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デジタルフォレンジックの費用相場|PC・スマホ・サーバー別の料金と金額が決まる要因

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退職した従業員が顧客データを持ち出した疑いがある、社内のパソコンがマルウェアに感染したらしい——こうしたとき、「外部の専門業者に端末を調べてもらおう」という話が社内で出ます。そこで必ず聞かれるのが「で、いくらかかるのか」という予算の問いです。

デジタルフォレンジック(電子機器に残るデータやログを解析し、不正・侵害の痕跡を調べる調査)の費用は、調べる対象がパソコン1台なのかサーバーを含む複数台なのか、証拠保全だけなのか削除データの復元まで行うのかで大きく変わります。正式な見積もりを取る前に、まずは金額の相場観をつかんでおきたいところです。

本記事では、調査会社が公開している料金の実額と、公的機関・損害保険会社の調査にもとづく費用相場を出所付きで整理します。対象(パソコン・スマートフォン・サーバーなど)や調査種別ごとの料金の目安、費用が高くなる要因、総額と調査期間、見積もりで確認すべきポイントまで、社内での予算化や相見積もりの判断材料として使える形でまとめました。

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フォレンジック調査の費用【料金一覧】対象×調査種別の実額

ここからは、調査会社が公開している料金をもとに、対象(パソコン・スマートフォン・サーバー・USBなど)と調査種別(証拠保全・データ復元・不正/漏えい調査・総合調査)ごとの料金の目安を見ていきます。多くの調査会社は「要問い合わせ」としていますが、一部の会社は項目ごとの単価を公開しています。

注意したいのは、各社で料金の単位(1台あたり・データ容量・作業時間・ファイル数など)が異なり、ほとんどが「〜から」の最低価格である点です。下表はあくまで公開されている作業・項目単位の単価であり、調査全体の総額は後述の「規模別の費用レンジ」で確認してください。金額は各社公式サイトの2026年10月時点の記載です。

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対象パソコン・HDDパソコン・HDDパソコンパソコンスマートフォンサーバーネットワークUSB・SDカード報告書オプション
調査・作業の種類初期調査・クローン保全(証拠保全)基本+データ証拠保全削除データの復元・履歴/不正漏えい調査総合調査iPhone・Android等の解析調査サーバーデータの証拠保全(エラー対応も含む)各サーバーのログ解析(不正アクセス・改ざん・情報漏えいの有無)データの抽出簡易報告書/調査報告書特急・出張・夜間対応
料金の目安(税抜)49,800円〜(〜512GB)/69,800円〜(〜1TB)/89,800円〜(〜2TB)基本10万円+証拠保全5万円149,800円〜(初期調査・クローン保全とセット申込)249,800円〜(初期調査・クローン保全とセット申込)30万円1時間 1万円〜90万円1台 1万円簡易5万円/調査報告書20万円特急49,800円〜/出張99,800円〜/夜間10万円〜
出所・単位フォレンジック24/対象機器1台あたりGENZ/1台あたり(参考料金)フォレンジック24/1台あたりフォレンジック24/1台あたりGENZ/1台あたり(参考料金)GENZ/作業時間あたり(参考料金)GENZ/1台あたり(参考料金)GENZ/1台あたり(参考料金)GENZ(参考料金)フォレンジック24

各社公式サイトの公開料金(2026年10月時点)をもとに作成。税抜・最低価格。料金は変動するため最新額は各社に確認してください。

フォレンジック24では詳細調査(削除調査・総合調査など)が初期調査・クローン保全とのセット申込を前提としており、保全の料金に調査料金が加算されます。GENZの「参考料金」は、問い合わせ時の目安として各社が示す額で、確定価格ではありません。

このように料金の示し方は会社ごとに異なり、同じ「パソコン1台の調査」でも、どの作業まで依頼するかで総額は大きく変わります。上の表はあくまで項目ごとの入口価格なので、項目単価だけで総額を判断せず、次の「規模別の費用レンジ」(調査全体の総額)と合わせて見積もってください。

サーバーについては、「サーバーデータの証拠保全(時間課金)」と「各サーバーのログ解析(一式)」で料金の単位が分かれており、1台あたりの総額を上表だけから読み取るのは困難です。サーバーを含む場合は、次の規模別レンジ(数台で概ね300〜400万円程度)で見通しを立てるのが安全です。

出典・参考資料(2件)

【簡易・標準・大規模】規模別の費用レンジと総額の目安

項目単位の単価に対し、調査全体でいくらかかるのかを規模別に見ていきます。自社のケースがどの帯にあたるかをつかむと、予算の当たりを付けやすくなります。

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規模端末単位の想定小〜中規模標準大規模・複雑
想定ケースパソコン・スマートフォンなど端末1台あたりパソコン1台の本格的なフォレンジック調査パソコンとサーバー数台程度(初動対応込み)複数拠点・サーバー群に及ぶ大規模インシデント
費用の目安約100〜200万円×端末台数分事業者により72万〜300万円超/台(見積りの単位は事業者で異なる)概ね300〜400万円程度数千万円以上に及ぶ場合も
出所東京海上日動(サイバーリスク保険の想定例)JNSA インシデント損害額調査レポート第2版(2024年)JNSA 同上JNSA 同上

出所は下記の出典を参照(JNSAは2024年の調査、東京海上日動は2026年10月時点の案内ページ)。金額は想定・調査結果にもとづく目安であり、実際の費用は個別見積もりによります。

日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)がインシデントレスポンス事業者への調査をまとめたレポートでは、事故原因・被害範囲の調査費用について、次のように総括しています。

PCとサーバー数台程度の調査であれば、初動対応およびフォレンジック調査を合わせ、概ね300〜400万円程度の金額が必要となります。

出典:インシデント損害額調査レポート 第2版(2024年)|JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)

同レポートは、調査費用が事業者によって見積りの単位に違いがある点にも注意を促しています。パソコン1台あたりの費用はヒアリング対象の事業者で72万円程度から300万円を超える水準まで幅があり、大規模な被害では数千万円以上に及ぶ場合もあるとされています。端末1台あたりの想定額については、損害保険会社も次のように案内しています。

「フォレンジック調査」には、専門知識とノウハウを要するため、端末1台あたり約100〜200万円×端末台数分の費用が発生することが想定されます。

出典:サイバーリスク保険 案内ページ|東京海上日動火災保険

前節の公開料金は、証拠保全のみなら数万円から、総合調査でも数十万円からという、作業・項目ごとの入口価格です。一方、本節の相場(端末1台で100万円前後から)は、証拠保全から解析・報告までを含む調査全体の総額で、両者には数倍から十数倍の開きがあります。

この差は、項目ごとに定額を積み上げるパッケージ型の料金と、工数に応じて費用が決まる本格的な調査とで前提が違うために生じます。費用の大半は証拠保全後の解析・調査の工数に由来するため、社内での予算化や説明には、安全側として本節の総額レンジを使うのが無難です。

フォレンジック調査の費用が二層構造であることを示す図。左の『入口価格』は証拠保全など作業・項目単位の最低価格で数万円から、総合調査でも数十万円から。右の『調査全体の総額』は証拠保全から解析・報告までを含み、パソコン1台で100万円前後から、パソコンとサーバー数台で300〜400万円、大規模では数千万円以上に及ぶこともある。費用の大半は解析の工数で、予算化は総額で考える。
出典・参考資料(2件)

フォレンジック調査の費用が高くなる要因

同じ調査でも金額に差が出るのはなぜでしょうか。見積もりが膨らむ主な要因を押さえておくと、提示された金額の妥当性を判断しやすくなります。

  • 対象の台数:費用は端末1台あたりで積み上がるため、調べる台数がそのまま総額に効きます。損害保険会社の想定例も「端末1台あたり約100〜200万円×端末台数分」と、台数連動で費用をとらえています。
  • データ容量:保全・解析するデータ量が大きいほど作業時間が増えます。証拠保全の料金が容量区分(〜512GB・〜1TB・〜2TB)で段階的に上がる会社もあります。
  • 調査の深さ:主要なログだけを素早く確認する簡易・ファスト調査と、削除データの復元まで含む詳細・総合調査では金額が変わります。詳細調査を証拠保全とのセット申込とする会社もあり、作業が積み上がるほど総額が増えます。
  • 緊急度:特急対応・出張・夜間対応はオプション加算の対象です。公開料金でも特急は約5万円から、出張は約10万円から、夜間対応は10万円からといった追加費用が設定されています。
  • 報告書の内容・形式:簡易な報告書と、訴訟や当局提出を見据えた詳細な調査報告書では費用が異なります。報告書自体を独立した料金項目として設けているケースもあります。

これらの要因は組み合わさって効くため、「パソコン1台」という条件が同じでも、台数・容量・調査の深さ・緊急度によって総額は数十万円から数百万円まで動きます。見積もりを取る際は、どの作業までを含んだ金額なのかを確認することが重要です。

フォレンジック調査の流れ・期間と総額の目安

単価や相場に加えて、「調査全体でいつ結果が出るのか」「初動対応を含めたトータルでいくらか」も予算化には欠かせません。ここでは調査の進み方と期間の目安を押さえます。

そもそもフォレンジック調査とは?データ復旧との違い

フォレンジック調査は、パソコンやサーバー、スマートフォンなどに残るデータ・ログ・通信記録を解析し、不正アクセスや情報漏えい、内部不正などの痕跡を法的に有効な形で明らかにする調査です。単にデータを読める状態に戻すデータ復旧とは目的が異なり、「いつ・誰が・何をしたか」を証拠として示せる形で保全・解析する点に主眼があります。

この「証拠として扱えるように保全・解析する」工程に専門知識と工数がかかることが、データ復旧より費用が高くなりやすい理由です。

調査の流れと期間の目安

一般的なフォレンジック調査は、おおむね次の流れで進みます。

フォレンジック調査の流れを4ステップで示す図。STEP1 ヒアリング・見積もり(対象機器・台数・目的・緊急度を確認し費用を見積もる)、STEP2 証拠保全(データを改変しないよう複製して保全)、STEP3 解析・調査(削除ファイルの復元・操作履歴の追跡・不正の痕跡の特定で費用の大半はこの工程)、STEP4 報告書作成・報告(訴訟・当局提出なら証拠能力を備えた形式で作成)。期間の目安は速報が数日〜2週間程度、最終報告書までは数週間〜1か月程度で規模・緊急度による。
  1. ヒアリング・見積もり:対象機器・台数・調査目的・緊急度を確認し、調査範囲と費用を見積もります。
  2. 証拠保全:対象機器のデータを改変しないよう複製(クローン)し、証拠として保全します。
  3. 解析・調査:保全したデータから、削除ファイルの復元、アクセス・操作履歴の追跡、不正の痕跡の特定などを行います。費用の大半はこの工程に由来します。
  4. 報告書作成・報告:調査結果を報告書にまとめます。訴訟や当局への報告に使う場合は、証拠能力を備えた形式で作成します。

調査期間は対象の規模や緊急度によりますが、速報を数日〜2週間程度で出し、最終報告書までを数週間〜1か月程度とする会社が多く見られます。緊急時には特急対応に応じるところもあります。費用は作業単価の合計だけでなく、証拠保全や初動対応を含めたトータルで考えることが大切です(前節の規模別レンジが、この初動対応込みの総額の目安にあたります)。

報告書の証拠能力とサイバー保険による費用補償

費用を検討するうえで、調査結果が社内外でどう使えるか、費用の一部を保険で賄えるかも重要な論点です。

報告書の証拠能力(訴訟・当局提出に使えるか)

退職者とのトラブルや内部不正では、調査報告書を訴訟の証拠として使う場面があります。このとき、データが改変されていないことを証明する一連の管理記録(チェーン・オブ・カストディ)を備えた形で保全・解析されているかが問われます。証拠能力を備えた報告書は作成に工数がかかるため、簡易な報告書より費用が高くなる傾向があります。

また、個人情報の漏えいが疑われる場合、個人情報保護法にもとづく報告義務が関わります。個人情報保護委員会への報告には、次の期限が定められています。

(確報)当該事態を知った日から30日以内(当該事態が前条第3号に定めるものである場合にあっては、60日以内)に…報告しなければならない。

出典:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)|個人情報保護委員会

速報は原文では事態を知ってから「速やかに」と定められ、通則編ガイドラインはその「速やか」の目安をおおむね3〜5日以内としています。確報は30日以内(不正の目的で行われたおそれがある場合は60日以内)が求められます。報告期限があるために調査を急ぐ必要が生じ、特急対応の費用がかかる場面もあります。報告書が当局提出や漏えい対応に使える内容かどうかも、見積もり時に確認しておきたいポイントです。

出典・参考資料(2件)

サイバー保険による費用補償

フォレンジック調査の費用は、サイバー保険(サイバーリスク保険)の補償対象となる場合があります。損害保険会社は、原因・被害範囲の調査費用を補償項目として案内しており、保険金で調査費用の一部または全部を賄えるケースがあります。

補償の範囲や上限は契約内容によって異なるため、すでにサイバー保険に加入している場合は、フォレンジック調査費用が補償対象に含まれるか、どこまで賄えるかを保険会社に確認するとよいでしょう。これにより、自社の実質的な負担額が見えてきます。

出典・参考資料(1件)

見積もりで損をしないための確認ポイントと費用を抑える方法

最後に、見積もりを取る段階で足元を見られないための確認ポイントと、費用そのものを抑える工夫を整理します。

見積もりで確認すべきポイント

  • どの作業までが含まれた金額か:証拠保全のみか、削除データの復元・解析・報告書作成まで含むかを確認します。詳細調査が別料金・セット申込前提の会社もあります。
  • 追加費用の有無:対象台数の追加、データ容量の超過、特急・出張・夜間対応などで加算が発生しないか、見積もりの時点で確認します。
  • 調査範囲の明確化:何を明らかにしたいのか(持ち出しの有無・感染経路・漏えいの範囲など)を具体的に伝えると、過不足のない見積もりになります。
  • 相見積もり:料金体系や単位は会社ごとに異なるため、複数社から見積もりを取ると金額と対応範囲を比較しやすくなります。

費用を抑える方法

  • 調査の目的と範囲を絞る:全データを網羅的に調べるのではなく、確認したい事実に調査範囲を絞ると、解析工数を抑えられます。
  • 初動対応を誤らない:感染や不正が疑われる端末を不用意に操作・初期化すると証拠が失われ、調査が難航して費用が増えることがあります。発覚時は証拠保全を優先します。
  • 平時からログを整えておく:操作ログやアクセスログを日常的に取得・保管しておくと、調査対象を特定しやすくなり、結果として調査範囲と費用を抑えられます。

料金を公開しているサービスで費用の見通しを立てる

ここまで見たように、フォレンジック調査は「要問い合わせ」で総額が読みにくい場面が少なくありません。一方で、端末1台あたりの料金を公開し、予算化しやすい形で提供しているサービスもあります。ここでは、端末(パソコン)の調査に対応するサービスを取り上げます。

ただし、これらは主にパソコン(端末)を対象とする診断で、サーバー・ネットワークまで含む大規模インシデントのフル調査とは対応範囲が異なります。退職者PCの持ち出し確認やマルウェア感染の事後確認など、端末単位で調べたい場合の選択肢として見てください。

端末単位で侵害の有無を事後に調べるこうした診断は「端末侵害診断」とも呼ばれます。何を検出できるか・フォレンジック調査やEDRとどう違うか・場面別の選び方は端末侵害診断とは?何を調べ何が分かるか・費用相場・種類と選び方を解説で整理しています。

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サービス名CoWorker 端末侵害診断サービスFRONTEO フォレンジック調査デジタルデータフォレンジック(DDF)
対象範囲パソコン中心(Windows・Mac)
最大100台まで一括診断
PC・スマホ・サーバー・外部媒体・クラウド
企業不正・情報漏えい調査
パソコン・スマホ・サーバーなど
サイバー攻撃・社内不正・退職者調査
料金の示し方端末1台あたりの実額を公開個別見積もり個別見積もり
料金の目安(税別)診断費用 500,000円/台+初期費用 200,000円(カタログ掲載情報)
トライアル 200,000円/台・複数台はボリューム割引
公式表記「500,000円〜」
(税区分の注記なし。機器1台につき数十万円〜と自社コラム)
実額は非公開
相談・機器状態の確認・見積提示まで無料
証拠保全・報告書訴訟対応を見据えた電子証拠保全に対応
速報1週間・最終報告1か月+報告会
米国訴訟にも対応可能な証拠保全(公式記載)
PFI認定を取得
法的手続きにも活用可能な形式で報告書を作成
経産省 情報セキュリティサービス基準に登録
詳細情報公式資料を見る公式サイト公式サイト

CoWorker 端末侵害診断サービス(CoWorker株式会社)

CoWorker 端末侵害診断サービスの公式サイト

CoWorker株式会社が提供する端末侵害診断サービスは、対象のパソコンから専用ツールでログを収集し、自社開発AIとセキュリティ専門家が事後に解析する、端末フォレンジック診断です。

退職者が使っていたパソコンの持ち出し調査、マルウェア感染の事後確認、年1〜2回の定期的な棚卸しといった、タイミングを区切って「すでに侵害・情報漏えいが起きていないか」を調べる用途に対応します。訴訟対応を見据えた電子証拠の保全にも対応しています。

特徴は、料金を端末1台あたりの実額で公開している点です。MCB FinTechカタログの掲載情報では、診断費用は1端末あたり500,000円(税別)で、別途ヒアリング・導入稼働費として初期費用200,000円がかかります。

また、導入事例としての掲載を条件とするトライアル価格200,000円/台(税別)や、複数台をまとめて依頼する場合のボリュームディスカウント(台数に応じた段階制)も用意されています。Windows・Macに対応し、最大100台までの一括診断が可能です(いずれも2026年10月時点の掲載情報)。

速報レポートを1週間以内、最終レポートと報告会を1か月以内に提供する二段階の報告フローで、経営層向けのサマリーから技術詳細まで、リスクの優先度を付けたレポートが受け取れます。端末単位で費用の見通しを立てたい場合に、相見積もりの候補として検討しやすいサービスです。

ここまでで費用の相場観がつかめたら、次の論点は「どの会社に頼むか」です。調査の実績や対応範囲、料金体系は会社によって差があるため、相見積もりに進む前に、依頼先の候補と選び方のポイントを押さえておくと比較がスムーズになります。デジタルフォレンジックの調査会社の種類と選び方は、次の記事で詳しく解説しています。

まとめ

デジタルフォレンジックの費用は、公開されている作業単位の単価では数万円からですが、証拠保全から解析・報告までを含めた調査全体の総額では、パソコン1台あたり100万円前後からが一つの目安となります。パソコンとサーバー数台程度なら初動対応を含めて概ね300〜400万円程度、大規模なインシデントでは数千万円以上に及ぶこともあります。

金額は対象の台数・データ容量・調査の深さ・緊急度・報告書の形式で変わります。見積もりを取る際は、どの作業まで含んだ金額かを確認し、複数社から相見積もりを取ること、サイバー保険の補償対象になるかを確認することが、損をしないためのポイントです。端末単位で料金を公開しているサービスも含めて、自社の状況に合う依頼先を検討してください。

よくある質問(FAQ)

Q. デジタルフォレンジックとは何ですか?

A. デジタルフォレンジックとは、パソコンやサーバーなどの電子機器に残るデータやログを解析し、不正アクセスや情報漏えい・内部不正などの痕跡を、証拠として扱える形で明らかにする調査です。単にデータを読める状態に戻すデータ復旧とは目的が異なり、「いつ・誰が・何をしたか」を立証できる形で保全・解析します。この証拠として扱う工程に専門知識と工数がかかることが、費用に影響します。

Q. デジタルフォレンジック調査はパソコン1台でいくらかかりますか?

A. パソコン1台のフォレンジック調査は、証拠保全だけなら数万円からですが、削除データの復元や解析まで含めた調査全体では1台あたり100万円前後からが目安です。

公的機関の調査(JNSA、2024年)ではパソコン1台あたり72万〜300万円超、損害保険会社(東京海上日動)の想定例でも端末1台あたり約100〜200万円とされています。費用の大半は証拠保全後の解析・調査の工数に由来するため、どこまで深く調べるかで総額が変わります。

Q. デジタルフォレンジック調査の費用はなぜ高いのですか?

A. フォレンジック調査の費用が高くなるのは、費用の大半が、証拠保全したデータを一つひとつ解析・調査する工数に由来するためです。削除ファイルの復元、アクセス・操作履歴の追跡、不正の痕跡の特定といった作業に専門知識と時間がかかります。さらに、対象の台数・データ容量・調査の深さ・緊急度(特急/出張/夜間)・報告書の形式が積み重なって総額を押し上げます。

Q. デジタルフォレンジック調査にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. フォレンジック調査の期間は対象の規模や緊急度によりますが、速報を数日〜2週間程度、最終報告書までを数週間〜1か月程度とする会社が多く見られます。特急対応を設けている会社もあります。個人情報の漏えいが疑われる場合は個人情報保護法にもとづく報告期限(確報は原則30日以内、不正の目的で行われたおそれがある場合は60日以内)があるため、調査を急ぐ必要が生じることもあります。

Q. デジタルフォレンジック調査の費用はサイバー保険で賄えますか?

A. フォレンジック調査の費用は、サイバー保険(サイバーリスク保険)の補償対象となる場合があります。損害保険会社は原因・被害範囲の調査費用を補償項目として案内しており、保険金で費用の一部または全部を賄えるケースがあります。補償の範囲や上限は契約内容によって異なるため、すでに加入している場合は調査費用が対象に含まれるかを保険会社に確認するとよいでしょう。

Q. フォレンジック調査で削除されたデータは必ず復元・立証できますか?

A. 削除されたデータは、必ず復元・立証できるとは限りません。上書きや初期化が進んでいると復元が難しくなるため、結果を保証できるものではありません。復元できる可能性を高めるためにも、不用意な操作で証拠を失わないよう、疑いが生じた段階で早めに証拠保全を行うことが重要です。

Q. マルウェアに感染したパソコンはすぐに電源を切るべきですか?

A. 感染が疑われるパソコンは、自己判断でむやみに電源を切ったり、初期化・操作したりしないことが大切です。不用意な操作は証拠を失わせ、調査が難航して費用が増える原因になります。できるだけ早く専門業者に相談し、証拠保全を優先してください。

Q. デジタルフォレンジック調査の見積もりには何を伝えればよいですか?

A. 見積もりを依頼する際は、対象機器の種類・台数、調査の目的(持ち出しの有無・感染経路・漏えい範囲など)、緊急度を具体的に伝えると、過不足のない見積もりが得られます。あわせて、どの作業まで含んだ金額か(証拠保全のみか、復元・解析・報告書作成まで含むか)や追加費用の条件も確認しておくと、複数社の金額を比較しやすくなります。

Q. スマートフォンのフォレンジック調査はいくらかかりますか?

A. スマートフォンのフォレンジック調査は、iPhone・Androidとも1台あたり30万円程度を公開している会社があります(GENZの参考料金)。ただしこれは調査項目単位の料金で、実際の総額は削除データの復元や解析の範囲、緊急度によって変わります。パソコンと同様、どの作業まで含む金額かを見積もりで確認してください。

Q. 退職者による情報持ち出しの有無はフォレンジック調査で分かりますか?

A. 退職者による情報持ち出しは、使用していたパソコンやUSBメモリの操作履歴・接続履歴を解析することで、持ち出しの痕跡を調べられます。退職者が使っていた端末の調査は、フォレンジック調査の代表的な用途の一つです。費用は対象の台数やデータ容量、調査の深さによって変わるため、調べたい事実を絞って依頼すると解析工数を抑えられます。

Q. フォレンジック調査の報告書は訴訟の証拠として使えますか?

A. フォレンジック調査の報告書は、データが改変されていないことを証明する管理記録(チェーン・オブ・カストディ)を備えた形で作成すれば、訴訟や当局への提出に使えます。証拠能力を備えた報告書は作成に工数がかかるため、簡易な報告書より費用が高くなる傾向があります。訴訟や当局提出を見据える場合は、報告書の形式を見積もり時に確認しておきましょう。

Q. フォレンジック調査とデータ復旧は何が違いますか?

A. フォレンジック調査とデータ復旧は、目的が異なります。データ復旧がデータを読める状態に戻すことを目的とするのに対し、フォレンジック調査は「いつ・誰が・何をしたか」を証拠として示せる形で保全・解析します。証拠として扱えるように保全・解析する工程に専門知識と工数がかかるため、フォレンジック調査はデータ復旧より費用が高くなりやすい点が違いです。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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