取引先から届いた契約書のドラフトを前に、「これは法務や弁護士に確認してもらわないと」と思ったものの、依頼のメールを開いたまま手が止まってしまうことがあります。件名をどう書くか、本文で何をどこまで伝えればよいか、添付は何を付けるべきか——迷いどころは多く、書き方ひとつで相手の確認スピードや差し戻しの回数も変わります。
本記事では、契約書などのリーガルチェック(契約内容を法的な観点から確認する作業)を依頼するメールについて、社内の法務部門・外部の弁護士・行政書士という依頼先別に、そのまま使える例文を示します。あわせて、依頼メールに必ず入れたい項目と各パートの書き方、依頼先によって変えるべき情報の違い、送信前の点検ポイントまで整理します。自分のケースに合う一通をすぐに書き上げるための材料としてご活用ください。
目次
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依頼先別のコピペ用依頼メール例文(社内法務/外部弁護士/行政書士)
まずは、そのままコピーして使える依頼メールの例文を依頼先別に示します。〔 〕で囲んだ箇所は、自社の状況に合わせて差し替えてください。各項目をなぜ入れるのか、どう書けば伝わりやすいかは、次章以降で詳しく説明します。
そもそもどこに頼むか迷う場合は、依頼先ごとの違いの章を先にご覧ください。
「特に見てほしい点」が思いつかないときは、無理に挙げず「全体をご確認ください」とすれば十分です。契約の種類ごとの書き方は、記事後半の契約類型別の論点の書き方で説明します。
社内の法務部門へ依頼する例文
社内の法務担当者への依頼は、やり取りの履歴が残るメールで、背景と見てほしい点を具体的に伝えるのが基本です。同じ会社であっても事業の事情は相手に伝わっていないため、取引の位置づけから書き添えます。
件名:【契約書レビュー依頼】〔契約書名〕(〔取引先名〕との〔取引の種類〕)/〔希望回答日〕まで 法務部 〔担当者名〕様 お疲れさまです。〔部署名〕の〔氏名〕です。 〔取引先名〕と進めている〔取引の概要:例 新規の業務委託〕について、先方から契約書ドラフトを受領しました。 締結前にリーガルチェックをお願いしたく、ご依頼します。 ■ 取引の背景・目的 〔いつから・どのような取引か、金額規模や継続期間など、判断の前提になる情報〕 ■ 特に確認してほしい点 ・〔論点1:例 損害賠償の上限が定められていないこと〕 ・〔論点2:例 中途解約の条件が自社に不利でないか〕 ・〔論点3:例 再委託の可否〕 ■ 回答希望日・優先度 〔希望日〕までにご確認いただけますと助かります。〔先方の締結希望日など急ぐ理由があれば記載〕 ■ 添付資料 ・契約書ドラフト(Word版) ・〔あれば:先方とのこれまでのやり取り、提案書、見積書など〕 ご不明点があればお知らせください。よろしくお願いいたします。 〔署名:会社名・部署・氏名・連絡先〕
参考に、上の型を架空の例で埋めた完成見本も示します。実際には自社・取引先の情報に置き換えてください。
件名:【契約書レビュー依頼】業務委託基本契約書(株式会社サンプル商事との新規委託)/10月15日まで 法務部 田中様 お疲れさまです。営業企画部の佐藤です。 株式会社サンプル商事と進めている新規の業務委託(当社がWebサイト制作を受託)について、先方から契約書ドラフトを受領しました。 締結前にリーガルチェックをお願いしたく、ご依頼します。 ■ 取引の背景・目的 今期の新規取引で、初回の制作費は約300万円、来期以降も継続の可能性があります。当社は受託者の立場です。 ■ 特に確認してほしい点 ・損害賠償の上限が定められているか ・成果物の著作権の帰属 ・検収の基準とスケジュール ■ 回答希望日・優先度 10月15日までにご確認いただけますと助かります。先方が10月20日の締結を希望しており、余裕を見てお願いできればと思います。 ■ 添付資料 ・契約書ドラフト(Word版) ・先方からの提案書 ご不明点があればお知らせください。よろしくお願いいたします。 営業企画部 佐藤花子 内線1234/sato@example.co.jp
外部の弁護士へ依頼する例文
顧問弁護士や新たに依頼する弁護士へのメールでは、社内の前提を相手が共有していない分、取引の背景をより丁寧に書きます。あわせて、費用や納期の見積り、初回であれば自社の簡単な紹介を添えると、やり取りがスムーズになります。
弁護士費用は契約の種類・分量や確認の深さによって幅があるため、金額を決め打ちにせず、見積りを相談する前提で書くとよいでしょう。秘密情報を含むため、秘密保持の取り決めの有無も確認しておくと安心です。
件名:契約書リーガルチェックのご依頼(〔自社名〕/〔契約書名〕) 〔法律事務所名〕 〔弁護士名〕先生 お世話になっております。〔自社名〕〔部署名〕の〔氏名〕と申します。 〔顧問契約を結んでいる場合はその旨/初回の場合は自社の事業概要を1〜2文〕 このたび、〔取引先名〕との〔取引の種類〕にあたり、下記の契約書についてリーガルチェックをお願いしたくご連絡しました。 ■ 取引の背景・目的 〔取引の概要、自社の立場(委託者か受託者か等)、金額規模、継続性など〕 ■ 特に確認・ご助言いただきたい点 ・〔論点1〕 ・〔論点2〕 ・〔自社として譲れない条件や懸念があれば明記〕 ■ ご相談したい事項 ・ご対応の可否と、お見積り(費用の目安) ・〔希望日〕までのご回答が可能か(納期) ・修正案の作成まで含めてご対応いただけるか ■ 添付資料 ・契約書ドラフト(Word版) ・〔関連資料があれば〕 なお、本件には取引条件等の秘密情報が含まれます。秘密保持について必要なお手続きがあればご教示ください。 お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。 〔署名:会社名・部署・氏名・連絡先〕
行政書士へ依頼する例文
行政書士には、契約書の作成や内容の確認、作成についての相談を依頼できます。依頼メールの作りは弁護士への依頼と似ていますが、お願いするのは「契約書という書類の作成・チェック」である点を踏まえ、確認してほしい条項を具体的に挙げると進めやすくなります。依頼できる範囲は次章「依頼先で変える『伝える情報の違い』」で整理します。
件名:契約書の作成・内容確認のご依頼(〔自社名〕/〔契約書名〕) 〔事務所名〕 行政書士 〔氏名〕様 はじめてご連絡いたします。〔自社名〕〔部署名〕の〔氏名〕と申します。 〔どのように知ったか・紹介者があれば一言〕 〔取引先名〕との〔取引の種類〕で取り交わす契約書について、内容の確認と必要な修正をお願いしたくご相談します。 ■ 依頼したい内容 ・契約書ドラフトの内容確認(〔抜けている取り決めや記載の不備がないか など〕) ・〔必要に応じて:契約書の修正案の作成〕 ■ 取引の概要 〔どのような取引か、自社の立場、契約期間や金額の規模など〕 ■ 特に見てほしい点 ・〔論点1〕 ・〔論点2〕 ■ ご相談したい事項 ・ご対応の可否とお見積り ・〔希望日〕までにご対応いただけるか ■ 添付資料 ・契約書ドラフト(Word版) ご不明点があればお知らせください。どうぞよろしくお願いいたします。 〔署名:会社名・部署・氏名・連絡先〕
依頼メールに必ず入れる項目と、各パートの書き方
ここからは、例文を自分のケースに合わせて書き直せるよう、依頼メールに入れる項目と、特に迷いやすい件名・論点の書き方を説明します。それぞれの項目が、確認する側のどの作業を助けるのかをあわせて押さえると、過不足のない依頼になります。
必ず入れる5項目と、それが相手の作業をどう助けるか
依頼メールに入れたい要素は、大きく次の5つです。いずれも「相手が速く正確に確認するために必要な情報」という共通の役割を持っています。

- 件名(用件・契約名・期限):受け取った側が、何の依頼で・いつまでかを一覧画面で判断できます。優先順位をつけて着手するための最初の手がかりになります。
- 取引の背景・目的:契約書の条文は、取引の実態が分かって初めて「自社に不利か」を判断できます。誰とどのような取引で、自社がどちらの立場かが分かると、確認する側は条項の妥当性を具体的に検討できます。
- 特に見てほしい論点:気になっている条項を挙げておくと、確認する側はそこを重点的に見られます。全体を一から精査する場合でも、依頼者が引っかかった点は交渉や社内説明で論点になりやすく、優先して確認する手がかりになります。
- 回答期限・優先度:いつまでに必要かが分かると、相手は他の案件との間で段取りを組めます。先方の締結希望日など急ぐ理由も書き添えると、優先度の判断材料になります。
- 添付資料:確認に必要な資料(契約書ドラフト、関連するやり取りや見積書など)を揃えて添付すると、相手は追加の問い合わせなしで作業に入れます。編集できるWord版を付けると、修正案もそのまま返してもらいやすくなります。
メールで依頼すると、これらの情報と確認結果が文章で残り、後から経緯を追えます。口頭やチャットだけで済ませると、伝えたつもりの前提が抜けたり、どのやり取りが最終版かが分からなくなったりしやすいため、依頼の起点はメールにまとめておくと確実です。
件名の付け方(用件・契約名・期限・緊急度を一目で)
件名は、本文を開く前に優先度を判断してもらうための要素です。用件・契約名・希望期限が入っていると、受信箱の一覧で何の依頼かがすぐ伝わります。冒頭の用件は「リーガルチェック依頼」でも「契約書レビュー依頼」でも構いません。社内で通りやすい呼び方に揃えれば十分です。
- 改善前:「契約書の件」「ご確認お願いします」——用件も期限も分からず、後回しにされやすい
- 改善後:「【契約書レビュー依頼】業務委託契約書(〇〇社)/10月15日まで」——依頼内容・対象・期限が一目で伝わる
急ぎの場合は、件名の冒頭に「【至急】」や「【期限:10/10】」のように緊急度を示すと、優先して対応してもらいやすくなります。ただし、本当に急ぐ案件に限って使わないと、緊急表示が効かなくなる点には注意します。
契約類型別に「見てほしい論点」をどう書くか
「特に見てほしい論点」は、契約の種類によって着目点が変わります。どこを見てほしいかを具体的に書くほど、確認する側は依頼者の懸念に沿って見られます。代表的な契約類型での書き方の例を挙げます。
- 業務委託契約:「委託する業務の範囲と成果物の定義が明確か」「再委託の可否」「報酬の支払条件と検収の基準」「損害賠償の範囲・上限」を見てほしい、と書く
- 秘密保持契約(NDA):「秘密情報の定義が広すぎ/狭すぎないか」「秘密保持の期間」「目的外利用の禁止と例外」「契約終了後の返還・破棄の取り決め」を確認してほしい、と書く
- 売買・取引基本契約:「所有権の移転と危険負担の時期」「契約不適合責任(旧・瑕疵担保)の内容と期間」「支払条件」「解除の要件」を見てほしい、と書く
自社に不利な条項が含まれていないか、必要な取り決めが抜けていないかという観点で挙げると、確認する側も検討の軸を共有しやすくなります。思い当たる論点がない場合は、無理に挙げず「全体をご確認ください」としたうえで、取引の背景を丁寧に伝えれば十分です。
依頼先(社内法務・弁護士・行政書士)で変える「伝える情報の違い」
依頼メールの骨格はどの依頼先でも共通ですが、盛り込む情報の重点は相手によって変わります。まず、どこに頼むかの使い分けを押さえたうえで、依頼先ごとの違いを見ていきます。
契約書の作成やチェックそのものは、社内の法務部門だけでなく、外部の弁護士や行政書士にも依頼できます。ただし、任せられる範囲は依頼先によって異なります。
行政書士は、契約書のような「権利義務又は事実証明に関する書類」を作成し、その作成について相談に応じることを業として行えます(行政書士法第1条の3、第1条の4)。一方で、紛争性のある案件についての鑑定・代理・交渉といった法律事務は弁護士の業務とされており、弁護士でない者が報酬を得てこれらを扱うことはできません。
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
出典:弁護士法 第七十二条|e-Gov 法令検索
このため、契約書の文面を整える・内容を確認してもらうことは行政書士にも依頼できますが、相手方との交渉や、紛争を見据えた法的な判断まで含めて任せたい場合は弁護士が適しています。これを踏まえ、依頼先ごとに重点を置く情報は次のように変わります。

- 社内の法務部門:社外よりも事業の文脈を共有しやすい一方、担当者が取引の細部まで把握しているとは限りません。取引の背景・社内での位置づけ・関連する過去の契約などを具体的に共有すると、判断が速くなります。社内だからと前提を省略しすぎないのがポイントです。
- 外部の弁護士:自社の事情を共有していないため、取引の背景を厚めに書きます。あわせて、費用の見積り・納期・初回なら自社の紹介・秘密保持の扱いを確認しておくと、着手までが円滑です。交渉や法的リスクの判断まで依頼できるのが強みです。
- 行政書士:契約書の作成・内容確認・作成の相談を依頼できます。見てほしい条項を具体的に挙げ、「書類としての契約書を整える」依頼として伝えると進めやすくなります。紛争性のある交渉や訴訟を見据えた判断が必要な場合は、弁護士への依頼を検討します。
出典・参考資料(1件)
やりがちな失敗・入れ忘れと送信前の点検
依頼メールでよくあるのは、情報が足りずに相手から確認の問い合わせが返ってきて、やり取りが往復してしまうケースです。送信前に、次の点検リストで自分のメールを見直すと、差し戻しを減らせます。
- 契約書ドラフトを添付したか。編集できるWord版になっているか(PDFだけだと修正案を返しにくい)
- 取引の背景・目的を書いたか。条文だけ見て判断できない前提が共有されているか
- 「何を見てほしいか」が伝わるか。「よろしく確認お願いします」だけで終わっていないか
- 回答期限を具体的な日付で示したか。「なるべく早く」は人によって解釈が分かれる
- 件名で用件・対象・期限が分かるか
- 秘密情報を含む場合、送付先や共有範囲に問題がないか。外部への依頼では秘密保持の扱いを確認したか
依頼後のフォロー(差し戻し・再確認・版管理)
依頼して終わりではなく、返ってきた後のやり取りも、スムーズに進めるコツがあります。
確認結果が返ってきたら、修正や指摘の意図が分かりにくい箇所は早めに聞き返すのが望ましいでしょう。あいまいなまま相手方との交渉に進むと、後から認識のずれが表面化しやすいためです。相手方の修正を反映した契約書を再度確認してもらう場合は、どこを直したかが分かるよう、変更箇所をコメントや変更履歴で示すと確認が速くなります。
あわせて注意したいのが版(バージョン)の管理です。メールに契約書ファイルを添付して何度もやり取りすると、どれが最新版かが分からなくなりがちです。ファイル名に日付や版数を入れる、最新版の所在を一か所に決めておくといった運用を決めておくと、取り違えを防げます。
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依頼のやり取り自体を楽にする方法(外部への確認・受付の一元化・やり取りの集約)
依頼メールの書き方を整えても、依頼が増えると「依頼の入り口がばらばら」「どのやり取りが最新版か分からない」「毎回同じ説明を書く」といった手間が積み重なります。
こうした往復そのものを減らす手段として、外部への契約書レビューをまとめて任せられるサービス、法務への依頼受付を一元化するサービス、依頼のやり取りや契約書の版を集約して管理するサービスがあります。ここでは、依頼のやり取りを効率化するという観点で、3つのサービスを紹介します。
| サービス名 | CLOUD LEGAL(クラウドリーガル) | 法務オートメーション「OLGA」 | Hubble |
|---|---|---|---|
| 依頼のやり取りの変え方 | 外部への依頼を丸ごと代替 (AI×弁護士が契約書レビュー・法務相談を代行) | 依頼の受付を一元化 (受付フォームで依頼の入り口を整える) | 依頼・やり取りを集約 (メール往復や入り口のばらつきを解消) |
| 主な機能 | 契約書レビュー代行(最短翌営業日納品) 弁護士・専門士業への法務相談 Microsoft Word上でAIレビューが完結 | 受付フォームの自動生成 メール・Slack・Teamsのまま依頼(事業部アカウント不要) AIが不足情報を自動ヒアリング | メール・Slack・専用フォームから依頼を案件単位に集約 メール返信が案件コメントに同期 Word/Excelの版を自動管理・差分抽出 |
| 料金 | 初期費用0円 月額11,000円(税込)〜 | 標準プランは要お問い合わせ 中小企業向けプランは初期10万円・月額1万円〜(税別) | 要お問い合わせ (ID数・格納件数などで変動。無料トライアルあり) |
| 提供会社 | MOLTON株式会社 | GVA TECH株式会社 | 株式会社Hubble |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | オンライン相談を予約 |
※料金・機能は2026年10月時点の各社公式情報にもとづきます。料金が非公開のサービスは「要お問い合わせ」と記載しています。最新の内容は各サービスの公式情報・資料でご確認ください。
ここで挙げたのは依頼のやり取りを効率化するサービスですが、レビューそのものを外部に任せたい場合は、AIによるレビューと弁護士によるレビューで確認の深さ・スピード・費用の相場が変わります。契約書レビューサービスの種類ごとの違いや費用、自社に合うサービスの選び方は、次の記事で詳しく比較しています。
契約書レビューサービス比較おすすめ13選|AI・弁護士レビューの違い・使い分けと費用・選び方を解説
「この契約書、このまま締結して問題ないだろうか」。取引先から届いた契約書を前に、法務や管理部門の担当者がこう迷う場面は少なくありません。締結の期限が迫るほど、リスクの見落としへの不安は大きくなります。 一方で、すべての契約書を弁護士に都度依…
CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)(MOLTON株式会社)

CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)は、MOLTON株式会社が運営する、生成AIと弁護士・専門士業の体制を組み合わせた法務サービスです。契約書の作成・レビュー・法務相談などをオンラインで提供し、自社に法務の専任者や顧問弁護士を置いていない企業が、その役割を外部に委ねる使い方を想定しています。
契約書レビューでは、AIによる一次チェックと専門家による確認を組み合わせ、必要な修正まで対応します。依頼する側から見ると、弁護士へ個別にメールで依頼する代わりに、契約書の確認そのものをオンラインで任せられる形になります。
普段使うMicrosoft Word上でAIと対話しながらレビューを進められる機能も備えており、既存の業務の流れを大きく変えずに使えます。料金は月額11,000円(税込)からのプランが用意され、初期費用はかかりません(2026年10月時点)。
確認を外部に委ねたとき、回答までのスピードはどう変わるのか。MOLTON株式会社の金沢由樹氏は、ある上場企業が従来の顧問弁護士と併用した事例について、次のように述べています。

特に分かりやすいのが対応スピードです。従来の顧問弁護士だと回答に1〜2週間かかることがありましたが、クラウドリーガルの弁護士相談や契約書レビュー・リーガチェックは1日、2日でお返しできています。
法務オートメーション「OLGA」(GVA TECH株式会社)

法務への依頼がメール・チャット・口頭に散らばると、対応状況の把握や引き継ぎが難しくなります。法務オートメーション「OLGA」(GVA TECH株式会社)は、こうした法務案件の依頼受付から契約書の管理までを一元化するクラウド型のプラットフォームで、受付の入り口を整える点に特徴があります。
事業部門はメール・Slack・Teams など普段のツールのまま法務部門へ依頼でき、専用アカウントは不要です。受け付けた案件は、契約書のバージョン・コメント・参考資料・やり取りの履歴とともに案件単位で蓄積されます。
依頼メールをAIが解析して不足情報を自動で追加ヒアリングする機能もあり、「背景が書かれていない」「論点が不明確」といった差し戻しの往復を減らす方向で設計されています。料金は導入する機能に応じた個別見積りが基本で、小規模に始められる中小企業向けの契約管理プラン(初期費用10万円・月額1万円〜、いずれも税別)も用意されています(2026年10月時点)。
Hubble(株式会社Hubble)

WordやExcelで契約書を編集・保存するたびに、版が自動で管理される——Hubble(ハブル/株式会社Hubble)は、契約書の作成から締結後の管理までを1つのクラウド上で扱うサービスです。Microsoft Word に最適化され、前のバージョンとの差分も自動で抽出されるため、メール添付の往復で起きる「最新版がどれか分からない」問題に直接対応できます。
依頼の受付では、メール・Slack・専用フォームから届いた依頼を案件単位に集約し、メールでの返信がそのまま案件のコメントに反映されます。やり取りが個人のメールに分散せず、依頼の入り口と経緯を一か所にまとめられるため、「誰がどの案件を見ているか分からない」状態を避けやすくなります。料金は企業規模や課題に応じた個別提案で、無料トライアルも用意されています(2026年10月時点、金額は要問い合わせ)。
依頼の入り口が整っていないと、現場では何が起きるのか。株式会社Hubbleの安田氏は、導入相談で多い課題として次のように説明しています。

もっとも多いのは、「全社のガバナンスをきちんと統制したい」という、ある意味で概念的な理由です。これを少し噛み砕きますと、契約依頼の入り口の部分が、電話、メール、口頭などバラバラになっていて、誰が今どの案件を対応しているのか分からない、どんな契約書を誰が作っているのか把握できない、完成した契約書がどこに保管されているのかも人によってバラバラ、といったご状況が多いです。
まとめ
リーガルチェックの依頼メールは、依頼先に合わせて、取引の背景・見てほしい論点・回答期限・添付資料を過不足なく伝えることが要点です。社内の法務部門には事業の文脈を、外部の弁護士には背景を厚めに加えて費用や納期の確認を、行政書士には契約書の作成・内容確認の依頼として、それぞれ重点を変えて書きます。送信前に点検リストで入れ忘れを確認すれば、差し戻しの往復を減らせます。
依頼そのものが頻繁になり、やり取りの管理が負担になってきた場合は、受付や契約書のやり取りを一元化するサービス、確認を外部に任せられるサービスの利用も選択肢になります。自社の状況に合わせて、まずは資料を取り寄せて比べてみるとよいでしょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. リーガルチェックの依頼メールとは何ですか?
A. リーガルチェックの依頼メールとは、契約書などの内容を法的な観点から確認してもらうために、社内の法務部門や外部の弁護士・行政書士へ送る依頼の文面です。件名・取引の背景や目的・特に見てほしい論点・回答期限・添付資料の5点を過不足なく盛り込むことで、受け取った相手が速く正確に確認できます。メールにしておくと、依頼した内容と確認結果が文章で残り、後から経緯を追える利点もあります。
Q. リーガルチェックを弁護士に依頼するとき、費用と納期はメールでどう伝えればよいですか?
A. 最初の依頼メールで「希望の回答期限(具体的な日付)」を示し、あわせて費用の見積りを相談するのが基本です。レビューの深さは契約の重要度や急ぎ具合によって変わるため、先に希望条件を伝えると、弁護士側も見積りとスケジュールを正確に出せます。
たとえば「〇月〇日までに契約を確定したいため、〇日までにレビュー案と費用の目安をいただけますでしょうか」と、期限と見積り依頼をセットで書くと行き違いが起きにくくなります。
Q. 急ぎのリーガルチェック依頼で、優先度や理由はどう示せばよいですか?
A. 件名の冒頭に「【至急】」「【期限:〇/〇】」と付け、本文で急ぐ理由を一文で添えます。相手方が求める締結希望日、社内のリリース日、決裁のタイミングなど、なぜ急ぐのかを簡潔に説明すると、相手は優先度を判断して段取りを組めます。ただし、緊急表示は本当に急ぐ案件に限って使うのがポイントです。多用すると「至急」が効かなくなり、いざというときに優先してもらいにくくなります。
Q. リーガルチェックを依頼するとき、契約書はWordとPDFのどちらで添付すればよいですか?
A. 修正案の作成まで依頼する場合は、編集できるWord版で添付するのが基本です。PDFだけだと、相手が修正案や変更履歴を直接返しにくく、やり取りが増えがちです。確認だけでなく修正まで任せたいときは、変更履歴やコメントを付けられるWord版を添えると、そのまま直して返してもらえます。あわせて、送付先や共有範囲に秘密保持上の問題がないかも確認しておくと安心です。
Q. リーガルチェックのために契約書をメールで外部へ送るとき、NDA(秘密保持契約)は必要ですか?
A. 契約書のドラフトには社名・取引条件・金額などの秘密情報が含まれるため、外部へ送る際は秘密保持の取り決めをしたうえで送るのが安全です。NDAを交わしておくと、情報が外部に漏れた場合の責任範囲を明確にでき、交渉の過程でも安心感が高まります。
ただし、すでに取引関係があり包括的なNDAが有効な相手であれば、個別に結び直す必要はありません。弁護士のように法律上の守秘義務がある専門家に依頼する場合も、念のため秘密保持の扱いを確認しておくとよいでしょう。
Q. リーガルチェックの依頼は、社内の法務部門と外部の弁護士で書き方がどう違いますか?
A. 最も変わるのは、取引の背景をどこまで厚く書くかと、費用・納期の確認が要るかどうかです。社内の法務部門には事業の文脈を共有しやすい一方、担当者が取引の細部まで把握しているとは限らないため、背景や社内での位置づけを具体的に伝えます。
外部の弁護士には自社の事情が共有されていないので背景をより丁寧に書き、あわせて費用の見積り・納期・(初回なら)自社の紹介・秘密保持の扱いを確認します。依頼メールの骨格(件名・背景・論点・期限・添付)はどちらも共通です。
Q. 契約書のリーガルチェックは行政書士にも依頼できますか?
A. 行政書士には、契約書の作成・内容の確認と、その作成についての相談を依頼できます。契約書は「権利義務又は事実証明に関する書類」にあたり、行政書士法で作成とその相談が業務として認められているためです。
一方で、紛争性のある案件の鑑定・代理・交渉といった法律事務は弁護士の業務とされ、弁護士でない者が報酬を得てこれらを扱うことはできません(弁護士法第72条)。このため、契約書の文面を整える・内容を確認してもらうことは行政書士に依頼できますが、相手方との交渉や紛争を見据えた法的判断まで含めて任せたい場合は弁護士が適しています。
Q. メールでやり取りした契約でも法的に有効ですか?
A. 契約は申込みと承諾の合意があれば成立し、原則として書面の作成などの方式を備える必要はないため、メールでのやり取りでも法的に有効です(民法第522条)。契約の当事者間で「申込みと承諾」があれば、メールによる合意でも契約は成立します。
ただし、メール上のやり取りは後から「どの時点の合意が最終か」が争いになりやすいため、重要な契約は最終版を書面(電子契約を含む)で確定し、合意の内容と日時を記録に残しておくと安全です。
出典・参考資料(1件)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















