取引先とのデータ交換をEDIで続けてきた企業も、FAX・電話・メールでの受発注をこれからEDI化したい企業も、ISDN回線の終了や既存EDIの保守期限をきっかけに、どのEDI製品を選べばよいか情報収集を始めているのではないでしょうか。EDI製品を選ぶとき、多くの担当者がまず気にするのが「どの製品が多く使われ、実績があるのか」というシェアです。
しかし、国内のEDI製品はシェアを示す客観的な数字がほとんど公表されておらず、比較サイトのランキングや資料請求数だけを手がかりにすると、実態を見誤ることもあります。本記事では、EDI製品のシェアと市場規模を整理し、主要なEDI製品と受発注のWeb化サービスを比較します。
シェアの数字をどう読めばよいか、ISDN終了にともなう「2024年問題」を踏まえてどの観点で選べばよいかまで整理しました。自社の取引先や取引量に合うサービスを見極める材料として活用してください。
また、本文を読み進める前に自社に合うタイプの当たりを付けたい場合は、「30秒で終わる選定診断ツール」もご用意しています。
目次
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シェア・導入実績から見る主要なEDI製品
ここからは、「どのEDI製品が多く使われ、実績で上位にあるのか」という問いに正面から向き合います。先に結論を述べると、国内のEDI製品には市場シェアを示す公式な数字がほとんどなく、導入実績を具体的な数値で公表している製品も一部に限られます。
そのため、実績の大小だけで順位を付けるのは難しく、実際の選定では自社の取引条件に合うかどうかで候補を絞り込むのが現実的です。この節では、その判断の前提として、シェアや実績の数字をどう読めばよいかを整理します。
実績を測る指標は「導入社数・サイト数」だが、単純な比較はできない
EDI製品の実績を測る指標として公表されているのは、主に累計の導入社数・接続サイト数・取引店舗数です。ただし、具体的な数値を公表している製品は一部で、多くは導入実績を数値で示していません。公表がある場合は、長く使われてきた製品ほど数字が大きくなる傾向があり、実績のある製品かを判断する一つの目安になります。
さらに、これらの数字は製品ごとに数え方の基準が異なります。導入した企業の数(社数)で示す製品もあれば、1社が複数の取引拠点で使う前提の接続サイト数で示す製品、ネットワーク型で取引に参加する店舗数を示す製品もあります。
基準がそろっていないため、数字の大小だけで順位を付けると実態を誤って捉えかねません。実績は実力の目安にとどめ、最終的には自社の取引条件に合うかで選ぶのが現実的です。各製品の公表実績は、数え方の基準とあわせて記事後半の比較表で整理しています。
EDI製品の「シェア」をどう読むか
EDI製品を調べると、比較メディア上に「シェア1位」「資料請求ランキング上位」といった表示を見かけます。こうした数字を参考にする際は、それが何を測ったものかを確かめる必要があります。
比較サイトが示す「レビューシェア」は、そのサイトに投稿された口コミの集まり方を表す指標で、実際にEDIを利用している企業数の割合とは異なります。「資料請求ランキング」も、そのサイト経由で資料請求が多かった順であり、市場での利用実態を示すものではありません。投稿数や資料請求数は、サイトへの露出や掲載の有無に左右されるため、これらを市場シェアと同一視すると判断を誤ります。
そのうえで、国内のEDI製品については、第三者機関が算出した製品別の市場シェアがほとんど公表されていません。多くの提供企業は累計導入社数や導入事例は公開していても、市場全体に占めるシェアの数値は非公表としています。
したがって「どの製品のシェアが何%か」を客観的な数字で比べることは現状できません。実際の選定では、公表されている導入実績や対応範囲、自社の取引条件との適合を手がかりに判断するのが現実的です。
EDIの市場規模はどのくらい?世界市場から読む動向
個別の製品シェアが分かりにくい一方で、EDI市場全体の規模感は調査機関のデータからつかめます。国内の製品別シェアや市場規模を定量的に示した公的データは乏しいため、ここでは世界市場の規模と成長の方向性から、EDI市場がどこへ向かっているかを押さえます。
世界のEDIソフトウェア市場は年率10%超で拡大
市場規模の桁感は、世界市場のデータが参考になります。調査会社Fortune Business Insightsによると、世界の電子データ交換(EDI)ソフトウェア市場は2025年に約23億1,000万米ドルで、2034年には約64億9,000万米ドルへ拡大し、2026年から2034年の年平均成長率は12.30%と予測されています。
地域別では北米が2025年に51.40%と最大のシェアを占めています。
別の調査会社Straits Researchも、2025年の市場規模を約24億米ドル、年平均成長率を11.5%と、同程度の水準で見込んでいます。同社のデータでは、2025年時点で提供形態別にクラウド型EDIが64%、方式別にポイントツーポイントで直接つなぐダイレクトEDIが38%、業界別に小売・eコマースが32%を占めており、クラウド型への移行が市場全体の傾向として表れています。
いずれも海外ベンダーを中心とした世界市場の数字で、個社ごとのシェアは公開されていません。ただし、クラウド型への移行が進むという方向性は国内でも共通しており、製品選定でクラウド型を軸に検討する企業が増えています。世界市場の数字は、こうした流れをつかむ背景として捉えるのが適切です。
出典・参考資料(2件)
市場の方向性をつかんだうえで、自社の取引条件に合う製品の当たりを付けるには、条件を一つずつ照らし合わせる必要があります。そこで、貴社の状況に合わせて適したサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しました。ぜひご活用ください。
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そもそもEDIとは?いまEDI製品を見直す理由
製品を選ぶ前に、EDIの基本と、どの製品が使われるかを左右する「通信方式」の違いを押さえておくと、比較がしやすくなります。ここでは選定に効く範囲で簡潔に整理します。
EDIの基本と受発注における役割
EDI(Electronic Data Interchange、電子データ交換)とは、企業間でやり取りする注文書・納品書・請求書などの取引文書を、あらかじめ定めた形式でコンピューター間で直接交換する仕組みです。受発注の場面では、FAX・電話・メールでのやり取りや手入力による転記をなくし、受注データや出荷データをシステム間で自動的に連携できる点が中心的な役割になります。
取引量が多いほど、転記ミスや確認作業の負担は積み上がります。EDIはこの定型的なデータ処理を自動化し、受発注にかかる工数を抑えるための基盤として、製造・卸・小売・流通の各業界で長く使われてきました。
EDIの種類と通信方式
EDIは、取引文書をどのような経路でやり取りするかによっていくつかの方式に分かれます。JIPDEC(日本情報処理開発協会)の報告書「業界標準EDI ~現状と動向~」(2011年)では、EDIにかかるネットワーク技術として、電子メール型EDI、Web-EDI、ファイル転送型EDI、XML型メッセージングが整理されています。
やや古い資料ですが、方式の枠組み自体は現在のEDI製品を理解する土台になります。
実務上とくに区別されるのが、専用のソフトウェアやプロトコルで取引先システムと直接つなぐ従来型のEDIと、取引先がWebブラウザから発注・回答を行うWeb-EDIです。前者は全銀TCP/IP手順やJX手順といった通信方式を用い、大量の取引を自動連携するのに向きます。後者は取引先にソフトの導入を求めず、ブラウザだけで受発注を始められるため、取引先の負担を抑えたい場合に適しています。
どの方式に対応しているかは製品ごとに異なり、「自社と取引先がどの方式でつなぐか」が製品選定を左右します。

出典・参考資料(1件)
取引先ごとに異なる通信手順やデータ形式をどう把握し、どの製品でその違いを吸収するかは、用語の意味と取引先の棚卸しの手順から以下の記事で詳しく整理しています。自社が対応すべき方式を見極めてから製品を比べたい方はあわせてご覧ください。
EDIシステム比較21選|対応プロトコル・データ形式と取引先ごとの違いを吸収する選び方
取引先ごとに受発注の受け口がバラバラになっていませんか。大手の取引先とはEDIでつながっているのに、別の取引先からはWeb-EDIの画面にログインして手作業でダウンロードし、小口の取引先からはFAXやメールで注文が届く。結局どこかで人が転記…
2024年問題・レガシーEDIの移行という見直し動機
いまEDI製品の見直しが進んでいる大きな理由が、従来型EDIの通信基盤として広く使われてきたISDN回線の終了です。NTT東日本・西日本は、ISDNのうちデータ通信に用いられてきた「INSネット ディジタル通信モード」を2024年1月に終了しました。これにともない、ISDN経由でデータをやり取りしてきたEDIが使えなくなる、いわゆる「2024年問題」が生じています。
端末の切り替えが間に合わない利用者に向けた補完策を含め、INSネット自体も2028年12月31日をもって提供を終了する予定で、新たな申し込みの受付は2024年8月31日に終了しています。このため、ISDNを前提とした従来型EDIは、2028年末までにインターネット回線を使う方式へ移行する必要があります。

加えて、長く使ってきた自社開発のEDIや古いパッケージが保守期限を迎えるケースも重なり、この機会に長く使える主流の製品へ乗り換えたいという需要が高まっています。
シェア・実績だけに頼らないEDI製品の選び方
導入実績が多い製品は選定を誤りにくい目安になりますが、「実績が多い=自社に最適」とは限りません。取引先の数や取引量、既存システムとの関係によって、適した製品は変わります。ここでは、自社の条件に照らして見極めるための観点を整理します。
取引先の数・取引量・既存システムとの連携で選ぶ
まず確認したいのが、EDIでつなぐ取引先の数と、やり取りする取引量です。多数の取引先と大量のデータを自動でやり取りするなら、通信から変換、基幹システムへの連携までを担える基盤型の製品が向きます。一方、取引先の数が限られる、あるいは取引先にソフト導入を求めにくい場合は、取引先がブラウザから入力できるWeb-EDI型のほうが始めやすくなります。
既存の販売管理システムや基幹システムとの連携も重要です。受注データを基幹システムへ取り込むには、データ形式の変換やファイルの受け渡しが必要になります。自社が使うシステムとどう連携できるか、変換機能やAPI連携に対応しているかを、具体的な連携方法まで確認しておくと、導入後の手戻りを避けられます。
EDIにこだわらず、FAXや電話での受発注をWeb化する方法まで含めて幅広く比較したい場合は、受発注システム全体を費用・機能・取引先の使いやすさの観点で解説した以下の記事が参考になります。
対応業界・業界標準(流通BMSなど)で選ぶ
EDIには、業界ごとに定められた標準仕様があります。代表的なのが、消費財流通業界で使われる流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準)です。取引先がこうした業界標準での接続を求める場合、その標準に対応した製品でなければ取引を始められません。
製品によって、得意とする業界や標準への対応範囲は異なります。小売・流通の取引に強い製品、製造業のサプライチェーンに向く製品など、自社と取引先が属する業界で実績のある製品かどうかを確認すると、導入後の適合度が高まります。取引先から指定された通信方式や業界標準がある場合は、その対応可否を最優先の条件として確認してください。
出典・参考資料(1件)
EDIの方式・提供形態とレガシーEDI移行への適合で選ぶ
提供形態も選定の分かれ目になります。自社のサーバーに導入するオンプレミス型は、既存環境に合わせた細かな設定がしやすい一方、サーバーの構築・運用を自社で担う必要があります。クラウド型は、サーバーを用意せずに利用を始められ、回線や設備の保守から解放される点が利点です。ISDN終了にともなう移行を機に、設備を持たないクラウド型へ切り替える企業も増えています。
既存のEDIからの移行を予定している場合は、現在使っている通信方式やデータ形式を新しい製品が引き継げるかを確認します。移行支援のメニューがあるか、従来の方式とインターネット回線を使う方式を併用しながら段階的に移行できるかによって、切り替えの負担は変わります。
導入実績・サポート・将来の継続性で選ぶ
EDIは一度導入すると長く使い続ける基盤であり、提供元が継続的に製品を保守・改善していけるかが重要です。公表されている導入実績や導入事例は、その製品が実際に使われ、運用ノウハウが蓄積されているかを示す手がかりになります。前述のとおり、実績の数字は数え方の基準が製品ごとに異なるため、規模だけでなく自社に近い業界・取引形態での実績があるかを見ると判断しやすくなります。
運用面では、トラブル時のサポート体制や対応時間も確認しておきたい点です。EDIは受発注の基盤であり、停止すると取引そのものが止まります。監視や障害対応をどの範囲・時間帯で受けられるかは、安定運用に直結します。こうした点は、比較サイトのランキング順位には表れないため、各製品の公式情報や問い合わせで確かめることをおすすめします。
【比較表】主要なEDI製品・受発注Web化サービスを比較
ここからは、主要なEDI製品と、受発注をWeb化するサービスを、提供形態・対応する通信方式・公表されている導入実績・料金体系などの確かめられる事実で横断的に比較します。導入実績は製品ごとに数え方の基準が異なる点に留意し、数字の大小だけでなく自社の取引条件との適合もあわせて確認してください。
表には、全銀TCP/IP手順やJX手順といった通信方式で取引先システムと直接つなぐ従来型のEDI製品と、取引先がブラウザから発注・回答を行うWeb-EDI・ネットワーク型のサービスが含まれます。取引先から特定の通信方式を指定されている場合は、「主な対応方式」の列を軸に候補を絞り込んでください。
| サービス名 | DX BtoB Web受発注システム | アラジンEC | ACMS Apex | ACMS Cloud | EDI-Master Cloud | EDIPACK21 | EOS名人.NET | Biware EDI Station 2 | BtoBプラットフォーム 受発注 | トラコ | Hi-PerBT ウェブ購買 | MONQX EDI |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社マルウェブ | 株式会社アイル | 株式会社データ・アプリケーション | 株式会社データ・アプリケーション | キヤノンITソリューションズ株式会社 | 日本情報通信株式会社 | ユーザックシステム株式会社 | 株式会社インターコム | 株式会社インフォマート | デジタルトランスコミュニケーションズ株式会社 | 日立ソリューションズ西日本株式会社 | 株式会社YEデジタル Kyushu |
| 提供形態 | オンプレミス(パッケージ型・自社サーバー展開) | パッケージ(クラウド/オンプレの別は公式未記載) | オンプレミス(ソフトウェア) | クラウド(EDI×iPaaS) | クラウド(AWS上) | オンプレミス/ASP(SaaS)の2形態 | オンプレミス(Windows環境に導入) | オンプレミス(IaaS・仮想サーバー環境も可) | クラウド(ネットワーク型SaaS) | クラウド(AWS上・フルマネージドASP) | クラウド(AWS構成) | クラウド(Web-EDI) |
| 主な対応方式 | Web-EDI(取引先がブラウザから発注) | Web-EDI(ブラウザ発注) ※EDI標準プロトコルは公式未訴求 | JX手順/ebXML MS/全銀TCP/IP手順(広域IP網)/SFTP/Web API | JX手順/ebXML MS 2.0/AS2/全銀TCP/IP手順(広域IP網)/SFTP/Web API | 全銀TCP/IP手順(広域IP網)/JX手順/AS2/SFTP | JCA手順/全銀BSC/全銀TCP/IP/JX手順/AS2/ZEDI手順 | 流通BMS(JX手順)/全銀TCP/IP手順/SFTP | AS2/ebXML MS/JX手順/SFTP/全銀TCP/IP手順(広域IP網・LAN) | Web発注(招待制のネットワーク型プラットフォーム) | 全銀TCP/IP手順(TLS)/JX手順/AS2/SFTP/FTP/ebMS/HTTP/HULFT | Web-EDI(購買側主導) ※通信プロトコルは公式未記載 | Web-EDI(発注〜検収・受注側機能、mcframe 7連携) |
| 公表導入実績 | 非公表 | 非公表 | ACMSシリーズ累計3,004社・15,192サイト以上 (2024年3月末・シリーズ全体の累計) | 非公表 | 非公表 | 非公表 | 非公表 | Biwareシリーズ累計66,000社以上 (シリーズ全体の累計) | 83,000店舗以上・全国50,000社以上 (飲食・宿泊業) | 非公表 | 非公表 | 非公表 |
| 料金 | 標準パッケージ300万円+導入サポート・基本パック150万円〜(税抜) サーバー保守 月額4万円〜 | 初期400万円〜/月額7万円〜 (モデルケース・月額固定型) | 要お問い合わせ | 月額15万円〜(Lite)/30万円〜(Standard)/45万円〜(Enterprise) 環境構築費用なし(税別) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 本体は要お問い合わせ 電帳法対応クラウドオプション 月額12,000円〜(税別) | 要お問い合わせ (90日間の無料トライアルあり) | 要お問い合わせ (発注側:月額/受注側:従量制) | 初期10万円〜/基本利用料 月額5万円 +プロトコル月額1万円・ファイル月額6,000円〜 | 要お問い合わせ (サーバー単位ライセンス・サプライヤー数で増えない) | 要お問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年10月時点の各社公式情報をもとに作成。導入実績は各製品が公表する数え方(社数・サイト数・店舗数など)が異なり単純比較はできません。最新の機能・料金・対応方式は各社公式サイトをご確認ください。
比較表のとおり料金を公表していないサービスも多く、導入前に費用の目安を把握しておきたい場合は、初期費用・月額・従量課金の相場を種類別に整理した以下の記事が参考になります。
Web-EDIの費用はいくら?初期費用・月額・従量課金の相場と主要サービスの料金一覧
取引先との受発注をFAXや電話、紙の注文書でやり取りしている企業は少なくありません。こうした企業にとって、Web-EDI(ウェブブラウザ上で受発注データをやり取りする仕組み)は、専用回線を使う従来型のEDI(電子データ交換)よりも低コストで…
主要なEDI製品・受発注Web化サービスの個別紹介
ここからは、比較表で取り上げた主要なEDI製品と、受発注のWeb化に使えるサービスを個別に紹介します。それぞれの提供形態・対応方式・公表されている実績をもとに、自社の取引条件に合うかを確認してください。
1. DX BtoB Web受発注システム(株式会社マルウェブ)

株式会社マルウェブが提供するDX BtoB Web受発注システムは、FAX・電話・メール中心のBtoB受発注業務をWeb上に一元化するシステムです。SaaSではなく、Magento Open Sourceを基盤とするパッケージを自社サーバーへ展開し、標準パッケージに個別カスタマイズを組み合わせて導入します。
マルウェブはこの基盤を開発したベンダーではなく、Magento/Adobe Commerceを用いて構築するインテグレーターです。
取引先ごとの条件別価格設定や会員専用サイト、クイックオーダー、CSVによる一括発注、見積依頼といった、BtoB受発注に必要な機能を標準で備えます。ERP・基幹システムとの連携やAI OCRは、個別対応として別途見積りになります。
料金は標準パッケージが300万円(税抜)、導入サポート・基本パックが150万円〜(税抜)で、サーバー保守は月額4万円〜です。取引先がWebブラウザから発注する方式のため、取引先にソフト導入を求めずに受発注をWeb化したい企業に向きます。
2. アラジンEC(株式会社アイル)

アラジンEC は、基幹業務システム『アラジンオフィス』を手がける株式会社アイル(東証プライム上場)が開発した、BtoB専用のWeb受発注システムです。FAXや電話で行っていた企業間の受発注をWeb化し、得意先ごとに購入できる商品・単価・決済方法を制御できる点など、企業間取引特有の商習慣への対応を標準で備えます。
掛売(後払い)への対応、最低ロットやケース・バラ単位の設定、見積書の自動発行など、一般消費者向けのECカートにはない機能を搭載します。自社の販売管理パッケージ『アラジンオフィス』と標準連携し、他社の基幹システムとの連携は個別に対応します。
料金は公式のモデルケースとして初期費用400万円〜、月額7万円〜(月額固定型)が示されており、カスタマイズの規模に応じて変動します。取引先がブラウザから発注するWeb受発注が中心で、全銀TCP/IP手順やJX手順といったEDIの標準プロトコルへの対応は公式には示されていないため、Web-EDIに近い位置づけです。
3. ACMS Apex(株式会社データ・アプリケーション)

株式会社データ・アプリケーションは、1982年からEDI関連製品を提供してきた企業です。ACMS Apex は、同社のACMSシリーズのうち、分散構成・高可用性に対応する最上位の『エンタープライズ・データ連携プラットフォーム』にあたります。
JX手順、ebXML MS、全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)、SFTP、Web APIなど、国内外のインターネットEDI・従来型EDIを1つの製品で扱えます。クラスタ構成により中央管理サーバーの障害時に待機系へ自動で切り替わる仕組みを備え、3ノード以上の分散構成に対応します。
同社は自社を国内EDIソフトウェア市場のマーケットリーダーと位置づけ、ACMSシリーズ全製品の累計で3,000社・15,000サイトを超える導入実績(2024年3月末時点で3,004社・15,192サイト以上)を公表しています。この数値はシリーズ全体の累計で、ACMS Apex単体の導入数ではありません。販売はビジネス・パートナー経由で、価格は要お問い合わせです。
4. ACMS Cloud(株式会社データ・アプリケーション)

ACMS Cloud は、同じく株式会社データ・アプリケーションが提供するクラウド型のEDIサービスです。EDIとiPaaS(システム間連携基盤)を組み合わせたデータ連携プラットフォームで、大手企業や公共系システムでの導入実績があるACMS Apexを基盤に、サーバーを自社で用意せずクラウド上で利用できます。
JX手順、ebXML MS 2.0、AS2、全銀TCP/IP手順(広域IP網)といった流通EDIで使われる通信方式に加え、SFTPやWeb API(OAuth 2.0対応)に対応します。オンプレミス型のACMS B2Bからの移行支援があり、通信設定や変換定義を再利用しながらクラウドへ切り替えられます。
料金は2026年6月のリリースによると、伝送回数に応じた月額制のサブスクリプションです。Lite(年24,000回)が月額15万円、Standard(年60,000回)が月額30万円、Enterprise(年120,000回)が月額45万円から用意されています(いずれも税別)。環境構築費用はかからず、ISO/IEC 27001・27017に基づく運用・管理体制を公式に掲げています。
5. EDI-Master Cloud(キヤノンITソリューションズ株式会社)

キヤノンITソリューションズ株式会社が展開するEDI-Masterシリーズの、クラウド版にあたるのがEDI-Master Cloudです。同社はクラウド版と、オンプレミス版の『EDI-Master』の2本立てでEDIを提供しており、Cloud版はAWS上でマイクロサービス構成で新規開発されました。利用企業はサーバーを保有せずに使えます。
通信は全銀TCP/IP手順(広域IP網)、JX手順、AS2に対応し、顧客システムとのファイル受け渡しにはSFTPを用います。監視や障害復旧を任せられる『EDI業務運用サービス』や、銀行接続・EDIFACT変換などのオプションを追加でき、通信・変換・ジョブフロー・運用管理を備えます。
EDI-Master Cloud は、クラウドサービス向けのISMSクラウドセキュリティ認証(ISO/IEC 27017)を2025年2月に取得しています。料金は公式に金額の記載がなく、要お問い合わせです。
6. EDIPACK21(日本情報通信株式会社)

EDIPACK21 は、花王グループのEDI運用ノウハウをもとに開発され、1996年の製品化から約20年にわたり利用されてきたと公式に記載されるEDI製品です。提供元は、NTTと日本IBMが出資する日本情報通信株式会社(NI+C)で、EDIPACK21は同社のEDIシリーズの中核製品にあたります。
全銀TCP/IP手順やJX手順、AS2など複数の通信方式に対応し、従来から使われてきた方式から新しい規格まで幅広くカバーします。提供形態は、自社設備に導入するオンプレミス型と、NI+Cのオペレーションセンターが運用を代行するASP(SaaS)型の2つから選べます。
2025年6月提供のv4.0.0では、ISO 20022に準拠した外国送金ファイル形式への対応や、電子帳簿保存法に対応したEDIデータの長期保管、TLS 1.3への対応が加わりました。ASP型ではヘルプデスクとシステム運用を24時間365日の体制で提供します。料金は公式に記載がなく、要お問い合わせです。
7. EOS名人.NET(ユーザックシステム株式会社)

スーパーやドラッグストア、ホームセンター、生協など、小売業との取引に特化しているのが、ユーザックシステム株式会社のEOS名人.NETです。約100の小売チェーン・団体向けのメッセージライブラリを備える点を公式に掲げています。
流通BMS(JX手順)、全銀TCP/IP手順、SFTPに対応し、流通BMSはVer1.1からVer2.1までをカバーします。取引先ごとのレイアウト変換をプログラムなしで設定できるマッピング機能や、納品書・請求書・ピッキングリストの出力、基幹システムへの取込プログラムの起動などを備えます。
顧客のWindows環境に導入するパッケージで、クライアント版のStandardとサーバー版のEnterpriseを用意します。取引先の多様な伝票様式に対応するため、累計359種類のメッセージの開発実績を公式に記載しています。本体の料金は要お問い合わせで、電子帳簿保存法に対応するクラウドオプションは月額12,000円(税別)から利用できます。
8. Biware EDI Station 2(株式会社インターコム)

取引先との通信、データ変換、社内システムとの連携を1つのパッケージにまとめたオンプレミス型のEDIソフトが、株式会社インターコムのBiware EDI Station 2です。これらのワークフローをノーコードで自動化できます。
EDIINT AS2、ebXML MS、JX手順、SFTP、全銀TCP/IP手順(広域IP網・LAN)に対応し、FAXを扱う場合は別売の『まいと〜く Center Hybrid』を組み合わせます。アイコンを並べて作成するジョブフローや、電子証明書をACMEプロトコルで自動更新する機能を備え、オンプレミスのほかIaaS・仮想サーバー環境でも利用できます。
StandardとProfessionalの2エディションがあり、90日間の無料トライアルが用意されています。導入実績はBiwareシリーズ累計で66,000社以上と公式に記載されており、これはシリーズ全体の累計で、Biware EDI Station 2単体の社数ではありません。料金は要お問い合わせです。
9. BtoBプラットフォーム 受発注(株式会社インフォマート)

BtoBプラットフォーム 受発注 は、発注側の飲食店・ホテル・給食施設と、受注側の食品卸・メーカーを共通のプラットフォーム上でつなぐ、ネットワーク型の受発注SaaSです。株式会社インフォマートが提供し、電話・FAX中心だった受発注をWeb上のデータでやり取りします。
飲食・宿泊業で83,000店舗以上、全国50,000社以上の導入実績を公式に掲げています。スマートフォン・タブレットに最適化した発注画面、発注マスタ管理、棚卸発注、店舗ごとの発注金額を把握する運用分析、フランチャイズの本部・加盟店を管理する機能などを備えます。
受注側が発注側からの利用リクエストを承認して取引関係を結ぶ仕組みで、招待していない企業とは接続されません。掛け払いや見積書の発行は、同社の『掛売決済』『見積書』といった別サービスが担います。料金は、発注側が本部・店舗単位の月額、受注側が月次受領金額に応じた従量制で、いずれも要問い合わせです。
10. トラコ(デジタルトランスコミュニケーションズ株式会社)

トラコ は、サーバーの構築やシステム管理を提供側が担うフルマネージド型の、クラウドEDIサービスです。デジタルトランスコミュニケーションズ株式会社が提供し、AWS上でEDI環境をフルパッケージで用意するため、利用企業はサーバーの構築・運用が不要です。
全銀TCP/IP手順(TLS)、JX手順、AS2、SFTP、FTP、ebMS、HTTP、HULFTといった複数のプロトコルに対応し、レイアウトの制約なくデータ形式を変換できます。取引先のWeb-EDIサイトへのログインからデータ取得までを、RPA(ソフトウェアによる定型作業の自動化)で代行する『WebEDI自動巡回』を標準機能として備えます。
料金は通信量ではなく、使うプロトコル数とファイル種類の数で決まる定額体系です。初期費用は10万円から、基本利用料は月額5万円、プロトコル利用料が1つあたり月額1万円、ファイル利用料が1ファイルあたり月額6,000円からです。監視は365日7時〜20時の体制で、会社としてISO27001/ISMS認証を取得しています。
11. Hi-PerBT ウェブ購買(日立ソリューションズ西日本株式会社)

Hi-PerBT ウェブ購買 は、購買側の企業が取引先のサプライヤーとの間で、見積・発注・納期回答・納品・請求・支払通知をWeb上でやり取りするためのWeb-EDIシステムです。提供元は日立ソリューションズ西日本株式会社です。
サプライヤーは専用の画面から受注回答や納品書の発行(分納にも対応)を行え、発注側は見積依頼書・発注書・納品書・支払明細といった帳票を出力できます。承認機能や、JIIMA認証取得ソフトと連携した電子帳簿保存法対応、ERP連携をオプションで追加でき、インボイス制度に対応した明細発行にも対応します。
ライセンスはサーバー単位で、取引先のサプライヤー数が増えてもライセンス料は増えない仕組みです。公式ではAWS上のクラウド構成が案内されています。料金は個別見積もりで、要お問い合わせです。
12. MONQX EDI(株式会社YEデジタル Kyushu)

MONQX EDI は、株式会社YEデジタル Kyushu が提供するクラウド型のWeb-EDIサービスで、製造業向けのMONQXブランドを構成する1サービスです。従来FAX・電話・メールで行っていた購買・調達や受発注業務を電子化し、発注から検収までを扱います。
発注企業側の機能に加え、受注側(サプライヤー)の納期回答入力、受注残照会、出荷入力・照会といった機能も備え、取引先との双方向の受発注に対応します。製造業を主な対象としながら、卸売・小売業や運輸・通信業にも対応すると公式に記載しています。
ビジネスエンジニアリング株式会社の生産・販売・原価管理システム『mcframe 7』と連携するベース機能を備え、製造業の基幹業務と受発注データを接続できます。Web画面・帳票レイアウト・取引データの種類を柔軟にカスタマイズでき、購買業務向け・販売業務向けのテンプレートを用意します。料金は要お問い合わせです。
まとめ
EDI製品を選ぶ際、多くの担当者が気にする「シェア」は、国内では製品ごとの客観的な数値がほとんど公表されていません。比較サイトのレビューシェアや資料請求ランキングは利用実態そのものではないため、鵜呑みにせず、各社が公表する導入実績や対応範囲を手がかりに見極めるのが現実的です。
そのうえで実際の選定は、取引先の数や取引量、必要な通信方式や業界標準、クラウドかオンプレミスかといった提供形態、そして2028年末のISDN終了を見据えた移行のしやすさから、自社の条件に合う製品を絞り込むことが大切です。
大量の取引を自動連携したいなら基盤型のEDI、取引先の負担を抑えて始めたいならWeb-EDI型や受発注のWeb化サービスというように、方式と提供形態で方向性を定めるのが近道です。本記事の比較表と診断ツールで候補を絞り込み、気になるサービスは資料を取り寄せて機能や料金を比べてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. EDIとは何ですか?
A. EDIとは、企業間でやり取りする注文書・納品書・請求書などの取引文書を、あらかじめ定めた形式でコンピューター間で直接交換する仕組みです。受発注の場面では、FAX・電話・メールでのやり取りや手入力による転記をなくし、受注データや出荷データをシステム間で自動的に連携できる点が中心的な役割で、製造・卸・小売・流通の各業界で長く使われてきました。
Q. 国内のEDI製品のシェアはなぜ分かりにくいのですか?
A. 国内のEDI製品は、第三者機関が算出した製品別の市場シェアがほとんど公表されておらず、シェアの数値で各製品を比べることは現状できません。多くの提供企業は累計の導入社数や導入事例は公開していても、市場全体に占めるシェアの数値は非公表としています。そのため実際の選定では、各社が公表する導入実績や対応範囲、自社の取引条件との適合を手がかりに判断するのが現実的です。
Q. EDIの比較サイトにある「シェア1位」や「資料請求ランキング」は信頼できますか?
A. こうした表示は、実際にEDIを利用している企業数の割合を示すものではなく、市場シェアと同一視すると判断を誤ります。比較サイトの「レビューシェア」はそのサイトに投稿された口コミの集まり方を表す指標、「資料請求ランキング」はそのサイト経由で資料請求が多かった順にすぎず、いずれもサイトへの露出や掲載の有無に左右されます。その数字が何を測ったものかを確かめたうえで、参考程度に扱うのが安全です。
Q. EDIとWeb-EDIは何が違いますか?
A. 従来型のEDIが専用のソフトウェアやプロトコルで取引先システムと直接つなぐのに対し、Web-EDIは取引先がWebブラウザから発注・回答を行う方式です。従来型は全銀TCP/IP手順やJX手順といった通信方式を用い、大量の取引を自動連携するのに向きます。
Web-EDIは取引先にソフトの導入を求めず、ブラウザだけで受発注を始められるため、取引先の負担を抑えたい場合に適しています。どちらの方式でつなぐかは製品選定を左右するため、自社と取引先がどう接続するかを先に確かめておくとよいでしょう。
Q. EDIの「2024年問題」とは何ですか?いつまでに移行が必要ですか?
A. EDIの2024年問題とは、ISDN回線の「INSネット ディジタル通信モード」が2024年1月に終了し、これを使ってきた従来型EDIが使えなくなる問題です。
NTT東日本・西日本は補完策を含めてINSネット自体も2028年12月31日をもって提供を終了する予定で、新たな申し込みの受付は2024年8月31日に終了しています。ISDNを前提とした従来型EDIは、2028年末までにインターネット回線を使う方式へ移行する必要があります。
Q. EDI製品はクラウド型とオンプレミス型のどちらを選ぶべきですか?
A. 自社の取引条件・既存環境・移行のしやすさで判断するのが基本で、一概にどちらが優れているとは言えません。オンプレミス型は自社サーバーに導入するため既存環境に合わせた細かな設定がしやすい一方、サーバーの構築・運用を自社で担う必要があります。
クラウド型はサーバーを用意せずに利用を始められ、回線や設備の保守から解放されるため、ISDN終了にともなう移行を機に選ぶ企業もあります。既存EDIからの移行では、現在の通信方式やデータ形式を引き継げるか、従来の方式と併用しながら段階的に移行できるかもあわせて確認してください。
Q. 流通BMSとは何ですか?
A. 流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準)とは、消費財流通業界で使われるEDIの業界標準仕様です。取引先がこの業界標準での接続を求める場合、流通BMSに対応した製品でなければ取引を始められません。小売・流通の取引では、自社と取引先が使う通信方式や業界標準に製品が対応しているかを、最優先の条件として確認する必要があります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















