取引先から差し入れを求められた秘密保持の誓約書、入社や退職の際に従業員へ書いてもらう誓約書、相手から届いた念書。こうした誓約書を前にして、「このまま確定してよいのか」「どこを確認すればよいのか」と迷った経験はないでしょうか。誓約書は契約書と違い、一方が差し入れる片務的な書面であるため、確認すべき点を見落としたまま取り交わしてしまいがちです。
しかも誓約書は、署名すれば必ずそのとおりの効力を持つわけではありません。秘密保持の範囲が広すぎたり、退職後の競業を過度に制限したり、従業員に高額な違約金を課したりする条項は、公序良俗や労働基準法などの観点から無効・減額と判断されることがあります。逆に、必要な条項が抜けていれば、いざというときに守ってもらえません。
本記事では、誓約書と契約書の違いから、誓約書の法的効力と無効・減額されうる要件、秘密保持・競業避止・入退社・身元保証など種類別の「見るべき条項と危険サイン」までを整理します。そのうえで、確認を社内・弁護士・AIレビューのどれで回すか、費用相場や依頼の流れ、確認を効率化するサービスまで解説します。手元の誓約書を安心して取り交わすための判断材料としてご活用ください。
目次
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誓約書とは?契約書との違い(片方だけが署名する書面)
誓約書とは、一方の当事者が相手に対して「一定の事項を守る」と約束し、その内容を記して差し入れる書面です。秘密保持誓約書・入社時や退職時の誓約書・身元保証書・念書などが代表例にあたります。契約書が当事者双方の合意を記して両者が署名・押印するのに対し、誓約書は差し入れる側だけが署名・押印する点が大きな違いです。
署名するのが片方だけでも、誓約書には法的な拘束力が生じ得ます。差し入れた側がその内容に同意したことを示す証拠となり、記載された義務を守らなければ、相手は履行の請求や損害賠償を求められる場合があるためです。「契約書ではないから大丈夫」と軽く考えて署名すると、思わぬ義務を負うことになりかねません。
一方で、片務的な書面だからこそ、差し入れる側に一方的に不利な条項が盛り込まれやすいという側面もあります。従業員などに書いてもらう側(受け取る側)にとっても、過大な条項は後から無効と判断されれば結局守ってもらえないため、適切な内容にしておくことが必要です。だからこそ、取り交わす前にどこを確認すべきかを押さえておくことが、受け取る側・差し入れる側の双方にとって重要になります。
誓約書の法的効力と「無効・減額されうる」要件
ここからは、誓約書がどこまで効力を持ち、どんな場合に無効・減額されうるのかを整理します。確定前に直すべきリスクの核心であり、誓約書特有の確認ポイントの土台になる部分です。条項が丸ごと無効になるだけでなく、違約金などの金額が過大な場合には、公序良俗に反する部分が認められず結果的に減額される形になることもあります。
署名しても「そのとおりの効力」を持たない場合は、大きく無効・取消し・減額の3つに分かれます。それぞれ根拠と効力の失われ方が異なります。

公序良俗や強行法規に反する内容は無効になる
誓約書に署名したとしても、その内容が社会的に許される限度を超えていれば効力は認められません。民法は、公の秩序や善良の風俗に反する法律行為を無効と定めています。退職後の競業を過度に制限する条項や、暴利的な違約金の定めが無効と判断されるのは、この規定が根拠になります。
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
出典:民法 第90条|e-Gov 法令検索
また、労働基準法のように当事者の合意より優先して適用される強行法規に反する条項も、合意があっても効力を持ちません。誓約書の内容が法令の枠内に収まっているかは、確認の出発点になります。
強迫・詐欺で署名させられた誓約書は「取り消せる」
脅されて、あるいは騙されて署名した誓約書は、当然に無効となるわけではなく、「取り消すことができる」という扱いになります。民法は、詐欺または強迫による意思表示を取り消せると定めています。取消しは、取消権を行使してはじめて効力を失わせるものである点で、最初から効力のない「無効」とは区別されます。
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
出典:民法 第96条|e-Gov 法令検索
署名を迫られた経緯に問題がある場合でも、放置すれば有効なものとして扱われる余地が残ります。取り消したい事情があるなら、速やかに意思表示をすることが必要です。
条項の種類ごとに効力の限界が異なる
公序良俗や強行法規という一般原則に加えて、誓約書は条項の種類ごとに固有の法的な制約を受けます。競業避止は職業選択の自由との関係で、従業員への違約金は労働基準法との関係で、身元保証は専用の法律と個人根保証のルールとの関係で、それぞれ効力に限界があります。次の章では、こうした類型ごとの根拠と危険サインを具体的に見ていきます。
誓約書の種類別チェック|見るべき条項と危険サイン
ここからが、手元の誓約書を確認するための中心になります。まず主な5類型について、特に見るべき条項と、効力が問題になりやすい危険サインを一覧で示します。自社の書式がどの類型にあたるかを確かめ、該当する行から読み進めてください。「念書」も、呼び名は違っても中身は秘密保持・遵守事項・損害賠償などの誓約にあたることが多く、記載されている内容に応じて下記のいずれかの類型として確認できます。
| 誓約書の種類 | 秘密保持誓約書 | 競業避止(退職後の競業制限)誓約書 | 入社・退職時の誓約書 | 身元保証書 | 損害賠償・違約金の定め |
|---|---|---|---|---|---|
| 特に見るべき条項 | 秘密情報の定義・範囲、目的外使用の禁止、有効期間 | 期間・地域・禁止される職種の範囲、代償措置、守るべき利益 | 秘密保持・競業避止・遵守事項の具体性、違反時の扱い | 保証期間、極度額(上限額)の定め、責任の範囲 | 賠償・違約金の根拠と金額、相手が従業員か取引先か |
| 効力が問題になりやすい危険サイン | 「業務上知り得た一切の情報」など範囲が無限定 管理実態のない情報まで秘密扱い | 期間が長すぎる・地域や職種が無限定 代償措置が何もない | 何に同意したか不明確な包括同意 過大な義務を一括で課している | 期間が無期限・自動更新 極度額(上限額)の定めがない | 従業員に違約金・賠償額を予定している 金額が過大・暴利的 |
※上記は確認の着眼点を整理したものです。個別の誓約書の有効性は、記載内容と具体的な事情により判断されます。
秘密保持誓約書
秘密保持誓約書では、何を秘密として守るのか(秘密情報の定義・範囲)、どこまで使ってよいか(目的外使用の禁止)、いつまで義務が続くか(有効期間)を確認することが重要です。範囲が「業務上知り得た一切の情報」のように無限定だと、差し入れる側の負担が過大になり、かえって守りにくくなります。
秘密情報を実際に法的に保護したい場面では、不正競争防止法上の「営業秘密」に当たるかどうかが問題になります。同法は営業秘密を次のように定義しており、ここに秘密管理性・有用性・非公知性の3要件が含まれています。
6 この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
出典:不正競争防止法 第2条第6項|e-Gov 法令検索
経済産業省の資料も、営業秘密と認められるには「①秘密として管理されていること(秘密管理性)、②事業活動にとって有用であること(有用性)、③公然と知られていないことの3要件を満たす必要があります」と解説しています。誓約書で秘密と定めても、実際に秘密として管理する措置が伴わなければ、営業秘密としての保護は受けにくくなります。範囲を絞り、管理実態と結びつけることが危険サインを避けるポイントです。
出典・参考資料は以下のとおりです。
出典・参考資料(1件)
競業避止(退職後の競業制限)誓約書
退職後に競合他社へ転職しない、競合事業を始めないといった義務を課す競業避止の誓約書は、効力が最も争われやすい類型です。誰もが本来、職業を自由に選べるためです。日本国憲法も「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」(第22条第1項)と定めています。
この自由は本来、国家との関係での権利ですが、その趣旨を踏まえて、私人間の誓約書でも過度な競業制限は民法90条の公序良俗に反するものとして無効と判断されることがあります。どこまでが「過度」かは、経済産業省の資料が判例を踏まえて整理した次の枠組みが参考になります。
判例上、競業避止義務契約の有効性を判断する際にポイントとなるのは、①守るべき企業の利益があるかどうか、①を踏まえつつ、競業避止義務契約の内容が目的に照らして合理的な範囲に留まっているかという観点から、②従業員の地位、③地域的な限定があるか、④競業避止義務の存続期間や⑤禁止される競業行為の範囲について必要な制限が掛けられているか、⑥代償措置が講じられているか、といった項目である。
出典:秘密情報の保護ハンドブック 参考資料5|経済産業省
したがって危険サインは、存続期間が長すぎる、地域や禁止される職種が無限定、そして代償措置がないことです。同資料は代償措置について「代償措置と呼べるものが何も無い場合には、有効性を否定されることが多い」と述べています。
退職後の競業制限を有効に機能させたいなら、守るべき利益を明確にしたうえで、期間・地域・職種・代償措置をこの枠組みに照らして合理的な限度に絞ることが必要です。逆に、守るべき利益がはっきりせず、期間や範囲が広いのに代償措置もない条項は、合意があっても無効と判断されやすい危険サインです。
入社・退職時の誓約書
入社時や退職時に取り交わす誓約書は、秘密保持・競業避止・遵守事項などが1通に束ねられていることが多い類型です。入社時は在職中の秘密保持と遵守事項が中心になり、退職時は在職中に知った秘密情報の持ち出し禁止と、退職後の競業避止が焦点になります。
見る所がタイミングで変わるため、それぞれの義務について、ここまで述べた秘密保持(営業秘密の3要件)や競業避止(合理的な範囲と代償措置)の観点で確認することが大切です。
注意したいのは、「会社の定めるルールをすべて守る」といった包括的な同意だけで済ませている書式です。何に同意したのかが不明確なままだと、後から過大な義務を主張される余地が生まれます。
具体的には、退職時の誓約書に「退職後◯年間は同業他社への転職・開業を行わない」といった競業避止が、代償措置の定めなく紛れ込んでいることがあります。前述のとおり、こうした制限は期間・地域・職種が広すぎたり代償がなかったりすると無効と判断されやすいため、束ねられた書面でも競業避止の条項だけは単独で取り出して有効性を確かめることが重要です。
また「在職中・退職後に会社が被った損害は全額賠償する」という包括的な賠償条項が入っていることもあります。従業員に対しては損害賠償額をあらかじめ定めること自体が労働基準法16条で禁じられているため、こうした条項はそのままでは効力が及ばない可能性があります。
束ねられた誓約書ほど、秘密保持・競業避止・返還義務・損害賠償といった義務を項目ごとに分けて、どこまでの範囲に同意するのかを一つずつ確認することが大切です。特に退職時の誓約書は、在職中の行為の清算と退職後の制約が混在するため、署名の前に項目単位で見ておくと安心です。
身元保証書
身元保証書は、従業員が会社に損害を与えた場合に、親族などの身元保証人が賠償の責任を負うことを約束する書面です。身元保証人を保護するため、期間については「身元保証ニ関スル法律」が制限を定めています。期間を定めなければ成立の日から3年(商工業見習者は5年)、定めても上限は5年で、更新しても更新時から5年までです。
第二条 身元保証契約ノ期間ハ五年ヲ超ユルコトヲ得ズ若シ之ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ期間ハ之ヲ五年ニ短縮ス
出典:身元保証ニ関スル法律 第2条|e-Gov 法令検索
身元保証契約ハ之ヲ更新スルコトヲ得但シ其ノ期間ハ更新ノ時ヨリ五年ヲ超ユルコトヲ得ズ
同法は、これらの規定に反して身元保証人に不利益な特約はすべて無効とする定め(第6条。保証人に不利な特約だけを無効にする規定です)も置いています。したがって、期間が無期限になっている、自動更新の定めがある、といった条項は危険サインです。
さらに、2020年4月1日施行の改正民法により、個人が将来の不特定の債務を保証する「個人根保証契約」では、極度額(上限額)を定めなければ効力を生じないことになりました。被用者の行為によって将来生じる損害を個人が包括的に保証する身元保証は、この個人根保証に当たると解されます。
2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
出典:民法 第465条の2第2項|e-Gov 法令検索
そのため、2020年4月1日以降に取り交わす身元保証書では、賠償の上限額を具体的に明記することが必要です。極度額の定めがない身元保証書は、その部分が無効になりかねません。
損害賠償・違約金の定め
誓約書に違約金や損害賠償の定めがある場合は、その相手が従業員か取引先かで扱いが変わります。従業員との関係では、労働基準法が違約金や損害賠償額をあらかじめ定めること自体を禁じています。
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
出典:労働基準法 第16条|e-Gov 法令検索
そのため、「退職したら研修費を全額返還する」「違反したら違約金◯円を支払う」といった従業員向けの誓約書の条項は、この規定に反して無効になりうる危険サインです。ただし禁じられているのは金額をあらかじめ予定することであって、実際に生じた損害についての賠償請求まで封じるものではありません。
一方、取引先など労働契約ではない相手との誓約書には、労働基準法16条は及びません。この場合は民法が「当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる」(第420条第1項)と定めており、違約金の予定は原則として有効です。
ただし、金額が過大・暴利的であれば、民法90条の公序良俗に反するものとして無効・減額と判断される余地があります。相手の属性に応じて、根拠と金額の妥当性を確認することが必要です。
この章で参照した法令・資料は以下のとおりです。
出典・参考資料(5件)
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誓約書のリーガルチェックは社内・弁護士・AIレビューのどれで回すか
見るべき条項が分かっても、実際の確認を誰が担うかは別の問題です。確認の方法は大きく、社内で担当者が確認する、弁護士に依頼する、AIレビューサービスを使う、の3つに分かれます。それぞれの費用・スピード・精度・向き不向きを整理します。
| 確認方法 | 社内でチェックする | 弁護士に依頼する | AIレビューサービスを使う |
|---|---|---|---|
| 費用の目安 | 追加費用なし(人件費のみ) | スポットで1通あたり数万円〜。顧問契約は月額制 | 月額制のサービス利用料 |
| スピード | すぐ着手できる | 数日程度(内容による) | 数分〜短時間で指摘が出る |
| 精度・強み | 自社の事情を反映しやすい。定型的な書式なら対応可 | 競業避止や労働法が絡む誓約書の有効性まで踏み込んで判断できる | 不利な条項・欠落条項の検出や修正案提示を効率化。社内の一次チェックに向く |
| 向いているケース | 定型的な秘密保持誓約書など、判断の難しくない書式 | 効力が争われやすい条項を含む、重要な誓約書 | 件数が多い、まず社内で一次確認してから判断したい場合 |
※費用・スピードはサービスや依頼内容により異なります。最新の条件は各提供元でご確認ください。
AIレビューは短時間で網羅的に指摘を出せる一方、個別の事情を踏まえた最終判断までは委ねきれない場合があります。重要な誓約書や効力が争われやすい条項を含むものは、AIや社内で一次チェックを行い、判断に迷う点を弁護士に確認する組み合わせが現実的です。自社の体制と誓約書の重要度に応じて使い分けるとよいでしょう。
誓約書のリーガルチェックの費用相場
弁護士に依頼する場合の費用は、依頼の形態と誓約書の中身によって変わります。1通ずつ依頼するスポットでは、定型的で修正の少ない秘密保持誓約書なら数万円程度、競業避止や損害賠償など労働法が絡み判断が難しいものは十数万円程度になることもあります(いずれも目安で、事務所により異なります)。
継続的に相談する顧問契約は月額制で、基本料金は月数万円からが一般的ですが、相談できる範囲や件数によって幅があります。リーガルチェックが顧問料に含まれる場合と、1通ごとに別料金になる場合があるため、依頼前に対応範囲を確認しておくと費用を見積もりやすくなります。
行政書士に依頼する方法もあります。行政書士が扱えるのは紛争性のない定型的な書面に限られますが、2万円程度から対応する事務所もあり、弁護士より費用を抑えられることがあります。相手と争いになる恐れがある誓約書や、交渉を見据えた確認が必要なものは弁護士の領域になるため、書面の性質で使い分けます。
AIレビューを含むサービスは、1通ごとの課金ではなく月額のサービス利用料が中心です。記事の後半で紹介するサービスのように月額1万円台から利用できるものもあり、確認する件数が多いほど1通あたりの実質コストを抑えやすくなります。社内で確認する場合は追加の費用はかかりませんが、担当者の時間と法令の知識が必要になります。
費用だけで決めず、誓約書の重要度と、誤って確定した場合のリスクの大きさを踏まえて、かける手間とコストのバランスを判断することが大切です。
弁護士に誓約書のリーガルチェックを依頼する流れ
弁護士に依頼する場合の一般的な流れは次のとおりです。まず法律事務所に問い合わせ、誓約書の内容や背景を伝えて見積もりを受けます。費用と範囲に合意したら正式に依頼し、弁護士が内容を確認して、不利な条項・欠落している条項・リスクのある記載について指摘と修正案を受け取ります。必要に応じて修正のやり取りを行い、最終的な確認を終えて完了します。

依頼する際は、誓約書をそのまま渡すだけでなく、相手との関係や背景、特に気になっている点を併せて伝えると、自社の事情を反映した確認につながります。社内で一次確認をしておき、疑問点を整理してから相談すると、やり取りがスムーズに進みます。
誓約書の確認を効率化する契約書レビューサービス
法務の専任者がいない企業でも、誓約書の確認を社内の一次チェックと専門家・AIによる確認で回せるよう支援するのが、契約書レビューサービスです。弁護士監修のAIが不利な条項や欠落条項を検出して修正案を示すものや、弁護士への相談と組み合わせられるものがあります。
目安として、確認したいのが1通だけで今回限りなら、前述の弁護士へのスポット依頼が向いています。一方、誓約書や契約書を確認する機会が継続的にある、社内で一次チェックを回したいという場合は、月額制のこうしたサービスのほうがコストと手間のバランスを取りやすくなります。ここでは、誓約書の確認に活用できるサービスを紹介します。
以下はご紹介するサービスの比較表です。
| サービス名 | CLOUD LEGAL(クラウドリーガル) | 法務オートメーション「OLGA」 | LegalOn Cloud |
|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド(法務業務の外部委託型) | クラウド(法務オートメーション) | クラウド(AI法務プラットフォーム) |
| AI契約レビュー | ●Word上で完結(AIエディター) | ●Word・PDF対応 | ●弁護士監修AIで審査 |
| 弁護士監修ひな形 | ● | ●数百種類を標準搭載 | ◎2,000点以上+森濱田松本監修 |
| 弁護士・社労士への相談 | ●弁護士・社労士に相談可 | ×AI・ツールが中心 | ×AI審査が中心 |
| 単発の誓約書の確認 | ●月額プランに契約書レビューを含む | △契約量が多いほど効果的 | ●ひな形と照合して審査 |
| 料金の目安 | 初期費用0円/月額11,000円〜(税込) | 標準は要問い合わせ/中小企業向けプランは月額1万円〜(税別) | 要問い合わせ(モジュール選択型) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る |
※上記は各社の公開情報・弁護士監修の有無をもとに整理したものです。料金・機能・対応範囲は変更される場合があるため、最新の条件は各サービスの資料・提供元でご確認ください。
ここで取り上げたのは、誓約書の確認に活用しやすいサービスに絞った3つです。誓約書に限らず契約書全般のレビューまで視野に入れて、選び方や機能の違い、より多くのサービスを比較したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。
契約書レビューサービス比較おすすめ13選|AI・弁護士レビューの違い・使い分けと費用・選び方を解説
「この契約書、このまま締結して問題ないだろうか」。取引先から届いた契約書を前に、法務や管理部門の担当者がこう迷う場面は少なくありません。締結の期限が迫るほど、リスクの見落としへの不安は大きくなります。 一方で、すべての契約書を弁護士に都度依…
1. CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)(MOLTON株式会社)

CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)は、弁護士監修のAIと、弁護士・社会保険労務士などの専門家の体制を組み合わせた法務アウトソーシングサービスです。契約書・誓約書の作成やレビューに加え、法務・労務の相談まで、オンラインで依頼できる形にまとめています。
誓約書の確認では、AIによるリスク箇所の検出・修正案の提示に加えて、競業避止や身元保証のように労働法が絡む論点を、弁護士や社会保険労務士に相談して確かめられる点が特徴です。普段使うMicrosoft Word上でAIと対話しながらレビューを完結できる機能も備えます。月額11,000円(税込)からの入口があり、法務の専任者を置きにくい企業でも始めやすい価格帯です。
法務の専任者を置きにくい企業が、実際にどのような状況で誓約書や契約の判断に向き合っているのか。提供元のMOLTON株式会社は、インタビューで次のように話しています。

日本の産業を下支えし多くを占める個人事業主や中小企業だと「法務部がない」「法務専任担当者がいない」さらにはコスト面で「顧問弁護士もいない」という状況がまだまだ多いです。では顧問弁護士に全部お願いすればいいかというと、正直コスト面の壁もあって、なかなか現実的に難しいです。さらに人材不足の影響で、専門人材である法務人材の採用も難しくなっています。結果として、現状維持でリスクは無い前提としてなんとなく運用してしまっている企業も少なくないと思っています。
2. 法務オートメーション「OLGA」(GVA TECH株式会社)

法務案件の受付から契約書の確認・管理までを一元化するのが、GVA TECH株式会社のクラウド型プラットフォーム「OLGA(法務オートメーション)」です。事業部門はメール・Slack・Teamsなど普段のツールのまま法務へ依頼でき、やり取りの履歴とともに案件として蓄積されます。
誓約書の確認に関わるのが、AI契約レビューのモジュールです。契約書・誓約書のリスク箇所をAIが自動で検出して修正案を提案し、Word・PDFの両方に対応します。弁護士が監修したひな型をベースにしつつ、自社の基準を設定した審査もできます。受け付けた依頼を属人的にせず、組織として確認の記録を残したい企業に向いています。
3. LegalOn Cloud(株式会社LegalOn Technologies)

LegalOn Cloudは、AI契約審査で実績のある技術を統合した法務プラットフォームです。締結前のレビューから締結後の契約管理までを同じ基盤で扱える、モジュール選択型の構成を採ります。
レビューのモジュールは弁護士監修のAIが契約審査を担い、誓約書についてもリスクや体裁のチェック、編集、ひな形の活用ができます。LegalOn Templateとして2,000点以上の弁護士監修ひな形を備えるため、確認だけでなく自社の書式を整える場面でも参照できます。料金は選択するモジュールや契約内容によって変わるため、要問い合わせが基本です。
まとめ
誓約書は一方が差し入れる片務的な書面ですが、署名すれば法的な拘束力が生じ得ます。一方で、公序良俗や労働基準法、競業避止の有効性、身元保証の極度額といった観点から、無効・減額と判断される条項もあります。手元の誓約書がどの類型にあたるかを確かめ、見るべき条項と危険サインを押さえることが、安心して取り交わす第一歩です。
確認は、社内チェック・弁護士への依頼・AIレビューを、誓約書の重要度と自社の体制に応じて使い分けるのが現実的です。法務の専任者がいない場合でも、契約書レビューサービスを使えば、社内の一次確認と専門家・AIによる確認を効率よく組み合わせられます。まずは資料で各サービスの対応範囲を確かめてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 誓約書のリーガルチェックとは何ですか?
A. 誓約書のリーガルチェックとは、誓約書を取り交わす前に、一方的に不利な条項・無効になりかねない条項・不足している条項がないかを専門的に確認する作業です。
誓約書は契約書と違い、一方が差し入れる片務的な書面ですが、署名すれば法的な拘束力が生じ得ます。そのため、確定前に内容が法令の枠内に収まっているか、必要な定めが抜けていないかを確認しておくことが、後のトラブルを防ぐうえで重要になります。
Q. 手書きやテンプレートで作成した誓約書でも法的に有効ですか?
A. 誓約書は、手書きか、パソコン作成か、無料テンプレートの利用かといった作成方法によって有効性が変わることはありません。
誓約書の効力を左右するのは書面の形式ではなく記載された内容です。署名・押印があり、内容が公序良俗(民法90条)や労働基準法などの強行法規に反していなければ、手書きでもテンプレートでも有効に成立します。ただしテンプレートは自社の実態に合わない条項が含まれていることがあるため、秘密保持の範囲や違約金の金額などが自社の状況に即しているかを確認してから使うことが大切です。
出典・参考資料(2件)
Q. 相手から差し入れられた誓約書でも、内容を修正できますか?
A. 相手が用意した誓約書であっても、取り交わす前であれば、不利な条項や不明確な条項の修正を求めることができます。
誓約書は片務的な書面であるぶん、差し入れる側に一方的に不利な内容が盛り込まれやすい傾向があります。提示された内容をそのまま受け入れる義務はないため、気になる条項があれば署名・取り交わしの前に相手へ修正や削除を申し入れてかまいません。取り交わす前の確認こそが、最も確実なリスク回避になります。
Q. 署名・押印した後の誓約書を修正することはできますか?
A. いったん署名・押印して取り交わした誓約書を後から修正するには、原則として相手方の合意が必要です。
そのため、修正は取り交わす前のチェックで済ませておくのが基本です。ただし、脅されて署名した(強迫)・騙されて署名した(詐欺)場合は民法96条により取り消すことができ、公序良俗(民法90条)や労働基準法に反する条項は合意があっても無効になります。署名後でも救済される余地は残りますが、確実なのは事前の確認です。
出典・参考資料(1件)
Q. 誓約書の確認は社内だけで済ませても問題ありませんか?
A. 定型的で判断の難しくない誓約書は社内確認でも対応できますが、競業避止や損害賠償など効力が争われやすい条項を含むものは、弁護士など専門家の確認が安全です。
たとえば範囲の明確な秘密保持誓約書は社内チェックで足りることが多い一方、退職後の競業制限や従業員への違約金の定めは、労働基準法や競業避止の有効性要件が絡み、無効・減額と判断されるおそれがあります。重要度の高い誓約書は、社内やAIレビューで一次確認を行い、判断に迷う点を弁護士に確認する組み合わせが現実的です。
Q. 誓約書と契約書は、どちらで取り交わすべきですか?
A. 双方が互いに義務を負う取り決めは契約書、一方だけが守る事項を約束する場面は誓約書が向いています。
契約書は当事者双方が署名・押印して双方の権利義務を定めるのに対し、誓約書は差し入れる側だけが署名する片務的な書面です。秘密保持や遵守事項を一方に守らせたい場面では誓約書が使われますが、誓約書でも法的拘束力は生じ得ます。どちらの形式を選んでも、確定前に内容を確認しておく必要がある点は変わりません。
Q. 誓約書のリーガルチェックは弁護士と行政書士のどちらに頼めばよいですか?
A. 紛争のおそれがある誓約書や、競業避止・損害賠償など労働法が絡むものは弁護士、紛争性のない定型的な書面であれば行政書士でも対応できます。
行政書士は紛争性のある書面の作成・チェックは扱えないため、効力が争われやすい条項を含む誓約書や、交渉・紛争対応まで見据える場合は弁護士が適しています。件数が多く、まず社内で効率よく一次確認したい場合は、AIレビューサービスを組み合わせる方法もあります。誓約書の重要度に応じて依頼先を使い分けるとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















