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自治体のファイル無害化|三層分離・LGWAN環境で使えるCDR製品の比較と選び方

自治体のファイル無害化|CDR製品の比較と選び方のサムネイル画像

自治体の庁内ネットワークは、マイナンバー利用事務系・LGWAN接続系・インターネット接続系の三層に分けて運用されています。この構成では、インターネット接続系で入手したファイルをLGWAN接続系に取り込むとき、ウイルスなどの危険因子を取り除く「無害化」が求められます。

USBメモリでの手運びやパスワード付きZIPに頼らず、安全にファイルを受け渡す仕組みをどう整えるかは、情報システム部門にとって継続的な課題です。

この記事では、自治体で使われているファイル無害化の製品・サービスを実名で一覧にし、提供形態・無害化できる対象・対応ファイル形式・費用の考え方で整理します。

あわせて、自庁の環境に合う選び方、製品のタイプ分け、無害化が求められる制度的な背景、費用と調達の進め方、実際の自治体の導入事例までをまとめました。

読み終えたときに、候補を2〜3製品まで絞り込み、資料請求や問い合わせに進む判断材料がそろっている状態を目指します。

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自治体で使えるファイル無害化製品の比較一覧

はじめに、自治体の三層分離・LGWAN環境で使われているファイル無害化の製品・サービスを横並びで比較します。提供形態(LGWAN-ASP・オンプレミス・クラウド連携)、無害化できる対象、対応ファイル形式、無害化の方式、費用の考え方で整理しました。各製品の詳しい内容は、表の下の個別紹介で確認できます。

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製品OPSWAT MetaDefenderMenlo File Security(旧Votiro)Smooth FileCyberMail-CDR/Σ STm-FILTER MailFilterファイル無害化 for LGWAN-ASP(ATL)ファイル・メール無害化ASP(両備)i-FILTER ファイル無害化オプションFileZen S
提供形態オンプレミス(Core/ICAP Server)・クラウド。三層の内側に設置可
※LGWAN-ASP提供は要確認
クラウド(エージェントレス・API連携)・オンプレミス
※LGWAN-ASP提供は要確認(旧Votiro系で実績)
アプライアンス・仮想・クラウド・ネットワーク分離モデル(LGWAN向けラインあり)オンプレミス(CyberMail-CDR)・クラウド(CYBERMAIL Σ ST)
※LGWAN-ASP提供は要確認
オンプレミス・クラウド(@Cloud)・ゲートウェイ型(EdgeMTA)
※LGWAN-ASP提供は要確認
LGWAN-ASP(庁内にハード設置不要のクラウド型)共同利用型LGWAN-ASP(端末への専用ソフト不要)オンプレミス・クラウド(i-FILTER Ver.10/@Cloud 共通オプション)物理/仮想アプライアンス・Remote Agent。三層の内側に設置可
※クラウド版・LGWAN-ASPは公式記載なし
無害化の対象メール添付・ストレージ/ファイル共有・USB/可搬媒体・Web(ICAP連携)メール添付・Webダウンロード/アップロード・クラウドストレージ・ファイル転送環境間のファイル受け渡し・ストレージ(Officeのマクロ/OLE除去機能あり)メール(本文・URL・添付ファイル)メール添付ファイル・本文(Web経由はi-FILTER側で対応)ブラウザにアップロードしたファイル(持込・受け渡し)ファイル・メール(本文・添付ファイル)Web経由のダウンロード・アップロード(メール添付はm-FILTER併用)環境間のファイル受け渡し(持込ファイル)
対応ファイル形式120〜200種類以上(Office・一太郎・PDF等。出典により記載に幅あり)220種類以上(Office・PDF・AutoCAD・アーカイブ等)要問い合わせ(公式記載なし)要問い合わせ(公式記載なし)要問い合わせ(公式記載なし)Office・一太郎・花子・三四郎・PDF・JW_CAD・DXF・dwg・画像・圧縮形式等要問い合わせ(公式記載なし)Office・PDF・RTF・ZIP・RAR・TAR/CAB・画像等(順次拡大予定)連携するCDR製品の対応形式に依存(公式一覧なし)
対応モデル(α/β/α’)公式未確認(要確認)公式未確認(要確認)α’モデル対応(ネットワーク分離モデル)α・βモデル対応(β=LGWAN向け送信メールの無害化転送)公式ページはα/β/β’/α’モデルの運用イメージ図のみ(文章の説明なし)公式未確認(「強靱性向上モデル対応」と記載)公式未確認(「強靱性向上モデル対応」と記載)公式未確認(要確認)公式のモデル対応明記なし(山口県庁はαモデル継続で運用)
ISMAP登録未確認未確認登録済(CYLLENGEクラウド)未確認未確認(@Cloud単体の登録なし)未確認(記載なし)未確認(ASPIC認定あり〈名義は熊本流通情報センター〉)未確認未確認(登録C24-0074-2はSoliton OneGate対象でFileZen Sは対象外)
無害化方式CDR(Deep CDR)+マルチエンジンスキャンCDR(Positive Selection)ネットワーク分離によるファイル移動(分解・再構成型の無害化エンジンは非搭載)メールのテキスト化・URL無効化+添付は外部CDRエンジン連携CDR型のファイル無害化オプション(単体動作・再帰的無害化)。標準はマクロ除去・URL無効化国産エンジン「サニタイザー」による6段階処理(マクロ除去・画像化・再構成)無害化エンジンによる分解・再帰的無害化・原本性を保った再構成危険要素(マクロ・スクリプト・埋め込みオブジェクト)除去+再検査(具体方式は非公開)外部CDR製品(OPSWAT/Votiro)とAPI自動連携(自社無害化エンジンは非搭載)
費用体系要問い合わせ(非公開)要問い合わせ(非公開)容量課金(ユーザー数無制限プランあり)。クラウド版 月33,000円〜利用人数課金(Σ ST 月100円/AC〜、ファイル無害化オプション別)利用人数課金(ファイル無害化オプション 月200円/ユーザー〈税別〉、本体別)見積り制(要問い合わせ)利用職員数課金(共同調達でディスカウント可、実額非公開)利用人数課金(月200円/ユーザー〈税別〉予定・報道)要問い合わせ(2020年発売時参考: 本体88万円・ライセンス4万円/100ユーザー・年〜)
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表には、ファイルを分解・再構成するCDR型の無害化製品に加え、Smooth FileやFileZen Sのように環境間のファイル受け渡し(ネットワーク分離)を担い、無害化は外部エンジンに委ねる製品も含めています。製品のタイプ分けは「ファイル無害化製品のタイプと提供形態」で整理します。

主要なファイル無害化製品・サービス

ここからは、比較表に挙げた各製品の特徴を個別に紹介します。無害化の方式や対応範囲、自治体での提供形態は製品ごとに異なるため、自庁の課題に照らして読み進めてください。

1. OPSWAT MetaDefender(OPSWAT)

OPSWAT MetaDefenderのウェブサイト

OPSWAT MetaDefenderは、ファイル無害化(Deep CDR。コンテンツ無害化・再構成とも呼ばれ、ファイルを分解して安全な要素だけで作り直す方式)と複数エンジンによるウイルススキャン(マルチスキャン)を組み合わせたファイルセキュリティ製品です。開発元の米OPSWATは、重要インフラ向けのセキュリティを手がけてきたベンダーで、日本法人のOPSWAT JAPANが国内展開を担っています。

Deep CDRは、ファイルを構成要素まで分解し、安全な要素だけで作り直すことで、未知の脅威も含めて危険因子を取り除きます。対応ファイル形式は公式ページによって120種類以上〜200種類以上と記載に幅があるため、導入前に対象形式を確認しておくと安全です。

無害化を適用できる入口も、メール添付(Email Security)、ストレージ・ファイル共有(Storage Security)、USBなどの可搬媒体(Kiosk)、Web経由の通信(ICAP Server連携)と広く用意されています。

国内ではネットワンパートナーズなどのSIパートナーを通じて自治体向けに提供されており、富士市をはじめ公共分野での導入が公式ブログで紹介されています。LGWAN-ASPとしての提供可否やISMAP登録の有無は公式情報で確認できなかったため、調達時はパートナー経由で確かめることをおすすめします。料金は要お問い合わせです。

2. Menlo File Security(旧Votiro/Menlo Security)

Votiro Disarmer(現 Menlo File Security)のウェブサイト

イスラエル発のCDR技術を持つVotiroは、2025年2月にブラウザ分離で知られるMenlo Securityに買収され、現在は「Menlo File Security」として提供されています。日本国内では代理店のアズジェント株式会社が引き続き「Votiro」ブランドで販売しており、検索や調達の場面では旧称がなお通用している状態です。

特徴は、ファイルを検査して良し悪しを判定するのではなく、安全と確認できる要素だけを取り出して新しいファイルに作り直す「Positive Selection」という方式です。対応ファイル形式は220種類以上を公式に掲げ、メール添付・Webダウンロード・ファイルアップロード・ファイル転送(FTP等)・クラウドストレージと、ファイルが行き来する複数の経路を横断してカバーします。

自治体向けでは、買収前の旧Votiroエンジンを組み込んだLGWAN-ASP方式の無害化が、品川区(2018年、全職員約6,400人を対象)や秋田県内9町村の共同調達(2019年、約900ユーザー)で採用された実績が、提供元のジャパンシステム株式会社から発表されています。

これらは買収前の旧Votiro系の実績で、Menlo File Security名義でのLGWAN-ASP提供やISMAP登録は公式に確認できていません。現在、国内では代理店のアズジェントが「Votiro」ブランドで無害化ソリューションとして提供を続けているため、自治体で調達する際は、現行の提供形態(オンプレミスやクラウド連携、LGWAN環境への対応構成)を代理店に確認するのが確実です。

料金は要お問い合わせです。

3. Smooth File(CYLLENGE)

Smooth Fileのウェブサイト

株式会社CYLLENGEが提供するSmooth Fileは、大容量ファイルの転送・共有を軸とした法人向けオンラインストレージです。自治体向けには「ネットワーク分離モデル」が用意されており、インターネット接続系とLGWAN接続系の間でファイルを安全に受け渡す用途に対応します。

位置づけとしては、ファイルそのものを分解・再構成する無害化エンジンというより、USBメモリの手運びに頼らずに分離された環境間でファイルを移動させる「ネットワーク分離のファイル移動」を担う製品です。公式サイトでは国内1,000社以上の導入実績を掲げ(北海道から沖縄まで数多くの自治体で導入)、ISMAPにも登録されています。富山市役所などでの活用も紹介されています。

料金は利用人数ではなくストレージ容量による課金で、ユーザー数無制限のプランを持つ点も特徴です。ファイルの無害化そのものを外せない要件とする場合は、無害化エンジンを備える製品と組み合わせるか、後述の製品タイプを踏まえて役割を切り分けて検討するとよいでしょう。

4. CyberMail-CDR/CYBERMAIL Σ ST(サイバーソリューションズ)

サイバーソリューションズ メールセキュリティ製品群のウェブサイト

サイバーソリューションズ株式会社は、メールを起点としたファイル無害化に強みを持つベンダーです。自治体・教育機関向けにはオンプレミス中心の「CyberMail-CDR」を、クラウド型では「CYBERMAIL Σ ST」などを展開しています。

添付ファイルの無害化は自社単独ではなく、OPSWAT MetaDefender Core・Sanitizer・Votiro Disarmer・Fast Sanitizerといった外部エンジンと連携して処理する設計です。メール本文側は、HTMLメールをテキスト化したうえで本文中のURLリンクを無効化します。

ネットワーク構成への対応も、受信メールを無害化して転送するαモデルに加え、βモデルではLGWAN網向けの送信メールの無害化転送にも対応します。

自治体での導入事例として、茨城県五霞町がCYBERMAIL Σ STを採用したことが公式に発表されています。報道では、1通あたり約5分かかっていた確認作業がゼロになったと紹介されています。対応ファイル形式や料金の詳細は公開されていない部分があるため、要件に合うかは問い合わせで確認してください。

5. m-FILTER MailFilter(デジタルアーツ)

m-FILTER MailFilterのウェブサイト

デジタルアーツ株式会社のm-FILTER MailFilterは、企業・官公庁向けのメールセキュリティソフトです。標準の機能として、添付ファイルのマクロ・スクリプトの除去や削除、HTMLメールのテキスト化、本文中URLのリンク無効化といったメール無害化を備えています。

2026年2月に提供が始まった「ファイル無害化オプション」では、添付ファイルを解析して安全な要素だけで作り直す方式に対応しました。m-FILTER単体で動作し、外部製品との連携を必要としない点、埋め込みファイルまで処理する再帰的な無害化や、強制検査後に無害化するためパスワード付きZIPにも対応する点が特徴です。

無害化できる対象はメールの添付ファイルと本文で、Web経由のファイルは姉妹製品i-FILTER側のオプションと併用して対応します。

自治体では、和歌山県紀の川市が、三層分離対策としてm-FILTERを、Web閲覧の可視化としてi-FILTERを導入した事例が公開されています。メールセキュリティの分野では、デジタルアーツが調査会社ミック経済研究所のデータをもとに、電子メールフィルタリング市場の出荷本数シェア1位(2024年度・68.2%)と公表しています。

α・β・α’といった接続モデルへの対応は、製品ページの図で示されるにとどまります。LGWAN-ASPとしての提供やISMAP登録は公式に確認できていません。

6. ファイル無害化 for LGWAN-ASP(エーティーエルシステムズ)

ファイル無害化 for LGWAN-ASPのウェブサイト

株式会社エーティーエルシステムズの「ファイル無害化 for LGWAN-ASP」は、無害化エンジン「サニタイザー」を採用したLGWAN-ASP向けのサービスです。庁内にハードウェアを設置せず、クラウドサービスとして利用できます。

処理は6段階で構成され、ウイルスチェック、ファイル形式の走査(拡張子偽装の確認を含む)、不正コード混入の走査、マクロ・スクリプトの除去、除去しきれないファイルの画像化、そしてファイルの再構成という流れで危険因子を取り除きます。

対応ファイル形式は、Office文書やPDFに加え、一太郎・花子・三四郎、JW_CAD・DXF・dwg、パスワード保護文書、各種アーカイブなど、自治体の業務で使う形式に幅広く対応しています。

公式には「自治体セキュリティ強靱性向上モデルに対応」と記載されています。料金は見積もり制で、個別に問い合わせる形です。無害化エンジンのサニタイザー自体は川口弘行合同会社が開発したもので、株式会社エーティーエルシステムズはこれを組み込んでサービスとして提供しています。

7. ファイル・メール無害化ASPサービス(両備システムズ)

両備システムズ ファイル・メール無害化ASPサービスのウェブサイト

株式会社両備システムズの「ファイル・メール無害化ASPサービス」は、共同利用型のLGWAN-ASPとして提供される無害化サービスです。端末への専用ソフトのインストールは不要で、インターネット接続系の端末にあるファイルを無害化し、LGWAN接続系の端末で受信する流れに対応します。

無害化エンジンによって、ファイルの識別、マクロ・スクリプトの削除、構成要素の分解、再帰的な無害化、原本性を保ったファイルの再構成までを行います。メール本文と添付ファイルを無害化して1通にまとめて届けるPDF変換オプションも用意されており、パスワード付きZIPにも対応します。

料金は利用する職員数による課金で、共同調達によるボリュームディスカウントが可能です。お試し利用も案内されています。公式には「自治体情報システム強靱性向上モデル」への対応が示されています。

8. i-FILTER ファイル無害化オプション(デジタルアーツ)

i-FILTER ファイル無害化オプションのウェブサイト

デジタルアーツのWebセキュリティ製品i-FILTERには、2026年10月から「ファイル無害化オプション」が提供されます。前述のm-FILTERがメール経由のファイルを担うのに対し、こちらはWeb経由でダウンロード・アップロードするファイルの無害化を受け持ちます。

i-FILTERを経由してやり取りするファイルから、マクロ・スクリプト・埋め込みオブジェクトを除去し、安全を確認したものだけを渡す仕組みです。メール添付の無害化はm-FILTER側の同名オプションと併用することで、Web経由とメール経由の両方をカバーできると案内されています。

2026年10月に提供が始まるため、導入実績はこれからの製品です。料金は1ユーザーあたり月額200円(税別)と報道されていますが、公式には明示されていないため、実際の提供条件は提供開始後に確認が必要です。

9. FileZen S(ソリトンシステムズ)

FileZen Sのウェブサイト

株式会社ソリトンシステムズのFileZen Sは、ネットワーク分離環境でのファイルの受け渡しを担うアプライアンスです。物理アプライアンス・仮想アプライアンス・Remote Agentの3形態で提供され、自治体のインターネット接続系とLGWAN接続系の間でファイルをやり取りする経路づくりを受け持ちます。

無害化は自社エンジンで行うのではなく、OPSWAT MetaDefender CoreやVotiro Disarmerといった外部のCDR製品とAPIで自動連携する方式です(いずれも有償のオプション、ウイルスチェックはBitDefender)。前述のSmooth File同様、ファイルの移動経路を担い、無害化はCDRエンジンに委ねる組み合わせ型と捉えると位置づけが分かりやすくなります。

自治体の導入では、山口県庁が従来からのαモデルを継続したまま、2022年3月から全庁約5,500名で運用し、取り込みファイルが原因のインシデントは0件と公式事例で公表されています。料金は現在非公開で、クラウド版やLGWAN-ASPとしての提供、FileZen S自体のISMAP登録は公式に確認できませんでした。

自庁に合う無害化製品の選び方

ここからは、候補を絞り込むための選定軸を整理します。自庁のネットワーク環境に合うか、無害化の実力は足りるか、費用と調達は見合うか、という意思決定の順で確認していくと、庁内で説明しやすい形になります。

自庁のネットワーク環境に合うか

最初に確認したいのは、自庁の接続構成に製品が合うかどうかです。自庁が、従来型のαモデルを維持しているのか、インターネット接続系に業務端末を置くβモデルなのか、外部クラウド利用のためにローカルブレイクアウトを加えたα’モデルなのかを押さえます。どのモデルかによって、求められる無害化の形が変わります。

特にα’モデルで外部クラウドとファイルを送受信する場合は、クラウド側がISMAPに登録されていることが前提になります。

ただし、各製品がどの接続モデルにどこまで対応するかは公式に明示されていないことも多く、比較表でも「公式未確認」となる項目が残ります。自庁のモデルを起点に、候補となる各社へ対応可否を直接確認するのが確実です。

次に、LGWAN-ASPとして庁内にハードウェアを置かずに利用できるかも分かれ目です。LGWAN-ASPはJ-LISの審査で閉域性が確認されたサービスのため、庁内に機器を増やさずに導入でき、運用負荷を抑えやすい形です。加えて、Microsoft 365やBoxなど庁内で使うクラウドと連携して無害化できるかも、クラウド活用を進める自治体では確認しておきたい点です。

無害化の実力(対象範囲と対応形式)は足りるか

製品によって、無害化できる対象の広さが異なります。メール添付だけを対象とするものから、Web経由のダウンロード、ファイルサーバーやクラウドストレージ、USBなどの可搬媒体まで幅広くカバーするものまであります。自庁でどの経路からファイルが入ってくるかを洗い出し、その経路を押さえられる製品かを確認します。

対応ファイル形式も重要です。Office文書やPDFは各製品が対応していますが、一太郎・花子やCAD形式など、自治体の業務で使う形式を扱えるかは製品ごとに差があります。普段やり取りするファイルの種類を基準に、再構成後も問題なく開けるかまで含めて確かめるとよいでしょう。この対象範囲と形式の全体像は、次章の製品タイプで俯瞰できます。

費用と調達のしやすさは見合うか

費用は、利用する職員数による課金か、ストレージ容量による課金かなど、課金の軸が製品で異なります。職員数の多い団体では、利用人数課金だと総額が膨らむこともあるため、課金軸と自庁の規模の相性を見ておくと見積もりの精度が上がります。

調達のしやすさも軸になります。ISMAP登録の有無や、共同調達・お試し利用への対応は、負担を抑えて導入を進める手がかりです。ISMAP登録が持つ意味合いや費用相場、調達の具体的な進め方は、後述の「費用の目安と調達方法」で詳しく扱います。

ファイル無害化製品のタイプと提供形態

ファイル無害化に関わる製品は、「何を・どの経路で守るか」という守備範囲と、「庁内にどう入れるか」という提供形態の2つの切り口で整理すると見通しが立ちます。守備範囲では次の3タイプに分かれ、提供形態はそのいずれにも横断する軸として考えます。自庁の課題がどこに当てはまるかを掴むと、候補を絞りやすくなります。

ファイル無害化製品を守備範囲と提供形態の2つの切り口で整理した図。守備範囲はメール無害化(m-FILTER MailFilter、CYBERMAIL Σ ST)、ファイル無害化CDR(OPSWAT MetaDefender、Menlo File Security、CyberMail-CDR、i-FILTER無害化オプション)、ネットワーク分離のファイル移動(Smooth File、FileZen S)の3タイプ。提供形態はLGWAN-ASP・オンプレミス・クラウド連携の横断軸。

メール無害化

メールの添付ファイルや本文を対象に無害化するタイプです。添付ファイルのマクロ・スクリプトを除去し、HTMLメールをテキスト化してURLを無効化します。メール経由の脅威への対策を主眼とする場合に適しており、m-FILTER MailFilterや、クラウド型メール無害化のCYBERMAIL Σ STがこのタイプに当たります。

ファイル無害化(CDR)

ファイルそのものを構成要素まで分解し、安全な要素だけで作り直すCDR(コンテンツ無害化・再構成)のエンジンを核とするタイプです。メールに限らず、Web・ストレージ・可搬媒体など複数の経路から取り込むファイルを無害化できます。

OPSWAT MetaDefender、Menlo File Security、オンプレミス向けのCyberMail-CDR、Web経由ファイルを対象とするi-FILTER ファイル無害化オプションがこのタイプに位置づけられます。

ネットワーク分離のファイル移動

三層分離で分かれた環境の間を、USBメモリに頼らずに安全にファイルを移動させることを主眼としたタイプです。無害化エンジンと組み合わせて使う場合もありますが、主眼はファイルの受け渡しの経路づくりにあります。Smooth Fileのネットワーク分離モデルや、FileZen Sのようなネットワーク分離アプライアンスがこのタイプの代表です。

提供形態(LGWAN-ASP・オンプレミス・クラウド連携)という軸

上の3タイプとは別に、庁内へどう入れるかという提供形態も選定の分かれ目になります。LGWAN-ASP型は庁内に機器を設置せずクラウドサービスとして使え、初期の機器投資や運用の手間を抑えやすい形です。ファイル無害化 for LGWAN-ASPや両備システムズのファイル・メール無害化ASPサービスがこれに当たります。

一方、オンプレミス型は自庁の環境内に設置して三層の内側で完結させやすく、クラウド連携型はMicrosoft 365やBoxなど外部サービスと組み合わせて無害化します。同じCDRやメール無害化でも、この提供形態の違いで運用や調達の進め方が変わるため、守備範囲とあわせて確認すると選びやすくなります。

ここで整理した製品タイプは、自治体に限らず金融・医療・製造など機密情報を扱う民間企業でも導入が広がっています。自庁向けの提供形態だけでなく、民間ネットワーク向けも含めて無害化サービスを提供形態や想定環境で広く見比べたい場合は、次の記事で主要製品をタイプ別に整理しています。自治体(LGWAN三層分離)向けと民間向けの選び分けの軸も確認できます。

なぜ自治体にファイル無害化が必要なのか(制度背景)

ここからは、自治体でファイル無害化が求められる制度的な背景を、総務省のガイドラインに沿って簡潔に整理します。すでに概要をご存じの方は、選び方や比較の参照にお使いください。

三層分離とファイルの受け渡し

自治体の情報システムは、総務省のガイドラインが定める「情報システム全体の強靭性の向上」(三層の対策)に基づき、三段階の対策で守られています。これは「自治体情報システム強靱性向上モデル」とも呼ばれます。マイナンバー利用事務系は他領域との通信を原則遮断し、LGWAN接続系とインターネット接続系は通信経路を分割したうえで、両者の間で通信する場合は無害化通信を実施する、という考え方です。

自治体の三層分離の構成図。マイナンバー利用事務系は他領域との通信を原則遮断する。LGWAN接続系とインターネット接続系は通信経路を分割し、インターネット接続系で入手したファイルをLGWAN接続系に取り込む際に無害化で危険因子を除去する流れを示す。

②LGWAN 接続系においては、LGWAN と接続する業務用システムと、インターネット接続系の情報システムとの通信経路を分割する。なお、両システム間で通信する場合には、無害化通信を実施する。

出典:地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和6年10月版)第2編 情報セキュリティ基本方針|総務省

総務省ガイドラインが求める無害化要件

同ガイドラインは、インターネット接続系で受信したメールや、インターネット経由で入手したファイルをLGWAN接続系に取り込む場合、無害化しなければならないと定めています。

無害化通信の実現方法として、メールの本文だけを転送するメールテキスト化方式、画面を転送する方式、そして危険因子をファイルから除去する方式の3つが挙げられており、この記事で扱うファイル無害化(CDR)は3つめの「危険因子をファイルから除去する方式」に当たります。

(ウ)危険因子をファイルから除去し、又は危険因子がファイルに含まれていないことを確認し、インターネット接続系から取り込む方式

出典:地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和6年10月版)第2編 情報セキュリティ対策基準|総務省

この義務は「インターネット経由で入手したファイル」と幅広く書かれており、メール添付だけでなくWeb経由で入手したファイルなども対象に含まれます。製品を選ぶ際は、自庁で実際にファイルが入ってくる経路をこの要件に照らして確認することが大切です。

出典・参考資料(1件)

接続モデル(α・β・α’)と無害化

三層分離の運用には、いくつかの接続モデルがあります。従来型のαモデルは三層分離を厳格に保つ構成で、βモデルはインターネット接続系に主たる業務端末を置く制限緩和型です。α’モデルは、αモデルを基本としつつ、外部のクラウドサービスを使うためにLGWAN接続系から接続先へローカルブレイクアウトする構成です。

ガイドラインでは、α’モデルで利用できるクラウドサービスは、ISMAP管理基準を満たしISMAPクラウドサービスリストに登録されたものとされています。クラウドとファイルを送受信する構成では無害化も必須の対策に含まれるため、自庁がどのモデルを採るかによって、求める製品の提供形態や連携先が変わってきます。

「三層の対策」が求められるようになった経緯

この三層の対策は、2015年(平成27年)に発生した日本年金機構の情報流出事案を契機としています。これを受けて総務省が地方公共団体へ「三層の対策」などの情報セキュリティの抜本的強化策を要請し、ガイドラインに反映されました。無害化は、この抜本的強化の一環として、インターネット側の脅威を庁内の基幹系に持ち込まないための仕組みとして位置づけられています。

出典・参考資料(1件)

USB・パスワード付きZIPに依存した運用からの脱却

無害化の普及は、USBメモリやパスワード付きZIPに頼ったファイルの受け渡しを見直す流れとも重なります。ガイドラインは、マイナンバー利用事務系について、原則としてUSBメモリ等の記録媒体で端末から情報を持ち出せないよう設定することを求めています。これは住民情報の流出を防ぐための規定で、対象はマイナンバー利用事務系に限られますが、USBに頼らない安全なファイル移動へ向かう背景のひとつです。

また、パスワードを同じ経路で自動送付する暗号化ZIP(いわゆるPPAP)については、2020年に内閣府・内閣官房が廃止を進める方針を示し、行政全体で見直しが広がりました。これは中央省庁発の方針で、自治体向けガイドラインの無害化要件そのものではありませんが、手運びや簡易な暗号化に頼らず、仕組みでファイルを安全に扱う方向へ進む流れを後押ししています。

出典・参考資料(1件)

アンチウイルスと無害化(CDR)の違い

ファイル無害化は、既存のアンチウイルスと役割が異なります。両者の違いを押さえると、なぜ無害化が別に必要なのかが見えてきます。

アンチウイルスは「既知の脅威」を見つけて止める

アンチウイルスは、これまでに見つかったマルウェアの特徴(シグネチャ)や振る舞いをもとに、ファイルが危険かどうかを判定して検知・隔離します。既知の脅威に対しては有効ですが、特徴が登録されていない未知のマルウェアや、検査環境を見抜いて動作を偽装する新しい攻撃は、すり抜ける可能性があります。

無害化(CDR)は「安全な要素だけ」で作り直す

ファイル無害化(CDR)は、危険かどうかを判定するのではなく、ファイルを構成要素まで分解し、安全と確認できる要素だけを取り出して新しいファイルに作り直します。マクロやスクリプト、埋め込みオブジェクトといった、危険因子になり得る要素は再構成の過程で取り除かれます。判定に頼らないため、特徴が未登録の未知の脅威に対しても予防的に効く点が、アンチウイルスとの大きな違いです。

総務省ガイドラインも、無害化の手法として、テキスト抽出・画像PDFへの変換・サニタイズ処理などを挙げています。

どちらも必要な理由

無害化は安全な要素だけで作り直すため、未知の脅威に強い一方、ファイル内のマクロなど一部の機能が失われる場合があります。アンチウイルスは既知の脅威を効率よく検知できます。両者は守る範囲が重なりつつも補い合う関係にあり、インターネット側から取り込むファイルには無害化を、全体の防御にはアンチウイルスを、と組み合わせて使うのが基本的な考え方です。

ファイル無害化の費用の目安と調達方法

費用は、各社とも公式に金額を公開していないケースが多く、相場をつかみにくい領域です。ここでは、課金の軸と調達の進め方から、見積もりを取るための見通しを整理します。

課金の軸を確認する

課金の軸は製品によって分かれます。利用する職員数で課金するもの、ストレージ容量で課金するもの、オプション単位で加算するものなどがあります。たとえば利用人数課金の場合、職員数の多い団体では総額が膨らみやすいため、自庁の規模と課金軸の相性を先に確認しておくと、見積もりの精度が上がります。

料金が非公開の実態と見積もりの取り方

多くの製品が料金を非公開としており、具体的な金額は問い合わせや見積もり取得で確認する形です。候補を2〜3製品に絞ったうえで、自庁の職員数・対象とするファイルの経路・必要なオプションを明確にして見積もりを依頼すると、各社の条件を比べやすくなります。報道などで断片的な価格が示されることもありますが、提供条件や時点が異なる場合があるため、最終的な金額は公式の見積もりで確認することをおすすめします。

調達のしやすさ(ISMAP登録・共同調達・お試し)

調達の負担を軽くする観点では、いくつかの手がかりがあります。ISMAPに登録されたサービスであれば、安全性評価の手間を軽減でき、α’モデルで外部クラウドを使う構成では前提要件にもなります。複数の自治体でまとめて導入する共同調達に対応していれば、ボリュームディスカウントを受けられる場合があります。お試し利用やデモに対応している製品なら、本格導入の前に自庁の運用に合うかを確かめられます。

これらの対応状況は製品ごとに異なるため、問い合わせの際にあわせて確認するとよいでしょう。

自治体のファイル無害化 導入事例

最後に、実際の自治体での導入事例を、規模と採用の形(提供形態・製品タイプ)の切り口で見比べられるよう整理しました。いずれもベンダーや提供元が公表している事例です。自庁に近い規模や運用方針の例を手がかりにすると、候補の絞り込みに役立ちます。

自治体規模採用の形運用のポイント
品川区(2018年)全職員約6,400人LGWAN-ASP方式のメール・ファイル無害化(旧Votiro連携)専用ソフト不要の月額課金。CAD等もPDFに変換して無害化
秋田県内9町村(2019年)約900ユーザーLGWAN-ASPのファイル無害化(旧Votiroエンジン)共同調達協議会を通じて複数自治体でまとめて調達
茨城県五霞町(2023年)—クラウド型メール無害化(CYBERMAIL Σ ST)添付ファイル無害化の自動化で1通ごとの確認作業を削減
和歌山県紀の川市約650人メール無害化(m-FILTER)+Web閲覧の可視化(i-FILTER)m-FILTERでメール経由の取り込みを無害化し、i-FILTERでWeb閲覧を可視化
山口県庁全庁約5,500名ネットワーク分離アプライアンス+外部CDR連携(FileZen S)従来のαモデルを継続。運用開始後、取り込みファイル起因のインシデント0件

各事例は提供元・報道の公表情報にもとづきます。品川区・秋田県内9町村はジャパンシステム、五霞町はサイバーソリューションズ、山口県庁はソリトンシステムズの公表事例です。

まとめ

自治体のファイル無害化は、三層分離環境でインターネット接続系からLGWAN接続系へファイルを取り込む際に、総務省ガイドラインが求める無害化通信を満たすための仕組みです。

製品は、メール無害化・ファイル無害化(CDR)・ネットワーク分離のファイル移動という守備範囲と、LGWAN-ASP・オンプレミス・クラウド連携という提供形態の組み合わせで整理でき、無害化できる対象や対応ファイル形式、課金の軸がそれぞれ異なります。

自庁の接続モデルとファイルの流入経路を起点に、無害化の対象範囲・対応形式・費用・調達のしやすさを照らし合わせれば、候補を2〜3製品に絞り込めます。金額は非公開の製品が多いため、最後は資料請求や見積もりで具体的な条件を比べて判断するのが確実です。

ファイル無害化は、庁内の情報セキュリティ対策の一つです。端末の保護や不正アクセス対策、情報漏えいの防止まで、守る対象ごとにどのようなソリューションがあるかを広く見渡したい場合は、次の記事が参考になります。

よくある質問(FAQ)

Q. ファイル無害化(CDR)とは何ですか?

A. ファイル無害化(CDR)とは、ファイルを構成要素まで分解し、安全と確認できる要素だけで新しいファイルに作り直して危険因子を取り除く技術です。CDRはContent Disarm and Reconstruction(コンテンツの無害化・再構成)の略で、マクロやスクリプト、埋め込みオブジェクトなど攻撃に悪用され得る要素を、再構成の過程で取り除きます。

自治体では、インターネット接続系からLGWAN接続系へファイルを取り込む際に総務省ガイドラインが求める無害化通信の実現方法の一つとして使われます。

Q. ファイル無害化とアンチウイルスは何が違うのですか?

A. ファイル無害化は「安全な要素だけで作り直す」点が、ファイルが危険かどうかを判定して検知・隔離するアンチウイルスと異なります。アンチウイルスは既知のマルウェアの特徴をもとに判定するため、特徴が未登録の未知の脅威はすり抜ける可能性があります。無害化は判定に頼らず予防的に危険因子を取り除くため、両者は守る範囲が重なりつつも補い合う関係にあります。

インターネット側から取り込むファイルには無害化を、全体の防御にはアンチウイルスを組み合わせて使うのが基本的な考え方です。

Q. ファイル無害化すると、元のファイルのマクロや書式は失われますか?

A. ファイル無害化では、マクロやスクリプトなど危険因子になり得る要素は取り除かれますが、文書の内容や書式は原本性を保って再構成される製品が多くあります。ただし、マクロで動く集計表や入力フォームなど、一部の機能は無害化後に使えなくなる場合があります。業務で必須のマクロがある文書は、無害化後も問題なく使えるかを導入前の検証で確認しておくと安全です。

原本性を保った再構成に対応するかは製品ごとに異なるため、要件に含める場合は個別に確かめてください。

Q. ファイル無害化は、どんなファイル形式に対応していますか?

A. ファイル無害化はOffice文書・PDFが共通的に対応される一方、一太郎・花子やCAD形式(JW_CAD・DXF・dwg等)などは製品によって対応に差があります。対応形式は製品ページで120種類以上〜220種類以上などと示されますが、記載に幅があることもあります。自庁の業務で実際に使う形式が含まれるか、再構成後も正しく開けるかまで含めて、導入前に確認することが大切です。

Q. 自治体向けファイル無害化の費用はどのくらいかかりますか?

A. ファイル無害化の料金は多くの製品が非公開で、利用する職員数やストレージ容量などの課金軸に応じた個別見積もりで確認する形が一般的です。候補を2〜3製品に絞り、職員数・対象とするファイルの経路・必要なオプションを明確にして見積もりを依頼すると、各社の条件を比べやすくなります。

報道などで断片的な価格が示されることもありますが、提供条件や時点が異なる場合があるため、最終的な金額は公式の見積もりで確認することをおすすめします。

Q. 自治体の接続モデル(α・β・α’)によって選ぶファイル無害化製品は変わりますか?

A. ファイル無害化製品は自庁の接続モデルによって適した形が変わり、特にα’モデルで外部クラウドとファイルを送受信する場合は、クラウド側がISMAPに登録されていることが前提になります。αモデルは三層分離を厳格に保つ構成、βモデルはインターネット接続系に業務端末を置く制限緩和型、α’モデルはクラウド利用のためにローカルブレイクアウトを加えた構成です。

自庁がどのモデルを採るかで、求める提供形態や連携先が変わるため、現行の接続構成を起点に検討するとよいでしょう(総務省「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」令和6年10月版)。

Q. ファイル無害化はLGWAN-ASP型とオンプレミス型のどちらを選べばよいですか?

A. LGWAN-ASP型は庁内に機器を設置せず運用負荷を抑えやすく、オンプレミス型は自庁で環境を管理でき既存システムと連携しやすい点が、選択の分かれ目です。LGWAN-ASPはJ-LISの審査で閉域性が確認されたサービスのため、庁内に機器を増やさず導入でき、運用を軽くしやすい形です。

初期投資や運用体制、既存のメール・Webセキュリティ製品との連携のしやすさを踏まえて、自庁に合う提供形態を選ぶとよいでしょう。

Q. メール無害化とファイル無害化は何が違い、両方必要ですか?

A. メール無害化はメール添付・本文を対象とし、ファイル無害化(CDR)はメールに限らずWeb・ストレージ・可搬媒体など複数の経路のファイルを対象とする点が違いです。総務省ガイドラインの無害化義務は「インターネット経由で入手したファイル」と幅広く定められており、メール添付だけでなくWeb経由で入手したファイルなども対象に含まれます。

自庁でファイルが入ってくる経路を洗い出し、メール経由とWeb経由の双方を押さえられているかを確認することが大切です。製品によっては、メール側とWeb側のオプションを併用して両方をカバーする構成になります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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