経理の人手が足りず、記帳や請求、給与計算に経営者や一部の担当者の時間が取られている中小企業は少なくありません。そこで「経理をまるごと外部に丸投げしたい」と考えたとき、まず気になるのが、丸投げと言っても実際はどこまで任せられ、何が自社に残るのかという線引きです。
結論から言えば、記帳・請求・支払・給与計算といった日々の実務は外部に任せられますが、税務申告や支払の最終承認など、法律や責任の所在から社内に残る業務もあります。この線引きを理解しないまま契約すると、「申告まで頼めると思っていた」といったずれが生まれます。
本記事では、経理の外注でどの業務まで丸投げでき、何が社内に残るのかを一覧で整理し、残る業務の理由、依頼先別・業務別の費用相場、税理士と経理代行会社の使い分け、失敗しない選び方までを解説します。自社がどこまで任せるべきかを判断する材料としてご活用ください。
目次
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経理の「丸投げ」とは?記帳代行・外注との違い
経理の「丸投げ」とは、日々の記帳から請求・支払、給与計算、月次の集計まで、経理に関わる実務をまとめて外部に委託することを指します。一部の作業だけを切り出して頼む「記帳代行」より範囲が広く、経理担当者を雇う代わりに外部の専門会社へ任せるイメージに近い言葉です。
ただし、実務の現場で使われる「丸投げ」と、本当に全業務を任せきりにすることの間にはずれがあります。記帳代行は仕訳入力など特定業務の代行を指し、経理の外注(経理代行・経理アウトソーシング)はより広い範囲を継続的に請け負います。一方で、どちらの形でも税務申告や支払の承認など社内に残る業務があり、「丸投げ=自社は何もしなくてよい」とまでは言えません。
任せたいのが日々の仕訳入力だけで、記帳代行の料金相場や税理士に頼む場合との違いを詳しく比べたい場合は、以下の記事で23社の実額を整理しています。
そこで次章では、どの業務を外部に出せて、どこからが社内に残るのかを一覧で確認します。
【一覧】経理の業務別「丸投げ可否」早見表
ここからは、経理の主な業務を「外部に出せる/条件つきで出せる/社内に残る」の3つに分けて整理します。多くの経理代行会社が請け負う範囲と、法律や責任の所在から社内に残る範囲を分けて見ると、丸投げできる範囲の全体像がつかめます。
| 業務 | 記帳・仕訳入力 | 請求書の発行・送付 | 経費精算 | 支払データの作成 | 給与・賞与計算 | 月次試算表の作成 | 決算書の作成 | 税務申告(申告書の作成・提出) | 支払の最終承認・送金の実行 | 源泉所得税の納付・社会保険の手続き | 帳簿・証憑の保存 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 丸投げの可否 | 出せる | 出せる | 出せる | 出せる | 出せる(会社により範囲が異なる) | 出せる | 条件つき | 社内に残る(税理士へ) | 社内に残る | 社内に残る(名義・責任は会社) | 社内に残る(保存責任) |
| 補足 | 経理代行の中心業務。発生主義での記帳や消費税区分の確認まで任せられる | 売掛金の計上・入金消込(入出金と帳簿の照合)とあわせて委託できる | 従業員からの申請チェック・仕訳反映まで対応する会社が多い | 振込データの作成まで。送金の実行は社内に残る | 計算・明細作成まで。年末調整はオプション扱いの会社もある | 月次の集計・レポートまで任せられる | 記帳の延長として対応する会社もあるが、税務申告と一体のため依頼先の体制を要確認 | 税理士の独占業務。経理代行会社が税理士と連携して対応する形が一般的 | 不正防止の観点から承認と実行は社内で行う | 計算や書類作成は委託できても、納付・届出の義務者は会社 | 保管作業は委託できるが、法律上の保存義務を負うのは会社 |
※上記は一般的な経理代行サービスで任せられる範囲の傾向です。実際の対応範囲は各社で異なるため、契約前に対応業務の一覧をご確認ください。
このように、日々の実務の多くは外部に出せる一方で、申告・承認・納付・保存といった「責任の所在が会社にある業務」は社内に残ります。次章では、なぜこれらが社内に残るのかを業務ごとに理由とあわせて確認し、そのうえで依頼先別・業務別の費用の目安を整理します。
社内に必ず残る業務とその理由
丸投げできる範囲を正しく理解するには、「なぜ社内に残るのか」を押さえることが近道です。ここで挙げる業務は、作業そのものは外部に委ねられても、法律や責任の所在から最終的な義務が会社に残ります。順に見ていきます。
税務申告・税務相談(税理士の独占業務)
法人税や消費税の申告書の作成・提出、節税などの税務相談は、税理士法で税理士の独占業務と定められています。税理士の資格を持たない経理代行会社がこれらを報酬を得て代行することはできません。記帳まで任せていても、申告は税理士が行う必要があるという線引きです。
税理士は、他人の求めに応じ、租税(…)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
出典:税理士法 第2条・第52条|e-Gov 法令検索
二 税務書類の作成(…税務官公署に対する申告等に係る申告書…を作成することをいう。)
三 税務相談(…)
(第五十二条)税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。
そのため、申告まで含めて任せたい場合は、税理士と連携している経理代行会社を選ぶか、税理士事務所に直接依頼する形になります。記帳など申告の前段階の作業は税理士業務に含まれないため、経理代行会社に任せられます。
帳簿・証憑の保存(保存義務を負うのは会社)
帳簿書類の備付け・記録・保存の義務は、法人税法で会社(内国法人)自身に課されています。整理や保管の作業を経理代行会社に委ねることはできても、税務調査で問われる保存責任は会社に残ります。
普通法人、協同組合等並びに収益事業を行う公益法人等及び人格のない社団等(…)は、財務省令で定めるところにより、帳簿を備え付けてこれにその取引(…)を…記録し、かつ、当該帳簿(…)を保存しなければならない。
出典:法人税法 第150条の2|e-Gov 法令検索
メールや電子取引でやり取りした請求書・領収書などのデータは、電子帳簿保存法により「電子取引を行った場合には…当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない」と定められ、保存義務を負う「保存義務者」は会社自身です。保存期間は原則7年、欠損金が生じた事業年度は10年とされています。
支払の最終承認・送金の実行
請求内容の確認や振込データの作成までは経理代行会社に任せられますが、支払を最終的に承認し、銀行から送金を実行する操作は社内に残すのが基本です。これは法律で義務づけられているというより、支払の承認と実行を分けて不正を防ぐという実務上の内部統制の考え方によるものです。送金の権限を外部に渡さないことで、二重払いや不正送金のリスクを抑えます。
源泉所得税の納付・社会保険の手続き
給与から源泉徴収した所得税を国に納付する義務は、所得税法で「給与等の支払をする者」である会社に課されています。税額の計算や納付書の作成は経理代行会社に委ねられても、納付の義務と責任は会社に残ります。
居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(…)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
出典:所得税法 第183条|e-Gov 法令検索
社会保険(健康保険・厚生年金)の資格取得届や算定基礎届などの手続きも、提出の名義と最終的な責任は事業主である会社にあります。これらの書類作成・提出の代行は社会保険労務士の業務にあたる部分があるため、経理代行会社が連携する社労士を通じて対応する形が一般的です。
丸投げしても自社に残る「現実的な手間」
ここまでの業務に加えて、丸投げ後も日常的に自社に残る手間があります。領収書や請求書の受け渡し、経費や勤怠の登録、委託先からの質問への回答、完成した帳簿・試算表の内容確認などです。これらは委託先が社内の事情を把握しきれない以上、どうしても会社側に残ります。
目安として、月間の仕訳が100〜200件・従業員10名程度の規模であれば、受け渡しや確認で自社に残る手間は月に数時間程度にとどまることが多いでしょう。ただし、取引の複雑さや毎月の締めの要件によっても変わります。
そのため「丸投げすれば経理の手間がゼロになる」と考えるより、「手を動かす作業は大きく減るが、確認と判断は自社に残る」と捉えるほうが実態に合います。委託後にどの程度の関与が残るかは、契約前に委託先と業務の分担を具体的にすり合わせておくと安心です。
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経理丸投げの費用相場(依頼先別×業務別×課金方式)
経理の丸投げにかかる費用は、依頼する業務の範囲と量、そして料金の決め方(課金方式)によって大きく変わります。同じ「記帳代行」でも会社によって金額が異なって見えるのは、課金方式が揃っていないことが主な理由です。まず課金方式の違いを押さえると、各社の見積もりを比べやすくなります。
課金方式で費用が変わる理由(月額固定・仕訳単価・件数従量)
経理代行の料金は、主に次の3つの決め方があります。1つ目は、依頼する業務の範囲に応じて月額を固定する「定額プラン」です。2つ目は、記帳の仕訳1件あたりいくらと決める「仕訳単価」で、取引量が少ない会社では割安になりやすい一方、増えると積み上がります。3つ目は、振込や請求書発行などを件数に応じて課金する「件数従量」です。
多くの会社はこれらを組み合わせており、「基本の定額+取引量が一定を超えた分の従量」という形が一般的です。そのため、相場の数字だけを比べても自社の実際の費用はつかみにくく、自社の取引量(月あたりの仕訳数・振込件数・従業員数)を伝えて見積もりを取ることが欠かせません。
費用がどのような要素で決まるのかについて、経理代行の提供側からは次のような説明があります。

料金は年商レンジを目安にしていますが、実際の金額は「工数」と「納期」の2つで決まってきます。「工数」については、単純な物量だけでなく、債権債務管理の細かさ、証憑の管理状況、部門別管理などの複雑さによって異なります。「納期」については、上場企業基準で6営業日以内に締める必要があるのか、月次試算表を翌月内に作成する中小企業向けのスケジュールで良いのか、といった要件によって必要な体制が変わりますので、これが料金を左右する大きな要因となります。
依頼先別・業務別の費用の目安
費用は「どこまで任せるか」で段階的に変わります。経理代行サービスの公式料金から、任せる範囲別の月額の目安を整理すると、次のようになります。いずれも業務範囲と取引量(仕訳数・振込件数・従業員数)によって変わるため、実額は見積もりで確認するのが確実です。
| 任せる範囲 | 記帳を中心に任せる(請求・経費精算・月次決算まで。申告は税理士と連携) | 記帳から支払・給与計算・月次試算表まで広く任せる(申告は税理士と連携) | 記帳から決算書・申告書の作成まで一体で任せる(決算料込み) |
|---|---|---|---|
| 月額費用の目安 | 月額3万円程度〜 | 個別見積もり(例:従業員5名程度で月額10万円) | 月額2.9万〜4.4万円程度 |
※上記は各社の公式料金にもとづく目安です(2026年10月時点)。業務範囲・取引量により変わるため、実額は各社の見積もりでご確認ください。
出典・参考資料(3件)
各サービスの具体的な料金とサービス名は、このあとの比較表でご確認いただけます。
税理士事務所に依頼する場合は、費用が月々の顧問料と年1回の決算申告料に分かれるのが一般的です。金額は関与してもらう範囲(記帳まで任せるか、相談が中心か)や事務所によって幅があり、経理代行会社の定額プランのように一律では決まりにくい面があります。
経理代行会社に実務を任せて申告だけを税理士に頼む場合も、申告の費用は別に見込みます。日々の実務の人手が多く必要なら経理代行会社、申告や税務相談が中心なら税理士、という軸で費用と任せられる範囲のバランスを見るとよいでしょう。
費用を抑えるには、丸投げする前に自社でできる作業(証憑の整理・データの共有方法)を決めておくこと、必要な業務だけを切り分けて依頼することが有効です。安さだけで選ぶと対応範囲が狭く、結局自社の手間が残ることもあるため、費用と任せられる範囲のバランスで選ぶことが大切です。
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税理士と経理代行会社、どちらに頼む?使い分けと向くケース
経理を外に出すとき、依頼先は大きく「税理士事務所」と「経理代行会社」に分かれます。それぞれできることと得意な範囲が違うため、自社が何を一番任せたいかで選ぶのが基本です。全体像は次のとおりです。

税理士に頼む場合(できること・できないこと)
税理士事務所は、税務申告や節税の相談まで一本化して任せられる点が強みです。記帳から決算・申告まで通して依頼でき、税務調査の対応も相談できます。一方で、日々の請求書発行や支払、給与計算といった実務の人手は事務所によって手薄なことがあり、取引量の多い会社では日常業務まで十分にカバーしきれない場合があります。顧問料に加えて決算申告料が別途かかるのが一般的です。
経理代行会社に頼む場合(できること・できないこと)
経理代行会社は、記帳・請求・支払・給与計算・月次決算など、日々の実務をまとまった量でこなせる点が強みです。クラウド会計の導入や業務フローの整備まで支援する会社もあります。ただし、税務申告は税理士の独占業務のため、経理代行会社単独では行えず、連携する税理士を通じて対応します。申告まで任せたい場合は、税理士と連携しているかを必ず確認します。
自社はどちらを選ぶべきか(向くケース)
日々の経理実務に追われていて、記帳・請求・支払までまとめて手放したいなら、経理代行会社が向いています。取引量が少なく、主に申告と税務の相談を任せたいなら、税理士事務所への依頼が効率的です。実務も申告も両方まとめて丸投げしたい場合は、税理士と連携している経理代行会社を選ぶと、1つの窓口で記帳から申告までをつなげられます。
税理士・経理代行・社内採用のどれを選ぶかについては、経理代行の提供側からも次のような見方が語られています。

顧問税理士への依頼範囲を広げる、社内で採用する、という選択肢は、皆さんご相談の前に一度は考えていらっしゃると思います。そのうえで当社がいつもお伝えしているのは、まず顧問税理士の場合、日常業務まではあまり引き受けてもらえず、追加料金になって結局高くなってしまうことがあるという点です。また、税理士の先生は業務フローの改善やツールの導入まではあまりされていないところが多いので、ツールを導入したい、日常業務を任せたいということであれば当社の方が使いやすいとお話ししています。社内採用の場合は、教育コストがかかりますし、せっかく育った時にまた離職のリスクがあります。
丸投げで失敗しないための選び方と注意点
最後に、丸投げを始めてから後悔しないための選び方と、法的・運用上の注意点を整理します。契約前の確認と、委託後の付き合い方の両面で押さえておきたいポイントです。
失敗しない委託先の選び方のポイント
第一に、任せたい業務に対応しているかを、対応業務の一覧で具体的に確認しましょう。「丸投げできます」という言葉だけでなく、税務申告まで含むか、給与計算や年末調整は標準かオプションかを確かめると、契約後のずれを防げます。第二に、見積もりが具体的な金額まで出るかを確かめます。業務量を伝えても「見積もり次第」の回答で止まる場合は、費用の見通しが立ちにくくなります。
第三に、業務範囲と自社に残る作業を契約書で明文化しておくことが重要です。どこまでが委託先の責任で、何を自社が行うのかを文書で決めておくと、トラブルを避けられます。加えて、月次で帳簿や試算表の内容を自社で確認する運用を続けると、経営状況の把握が遅れるリスクを抑えられます。
丸投げで注意すべき点とデメリット
注意したいのが、委託先の担当者に直接細かく指示を出す形です。請負契約でありながら発注者が委託先の労働者へ業務の進め方を直接指示・管理すると、実質的な労働者派遣(いわゆる偽装請負)とみなされるおそれがあります。業務の進め方は委託先に委ね、成果物でやり取りする関係を保つことが大切です。
第二条 請負の形式による契約により行う業務に自己の雇用する労働者を従事させることを業として行う事業主であつても、当該事業主が当該業務の処理に関し次の各号のいずれにも該当する場合を除き、労働者派遣事業を行う事業主とする。
出典:労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(労働省告示第37号)第2条|厚生労働省
一 …イ …(1)労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
このほか、社外に会計情報を預けることによる情報漏洩のリスク、数字を見なくなることによる経営状況の把握の遅れ、社内に経理のノウハウが残りにくくなる点も、丸投げのデメリットとして意識しておきます。委託先のセキュリティ体制を確認し、月次の報告を受ける運用を保てば、これらのリスクは抑えられます。
こうしたデメリットが実際にどのような失敗につながるのか、事例に当てはめて確認しておきたい場合は、以下の記事でよくある失敗パターンとその回避策を具体的に解説しています。
経理を広く丸投げできる経理代行サービス
ここからは、記帳から決算・申告(連携を含む)まで、丸投げの範囲を広く受けられる経理代行サービスを紹介します。対応業務の範囲や料金の決め方は各社で異なるため、下記の比較表とあわせて、自社が任せたい範囲に合うかを確認してください。
| サービス名 | Tenbook(テンブック) | Wheat Accounting | マネーフォワード おまかせ経理 |
|---|---|---|---|
| 運営会社 | シンアカウンティングサービス株式会社 | 株式会社Wheat | 株式会社マネーフォワード (実務提供はグループ会社の株式会社キャシュモ) |
| 対応業務の範囲 | 記帳・決算書作成・ 法人税/住民税/事業税/消費税の申告書作成 (給与計算・年末調整はオプション) | 記帳・請求書作成・売掛金管理・ 経費精算・振込対応・給与計算・月次決算 (賞与計算・年末調整はオプション) | クラウド導入支援・記帳代行・ 請求書発行/送付・入金消込・支払/振込・ 給与/賞与計算・税金納付・月次試算表作成 |
| 税務申告の扱い | 申告書作成まで月額に含む (税理士業務は連携する会計事務所が実施) | 連携する税理士が対応 (申告自体はサービス範囲外) | 連携する税理士が対応 (申告自体はサービス範囲外) |
| 料金目安 | 初期費用0円・決算料0円 月額29,500円〜(免税事業者) /43,500円〜(課税事業者) ※プランにより異なるため最新は公式資料でご確認ください | 初期費用は初月のみ(見積時に提示) 月額30,000円〜の定額プラン | 個別見積もり (従業員5名程度で月額10万円の一例) |
| 課金方式 | 月額定額 (記帳100件超は1件100円の従量加算) | 定額プラン (業務量に応じ一部/全部を従量課金も可) | 業務内容・業務量に応じた 個別見積もり |
| 特徴 | 自社クラウド会計「10book」を提供 原則3名体制でオンライン完結 | クラウド会計の導入・業務フロー設計から運用まで 法人のみ・全国オンライン対応 | 「マネーフォワード クラウド」の利用が前提 月次試算表を最短5営業日で作成 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
※各社の公式情報にもとづく(2026年10月時点)。料金は業務範囲・取引量により変わるため、実額は見積もりでご確認ください。
1. Tenbook(シンアカウンティングサービス株式会社)

公認会計士・税理士が代表を務めるシンアカウンティングサービスが運営する、クラウド型の経理代行サービスです。自社開発のクラウド会計ソフト「10book」を使い、記帳から決算書の作成、法人税・住民税・事業税・消費税の申告書作成までを月額定額のなかで対応します。税理士業務にあたる部分は連携する会計事務所が実施する体制です。
料金は免税事業者向けで月額29,500円から、決算料は月額料金に含み別途かかりません。記帳から申告まで一本の窓口でつなげたい小規模法人に向いています。給与計算や年末調整はオプションでの対応です。
2. Wheat Accounting(株式会社Wheat)

スタートアップやスモールビジネス向けに、記帳・請求書作成・売掛金管理・経費精算・振込対応・給与計算・月次決算をまとめて代行する経理アウトソーシングです。導入時にクラウド会計の設定と業務フローの再設計を行い、その後の運用まで継続して担います。税務申告は連携する税理士、社会保険・労働保険の手続きは連携する社労士と対応する体制で、顧客側に残るのは主にデータの受け渡しと成果物の確認です。
料金は月額30,000円からの定額プランで、業務量に応じた見積もりになります。記帳から月次決算まで広く手放しつつ、申告や労務まで一括の窓口でつなげたい法人に適した選択肢です。
3. マネーフォワード おまかせ経理(株式会社マネーフォワード)

「マネーフォワード クラウド」の導入支援から、記帳・請求・支払・給与計算・月次試算表の作成まで、経理の実務を幅広くオンラインで一括して請け負う中小企業向けのアウトソーシング(BPO)サービスです。実務は経理の外部委託を手がけてきたグループ会社が担い、月次試算表を最短5営業日で作成するとしています。決算・申告の税務業務は税理士が対応する範囲です。
料金は業務内容・業務量に応じた個別見積もりで、従業員5名程度の企業で月額10万円という一例が公式サイトに示されています。マネーフォワード クラウドを使って経理全体を整えながら任せたい企業にフィットします。
出典・参考資料(1件)
ここで挙げた3社のほかにも、経理アウトソーシングの委託先は数多くあります。委託できる業務範囲・料金・サービスのタイプ別に幅広く比較して選びたい方は、以下の記事をご覧ください。
まとめ
経理の外注では、記帳・請求・支払・給与計算・月次決算といった日々の実務を広く丸投げできます。一方で、税務申告は税理士の独占業務であること、帳簿・証憑の保存義務や源泉所得税の納付義務が会社に残ること、支払の最終承認は不正防止の観点から社内に残すことから、「全業務を任せきり」にはできません。この線引きを理解しておくことが、丸投げで失敗しないための出発点です。
費用は依頼する範囲と課金方式で変わるため、自社の取引量を伝えて見積もりを取り、任せられる範囲と費用のバランスで判断します。実務をまとめて手放したいなら経理代行会社、申告まで一本化したいなら税理士と連携した依頼先が向いています。自社に合うサービスを探す際は、各社の資料を取り寄せて対応範囲と料金を見比べてみてください。
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経理の丸投げに関するよくある質問(FAQ)
Q. 経理は全部まるごと丸投げして任せきりにできますか?
A. 経理の丸投げでは実務の大半を外部に出せますが、税務申告・支払の最終承認・税金の納付・帳簿の保存などは社内に残るため、全業務を任せきりにはできません。記帳・請求・支払データの作成・給与計算・月次決算といった日々の実務は委託でき、手を動かす作業は大きく減りますが、確認と最終判断は自社に残ると捉えるのが実態に合います。
Q. 経理を丸投げできず社内に残る業務は何ですか?
A. 丸投げできず社内に残る代表的な業務は、税務申告、支払の最終承認と送金の実行、源泉所得税の納付・社会保険の手続き、帳簿・証憑の保存の4つです。税務申告は税理士法で税理士の独占業務とされ、帳簿の保存義務や源泉所得税の納付義務は法律上会社に課されています。支払の最終承認は、不正を防ぐ内部統制の観点から社内に残すのが基本です。
Q. 税務申告まで経理代行に頼めますか?
A. 税務申告は税理士の独占業務のため、経理代行会社が単独で申告書を作成・提出することはできず、税理士と連携して対応します。記帳から申告まで1つの窓口でつなげたい場合は、税理士事務所に直接依頼するか、税理士と連携している経理代行会社を選ぶと、記帳・決算・申告を分断せずに任せられます。
Q. 個人事業主でも経理を丸投げできますか?
A. 個人事業主でも記帳・請求・経費精算などの実務は経理代行に丸投げできますが、確定申告の最終的な確認と提出の責任は本人に残ります。法人と同じく、申告書の作成・提出を報酬を得て代行できるのは税理士に限られるため、確定申告まで任せたい場合は税理士、または税理士と連携した経理代行を選ぶ形になります。
また、本記事で紹介したサービスは法人向けが中心のため、個人事業主の場合は対応の可否を各社に確認してください。
Q. 顧問税理士がいても経理代行会社に丸投げできますか?
A. 顧問税理士がいても、記帳や請求・支払・給与計算などの日常実務を経理代行会社に丸投げすることは問題ありません。税理士が申告・税務相談を担い、経理代行会社が日々の実務量をこなすという役割分担になり、整った帳簿が税理士に渡ることで申告前の確認がスムーズになる場合もあります。依頼前に、税理士・経理代行会社・自社の業務分担を整理しておくとやり取りが円滑です。
Q. 経理を丸投げするとき、領収書やレシートはまとめて渡すだけでよいですか?
A. 多くの経理代行では領収書や請求書を決められたルールで渡せば記帳まで対応してもらえますが、袋に入れたまま丸ごと渡せばよいとは限りません。会社ごとに、原本の郵送・スキャンデータのアップロード・クラウド会計への取り込みなど受け渡しの方法が決まっており、整理の仕方しだいで費用や処理の速さも変わります。契約前に証憑の渡し方のルールを確認しておくと、追加の手間や費用を抑えられます。
Q. 経理の丸投げの費用はいくらかかりますか?
A. 経理の丸投げの費用は、任せる範囲が広がるほど段階的に上がり、記帳だけなら月額数万円、記帳に請求・支払・給与計算まで含めると月額数万円〜十数万円が目安です。決算・税務申告まで一体で任せる場合は税理士が関わるため、別途申告料がかかります。
料金は月額固定・仕訳単価・件数従量などの課金方式で決まり、自社の取引量(仕訳数・振込件数・従業員数)で変わるため、具体額は取引量を伝えて見積もりで確認しましょう。
Q. 経理を丸投げすると偽装請負になりませんか?
A. 経理の丸投げ自体は問題ありませんが、委託先の担当者に業務の進め方を直接指示・管理すると、偽装請負(実質的な労働者派遣)とみなされるおそれがあります。業務の進め方は委託先に委ね、依頼内容と成果物でやり取りする関係を保つことが大切です。任せる業務の範囲を契約書で明文化しておくと、責任の所在が明確になりトラブルを防げます。
Q. 経理の外注が初めてでも依頼できますか?
A. 経理の外注が初めてでも依頼でき、多くの経理代行会社は導入時にクラウド会計の設定や業務フローの整理から支援します。これまで自社や経営者が抱えていた業務を引き継ぐ形になるため、現状の進め方や使っているツールを伝えれば、委託先が移行を主導してくれるのが一般的です。引き継ぎにかかる期間や初月の進め方は会社によって異なるため、契約前にスケジュールを確認しておくと安心です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















