をおすすめします。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:民事訴訟法 第228条・第231条|e-Gov法令検索(リンク)

スキャン保存のメリットと注意点

ここでは、契約書をスキャン保存することで得られるメリットと、運用上の注意点を整理します。

スキャン保存のメリット

スキャン保存の主なメリットは、紙の保管スペースとそのコストを削減できること、必要な契約書をキーワードですぐに探し出せること、テレワーク環境でも閲覧・共有できることです。アクセス権限を設定すれば、誰がいつ閲覧したかを管理してガバナンスを強化することもできます。

スキャン運用の注意点

注意点として、スキャンして画像化しただけでは、ファイル内の文字を検索できません。検索性を高めるには、文字を認識するOCR処理が必要になります。多くの契約管理サービスはOCRを備えていますが、単純にスキャンしてPDF化するだけの運用では、後から探しにくいデータが積み上がってしまいます。

また、大量の契約書を要件に沿ってスキャン・入力するには相応の手間がかかります。誰が・いつまでに・どの契約書を電子化するのかを決めずに始めると、途中で運用が止まりがちです。対象範囲と担当を決めたうえで、後述するサービスの活用も含めて現実的な体制を組むことが、電子化を続けるコツです。

スキャンした契約書を台帳で管理・検索・期限管理する

スキャンして電子化した契約書は、フォルダに保存するだけでなく、台帳で検索・期限管理まで行えると実務で活きてきます。ここでは、紙の契約書の取り込みからAI-OCRによるデータ化、台帳での管理までを支援するサービスを紹介します。

取り込みと全文検索に強いサービスもあれば、台帳の自動作成や更新期限のアラートまでカバーするサービスもあり、得意な範囲は分かれます。自社が特に重視したい工程に照らして選ぶとよいでしょう。

以下は、ご紹介するサービスの取り込み・台帳化・検索・期限管理の対応状況をまとめた比較表です。

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サービス名クラウドサイン電子印鑑GMOサインLAWGUEHubble miniOLGA
紙契約のスキャン取り込み(AI-OCR)△SCAN(代行)オプション●スタンダード以上●●●
台帳の自動作成●●AI自動入力はビジネス以上△定型台帳の明示は限定的●●
全文検索△項目・書類情報で検索△文書検索・フォルダ管理●●●
更新期限アラート●●×公式明示なし●●
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約オンライン相談を予約オンライン相談を予約

※各社の公式情報にもとづく(2026年9月時点)。最新の対応状況は各サービスの資料でご確認ください。

ここからは、それぞれのサービスの特徴を紹介します。

1. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

クラウドサインのウェブサイト

クラウドサインは、弁護士ドットコムが提供する電子契約サービスですが、締結だけでなく紙で残る過去の契約書の取り込みにも対応しています。オプションの「クラウドサイン SCAN」では、紙の契約書のスキャンと、取引相手・金額・契約締結日などの書類情報の入力を代行し、クラウドサイン上で一元管理できます。過去分をまとめて取り込む「一括SCAN」と、毎月継続して代行する「定期SCAN」から選べます。

取り込んだ契約書は、締結先の企業名や契約期間などをAIが読み取って自動入力する機能で台帳化でき、契約書名・会社名・契約期間・金額などで検索できます。解約通知期限などの年月日にアラートを設定すれば、更新漏れの防止にも役立ちます。対象プランはコーポレート・ビジネス・エンタープライズで、SCANの料金は部数や書類情報の数に応じた個別見積もりです。

2. 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

電子印鑑GMOサインのウェブサイト

電子印鑑GMOサインは、低コストな料金体系と幅広い文書管理機能を備えた電子契約クラウドです。電子契約の締結だけでなく、文書管理の機能として、紙の契約書を取り込む「スキャン文書管理」や、スキャン文書へのタイムスタンプ付与、PDF化代行に対応しています。

取り込んだ文書は、文書検索やフォルダ管理で整理でき、契約更新通知で期限管理もできます。ビジネス・エンタープライズプランではAIによる文書情報の自動入力にも対応しており、スキャンした契約書の台帳づくりを効率化できます。既存の紙契約とこれからの電子契約をまとめて1つの場所で管理したい企業に向いています。

3. LAWGUE(FRAIM株式会社)

LAWGUE(ローグ)のウェブサイト

LAWGUE(ローグ)は、契約書や社内規程などの文書の作成・検索・レビューをAIで支援する、クラウド型のドキュメントワークスペースです。既存の文書をドラッグ&ドロップで取り込んでデータベース化でき、この取り込みはAI-OCRとPDF取り込みに対応しているため、スキャンした紙の契約書もテキストとして蓄積できます。

蓄積した文書は、キーワード検索・全文検索や、AIによる類似文書の抽出で素早く探し出せます。強みはAI-OCRでの取り込みとデータベース化、そして横断的な検索にあり、契約書の中身を活用したい法務・総務部門に向いています。締結後の更新期限のアラートや定型的な契約台帳の管理をどこまで担えるかは、導入前に確認しておくとよいでしょう。

4. Hubble mini(株式会社Hubble)

Hubble miniのウェブサイト

Hubble miniは、締結が完了した契約書の管理に特化したサービスです。PDF化した契約書をアップロードすると、相手方・契約期間・契約金額・自動更新の有無といった項目をAIが自動で読み取り、自社の管理項目に合わせた契約書台帳を自動で作成します。画像になっているスキャン文書もOCRでテキスト化して取り込めるため、紙の契約書が大量に残っている企業でもそのまま台帳化できます。

作成した台帳は、全文や条項タイトルを横断して検索でき、紙の契約書もOCRで検索対象になります。契約更新期限が近づくと、必要な担当者にメールで通知が届くため、更新漏れを防げます。手作業の台帳入力を自動化したい企業や、契約管理を初めてデジタル化する企業が、まず取り組みやすいサービスです。

手作業だった台帳入力が、AIによる自動入力でどの程度変わるのか。提供元の株式会社Hubbleは、導入企業の例を次のように挙げています。

安田氏
株式会社Hubble Partner Sales Manager
安田氏
独自インタビューより

分かりやすい事例で申し上げますと、ある企業様では契約書の件数が多く、台帳への入力作業に週1時間ほどかかっていましたが、Hubble miniを使ってPDFをアップロードしていただくと、相手方や契約期間といった項目をAIが代わりに入力してくれますので、1時間かかっていた作業が5分で終わるようになりました。これによって、本来注力すべき業務に時間を割けるようになったというお声をいただいておりまして、インパクトとしては非常に大きい部分だと感じています。

5. OLGA(GVA TECH株式会社)

法務オートメーション「OLGA」のウェブサイト

法務オートメーション「OLGA」は、契約の受付から締結後の管理までを1つのプラットフォームで自動化するサービスです。契約書管理の機能では、案件情報から管理台帳を自動生成し、AIが契約書から項目を自動抽出して台帳を作成します。取り込みはOCRに対応しており、スキャンした契約書のデータ化にも使えます。

台帳化した契約書は全文検索で探し出せ、契約更新期限のアラートで期限管理もできます。数千件規模の契約更新管理で更新漏れをなくした事例も公表されています。締結後の台帳管理だけでなく、法務業務全体の効率化まで視野に入れたい企業に向いています。中小企業向けのプランも用意されています。

更新期限の管理でどのような成果が出ているのか、提供元のGVA TECH株式会社は導入効果を次のように説明しています。

大沢氏
GVA TECH株式会社 法務オートメーション事業部 パートナーアライアンスチーム マネージャー
大沢氏
独自インタビューより

また、数千件以上の契約更新管理を行っている企業様では、AIによる自動化によって、更新漏れによる不利益な契約更新やタイミングの失念がゼロになったという定量的な成果も出ています。

ここで紹介したのは、スキャンした契約書の取り込みに強いサービスを中心とした5つです。締結業務も含めて契約管理システム全体をタイプ別に幅広く比較したい場合は、以下の記事で選び方・料金・電帳法対応をまとめて確認できます。

まとめ

紙の契約書はスキャンして電子保存でき、税務書類としても、電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件(200dpi以上・カラー256階調以上での読み取り、タイムスタンプと入力期間、取引年月日・取引金額・取引先での検索)を満たせば、書面の保存に代えることができます。2022年に税務署長の事前承認が不要になり、2024年には要件の一部が緩和され、導入のハードルは下がっています。

スキャンの手段は、複合機・専用スキャナ・代行サービスから、契約書の枚数や体制に合わせて選べます。原本の破棄は税務上は要件を満たせば可能ですが、重要な契約は原本を残す判断も合理的です。スキャン後のデータは、台帳での検索・期限管理まで行えるサービスを活用すると、電子化の効果を最大限に引き出せます。自社に合ったサービスの資料を取り寄せて、比較検討を進めてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. スキャナ保存とは何ですか?

A. スキャナ保存とは、紙で受け取った、または作成した国税関係書類を、スキャンした電子データの形で保存できる電子帳簿保存法上の制度です。決算関係書類を除くほぼすべての国税関係書類が対象で、契約書も一定の要件を満たせば、書面の保存に代えてスキャン文書で保存できます(電子帳簿保存法第4条第3項)。

Q. 契約書はスキャンして電子保存してもよいですか?

A. 契約書は、電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を満たせば、スキャンして電子データで保存できます。税務書類として保存が義務づけられている契約書も、書面の保存に代えてスキャン文書での保存が認められています。2022年1月以降は税務署長への事前承認も不要になり、導入のハードルは下がっています。

Q. 契約書のスキャナ保存にはどんな要件がありますか?

A. 契約書のスキャナ保存の要件は、「解像度200dpi以上・カラー256階調以上での読み取り」「タイムスタンプの付与と入力期間」「取引年月日・取引金額・取引先での検索機能」の3つに大きく分かれます。なお、訂正や削除の履歴が残るシステムで保存する場合は、その保存をもってタイムスタンプの付与に代えることができます。

Q. 契約書はグレースケール(白黒)でスキャンして保存してもよいですか?

A. 契約書は、白黒(グレースケール)ではなく、赤・緑・青それぞれ256階調以上のフルカラーで読み取る必要があります。グレースケールでの保存が認められるのは領収書などの「一般書類」に限られ、契約書は「重要書類」に当たるためです。市販の複合機や業務用スキャナのカラー設定であれば、この基準はおおむね満たせます。

Q. 2024年の要件緩和で、解像度の基準はなくなったのですか?

A. 解像度200dpi以上で読み取る要件は、2024年の緩和後も残っています。緩和されたのは、読み取った解像度・階調・大きさに関する「情報を保存する」義務であって、読み取り時の画質基準そのものではありません。「2024年の緩和で解像度の基準がなくなった」と受け取るのは誤りで、引き続き200dpi以上・256階調以上での読み取りが必要です。

Q. 契約書をスキャンした後、紙の原本は破棄してよいですか?

A. 契約書の原本は、税務上はスキャナ保存の要件を満たしていれば破棄しても差し支えありませんが、重要な契約は残しておく方が無難です。金額の大きい契約や、取引先が原本の保管を求めている契約、不動産関連など後々の紛争リスクがある契約は、原本を一定期間残しておく判断も合理的です。要件を満たしているか不安な段階では、破棄を急がないことをおすすめします。

Q. 製本・ホチキス留めされた契約書もスキャンできますか?

A. 製本やホチキス留めの契約書も、裁断してから通常のスキャナで読み取る方法か、オーバーヘッドスキャナ・フラットベッドスキャナで裁断せずに読み取る方法でスキャンできます。原本の形を保ちたい場合は裁断しない方法や、製本のまま対応してくれる代行サービスを選ぶとよいでしょう。

Q. スキャニング代行に原本を預けても、機密情報の取り扱いは大丈夫ですか?

A. スキャニング代行を利用する際は、プライバシーマークの取得や情報管理体制など、機密情報の取り扱い方針を事前に確認することが重要です。契約書は機密性の高い書類のため、外部に原本を預ける場合は、セキュリティ体制を選定基準に含めて代行サービスを比較するとよいでしょう。

Q. 契約書のデータ化は自社でできますか、それとも代行が必要ですか?

A. 契約書のデータ化は、枚数が少なければ複合機や専用スキャナで自社対応でき、大量にたまっている場合はスキャニング代行の利用が現実的です。さらに、AI-OCRで紙の契約書を取り込んで台帳化・検索まで行えるサービスを使えば、データ化とその後の管理をまとめて進められます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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