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グローバル給与計算サービスを比較|海外拠点・海外従業員の給与を任せる代行・EORの選び方

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給与計算アウトソーシング比較表(2026年版)のプレビュー

主要34サービスの料金・機能を無料で一覧比較

給与計算アウトソーシング比較表(2026年版)

海外に拠点や従業員を持つと、国ごとに異なる労働法・税法・社会保険に沿った給与計算が必要になります。拠点ごとに別々の会計事務所やベンダーへ頼むと管理が分断し、現地通貨での支払いや多言語の給与明細、本社への実績集約に手間がかかります。自社だけで各国の制度変更を追い続けるのは負担が大きく、委託先を探す企業が増えています。

複数国の給与計算をまとめて任せられるサービスには、どのような形態があるのでしょうか。現地法人を持つかどうかで選択肢は変わり、対応国や任せられる業務範囲、費用もサービスごとに異なります。自社の体制に合う委託先を見極めるには、どの観点で比較すればよいのでしょうか。

本記事では、海外拠点・海外従業員の給与計算を任せられるサービスを、給与計算の代行・プラットフォーム型とEOR(海外雇用代行)型に分けて比較・解説します。対応国・業務範囲・費用・現地コンプライアンス対応に加え、海外赴任者の社会保障協定や二重課税の扱いまで整理しました。海外の給与を任せる委託先を選ぶための判断材料としてご活用ください。

また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。現地法人の有無や任せたい業務範囲から合う形態を絞り込めますので、ぜひこちらもご活用ください。

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本記事の対象範囲

本記事は、海外拠点の従業員や海外で採用した人材など、日本国外の給与計算を複数国まとめて任せたい企業に向けて、委託先となるサービスを比較します。国内従業員だけの給与計算を委託先に任せたい場合は、対応するサービスの顔ぶれや選び方が異なります。

国内の給与計算を任せる委託先を比較したい場合は、国内の給与計算アウトソーシング全般を扱った次の記事が参考になります。対応業務の範囲・料金体系・企業規模別の選び方を一覧で比べられます。本記事では、海外の給与計算に対応できるサービスに絞って解説します。

グローバル給与計算サービスとは

グローバル給与計算サービスとは、複数の国にまたがる従業員の給与計算を、各国の法令に沿って一括で引き受けるサービスの総称です。各国で異なる税率や社会保険料の計算、現地通貨での支払い、法改正への追従までを委託先が担い、本社は各国の給与状況を集約して把握できます。

海外の給与計算が国内と大きく違うのは、国ごとに制度がまったく異なる点です。給与からの源泉徴収の仕組み、社会保険の加入義務、賞与や各種手当の扱い、給与の支払いサイクルは国によって変わります。たとえば一部の国では年13回分の給与を支払う商慣行があり、現地の制度を知らずに計算すると過不足が生じます。こうした各国固有の実務を、現地の専門知識を持つ委託先に任せるのがグローバル給与計算サービスです。

まとめて任せるメリット(自社運用・拠点ごとの個別委託との違い)

海外の給与計算は、自社で各国別に運用する、拠点ごとに現地の会計事務所へ個別に委託する、複数国を1つのサービスにまとめて任せる、という方法があります。まとめて任せる方法には、拠点が増えても窓口が一本化され、各国の給与データを同じ形式で集約できる利点があります。

拠点ごとに現地の会計事務所へ個別委託する場合、国ごとに契約・やり取り・レポート形式が分かれ、本社での比較や連結が煩雑になりがちです。自社運用では現地の法令知識と人員を国の数だけ確保する必要があり、制度改正のたびに対応が求められます。複数国を一元的に扱うサービスは、こうした分断や属人化を抑え、現地コンプライアンスの責任範囲を委託先と明確にできる点が、拠点数の多い企業ほど効いてきます。

グローバル給与計算サービスの3形態と、現地法人の有無での選び分け

ここからは、海外の給与計算を任せるサービスの形態を整理します。大きく「給与計算の代行・BPO型」「グローバルペイロール・プラットフォーム型」「EOR(海外雇用代行)型」の3つに分けられ、現地法人を持っているかどうかが、自社に合う形態を見分ける最初の分かれ目になります。

現地法人がある企業向け:代行・プラットフォーム型

すでに海外に現地法人を設立し、その法人の従業員の給与計算を任せたい場合に向くのが、代行・BPO型とプラットフォーム型です。いずれも雇用主は自社の現地法人のままで、給与計算の実務や一元管理を委託します。

給与計算の代行・BPO型

代行・BPO型は、各国の給与計算・社会保険手続き・年末調整などの実務を、会計事務所や専門のアウトソーサーが受託する形態です。日本の会計事務所系では、国内の給与計算や社会保険に加えて、海外赴任者のグロスアップ計算(手取り額を一定に保つために会社が税額を負担する計算)や非居住者の課税対応まで、専門家が一体で引き受けるサービスがあります。

税理士や社会保険労務士など有資格者が関与し、制度の解釈や当局対応まで任せたい企業に向きます。海外赴任者を抱え、国内と海外の給与・税務をまとめて相談したい場合に選択肢となります。

グローバルペイロール・プラットフォーム型

プラットフォーム型は、複数国の給与計算を1つのクラウド上で一元管理する形態です。各国の給与データを同じ画面で確認でき、人事・会計システムと連携して、入力から集計・レポートまでを効率化します。給与計算の実処理は現地のパートナーや自社エンジンが担い、本社は一元的なダッシュボードで各国の状況を把握します。

多数の国に拠点を持ち、各国ばらばらの運用を標準化したい大企業に向きます。既存の人事・会計システムとの連携や、各国データの集約・分析を重視する場合に効果を発揮します。このプラットフォーム型の一元管理は、次に挙げるEOR型のサービスの多くが、現地法人を持つ企業向けのグローバル給与計算として併せて提供しています。1社で代行・プラットフォーム・EORの複数形態に対応することも少なくありません。

現地法人がない企業向け:EOR(海外雇用代行)型

EOR(Employer of Record=海外雇用代行)型は、現地法人を持たない企業向けの形態です。サービス提供者が現地で法律上の雇用主となり、自社に代わって従業員を雇用し、雇用契約・給与計算・現地通貨での支払い・社会保険・コンプライアンスまでを一括で引き受けます。

これから海外で人材を採用するが現地法人の設立までは考えていない、あるいは少人数から海外展開を始めたい企業に向きます。現地法人の設立・維持にかかる時間とコストをかけずに、海外従業員への給与支払いを始められる点が特徴です。一方で、雇用主が自社ではなくサービス提供者になるため、既存の現地法人の従業員の給与計算だけを任せたい場合は、前述の代行・プラットフォーム型が適します。

自社に合う形態と候補は、現地法人の有無・任せたい業務範囲・対象国の数によって変わります。以下の診断ツールで3つの質問に答えると、自社に近い形態と候補サービスを絞り込めます。

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【比較表】形態横断でグローバル給与計算サービスを比較

ここからは、自社の課題や要件に合わせて客観的に比較・選定できるよう、主要なグローバル給与計算サービスを、代行・プラットフォーム型とEOR型を同じ表に並べて比較します。対応国・任せられる業務範囲・費用体系・現地法人や日本語への対応を一覧で確認できます。

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サービス名EY 給与計算(ペイロール)アウトソーシングDeelRemoteBIPOGoGlobal
形態代行・BPO型(会計事務所系)EOR/グローバル給与EOR/グローバル給与EOR/給与アウトソーシングEOR/海外BPO
対応国数日本語ページに記載なし
(英語版は150か国超)
150以上(公式表記)
自社法人・給与エンジン保有は130以上(2026年10月時点)
150以上(トップ表記)
EORは90以上(2026年10月時点)
170以上の市場
(公式表記、時点記載なし)
140か国以上でサービス提供可能
自社拠点は80か国以上(2026年10月時点)
任せられる業務範囲給与計算・社会保険手続き・税務申告
海外赴任者のグロスアップ・非居住者対応
雇用(EOR)・給与計算・コンプライアンス対応
現地通貨での支払い
雇用(EOR)・給与計算・福利厚生・コンプライアンス対応
現地通貨での支払い・納税
雇用契約・給与計算・ビザ申請・税務コンプライアンス
現地通貨での支払い
雇用(EOR)・給与計算・社会保険・福利厚生
年末調整・法定書類の管理
多通貨・現地通貨支払い要問い合わせ●●●△(支払い実行は国・契約による)
人事・会計システム連携要問い合わせWorkday/SAP/BambooHR ほか110以上
(日本の会計ソフトは要確認)
Workday/BambooHR/NetSuite/Xero ほか
(日本の会計ソフトは要確認)
公式に記載なし公式に記載なし
料金体系要問い合わせEOR:月額599ドル〜(1人あたり)
グローバル給与:要問い合わせ
グローバル給与:月額29ドル〜(1人あたり)
EOR:月額599ドル〜(1人あたり・年間契約)
要問い合わせ要問い合わせ
(EORは最短3か月から)
日本法人・日本語対応EYビジネスパートナー(日本法人・日本語対応)日本語サイトあり
(日本語サポート時間は要確認)
日本に自社法人あり(公式記載)
日本語対応は一部に限定
BIPO Service Japan(東京・日本語窓口)GoGlobal株式会社(日本法人・日本語対応)
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

各サービスの詳細(個別紹介)

ここからは、各サービスの対応国・任せられる業務範囲・特徴を個別に解説します。診断ツールで絞れた形態や、自社に近い形態に合わせて、候補の中身を確認してください。

代行・プラットフォーム型のサービス(現地法人がある企業向け)

現地法人の従業員の給与計算を、税理士・社会保険労務士などの専門家に一体で任せたい場合の候補です。海外赴任者の税務や社会保険まで相談したい企業に向きます。複数国を1画面で一元管理するプラットフォーム型の機能は、後述のEOR型のサービスの多くが現地法人を持つ企業向けに併せて提供しています。

1. EY 給与計算(ペイロール)アウトソーシング(EYビジネスパートナー株式会社)

EY 給与計算(ペイロール)・社会保険関連業務のアウトソーシングの公式サイト

税理士と社会保険労務士を擁するEY Japanのグループが、給与計算・社会保険手続き・税務申告を一体で引き受ける会計事務所系のアウトソーシングサービスです。提供主体はEYのメンバーファームであるEYビジネスパートナー株式会社で、2022年7月に経理・会計・給与計算のアウトソーシングを同社へ集約しています。

海外赴任者のグロスアップ計算(英語対応)に加え、社会保障協定や非居住者案件にも対応し、海外勤務者の税務・社会保険まで扱える体制が特徴です。給与明細や各種給与レポートは日本語・英語で提供し、外国籍社員や外国人役員への英語対応にも応じます。

海外拠点の給与計算は、EYのグローバルネットワークが各国で担います。英語のグローバルページでは150か国超でマネージドペイロールを提供するとされますが、日本から海外給与を依頼する場合の対応国や契約範囲は公式に明示がなく、問い合わせでの確認が必要です。料金は非公表のため、任せたい業務範囲とあわせて見積もりを取ります。

EOR(海外雇用代行)型のサービス(現地法人がない企業向け)

現地法人を設立せずに海外人材の雇用から給与までを任せたい場合の候補です。いずれも複数国に対応し、現地法人の有無を問わないグローバル給与計算の機能を併せ持つサービスもあります。

2. Deel(Deel, Inc.)

Deelの公式サイト

Deelは、EOR・グローバル給与・契約者への支払いを1つのプラットフォームで提供する、米国Deel, Inc.のサービスです。本記事では現地法人を持たない企業向けのEORを中心に取り上げますが、自社の現地法人を通じて運用するグローバル給与(Global Payroll)も併せて提供しています。

EORではDeelが現地の雇用主となり、雇用契約・給与計算・現地通貨での支払い・コンプライアンス対応までを代行します。公式サイトの対応国表記は150以上で、自社法人と給与計算エンジンを保有する国は130以上とされています(いずれも2026年10月時点)。

料金は公式サイトで公開されており、EORはフルタイム従業員1人あたり月額599ドルから、グローバル給与は要問い合わせです(2026年10月時点)。日本語のサイトや料金ページが用意されていますが、日本語サポートの対応時間は確認できる範囲では公開されていないため、問い合わせ時に確かめておくと安心です。

3. Remote(Remote Technology, Inc.)

Remoteの公式サイト

米国Remote Technology, Inc.が運営するRemoteは、EOR・グローバル給与・契約者管理を単一のプラットフォームで扱います。こちらもEORを中心に紹介しますが、自社が現地法人を持つ国向けのグローバル給与も提供しています。

EORでは現地法人のない国でRemoteが雇用主となり、契約・給与・福利厚生・コンプライアンスを代行します。料金は公開されており、EORは従業員1人あたり月額599ドルから(年間契約)、現地法人を持つ国向けのグローバル給与は従業員1人あたり月額29ドルからです(2026年10月時点)。セットアップ・オンボーディング費用はかからないとしています。

対応国数は公式ページによって表記が分かれ、EORは料金ページで90以上の国とされています(2026年10月時点)。給与の現地通貨での支払いまでを一体で行い、為替変動の影響はRemoteが負担する固定レート方式をとります。日本にも自社の法人を持つと公式に記載していますが、日本語での全ページ提供や日本語サポート窓口は確認できる範囲では限定的で、問い合わせ時の確認が必要です。

4. BIPO(BIPO Service)

BIPOの公式サイト

アジアを中心に、グローバル給与アウトソーシング・EOR・クラウドHRMSを展開するのがBIPOです。給与計算は日本・東南アジア・中国・香港・インド・北米・欧州の一部などの地域に対応し、地域ごとに現地法に合わせた給与計算エンジンを持つと公式に記載しています。

EORではBIPOが現地の雇用主となり、雇用契約・給与計算・ビザ申請・税務コンプライアンス・現地通貨での支払いまでを引き受けます。現地の法令上必要な場合は、現地パートナーや第三者を通じて提供することがあります。日本向けのEORは派遣法に準じると公式FAQに記載があります。

日本法人として東京都千代田区にBIPO Service Japan Co., Ltd.があり、日本語の問い合わせ窓口を設けています。対応市場は公式表記で170以上とされますが(時点の記載なし)、料金は公開されておらず、給与アウトソーシング・EORとも要問い合わせです。

5. GoGlobal(GoGlobal株式会社)

GoGlobalの公式サイト

日本法人のGoGlobal株式会社が日本語で提供するGoGlobalは、海外雇用代行(EOR)と海外BPO(給与・人事・会計など)を扱うサービスです。EORを中心に紹介しますが、すでに海外に現地法人がある場合は、給与計算のみを1名から委託することもできます。

複数国の給与状況は、自社開発のグローバル人事管理システム「BlueOcean」のダッシュボードで一元的に確認でき、給与明細や法定書類も同システムで保管できます。公式サイトでは140か国以上でサービス提供が可能、80か国以上に自社拠点があるとしています(2026年10月時点)。

日本法人が窓口となり、クライアントとのやり取りを日本語で行える点が特徴です。料金は公開されておらず要問い合わせで、EORの最低契約期間は最短3か月とされています。現地スタッフによる24時間365日の人事サポートも用意されています。

グローバル給与計算サービスの選び方

ここからは、海外の給与計算を任せる委託先を選ぶときの観点を整理します。自社の対象国や体制に当てはめて、候補を絞り込む材料にしてください。各観点で各サービスがどう異なるかは、前掲の比較表とあわせて確認すると判断しやすくなります。

対応国の範囲は自社の拠点をカバーしているか

サービスが掲げる対応国数は、数の大小よりも自社が給与計算を任せたい国を実際にカバーしているかが重要です。対応国数には、サービス提供者が自社の拠点やエンジンで直接対応する国と、現地パートナーを通じて対応する国が含まれる場合があり、国によってサポート品質や立ち上げ期間が変わります。自社の進出国・進出予定国を伝え、その国が直接対応か提携対応かを確かめておくことが欠かせません。

現地の法令・コンプライアンスにどこまで対応するか

各国の給与計算は、税率・社会保険・最低賃金・労働時間など、現地の法令に沿って行う必要があります。法改正への追従や当局への届出をどこまで委託先が担うか、責任範囲は契約で線引きされます。制度変更の反映まで委託先に任せたい場合は、現地の法令データベースの整備状況や、法改正時の対応フローが確認ポイントになります。

給与計算だけを請け負い、届出や当局対応は自社に残る場合もあるため、任せたい範囲と提供範囲の線引きを契約で確かめておくことが欠かせません。

現地通貨・多通貨での支払いに対応しているか

海外従業員への支払いは、現地通貨で行うのが基本です。サービスによって、委託先が各国の口座へ直接送金する方式と、委託先が作成した振込データを自社が現地で実行する方式があります。送金まで任せられるか、為替レートや送金手数料をどちらが負担するかは、総コストと実務負担に直結します。支払いの実行主体と、為替・手数料の負担が、確かめておきたい点です。

既存の人事・会計システムと連携できるか

すでに人事管理システムや会計ソフトを使っている場合、給与サービスとの連携可否が運用負担を左右します。人事データの受け渡しを自動化できれば、二重入力や転記ミスを防げます。

自社が使うシステムとの標準連携があるか、連携がない場合はデータの出力形式(総勘定元帳へのエクスポートなど)で代替できるかが確認ポイントです。日本の会計ソフトとの連携は海外発のサービスでは用意がないことも多く、事前の確認が欠かせません。

費用・料金体系は自社の規模に合っているか

海外の給与計算サービスの料金は、従業員1人あたりの月額で設定されることが多く、EOR型は代行型より1人あたりの単価が高い傾向があります。公式に料金を公開しているサービスと、見積もりベースのサービスがあり、国や従業員数によって段階的に変わる料金体系もあります。

初期費用の有無、最低契約人数、国ごとの単価差を含めた総額で比べることが大切です。1人あたり単価が安くても、対応国や業務範囲が狭いと追加費用が発生する場合があるため、任せたい範囲を含めた見積もりで見極めると安心です。

データセキュリティ・認証は十分か

給与計算では、従業員の個人情報や銀行口座など機微なデータを委託先に預けます。情報セキュリティの国際規格であるISO/IEC 27001や、受託業務の内部統制を第三者が評価したSOC 2レポート、EUの一般データ保護規則(GDPR)への対応状況が、委託先の管理体制を見る目安になります。認証の保有主体(本体か子会社か)と対象範囲を、自社のデータ保護方針と照らし合わせておくとよいでしょう。

多言語の給与明細・従業員向けの使い勝手は整っているか

海外の従業員が自分の給与明細を確認できるよう、多言語の給与明細や、従業員が自分で情報を閲覧・申請できる仕組みが用意されているかも、運用のしやすさに関わります。現地従業員の問い合わせ対応を減らしたい場合は、従業員向けの画面や多言語サポートの範囲がポイントになります。あわせて、本社側の担当者が日本語でやり取りできるか、日本語の窓口やサポート時間も確かめておくと安心です。

国内の給与計算アウトソーシングに海外対応を足すには

すでに国内の給与計算を外部に委託していて、海外拠点の分だけ新たに任せたい、というケースも多くあります。この場合、選択肢は大きく2つに分かれます。

1つは、国内と海外を同じ委託先にまとめる方法です。会計事務所系のアウトソーサーのなかには、国内の給与計算・社会保険・年末調整に加えて、海外赴任者の給与や海外関連業務まで一体で引き受けるところがあります。国内外の窓口を一本化したい場合や、海外赴任者の税務まで相談したい場合に向きます。

もう1つは、国内は現在の委託先に残したまま、海外分だけを海外発のプラットフォーム型やEOR型のサービスに任せる方法です。海外の現地法人が多い、あるいは現地法人を持たずに海外採用を進めたい場合は、海外に強いサービスを併用するほうが対応国やコンプライアンスの面で有利なことがあります。国内の委託先に海外対応の可否を確認したうえで、足りない部分を海外特化のサービスで補う、という組み合わせも検討できます。

海外赴任者(駐在員)の給与計算と社会保障協定・二重課税の扱い

海外赴任者(駐在員)の給与計算は、現地採用の従業員とは別の難しさがあります。日本と赴任先の双方で課税や社会保険の問題が生じるため、どこまで委託先が対応できるかは、サービス選定の重要な確認点です。主に次の3つの論点があります。

居住者・非居住者の区分と課税

海外赴任者の給与課税は、税務上の居住者か非居住者かで扱いが変わります。所得税法では、国内に住所を有するか、現在まで引き続き1年以上居所を有する個人を「居住者」とし、それ以外を「非居住者」と定めています。役員や使用人が海外の支店などに1年以上の予定で転勤した場合は、一般的に非居住者に当たります。

非居住者は、日本国内で稼得した国内源泉所得のみが課税対象です。国税庁の解説では、非居住者となった使用人の海外勤務に対する給与は国内源泉所得に該当せず源泉徴収は不要とされる一方、内国法人の役員として受ける報酬や、日本で勤務した期間に対応する賞与などには、20.42%の税率で源泉徴収が必要とされています。

手取り額を一定に保つために会社が税額を負担するグロスアップ計算が必要になる場合もあり、委託先がこうした居住者・非居住者の区分を踏まえた計算に対応できるかの確認が欠かせません。

租税条約による二重課税の調整

同じ所得に日本と赴任先の両国で課税されると、二重課税が生じます。日本が各国と結ぶ租税条約は、二重課税の除去を主たる内容とする二国間の取り決めで、財務省によると2026年10月1日時点で78本・81か国・地域との間で結ばれています。

実務では、外国で納めた税額を一定の範囲で日本の税額から差し引く外国税額控除などを用いて二重課税を調整します。どこまでを委託先に任せ、どこからを自社やグループ内で担うかは、サービスによって対応範囲が異なります。

社会保障協定による社会保険料の二重負担の回避

海外赴任では、日本と赴任先の両国で社会保険料が二重にかかる問題も生じます。日本が各国と結ぶ社会保障協定は、保険料の二重負担の防止と、両国の年金加入期間の通算を目的としており、日本年金機構によると2025年12月のオーストリアとの発効を含め24か国との間で発効しています。ただし英国・韓国・中国・イタリアとの協定は二重負担の防止のみで、年金加入期間の通算は対象外です。

協定では原則として就労する国の制度のみに加入しますが、5年を超えない見込みで派遣される一時派遣では、引き続き日本の制度のみに加入し、相手国の社会保険は免除されます。この扱いは協定によって異なり、派遣期間の延長が認められる場合もあります。適用を受けるには適用証明書の取得など所定の手続きが必要で、この手続きまで任せたいかどうかも、委託先に確認したい点です。

出典・参考資料(6件)
  • 出典:No.2875 居住者と非居住者の区分|国税庁(リンク)
  • 出典:No.2517 海外に転勤する人の年末調整と転勤後の源泉徴収|国税庁(リンク)
  • 出典:No.2878 国内源泉所得の範囲|国税庁(リンク)
  • 出典:租税条約に関する資料|財務省(リンク)
  • 出典:社会保障協定|日本年金機構(リンク)
  • 出典:日本から協定を結んでいる国で働く場合の加入すべき制度|日本年金機構(リンク)

これらの論点は、EOR型や海外発のプラットフォーム型が得意とする現地採用者の給与計算とは領域が異なります。海外赴任者の税務・社会保険まで一体で任せたい場合は、国際税務や海外人事に詳しい会計事務所系のサービスのほうが対応範囲が広いことが多く、どこまでを委託先に、どこからを自社やグループ内で担うかを整理しておくと選定がぶれません。

委託前に確認したい注意点・落とし穴

契約してから想定と違ったとならないよう、委託前に押さえておきたい確認点を整理します。

  • コンプライアンス対応の責任範囲:給与計算だけを請け負うのか、当局への届出や法改正対応まで含むのか。どこからが自社の責任になるかを契約で確認します。
  • データ保護の体制:従業員の個人情報をどの国で保管し、どの規則(GDPR等)に沿って扱うか。認証の対象範囲まで確認します。
  • 隠れた費用:公開された1人あたり単価のほかに、初期費用・国別の追加料金・最低契約人数がないか。総額での比較を前提に確認します。
  • 現地法人の要否:現地法人がないとEOR型になり、雇用主がサービス提供者に変わります。将来の現地法人化の予定とあわせて、どの形態が適すかを確認します。
  • 導入期間と立ち上げ支援:対応国ごとの立ち上げにかかる期間や、初期設定を支援する体制があるか。少人数の国から段階的に始められるかも確認します。

まとめ

グローバル給与計算サービスは、現地法人を持つ企業向けの代行・プラットフォーム型と、現地法人を持たない企業向けのEOR型に大きく分かれます。すでに海外拠点があり現地法人の給与計算を任せたいなら代行・プラットフォーム型、現地法人を設けずに海外採用を進めたいならEOR型が出発点です。

そのうえで、対応国の範囲・現地コンプライアンスの責任分担・現地通貨での支払い・既存システムとの連携・費用・海外赴任者対応を自社の要件に当てはめて候補を絞り込みます。各社の公式情報や資料で、対応国・業務範囲・費用を具体的に突き合わせるのが、自社に合う委託先を見つける近道です。本記事の比較表と選定診断を手がかりに、自社の体制に近い候補から確認を始めてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. グローバル給与計算サービスとは何ですか?

A. グローバル給与計算サービスとは、複数の国にまたがる従業員の給与計算を、各国の法令に沿って一括で引き受けるサービスの総称です。

各国で異なる税や社会保険の計算、現地通貨での支払い、法改正への追従までを委託先が担い、本社は各国の給与状況をまとめて把握できます。委託先の形態は、給与計算の実務を受託する代行・BPO型、複数国を1つのクラウドで一元管理するプラットフォーム型、現地法人を持たずに雇用ごと任せるEOR(海外雇用代行)型の3つに大きく分かれます。

Q. 給与計算の代行とEOR(海外雇用代行)は何が違いますか?

A. グローバル給与計算における代行型とEOR型の最大の違いは、雇用主が誰になるかです。

代行・BPO型やプラットフォーム型は雇用主が自社の現地法人のままで給与計算の実務や一元管理だけを委託するのに対し、EOR型はサービス提供者が現地で法律上の雇用主となり、雇用契約から給与計算・社会保険・コンプライアンスまでを一括で引き受けます。そのため、すでに現地法人がある企業は代行・プラットフォーム型、現地法人を持たない企業はEOR型が出発点になります。

Q. グローバル給与計算サービスは現地法人がなくても使えますか?

A. 現地法人がなくても、EOR(海外雇用代行)型を使えば海外従業員への給与支払いを始められます。

EORではサービス提供者が現地の雇用主となるため、自社で現地法人を設立・維持しなくても、海外人材の雇用と給与計算を進められます。現地法人の設立・維持にかかる時間とコストをかけずに始められる点が特徴です。一方、すでに現地法人がある従業員の給与計算だけを任せたい場合は、雇用主を自社に残せる代行・BPO型やプラットフォーム型が適します。

Q. グローバル給与計算サービスの費用の目安はどのくらいですか?

A. 海外の給与計算サービスの料金は従業員1人あたりの月額で設定されることが多く、EOR型は代行・プラットフォーム型より1人あたりの単価が高い傾向があります。

料金を公開しているサービスでは、EORが従業員1人あたり月額599ドル程度から、現地法人を持つ国向けのグローバル給与が1人あたり月額29ドル程度からという例があります(2026年10月時点)。多くの代行・BPO型やプラットフォーム型は要問い合わせで、国や従業員数によって段階的に変わる料金体系もあるため、初期費用・最低契約人数を含めた総額で見積もりを取って比較します。

Q. サービスの対応国が自社の拠点をカバーしているかはどう確認すればよいですか?

A. 対応国は数の多さよりも、自社が給与計算を任せたい国を実際にカバーしているかで確認します。公表される対応国数には、提供者が自社の拠点やエンジンで直接対応する国と、現地パートナーを通じて対応する国が含まれる場合があり、国によってサポート品質や立ち上げ期間が変わります。自社の進出国・進出予定国を具体的に伝え、その国が直接対応か提携対応かを確かめると、実際のサポート体制を見極めやすくなります。

Q. 海外赴任者(駐在員)の税金や社会保険まで任せられますか?

A. 海外赴任者の居住者・非居住者の区分を踏まえた課税や、社会保障協定にもとづく手続きまで対応できるかは、サービスによって大きく異なります。

EOR型や海外発のプラットフォーム型が得意とする現地採用者の給与計算とは領域が異なり、赴任者のグロスアップ計算・二重課税の調整・社会保険の手続きまで一体で任せたい場合は、国際税務や海外人事に詳しい会計事務所系のサービスのほうが対応範囲が広いことが多くなります。居住者・非居住者課税や社会保障協定の具体的な扱いは、本文および出典をご確認ください。

Q. 海外の給与計算を自社だけで運用するのは難しいですか?

A. 海外の給与計算を自社だけで回すには、国ごとに異なる法令知識と人員を国の数だけ確保する必要があり、制度改正のたびに対応が求められるため、拠点が増えるほど負担が大きくなります。

拠点が少ないうちは現地の会計事務所への個別委託でも回りますが、国が増えると契約・やり取り・レポート形式が分断し、本社での比較や連結が煩雑になりがちです。複数国を一元的に扱うサービスは、こうした分断や属人化を抑え、現地コンプライアンスの責任範囲を委託先と明確にできる点が、拠点数の多い企業ほど効いてきます。

Q. 国内で委託している給与計算に、海外拠点の分だけ足せますか?

A. 海外分の追加は、国内と同じ委託先にまとめる方法と、海外分だけを海外発のプラットフォーム型・EOR型に任せる方法の2通りがあります。

国内外の窓口を一本化し、海外赴任者の税務まで相談したい場合は会計事務所系に集約する方法が向きます。海外拠点や海外採用が多い場合は、対応国やコンプライアンスの面で海外に強いサービスを併用するほうが有利なこともあります。まずは現在の委託先に海外対応の可否を確認し、足りない部分を海外特化のサービスで補う組み合わせも検討できます。

Q. グローバル給与計算サービスは既存の人事・会計システムと連携できますか?

A. 連携の可否はサービスによって異なり、海外発のサービスでは日本の会計ソフトとの標準連携が用意されていないことも多い点に注意が必要です。

人事データの受け渡しを自動化できれば、二重入力や転記ミスを防げます。標準連携がない場合でも、総勘定元帳へのエクスポートなど、データの出力形式で代替できるかを確認します。自社が使う人事管理システムや会計ソフトとの組み合わせを事前に確かめておくと、導入後の運用負担を抑えられます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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