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データセキュリティと活用を両立する方法|対策一覧と着手順をわかりやすく解説

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社内に蓄積した顧客データや業務データを、分析や生成AIでもっと活用したい。その一方で、情報漏えいや不正アクセスが起きれば事業の信用を一瞬で失いかねません。「活用を進めよ」という号令と「事故は絶対に避けたい」という現場の不安の板挟みで、何から手を付ければよいか迷う担当者は少なくありません。

データセキュリティは、活用にブレーキをかけるための制約ではなく、安心してデータを活用するための土台です。守りを固めすぎれば現場の活用が止まり、逆に野放しにすれば担当者が個別に抜け道(シャドーIT)を作ってしまいます。両立の鍵は、守るべき対策を漏れなく把握し、自社の状況に合わせて優先順位をつけて進めることにあります。

本記事では、データを活用しながら守るための対策の一式と、何から着手すべきかの優先順位を整理します。生成AIで社内データを使うときに特有の注意点や、個人情報を匿名化・仮名化して活用範囲を広げる方法まで解説します。自社に足りない領域を洗い出す材料としてご活用ください。

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データ活用と安全の両立はなぜ難しいのか

データ活用は、社内のさまざまな場所にあるデータを集め、多くの人やツールがアクセスできる状態をつくるほど価値が高まります。しかし、データに触れる人・経路・コピーが増えるほど、漏えいや不正アクセスの入り口も同時に増えます。活用を広げたい動きと、入り口を減らしたい守りの動きが引っ張り合うことが、両立を難しく感じさせる正体です。

データセキュリティとは(守る対象=機密性・完全性・可用性)

データセキュリティとは、企業が持つデータを不正なアクセス・改ざん・消失から守り、必要なときに正しく使える状態を保つための取り組み全般を指します。守る対象は、情報セキュリティの基本とされる3つの性質(頭文字をとってCIAと呼ばれます)で整理すると分かりやすくなります。

  • 機密性(Confidentiality):許可された人だけがデータに触れられる状態。漏えい・盗み見を防ぐ性質です。
  • 完全性(Integrity):データが正しく、改ざんや破損がない状態。誤ったデータでの意思決定を防ぎます。
  • 可用性(Availability):使いたいときにデータへアクセスできる状態。障害や攻撃による業務停止を防ぎます。

後述する各対策は、この3つのどれを守るためのものかを意識すると、自社に何が足りないかを判断しやすくなります。

活用が進むほど高まる漏えい・不正アクセスのリスク

データを部門横断で集約し、分析基盤や生成AIに流し込むほど、1か所の綻びが広い範囲に波及しやすくなります。外部からのランサムウェア攻撃だけでなく、権限を持つ従業員による持ち出しや、設定ミスによる意図しない公開といった内部起因の事故も無視できません。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威」でも、同じ傾向が示されています。最新の2026年版(組織編)では、「ランサム攻撃による被害」が11年連続で組織向け脅威の1位となり、「内部不正による情報漏えい等」も7位に入りました。

さらに同版では「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が3位として初めて選ばれています。生成AIの業務利用が広がるなかで、学習・入力データの取り扱いが新たなリスク領域として加わっています。

出典・参考資料(1件)

重要なのは、こうした脅威に対して「どの対策が、どのリスクに効くのか」を一覧で把握し、自社の抜け漏れを点検できる状態にしておくことです。次章で、その対策の一式を整理します。

データを守りながら活用するための対策一式

ここからは、データを活用しながら守るために実施すべき10の対策を、関連するものごとに5つのまとまりに分けて解説します。個々の対策が「何を・何から守るか」は章末の一覧表にまとめたので、自社の棚卸しに使ってください。

まず「何を守るか」を把握する(データ分類)

すべての対策の出発点は、自社がどんなデータを持ち、そのうちどれが特に重要かを仕分けることです。個人情報・機密情報・公開してよい情報を区別し、重要度に応じて守りの強さを変えます。守る対象が曖昧なままでは、対策が過剰になって活用を妨げたり、逆に重要なデータが手薄になったりします。

進め方の一例として、まず各部門にデータの保管場所を洗い出してもらい、個人情報・機密情報・公開してよい情報の3段階でタグ付けするところから始めると、無理なく着手できます。このとき、使わなくなったデータの削除や保管期限のルールもあわせて決めておくと、守る対象そのものが減り、以降の対策の負担が軽くなります。

アクセスを絞り、正しい人だけに渡す(アクセス制御・認証/持ち出し制御)

重要なデータへ触れられる人を、業務に必要な範囲へ絞り込みます。誰がどのデータにアクセスできるかを管理するアクセス制御と、本人確認を強める認証(多要素認証やパスワードレス認証など)が柱です。近年は、社内ネットワークの内側だからと信頼せず、アクセスのたびに検証する「ゼロトラスト」の考え方が広がっています。

あわせて、USBメモリーへのコピー・印刷・クラウドへのアップロードといった持ち出し経路を制限し、必要に応じて記録することで、内部不正や誤操作による流出を抑えます。

データ自体を読めなくする(暗号化/マスキング)

万一データが外部に渡っても、中身を読めなくしておけば被害を抑えられます。保存時・通信時の暗号化は、端末の盗難や通信の盗聴に備える基本的な対策です。分析用にデータを使う場面では、氏名やクレジットカード番号などを別の文字列へ置き換えるマスキングによって、担当者が実データを見なくても作業を進められるようにします。

個人情報については、法律で定められた「匿名加工情報」「仮名加工情報」という加工の枠組みを使うことで、安全性を確保しながら活用の幅を広げられます。詳しくは個人情報の匿名化・仮名化の章で解説します。

記録・監視と復旧で被害を抑える(操作ログ・監視/バックアップ・復旧)

「誰が・いつ・どのデータに・何をしたか」を記録する操作ログは、不正の抑止と、事故が起きたときの原因追跡に役立ちます。普段と違うアクセスを検知する監視と組み合わせることで、被害の拡大を早期に食い止められます。

さらに、ランサムウェアによる暗号化や障害でデータが失われても事業を続けられるよう、定期的なバックアップと、そこから元に戻せる復旧手順を用意しておきます。バックアップ自体が攻撃で暗号化されないよう、隔離した保管も検討します。

人と体制で支える(従業員教育/インシデント対応)

技術的な対策だけでは、添付ファイルを開いてしまう標的型攻撃や、設定ミスといった人起因の事故は防ぎきれません。従業員への定期的な教育で、注意すべき場面と手順を共有します。あわせて、事故が起きた際に誰が何をするかを決めたインシデント対応の体制を整えておけば、被害の最小化と再発防止につながります。

以下の表に、ここまでの対策が「何を・何から守るか」と、主に関係するCIAの要素をまとめました。自社で実施済みの対策と空白の領域を照らし合わせる、抜け漏れチェックとしてお使いください。

対策何を・何から守るか主に守るCIA要素
データ分類守る対象と優先度を決める(すべての対策の前提)前提
不要データの削除・ライフサイクル管理使わなくなったデータを減らし、守る対象とリスクそのものを縮小する全般
アクセス制御・認証不正アクセス・なりすましから守る機密性
持ち出し制御USB・印刷・クラウド経由の持ち出し、誤送信から守る機密性
暗号化盗難・盗聴でデータを読み取られることから守る機密性
マスキング・匿名化/仮名化分析時の目的外利用・漏えい時の影響から守る(活用範囲を広げながら)機密性
操作ログ・監視内部不正・侵入を早期に検知し、原因を追える機密性・完全性
バックアップ・復旧ランサムウェア・障害・改ざんによる消失から守る可用性・完全性
従業員教育標的型攻撃・設定ミスなど人起因の事故から守る全般
インシデント対応事故時の被害最小化と再発防止全般(主に可用性)
出典・参考資料(1件)

何から着手するか(優先順位と着手の順序)

対策は全部で10種類ありますが、すべてを同時に始めるのは現実的ではありません。限られた人員と予算で進めるために、おすすめの着手順を示します。各対策の中身は前章のとおりなので、ここでは「なぜその順番か」に絞って整理します。

データセキュリティ対策を着手する順番を示した図解。STEP1データ分類と不要データ削除を土台に、STEP2アクセス制御・認証、STEP3持ち出し制御、STEP4暗号化・マスキング、STEP5操作ログ・監視、STEP6バックアップ・復旧、STEP7従業員教育・インシデント対応へと順に進める流れを示す。
  1. データ分類(+不要データの削除):どこに何の重要データがあるかを把握し、使わないデータは減らします。ここが定まらないと以降の対策が過不足を起こすため、すべての土台になります。
  2. アクセス制御・認証:業務に必要な最小限の権限だけを与えるゼロトラストの考え方で、触れられる人を絞ります。ここが緩いと、後続を固めても入り口から侵入されます。
  3. 持ち出し制御:USB・印刷・クラウドへのアップロードなど、データが外へ出る経路を制限します。
  4. 暗号化・マスキング:万一渡っても読めない状態にし、分析では実データを見せずに作業できるようにします。
  5. 操作ログ・監視:誰がいつ何をしたかを記録し、普段と違うアクセスを早期に検知します。
  6. バックアップ・復旧:ランサムウェアや障害で失われても事業を続けられる備えを用意します。
  7. 従業員教育・インシデント対応:人起因の事故を減らし、事故が起きたときの動き方を決めて全体を支えます。

分類を最初に置くのは、守る対象が定まらないままでは対策が過剰になって活用を妨げたり、逆に重要なデータが手薄になったりするからです。アクセス制御を早い段階に置くのも、入り口の統制が後続の対策の効果を左右するためです。

生成AIで社内データを活用するときの注意点

生成AIに社内データを与えて業務に活かす動きが広がっています。ここでは、通常のデータセキュリティ対策に加えて、生成AIならではの注意点を整理します。

プロンプトへの機密情報の投入・学習データの扱い・入出力の管理

生成AIに指示(プロンプト)を送る際、機密情報や個人情報をそのまま入力すると、サービスの仕様によっては入力内容が外部の学習に利用されたり、ログとして保管されたりする場合があります。利用するサービスが入力データをどう扱うか(学習に使うか、保存期間はどれくらいか)を利用規約で確認し、機密性の高いデータは投入しない、あるいは学習に使わない設定のプランを選ぶといった判断が必要です。

社内向けにAIを構築する場合も、どの従業員がどのデータを使えるかというアクセス制御は通常の対策と同じく欠かせません。AIが参照するデータの範囲と、出力を閲覧できる人の範囲の両方を管理します。

従業員がどの生成AIをどう使っているかという利用実態の把握や、入力の制限・規格への対応まで会社として仕組みで統制したい場合は、専用のツールを使う方法もあります。利用統制・規制対応・モデル監視のタイプ別に選び方を整理した以下の記事が参考になります。

暗号化したまま分析する技術(秘密計算など)という選択肢

多くの企業にとっては、まず前章までの基本対策を固めることが先決です。そのうえで、特に機微なデータを扱う場合の進んだ選択肢として、データを暗号化したまま分析する「秘密計算」の実用化も進んでいます。NTTの研究開発部門は、秘密計算を次のように説明しています。

秘密計算技術は、「データを暗号化したまま一度も元データに戻さずに処理を行う」という、暗号なのに解かずに処理ができる不思議な暗号技術です。

出典:データセキュリティの最前線|暗号化したまま標準的なAIのディープラーニングの学習処理を可能とする秘密計算技術(NTT研究開発)

秘密計算には、データを分割して処理する秘密分散方式(NTTが2017年に商用化した「算師」など)や、暗号化したまま計算できる準同型暗号など、複数の方式があります。

準同型暗号については、総務省・情報通信研究機構(NICT)の資料でも「暗号化データ上で演算処理可能な『準同型暗号』」として、暗号化したままデータ解析を行う技術が紹介されています。現時点ですべての分析を置き換えるものではありませんが、特に機密性の高いデータを扱う場面での進んだ選択肢として押さえておく価値があります。

出典・参考資料(1件)

個人情報の匿名化・仮名化で活用範囲を広げる

個人情報を含むデータは、適切に加工することで活用の幅を広げられます。個人情報保護法には、加工のレベルに応じた「匿名加工情報」と「仮名加工情報」という2つの枠組みが用意されています。ここでは、それぞれの違いと、どこまで加工すればよいかの目安を、条文にもとづいて解説します。

匿名加工情報と仮名加工情報の違いを対比した図解。匿名加工情報は元の個人情報に復元できないレベルまで加工し、本人同意なく第三者へ提供・利活用できる(外部提供向け)。仮名加工情報は他の情報と照合しない限り個人を識別できない程度の加工で、原則として第三者提供はできず、社内での分析・活用に使う。

匿名加工情報と仮名加工情報の違い

匿名加工情報は、特定の個人を識別できず、かつ元の個人情報に復元できないように加工したものです(個人情報保護法第2条第6項)。復元できないレベルまで加工する代わりに、本人の同意なしに第三者へ提供し、利活用できます。ただし「無条件に自由」ではなく、提供する情報の項目・提供方法の公表と、相手に匿名加工情報である旨を明示する義務が残ります(同法第44条)。

一方の仮名加工情報は、個人情報保護委員会のリーフレットで次のように説明されています。

仮名加工情報とは、他の情報と照合しない限り、特定の個人を識別できないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報。加工により一定の安全性を確保しつつ、匿名加工情報よりもデータの有用性を保ち、詳細な分析を実施し得るもの。

出典:令和2年改正個人情報保護法について|個人情報保護委員会

仮名加工情報は、復元不可のレベルまでは求めない分だけ詳細な分析に向く反面、原則として第三者への提供はできません(同法第41条第6項)。社内での分析・活用に使うのが仮名加工情報、外部提供まで視野に入れるのが匿名加工情報、という役割分担で捉えると整理しやすくなります。

どこまで加工すればよいか(加工の基準)

「どこまで加工すればよいか」は、個人情報保護法施行規則が具体的な基準を定めています。匿名加工情報は、施行規則第34条で次の5つの措置が求められます。

  • 氏名など特定の個人を識別できる記述の削除、または置き換え
  • 個人識別符号(マイナンバーや指紋データなど)の削除
  • 複数の情報を結びつける連結符号の削除
  • 特異な記述の削除
  • データベースの性質を踏まえた、そのほかの適切な措置

仮名加工情報は、施行規則第31条でより緩やかな3つの基準が定められています。識別できる記述の削除、個人識別符号の削除に加え、不正に利用されると財産的被害が生じるおそれがある記述(クレジットカード番号など)の削除が求められます。詳細な解釈や具体例は、個人情報保護委員会のガイドライン(仮名加工情報・匿名加工情報編)で確認できます。

たとえば匿名加工情報の「特異な記述の削除」とは、年齢が極端に高い値や、ある地域に1人しかいないような希少な属性の組み合わせなど、個人を特定しやすい情報を削除・加工することを指します。自社のデータのどの項目がこれに当たるかを確認しながら進めるのが現実的です。

出典・参考資料(4件)

この仮名加工情報の枠組みは令和2年改正個人情報保護法で新設され、同改正は2022年4月1日に全面施行されました。制度が新しいため古い資料では扱われていないことがあり、加工の基準を確認する際は現行の条文とガイドラインに当たることをおすすめします。

不足領域はツールで埋める

先の対策一覧で自社を棚卸しすると、手が回っていない領域が見えてきます。ここでは、そのうちアクセス制御・操作ログ・データの持ち出しという代表的な3領域について、専用ツールで負担を抑えて埋める選択肢を紹介します。暗号化やバックアップなど残りの領域は、記事末尾の関連記事で全体像を確認できます。

まずは、紹介する3サービスが「どの対策領域を・どう埋めるか」を一覧で確認します。

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サービス名CloudGate UNOEye"247" Work Smart CloudShadow Desktop
対策領域アクセス制御・認証操作ログ・監視
(USB・デバイス制御)
持ち出し制御
主な機能ゼロトラストSSO・多要素認証
パスキー(FIDO2)によるパスワードレス認証
端末・場所・時間のアクセス制限
ID管理(プロビジョニング)
PC操作ログを1分間隔で記録・可視化
URL・ファイル・印刷・USB操作ログ
個人情報を含むファイルの検知
デバイス制御・IT資産管理
PC内データをクラウド等へ退避しデータレス化
ローカルキャッシュ暗号化(AES256bit)
仮想化対象外への書き込み制御
リモートワイプ・ランサムウェア復旧(オプション)
提供形態クラウド型ID基盤(IDaaS)クラウド型(SaaS)既存PCにインストール
(データレスクライアント)
初期費用別途あり(金額非公開)0円0円
月額費用400〜600円/ユーザー(税抜)400〜1,100円/台(台数に応じた従量制、税抜)950円〜/ユーザー(税抜、Standard)
無料トライアル30日間14日間最大30日間
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約

※料金・機能は各社公式情報にもとづく概要(2026年11月時点)。最新・詳細は各社公式サイト・資料でご確認ください。

1. CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

CloudGate UNOのウェブサイト

CloudGate UNO(クラウドゲートウノ)は、1993年創業のインターナショナルシステムリサーチが自社開発で提供する、ゼロトラストの考え方にもとづいたID基盤(IDaaS)です。シングルサインオン(一度の認証で複数のクラウドサービスへアクセス)と認証強化を軸に、「アクセスを絞り、正しい人だけに渡す」領域を担います。

認証方式は、パスキー(FIDO2)によるパスワードレス認証やWindows Hello・Touch IDなどの生体認証に対応し、フィッシングに強い仕組みを全プランで無制限に使えます。アクセス制限は「端末・場所・時間」の3つの軸で細かく設定でき、私用端末からのアクセス禁止や時間帯による制御も可能です。

アカウントの作成・更新・削除を自動化するID管理機能も備え、誰がどのデータに触れられるかの統制を一元化できます。

パスワードに頼らない認証が、いま重視される背景について、提供元であるインターナショナルシステムリサーチの担当者は次のように述べています。

平澤氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部マーケティング部
平澤氏
独自インタビューより

当社が採用しているパスキーのパスワードレス認証は、フィッシング攻撃に対して非常に強い耐性を持ちます。SMS認証やワンタイムパスワードなどの一般的な多要素認証を突破する攻撃手法が顕在化する中、より安全な認証環境を提供します。

2. Eye"247" Work Smart Cloud(株式会社フーバーブレイン)

Eye"247" Work Smart Cloudのウェブサイト

東証スタンダード市場に上場する株式会社フーバーブレインが提供するEye"247" Work Smart Cloudは、3,000社以上が導入するクラウド型のPCログ管理サービスです。PCの操作ログから「誰が・いつ・どこで・どれだけ・何を操作したか」を1分間隔で記録・可視化し、「記録・監視」の領域を担います。

取得できるログは、WEB閲覧履歴・ファイル操作・印刷・USB使用履歴・クリップボード操作など多岐にわたり、個人情報を含むファイルの検知・追跡にも対応します。USBの書き込み制限や印刷枚数の制限といったデバイス制御で持ち出しを抑えつつ、OSバージョンなどの端末情報を自動取得するIT資産管理も1つのツールで扱えます。初期費用は無料で、契約台数に応じた1台あたりの月額従量制を採用しています。

3. Shadow Desktop(アップデータ株式会社)

Shadow Desktopのウェブサイト

PCにデータそのものを残さない「データレスクライアント」という仕組みで持ち出しを防ぐのがShadow Desktopです。アップデータ株式会社が2016年から提供する製品で、既存のWindows PCにインストールして使います。PC内のユーザーデータ(デスクトップ・ドキュメント・ピクチャ・ダウンロードの4領域)を外部ストレージへ自動的に退避し、PC本体にデータを残しません。

仮想デスクトップ(VDI)と違い、通常のPCと同じ操作感のまま利用できる点が特徴です。開いたファイルは暗号化された一時領域にのみ保存されるため、PCの紛失・盗難時にディスクを抜き取られても中身を読み取れない設計とされています。管理コンソールから端末の利用停止やキャッシュ削除も行えます。販売代理店を通じた提供が中心のため、導入はミーティングでの相談から始まります。

ここで紹介したのは、アクセス制御・操作ログ・持ち出し対策という代表的な領域の一例です。暗号化やバックアップ、ID管理まで含めて、社内セキュリティのサービスを守る対象別に整理して比較したい場合は、以下の記事が全体像の把握に役立ちます。

まとめ

データの活用と安全は、どちらかを諦める二者択一ではありません。守るべき対策を一式として把握し、データ分類を起点に優先順位をつけて進めれば、現場の活用を止めずにリスクを下げられます。生成AIで社内データを使う場面では入力データの扱いを確認し、個人情報は匿名加工・仮名加工の枠組みを使うことで、安全性を保ったまま活用の幅を広げられます。

本記事の対策一覧で自社を棚卸しし、手が回っていない領域が見つかったら、専用のツールで無理なく埋めていくのが現実的な進め方です。アクセス管理・操作ログ・データの持ち出し対策などは、それぞれ適したサービスの資料を取り寄せて比較検討してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. データセキュリティとは何ですか?

A. データセキュリティとは、企業が持つデータを不正アクセス・改ざん・消失から守り、必要なときに正しく使える状態を保つための取り組み全般です。

守る対象は「機密性(許可された人だけが使える)」「完全性(改ざん・破損がない)」「可用性(使いたいときにアクセスできる)」の3つ(頭文字でCIAと呼ばれます)に整理され、暗号化・アクセス制御・バックアップなどの各対策は、このいずれかの性質を守るために行います。

Q. データセキュリティ対策は何から始めればよいですか?

A. データセキュリティ対策は、まず「どこに・どんな重要データがあるか」を把握するデータ分類から始めるのが基本です。守る対象と優先度が定まらないままでは、以降の対策が過剰になって活用を妨げたり、重要なデータが手薄になったりします。

分類のあとは、アクセス制御・認証で触れられる人を絞り、暗号化、持ち出し制御・操作ログ、バックアップ・監視、従業員教育・体制づくりへと順に広げていくと、限られた人員と予算でも無理なく進められます。

Q. データセキュリティ対策に終わりはありますか?

A. データセキュリティ対策に終わりはなく、一度整備すれば完了するものではなく、継続的な見直しが前提です。攻撃の手口や扱うデータ、社内の体制は変化し続けるため、定期的な点検・訓練・ルールの更新を回し続けることが、長期的には最も有効な守りになります。「完璧な状態」を目指すよりも、変化に合わせて改善を続けられる仕組みづくりが重要です。

Q. データセキュリティとデータガバナンスは何が違いますか?

A. データセキュリティとデータガバナンスの違いは、ガバナンスが「データ活用のルールと責任を決める仕組み」であるのに対し、セキュリティはそのルールに沿ってデータを不正から守る技術・運用である点です。

ガバナンスで「誰が・何の目的で・どこまでデータを使ってよいか」という方針を定め、その方針を実際に支えて漏えいや改ざんを防ぐのがセキュリティ、という関係になります。両者は対立するものではなく、活用を安全に進めるための両輪です。

Q. セキュリティ対策が不十分なままデータ活用を進める最大のリスクは何ですか?

A. 最大のリスクは、情報漏えいによる社会的信用の失墜と法的責任、そして改ざん・破損したデータにもとづく誤った意思決定です。漏えいは損害賠償や行政対応につながるだけでなく、顧客離れという形で長く尾を引きます。さらにデータの完全性(正しさ)が崩れると、分析や生成AIの出力そのものが信頼できなくなり、せっかくのデータ活用が誤った経営判断を招く結果になりかねません。

Q. 中小企業でも大企業と同じレベルのデータセキュリティ対策が必要ですか?

A. 中小企業でも、個人情報や機密データを扱う以上、守るべき法的義務は企業規模にかかわらず生じます。個人情報保護法が事業者に求める安全管理措置の義務は、事業規模によって免除されるものではありません。一方で、すべてを一度にそろえる必要はなく、重要なデータの分類から着手し、優先順位をつけて段階的に整備していくのが現実的です。専任者を置きにくい場合は、不足領域を専用ツールで補うことで負担を抑えられます。

出典・参考資料(1件)

Q. 生成AIに社内データを入力しても大丈夫ですか?

A. 生成AIへの社内データ入力は、利用するサービスが入力内容を学習やログにどう扱うかを確認したうえで判断する必要があります。入力が外部の学習に使われたり保管されたりする仕様のサービスに機密情報をそのまま投入するのは避け、学習に使わない設定やプランを選ぶ、機密データはマスキングしてから渡す、といった対応が有効です。

社内向けにAIを構築する場合も、AIが参照できるデータの範囲と出力を閲覧できる人の範囲の両方を、通常の対策と同じくアクセス制御で管理します。

Q. 匿名加工情報と仮名加工情報は何が違いますか?

A. 匿名加工情報と仮名加工情報の違いは、匿名加工情報が「元の個人情報に復元できないレベルまで加工し、本人同意なく第三者提供・利活用できる」もの、仮名加工情報が「他の情報と照合しない限り個人を識別できない程度の加工で、原則として社内の分析・活用に使う」ものという点です。

仮名加工情報は復元不可までは求めない分だけ詳細な分析に向く反面、原則として第三者への提供はできません。外部提供まで視野に入れるなら匿名加工情報、社内での活用にとどめるなら仮名加工情報、と使い分けると整理しやすくなります。

出典・参考資料(2件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
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