ソフトウェアの開発スピードが競争力に直結する一方で、サイバー攻撃は開発環境やソフトウェアサプライチェーンそのものを狙うようになりました。リリースを急ぐあまりセキュリティを後工程に回すと、公開直前に重大な脆弱性が見つかって手戻りが発生したり、攻撃を受けてから対応に追われたりします。
こうした課題への答えとして広がっているのが、開発(Development)・セキュリティ(Security)・運用(Operations)を一体で回す「DevSecOps(デブセックオプス)」という考え方です。
ただ、「DevSecOpsを始めたい」と思っても、実際に何を使えばよいのかは分かりにくいものです。SAST・DAST・SCAといった略語が並び、ツールだけでなく脆弱性診断サービスや導入を伴走するコンサルティングまで選択肢があり、自社の体制や予算でどれを選べばよいか迷いがちです。
本記事ではまず、DevSecOpsとは何か・DevOpsと何が違うのかを公的な文献にもとづいて押さえます。そのうえで、DevSecOpsを支える手段(検査ツール・脆弱性診断・導入支援)の種類と役割、開発工程のどこに何を組み込むか、自社に合うサービスの選び方を整理します。あわせて、開発工程に組み込める自動検査ツールや、専門家が精査するソースコード診断など、実際に使えるサービスも紹介します。
目次
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DevSecOpsとは——開発にセキュリティを組み込む手法
DevSecOpsとは、開発(Development)・セキュリティ(Security)・運用(Operations)を組み合わせた言葉です。セキュリティを開発の最初の段階から組み込み、開発の流れ全体に継ぎ目なく・継続的に統合する手法を指します。米国国立標準技術研究所(NIST)は、DevSecOpsを「文化と実践のセット」と位置づけ、次のように定義しています。
DevSecOps incorporates security into the software engineering process early on. It integrates and automates security processes and tooling into all of the development workflow (or pipeline …) in DevOps so that it is seamless and continuous. In other words, it can be looked upon as a combination of the three processes: Development + Security + Operations.
(DevSecOpsは、セキュリティをソフトウェア工学のプロセスに早い段階から組み込む。DevOpsにおける開発ワークフロー〔パイプライン〕全体に、セキュリティのプロセスとツールを継ぎ目なく・継続的に統合・自動化する。言い換えれば、開発・セキュリティ・運用の3つのプロセスを組み合わせたものと見なせる。)
出典:NIST SP 800-204C §3|米国国立標準技術研究所(NIST)
ポイントは、セキュリティを「最後にまとめて確認するもの」から「開発の各工程に組み込んで自動で回すもの」へと前倒しする点にあります。この前倒しの考え方が、後述する「シフトレフト」です。
出典・参考資料(1件)
DevOps・アジャイルとの違い
DevSecOpsを理解するには、まず土台となるDevOpsとの関係を押さえると分かりやすくなります。DevOpsは、開発チームと運用チームの間にある壁(サイロ)を取り払い、協働を進めることを目指す考え方です。NISTによると、この協働の枠組みにセキュリティチームの役割を明確に加え、セキュリティを開発ライフサイクルの全段階で検証・組み込むことを強調したのがDevSecOpsという用語です。
両者は対立する概念ではなく、DevOpsにセキュリティ(Sec)を織り込んで拡張したものがDevSecOpsという関係です。NIST自身も「DevSecOpsという用語に業界全体で一致した定義はない」と述べており、呼び方や範囲には幅があります。
アジャイル開発は短い反復で開発を進める開発手法を指し、DevOps/DevSecOpsはその開発・運用・セキュリティをつなぐ文化と仕組みを指す、という整理が実務的です。
出典・参考資料(1件)
シフトレフトとは何か
シフトレフトとは、セキュリティ対策を開発ライフサイクルのより早い段階(図の左側)へ前倒しする考え方です。NISTの定義にある「セキュリティを早い段階から組み込み、ワークフロー全体に継ぎ目なく・継続的に統合する」という記述が、まさにこの前倒しの芯にあたります。
従来は、開発がほぼ終わってからセキュリティ診断を一度実施する流れが一般的でした。しかしこの方式では、問題が見つかるのがリリース直前になりがちで、修正に大きな手戻りが生じます。設計やコーディングの段階から検査を自動で回しておけば、脆弱性を小さいうちに見つけて直せます。OWASPのDevSecOpsガイドラインでも、開発プロセスに「シフトレフトのセキュリティ文化」を根づかせることが掲げられています。
出典・参考資料(2件)
この「後工程から前倒しへ」という流れを、開発の現場はどう受け止めているのでしょうか。

正直なところ、昔は「セキュリティは運用側が最後に何とかするもの」という前提が強かったと思います。ですが今は攻撃の手口も複雑ですし、作ったあとに1回チェックして終わり、では追いつきません。
DevSecOpsのメリットと課題
ここからは、DevSecOpsを導入すると何が得られ、どこでつまずきやすいかを整理します。NISTは、DevSecOpsのメリットとして次の点を挙げています。
- チーム間の連携・協働の向上: 開発・運用・セキュリティの各チームや関係者の間でコミュニケーションが改善し、生産性が高まる
- 開発・提供プロセスの効率化: 自動化により、ダウンタイムの削減、市場投入までの時間短縮、インフラ・運用コストの低減につながる
リリース速度を保ったまま安全性を確保できる点が、DevSecOpsの価値です。ただしNISTは効果を定性的に述べるにとどめており、「何パーセント削減できる」といった定量的な効果を示しているわけではありません。導入効果は体制や対象システムによって変わるため、数値での断定には注意が必要です。
一方、課題は主に体制面にあります。NISTは、DevSecOpsへの移行はIT部門の構造とワークフローの変更を伴い、「ソフトウェア開発者・セキュリティ専門家・IT運用の専門家で構成される部門横断チームを編成すること」が導入の決定的な成功要因(critical success factor)になると指摘しています。
裏を返せば、人材や組織の壁がボトルネックになりやすいということです。加えて実務では、複数の検査ツールを入れた結果アラートが分散し、対応しきれず放置が始まる、という運用上の悩みもよく聞かれます。
出典・参考資料(1件)
DevSecOpsを支える手段の種類と役割
ここからは、DevSecOpsを実現するための具体的な手段を一覧で整理します。中心になるのは、脆弱性を自動で検査するツール群です。何を検査対象にするかで役割が分かれており、代表的なものは次のとおりです。
| 手段(略称) | 何を検査・実施するか |
|---|---|
| SAST(静的アプリケーションセキュリティテスト) | ソースコード・バイトコード・バイナリを静的に解析し、コードに潜む脆弱性を見つける |
| DAST(動的アプリケーションセキュリティテスト) | 動作中のアプリに外部から疑似攻撃を送り、反応を見て脆弱性を判定する(主にWebアプリ・API) |
| IAST(インタラクティブAST) | DASTの要素に、テスト対象アプリ内部への計装(エージェント)を組み合わせて検査する |
| SCA(ソフトウェアコンポジション解析) | 利用中のOSS・サードパーティ部品と、その既知脆弱性やライセンスを特定する |
| IaCスキャン | インフラ構成を定義するコード(Infrastructure as Code)にSAST/DAST/SCAを適用し、デプロイ構成の設計上のセキュリティギャップを検出する |
| シークレット検出 | 鍵やAPIトークンなどの機密情報がコードに混入するのを防ぐ(コミット前のpush protection) |
| CSPM(クラウドセキュリティ設定管理) | クラウド環境の設定ミスやコンプライアンス逸脱を継続的に検出する |
SAST・DAST・IAST・SCAは、NISTが調査会社ガートナーによる主要な4つのアプリケーションセキュリティテスト(AST)技術として整理しているもので、OWASPのコミュニティ資料でもSAST(ソースコード解析ツール)・DAST(Webアプリケーション脆弱性スキャナ)として同様に説明されています。
IaCスキャンは、これらのツールをインフラ構成コードにも適用する使い方として位置づけられます。シークレット検出は、NISTがソフトウェアサプライチェーン対策の一つとして「コミット時に鍵・APIトークンの混入を防ぐスキャン」を挙げています。
出典・参考資料(3件)
これらのツールによる自動検査に加えて、専門家が時間をかけて精査する脆弱性診断・ソースコード診断サービスや、体制づくりそのものを伴走する導入支援(コンサルティング)も、DevSecOpsを支える手段です。ツールで日常的に検査しつつ、節目で専門家の診断を受ける、といった組み合わせが現実的です。これらの使い分けは「サービスの3つの型と選び方」で詳しく整理します。
開発工程のどこに何を組み込むか
手段の種類がわかったら、次は「開発工程のどこに組み込むか」です。NISTは、開発者のソースコードをビルド・テスト・パッケージング・デリバリー・デプロイといった各段階へ運ぶ一連の流れ(CI/CDパイプライン)に、検査ツールを配置して自動化することを示しています。工程と手段の対応をまとめると次のようになります。

| 開発工程 | 組み込む主な手段 | 狙い |
|---|---|---|
| 計画/設計 | 脅威モデリング、セキュリティ要件定義 | 想定される脅威と必要なセキュリティ要件を洗い出し、後工程でどこに何の検査を置くかを定める |
| コーディング/コミット | SAST、シークレット検出(push protection) | コードに潜む脆弱性や、鍵・トークンの混入を早期に止める |
| ビルド | SCA、IaCスキャン | OSS依存の既知脆弱性やインフラ構成の不備を検出する |
| テスト | DAST、IAST | 動作中のアプリに疑似攻撃を行い、実行時の脆弱性を見つける |
| デプロイ/運用 | CSPM、継続的な監視 | クラウド設定ミスを継続検出し、運用中も監視を続ける |
NIST SP 800-204Dは、CI/CDパイプラインにおいて「開発で使うすべての言語をカバーするSAST・DASTツールを走らせ、結果を開発者とセキュリティ担当に共有する」こと、「OSSのモジュールやライブラリを使う場合は依存関係を列挙し、SCAツールでポリシー適合を評価する」ことを挙げています。工程ごとに適した検査を自動で回すことが、シフトレフトの実装そのものだといえます。
上表のうち自動検査ツール(SAST〜CSPM)の配置は、NIST SP 800-204C/204Dが示すビルド・テスト・パッケージング・デプロイ・運用の各段階にもとづきます。その手前の計画・設計段階では、NISTのセキュア開発フレームワーク(SSDF/SP 800-218)が、脅威モデリングなどのリスク評価で想定脅威とセキュリティ要件を洗い出すことを求めています。
この洗い出しが、後工程でどの検査をどこに置くかを考える土台になります。工程区分は文献や体制によって幅があるため、自社のパイプライン構成に合わせて、どの段階でどの検査・対策を置くかを設計します。
出典・参考資料(2件)
DevSecOpsを支えるサービスの3つの型と選び方
ここからは、DevSecOpsを支えるサービスを、提供のされ方で3つの型に分けて選び方を整理します。自社ですべてをまかなうのは難しいため、どの型から始めるかを見極めることが第一歩になります。
- ①開発工程に組み込む自動検査ツール型: SAST・DAST・SCAなどをSaaSやCI/CD連携で日常的に自動実行する。開発者が自分たちで継続的に回すのに向く
- ②スポットで精査する脆弱性診断サービス型: 専門家がソースコードや稼働中アプリを時間をかけて診断する。リリース前や定期の節目に、深く確かめたいときに向く
- ③体制づくりを伴走する導入支援型: DevSecOpsの進め方そのもの(成熟度評価・プロセス設計・ツール選定)をコンサルティングが支援する。何から着手すべきか自社だけでは決めきれないときに向く
選び方の軸は、自社の開発体制・予算・求める精度の3つです。内製の開発チームがあり継続的に検査を回したいなら①のツール型、専門家の目で深く確かめたい局面があるなら②の診断型、そもそも進め方から相談したいなら③の導入支援型が起点になります。
多くの場合、①で日常の検査を自動化しつつ、②を節目で組み合わせるのが現実的です。自社の組織が検査結果に対応できる体制か(前述の部門横断チームが機能するか)も、ツールを入れる前に確認しておきたい点です。
導入の費用の目安
DevSecOps関連のサービスは、型によって費用の構造が異なります。①の自動検査ツール型は、月額のサブスクリプション(利用人数やリポジトリ数などで規模が決まる)が中心で、たとえば本記事で紹介するクラウド型のツールには月額2万円前後から始められるものもあります(2026年10月時点)。
②の脆弱性診断サービス型は、診断対象の範囲や画面数に応じた個別見積もりが一般的で、スポット費用として発生します。③の導入支援型は、支援範囲に応じた個別見積もりが基本です。公開価格を掲げているサービスは多くないため、正確な費用は各社への見積もり依頼が必要です。費用を抑えたい場合は、次章で触れる無料のオープンソースツールから始める選択肢もあります。
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DevSecOpsを支えるサービスを活用する
ここからは、①自動検査ツール型と②脆弱性診断・ソースコード診断型について、代表的なサービスを具体的に紹介します(③の導入支援型は、セキュリティベンダーのコンサルティングとして提供されます)。自社の開発工程のどこに、どの型のサービスを組み込むかをイメージしながら読み進めてください。まずは、紹介するサービスの比較表です。
| サービス名 | Aikido Security | VAddy(バディ) | Securify(セキュリファイ) | AeyeScan(エーアイスキャン) | CoWorker 脆弱性診断 | セキュアブレイン ソースコード診断 | レオンテクノロジー ソースコード診断 | KSK Verification ソースコード診断 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 診断・検査の対象 | ソースコード・OSS依存(SCA)・クラウド設定(CSPM)・コンテナ・IaC・Webアプリ(DAST)など | Webアプリケーション・APIサーバー(REST API/JSON) | Webアプリ・API(REST/GraphQL)に加えASM・CSPM・SBOM | Webアプリ・SPA・API(オプション)・Androidアプリ | ソースコード・設計書・稼働中のWebアプリ・API | ソースコード(開発中・稼働中を問わず解析) | ソースコード(開発工程途中の部分診断も可) | ソースコード(開発・実装段階から診断可) |
| 診断方式 | 自動ツール(オールインワンSaaS) | 自動ツール(DAST) | 自動ツール(DAST・自動巡回スキャン) | 自動ツール(AIが自動巡回・診断シナリオを自動生成) | AI(「Red Agent」)の自動解析+専門家による確認 | ツール診断+専門家の目視(ハイブリッド) | ツール診断+診断士の目視(ハイブリッド) | 診断員による目視診断 |
| 提供形態 | SaaS(CI/CD・IDE連携、オンプレスキャンも可) | SaaS(CI/CD連携・継続診断) | SaaS(スケジュール実行・API実行で継続診断) | SaaS(スケジュール機能で繰り返し診断・回数無制限) | 依頼型(受託診断) | 依頼型(受託診断) | 依頼型(受託診断) | 依頼型(受託診断) |
| 料金(2026年10月時点) | 月額5万円台〜 (AndGo経由・年間契約・利用者10人まで) 無料プランあり | 月額19,800円〜(税別・Professional) 初期費用0円 無料トライアルあり(1週間) | 月額5万円〜 (脆弱性診断STARTER・年間60万円) 無料トライアルあり | 個別見積もり(回数無制限の定額制) 無料トライアルあり(2サイト) | 50万円〜(ソースコード+動的診断のセット) ソースコードAI診断は15万円〜 (カタログ掲載情報) | 要お問い合わせ (ステップ数に応じた個別見積もり) | 要お問い合わせ (規模に応じた個別見積もり) | 要お問い合わせ (実ステップ数に応じた個別見積もり) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
開発工程に組み込む自動検査ツール型
開発パイプラインに組み込み、日常的に自動で脆弱性を検査するタイプです。開発チームが自分たちで継続的に回せる点が特徴です。
1. Aikido Security(株式会社AndGo)

Aikido Securityは、ソースコードの静的解析(SAST)・OSS依存のチェック(SCA)・クラウド設定(CSPM)・コンテナイメージ・IaC、さらに稼働中のWebアプリの動的診断(DAST)までを一つの画面でまとめて扱える、オールインワン型の脆弱性診断SaaSです。
開発元はベルギーのAikido Security BVで、日本では株式会社AndGoが提供元・窓口として導入と運用を日本語で伴走します。
単機能のツールを足していくとアラートが分散しがちな点に対し、検査を統一して対応すべきアラートを絞り込める設計を特徴としています。見つけた脆弱性については、修正案のドラフトを作ってプルリクエストまで自動で作成する「オートフィックス」や、コードを書いている段階で危険な箇所に気づけるエディター拡張を備え、「見つけて終わり」にならず修正まで進めやすい点が強みです。
料金はスポット課金ではなく、利用人数(エンジニアのスロット数)で規模が決まる月額サブスクリプション型で、小規模なら無料で試せるプランも用意され、オンプレミス環境でのスキャンにも対応します。CI/CDパイプラインやエディターと連携して日常的に検査を回せるため、内製でアプリを開発するSaaS事業者や、開発現場でセキュリティの意思決定ができる組織と特に相性のよいツールです。
2. VAddy(株式会社ビットフォレスト)

CI/CDパイプラインに組み込んで継続的に脆弱性スキャンを回すことに主眼を置いたのが、クラウド型のWebアプリケーション脆弱性診断ツールVAddyです。提供元の株式会社ビットフォレストは、国内のSaaS型WAF(Webアプリケーションファイアウォール)「Scutum」を開発・運用するチームが手がけています。
利用者自身がブラウザ操作で診断を始められ、事前研修や複雑な設定を必要としない手軽さを訴求しています。
診断方式は動的テスト(DAST)で、WebアプリケーションのほかAPIサーバーの検査にも対応します。提供されるWeb APIやコマンドラインツールを使えば、CIと連携して夜間の自動実行環境を組むこともできます。
スキャン回数は無制限で、頻繁に定期実行しても費用が増えない課金体系です。初期費用は0円、1か月単位で契約できるため(2026年10月時点)、継続的な自動診断をなるべくコストを抑えて始めたい場合の入り口になります。
3. Securify(株式会社スリーシェイク)

株式会社スリーシェイクが提供するSecurifyは、Webアプリケーション・APIの自動脆弱性診断を中核に、外部公開資産を継続把握するASMやクラウド設定を監視するCSPM、部品構成を把握するSBOMまでをそろえたクラウド型のサービスです。画面遷移を自動で巡回し、疑似攻撃を送って応答を検証する流れを自動化し、ログイン後の画面やSPAにも対応します。
API診断はOpenAPIの定義ファイルにもとづいて実行でき、APIトークンを使って診断をプログラムから起動できるため、CI/CDパイプラインへの組み込みも可能です。診断の日時や頻度を指定するスケジュール実行にも対応します。
Webアプリケーション診断は月額5万円からで(2026年10月時点)、周辺のASM(外部公開資産の継続把握)・CSPM・SBOMは要問い合わせです。脆弱性診断だけでなく、公開資産やクラウド設定まで一つのサービスで継続的に見守りたいときの選択肢になります。
4. AeyeScan(株式会社エーアイセキュリティラボ)

AIによる自動巡回を強みにするのが、株式会社エーアイセキュリティラボのクラウド型Webアプリケーション脆弱性診断ツールAeyeScanです。専用サーバーの構築やソフトのインストールは不要で、対象URLを登録してブラウザから診断を開始できます。AIが利用者の操作に近い形でサイト内を巡回し、診断対象の画面と遷移を「画面遷移図」として自動生成する点が特徴です。
診断対象はWebサイト・Webアプリケーションに加え、オプションでAPI、2026年9月からはAndroidアプリにも対応しました。OWASP Top 10やIPA「安全なウェブサイトの作り方」などのガイドラインに準拠します。
公式には診断を定期的に実施するスケジュール機能やCI/CDツールとのAPI連携が案内されており(連携手順や対応ツールの詳細は要問い合わせ)、継続的な自動診断を内製化したいチームに向きます。レポートは経営層向けの概要からエンジニア向けの詳細ログまで対応します。
スポットで精査する脆弱性診断・ソースコード診断型
専門家がソースコードや稼働中のアプリを時間をかけて精査するタイプです。リリース前や定期の節目に、ツールだけでは見つけにくい脆弱性まで深く確かめたいときに向きます。ソースコード診断そのものの費用の考え方や依頼先の選び方を先に整理したい場合は、「ソースコード診断とは?費用相場と依頼先の選び方をタイプ別に整理」もあわせてご覧ください。
5. CoWorker 脆弱性診断サービス(CoWorker株式会社)

CoWorker株式会社の脆弱性診断サービスは、自社開発のAI「Red Agent」による自動解析と、社内のセキュリティ専門家による最終確認を組み合わせる点を特徴としています。公式のサービスメニューは、ソースコードのAI診断、稼働中のWebアプリケーション・APIを対象とする動的脆弱性診断、そして各診断結果をもとにした実践攻撃シミュレーション診断(ペネトレーションテスト)の3つです。
ソースコードAI診断は本番環境に影響を与えずに実施でき、診断対象にはソースコードのほか仕様書・設計書といったドキュメントも含みます。ツールによる網羅的な解析と専門家の確認を一つのサービスで受けられる点が、自動ツールだけでは不安な局面で活きます。
料金はソースコードのAI診断が15万円から、ソースコード診断と動的診断を組み合わせたセットが50万円からが目安で(カタログ掲載情報、2026年10月時点)、範囲別の詳しい料金は個別の問い合わせが必要です。
6. セキュアブレイン ソースコード診断(株式会社日立システムズ)

セキュアブレイン ソースコード診断は、株式会社日立システムズ(セキュアブレインブランド)が提供する、アプリケーションのソースコードそのものを解析して脆弱性を検出する診断サービスです。Webサーバーへのアクセスを伴わないため、稼働中のシステムに影響を与えずに実施できます。動的診断では見つけにくい、バックドアのような静的解析でしか見抜けないコード上の問題を検出できる点を特徴としています。
診断は静的解析ツールと専門家の目視を組み合わせたハイブリッド型で、脆弱性が検出された場合は具体的なファイル名・行番号まで報告する仕様です。対応言語はJava・C#・Python・PHP・JavaScript・Rubyなど20以上と幅広く、複数の言語で書かれたシステムをまとめて診断したい場合に使いやすいサービスといえます。
7. ソースコード診断(株式会社レオンテクノロジー)

株式会社レオンテクノロジーのソースコード診断は、対象システムのソースコード一式を提供してもらい、診断士がツールと目視チェックを組み合わせて脆弱性を洗い出す、診断士主導(手動主体)のホワイトボックス診断です。外部からのブラックボックス診断では検出が難しい脆弱性にも対応できることを訴求しています。
開発工程の途中段階でも部分的に診断できるため、完成を待たずにコードの弱点を確かめたい場合にも使えます。ツールの自動検出に頼りきらず、診断士の目で精度を重視して確かめたいときの選択肢です。
8. ソースコード診断サービス(株式会社KSK)

ソースコード診断サービス(KSK Verification)は、東証スタンダード上場の株式会社KSKが提供する、ソースコードを解析して脆弱性を検出する診断サービスです。同社はシステム開発やIT基盤構築を長く手がけてきた企業で、その技術基盤を背景にセキュリティ診断を提供しています。
診断は開発・実装の段階からコードを対象にでき、稼働中のアプリケーションを操作する動的診断では見つけにくい、コード内部に潜む脆弱性を確かめられます。システム開発を本業とする上場企業の体制のもとで診断を受けたい場合の選択肢で、詳しい診断範囲や料金は問い合わせが必要です。
ここで紹介したサービスの多くは、脆弱性診断・ソースコード診断を担うサービスでもあります。DevSecOpsという切り口を離れ、診断方法(手動・ツール自動・ハイブリッド)や費用相場から脆弱性診断サービス全体を見比べたい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。
導入でつまずく点とスモールスタートの始め方
最後に、DevSecOpsを始めるときにつまずきやすい点と、無理なく始めるための第一歩を整理します。前述のとおり、NISTは開発・セキュリティ・運用をまたぐ部門横断チームの編成を成功の決定的要因に挙げています。逆にいえば、ツールを入れる前に「見つかった脆弱性に誰がどう対応するか」の体制が決まっていないと、アラートが積み上がるばかりで回らなくなります。
そこで現実的なのは、いきなり全工程を自動化しようとせず、効果の見えやすいところから小さく始めることです。たとえば、まずCI/CDパイプラインにSASTとSCAを組み込み、コードの脆弱性とOSS依存のチェックを自動化する。そこで出たアラートに対応する運用が回り始めてから、DASTや継続的な監視へ広げていく、という進め方です。対応しきれないアラートを一度に抱え込まないことが、定着のコツです。
無料のオープンソースツールから始める選択肢
費用をかけずに試したい場合は、オープンソース(OSS)のツールから始める方法もあります。たとえば、Webアプリの動的診断にはZAP(旧OWASP ZAP)、SCA(OSS依存やコンテナの脆弱性チェック)にはTrivy、静的解析にはSemgrepといった代表的なOSSがあり、まず手元で検査の感触をつかむのに役立ちます。
ただし、OSSは導入・運用を自社で担う必要があり、検出結果の読み解きやツールの保守、公式サポートがない点が負担になります。検査を定常運用に乗せたい、専門家の確認や日本語のサポートが欲しいという段階になったら、前章で紹介した商用のツール型サービスや診断サービスへ切り替える、という段階的な進め方が無理がありません。
脆弱性診断をどこまで内製化できるのか、診断項目ごとにツールで置き換えられる範囲と人の判断が要る範囲、CI/CDへの組み込み方や内製・外注・ハイブリッドのコスト比較まで踏み込んで知りたい場合は、以下の記事が実務の勘所を整理しています。
脆弱性診断は内製化できる?診断項目別の可否と自動化ツール・CI/CD組込の勘所を解説
年1回の外部脆弱性診断で数百万円の見積もりが常態化し、スプリント制でリリース頻度が上がった開発現場に年1点検が追いつかない。そんな状況に直面している担当者は少なくありません。この記事は、「毎回外注していたら破綻する」「リリースの度に脆弱性が…
まとめ
DevSecOpsは、セキュリティを開発の最初から組み込み、各工程で自動的に検査を回す「シフトレフト」の考え方が芯にあります。それを支える手段は、SAST・DAST・SCAなどの自動検査ツール、専門家による脆弱性診断・ソースコード診断、そして体制づくりを伴走する導入支援の3つの型に整理できます。
まずは効果の見えやすい工程から小さく始め、自社の体制・予算・求める精度に合わせて手段を組み合わせていくことが、定着への近道です。自社に合うサービスを具体的に比べたいときは、各サービスの資料を取り寄せて、検査対象・提供形態・サポートを見比べるところから始めてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. DevSecOpsとDevOpsの違いは何ですか?
A. DevSecOpsとDevOpsの違いは、DevOps(開発と運用の協働)に、セキュリティ(Sec)を全工程へ組み込む役割を明確に加えた点です。
米国国立標準技術研究所(NIST)は、開発と運用のあいだの壁(サイロ)を取り払って協働を進める枠組みがDevOpsであり、そこにセキュリティチームの役割を強調し、開発ライフサイクルの全段階でセキュリティを検証・組み込むようにしたのがDevSecOpsだと説明しています。両者は対立する概念ではなく、DevOpsにセキュリティを織り込んで拡張したものがDevSecOpsという関係です。
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Q. DevSecOpsは何から始めればよいですか?
A. DevSecOpsは、まずCI/CDパイプラインにSAST(コードの静的解析)とSCA(OSS依存のチェック)を組み込み、小さく自動化するところから始めるのが現実的です。
いきなり全工程を自動化しようとせず、出てきたアラートに対応する運用が回り始めてから、DAST(動的診断)や継続的な監視へ段階的に広げます。ツールを入れる前に「見つかった脆弱性に誰がどう対応するか」の体制を決めておくことが、定着の前提になります。
Q. DevSecOpsのツール導入と専門家による脆弱性診断は、どちらを選べばよいですか?
A. DevSecOpsでは、日常的な検査は開発工程に組み込む自動検査ツールで回し、リリース前や定期の節目に専門家による脆弱性診断・ソースコード診断を組み合わせるのが現実的です。ツールは継続的に素早く広く検査でき、専門家診断はツールだけでは見つけにくい脆弱性まで時間をかけて深く精査できます。どちらか一方に絞るのではなく、自社の開発体制・予算・求める精度に応じて両者を補い合わせるのがよいでしょう。
Q. DevSecOpsのツールは既存のCI/CDパイプラインに組み込めますか?
A. DevSecOpsの自動検査ツールの多くは、APIやコマンドラインツール、CI/CD連携機能を備えており、既存の開発パイプラインに組み込んで自動実行できます。本記事で紹介した自動検査ツール型のサービスの多くも、CIと連携した自動診断に対応しています。
ただし組み込みの手順や対応ツールは製品ごとに異なるため、導入前に自社のパイプライン(GitHub ActionsやGitLab CIなど)に対応しているかを確認してください。
Q. 無料のオープンソースツールだけでDevSecOpsは十分ですか?
A. 無料のオープンソースツールでも検査自体は始められますが、導入・運用・結果の読み解きをすべて自社で担う必要があります。Webアプリの動的診断にはZAP(旧OWASP ZAP)、SCAにはTrivy、静的解析にはSemgrepといった代表的なOSSがあり、まず手元で検査の感触をつかむのに役立ちます。
ただし公式サポートがなく保守の負担も残るため、検査を定常運用に乗せたい、日本語サポートや専門家の確認が欲しいという段階になったら、商用のツール型サービスや診断サービスへ切り替えるのが無理のない進め方です。
Q. DevSecOpsで検査アラートが多すぎて対応しきれない場合はどうすればよいですか?
A. 検査アラートが多すぎる場合は、対応すべきアラートを絞り込める仕組みを選び、一度に抱え込まず対応できる範囲から運用に乗せることが対処の基本です。
単機能のツールを足していくとアラートが分散しがちなため、検査を一つの画面に統一できるオールインワン型のツールを選ぶ、修正案の自動生成機能を活用するといった方法があります。そもそも見つかった脆弱性に誰が対応するかの体制を先に決めておくことが、アラートの放置を防ぐ根本的な対策になります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















