不祥事や行政処分、上場審査での指摘を避けるために、社内のコンプライアンス体制を整えたい。しかし「自社のどこに弱点があるのか特定できない」「研修をしているのに違反が繰り返される」、あるいは内部通報窓口や取引先チェックを社内だけでは回しきれない、といった悩みを抱える企業は少なくありません。
こうした課題は、コンプライアンス業務の一部を外部サービスに任せることで解決できます。ただし「コンプライアンスサービス」と一口に言っても、体制づくりの支援から研修、従業員の意識調査、内部通報窓口の受託、取引先のチェックまで、カバーする領域は大きく異なります。自社に必要なのがどの領域で、どの依頼先が合うのかを見極めるには、サービスの全体像を押さえておくことが欠かせません。
本記事では、コンプライアンスサービスを6つの領域に整理し、それぞれの対応範囲・費用の目安・向いている企業を解説します。あわせて主要11サービスを領域横断で比較し、自社の課題に合う依頼先の選び方まで整理しました。コンプライアンス推進を担う担当者が依頼先を絞り込むための材料としてご活用ください。
また、自社の課題から必要なサービスを最短で見つけられるよう、2つの質問で終わる選定診断ツールもご用意しています。あわせてご活用ください。
目次
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コンプライアンスサービスとは・何を外注できるのか
コンプライアンスサービスとは、企業が法令や社会規範を守る体制を築き、運用し続けるための業務を、外部の専門事業者が支援・代行するサービスの総称です。自社で外部に任せられる業務は、大きく次の6つの領域に分かれます。
①体制・規程づくりの支援、②研修・教育、③従業員の意識調査・組織風土診断、④内部通報窓口の受託、⑤取引先のコンプライアンスチェック、⑥これらを統合管理するコンプライアンス管理システム(GRC)の6つです。
自社に足りないのが「ルールや体制そのもの」なのか、「社員への浸透」なのか、「違反の兆候をつかむ仕組み」なのかによって、必要な領域は変わります。まずは各領域が何を解決するのかを押さえ、自社の課題と照らし合わせることが出発点になります。
コンプライアンス管理の全体像(3線モデル・CMSの3要素)
個々の領域を見る前に、コンプライアンスを組織でどう管理するかの全体像を押さえておくと、どのサービスが自社のどの部分を補うのかを捉えやすくなります。管理体制の考え方として広く用いられるのが「3線モデル(3ライン・モデル)」です。
3線モデルでは、役割を3つの防衛線に分けて考えます。第1線は各事業部門が担う現場の相互牽制、第2線はコンプライアンス部門など現場から独立した部署による監督、第3線は内部監査部門による検証・評価です。それぞれの線が機能することで、違反の見逃しを防ぎます。

また、規程の整備・研修・モニタリング・内部通報・是正といった一連の取り組みをまとめて運用する枠組みは「コンプライアンス管理システム(CMS:Compliance Management System)」と呼ばれます。経営トップの関与、コンプライアンス責任者の設置、具体的なプログラム(規程・研修・監査・監視)という要素で構成され、これらを一つの基盤に統合するのが後述するGRCツールです。
コンプライアンスサービスの種類(6領域)
ここからは、コンプライアンスサービスの6領域について、それぞれが解決する課題・向いている企業・費用の目安を解説します。費用は提供形態や企業規模によって幅が大きいため、ここでは領域ごとのおおまかな相場感を示します。サービス単位の具体的な費用は後述の比較表をご確認ください。
6領域と、それぞれが対応する主な課題を一覧にすると次のとおりです。自社の課題に近い領域から読み進めてください。

体制・規程づくりの支援
行動規範や社内規程の策定、コンプライアンス体制の現状分析・構築を支援する領域です。コンサルティング会社や、法務業務を受託するサービスが担います。「そもそも規程や推進体制が整っていない」「不祥事を機に体制を見直したい」という企業に向いています。
費用は、規程・マニュアルの作成支援で50万円程度から、体制整備を含む総合的な支援で100万円程度からが一つの目安です。大手監査法人系の高度なアドバイザリーは、対象範囲に応じた個別見積もりとなり、金額を公開していないケースが一般的です。
研修・教育
役職員にコンプライアンス意識を浸透させるための教育コンテンツを提供する領域です。eラーニング、動画教材、集合研修、ハンドブックなど形態はさまざまで、「全社員に体系的に学ばせたい」「階層別・テーマ別に教育したい」という企業に適します。
eラーニングは年額数万円程度から、啓発ツールや動画教材も単品数万円程度からと、6領域のなかでは比較的始めやすい領域です。教材提供型の年間サポートなら、税抜で9万円台から利用できるものもあります。
意識調査・組織風土診断
従業員へのアンケートを通じて、違反の温床となるリスクや組織風土を可視化する領域です。「研修をしても違反が止まらない」「どこに潜在リスクがあるか分からない」という企業が、打ち手を決めるための現状把握として使います。
費用は調査の規模と深さで幅があります。従業員向けの簡易なアンケート型なら、年額10万円程度から依頼できるものもあります。
一方、設問設計から分析・施策化まで一式を専門の調査会社に委ねる本格的な調査では、数百万円規模になります。自社の立ち位置を他社と比べられるベンチマークデータの有無も、調査の価値を左右します。
内部通報窓口の受託
社外に通報・相談の受付窓口を置き、その運用を代行する領域です。社内窓口だけでは通報者が心理的に利用しづらいため、独立性を高める目的で外部窓口を併設する企業が増えています。公益通報者保護法への対応を迫られる企業にとって、優先度の高い領域です。
費用は受付方法(メール・電話・Web)や従業員規模で変わります。メール受付中心の簡易なプランなら、月額数万円程度から始められるものもあります。
一方、通報後の調査支援や多言語対応、専任相談員まで含む専門的な受託は、規模に応じた個別見積もり(要問い合わせ)が一般的です。受付方法・対応言語・調査支援の範囲が、費用と対応範囲の分かれ目になります。
取引先コンプライアンスチェック
取引先や関係者に、反社会的勢力との関わりやネガティブな報道がないかを確認する領域です。新規取引の開始時や既存取引先の定期確認、上場準備での一括調査などで使われます。報道・公知情報のデータベースを使い、自社でチェックするツール型と、調査を代行してもらう型があります。
自社で検索するツール型は、登録無料で使い始められるものから、調査件数に応じた従量制・月額制まで幅があります。大量の取引先を一括で調べる場合は、件数に応じた費用となります。
コンプライアンス管理システム(GRC)
規程管理・研修・内部通報・リスク評価・モニタリングを一つの基盤に統合して管理するシステムです。ガバナンス(Governance)・リスク(Risk)・コンプライアンス(Compliance)の頭文字からGRCツールとも呼ばれます。「部門ごとにばらばらに管理している情報を一元化したい」「グループ全体でリスクを把握したい」という大企業・グループ企業に向いています。
費用は導入するモジュールや利用規模によって大きく異なり、個別見積もりが一般的です。単一の業務を外注するほかの領域と違い、複数領域を横断して継続運用する前提の投資になる点を押さえておきましょう。
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自社の課題がどの領域にあたるか迷うときは、いくつかの質問に答えるだけで、向いているサービスの種類の当たりをつけられます。
自社に合うコンプライアンスサービスの選び方
6領域のサービスから自社に合うものを絞り込むには、次の4つの観点で見比べると判断しやすくなります。課題・対応範囲・費用・実績の順に確認していきましょう。
自社の課題を起点に領域を選ぶ
最初に決めるべきは「何に困っているか」です。ルールや推進体制が未整備なら体制・規程づくりの支援、社員への浸透が課題なら研修・教育が起点になります。
注意したいのは、研修を実施しても違反が繰り返されるケースです。この場合、知識不足ではなく、違反を生みやすい職場の空気や上司の姿勢といった組織風土に原因があることが少なくありません。研修を増やすより、まず意識調査・組織風土診断で潜在リスクを可視化し、どこに手を打つべきかを特定するほうが効果的です。課題の見極めがつかないときは、診断ツールで当たりをつけるのも一つの方法です。
対応範囲・提供形態で選ぶ
同じ領域でも、提供形態によって任せられる範囲は変わります。体制づくりなら、戦略から伴走するコンサル型と、規程作成など特定業務を切り出して受託する型では、関与の深さと費用が異なります。
複数領域をまとめて任せたいのか、特定の業務だけをピンポイントで補いたいのかを決めておくと、候補を絞りやすくなります。総合型の事業者は窓口が一つで済む利点があり、専業の事業者はその領域の専門性が高い傾向があります。
自社の状況も判断材料になります。海外拠点やグループ会社を抱えるなら多言語・グローバル対応の有無、不祥事後の立て直しなら調査から再発防止まで伴走できるか、上場準備なら第三者性の高い窓口や取引先審査の体制が整うかが、重視すべき観点になります。
費用の目安で選ぶ
費用は領域によって相場が大きく異なります。年額数万円のeラーニングから、数百万円規模の意識調査やアドバイザリーまで開きがあるため、領域を決めてから予算感を照らし合わせるのが現実的です。
コンサルティングや高度なアドバイザリーは、対応範囲を個別に設計するため「要お問い合わせ」としている事業者が多くあります。公開されている料金はそのまま目安にでき、非公開の場合は、対応範囲を具体的に伝えたうえで見積もりを取り、複数社を同じ条件で比べることが欠かせません。公開額だけで判断して範囲が食い違う、という事態を避けるためです。
実績・専門性で選ぶ
コンプライアンスは専門性と信頼性が問われる領域です。導入社数や継続年数、関与する専門家の資格・経歴、業種特化の実績などは、依頼先の力量を見極める手がかりになります。
内部通報窓口なら相談員の資格や多言語対応、取引先チェックなら情報源の信頼性と網羅性、意識調査なら比較できるベンチマークデータの蓄積など、領域ごとに「実績の中身」を確認するとミスマッチを防げます。
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コンプライアンスサービス主要11サービスの領域横断比較
各社のサービスは自社の得意領域しか見せないことが多いため、ここでは6領域の主要11サービスを一つの表にまとめ、対応領域・対応範囲・提供形態・費用の目安を横断で比較できるようにしました。気になるサービスは、表の下のサービス名から個別の紹介に移動できます。
| サービス名 | CLOUD LEGAL | コンプライアンス・サポートサービス(OCOD) | コンプライアンス推進支援(SOMPO) | OneCompliance | HTC コンプライアンス支援 | コンプライアンス経営診断プログラム(日経リサーチ) | DQヘルプライン | 企業倫理ホットライン(ダイヤル・サービス) | リスクホットライン®(エス・ピー・ネットワーク) | Gチェッカー | NAVEX One |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応領域 | 体制・規程づくり | 体制・規程づくり | 体制・規程づくり | 研修・教育 | 研修・教育 | 意識調査・組織風土診断 | 内部通報窓口 | 内部通報窓口 | 内部通報窓口 | 取引先チェック | GRC(管理システム) |
| 主な対応範囲 | 社内規程整備・契約書作成/レビュー・法務/労務相談を弁護士監修のBPaaSで外注 | 体制整備・規程/マニュアル作成・診断・意識調査・内部通報窓口・業務受託までを一団体で総合提供 | 行動規範/規程策定・体制現状分析・リスクアセスメント・意識調査・研修・危機管理をリスクベースで支援 | コンプラ特化eラーニング(法務・労務・ハラスメント・情報セキュリティ等33コース)と受講管理 | 編集可能な啓発教材(こんぷろカスタム)・ハンドブック制作・研修に加え意識調査(QRS/らくらく) | 従業員意識調査で組織風土・リスクを可視化し、ベンチマーク比較から施策化まで支援 | 内部通報の社外窓口受付(Web匿名双方向システム)。多言語・グローバル対応に強い | 内部通報・ハラスメント相談の社外窓口受付。社労士・産業カウンセラー等の有資格相談員が対応 | 内部通報の社外窓口受付に加え、調査支援・再発防止・プロセス改善まで伴走(危機管理会社運営) | 取引先・人物の反社/ネガティブ報道の有無を新聞・雑誌記事DB(約120紙誌・過去40年)で確認 | 内部通報・研修・ポリシー管理・第三者リスク管理などを単一基盤に統合するGRCプラットフォーム |
| 提供形態 | コンサル型(法務BPaaS) | コンサル型(総合・受託含む) | コンサル型 | 教材・ツール型(eラーニング) | 教材・ツール型(+意識調査) | 調査型 | 受託(窓口)型 | 受託(窓口)型 | 受託(窓口)型 | チェック型(検索ツール) | システム型(GRC基盤) |
| 費用の目安 | 月額11,000円(税込)〜 初期費用0円 | 態勢整備100万円〜(税抜) ※領域別に公式PDFで公開 | 要問い合わせ | 受講者数に応じた従量課金(要問い合わせ) 初期費用なし・10名〜 | こんぷろカスタム 年額96,000円(税抜)〜 | 参考価格400万円(税抜)〜 (回答者2,000人・日本語・ネット回答の前提) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 登録料0円/月額660円(税込)〜 1検索165円(税込・50件まで) | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※上記は2026年10月時点で各社が公開する公式情報等に基づく概要です。対応範囲・提供形態・費用はプランやオプション、改定により異なる場合があります。最新の詳細は各社の公式情報・資料でご確認ください。
コンプライアンスサービス主要11サービスの特徴(領域別)
ここからは、11サービスを6つの領域に分けて個別に紹介します。それぞれの対応範囲・特徴・費用を確認し、自社の課題に合う候補を見つけてください。
体制・規程づくりの支援
ここでは、行動規範や社内規程の策定、コンプライアンス体制の構築を支援するサービスを紹介します。
1. CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)(MOLTON株式会社)

MOLTON株式会社が運営する、生成AIと弁護士・専門士業の体制を組み合わせた法務アウトソーシングサービス(BPaaS)です。契約書の作成・レビューや法務・労務相談に加えて社内規程の整備にも対応し、法務の専任担当や顧問弁護士を置いていない企業が体制づくりを外部に委ねられます。
料金は初期費用0円・月額11,000円(税込)から始められ、上位プランでは弁護士の稼働時間が付きます(Proは月2時間、Premiumは月5時間)。行動規範や社内規程の策定、法令・ガイドラインに関するQA・判例調査まで、弁護士監修のもとで進められます。
内部通報規程を含む社内規程の整備にも対応するため、公益通報者保護法への対応を見据えた規程づくりに活用できます。情報管理は、ISO/IEC 27001(ISMS)認証を取得した体制のもとで行われます。
2. コンプライアンス・サポートサービス(一般社団法人コンプライアンス推進機構)

コンプライアンスの資格認定や教育を手がける一般社団法人コンプライアンス推進機構(OCOD)が、その知見をもとに企業の体制づくりを支援するサービスです。営利企業ではなく一般社団法人が運営している点が、ほかの依頼先との違いになります。
体制・規程づくりの領域では、推進態勢やPDCAプロセスの整備・見直し、倫理綱領・行動規範・基本方針の作成、規程やマニュアルの作成・レビューを手がけます。費用の目安は、態勢の整備で100万円(税抜)から、規程・内規・マニュアルの作成で50万円(税抜)からです。
診断・監査から内部通報窓口の受託、研修、業務の受託までを同じ団体に任せられるため、体制づくりの後の運用まで一貫して相談できます。公式サイトには、体制支援・研修先が350社を超えると記載されています。
3. コンプライアンス推進支援(SOMPOリスクマネジメント株式会社)

保険大手のSOMPOグループに属するSOMPOリスクマネジメント株式会社が、コンサルティング形式で手がけるコンプライアンス支援です。行動規範や規程の策定から体制の現状分析、意識調査、研修、危機管理体制の構築までを個別メニューとして提供し、平時から有事までを一貫して支援します。
体制・規程づくりでは、経営理念と整合させた行動規範の策定に加えて、コンプライアンス規程やハラスメント防止規程、内部通報規程などの整備に対応します。契約書の文言見直しは、弁護士と連携して進めます。
支援はリスクの可視化から課題の特定、対策の立案・実行、モニタリングへと進むリスクベースアプローチを採り、意識調査で現状を把握したうえで施策を組み合わせます。費用は個別見積もりで、問い合わせフォームから確認する形です。
研修・教育
続いて、役職員へのコンプライアンス教育を担うサービスです。
4. OneCompliance(株式会社Oyster)

コンプライアンス研修に特化したeラーニングとして、株式会社Oysterが運営するサービスです。法務・労務・ハラスメント・情報セキュリティ・サステナビリティなどの領域を横断し、2026年10月時点で33のコースをそろえています。学習は1コンテンツ数分のマイクロラーニング形式で、テキストと動画のどちらでも受講でき、PC・スマートフォンの両方に対応します。
管理者側はダッシュボードで受講者別・コース別の進捗を一元管理でき、CSV出力や未受講者への自動リマインドにも対応します。コンテンツは弁護士や大学教授などの専門家が作成・レビューすると公式に明記されています。
初期費用はなく、料金は受講者数に応じた従量課金で10名から利用できます(具体額は要問い合わせ)。申込前に機能やコンテンツを試せる無料トライアルも用意されており、インサイダー取引・マネーロンダリング対策・反社対応など、金融分野に関わる研修ニーズにも対応します。
研修は配信して終わりではなく、受講がどこまで完了し、継続されるかも運用上の論点になります。この点について、運営元の株式会社Oysterは独自インタビューで次のように説明しています。

5. HTC コンプライアンス支援(ハイテクノロジーコミュニケーションズ株式会社)

HTCは、従業員の視点でわかりやすさを重視したコンプライアンス教材・啓発ツールを企画・制作する、ハイテクノロジーコミュニケーションズ株式会社のサービスです。4コマ漫画やミニテスト、動画、ポスターなど、現場で使いやすい形式の教材をそろえている点に特色があります。
中心となる「こんぷろカスタム」は2012年に始まった年間会員制サービスで、研修資料やコンプライアンス便り、メルマガ原稿、ミニテストなどの素材を専用サイトからダウンロードし、社内で編集して使えます。素材は3,000点以上あり、公開コンテンツは弁護士チェックを経ると公式に記載されています。
こんぷろカスタムのほかにも、9種類のeラーニングや、階層別・テーマ別に組める企業内研修(オンライン対応)など、教材から研修までを単品でも選べます。こんぷろカスタムの基本プランは1法人あたり年額96,000円(税抜)からで、プランやオプションによって料金が変わります。
ここで取り上げたのは研修・教育サービスの一部です。eラーニングを中心に、料金や教材テーマ、選び方まで製品ごとに詳しく比べたい場合は、以下の記事をご覧ください。
コンプライアンス研修eラーニングおすすめ比較29選!料金・教材テーマ・選び方を解説
コンプライアンス研修を全社員に行き渡らせたいのに、集合研修では日程調整や会場手配が追いつかず、受講記録の管理も煩雑になっていませんか。ハラスメント防止や情報セキュリティ、個人情報保護など扱うべきテーマは年々増え、法改正のたびに教材を作り直す…
意識調査・組織風土診断
次に、従業員の意識や組織風土を可視化するサービスを紹介します。
6. コンプライアンス経営診断プログラム(日経リサーチ)

コンプライアンス経営診断プログラムは、日本経済新聞社グループの調査会社である株式会社日経リサーチが手がける従業員意識調査です。表面化したリスクと、それを生む組織風土の両方を測定し、問題が起きにくく回復しやすい組織づくりにつなげます。
診断には独自フレームの「レジリエンス3力(検知力・対処力・学習力)」を用い、インテグリティ・エンゲージメント・オープンカルチャー・スピークアップの4つの観点から組織土台を把握します。2026年版のベンチマークと比べて自社の位置や部署別の優先度を確認でき、多言語での調査にも対応します。
分析結果の報告だけでなく、部署別のフィードバックや研修など施策化までを支援範囲に含みます。運営は、国内外のべ5,000社超の実績と知見を持つ専門チームが担います。参考価格は、回答者2,000人・日本語のみ・インターネット回答で総合報告書とマネジメントレポートを納品する場合に400万円(税抜)からで、対象人数や調査仕様により変わります。
内部通報窓口の受託
ここでは、社外の通報・相談窓口を受託するサービスを紹介します。
7. DQヘルプライン(株式会社ディー・クエスト)

DQヘルプラインは、Webを使って匿名のまま双方向にやり取りできる通報システムを軸にした、内部通報の社外窓口サービスです。株式会社ディー・クエストが2003年に開発し、2007年にはこの仕組みで特許を取得しています。導入実績は3,200社(2025年5月時点)にのぼります。
グローバル対応が強みで、Web窓口は36言語以上、電話窓口は英語・中国語・韓国語に標準対応します。2018年にはドイツ・フランクフルトに拠点を設け、現地弁護士の協力のもとGDPRなど海外法制にも対応しており、海外拠点や外国人従業員を抱える企業に向きます。
受付チャネルはWeb・電話・メールで、24時間365日の有人監視とISO/IEC 27001(ISMS)認証によってセキュリティを確保しています。料金は標準版のほかLite版も用意されますが、いずれも公開されておらず、問い合わせが必要です。
8. 企業倫理ホットライン(ダイヤル・サービス株式会社)

企業倫理ホットラインを運営するダイヤル・サービス株式会社は、1969年創業の相談窓口専業企業です。2003年から内部通報の外部窓口を手がけており、不正や法令違反だけでなく、労働環境や人間関係に関する相談も実名・匿名のどちらでも受け付けます。
対応者の専門性に特色があり、社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント・公認心理師などの資格を持つ相談員が通報や相談に応じます。2021年7月からは、通報を受け付けるだけでなく受付後の企業側の対応に助言するサービスも加わりました。
受付チャネルは電話・WEB・チャットで、WEBは24時間365日対応します。多言語は電話7言語・WEB15言語以上をカバーし、プライバシーマークとISO/IEC 27001(ISMS)を取得済みです。公式サイトでは約3,000社の企業・大学が利用していると案内されており、料金は従業員規模などに応じた見積もりとなります。
9. リスクホットライン®(株式会社エス・ピー・ネットワーク)

企業危機管理を専門とする株式会社エス・ピー・ネットワークが運営するのが、リスクホットライン®です。2003年のサービス開始から20年以上の運用実績を持つ、内部通報の社外受付窓口です。
通報の受付にとどまらず、社内調査やヒアリングの代行、規程・マニュアルの整備支援、公益通報対応業務従事者向けの研修まで、危機管理会社の知見を生かして制度運用全体を一貫して支える伴走型を掲げます。通報内容を評価してコメントを付すリスクレポートや、対応プロセスへの助言も行います。
契約企業は1,200社以上、累計の通報対応は17,000件以上にのぼります(2026年9月時点)。受付は電話・WEB・メールで、電話は平日9〜18時の対応です。本体の対応言語は日本語で、海外拠点向けには別サービスが用意されています。料金は従業員数などにより個別に見積もられます。
取引先コンプライアンスチェック
続いて、取引先の反社・ネガティブ情報を確認するサービスです。
10. Gチェッカー(株式会社ジー・サーチ)

Gチェッカーは、新聞・雑誌記事データベースを情報源に、取引先や人物に関するネガティブ報道の有無を確認する反社チェックツールです。運営する株式会社ジー・サーチは富士通グループで、ビジネス情報データベース「G-Search」を基盤に、約120紙誌・過去40年分の記事を横断検索できます。
コンプライアンス調査用の検索式があらかじめ設定されており、取引先名や人物名を入力するだけで調査を始められます。企業名だけでなく人物名での検索にも対応し、1回の検索で最大50件までまとめて確認できます。
料金は登録料0円・月額660円(税込、クレジットカード会員)で、法人会員は年額9,900円(税込)の会費形態です。検索は1回165円(税込)で50件まで対応し、記事本文を表示する際は別途、情報出力料が従量で加算されます。全機能を試せる1週間の無料トライアルが用意されています。
取引先のチェックに使えるツールは、情報源の種類や料金体系、調査精度がサービスごとに大きく異なります。複数のツールを見比べて選びたい場合は、主要な反社チェックツールを横断比較した以下の記事が参考になります。
コンプライアンス管理システム(GRC)
最後に、複数領域を統合管理するGRCプラットフォームを紹介します。
11. NAVEX One(NAVEX Global, Inc.)

NAVEX Oneは、内部通報・インシデント管理、コンプライアンス研修、規程(ポリシー)・手順管理、第三者リスク管理などを単一の基盤に統合したGRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)プラットフォームです。米国のNAVEX Global, Inc.が開発し、日本国内の販売・導入支援は2026年1月設立のNAVEX Japan合同会社が担います。
通報の受付はWeb・電話・モバイルから24時間365日可能で、電話はオペレーターが170以上の言語に対応します。2026年8月には内部通報・インシデント管理の画面が刷新され、調査担当者やケース管理者が使う管理画面が日本語を含む6言語でローカライズされました。報告内容の要約や関連ケースの検出を支援するAIエージェント「Nira」も搭載しています。
通報受付にとどまらず、研修・規程管理・取引先スクリーニングまでをひとつのプラットフォームで統合管理できる点が、通報専業のサービスとの違いです。ISO/IEC 27001認証の取得やSOC 2 Type IIレポートの発行、GDPRへの準拠を公表しており、料金は利用規模に応じた個別見積もりとなります。
複数の領域を一つの基盤に統合するGRCツールは、対応モジュールや想定規模によって選択肢が幅広く分かれます。統合管理の製品を本格的に検討したい場合は、主要なGRCツールを比較した以下の記事もあわせてご覧ください。
内部通報窓口・取引先チェックを外注するときに押さえる制度の要点
内部通報窓口の受託と取引先コンプライアンスチェックは、制度上の前提を押さえておくと依頼先選びで迷いにくくなります。それぞれの要点を確認しておきましょう。
内部通報窓口を外部委託するときの要点
内部通報の受付窓口は、社内に置くだけでなく、法律事務所や専門機関などの社外に委託することが認められています。消費者庁の指針解説でも、次のように外部設置が可能と示されています。
内部公益通報受付窓口については、事業者内の部署に設置するのではなく、事業者外部(外部委託先、親会社等)に設置することや、事業者の内部と外部の双方に設置することも可能である。
出典:公益通報者保護法に基づく指針(令和3年内閣府告示第118号)の解説(令和3年10月)|消費者庁
委託先を選ぶ際に確認したいのが、守秘義務の扱いです。公益通報者保護法では、通報対応業務に従事する者(従事者)に対し、通報者を特定させる情報を漏らしてはならないと定めており(第12条)、違反には30万円以下の罰金が科されます(第21条)。この従事者には外部委託先も含まれ得るため、委託先が従事者としての守秘義務を負う体制になっているかを確認しておくと安心です。
また、常時使用する労働者の数が300人を超える事業者には、従事者の指定と通報対応体制の整備が法的に義務づけられています(同法第11条。300人以下は努力義務)。自社がこの対象にあたる場合は、外部委託を含めて体制を整える必要があります。
出典・参考資料(2件)
公益通報者保護法は2025年6月に改正法が公布され、2026年12月1日に施行される予定です。公益通報を理由とした解雇・懲戒に対する直罰規定の新設などが盛り込まれますが、外部委託が可能であることや従事者の守秘義務といった本記事で触れた骨格は、改正後も維持されます。
取引先コンプライアンスチェックの要点
取引先のチェックを行う背景には、反社会的勢力との関係遮断を求める政府の方針があります。2007年に犯罪対策閣僚会議幹事会が申し合わせた政府指針は、企業が守るべき基本原則の一つとして「取引を含めた一切の関係遮断」を掲げています。
反社会的勢力とは、取引関係を含めて、一切の関係をもたない。また、反社会的勢力による不当要求は拒絶する。
出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針(平成19年6月19日・犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)|法務省
同指針は、平素からの対応として「取引先の審査や株主の属性判断等」を行い、反社会的勢力の情報を集約したデータベースを構築して逐次更新することを求めています。
実務では、この審査にあたって報道や公知情報(新聞記事データベースなど)を照合する手法が広く使われており、取引先チェックのサービスはこうした情報源と照合の仕組みを提供するものです。契約書に暴力団排除条項を導入することも、あわせて押さえておきたい基本対応です。
出典・参考資料(1件)
もっとも、取引先名や代表者名をデータベースで照合するだけでは、背後にいる反社会的勢力までは見抜けないことがあります。この点について、弁護士の阿部由羅氏は次のように指摘しています。

インターネット検索や新聞記事のデータベースなどを利用して、相手方の会社名や代表者名を検索しても、背後にいる反社会的勢力の存在は判明しません。相手方の実質的な支配者まで遡って徹底的に反社チェックを行い、少しでも疑わしい要素があれば取引中止を検討するといった厳密な取り組みが求められます。
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まとめ
コンプライアンスサービスは、体制・規程づくり、研修・教育、意識調査・組織風土診断、内部通報窓口の受託、取引先チェック、そしてこれらを統合管理するGRCの6領域に分かれます。自社に足りないのがルールなのか、浸透なのか、リスクをつかむ仕組みなのかを見極め、必要な領域から依頼先を絞り込むのが近道です。
とくに「研修をしても違反が止まらない」場合は、意識調査で組織風土の課題を可視化してから打ち手を選ぶと、投資が空振りしにくくなります。費用は領域ごとに相場が大きく異なるため、領域を決めてから、公開料金と見積もりを同じ条件で比較することが大切です。本記事の比較表と診断ツールを使って、自社に合うサービスの候補を絞り込んでみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. コンプライアンスサービスとは何ですか?
A. コンプライアンスサービスとは、企業が法令や社会規範を守る体制を築き、運用し続けるための業務を、外部の専門事業者が支援・代行するサービスの総称です。体制・規程づくりの支援、研修・教育、従業員の意識調査・組織風土診断、内部通報窓口の受託、取引先のコンプライアンスチェック、これらを統合管理するGRCシステムまで、外注できる業務は幅広く、何を任せられるかはサービスごとに異なります。
Q. コンプライアンスサービスでは何を外注できますか?
A. コンプライアンスサービスで外注できる業務は、大きく「体制・規程づくりの支援」「研修・教育」「意識調査・組織風土診断」「内部通報窓口の受託」「取引先コンプライアンスチェック」「GRC(統合管理システム)」の6領域に分かれます。
複数の領域を一度に整える必要はありません。多くの企業は、不祥事や上場審査での指摘、取引先からの要請など、いま直面している課題に直結する1〜2領域から着手します。優先度の高い課題を一つ決めれば、任せるべき領域と依頼先は自ずと絞り込めます。
Q. コンプライアンスサービスの費用の相場はどのくらいですか?
A. コンプライアンスサービスの費用は領域によって大きく異なり、年額数万円で始められるeラーニングから、100万円規模の体制整備や数百万円規模の意識調査・アドバイザリーまで開きがあります。
たとえば規程・マニュアルの作成支援は50万円程度から、体制整備を含む総合支援は100万円程度から、内部通報窓口はメール受付中心の簡易なプランで月額数万円程度からが一つの目安です。
一方、コンサルティングや高度なアドバイザリー、専門的な意識調査、GRCシステムは対応範囲を個別に設計するため「要お問い合わせ」が多くなります。領域を決めてから予算感を照らし合わせ、非公開の場合は対応範囲を伝えて見積もりを取るのが現実的です。
Q. コンプライアンスサービスはどの領域から始めるべきですか?
A. コンプライアンスサービスは、自社が最も困っている課題を起点に領域を選ぶのが基本です。ルールや推進体制が未整備なら体制・規程づくりの支援、社員への浸透が課題なら研修・教育、違反の兆候や組織風土をつかめていないなら意識調査・組織風土診断、というように課題と領域を対応づけます。
どこに弱点があるか自社で特定しづらいときは、意識調査で現状を可視化したり、本記事の選定診断ツールで当たりをつけたりするのも有効です。
Q. コンプライアンス研修を実施していれば違反は防げますか?
A. コンプライアンス研修を実施していても違反が繰り返される場合は、知識不足ではなく、違反を生みやすい職場の空気や上司の姿勢といった組織風土に原因があることが少なくありません。
このようなケースでは研修を増やすより、まず意識調査・組織風土診断で潜在リスクを可視化し、どこに手を打つべきかを特定するほうが効果的です。研修・教育と意識調査・組織風土診断は、浸透を図る打ち手と現状を把握する打ち手として組み合わせて使うものと捉えるとよいでしょう。
Q. コンプライアンスの意識調査は一度実施すれば十分ですか?
A. コンプライアンスの意識調査は、一度きりではなく定期的に実施して組織風土の変化を追うのが基本です。意識調査は現状のリスクや風土を可視化する手段であると同時に、研修や体制見直しといった施策を打った後に効果を測る物差しにもなるためです。その際、自社の立ち位置を他社と比べられるベンチマークデータの有無が調査の価値を左右します。実施の頻度は、調査の目的や社内の回答負担に応じて決めるとよいでしょう。
Q. 内部通報窓口は外部の専門業者に委託できますか?
A. 内部通報の受付窓口は、社内に置くだけでなく、法律事務所や専門機関などの社外に委託することが認められています。消費者庁の指針解説でも、事業者外部に窓口を設置することや内部と外部の双方に設置することが可能と示されています。
委託先を選ぶ際は、通報者を特定させる情報の守秘義務(公益通報者保護法上の従事者の義務)を負う体制になっているかを確認しておくと安心です。また、常時使用する労働者が300人を超える(301人以上の)事業者には従事者の指定と通報対応体制の整備が義務づけられており(300人以下は努力義務)、自社が対象なら外部委託を含めて体制を整える必要があります。
Q. 取引先コンプライアンスチェックでは何を確認するのですか?
A. 取引先コンプライアンスチェックでは、取引先や関係者に反社会的勢力との関わりやネガティブな報道がないかを確認します。
政府指針が反社会的勢力との一切の関係遮断と、取引先の審査を求めていることが背景にあり、実務では新聞記事データベースなどの報道・公知情報と照合する手法が広く使われます。新規取引の開始時や既存取引先の定期確認、上場準備での一括調査などで用いられ、自社で検索するツール型と、調査を代行してもらう型があります。
Q. 中小企業や少人数の会社でもコンプライアンスサービスを使えますか?
A. コンプライアンスサービスは中小企業や少人数の会社でも使え、低コストで始められる領域から導入できます。eラーニングは年額数万円程度、取引先チェックのツールは登録無料や月数百円から、内部通報窓口もメール受付中心の簡易なプランなら月額数万円程度から利用できるものがあります。すべての領域を一度に整える必要はなく、自社で優先度の高い課題を一つ絞り、その領域のサービスから始めるのが現実的です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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