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会計ソフトの電子申告(e-Tax)はどこまでできる?対応ソフトの違いと必要な準備を解説

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日々の記帳をクラウド会計ソフトで進めてきた事業者にとって、確定申告や決算の時期に気になるのが「いま使っているソフトのまま、電子申告(e-Tax)まで終えられるのか」という点です。電子申告は年々利用が広がっていますが、会計ソフトによって対応する範囲は異なり、ソフトからそのまま送信できるものもあれば、申告データを書き出して別のソフトに取り込む必要があるものもあります。

本記事では、会計ソフトで電子申告がどこまでできるのかを整理し、国税の「e-Tax」と地方税の「eLTAX」の関係、電子申告に必要な準備と手順、主要なクラウド会計ソフトの対応の違いを解説します。法人が見落としやすい地方税や法人税申告書の扱いにも触れ、自社の会計ソフトで申告をどこまで回せるかを判断できるようにします。

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会計ソフトの電子申告はどこまでできる?【3層で結論】

会計ソフトの電子申告への対応は、大きく3つの層に分かれます。同じ「電子申告に対応」でも、ソフトからそのまま送信できるのか、別のソフトが必要なのかは製品によって違うため、まず全体像を押さえておくと自社のソフトがどこに当てはまるかを判断しやすくなります。

会計ソフトの電子申告対応を3層で整理した図。軸①どう送るか(送信方式)は、第1層が会計ソフトまたは連携アプリから直接e-Tax・eLTAXへ送信する直接送信、第2層が申告データを書き出して国税庁の無料ソフトe-Taxソフト等に取り込んで送信する方式。軸②何を作れるか(作成範囲)は、第3層として法人税申告書(別表)は会計ソフト単体では作れず、会計ソフトは会計データ・決算書まで、申告書の作成・送信は申告ソフトが担う。第1・第2層は送信方式、第3層は作成範囲で軸が異なり、1つのソフトが複数の層にまたがることもある。
  1. 第1層:会計ソフト(または連携する申告アプリ)から直接送信する。会計ソフト内で申告データを作成し、そのままe-TaxやeLTAXへ送信できる形です。
  2. 第2層:申告データを書き出して国税庁のソフトに取り込む。会計ソフトで申告データ(XTX形式のファイルなど)を書き出し、国税庁が無料提供する「e-Taxソフト」や「確定申告書等作成コーナー」に取り込んで送信します。
  3. 第3層:法人税申告書は会計ソフト単体では作れない。法人税申告書(別表)の作成は多くのクラウド会計ソフト単体では対応せず、同じシリーズの申告書作成ソフトや税務申告ソフトが別途必要になります。会計ソフトは会計データ・決算書までを担い、申告書の作成・送信は申告ソフトが担う構成です。

第1層と第2層は「どう送るか(送信方式)」の違い、第3層は「何を作れるか(作成範囲)」の違いで、見ている軸が異なります。そのため1つのソフトが複数の層にまたがることもあります。たとえば消費税申告書は会計ソフトから送れても、法人税申告書は別の申告ソフトが必要、という形です。

国税のe-Taxも地方税のeLTAXも、市販の会計ソフトで作成したデータを利用して申告できる仕組みになっています。そのうえで、どこまでをソフト内で完結できるかが製品ごとに分かれるため、以降で準備・手順・各ソフトの対応を具体的に見ていきます。

出典・参考資料(1件)

電子申告(e-Tax・eLTAX)とは?会計ソフトとの関係

電子申告は、国税と地方税で利用するシステムが分かれています。会計ソフトの対応範囲を理解する前提として、まず2つのシステムの位置づけを確認します。

国税側はe-Tax(国税電子申告・納税システム)です。国税庁は「e-Tax(国税電子申告・納税システム)は、インターネットを通じて国税の各種手続を行うシステム」と説明しており、所得税・消費税・贈与税などの申告や、各種の届出・申請をオンラインで行えます。法人税の申告もe-Taxの対象です。

地方税側はeLTAX(エルタックス)です。地方税共同機構は「eLTAXとは、地方税ポータルシステムの呼称で、地方税における手続きを、インターネットを利用して電子的に行うシステムです」と説明しています。法人の場合、法人住民税や法人事業税などの地方税はこのeLTAXで申告します。

会計ソフトとの関係では、e-Tax・eLTAXのいずれも、会計ソフトで作成した申告データを取り込んで利用できます。地方税共同機構も「市販されている税務・会計ソフトウェアで作成した申告データ等を利用することもできます」と案内しています。このように会計ソフトは、電子申告の入口となる申告データを作る役割を担い、送信までをソフト内で完結できるかどうかは製品によって異なります。

出典・参考資料(3件)

電子申告に必要な準備(識別番号・電子証明書・カードリーダー等)

会計ソフトで申告データを作れても、送信するには事前準備が必要です。ここでは国税のe-Taxを中心に、申告を始める前にそろえておくものを整理します。

まず必要なのが利用者識別番号です。国税庁は「e-Taxをご利用いただくためには、利用者識別番号(半角16桁の番号)が必要です」としています。マイナンバーカードを使ったWeb登録や、開始届出書の提出などで取得できます。

次に、送信するデータが本人の作成で改ざんされていないことを示すための電子署名です。国税庁は「申告等データを送信する際には、そのデータについて、利用者の方本人が作成し、改ざんされていないことを確認するため、電子署名を行っていただいております」と案内しており、電子証明書としてマイナンバーカードを使うのが一般的です。

カードを読み取るにはICカードリーダライタが必要ですが、「マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン」をその代替として使うこともできます。

地方税のeLTAXを利用する場合は、別途eLTAX側の利用者IDの取得や、電子証明書の登録などの準備が必要です。eLTAXには無料のソフトウェア「PCdesk(ピーシーデスク)」が用意されており、パソコンから手続きを行えます。

出典・参考資料(2件)

会計ソフトから電子申告する手順

準備が整ったら、実際の送信に進みます。送信の流れは、前述の第1層(直接送信)と第2層(書き出して取り込み)で異なります。自社のソフトがどちらの方式かによって、必要な操作が変わります。

直接送信型:会計ソフトからそのまま e-Tax 送信する手順

直接送信型のソフト(または会計ソフトと連携する電子申告アプリ)では、おおむね次の流れで送信します。まず会計ソフト内で決算・申告のデータを作成し、送信前のチェックを行います。次に利用者識別番号と暗証番号でログインし、電子証明書(マイナンバーカード等)で電子署名を付けて送信する流れです。送信後は、受付結果(受信通知)で正常に受け付けられたかを確認します。

法人が地方税も電子申告する場合は、eLTAXの利用者IDを登録しておき、同様の流れでeLTAXへ送信します。

直接送信に対応するソフトでは、税目ごとに送信前のチェックを行うと電子申告アプリが起動し、e-Tax・eLTAXの暗証番号と電子証明書のPINコードを入力して送信する、という流れが一般的です。送信後は受付結果を取得して確認します。

データ書き出し型:申告データを e-Taxソフトに取り込んで送信する手順

会計ソフトに直接送信機能がない場合は、会計ソフトで申告データ(XTX形式のファイルなど)を書き出し、国税庁が無料提供する「e-Taxソフト」に取り込んで送信します。e-Taxソフトについて国税庁は「申告書等の様式に準じた入力画面に必要事項を入力することで申告等データを作成するソフトです」と説明しており、会計ソフトから書き出したデータの取り込みにも使えます。

e-TaxソフトのCD-ROMによる提供は終了しており、「e-TaxソフトのCD-ROMによる提供は、平成24年12月をもって終了しました」とされています。現在はダウンロードして利用します。

インストールせずに使いたい場合は、e-Taxソフト(WEB版)もあります。国税庁は「e-Taxソフト(WEB版)は、e-Taxソフトのダウンロードやパソコンへのインストールをせず、Web上での入力により、e-Taxでの申請や帳票表示ができます」と案内しており、WindowsとMacの両方を推奨環境に含みます。

このほか、個人の確定申告では国税庁の「確定申告書等作成コーナー」も無料で利用できます。会計ソフトから書き出したデータを取り込む手順は製品ごとに異なり、取り込みに使えるファイル形式や対応環境が各社のヘルプで指定されている場合があるため、利用中のソフトの案内に沿って進めます。

書き出し型のソフトでは、たとえば消費税申告の画面から「e-Tax用ファイル出力」などの操作でXTX形式のファイルを書き出し、それをe-Taxソフトに取り込んで送信します。

出典・参考資料(5件)

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電子申告・記帳自動化に対応するクラウド会計ソフト

ここからは、電子申告や記帳の自動化に対応する主要なクラウド会計ソフトを紹介します。前述の3層のどこに当てはまるか(ソフトから直接送信できるか、申告データを書き出すか、法人税申告書は別のソフトが要るか)を軸に、対応の違いを比較します。

個人事業主の確定申告は、freee会計・やよいの青色申告 オンライン・マネーフォワード クラウド確定申告などで、会計ソフトから直接 e-Tax 提出まで完結できることが多くなっています。以下の比較表では、法人でも使える主要なクラウド会計ソフトを中心に、消費税・法人税・地方税それぞれの電子申告への対応を整理します。

以下は、ご紹介するクラウド会計ソフトの電子申告対応の比較表です。

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サービス名弥生会計 Nextfreee会計マネーフォワード クラウド会計勘定奉行クラウドTKC FXクラウドシリーズPCAクラウド 会計
会計ソフトからのe-Tax送信会計データを「達人シリーズ」へ
エクスポート(単体では直接送信・
申告書作成は不可)
個人の確定申告はfreee会計から
提出可。法人は別製品「freee申告」が
e-Taxへ直接送信
消費税申告書をXTX形式で書き出し、
e-Taxソフトに取り込んで送信
別製品「申告奉行iクラウド」に
会計データを連携して送信
別製品の申告システム
(ASP1000R等)で送信
会計シリーズから消費税申告書を
e-Taxで直接送信可
作成できる申告書会計データ・決算書まで
(法人税・消費税は達人シリーズ側)
個人の確定申告書まで。
法人の法人税・消費税・地方税はfreee申告
消費税申告書(ビジネスプラン)。
法人税申告書は非対応
会計まで。
法人税・地方税は申告奉行
会計・記帳まで。
申告はASP1000R等
消費税申告書。
法人税はPCAクラウド 法人税
地方税eLTAX達人シリーズ側で対応freee申告で対応対応製品なし
(別手段が必要)
申告奉行で対応申告システムで対応PCAクラウド 法人税で対応
料金(月額・税抜目安)エントリープラン 月額2,900円〜
(年払)初期費用0円
ひとり法人 月額2,980円〜(年払)ひとり法人 月額2,480円〜(年払)iAシステム 月額27,500円〜
初期費用50,000円〜
要お問い合わせ会計 月額16,200円〜
初期費用0円
詳細情報公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

※上記は2026年10月時点の各社公式サイトの情報をもとにした電子申告対応の整理です。対応範囲や料金は変更される場合があるため、最新の内容は各社公式サイトでご確認ください。

電子申告への対応だけでなく、料金や機能、企業規模・タイプ別の選び方まで含めてクラウド会計ソフト全体を比較検討したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。

1. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Nextのウェブサイト

弥生会計 Nextは、弥生株式会社が提供するクラウド会計ソフトです。銀行明細の自動取り込みやAIによる取引入力で記帳を効率化し、決算書の作成までをオンラインで行えます。初期費用は0円で、月額は年払いの場合2,900円から、ベーシックプラスプランは月額7,000円からです。最大2か月の無料体験も用意されています。

電子申告については、弥生会計 Nextの会計データを申告書作成ソフト「達人シリーズ」(NTTデータ)へエクスポートして申告につなぐ形です。公式の機能一覧では、弥生会計 Next自体がe-Taxへ直接送信する機能や、法人税・消費税の申告書を作成する機能は記載されていません。申告書の作成・送信は達人シリーズなどの申告ソフト側が担う構成といえます。

個人事業主の確定申告には、同じ弥生の「やよいの青色申告 オンライン」が確定申告書の作成から e-Tax 提出まで対応しています(弥生会計 Next とは別の製品です)。

出典・参考資料(1件)

2. freee会計(フリー株式会社)

freee会計のウェブサイト

フリー株式会社が提供するfreee会計は、質問に答える形で記帳や確定申告書の作成を進められるクラウド会計ソフトです。個人事業主向けのプランから法人向けのプランまで幅があり、法人向けは「ひとり法人」が月額2,980円(税抜・年払)から、新設法人向けの「スターター」が月額5,480円(税抜・年払)からとなっています。無料お試しは30日間です。

電子申告では、個人事業主の確定申告をfreee会計から進められるほか、法人の法人税・消費税・地方税の申告は「freee申告」で対応します。

freee申告は、e-TaxとeLTAXへ申告書を直接オンライン送信でき、送信結果の確認までソフト内で行えます(法人の場合はe-Taxの利用者識別番号とeLTAXの利用者IDの両方の登録が必要です)。会計から申告・電子送信までを同じシリーズでそろえられる点が特徴です。

出典・参考資料(2件)

3. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計のウェブサイト

マネーフォワード クラウド会計は、株式会社マネーフォワードが提供する法人向けのクラウド会計ソフトです。銀行口座やクレジットカードと連携した自動仕訳で記帳を進め、決算書を自動作成できます。料金は年払いの月換算で「ひとり法人」が2,480円(税抜)から、中小企業向けの「ビジネス」が6,480円(税抜)からで、初期費用は0円です。

電子申告に関しては、消費税申告書の作成に対応しており、作成した申告書からe-Tax取り込み用のファイル(XTX形式)を書き出して、国税庁のe-Taxソフトに取り込んで提出する流れです。法人の確定申告のうち法人税申告書の作成には対応しておらず、個人事業主の確定申告はマネーフォワード クラウド確定申告で行います。消費税申告書の作成はビジネスプランで利用できます。

出典・参考資料(1件)

4. 勘定奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

勘定奉行クラウドのウェブサイト

株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)の勘定奉行クラウドは、企業規模に応じてプランをそろえる会計ソフトです。中小企業向けの「iAシステム」が月額27,500円から、中堅・成長企業向けの「iBシステム」が月額31,250円からで、30日間の無料体験が用意されています。他の奉行シリーズとの連携で、経理まわりの業務を幅広くカバーできます。

電子申告は、勘定奉行クラウドの会計データを「申告奉行iクラウド[法人税・地方税編]」へ連携して行う構成です。会計データを連携することで、法人税・地方税の電子申告につなげられます。会計と申告を同じ奉行シリーズでそろえたい企業に向いた製品です。

出典・参考資料(1件)

5. TKC FXクラウドシリーズ(株式会社TKC)

TKC FXクラウドシリーズのウェブサイト

TKC FXクラウドシリーズは、株式会社TKCが提供する統合型会計情報システムです。日々の記帳から月次試算表、決算までを扱い、企業規模に応じてFX2クラウド・FX4クラウド・FX5クラウドなどがそろいます。市販の会計ソフトとは異なり、会計事務所との顧問契約を前提に提供されるため、料金は要お問い合わせです。

電子申告は、法人電子申告システム「ASP1000R」など、TKCの税務申告システムと組み合わせて行う構成です。会計データを申告システムへ連携することで、記帳から決算・申告までを一連の流れで運用できます。会計事務所の関与のもとで申告まで一貫して進めたい企業に向いています。

出典・参考資料(1件)

6. PCAクラウド 会計(ピー・シー・エー株式会社)

PCAクラウド 会計のウェブサイト

仕訳入力から決算書作成までを扱うPCAクラウド 会計は、ピー・シー・エー株式会社がデータセンター経由で提供する会計ソフトです。料金は会計が月額16,200円(税抜)から、上位の「会計hyper」が月額19,200円(税抜)からで、初期費用は0円、2か月の無料体験があります。

電子申告では、PCAの会計シリーズから消費税申告書をe-Taxで送信できます。一方、法人税のe-Taxや地方税のeLTAXは、別製品の「PCAクラウド 法人税」が担う構成です。PCAクラウド 法人税は画面から直接電子申告でき、月額16,200円(税抜)から、初期費用0円で利用できます。消費税は会計側、法人税・地方税は申告製品側、という役割分担を押さえておくと選びやすくなります。

出典・参考資料(1件)

自社で操作せず任せる選択肢:Tenbook(シンアカウンティングサービス株式会社)

Tenbook(テンブック)のウェブサイト

ここまで紹介した会計ソフトは自社で電子申告を操作する前提ですが、申告の操作自体を任せたい場合は、記帳から申告までを代行するサービスもあります。

Tenbookは、記帳代行から決算・法人税申告までをオンライン中心で代行・サポートするサービスです。公認会計士・税理士が代表を務めるシンアカウンティングサービス株式会社が、自社開発のクラウド会計ソフト「10book」を基盤に提供しています。自社で電子申告の操作を行うのではなく、記帳から申告まで一貫して任せたい事業者に向いています。

対応する税務申告書の作成は、法人税(グループ通算制度・組織再編税制・国際税務を除く)・所得税・消費税の範囲です。売上高10億円以下の中小企業を中心に、原則3名のチーム制で、経理体制の構築から日々の経理、決算書・申告書の作成までをまとめて委託できます。

出典・参考資料(1件)

記帳から申告までをどこまで任せられるかは、こうした代行サービスを選ぶときの判断材料になります。委託できる範囲について、同社はインタビューで次のように話しています。

上田氏
シンアカウンティングサービス株式会社 代表取締役
上田氏
独自インタビューより

比較検討の中で決め手になりやすいのは、経理だけで終わらず、決算書・申告書の作成や経営会議の資料作成まで含めて一貫して委託できる点だと思っています。最後まで責任範囲がつながっていることは、判断材料として分かりやすいはずです。

法人の電子申告で注意したいこと

法人の電子申告では、「会計ソフトで申告まで全部終わる」と考えていると、思わぬところでつまずくことがあります。注意したい点は、地方税の扱いと、法人税申告書の作成範囲の2つです。

法人住民税・事業税は地方税の eLTAX で電子申告する

法人は、国税のe-Taxだけでなく、地方税をeLTAXで申告します。eLTAXで手続きできる法人の地方税には、法人都道府県民税・法人事業税・特別法人事業税(地方法人特別税)や、法人市町村民税があり、予定申告・中間申告・確定申告などが対象です。法人住民税は都道府県民税と市町村民税の両方があるため、国税のe-Taxとあわせて地方税のeLTAXへの対応が必要になります。

eLTAXも会計ソフトで作成したデータを利用でき、無料のソフトウェア「PCdesk」から手続きできます。会計ソフトを選ぶ際は、国税のe-Taxだけでなく地方税のeLTAXへの申告までどうつなげられるか(同シリーズの申告製品があるか、データを書き出してPCdeskに取り込むかなど)を確認しておくと安心です。

出典・参考資料(2件)

法人税申告書(別表)は会計ソフト単体では作れない

もう一つ押さえておきたいのが、法人税申告書(別表)の作成です。多くのクラウド会計ソフトは、仕訳の入力から決算書の作成までを担いますが、法人税申告書の作成そのものには単体では対応していません。法人税申告書を作るには、同じシリーズの申告製品(freee申告・申告奉行・PCAクラウド 法人税など)や、会計データを取り込んで申告書を作る「達人シリーズ」などの税務申告ソフトが別途必要になります。

このように法人の場合は、会計ソフトで決算書まで作り、申告書の作成・電子送信は申告ソフトで行う、という2段構えになるのが一般的です。会計ソフトを選ぶときは、申告まで含めてどの製品の組み合わせで完結するのか、消費税・法人税・地方税のそれぞれをどこが担うのかを、前掲の比較表で確認しておくとよいでしょう。自社で申告の操作を行うのが難しい場合は、記帳から申告まで代行するサービスを利用する選択肢もあります。

会計ソフトと組み合わせて使う法人税申告書の作成ソフトは、対応できる別表の範囲や会計ソフトとの連携、料金に違いがあります。どの申告ソフトを選べばよいか比較したい場合は、以下の記事が参考になります。

電子申告に関わる制度の基礎知識(青色申告特別控除・インボイス2割特例・申告書控えの扱い)

電子申告は、いくつかの税制上の論点とも関わります。ここでは会計ソフトでの申告に関係する範囲で、押さえておきたい制度を簡潔に整理します。

一つ目が、個人事業主の青色申告特別控除です。65万円の控除を受けるには、55万円控除の要件を満たしたうえで、「その年分の仕訳帳・総勘定元帳の電子帳簿保存を行う」か、「確定申告書・貸借対照表・損益計算書等の提出を期限までにe-Taxで行う」かの、いずれか一方を満たす必要があります。

e-Taxでの電子申告は65万円控除を受ける手段の一つであり、電子帳簿保存でも同じ控除を受けられます(どちらも満たさない場合の控除額は10万円です)。

出典・参考資料(1件)

青色申告特別控除の65万円を受けるための要件や、控除に対応した会計ソフトの選び方をさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事で比較・解説しています。

二つ目が、インボイス制度の2割特例です。免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった事業者は、消費税の納付税額を売上税額の2割に抑えられる負担軽減措置を使えます。国税庁は次のように説明しています。

2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間となります。2割特例の適用に当たっては、事前の届出は必要なく、消費税の申告時に消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することで適用を受けることができます(28改正法附則51の2③)。

出典:2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要|国税庁

消費税申告書の作成に対応する会計ソフトを使えば、2割特例を適用した申告書を作成し、e-Taxで提出できます。

三つ目が、申告書控えの扱いの変更です。国税庁は令和7年(2025年)1月から、申告書等の控えへの収受日付印の押なつを行わないこととしました。電子申告の場合は、送信後にメッセージボックスへ格納される受信通知で、受付番号や受付日時を確認でき、提出の事実や日付の記録として使えます。

紙の提出では控えを自分で保管・管理する必要があるため、記録を残す面でも電子申告には利点があります。電子帳簿保存法への対応も含め、会計ソフトを使った記帳・保存の詳細は、関連する記事もあわせてご確認ください。

出典・参考資料(1件)

電子帳簿保存法のメリット・デメリットや、対応を進める際のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ

会計ソフトの電子申告は、ソフトから直接送信できるもの、申告データを書き出して国税庁のe-Taxソフトに取り込むもの、法人税申告書は別の申告ソフトが必要なものに分かれます。国税のe-Taxと地方税のeLTAXでは利用するシステムが異なり、どちらも会計ソフトで作成したデータを使える一方、送信までソフト内で完結できるかは製品ごとに違います。

自社の会計ソフトがどの層に当てはまるか、消費税・法人税・地方税のそれぞれをどこで申告するかを確認し、必要な準備(利用者識別番号・電子証明書・カードリーダーまたは対応スマートフォン)をそろえることが、スムーズな電子申告の第一歩です。これから会計ソフトを選ぶ場合は、電子申告や記帳の自動化への対応を比較しながら、自社に合うものを検討してみてください。

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よくあるご質問(FAQ)

Q. 会計ソフトの電子申告は、スマートフォンだけでできますか?

A. 会計ソフトの電子申告は、マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンがあれば、ICカードリーダライタを用意しなくても電子署名と送信を行えます。国税庁も、マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンをICカードリーダライタの代わりに使えると案内しています。

ただし、会計ソフト側がスマートフォンでの申告書作成・送信操作に対応しているかは製品ごとに異なり、パソコンでの操作を前提とするソフトもあります。申告データの作成までスマートフォンで完結できるかは、利用中のソフトの対応状況を確認してください。

出典・参考資料(1件)

Q. 会計ソフトを使わず、無料のe-Taxソフトだけで電子申告できますか?

A. 国税庁が無料提供する「e-Taxソフト」だけでも、申告データの作成から送信まで電子申告を行えます。e-Taxソフトは、申告書等の様式に準じた入力画面に必要事項を入力することで申告等データを作成するソフトだと国税庁が説明しており、会計ソフトがなくても申告自体は可能です。

ただし、e-Taxソフトは日々の記帳や決算書の自動作成までは行いません。記帳から決算・申告までをまとめて効率化したい場合は、会計ソフトで決算データを作り、そのデータを使って電子申告する方が負担を抑えられます。

出典・参考資料(1件)

Q. 会計ソフトがあれば、税務申告ソフトは不要ですか?

A. 会計ソフトだけで申告が完結するかは申告の種類によって異なり、個人事業主の確定申告は会計ソフトだけで完結できることが多い一方、法人税申告書(別表)の作成には会計ソフト単体では対応できず、別途申告ソフトが必要になるのが一般的です。

法人税申告書を作るには、freee申告・申告奉行・PCAクラウド 法人税のような同じシリーズの申告製品や、会計データを取り込んで申告書を作る「達人シリーズ」などの税務申告ソフトを組み合わせます。会計ソフトは会計データ・決算書まで、申告書の作成・電子送信は申告ソフトが担う、という2段構えになる点を押さえておくと選びやすくなります。

Q. 個人事業主の確定申告は、どのクラウド会計ソフトでできますか?

A. 個人事業主の確定申告は、freee会計、マネーフォワード クラウド確定申告、やよいの青色申告 オンラインなどのクラウド会計ソフトで、確定申告書の作成からe-Taxでの提出まで行えます。

これらのソフトは、銀行口座やクレジットカードと連携した自動入力で記帳を進め、質問に答える形などで青色申告・白色申告の書類を作成できます。法人向けのプランや製品とは申告書の種類が異なるため、個人事業主の場合は個人の確定申告に対応したプラン・製品を選ぶ必要があります。

Q. 青色申告特別控除の65万円を受けるには、電子申告(e-Tax)が必須ですか?

A. e-Taxでの電子申告は65万円控除の必須条件ではなく、「e-Taxによる申告」か「仕訳帳・総勘定元帳の電子帳簿保存」のいずれか一方を満たせば65万円の控除を受けられます。

55万円控除の要件を満たしたうえで、このどちらか一方を満たすことが65万円控除の条件で、いずれも満たさない場合の控除額は10万円です。電子帳簿保存に対応した会計ソフトで帳簿を保存すれば、必ずしもe-Taxで提出しなくても65万円控除を受けられます。

出典・参考資料(1件)

Q. 今使っている会計ソフトが電子申告に対応しているか、どう確認すればよいですか?

A. 会計ソフトの電子申告対応は製品ごとに幅があるため、各社公式の機能ページやヘルプで「ソフトから直接送信できるか」「申告データを書き出してe-Taxソフトに取り込むか」「法人税申告書は別の申告ソフトが必要か」の3点を確認するのが確実です。

あわせて、対応している申告の種類(確定申告書・消費税・法人税)や、地方税のeLTAXまでつなげられるか、どのプランで電子申告機能が使えるかも確認しておくと、自社の申告業務を会計ソフトで回せるかを判断できます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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