病院やクリニック、医療法人では、CTやMRIといった高額な医療機器から日々使う備品まで、数多くの固定資産を抱えています。取得した機器の減価償却やリースの期日管理、補助金・交付金で導入した設備の財源別の管理、償却資産税の申告、部門をまたいで動く医療機器の現物管理まで、経理や総務の負担は年々重くなっています。
表計算ソフトや紙の台帳では計算ミスや申告漏れ、棚卸差異のリスクが残り、固定資産管理システムの導入や見直しを検討する医療機関が増えています。
病院会計準則や医療法人会計基準への準拠、医療機器に特有の償却・リース管理まで見据えて自院に合う固定資産管理システムを選ぶには、どのような観点で比較すればよいのでしょうか。
本記事では、医療機関向けに固定資産管理システム15サービスをタイプ別に比較・解説します。基本機能や料金に加え、医療機器の減価償却・リース、補助金で取得した資産の財源別管理、償却資産税申告への対応といった医療機関ならではの選定観点を整理しました。病院・クリニック・医療法人の経理や総務、医療機器管理の担当者が、自院に合うシステムを判断する材料としてご活用ください。
また、自院の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
本記事の対象範囲(医療機関向けに絞った固定資産管理システム)
本記事では、病院・クリニック・医療法人が、医療機器を含む固定資産の台帳管理・減価償却・償却資産税申告・現物管理に使える固定資産管理システムを比較します。高額な医療機器の償却やリース、補助金・交付金で取得した設備の管理、病院会計準則や医療法人会計基準への準拠など、医療機関で生じやすい実務に対応できるかを基準に、15のサービスを取り上げました。
医療機関に限らず幅広い業種で固定資産管理システムを比較したい場合は、企業規模や会計基準の違いまで含めて整理した全体比較の記事が参考になります。
固定資産管理システムとは(医療機関での役割と主な機能)
固定資産管理システムは、組織が保有する有形・無形の固定資産やリース資産について、台帳管理・減価償却計算・償却資産税の申告書作成・現物管理までを一元的に担うITツールです。経理や税務が担う「会計上の資産管理」と、総務や医療機器管理部門が担う「現物の管理」を橋渡しし、減価償却費の計算誤りや申告漏れ、台帳と現物の差異を防ぐ役割を持ちます。
医療機関では、CT・MRIなどの高額機器や病棟の医療機器、建物設備、ITインフラまで資産の種類が幅広く、取得から異動・除却・売却までのライフサイクルが複雑です。補助金・交付金で取得した設備や、リース・レンタルで導入した機器も多く、一般の企業以上に資産の内訳と財源を正確に把握する必要があります。固定資産管理システムは、こうした資産を種類や財源ごとに整理し、医療機関の会計・税務・監査の実務を支えます。
固定資産管理システムと隣接システムの違い(医療機器管理システム・IT資産管理ツール・医療法人会計ソフト)
医療機関で「資産を管理するシステム」を探すと、固定資産管理システムのほかに、医療機器管理システム(ME機器管理)・IT資産管理ツール・医療法人会計ソフトが候補に挙がります。名前は似ていても目的と管理対象が異なり、取り違えると必要な機能が足りなかったり、逆に重複投資になったりします。まずはそれぞれの役割を整理します。
| システムの種類 | 固定資産管理システム | 医療機器管理システム(ME機器管理) | IT資産管理ツール | 医療法人会計ソフト |
|---|---|---|---|---|
| 主な目的 | 会計・税務上の資産管理(減価償却・償却資産税申告・リース会計) | 医療機器の保守点検・貸出返却・安全管理による医療安全の確保 | PC・ソフトウェアライセンス・ネットワーク機器の管理とセキュリティ | 医療法人の会計処理・決算・財務諸表の作成 |
| 管理対象 | 有形・無形固定資産、リース資産、少額資産など資産全般 | 院内の医療機器(ME機器) | IT機器・ソフトウェア資産 | 仕訳・勘定科目など会計データ全般 |
| 主な担当部門 | 経理・財務・総務 | 臨床工学部門・医療機器管理部門 | 情報システム部門 | 経理・財務 |
| 医療機器の保守・安全管理 | 対象外(保守点検は扱わない) | 中心的な機能 | 対象外 | 対象外(固定資産は機能やオプションとして扱う場合がある) |
減価償却や償却資産税申告など会計・税務の資産管理を担うのが固定資産管理システムです。医療機器の保守点検や貸出・安全管理は医療機器管理システム(ME機器管理)の役割で、両者は目的が異なります。
会計ソフトに固定資産の機能が組み込まれている場合もあり、会計処理と資産管理をまとめたい医療法人では、医療法人会計ソフトの固定資産機能という選択肢もあります。自院が解決したい課題がどれに当たるかを見極めてから製品を比較すると、取り違えを避けられます。
医療機関が固定資産管理システムを導入する理由とメリット
医療機関が固定資産管理システムを導入すると、表計算ソフトや紙の台帳で起きがちな困りごとが解消します。CTやMRIなど高額機器の減価償却やリース期日の計算を自動化できるため、手作業による計算ミスや更新漏れが減り、毎年1月末までの償却資産税申告も台帳から資料を作成できて工数と誤りを抑えられます。
もう一つの効果は、監査や内部統制への備えです。補助金・交付金で取得した設備を財源ごとに紐づけて記録しておけば、実績報告や監査でどの設備をどの財源で取得したかをすぐに示せます。部門や病棟をまたいで動く医療機器も、バーコードやICタグによる実地棚卸で台帳と現物の差異を早期に把握でき、所在不明や除却漏れを防げます。各論点で必要になる具体的な機能と制度は、次の節で詳しく見ていきます。
医療機関に求められる必須機能と制度対応
ここからは、医療機関が固定資産管理システムに求めたい機能と、背景にある制度を具体的に見ていきます。自院の実務に照らして、各機能が備わっているかを確認してください。まずは、押さえておきたい機能と対応する制度・根拠の全体像を整理します。

医療機器の減価償却と法定耐用年数への対応
医療機器は種類ごとに法定耐用年数が定められており、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一「器具及び備品」の「8 医療機器」に区分と年数が示されています。定額法・定率法など複数の償却方法に対応し、機器ごとの耐用年数を正しく設定できることが、医療機関向けシステムの前提になります。
消毒殺菌用機器 … 四
出典:減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一「器具及び備品」8 医療機器|e-Gov法令検索
手術機器 … 五
血液透析又は血しよう交換用機器 … 七
調剤機器 … 六
歯科診療用ユニット … 七
レントゲンその他の電子装置を使用する機器(移動式のもの、救急医療用のもの及び自動血液分析器 … 四/その他のもの … 六)
CTやMRI、一般のエックス線装置は「レントゲンその他の電子装置を使用する機器」のうち「その他のもの=6年」に該当します(移動式・救急医療用の機器や自動血液分析器は4年)。実際の償却は税務上の区分によるため、機器ごとに区分と年数を設定できるかを確認しておくと安心です。
リース・レンタル資産の期日管理と新リース会計基準の動向
医療機器は高額で、リースやレンタルで導入するケースが多く見られます。契約期間・支払予定・満了時の対応を管理できる機能は、台数が増えるほど効果が大きくなります。リース期間定額法など、リース資産に応じた償却に対応しているかも確認したい点です。
2024年に公表された新リース会計基準(企業会計基準第34号)は、上場会社等に2027年4月1日以後開始する事業年度から原則適用されますが、医療法人は会社法・金融商品取引法上の会社ではないため直接の強制適用対象ではありません。ただしリース取引を資産として管理する流れは広がっているため、契約・期日管理に対応したシステムを選んでおくと、将来の会計慣行の変化にも備えやすくなります。
補助金・交付金で取得した資産の財源別管理と処分制限
医療機関では、国や自治体の補助金・交付金で医療機器や設備を取得する場面が多くあります。補助金で取得した財産は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律により、一定期間は自由に処分できず、処分には承認が必要です。
補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない。
出典:補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律 第22条|e-Gov法令検索
そのため、どの資産をどの財源で取得したかを紐づけ、処分制限の期間や承認の記録を残せることが重要です。また、国庫補助金等で取得した固定資産には、法人税法第42条に基づく圧縮記帳という税務処理があり、課税対象となる医療法人では帳簿価額の扱いに影響します。財源別の管理と、補助金資産の税務処理を見据えた記録ができるかを確認しておくと、実績報告や監査にも対応しやすくなります。
病院会計準則・医療法人会計基準への準拠
医療機関の会計は、開設主体や法人の規模によって準拠すべき基準が異なります。病院の財務情報を比較可能にするための病院会計準則(厚生労働省)が固定資産や減価償却の会計処理を定めているほか、一定規模以上の医療法人には医療法人会計基準が適用されます。
固定資産(有形固定資産及び無形固定資産に限る。)については、次項及び第三項の場合を除き、その取得価額から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とする。
出典:医療法人会計基準(平成28年厚生労働省令第95号)第10条|e-Gov法令検索
医療法人会計基準に沿った財務諸表の作成が義務づけられるのは、負債の合計が50億円以上または事業収益が70億円以上の医療法人など、一定規模に該当する法人です。
すべての医療法人・クリニックに省令の会計基準が義務づけられるわけではなく、中小規模の医療機関は一般に公正妥当と認められる会計慣行に拠ります。自院がどの基準に準拠するかによって必要な対応が変わるため、準拠する会計基準に合わせた資産計上・減価償却ができるシステムかを確認しておくことが重要です。
償却資産税(固定資産税)の申告への対応
事業で使う償却資産は、毎年1月1日時点の状況を1月31日までに市町村へ申告する義務があります。医療機関も、医療機器や備品などの償却資産について申告が必要です。
固定資産税の納税義務がある償却資産の所有者(…)は、総務省令の定めるところによつて、毎年一月一日現在における当該償却資産について、その所在、種類、数量、取得時期、取得価額、耐用年数、見積価額その他償却資産課税台帳の登録及び当該償却資産の価格の決定に必要な事項を一月三十一日までに当該償却資産の所在地の市町村長に申告しなければならない。
出典:地方税法 第383条|e-Gov法令検索
申告には、地方税法施行規則の第二十六号様式(償却資産申告書)と、同様式の別表(種類別明細書)を用います。台帳の情報からこれらの申告資料を作成できたり、eLTAX(地方税の電子申告システム)経由の電子申告に対応していたりすると、毎年の申告業務の負担を大きく減らせます。
部門横断の現物管理・実地棚卸と会計・ERP連携
医療機器は部門や病棟をまたいで移動するため、台帳上の記録と実際の所在がずれやすい資産です。バーコードやICタグ、ハンディ端末を使った実地棚卸に対応していれば、現物と台帳の差異を効率よく確認でき、所在不明や除却漏れを防げます。
あわせて、既存の会計システムや基幹ERP、病院システムと仕訳データを連携できるかも重要です。連携できれば二重入力がなくなり、経理業務の効率化と入力ミスの削減につながります。現物管理を重視するか、会計処理との一体運用を重視するかで、適したシステムは変わります。
出典・参考資料(7件)
- 出典:減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040015)
- 出典:補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律 第22条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/330AC0000000179)
- 出典:法人税法 第42条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000034)
- 出典:医療法人会計基準(平成28年厚生労働省令第95号)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/428M60000100095)
- 出典:地方税法 第383条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226)
- 参考資料:新リース会計基準(企業会計基準第34号)の適用対象|公益社団法人リース事業協会(https://www.leasing.or.jp/studies/docs/shinkaikei20241209_01.pdf)
- 参考資料:病院会計準則の改正について(医政発第0819001号)|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/igyou/igyoukeiei/tuchi/jyunsoku01.html)
医療機関向けの選び方・比較ポイント
必須機能を押さえたうえで、医療機関がシステムを選ぶ際に特に重視したい観点を整理します。自院の状況に当てはめて、優先順位を付けてください。
医療機関での導入実績や医療会計に精通したサポートがあるか
医療機関特有の会計・税務や補助金資産の扱いは、一般の企業とは異なる論点を含みます。病院や医療法人での導入実績があるか、医療会計に理解のあるサポートを受けられるかは、導入後のつまずきを減らすうえで重要です。公式サイトの導入事例や、医療法人会計基準・病院会計準則への対応をうたっているかを確認すると、適合の目安になります。
クラウド型かオンプレミス型か、院内のセキュリティ要件に合うか
提供形態は運用負荷とセキュリティに直結します。クラウド型は自院でサーバーを持たずに済み、保守の負担が小さい一方、オンプレミス型は院内のネットワーク要件に合わせやすい利点があります。医療情報を扱う院内規程や情報セキュリティのポリシーと照らし、どちらの形態が自院の要件に合うかを判断することが大切です。
アクセス権限の設定や操作証跡など内部統制に対応しているか
補助金資産の管理や監査対応では、誰がいつ何を変更したかを追える操作証跡や、担当者ごとのアクセス権限の設定が求められます。部門をまたいで複数の担当者が台帳を扱う医療機関では、権限管理と変更履歴の機能があると、監査や内部統制の要請に応えやすくなります。
既存の病院システムや会計・ERPと連携しやすいか
すでに会計システムや基幹ERP、病院情報システムを使っている場合、固定資産管理システムとデータ連携できると、仕訳の二重入力や転記ミスを避けられます。連携できる会計ソフトやERPの範囲、連携の方式(API連携やファイル連携など)、現行の台帳からのデータ移行のしやすさを確認しておくと、導入後の運用が定着しやすくなります。
医療機関向け固定資産管理システムのタイプ(規模・用途別)
医療機関向けに使える固定資産管理システムは、自院の規模や重視する用途によって適した製品が変わります。ここでは3つのタイプに分けて特徴を整理します。自院がどのタイプに当てはまるかを確認すると、比較の見通しが立てやすくなります。
病院・大規模医療法人向け(多機能・ERP/会計連携タイプ)
多数の医療機器・設備を抱え、基幹会計やERPと一体で資産を管理したい病院・大規模医療法人に向くタイプです。複数の会計基準や多様な資産区分に対応し、リース管理や連結・グループ管理まで含めて扱える製品が中心です。機能が豊富な分、要件定義や初期設定には相応の準備が必要になります。
クリニック・中小医療機関向け(クラウドで手軽に始められるタイプ)
少人数で運用し、低コストで早く導入したいクリニックや中小の医療機関に向くタイプです。クラウド型やサブスクリプション型が多く、会計ソフトと一体で固定資産を扱える製品もあります。医療法人会計をはじめとする自院の会計に合わせて、無理なく始められる点が魅力です。
医療機器の現物管理・実地棚卸に強いタイプ
部門や病棟をまたいで動く医療機器の現物を、台帳と突き合わせて正確に管理したい医療機関に向くタイプです。バーコードやICタグ、ハンディ端末を使った実地棚卸や移動履歴の管理に強みがあります。減価償却や申告は会計システムと連携して補う設計の製品もあるため、会計面の機能とあわせて確認すると選びやすくなります。
| タイプ | 病院・大規模医療法人向け(多機能・ERP/会計連携) | クリニック・中小医療機関向け(クラウドで手軽に) | 医療機器の現物管理・実地棚卸に強い |
|---|---|---|---|
| 特徴 | 多様な資産区分・複数会計基準・リース管理に対応。基幹会計やERPと一体で運用できる | クラウド・サブスクで低コスト・短期間に導入可能。会計ソフト一体型もある | バーコード・ICタグによる現物照合・移動履歴・実地棚卸に強み |
| 向いている医療機関 | 多数の医療機器・設備を持つ病院、大規模医療法人、グループ運営の法人 | 少人数で運用するクリニック、中小規模の医療法人 | 医療機器の所在管理・棚卸を重視する病院・医療機関 |
| 該当する主なサービス | OBIC7、SuperStream-NX、HUE Asset、ProPlus、Plaza-i、Galileopt DX、A.S.P Neo、FAManager など | マネーフォワード クラウド固定資産、PCAクラウド 固定資産、固定資産奉行クラウド など | Convi.BASE、Assetment Neo など |
自院がどのタイプに当てはまるか判断しづらい場合は、以下の「30秒で終わる選定診断ツール」で、規模や重視する用途から適したサービスの当たりを付けられます。
【比較表】医療機関向け固定資産管理システム15選
ここからは、自院の課題や要件に合わせて客観的に比較・選定できるよう、医療機関向けに使える固定資産管理システム15サービスを、3つのタイプ別に分類して比較します。料金は2026年10月時点の各社公式情報に基づく金額で、詳細や最新の提供形態は各社情報をあわせてご確認ください。
病院・大規模医療法人向け(多機能・ERP/会計連携)の比較
| サービス名 | OBIC7 固定資産管理システム | SuperStream-NX 固定資産管理 | HUE Asset | ProPlus 固定資産システム/リース資産管理システム | Plaza-i 固定資産管理システム | Galileopt DX 固定資産・リース管理 | 総合資産管理サービス A.S.P Neo 3.0 | FAManager | ZeeM 固定資産管理 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド(ERP統合型) | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウド(ASP) | クラウド | クラウド/オンプレミス |
| 減価償却・償却資産税申告 | ●固定資産税申告書を作成(eLTAX連携は公式未確認) | ●eLTAX電子申告に対応(連携製品経由) | ●減価償却・償却シミュレーション | ●償却資産税申告に対応 | ●減価償却(経理・税務の2帳簿) | ●償却資産税申告資料を作成(eLTAX連携は公式未確認) | ●eLTAX電子申告に対応 | ●eLTAX電子申告に対応(e-TAX償却資産連携) | ●eLTAX電子申告に対応 |
| リース・期日管理 | △オプションで契約・支払予定・満了を管理 | ●契約・満了日・支払を一括管理 | ●新リース会計基準・IFRS16号に対応 | ●契約〜満了の変更履歴を一元管理 | ●リース会計に対応(新リース会計基準対応) | ●契約登録・支払予定表・解約管理 | △リース資産を一資産区分として管理 | ●リース会計を標準搭載 | △リース資産管理あり(新リース会計基準対応は開発予定) |
| 補助金対応(圧縮記帳) | — | — | — | ●直接減額方式・準備金方式に対応 | — | — | — | — | — |
| 会計基準対応 | — | — | — | — | — | — | — | — | — |
| 現物管理(バーコード・RFID) | △現物台帳・棚卸ラベル発行 | △連携製品(Assetment Neo)で対応 | ●スマホでQRコード棚卸実査 | △棚卸・現物管理サブシステム(Suite) | — | △現物管理機能あり(バーコード/RFIDは明記なし) | — | — | △資産ラベル印刷に対応 |
| 医療機関での導入実績 | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし |
| 料金 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
クリニック・中小医療機関向け(クラウドで手軽に)の比較
| サービス名 | マネーフォワード クラウド固定資産 | PCAクラウド 固定資産 | 固定資産奉行クラウド | PCAクラウド 医療法人会計 |
|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド |
| 減価償却・償却資産税申告 | ●eLTAX電子申告に対応(PCdesk連携) | ●eLTAX電子申告に対応 | ●eLTAX電子申告に対応 | △償却資産申告書の出力(固定資産オプション・提供範囲は要確認) |
| リース・期日管理 | △リース会計は別製品で対応 | ●支払予定・返済予定表を出力 | ●リース契約管理・利息自動計算 | △リース対応(固定資産オプション) |
| 補助金対応(圧縮記帳) | — | — | ●圧縮損・圧縮積立金の仕訳に対応 | △圧縮記帳(固定資産オプション・提供範囲は要確認) |
| 会計基準対応 | — | — | — | ●医療法人会計基準・病院会計準則に対応 |
| 現物管理(バーコード・RFID) | △写真・設置場所など現物情報を管理 | ●QRコード棚卸(hyper版) | — | — |
| 医療機関での導入実績 | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし |
| 料金 | 要お問い合わせ | 月額16,200円〜(税抜) | 月額4,750円〜(初期費用0円) | 月額23,400円〜(税抜、会計+固定資産) |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
医療機器の現物管理・実地棚卸に強いタイプの比較
| サービス名 | Convi.BASE | Assetment Neo |
|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド | クラウド |
| 減価償却・償却資産税申告 | — 会計側システムと連携(自製品では非内蔵) | — 会計側システムと連携(自製品では非内蔵) |
| リース・期日管理 | — リース資産の現物棚卸のみ(会計・期日管理は対象外) | ●契約・期限管理に対応(会計計算は連携先) |
| 補助金対応(圧縮記帳) | — | — |
| 会計基準対応 | — | — |
| 現物管理(バーコード・RFID) | ◎バーコード・ICタグ・RFID・スマホ棚卸に対応 | ◎バーコード・QR・RFID・スマホ棚卸に対応 |
| 医療機関での導入実績 | ●病院の導入実績を一覧掲載(原土井病院ほか) | 公表なし |
| 料金 | 月額55,000円〜 | 月額47,000円〜(Standard) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※マークは ◎=特に強い/●=対応/△=条件付き・一部対応/—=対応なし・非公表を表します。料金・機能は2026年10月時点の各社公式情報に基づきます。詳細や最新の提供形態は各社情報をご確認ください。
各サービスの個別紹介
ここからは、タイプ別に各サービスの特徴・機能・料金を紹介します。自院の規模や重視する用途に合わせて、資料請求の検討材料としてご覧ください。
病院・大規模医療法人向け(多機能・ERP/会計連携)のサービス
多数の医療機器・設備を基幹会計やERPと一体で管理したい病院・大規模医療法人に向くサービスを紹介します。
1. OBIC7 固定資産管理システム(株式会社オービック)

統合業務ソフトウェア「OBIC7」シリーズの会計情報ソリューションに含まれる固定資産管理モジュールです。台帳登録・異動管理・減価償却計算・現物管理・減損処理・資産除去債務管理・税務申告書作成までを、会計や原価管理と同じ基盤の上で一体的に扱えます。
日本基準とIFRSを並行して管理するダブルスタンダードに対応し、6基準での減価償却計算が可能です。土地や美術品などの非償却資産も同じ台帳に載せ、外観写真や契約書類といった付帯情報を含めて現物管理できるため、資産の種類が幅広い病院・大規模医療法人の一元管理に向きます。
税務申告書作成は法人税の別表十六と固定資産税申告書に対応し、リース資産管理・建設仮勘定はオプションで扱えます。OBIC7シリーズ全体の累計導入社数は29,000社を超えます(公式サイト記載、時点の明記なし)。料金は導入規模により個別見積もりで、要お問い合わせです。
2. SuperStream-NX 固定資産管理(キヤノンITソリューションズ株式会社)

国産ERP「SuperStream-NX」の固定資産管理オプションで、固定資産・リース資産・建設仮勘定を一元管理します。統合会計(GL)・支払管理(AP)モジュールと仕訳データをリアルタイムに連携し、基幹会計と一体で資産を運用できる設計です。
日本基準・IFRS・管理会計・税務など最大5種類の台帳を並行運用でき、IFRS第16号のリース会計(使用権資産・リース負債の計上)にも対応します。2027年4月適用の新リース会計基準については、影響額試算ツールを無償提供して対応を進めています(本体機能としてのフル対応時期は公式未発表)。
償却資産税の電子申告は、株式会社TKCの連携製品「e-TAX償却資産」を介してeLTAXへ送信する構成です。医療機器の現物棚卸はクラウド型の「Assetment Neo」とのアライアンスで補えます。シリーズ累計の導入実績は11,000社以上(2026年8月時点、公式サイト)、料金は要お問い合わせです。
3. HUE Asset(株式会社ワークスアプリケーションズ)

複雑な資産運用を抱える大手企業に向けて、株式会社ワークスアプリケーションズが提供する固定資産管理システムです。固定資産本体に加え、リース資産のオンバランス処理、建設仮勘定の精算、棚卸実査結果の台帳反映、減損の兆候判定までを標準機能でカバーします。
新リース会計基準には2024年10月に準拠機能をリリースし、2025年7月には会計と税務のリース情報を個別に保持・管理できる機能を追加しています。IFRS第16号は標準機能として対応済みです。これらのバージョンアップは定額の保守契約の範囲で永続提供され、法改正や会計基準改訂のたびに追加費用が発生しない点を公式が訴求しています。
棚卸実査はスマートフォンでQRコードを読み取る方式に対応し、部門をまたいで動く医療機器の現物確認にも使えます。導入実績は1,300社以上(公式サービスページ記載、時点の明記なし)、料金は要お問い合わせです。
4. ProPlus 固定資産システム/リース資産管理システム(株式会社プロシップ)

株式会社プロシップが1994年から固定資産・リース会計に特化して提供してきたパッケージです。固定資産の取得から移動・除却までのライフサイクル管理と、減価償却・減損・税務申告までを一元的に扱い、リース資産管理は専用モジュールとして組み合わせられます。
固定資産システム側では1資産に最大6帳簿を同時管理でき、財務会計・税務・IFRS・償却資産税申告を並行できます。償却計算は圧縮記帳(直接減額方式・準備金方式)にも対応しており、補助金・交付金で取得した設備の財源別の税務処理を扱いたい医療機関に向く機能です。
リース資産管理システムは2025年10月31日リリースのVersion 6で新リース会計基準に対応し、使用権資産・リース負債の認識判定と、別表四・別表五(一)の申告調整までを扱います。シリーズ累計の導入実績は5,500社以上(時点の明記なし)、料金は要お問い合わせです。
5. Plaza-i 固定資産管理システム(株式会社ビジネス・アソシエイツ)

日本基準からIFRSまで複数の会計基準を1つのシステムで扱える、株式会社ビジネス・アソシエイツのERP「Plaza-i」の固定資産モジュールです。日本基準(経理用・税務用の2帳簿)、減損会計、リース会計、資産除去債務、IFRS16号のリース対応を単一システムで管理できます。
クラウドとオンプレミスの両方に対応し、ERPの一部としても固定資産単体でも導入できます。院内のセキュリティ要件に合わせて提供形態を選べるほか、ひとつのデータベースで複数のグループ企業を管理でき、英語・多通貨にも対応します。新リース会計基準対応機能は2026年5月より提供を開始しています。
上場企業や大手会計事務所、全国の金融機関での導入実績があり、複数会計基準への対応が必要な大規模・中堅の組織を主な対象としています。税制改正に伴うバージョンアップは保守料の範囲内で提供されます。料金は構成により変動し、要お問い合わせです。
6. Galileopt DX 固定資産・リース管理(株式会社ミロク情報サービス)

年商50億〜500億円規模の中堅企業をメインターゲットとする、株式会社ミロク情報サービスのERP「Galileopt DX」の固定資産・リース管理モジュールです。減価償却費の計算、法人税・償却資産税の申告資料作成、資産の現物管理、償却費予算の立案までを一元的にカバーします。
1資産に最大5パターンの簿価・償却方法を登録でき、日本基準とIFRSを並行して管理できます。部門間移動・償却方法変更・遊休設定の3種類の履歴を保持するため、組織改編で資産が動いても過去からの経緯を追えます。物件登録は最大10万件、1物件あたり20項目のメモ欄に自院独自の属性を残せます。
新リース会計基準については対応方針を公式に表明済みで、機能詳細・提供時期は非公開です(2026年8月時点)。会計モジュール「財務大将」と減価償却費予算が連動し、申請ワークフローとも連携します。料金は機能・事業規模により変動し、要お問い合わせです。
7. 総合資産管理サービス A.S.P Neo 3.0(三井住友ファイナンス&リース株式会社)

リース会社である三井住友ファイナンス&リース株式会社が、自社の資産管理・リース会計の知見をもとに2004年から提供するASP/クラウド型の固定資産管理サービスです。有形・無形固定資産、繰延資産、少額資産、リース資産、建設仮勘定、資産除去債務まで多様な資産を単一システムで一元管理します。
税務・企業・管理会計の複数帳簿を管理し、国内会計基準・IFRS・US GAAPに基づく償却計算を単一台帳で処理できます。別表十六で償却超過・不足額を把握し、償却資産税申告書を自動作成できるほか、eLTAX連携にも対応しており、医療機器や備品の償却資産税申告の負担を抑えられます。
FISC基準(金融情報システムセンターが定める安全対策基準)に準拠した国内のプライベートデータセンターで運用し、24時間監視や遠隔地バックアップを備える点は、医療情報を扱う院内の情報セキュリティ要件とも照らしやすい特徴です。導入実績は約1,700社(2025年10月時点)、料金は資産件数に応じた月額固定料金制で、要お問い合わせです。
8. FAManager(株式会社TKC)

株式会社TKCが中堅・大企業や上場企業グループ向けに提供するクラウド型の固定資産管理システムで、導入実績は800社を超えます。固定資産の会計・税務処理をワンストップで扱える設計です。
リース会計・減損会計・資産除去債務を標準機能として搭載し、法人税申告書別表16・償却資産申告書の自動作成、e-TAX償却資産との連携による電子申告まで一気通貫で処理できます。年次バージョンアップで税制改正や会計基準改正にも対応します。
導入支援は、TKC全国会に加盟する税理士・公認会計士が関与する体制です。新リース会計基準には段階的に対応し、影響額試算ツール(2025年1月)と新基準対象資産の先行登録機能(2026年6月)を提供済みで、以降の機能は順次搭載が予定されています。料金は公式に非公開のため、要お問い合わせです。
9. ZeeM 固定資産管理(株式会社クレオ)

株式会社クレオの中堅・大手企業向けERP「ZeeMシリーズ」を構成する、固定資産・リース資産管理モジュールです。ZeeM会計の固定資産オプションとして利用できるほか、独立した単体パッケージとしても導入できます。
会計・税務台帳に追加台帳を含めた5台帳の複数帳簿管理に対応し、資産除去債務・減損会計・法人税別表16・償却資産税申告書作成を標準で備えます。償却資産はeLTAXでの申告に対応し、郵送によらない電子申告が可能です。
資産登録の時点で耐用年数までの減価償却費を自動計算し、10年先までの償却シミュレーションで中長期の予算を作成できます。新リース会計基準対応は開発予定の機能として案内されており、提供開始日は公式に明示されていません(2026年8月時点)。SaaS(Microsoft Azure)とライセンス購入(オンプレミス/IaaS)の2形態で提供されます。
クリニック・中小医療機関向け(クラウドで手軽に)のサービス
少人数で運用し、低コストで早く導入したいクリニック・中小の医療機関に向くサービスを紹介します。
10. マネーフォワード クラウド固定資産(株式会社マネーフォワード)

固定資産台帳の登録から減価償却計算、法人税申告書別表16・償却資産申告書の出力、会計システムへの仕訳連携までを一つのクラウド上で扱える固定資産管理システムです。財務会計から段階的に導入範囲を広げやすい「マネーフォワード クラウド」シリーズの一つとして提供されています。
自社の「マネーフォワード クラウド会計Plus」とはAPIで仕訳を連携でき、他社の会計ソフトとはCSVで連携します。償却資産申告はデータをCSV出力し、eLTAX対応ソフト「PCdesk」へ取り込む形で電子申告できます。2026年3月には、現物写真や資産名から資産科目・耐用年数などの候補をAIが提案する「固定資産登録サポートエージェント」が一部ユーザー向けに提供開始されました。
公式サイトでは病院・クリニックなど医療機関に特化した事例や機能は示されておらず、業種を問わず使える汎用型です。そのため、医療機器の圧縮記帳や棚卸など医療特有の要件への対応は、公式の機能一覧やヘルプで個別に確認する必要があります。導入支援はセルフプランとサクセスプランの2種類で、料金は利用人数やプランにより変わるため要お問い合わせです。
固定資産業務にかかる時間や属人化が導入でどう変わるかについて、同社の栗本氏は導入企業での変化を次のように説明しています。以下で挙げられているのは医療機関以外の企業の例ですが、資産台帳の登録・移動や償却資産申告といった業務の効率化と属人化の解消は、医療機関の固定資産管理にも共通して当てはまる変化です。

SmartHR様は、固定資産関連の業務が1〜2営業日かかっていたものが半日以下に短縮されました。また、エス・エム・エス様では償却資産申告の作業時間が3分の1になったという成果が出ています。
画面がわかりやすく操作もシンプルなので、資産の登録や移動登録といった業務が効率化されるだけでなく、属人化の解消にもつながります。これまで特定の担当者しかできなかった業務が、チームの誰もが対応できるようになるのは大きなメリットです。
11. PCAクラウド 固定資産(ピー・シー・エー株式会社)

ピー・シー・エー株式会社が提供するクラウド型の固定資産管理ソフトで、減価償却計算・リース資産管理・資産棚卸・償却資産税の電子申告を一元的に扱い、減損処理や資産除去債務にも対応します。
通常版と、グループ企業管理・セグメント管理・物品管理や棚卸機能を加えたhyper版の2ラインナップがあります。通常版は1ユーザーの単体利用で月額16,200円(税抜)、hyper版は月額19,200円(税抜)で、初期費用は製品トップで0円と案内されています(インストール・操作指導・データ移行は別途見積もり)。
PCA会計シリーズとはネイティブに連携し、出力パターン機能で他社の会計ソフトともテキスト形式で仕訳を連携できます。2ヶ月の無料体験があり、新リース会計基準には2026年秋の対応が公式のLPで予定として案内されています。
12. 固定資産奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

株式会社オービックビジネスコンサルタントの奉行クラウドシリーズに属する固定資産・リース資産管理システムです(正式名称は固定資産奉行iクラウド)。資産の取得から移動・除却・減損までのライフサイクル管理と、減価償却費の自動計算、償却資産税の電子申告(eLTAX)を扱えます。
料金はプラン別に公式サイトへ明示されており、資産100件までのiEシステムは初期費用0円・月額4,750円、1,000件までのiA・iSシステムは月額14,750円〜22,000円です。全プランに顧問税理士が使える専門家ライセンスが1つ無償で付き、勘定奉行iクラウドとは仕訳を自動連携できます。
30日間の無料トライアルは機能制限がなく、期間終了後に自動課金されません。ただし新リース会計基準への本格的な対応が必要な場合は、上位ラインの「固定資産奉行V ERPクラウド」が選定対象となり、本製品では公式に対応機能を確認できない点に注意が必要です。
13. PCAクラウド 医療法人会計(ピー・シー・エー株式会社)

ピー・シー・エー株式会社が提供する医療法人向けのクラウド会計ソフトで、平成29年度医療法人会計基準に対応した明細票や決算書を作成できます。固定資産管理は「医療法人会計+固定資産」のプランで併用する構成です。
医療法人会計のみのプランは月額19,200円(税抜)、固定資産を加えた「医療法人会計+固定資産」プランは月額23,400円(税抜)です。初期費用は0円と案内され、インストール・操作指導・データ移行は別途見積もりで、2ヶ月の無料体験があります。
減価償却の自動計算や償却資産申告書の出力、リース資産管理、圧縮記帳といった機能は、PCAの固定資産シリーズの機能として案内されています。医療法人会計+固定資産プランでの具体的な提供範囲は公式への確認が必要ですが、会計と固定資産をまとめて扱いたい医療法人が候補に入れやすい構成です。
医療機器の現物管理・実地棚卸に強いサービス
医療機器の所在管理や実地棚卸を重視する医療機関に向くサービスを紹介します。
14. Convi.BASE(株式会社コンビベース)

株式会社コンビベースが運営する物品管理クラウドサービスで、バーコード・2次元コード・ICタグを使ったラベル発行と読み取りにより、棚卸し・貸出・入出庫を管理します。固定資産やIT機器、医療機器など公式が挙げる14カテゴリのモノを同一基盤で現物管理できる点を打ち出しています。
RFIDやハンディターミナル、スマートフォンでの読み取りに対応し、医療機器の所在管理や実地棚卸の効率化に使えます。減価償却計算や償却資産税申告の機能は公式に記載がなく、固定資産奉行クラウドなど会計側システムと連携して台帳データを受け渡す構成です。
公式の導入企業一覧には、原土井病院・大阪府立病院機構・ひかりメディカルグループなど医療機関の名前が掲載されています(個別の導入事例は非公開)。料金は初期費用0円からのスタートプランと月額55,000円からの構成が用意され、会計計算は既存システムに任せて医療機器を含む現物の棚卸しを効率化したい医療機関が検討しやすいサービスです。
15. Assetment Neo(株式会社アセットメント)

株式会社アセットメントが提供するクラウド型の資産管理システムで、2026年5月に利用目的別の3シリーズ(情シス向け・経理向け・貸出向け)へ再編されました。経理向けシリーズが固定資産や備品の棚卸を、貸出向けシリーズが予約から返却までの貸出運用を担います。
棚卸はバーコード・QRコード・RFIDの3方式に対応し、専用リーダーがなくてもスマートフォン(iOS・Android)で読み取れます。フロア図に設置場所を記載する図面管理や不明資産レポートも備え、医療機器を含む院内の多様な資産の所在管理と実地棚卸に活用できます。
減価償却計算は自製品では行わず、SuperStream-NXや固定資産奉行などの会計・固定資産管理システムとCSV・API連携してデータを受け渡す設計です。導入実績は800社超・80万人(2026年1月時点)で、プライバシーマークとISO/IEC 27001・27017を取得しています。料金はStandardプランで月額47,000円〜(公式記載、詳細は要お問い合わせ)です。
導入の進め方と運用定着の注意点
固定資産管理システムは、導入して終わりではなく、運用が定着して初めて効果が出ます。医療機関で導入を進める際の注意点を整理します。
まず、要件定義の段階で経理・総務だけでなく、医療機器を扱う臨床工学部門や医療機器管理部門と連携することが大切です。会計上の資産管理と現物管理の双方の要件を洗い出しておくと、導入後に機能の不足や運用の分断が起きにくくなります。
次に、現行の台帳からのデータ移行では、医療機器の取得価額・取得時期・財源・設置場所などの情報を正確に引き継ぐことが重要です。移行時にデータを棚卸しし、不明な資産や除却済みの資産を整理しておくと、移行後の台帳の精度が上がります。
導入後は、実地棚卸のルールや、資産の取得・異動・除却を記録する運用フローを見直し、現場に定着させます。バーコードやICタグを使う場合は、棚卸の担当や頻度を決めておくと、台帳と現物のずれを継続的に抑えられます。
まとめ
医療機関向けの固定資産管理システムは、医療機器の減価償却・リース、補助金で取得した資産の財源別管理、会計基準への準拠、償却資産税の申告、部門をまたぐ現物管理まで、一般の企業とは異なる論点に対応できるかが選定のカギになります。まずは固定資産管理システムと、医療機器管理システムや医療法人会計ソフトとの役割の違いを押さえ、自院が解決したい課題を明確にすることが出発点です。
そのうえで、自院の規模や重視する用途に合わせてタイプを絞り込み、導入実績・提供形態・内部統制・連携のしやすさといった観点で比較すると、候補を効率よく絞れます。本記事の比較表や診断ツールも活用しながら、気になるサービスの資料を取り寄せて、自院に合うシステムを見つけてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 医療機関向けの固定資産管理システムとは何ですか?
A. 医療機関向けの固定資産管理システムとは、病院・クリニック・医療法人が保有する医療機器や設備などの固定資産を、台帳管理・減価償却計算・償却資産税申告・現物管理まで一元的に扱うためのITツールです。
CT・MRIなどの高額機器の償却やリース、補助金・交付金で取得した設備の財源別管理、病院会計準則・医療法人会計基準への準拠など、医療機関で生じやすい実務に対応できる点が、一般的な固定資産管理システムとの違いです。
Q. 固定資産管理システムと医療機器管理システム(ME機器管理)は何が違いますか?
A. 固定資産管理システムと医療機器管理システムは、前者が減価償却・償却資産税申告などの会計・税務上の資産管理を担い、後者が医療機器の保守点検・貸出返却・安全管理を担う点で役割が異なります。
経理・総務が会計処理のために使うのが固定資産管理システム、臨床工学部門が医療安全のために使うのが医療機器管理システムです。両者は目的が別なので、自院が解決したい課題がどちらに当たるかを見極めてから製品を比較すると、取り違えや重複投資を避けられます。
Q. 医療機器の法定耐用年数は何年ですか?
A. 医療機器の法定耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一「器具及び備品」の「8 医療機器」で、機器の区分ごとに4〜7年などと定められています。
たとえばCT・MRIや一般のエックス線装置は「レントゲンその他の電子装置を使用する機器」のうち「その他のもの=6年」、手術機器は5年、消毒殺菌用機器は4年です(移動式・救急医療用の機器や自動血液分析器は4年)。機器ごとに税務上の区分と年数を正しく設定できるかが、医療機関向けシステムを選ぶ前提になります。
Q. 医療法人は医療法人会計基準に対応した固定資産管理システムを選ぶ必要がありますか?
A. 医療法人会計基準に沿った財務諸表の作成が義務づけられるのは、負債合計50億円以上または事業収益70億円以上などの一定規模に該当する医療法人に限られ、すべての医療法人・クリニックが省令の会計基準に従う必要はありません。
中小規模の医療機関は、一般に公正妥当と認められる会計慣行に拠ります。自院がどの基準に準拠するかによって必要な対応が変わるため、準拠する会計基準に合わせた資産計上・減価償却ができるシステムかを確認してください。
Q. 医療機関の償却資産税申告にはどの様式を使いますか?
A. 医療機関の償却資産税申告には、地方税法施行規則の第二十六号様式(償却資産申告書)と、その別表である種類別明細書を用います。事業で使う医療機器や備品などの償却資産は、毎年1月1日時点の状況を1月31日までに市町村へ申告する義務があります。台帳の情報からこれらの申告資料を作成できたり、eLTAX経由の電子申告に対応していたりするシステムを選ぶと、毎年の申告業務の負担を減らせます。
Q. 補助金・交付金で取得した医療機器はどのように管理すればよいですか?
A. 補助金・交付金で取得した医療機器は、どの資産をどの財源で取得したかを紐づけて記録し、処分制限の期間や承認の履歴を残せるように管理することが重要です。補助金で取得した財産は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律により一定期間は自由に処分できず、処分には各省各庁の長の承認が必要です。
また国庫補助金等で取得した固定資産には圧縮記帳という税務処理があるため、財源別の管理と圧縮記帳に対応した記録ができるシステムだと、補助事業の実績報告や監査にも対応しやすくなります。
Q. 医療機関向けの固定資産管理システムはクラウド型とオンプレミス型のどちらを選べばよいですか?
A. クラウド型とオンプレミス型のどちらが向くかは、自院でサーバーを持たず保守の負担を抑えたいならクラウド型、院内のネットワーク要件やセキュリティポリシーへの合わせやすさを優先するならオンプレミス型が目安になります。
少人数で早く導入したいクリニック・中小医療機関はクラウド型、院内規程の要件が厳しい病院や既存システムとの連携を重視する場合はオンプレミス型が選ばれやすい傾向です。医療情報を扱う院内の情報セキュリティポリシーと照らして判断してください。
Q. 医療機関向けの固定資産管理システムの料金相場はどのくらいですか?
A. 医療機関向けの固定資産管理システムの料金は、クラウド型のクリニック・中小向けで月額数千円〜2万円台、病院・大規模医療法人向けの多機能型やERP連携型は規模に応じた個別見積もり(要お問い合わせ)が中心です。
たとえば資産100件までのクラウド製品で初期費用0円・月額4,750円程度、医療法人会計と固定資産をまとめたプランで月額23,400円(税抜)といった例があります。初期費用やデータ移行費、利用人数による差があるため、自院の資産件数と利用人数を前提に各社へ見積もりを取って比較してください。
Q. 新リース会計基準に医療法人も対応しなければなりませんか?
A. 2024年に公表された新リース会計基準(企業会計基準第34号)は、上場会社や会社法上の大会社などが対象で、医療法人は会社法・金融商品取引法上の会社ではないため、この基準が直接強制適用されるわけではありません。ただし、リース取引を資産として管理する流れは広がっているため、リース資産の契約・期日管理に対応したシステムを選んでおくと、将来の会計慣行の変化にも備えやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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