個人情報保護法は3年ごとに見直すことが法律で定められており、2026年(令和8年)にふたたび改正されました。課徴金制度の新設、16歳未満のこどもの個人データ保護、顔特徴データなどの新しい規律、AI学習・統計作成のためのデータ利活用特例など、企業の実務に直結する内容が並びます。
プライバシーポリシーや社内規程、委託先管理の見直しが必要になり、「自社だけで対応しきれるのか」と不安を感じる担当者は少なくありません。
改正への対応は、現状の棚卸しから規程の整備、運用体制づくり、社員教育まで作業が多岐にわたります。限られた人員で進めるには、何を自社で担い、どこから外部に頼むのかを切り分けることが出発点になります。
本記事では、2026年改正で何が変わるかを条文とともに整理したうえで、改正対応を外部に頼むときの頼み方を「現状診断から体制づくりまで伴走で任せる」タイプ、「法務相談・規程見直しを継続で受託する」タイプ、「社員研修で理解を底上げする」タイプの3つに分けて比較します。
頼める範囲・費用の目安・選び方まで一通り把握できるよう整理したので、社内に専任の担当者がいない企業も、相談・資料請求に進む判断材料としてご活用ください。
また、頼み方や自社の課題から候補を絞り込めるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」と、頼める範囲・費用感を並べた「頼み方別の比較表」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事は、2026年(令和8年)改正への対応という切り口で、社内の規程・運用・体制を整え直す作業を外部に頼みたい企業に向けて、依頼先の選び方を整理したものです。個人データを扱う一般企業全般を想定し、社内に個人情報保護の専任担当者がいない中小〜中堅企業でも判断しやすいよう、頼める作業の範囲と頼み方の違いを中心に扱います。
改正対応は、すでにある社内の運用やルールを、改正後の法律が求める水準に合わせて見直すことが主眼です。プライバシーマークやISMS(ISO27001)の認証取得や、海外法(GDPR・CCPAなど)への対応は、目的も拠り所とする基準も改正対応とは異なります。
本記事は改正対応(現状診断・規程整備・運用体制づくり・社員教育・継続サポート)を軸に依頼先の選び方を整理し、認証取得や海外対応にも強い依頼先は、改正対応と重なる選択肢として比較のなかで取り上げます。
改正対応のうち、社員教育・研修を主軸に進めたい場合は、研修用のeラーニング教材をコース内容・料金・選び方で横並びに比較した記事もご用意しています。全社への周知と受講記録の仕組みづくりまで含めて検討したい方は、あわせてご覧ください。
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2026年(令和8年)改正の要点|何が変わるか
2026年の改正法は、正式には「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」です。2026年7月10日に成立し、同年7月17日に公布されました。背景には、施行後3年ごとに制度を見直すという法律の定めがあります。
第十条 政府は、この法律の施行後三年ごとに、個人情報の保護に関する国際的動向、情報通信技術の進展、それに伴う個人情報を活用した新たな産業の創出及び発展の状況等を勘案し、新個人情報保護法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
出典:個人情報保護法等の一部を改正する法律について(令和2年法律第44号附則第十条)|個人情報保護委員会事務局
今回の改正では、規律を強める項目と、データ活用のために要件を緩める項目の両方が含まれます。ここからは、実務に影響の大きい項目を順に整理します。また、各規律の骨格・条文は成立した改正法で確定していますが、対象範囲や公表方法などの細目は、今後の政令・個人情報保護委員会規則・ガイドラインで定められる段階にあります。
課徴金制度の新設
改正の目玉の一つが、違反行為に対して金銭の納付を命じる課徴金制度の新設です(改正後の第148条の3〜第148条の17)。これまでの命令・公表に加え、経済的な利益を狙った悪質な違反を抑止するための仕組みが加わります。
経済的誘因のある、大量の個人情報の取扱いによる悪質な違反行為を実効的に抑止するため、重大な違反行為により個人の権利利益が侵害された場合等について、当該違反行為によって得られた財産的利益等に相当する額の課徴金の納付を命ずることとする。(第148条の3~第148条の17 )
出典:個人情報保護法等の一部を改正する法律について|個人情報保護委員会事務局
対象となる行為は限定して列挙されています。不適正な利用の禁止(第19条)違反、適正な取得(第20条第1項)違反、第三者提供の制限(第27条第1項)違反、そして統計作成等の特例に違反した目的外利用・第三者提供です。あらゆる違反が対象になるわけではありません。
加えて、大規模な事案に絞る仕組みも設けられています。本人の数が1,000人を超えないときは課徴金を命じないとされ、違反を防ぐための相当の注意を怠ったとは認められない事業者は対象から外れます。違反を自主的に報告した場合には課徴金額を2分の1に減額する規定(第148条の6)もあります。
一方、課徴金額の具体的な算定方法は政令で、推計や減額のための報告方法などの細目は委員会規則で定めることとされており、2026年10月時点では検討が進んでいる段階です。算定の考え方は「違反行為によって得た財産上の利益に相当する額」であり、売上高に対する一定の割合で科す方式ではありません。
出典・参考資料(1件)
こども(16歳未満)の個人データ保護の強化
16歳未満のこどもの個人情報について、保護の仕組みが法律に明文化されました。従来はガイドラインやQ&Aでの記載にとどまっていた部分を、改正で条文として整理した形です。
16歳未満の者が本人である場合、同意取得や通知等について当該本人の法定代理人を対象とすることを明文化し、当該本人の保有個人データの利用停止等請求の要件を緩和するとともに、未成年者の個人情報等の取扱い等について、本人の最善の利益を優先して考慮すべき旨の責務規定を設ける。(第35条第9項、第10項、第40条の2、第58条の3)
出典:個人情報保護法等の一部を改正する法律について|個人情報保護委員会事務局
16歳未満の本人から同意を得る場面などでは、保護者である法定代理人を相手方とすることが基本となります。こどもの個人データを扱うサービスを提供する企業は、同意取得や通知の運用を見直す必要が出てきます。
ただし、年齢確認をどのような手法で行うかといった具体的な運用は、今後のガイドライン等で明確化される見込みです。「16歳未満の同意は保護者を対象とする」という骨格は確定していますが、確認方法まで細かく定まっているわけではありません。
顔特徴データなどの特定生体個人情報に関する規律の新設
顔認証などに使う顔特徴データのような特定生体個人情報について、新しい規律が加わりました。防犯カメラ映像からの顔認証や入退管理など、生体情報を扱う企業に関わる変更です。
顔特徴データ等について、その取扱いに関する一定の事項の周知を義務化し、利用停止等請求の要件を緩和するとともに、オプトアウト制度に基づく第三者提供を禁止する。(第21条の2、第27条第2項、第35条第7項、第8項)
出典:個人情報保護法等の一部を改正する法律について|個人情報保護委員会事務局
顔特徴データなどを取り扱うことや、その利用目的、利用停止請求に応じる手続などを周知することが義務づけられ、本人の同意なく第三者へ提供するオプトアウト方式での提供は禁止されます。周知すべき事項の具体的な範囲や方法は、政令・委員会規則で定められる段階です。
統計作成・AI学習のためのデータ利活用特例
規律を強める項目がある一方で、データ活用を後押しする緩和も盛り込まれました。統計情報の作成やAI開発を念頭に置いた特例です。
個人データ等の第三者提供及び公開されている要配慮個人情報の取得について、統計情報等の作成(※)にのみ利用される場合は本人同意を不要とする。
出典:個人情報保護法等の一部を改正する法律について|個人情報保護委員会事務局
※ 統計作成等であると整理できるAI開発等を含む。(第30条の2、第31条の3)
特定の個人との対応関係を排除した統計情報の作成にのみ使う場合に、本人同意を不要とするものです。「AI学習ならすべて同意不要」という趣旨ではなく、統計情報等の作成に用途が限られる点に注意が必要です。対象範囲や公表すべき事項の細目は委員会規則・ガイドラインで定められます。
委託先管理・安全管理措置・漏えい報告の見直し
委託に関する規律と、漏えい発生時の本人通知についても見直しが入りました。規律を強める部分と、実務の負担を合理化する部分の両方があります。
データ処理等の委託を受けた事業者について、委託された個人データ等の適正な取扱いに係る義務の見直しを行う。(第30条の3、第58条の2)
出典:個人情報保護法等の一部を改正する法律について|個人情報保護委員会事務局
漏えい等発生時について、本人の権利利益の保護に欠けるおそれが少ない場合は、本人への通知義務を緩和する。(第26条第2項)
委託を受けた事業者には、委託された業務の遂行に必要な範囲を超えて個人データを取り扱わない義務が明確にされます。漏えい時の本人通知は、権利利益の保護に欠けるおそれが少ない場合には、代替措置を認めて通知義務を緩める形に整理されました。委託先を把握するための具体的な措置や、通知緩和の対象範囲は委員会規則で定められます。
施行スケジュール(2028年の全面施行見込みとロードマップ)
改正法の施行期日は、次のように定められています。
施行期日 原則として公布の日から起算して2年を超えない範囲内
出典:個人情報保護法等の一部を改正する法律について|個人情報保護委員会事務局
公布は2026年7月17日ですから、全面施行はそこから2年以内、遅くとも2028年までに政令で定める日となります。個人情報保護委員会のロードマップでも2028年の全面施行が見込みとして示されていますが、具体的な施行日は政令で定める段階で、確定していません。委員会は「現時点での大まかな見込みであり、今後の状況によって変わり得る」としています。
公布から2年という猶予はありますが、政令・委員会規則・ガイドラインが順次公表され、意見募集や準備期間を経て施行へと進みます。細目が固まってから着手すると準備期間が足りなくなりやすいため、確定している骨格の部分から前倒しで自社の棚卸しを始めておくと安心です。一部の規定(公示送達のデジタル化)については、公布から6か月後に先行して施行されます。
出典・参考資料(2件)
改正に合わせて見直すべきこと(企業がやるべき対応)
ここからは、改正の要点を自社の作業に置き換えて、何を見直すべきかを整理します。改正点への対応だけでなく、すでに施行されている現行の義務が守れているかを合わせて点検することが大切です。
プライバシーポリシー・社内規程の見直し
改正で扱いが変わる項目を、プライバシーポリシーや個人情報取扱規程に反映します。顔特徴データなどを扱う場合の周知事項、16歳未満のこどもから同意を得る場面での法定代理人への対応、統計作成等の特例を使う場合の公表事項などが見直しの対象です。
同時に、現行法が平時から求めている事項も確認します。利用目的の特定(第17条)、取得時の利用目的の通知等(第21条)、保有個人データに関する事項の公表(第32条)といった基本の義務が、いまのサービス実態と合っているかを突き合わせます。規程が実際の業務とずれていると、改正点だけ直しても抜けが残ります。
委託先管理・安全管理措置・漏えい時の報告体制の点検
委託先の監督(現行の第25条)と安全管理措置(第23条)は、形式的な契約書の取り交わしで止まりがちな領域です。改正で委託を受けた事業者側の義務が整理されることも踏まえ、委託契約の内容・再委託の管理・アクセス権限の設定などを点検します。
漏えい等が起きたときの報告・本人通知(第26条)の手順も確認が必要です。改正で本人通知の一部が緩和されますが、個人情報保護委員会への報告義務は引き続き残ります。誰が・いつ・どこへ報告するかを定めた体制を、改正後の要件に合わせて整えておきます。
出典・参考資料(1件)
改正対応で何から着手するかのチェックリスト
専任の担当者がいない企業では、着手の順番に迷いがちです。まずは次の順で現状を把握すると、改正対応の全体像がつかみやすくなります。
- 取り扱う個人データの棚卸し:どの業務で、どんな個人データを、どこから取得し、どこへ提供しているかを一覧にします。
- 改正点との突き合わせ:顔特徴データ・16歳未満のこどものデータ・統計やAI学習への利用など、改正で扱いが変わる項目に自社が該当するかを確認します。
- 現行義務との差分の洗い出し:プライバシーポリシー・社内規程・委託契約・安全管理措置が、現行法と実態に合っているかを点検します。
- 対応の優先順位づけ:法令上の義務に直結する項目や、該当件数の多い業務から着手します。
- 自社対応と外部委託の切り分け:社内のリソースで回せる範囲と、外部の専門家に頼む範囲を分けます。
このうち細目が政令・規則待ちの項目は、現時点で断定的に運用を固めず、確定している骨格の棚卸しと規程の素案づくりを先に進めておくと、確定後の修正が小さく済みます。
改正対応で外部に頼める範囲(作業の分解)
ここからは、改正対応のどこを外部に頼めるのかを、作業の単位に分解して整理します。全部を丸ごと頼むこともできますし、一部だけを頼むこともできます。
個人情報保護法対応のコンサルティングとは(頼める支援の全体像)
個人情報保護法対応の外部支援とは、改正や現行法に照らして自社の個人情報の取り扱いを点検し、規程の整備や運用体制づくり、社員教育までを専門家が支援するサービスの総称です。法令の解釈、現状とのギャップの特定、文書づくり、運用の定着といった工程を、自社の体制に合わせて部分的にも一括でも頼めます。
外部に頼める5つの作業(現状診断→規程整備→運用体制→社員教育→継続サポート)
外部に頼める作業は、大きく5つの工程に分けられます。改正対応はこの流れで進むことが多く、どこから頼むかを決める目安になります。

現状診断(GAP分析)
取り扱う個人データや既存の規程・運用を洗い出し、改正法や現行法が求める水準との差(ギャップ)を特定します。何が足りないかを明らかにし、対応の全体像と優先順位を描きます。まず何から手をつけるべきか分からない段階で頼むと効果が高まります。
規程・ポリシー整備
診断で見つかった差分をもとに、プライバシーポリシー・個人情報取扱規程・各種手順書を作成・改訂します。改正で扱いが変わる項目や、自社のサービス実態に合わせた文言への落とし込みが中心です。文書づくりに社内の知見が足りない場合に向いています。
運用体制構築
規程を実務に落とし込み、責任者の設置、委託先管理のルール、安全管理措置、漏えい時の報告フローといった運用の仕組みを整えます。規程を作っただけで現場が動かない状態を避け、継続して回る体制にします。
社員教育
改正の要点や日常業務での注意点を、全社員に理解してもらう段階です。集合研修やeラーニングで、個人情報の取り扱いルールを周知し、受講状況を記録に残します。人数が多い企業や、拠点が分かれている企業で特に必要になります。
継続サポート
個別の事案が起きたときの相談や、法改正・ガイドライン更新への追従を、顧問契約などで継続して支えます。個人情報保護法は3年ごとに見直されるため、一度整えて終わりではなく、定期的な点検と更新を外部に任せられる体制が役立ちます。
自社対応と外部委託の線引き(どこから外部に頼むべきか)
すべてを外部に頼む必要はありません。自社の個人データの棚卸しや、社内の運用実態の把握は、現場を知る社内の担当者が担うほうが早く正確なことも多い作業です。

一方で、法令の解釈や改正点の判断、規程の文言づくり、個別事案の法務的な相談は、専門知識がないまま進めると抜け漏れが生じやすい領域です。改正対応の抜けは、後から行政処分や課徴金につながるおそれがあるため、判断に不安が残る工程から外部に頼むのが現実的です。社内で回せる範囲と、専門家に任せる範囲を分けることで、過剰な投資を避けつつ必要な水準を満たせます。
改正対応の頼み方3タイプ(体制構築コンサル/法務受託/研修)
改正対応を外部に頼むとき、頼み方は大きく3つのタイプに分けられます。頼める範囲と向いている企業が異なるため、自社の課題に近いものを見極めると選びやすくなります。
現状診断・規程整備を伴走で任せる(体制構築コンサル型)
現状診断から規程整備、運用体制づくりまでを、プロジェクトとして一括で伴走してもらう頼み方です。何から着手すべきか定まっていない企業や、改正対応を機に体制全体を整え直したい企業に向きます。対応範囲が広いぶん、頼む作業が増えるほど費用と期間は大きくなります。
法務相談・規程の見直しを継続で受託する(法務受託/ALSP型)
弁護士などの専門家や法務の受託サービス(ALSP:法務機能を外部から提供する事業者)に、改正に伴う規程の見直しや個別事案の法務相談、契約・委託まわりの確認を継続的に任せる頼み方です。法的な判断を要する相談が日常的に発生する企業や、社内に法務機能を持たない企業に向きます。月額制などで継続的に相談できる形が中心です。
社員教育・研修で底上げする(研修eラーニング型)
改正の要点や漏えい防止、個人情報の取り扱いルールを、研修やeラーニングで全社に浸透させる頼み方です。規程や体制はある程度整っていて、現場の理解を底上げしたい企業や、受講記録を証跡として残したい企業に向きます。比較的小さい単位から導入でき、人数が多い企業ほど効果が出やすい選び方です。
3つのタイプの違いを、頼める作業・費用感の傾向・向いている企業で整理すると次のとおりです。
| 改正対応の頼み方 | 現状診断・規程整備を伴走で任せる(体制構築コンサル型) | 法務相談・規程の見直しを継続で受託する(法務受託/ALSP型) | 社員教育・研修で底上げする(研修eラーニング型) |
|---|---|---|---|
| 頼める主な作業 | 改正とのギャップ診断から、ポリシー・社内規程・委託先管理・安全管理措置の整備、運用体制づくりまでをプロジェクトで伴走 | 改正に伴う規程見直し、個別事案の法務相談、契約・委託まわりの確認を継続的に受託 | 改正の要点・漏えい防止・個人情報の取り扱いコースをeラーニング等で全社に配信し、受講状況を記録 |
| 費用感の傾向 | 対応範囲が広く、プロジェクト単位の見積もりが中心。頼む工程が増えるほど費用は上がります | 月額制など継続契約が中心。相談量や範囲に応じた設定 | 受講人数に応じた料金が中心で、比較的小さい単位から導入可能 |
| 向いている企業 | 何から着手するか定まらず、現状診断から体制づくりまで一括で任せたい企業 | 法的な判断を要する相談が日常的に発生し、社内に法務機能を持たない企業 | 規程や体制は整いつつあり、現場の理解を底上げし受講の証跡を残したい企業 |
自社がどのタイプに近いか判断がつきにくい場合でも、頼み方や課題から候補を絞り込めるよう、選定診断ツールを以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
改正対応は、現状診断から規程整備、社員研修まで複数の作業にまたがります。どの作業を外部に頼むかを検討するには、各サービスが何をどこまで支援するかを具体的に把握しておくと判断しやすくなります。
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【比較表】頼み方別のサービス比較
ここからは、頼める範囲・費用感・向いている企業を横並びで見比べられるよう、改正対応を支援する各サービスを頼み方別に整理してご紹介します。2026年改正への対応を公式に示しているかどうかも含め、客観的な比較の材料としてご覧ください。
| サービス名 | さくらケーシーエス | インターネット プライバシー研究所 | 日本プライバシー 認証機構(JPAC) | KPMGジャパン | Priv Tech | ニュートン・ コンサルティング | CLOUD LEGAL | OneCompliance |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 頼み方タイプ | 体制構築コンサル | 体制構築コンサル | 体制構築コンサル+研修 | 体制構築コンサル | 体制構築コンサル | 体制構築コンサル | 法務受託(ALSP) | 研修(eラーニング) |
| 現状診断 | ● | ● | ● | ● | △Web・Cookie中心 | △認証取得の文脈 | △法務相談の範囲で | × |
| 規程整備 | ● | ● | ● | ● | △Web・Cookie中心 | △認証取得の文脈 | ●上位プラン | × |
| 法務相談 | △継続サポート内 | △課題別に相談 | ●個別事案の相談 | △アドバイザリー | △無料相談・勉強会 | △ガバナンス・認証の文脈 | ●弁護士へ継続相談 | × |
| 社員研修 | ● | ● | ●ウェビナー・動画 | ×公式に記載なし | △社内勉強会の支援 | △GDPRセミナー等 | ×公式に記載なし | ●研修特化(33コース) |
| 2026年改正への対応の明示 | ×解説は令和2年改正ベース | ●2026年改正対応を明示 | △改正動向を研修で扱う程度 | ×解説は令和2年改正のまま(未更新) | △令和2年改正・電通法が中心 | △サービス面の明示なし(改正動向は別途解説) | △法令・ガイドライン調査で随時対応 | △法改正に応じ教材を更新 |
| 費用の目安 | 要問い合わせ | 50万円程度〜 | コンサル50万円〜 部分20万円〜 研修15万円〜 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 月額11,000円(税込)〜 初期費用0円 | 受講者数に応じた従量課金 初期費用なし・10名〜 |
| 期間・進め方 | 現状診断〜継続サポートの5段階で伴走 | 3〜6ヶ月程度 4段階で伴走 | 数か月程度 部分支援も選択可 | フレームワークで総合支援 (期間は要相談) | 勉強会→現状把握→対応整理 | 認証取得支援・ガバナンス構築 (期間は要相談) | 年間契約で継続利用 短期間で利用開始 | 無料トライアル→本契約 随時配信・運用 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
※表中の ● は公式サイトで対応メニューとして明示、△ はその項目に一部・条件付き・付随的に対応、× はその項目についての明示が公式サイトで確認できないことを示します(各セルの補足も参照。たとえば「2026年改正への対応の明示」列の × は、公式の解説が令和2年改正のままで2026年改正への対応を明示していないことを表します)。上記は各サービスの一般的な提供内容の傾向で、実際の対応範囲・費用・提供形態については各社情報をご確認ください。
「2026年改正への対応の明示」は、各社が公式サイトで2026年改正に言及しているかを表したものです。×や△は、公式の解説が令和2年改正のままであったり明示が確認できないことを示すもので、依頼すれば改正対応に応じる会社も含まれます。実際の対応可否は問い合わせで確認してください。
また、本記事で紹介したサービスのうち、法務受託のCLOUD LEGALと研修のOneComplianceは、このページから資料を一括で請求できます。体制構築コンサルの各社は、それぞれの公式サイトから相談・問い合わせに進めます。
改正対応を支援する主なサービス
比較表で取り上げた各サービスについて、頼み方のタイプごとに特徴を紹介します。自社の課題に近いタイプから読み進めてください。
現状診断・規程整備を伴走で任せる(体制構築コンサル)
現状診断から規程整備・運用体制づくりまでを、プロジェクトとして伴走してもらいたい場合に候補となるサービスです。
1. 改正個人情報保護法コンサルティング(株式会社さくらケーシーエス)

SMBCグループで総合情報サービスを手がける株式会社さくらケーシーエスが提供する、改正個人情報保護法への対応コンサルティングです。システムインテグレーション(SIer)を本業とし、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。
現状診断からプライバシーポリシー・規程の策定支援、運用体制の構築、社員教育、継続的なサポートまでを5段階で支援します。個人情報管理システムの導入や権限・アクセス制限の最適化まで一社で対応できる体制を持つのが特徴です。
料金は公開されていませんが、初回相談は無料で受け付けています。初めて個人情報保護法への対応に取り組む企業や、社内に専門知識を持つ人材がいない企業を主な対象としています。また、公式サイトの解説は2020年(令和2年)改正を前提とした記述が中心のため、2026年改正への対応は問い合わせの際に具体的に確認することをおすすめします。
2. 個人情報保護コンサルティング(株式会社インターネットプライバシー研究所)

1999年の創業以来、個人情報保護を専門にコンサルティングを行ってきた株式会社インターネットプライバシー研究所のサービスです。特定の認証取得にとらわれず、改正個人情報保護法に加え、GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)など海外の法規制まで横断して対応します。
支援は、現状分析・課題抽出から対策計画の策定、規程整備などの実装、運用改善までの4段階で進みます。委託先管理や安全管理措置といった課題ごとの部分的な依頼にも応じています。
費用は、現状分析から基本的な対応策の実装までを含めて50万円程度から、期間は3〜6ヶ月程度が目安とされています。相談・見積もりは無料です。
3. 個人情報保護体制構築コンサルティング・研修サービス(一般社団法人日本プライバシー認証機構)

プライバシー保護の第三者認証(TRUSTe)や認定資格を運営する一般社団法人日本プライバシー認証機構(JPAC)が、その審査の知見を基に提供する体制構築コンサルティングと研修です。個人情報保護法・セキュリティ対策・プライバシーガバナンスの3領域に対応します。
法令解説や現状確認、規程の作成・修正、個別事案の相談に対応します。規程・書式の作成のみ、安全管理措置の確認・助言のみ、従業員教育のみ、といった部分的な依頼を選べる点が特徴です。
費用の目安は、法令上の義務全般への対応で50万円程度から、部分的な対応で20万円程度からと公表されています。研修は、基本的な内容・90分・30人程度で15万円程度からです。
4. 個人情報保護法改正対応支援(KPMGジャパン)

独自に開発した「グローバルプライバシーデータ管理フレームワーク」を活用し、個人情報保護法改正への対応を総合的に支援するサービスです。提供元は、Big4の日本メンバーファーム群であるKPMGジャパンです。
世界各国のデータ保護規制の動向を踏まえて、個人データ管理機能の見直しを支援します。各国・地域のデータ規制対応やサイバーセキュリティとの連携まで扱うため、海外に拠点を持つグローバル企業の対応に向いています。料金は公開されていません。公式ページの個人情報保護法の解説は令和2年改正を前提とした内容が中心のため、2026年改正への具体的な対応は問い合わせの際に確認するとよいでしょう。
5. プライバシー規制対策コンサルティング(Priv Tech株式会社)

プライバシー・AIリスク・サイバーセキュリティの3分野でデジタルリスクの低減サービスを手がける、2020年設立のPriv Tech株式会社によるコンサルティングです。改正個人情報保護法や改正電気通信事業法、サードパーティーCookie規制への対策を支援します。
支援は、タグやCookieの使用状況調査、同意管理プラットフォーム(CMP)「Trust 360」の選定・導入、データ活用まで、Webサイト周りのプライバシー実務に重心があります。社内規程や全社体制の整備よりも、Cookie・同意管理を中心に進めたい企業に向いています。無料相談を受け付けています。
6. プライバシー保護コンサルティング(ニュートン・コンサルティング株式会社)

全社的リスク管理(ERM)や事業継続(BCP)を主軸とする、2006年設立のニュートン・コンサルティング株式会社が、リスクマネジメントの一環として提供するプライバシー保護コンサルティングです。
プライバシー領域では、ISO27701(プライバシー情報マネジメントシステム)やプライバシーマーク、GDPRなどの認証取得支援と、プライバシーガバナンスの構築を扱います。日本の個人情報保護法への対応も、このガバナンス構築の文脈で行います。GDPRセミナーなどの研修も用意しています。
法務相談・社内規程の見直しを継続して受託する(法務受託・ALSP)
規程の見直しや個別事案の法務相談を、継続的に専門家へ任せたい場合に候補となるサービスです。
7. CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)|MOLTON株式会社

生成AIと弁護士・士業のスケール体制を組み合わせ、契約書の作成・レビューや法務・労務相談をオンラインで受託するのがCLOUD LEGAL(クラウドリーガル)です。運営はMOLTON株式会社で、社内に法務部や顧問弁護士を置きにくい企業が、必要な法務機能を外部に委ねる受け皿として設計されています。
改正対応との関わりでは、プライバシーポリシーや社内規程の整備・見直し、法令・ガイドラインの調査を、月額制で継続的に弁護士へ相談できる点が特徴です。最下位プランは月額11,000円(税込)から利用でき、弁護士へのチャット・TV面談・電話での相談や契約書レビューを任せられます。社内規程整備や株主総会・取締役会のサポートは上位プランの範囲に含まれます。
弁護士が監修したAIをMicrosoft Word上で動かし、契約書レビューをWord内で完結できる機能も備えます。情報管理面では国際規格ISO/IEC 27001(ISMS)の認証を取得しており、年間契約を前提に法務を継続して委ねたい企業に向く頼み方です。
社内に法務機能を持たない企業がこうした継続的な受託を選ぶ背景について、運営元のMOLTON株式会社は次のように述べています。

日本の産業を下支えし多くを占める個人事業主や中小企業だと「法務部がない」「法務専任担当者がいない」さらにはコスト面で「顧問弁護士もいない」という状況がまだまだ多いです。では顧問弁護士に全部お願いすればいいかというと、正直コスト面の壁もあって、なかなか現実的に難しいです。さらに人材不足の影響で、専門人材である法務人材の採用も難しくなっています。結果として、現状維持でリスクは無い前提としてなんとなく運用してしまっている企業も少なくないと思っています。
社員教育・研修で全社の理解を底上げする(研修eラーニング)
改正の要点や個人情報の取り扱いルールを、全社員に浸透させたい場合に候補となるサービスです。
8. OneCompliance(株式会社Oyster)

OneComplianceは、法務・労務・ハラスメント・情報セキュリティなどを扱うコンプライアンス研修特化型のeラーニングで、株式会社Oysterが運営しています。個人情報の取り扱いルールや改正の要点を、動画とテキストの両形式で全社員に学んでもらいたい企業に向く、改正対応の社員教育の選択肢です。
コースは領域別に用意されており、「情報システム」区分に個人情報保護法のコース、「会計不正・不正行為」区分に内部通報制度・公益通報者保護法(令和7年改正)のコースがあります。法改正や違反事例に合わせてコンテンツを更新するとしており、改正の要点を社員教育に落とし込みたい場合の学習教材になります。
運用面では、受講者別の進捗をダッシュボードで一元管理し、未受講者への自動リマインドやCSV出力、確認テストによる受講完了の確認ができます。料金は初期費用がかからず、受講者数に応じた従量課金で、10名から利用できます。本契約の前に機能やコンテンツを試せる無料トライアルも用意されています。
研修を全社でやりきり、受講を定着させられるかは、研修の頼み方を選ぶうえで気になる点です。運営元の株式会社Oysterは、受講の定着を示す数値をインタビューで次のように挙げています。

費用の目安・期間
ここからは、頼み方別の費用の目安と、依頼から対応完了までの進め方を整理します。公開されている料金から相場の目安を示します(料金を公開していない会社は「要問い合わせ」として扱います)。
頼み方別の費用の目安(スポット診断/伴走・継続/研修)
- 体制構築コンサル(現状診断から運用体制づくりまで伴走):法令上の義務全般への対応で50万円程度から、部分的な対応で20万円程度から。多くの会社が初回相談を無料で受け付けています。
- 法務受託・ALSP(法務相談・規程の見直しを継続):月額11,000円(税込)程度から。継続契約での料金設定が中心です。
- 研修・eラーニング(社員教育):基本的な内容・90分・30人規模で15万円程度から。受講人数に応じた従量課金が中心です。
- 料金を公開していない会社も多く、その場合は要問い合わせとなります。対象範囲・成果物・期間をそろえて見積もりを比較します(各社ごとの料金は上の比較表を参照してください)。
費用は頼む範囲によって大きく変わります。現状診断やスポットの相談を単発で頼む場合は、比較的小さい単位から始められます。規程整備から運用体制づくりまで伴走してもらう場合は、対応工程が増えるほど費用が上がり、プロジェクト単位の見積もりが中心です。
法務相談を継続して受託してもらう頼み方は、月額制など継続契約での料金設定が一般的です。社員研修・eラーニングは受講人数に応じた料金が中心で、3つの頼み方のなかでは比較的導入しやすい水準から始められます。いずれも範囲や人数で費用が変わるため、見積もりの前提(対象範囲・成果物・期間)をそろえて比較することが大切です。
依頼から対応完了までの進め方と期間の目安
伴走型の支援では、まずヒアリングと現状診断から始まり、対応計画の策定、規程・手順書の整備、運用体制の構築、社員教育へと進むのが一般的な流れです。最後に運用開始後の点検や継続的な見直しへとつながります。
期間は、現状と法令が求める水準との差がどれくらいあるかによって変わります。対応すべき項目が少なければ短期間で済みますが、規程の整備から運用体制づくりまで含めると数か月を要することが多くなります。急ぎで一部だけ対応したい場合は、まず現状診断だけを単発で頼み、優先度の高い項目から着手する進め方もあります。
自社に合う依頼先の選び方
最後に、依頼先を選ぶときに確認したいポイントを整理します。自社の課題と頼む範囲に照らして、ひとつずつ当てはめてみてください。
2026年改正への対応を、いまの情報で確認できるか
改正対応を頼むなら、その依頼先が2026年(令和8年)改正を実際に・最新の情報で扱えるかを確かめます。公式サイトの解説が令和2年改正のまま更新されていない会社もあるため、比較表の「2026年改正への対応の明示」も手がかりにします。問い合わせの際に、課徴金・こども・特定生体データ・委託先管理など今回の改正論点にどう対応するかを具体的に確認すると、認識のずれを防げます。
自社の課題と頼む範囲を整理できているか
依頼先を選ぶ前に、まず現状診断だけ頼みたいのか、規程整備まで任せたいのか、社員研修まで含めたいのかを整理しておくと、各社の得意領域と照らし合わせやすくなります。頼む範囲が曖昧なまま相談すると、提案が広がりすぎて費用が膨らみやすく、逆に必要な工程が抜けることもあります。
社内で担える作業(個人データの棚卸しや運用実態の把握)と、外部に頼みたい作業(法令解釈・規程づくり・法務相談)を先に切り分けておくと、見積もりの比較もしやすくなります。
費用体系と継続サポートで3年ごとの改正に追従できるか
個人情報保護法は3年ごとに見直されるため、一度対応して終わりにはできません。今回の改正対応を単発で頼むのか、その後の法改正やガイドライン更新にも継続して追従してもらうのかで、適した依頼先は変わります。
継続的な追従を重視するなら、顧問契約や継続受託のメニューがあるか、更新時に規程の見直しまで対応してもらえるかを確認します。費用も、単発の見積もりだけでなく、継続した場合の月額・年額の負担まで含めて比較すると、長い目で見た適否を判断できます。
依頼範囲(スコープ)と社内の体制が明確になっているか
どこまでを成果物として納めてもらうか(診断報告書まで/規程一式まで/運用定着まで)を、契約前に明確にしておくことが大切です。範囲が曖昧だと、完了の基準がずれて追加費用が発生したり、「作ったが現場で使われない規程」で終わったりしやすくなります。
あわせて、社内で窓口となる担当者を決め、外部にどこまで任せ、どこを自社で引き取るかを整理しておきます。外部への依存度が高くなりすぎると、支援終了後に自社で運用を回せなくなるおそれがあるため、運用を引き継ぐ前提で依頼範囲を決めると安心です。
まとめ
本記事では、2026年(令和8年)改正の要点を条文とともに整理し、改正対応を外部に頼むときの頼み方を、体制構築支援・法務受託・社員研修の3タイプに分けて比較しました。頼める範囲・費用の目安・進め方・選び方まで、改正対応という切り口で依頼先を選ぶための材料を一通り扱いました。
依頼先を選ぶときに大切なのは、まず自社の課題と頼む範囲を整理し、社内で担う作業と外部に任せる作業を切り分けることです。改正の細目は今後の政令・委員会規則・ガイドラインで固まっていくため、確定している骨格から着手しつつ、3年ごとの見直しに追従できる体制を見据えて依頼先を選んでください。
MCB FinTechカタログでは、これらの改正対応を支援するサービスの詳細な資料を無料で請求できます。ぜひ各社の資料をご覧になって、自社に合った依頼先の比較検討を進めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 改正個人情報保護法のコンサルティングとは何ですか?
A. 改正個人情報保護法のコンサルティングとは、改正法や現行法に照らして自社の個人情報の取り扱いを点検し、規程の整備・運用体制づくり・社員教育までを専門家が支援するサービスです。現状診断(GAP分析)から規程・ポリシー整備、運用体制構築、社員教育、継続サポートまでの工程を、自社の体制に合わせて一部だけでも一括でも頼めます。
Q. 2026年(令和8年)改正でまず押さえるべき変更点は何ですか?
A. 改正個人情報保護法で実務への影響が大きいのは、課徴金制度の新設、16歳未満のこどもの個人データ保護の強化、顔特徴データなど特定生体個人情報の規律、統計作成・AI学習のためのデータ利活用特例、委託先管理・漏えい報告の見直しです。規律を強める項目と、データ活用のために要件を緩める項目の両方が含まれます。
各規律の骨格・条文は成立した改正法で確定していますが、対象範囲や公表方法などの細目は、今後の政令・個人情報保護委員会規則・ガイドラインで定められる段階です。
Q. 改正個人情報保護法の施行はいつですか?
A. 全面施行の具体的な日付は、まだ確定していません(政令で定める段階です)。 改正法は2026年7月17日に公布され、施行は原則として公布から2年を超えない範囲内とされています。
個人情報保護委員会のロードマップでは2028年の全面施行が見込みとして示されていますが、委員会自身が「現時点での大まかな見込みであり今後の状況によって変わり得る」としており、政令・規則・ガイドラインの公表を経て確定します。
Q. 課徴金はどのような場合に、いくら科されますか?
A. 課徴金は、不適正な利用の禁止・適正な取得・第三者提供の制限といった重大な違反で個人の権利利益が侵害された場合などに限って科され、金額は「違反行為によって得た財産上の利益に相当する額」が基本的な考え方です。売上高に対する一定の割合で科す方式ではありません。
本人の数が1,000人を超えない場合は命じないとされ、違反を自主的に報告した場合は2分の1に減額する規定もあります。具体的な算定方法は政令・委員会規則で定められる段階で、2026年10月時点では検討が進んでいます。
Q. 16歳未満のこどもの個人データについて何が変わりますか?
A. 16歳未満の本人については、同意取得や通知などの相手方を、保護者である法定代理人とすることが法律に明文化されました。こどもの個人データを扱うサービスを提供する企業は、同意取得や通知の運用を見直す必要が出てきます。ただし、年齢確認をどのような手法で行うかといった具体的な運用は今後のガイドライン等で明確化される見込みで、確認方法まで細かく定まっているわけではありません。
Q. 改正対応は中小企業や専任の担当者がいない会社でも必要ですか?
A. 個人データを事業で扱う企業であれば、規模にかかわらず改正への対応が必要です。 課徴金・委託先管理・漏えい報告などの義務は企業規模で免除されるものではなく、むしろ専任の担当者がいない企業ほど抜け漏れが生じやすくなります。社内で回せる範囲と外部に頼む範囲を切り分ければ、過剰な投資を避けつつ必要な水準を満たせます。
Q. 改正個人情報保護法への対応は何から着手すればよいですか?
A. 改正対応は、まず取り扱う個人データの棚卸しから始め、改正点との突き合わせ→現行義務との差分の洗い出し→対応の優先順位づけ→自社対応と外部委託の切り分け、の順に進めるのが基本です。細目が政令・規則待ちの項目は現時点で運用を固めず、確定している骨格の棚卸しと規程の素案づくりを先に進めておくと、確定後の修正が小さく済みます。
Q. 改正対応はどこまで外部に頼めて、どこを自社でやるべきですか?
A. 法令の解釈・改正点の判断・規程の文言づくり・個別事案の法務相談は外部に頼み、個人データの棚卸しや運用実態の把握は社内で担うのが現実的な線引きです。現場を知る社内の担当者が担うほうが早く正確な作業と、専門知識がないと抜け漏れが生じやすい作業を分けることで、必要な範囲だけを外部に委ねられます。
改正対応の抜けは後から行政処分や課徴金につながるおそれがあるため、判断に不安が残る工程から外部に頼むとよいでしょう。
Q. 現状診断や規程の見直しなど、一部だけを頼むこともできますか?
A. 多くのサービスで、現状診断だけ・規程や書式の作成だけ・従業員教育だけ、といった部分的な依頼が可能です。 まず何から手をつけるべきか分からない段階では、現状診断(GAP分析)だけを単発で頼み、優先度の高い項目から着手する進め方もあります。急ぎの場合や予算が限られる場合は、範囲を絞って依頼すると費用を抑えられます。
Q. 改正対応コンサルティングの費用はどれくらいかかりますか?
A. 費用は頼む範囲によって大きく変わり、法令上の義務全般への対応で50万円程度から、規程作成など部分的な対応で20万円程度から、社員研修で15万円程度からが一つの目安です。料金を公開していないサービスも多く、現状と法令の差や対応工程が増えるほど費用は上がります。見積もりの前提(対象範囲・成果物・期間)をそろえて比較することが大切です。
Q. 対応完了までどれくらいの期間がかかりますか?
A. 期間は現状と法令が求める水準との差によって変わりますが、規程の整備から運用体制づくりまで含めると3〜6ヶ月程度を要することが多くなります。対応すべき項目が少なければ短期間で済み、急ぎで一部だけ対応したい場合は、まず現状診断だけを単発で頼み、優先度の高い項目から着手する進め方もあります。
Q. 依頼する前に準備しておくものはありますか?
A. 事前の準備がなくても、多くのサービスはヒアリングから始めてくれるため問題ありません。 ただし、社内規程や個人データの取り扱い状況が分かる資料を用意しておくと、現状診断がスムーズに進みます。依頼範囲を決めやすくするためにも、社内で担える作業と外部に頼みたい作業を先に整理しておくとよいでしょう。
Q. 3年ごとの改正に継続して追従してもらえますか?
A. 顧問契約や継続受託のメニューを持つサービスなら、今回の改正対応だけでなく、その後の法改正やガイドライン更新にも継続して追従してもらえます。 個人情報保護法は3年ごとに見直されるため、一度整えて終わりではなく、継続的な点検と更新を任せられる体制が役立ちます。
単発で頼むのか継続で頼むのかで適した依頼先が変わるため、単発の見積もりだけでなく、継続した場合の月額・年額の負担まで含めて比較すると、長い目で見た適否を判断できます。
Q. 社員研修(eラーニング)と体制構築コンサルはどう使い分けますか?
A. 規程や体制がまだ整っていない段階では体制構築コンサルで仕組みをつくり、規程・体制が整ったうえで現場の理解を底上げしたい段階では社員研修(eラーニング)を使うのが基本的な使い分けです。研修は受講人数に応じた料金で比較的小さい単位から導入でき、受講記録を証跡として残せます。両者は対立するものではなく、改正対応の仕上げとして研修を組み合わせる使い方が多くなります。
Q. 改正対応コンサルと、プライバシーマークやISMSの認証取得支援は何が違いますか?
A. 改正対応コンサルは「改正個人情報保護法への準拠」を目的に規程・運用・体制を整えるのに対し、プライバシーマークやISMS(ISO27001)の認証取得支援は「第三者認証の取得・維持」を目的とする点が異なります。
認証取得の過程で個人情報保護体制も整いますが、審査基準(JISQ15001やISO規格)に沿った文書づくりが中心になります。改正対応そのものを急ぐなら改正対応コンサル、対外的な信頼の証として認証も取りたいなら認証取得支援と、目的に応じて選び分けるとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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