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管理会計は中小企業にこそ必要?財務会計との違いと、何から始めるか・手法の選び方

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管理会計システム比較表(2026年版)

顧問税理士から毎月の試算表や決算書は届くのに、「この数字を経営にどう使えばいいのか」で手が止まっていないでしょうか。決算書は税務署や銀行に見せるための会計=財務会計の成果物で、日々の経営判断にそのまま使うには向いていない面があります。

そこで手がかりになるのが管理会計です。とはいえ「人も時間もないうちの規模で、本当にやる意味があるのか」「やるとして何から手をつければいいのか」で迷う方は少なくありません。大企業の教科書的な話に見えて、自社に引き寄せて考えにくいのも管理会計のとっつきにくさです。

この記事では、まず管理会計と財務会計の違いを対比で整理し、中小企業がやる意味、具体的な第一歩、代表的な手法の選び方、そしてExcel・会計ソフト・顧問税理士・専用ツールのどれで回すかまでを、数名から百名超まで幅のある中小企業の現実に合わせて解説します。数字が得意でなくても読み進められるよう、身の丈で小さく始める目安も添えました。

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管理会計とは?財務会計(税理士がやる決算)と何が違うのか

管理会計と財務会計は、目的も使う相手も違う会計です。違いを一目でつかめるよう、まず対比表で整理します。ここが分かると、決算書だけでは経営判断がしにくい理由も見えてきます。

観点財務会計(税理士がやる決算)管理会計
主な目的社外への報告(決算・納税・信用の説明)社内の意思決定・経営管理
主な利用者金融機関・取引先・株主・税務署など社外経営者・各部門の責任者など社内
扱う時間軸過去の実績過去の実績に加え、将来の予測・計画
ルール会社法・会社計算規則など制度に準拠各社が自由に設計できる
作成義務あり(会社法上の計算書類等)なし(任意で取り組む)

表のとおり、財務会計は社外への報告、管理会計は社内の意思決定のための会計です。この違いは、それぞれの拠りどころとなる公的な整理にもはっきり表れています。以下は、その裏づけです。

顧問税理士がまとめる決算=財務会計は、会社法上の計算書類を作り、社外へ会社の状態を報告するための会計です。中小企業向けの会計ルール「中小企業の会計に関する基本要領」(中小会計要領)は、目指す会計像を次のように示しています。

・ 中小企業の経営者が活用しようと思えるよう、理解しやすく、自社の経営状況の把握に役立つ会計
・ 中小企業の利害関係者(金融機関、取引先、株主等)への情報提供に資する会計
・ 中小企業の実務における会計慣行を十分考慮し、会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計

出典:中小企業の会計に関する基本要領 Ⅰ.総論 1.目的|中小企業の会計に関する検討会(事務局:中小企業庁・金融庁)

1つ目に「経営者が活用し、経営状況の把握に役立つ会計」とあるとおり、財務会計にも経営に生かす狙いはあります。ただし利害関係者への情報提供と会社計算規則への準拠を挙げる後段にこそ、制度に準拠し社外へ報告するという財務会計の本質が表れています。

だからこそ決算書は、過去の実績を決められた形式で社外に示すものになります。

一方の管理会計は、社内の経営管理や意思決定のための会計です。原価計算の基準を定めた「原価計算基準」は、原価計算の目的の一つに次を挙げています。

経営管理者の各階層に対して、原価管理に必要な原価資料を提供すること。

出典:原価計算基準 第一章 原価計算の目的|大蔵省企業会計審議会(1962年)

ここでいう原価管理とは、目標となる原価を定め、実際の発生額と比べて差の原因を分析し、改善につなげる一連の取り組みを指します。社外への報告ではなく経営管理者へ判断材料を届ける点に、管理会計の性格がよく表れています。

この違いは中小企業の経営にそのまま効いてきます。決算書は年に一度、過去を社外向けにまとめたものなので、「今月どの部門が儲かっているか」「あといくら売れば黒字か」といった目の前の判断には粒度が粗くなります。管理会計は、その足りない部分を自社のやり方で補う会計だと捉えると、後の話がつながります。

出典・参考資料(2件)

人も時間もない中小企業でも、管理会計をやる意味はあるのか

ここからは、限られた人手のなかで管理会計に取り組む意味を、「何が見えるようになるか」という角度で考えます。効果を大げさに語るのではなく、今見えていないものを一つずつ挙げていきます。

まず解けるのが、いわゆるどんぶり勘定です。会社全体では黒字でも、部門別・商品別に分けてみると、稼ぎ頭の利益を別の事業が食いつぶしているケースは珍しくありません。全体の決算書を眺めているだけでは、この構造は見えないままです。

次に、資金繰りの先が読みやすくなります。過去の実績だけでなく、この先の売上や費用の見込みを月単位で置いてみることで、「いつ資金が薄くなるか」を前もってつかめます。銀行や後継者、社員に説明するときの根拠にもなります。

管理会計がもたらすのは、こうした「経営状況が具体的に見えること」です。中小会計要領を解説した公的機関の資料も、「経営者が必要な財務情報を入手し、それに基づいて自社の経営状況を的確に把握することは、適切な経営判断の前提」であると述べています。

経営状況が具体的に把握できれば、自社の課題や問題が明確になり、経営改善や投資判断の的確性が高まる、とも公的機関は整理しています。部門別・商品別の採算や資金繰りの見通しをつかむことは、まさにこの「見える化」を管理会計で進める取り組みです。

人手が限られる会社ほど、こうして判断を勘に頼らずに済む効果は大きいといえます。

出典・参考資料(2件)

何から始めればいい?管理会計の第一歩と小さく始める目安

ここでは、最初の一歩を具体的に示します。「目的を明確にしてデータ基盤を整え運用する」といった抽象的な段取りではなく、今日から手をつけられる形に落とします。

おすすめの第一歩は、月次決算を早く締めることです。月次決算とは、毎月の営業成績や財政状態を明らかにするために毎月行う決算のことです。ここから生きた数字をつかめば、どのように手を打てばよいかがわかるようになります。決算を年に一度から毎月に変えるだけでも、月ごとに数字が出て打ち手を早く取れるようになります。

「早く締めるといっても正確に集計する時間がない」と感じるかもしれません。公的機関の実務解説では、会社全体の経営判断に使う数字なら、ある程度の概算で良いと割り切ってよいとされています。請求書の到着を待たずに概算で経費を計上する、月末在庫は予定原価率で計上するといった工夫でスピード化を図る方法が示されています。完璧さより早さを優先するのが、続けるコツです。

締める速さには段階で目標を置くとよいでしょう。まずは翌月15営業日以内を当面の目安にし、運用に慣れてきたら、後述するさくら住宅のように翌月1週目での月次決算をめざすとよいでしょう。最初から完璧を狙わず、少しずつ前倒しするのが長続きのコツです。

小さく始めるなら、次の3つを目安にしてみてください。いきなり全部をそろえる必要はありません。

  1. 月次決算を段階的に前倒しする:まず翌月15営業日以内、慣れたら翌月1週目を目安に、概算でよいので数字が出るまでの時間を縮めていきます。
  2. 部門や商品を2つほどに区切って損益を見る:会社全体を一気に細分化せず、気になる単位から分けてみましょう。
  3. 費用を変動費と固定費におおまかに分ける:後で出てくる損益分岐点の土台になります。

この3つが回り始めれば、管理会計の入口には立てています。数字の精度は、運用しながら少しずつ上げていけば十分です。

出典・参考資料(1件)

代表的な管理会計の手法と、自社の悩みにどれが効くか

ここからは、代表的な手法を見取り図として整理します。手法名を覚えることが目的ではありません。「何が分かるか」と「どの悩みに効くか」で対応づければ、自社に必要なものから選べます。

手法何が分かるかどの悩みに効くか
損益分岐点分析利益がゼロになる売上高。あといくら売れば黒字になるか「いくら売れば赤字を抜けられるか」の目安がない
月次決算毎月の営業成績と財政状態を、年度末を待たずに把握数字が出るのが遅く、打ち手が後手に回る
部門別会計部門・店舗・事業ごとの損益どの部門・商品で儲かり損しているかが見えない
予実管理予算(計画)と実績のズレと、その原因計画どおりに利益が出ているか確かめられない
直接原価計算変動費だけを製品原価に集計した限界利益製造・建設など原価がかさむ事業で採算が読めない

表の中の月次決算は、前の章で第一歩として挙げたものです。第一歩がそのまま代表的な手法の一つになっている、と捉えてください。残りの手法は、月次決算で見えた数字をさらに切り分けるためのものです。

まず押さえたいのが損益分岐点です。損益分岐点とは、利益がゼロ(売上高=総費用)となる売上規模を指します。計算には、売上に応じて増減する変動費と、売上に関係なく一定でかかる固定費を分ける必要があります。

身近な例では、仕入や外注費のように売上と連動して増える費用が変動費、家賃や人件費のように売上に関係なく毎月かかる費用が固定費にあたります。売上高から変動費を引いた限界利益が固定費を回収し、損益分岐点売上高は「固定費÷(1−変動費率)」で求められます。

たとえば固定費が月300万円、変動費率が60%の会社なら、損益分岐点売上高は300万円÷(1−0.6)=750万円となります。月の売上が750万円を超えれば黒字、下回れば赤字という目安が立ちます。この数字が分かると、値下げや増産の判断に根拠を持てます。

直接原価計算は、この限界利益の考え方を原価計算に組み込んだ手法です。原価計算基準でも、変動直接費および変動間接費のみを集計した直接原価(変動原価)が、最も重要な部分原価として位置づけられています。製造・建設・運送のように原価の割合が大きい事業ほど、効き目がはっきり出ます。

部門別会計と予実管理は、どちらも「どこで差が出ているか」を突き止める手法です。部門別に損益を分ければ稼ぎ頭と足を引っ張る事業が見え、予算と実績を突き合わせれば計画からのズレとその原因が見えます。自社の悩みが「儲けの構造が見えない」なら部門別会計から、「計画どおりに進んでいるか不安」なら予実管理から入るとよいでしょう。

予実管理は、達成率(%)より差額(金額)で見るほうが原因を追いやすくなります。たとえば、ある月の粗利益が予算1,000万円に対して実績900万円だったとします。「達成率90%」と見るより「差額▲100万円」と捉えるほうが、売った数量が足りなかったのか、値引きで単価が下がったのかという次の問いにつながります。

さらに単月だけでなく、期首からの累計で差額を追うのも有効です。一時的なブレなのか、放っておくと年間で効いてくる傾向なのかを見分けやすくなります。

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近い規模の中小企業で、管理会計を始めて何が変わったか

ここでは、近い規模の会社が実際にどう変わったかを見ておきます。手法や道具を選ぶ前に、到達イメージを持っておくと迷いにくくなります。

日経ビジネスが取材した住宅リフォーム会社のさくら住宅は、本記事が想定する数十名規模に近い会社です。年に一度の決算だけでは月内の採算が見えにくいのは、多くの中小企業に共通する悩みだといえます。

そのさくら住宅は、翌月1週目にはほぼ正確な月次決算を出し、朝礼で全従業員に印刷して配布しているといいます。変動があった項目などは社長自らが説明するそうです。決算を早く締める第一歩が根づくと、数字を経営陣だけで抱えず現場と共有するところまで進められることがわかります。

業種や悩みによって、効く手法は変わります。会計事務所の解説では、製造業・建設業・運送業など製造原価報告書がある業種は直接原価計算、多角化していれば部門別会計、計画の管理なら予実管理、と整理されています。自社に近い切り口を、前章の手法表から選んでみてください。

出典・参考資料(2件)

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管理会計をどう回す?Excel・会計ソフト・顧問税理士・専用ツールの選び方

ここからは、決めた第一歩を実際に何で回すかを整理します。選択肢はExcel、会計ソフトの管理会計機能、顧問税理士への相談、専用の予実管理・経営管理ツールの4つ。いきなり道具に飛びつかず、身の丈に合うところから考えるのが失敗しないコツです。

管理会計を回す手段を身の丈で段階的に上げる図解。段階1はExcel・スプレッドシートで費用をかけず小さく始め、属人化や式崩れが出たら次へ。段階2は会計ソフトの管理会計機能で部門別損益を見て、予実突合や見込みに届かなくなったら次へ。段階3は専用の予実管理・経営管理ツールで予算策定から予実突合・見込みまで継続的に回す。顧問税理士はどの段階でも何を見るべきかの相談相手。
手段向いている場面気をつけたい点
Excel・スプレッドシートまず費用をかけず小さく始めたい担当者に属人化しやすく、データが増えると集計ミスや更新漏れが出やすい
会計ソフトの管理会計機能すでに使う会計ソフトの延長で部門別損益などを見たい予算と実績の突合や将来の見込みまでは手が届きにくい場合がある
顧問税理士に相談財務会計は任せており、何を見るべきか助言がほしい日々の予実管理や社内の運用そのものは自社で回す必要がある
専用の予実管理・経営管理ツール予算策定から予実突合・見込みまで継続的に回したい費用がかかるため、内製では回らないと腹落ちしてから検討したい

多くの会社は、まずExcelで部門別損益や予実の表を作るところから始めます。費用がかからず自由に組める一方で、担当者しか触れない、月をまたぐと計算式が崩れる、といった悩みが出やすいのも事実です。

すでに会計ソフトを使っているなら、その管理会計機能を試す手もあります。freee会計・マネーフォワード クラウド・弥生会計といった主要ソフトの多くは、部門別の損益を集計する機能を備えています。ただし予算と実績の突合や将来の見込みまでとなると、物足りなさを感じる場面もあります。

Excelで予実管理表を組む手順や、予算と実績のズレを見る差異分析のやり方は、以下の記事で5ステップに分けて解説しています。まずは費用をかけず手元のExcelで試してみたい方は、あわせてご覧ください。

顧問税理士は財務会計の心強い相談相手です。月次決算の早期化のコツや試算表の読み方といった助言は相談しやすい一方、部門別損益の設計や日々の予実運用は自社が主体で回す前提になります。管理会計の相談が顧問契約の範囲に含まれるかは契約によるため、追加費用の有無も含めて確認しておくと安心です。

「Excelでの管理が限界に近い」「毎月の予実を続けて回したい」と感じ始めたら、予実管理に特化した専用ツールが選択肢に入ります。大切なのは、内製で足りているうちは無理に導入しないこと。手元の手段を試し切ったうえで検討すれば、道具に振り回されずに済みます。

専用ツールを検討する段階になったら、自社の段階に照らして見比べると選びやすくなります。脱Excelの入口として予実管理を回したい段階か、KPIまで統合して事業を数字で動かしたい成長段階か、で見るべきツールは変わります。どの製品がどの段階に向くかは、直後の比較表の「向いている規模・段階」の列で見比べてください。

以下の比較表で、主要な管理会計・予実管理ツールの特徴を整理します。ただし専用ツールの料金は要問い合わせが中心で、公開されている金額は多くありません。中小企業でも導入しやすい価格帯かどうかは、資料請求や問い合わせで必ず確認してください。

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サービス名DIGGLE(ディグル)X-KPI(クロスケーピーアイ)Scale Cloud(スケールクラウド)Manageboard
提供形態クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)
向いている規模・段階予実管理を専用ツールで本格的に回したい段階複数部門・拠点を持つ中堅〜大企業KPI統合まで進めたい成長段階(複数事業・IPO準備など)少人数〜1,500名以上のグループまで幅広く
得意な領域予実管理に特化(予算策定・予実突合・見込管理)予実管理+部門横断のKPI可視化・異常値の自動検知PLとKPIの一元管理・KPI積み上げ型の予算作成予算編成〜財務三表連動・業績シミュレーション
会計ソフト連携freee会計・マネーフォワード・勘定奉行クラウド・弥生会計ほか(API/CSV)会計ソフト・グループウェアとAPI連携(CSV取込は要確認)勘定奉行クラウド・freee・Salesforce・Googleスプレッドシート・CSVマネーフォワード クラウド会計・freee会計・勘定奉行クラウド(API)ほかCSV連携
料金の目安要問い合わせ(Standard/Enterpriseの2プラン)要問い合わせ月額10万円〜(初期費用は要問い合わせ)要問い合わせ(Standard/Essentialの2プラン)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見る

※2026年9月時点の各社公式情報にもとづく

1. DIGGLE(ディグル株式会社)

DIGGLE(ディグル)のウェブサイト

DIGGLEは、予実管理に特化したクラウドサービスです。予算策定・予実突合・見込(着地見込)管理・レポーティングという一連の業務をクラウド上で完結させ、Excel中心の運用で起きがちな属人化や集計の手間を減らすことを狙いとしています。「脱エクセルの予実管理」を掲げる、専用ツールの入口にあたる製品です。

会計システムからのデータ取り込みと予実突合を自動化できるのが強みで、freee会計・マネーフォワード クラウド・勘定奉行クラウド・弥生会計などとAPIやCSVで連携します。勘定科目より細かい粒度での損益管理や、複数年のトレンド分析、BIツールへのデータ出力にも対応します。

料金はStandardとEnterpriseの2プランで、いずれも要問い合わせです。まず予実管理を専用ツールでしっかり回したい会社に向いています。

2. X-KPI(株式会社パブリックアイデンティティ)

X-KPI(クロスケーピーアイ)のウェブサイト

複数の部門・拠点・プロジェクトごとのKPIと予実データをクラウド上に集約し、リアルタイムに可視化するのがX-KPIです。予算と実績のズレや異常値を自動で検知し、原因とともにチャットツールへ通知するため、差異分析を担当者の手作業だけに頼らずに済みます。

専門知識がなくてもKPI項目・レポート・ダッシュボードを設計・運用できる点も特徴で、全体目標と個別目標の関係をツリー構造で管理するKPIツリー機能を備えます。会計ソフトやグループウェアとのAPI連携により、既存のデータ基盤を活かした運用がしやすい設計です。料金は要問い合わせで、無料トライアルも用意されています。予実の管理に加えて、部門横断でKPIまで見える化したい会社に合います。

3. Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)

Scale Cloud(スケールクラウド)のウェブサイト

公認会計士である代表が、CFOやIPO支援などのコンサルティング経験をもとに開発したのがScale Cloudです。財務数値(PL・BS・CF)と非財務数値であるKPIを関連づけて一元管理し、予算の達成度と再現性を高めることをねらいとした経営管理クラウドです。「PLとKPIの一元化」を中心的な価値として掲げています。

商談数や成約率といったKPIを積み上げて予算を作れる点や、先行指標のKPIまで含めて事業をモデル化できる拡張性が持ち味です。導入時にはKPI設計のコンサルティングが伴走し、導入後も定期ミーティングで支援を受けられます。

料金は月額10万円からで、初期費用も必要になるため、他の3つより価格帯は上がります。単なる予実管理にとどまらず、KPIまで統合して事業を数字で動かしたい成長段階の会社に向いた選択肢です。

なぜPLだけでなくKPIまで一元管理するのか。その背景にある問題意識を、代表の広瀬氏は次のように語ります。

広瀬氏
株式会社Scale Cloud 代表取締役
広瀬氏
独自インタビューより

従来の管理会計では、財務データを部門別や得意先別など様々な切り口で分析するのですが、それだけでは「この結果にどうやって至ったのか」というプロセスがまったくわからないです。事業の状況を正しく理解するためには、結果だけでなくそこに至るプロセスも含めて把握しなければ、どこに問題があるのか見えてこない。これが管理会計の限界だと感じていました。そのプロセスを把握するために何を見ればいいかというと、KPIのデータになります。

4. Manageboard(マネーフォワードコンサルティング株式会社)

Manageboardのウェブサイト

Manageboardは、マネーフォワードグループのマネーフォワードコンサルティング株式会社が提供する予算管理・経営管理プラットフォームです。Excelやスプレッドシートに散らばったデータを一元管理し、予算編成・予実管理・着地見込み・財務分析・業績シミュレーションをクラウド上で完結させます。累計導入社数は10,000社を突破したと運営元が公表しています。

マネーフォワード クラウド会計・freee会計・勘定奉行クラウドといった会計ソフトとAPI連携し、実績データの取り込みを自動化できます。PL項目から配下のKPIへ掘り下げる分析や、財務三表の連動、ワンクリックの業績シミュレーションにも対応します。

少人数の事業から1,500名以上のグループまで幅広い規模をカバーし、料金はStandardとEssentialの2プランで要問い合わせです。すでに会計ソフトを使っていて、その延長で経営管理を広げたい会社と相性がよいでしょう。

出典・参考資料(1件)

ここで取り上げた以外にも、管理会計・予実管理を支えるツールは数多くあります。目的や会社の規模からタイプ別に選び方を整理したうえで主要サービスを比較したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

管理会計は、社外に見せる財務会計とは目的が異なる、社内の意思決定のための会計です。決められた形式や作成義務はなく、自社のやり方で自由に設計できます。だからこそ、人も時間も限られる中小企業でも、身の丈に合わせて小さく始められます。

第一歩は、月次決算を早く締めることです。そこに部門別の損益や予実管理を少しずつ足し、損益分岐点や直接原価計算で採算を読みます。回す手段はExcelから始め、内製で足りなくなったら会計ソフトや専用ツールを検討します。この順番で進めれば、無理なく管理会計を根づかせられます。まずは自社の悩みに一番効きそうな手法を一つ選ぶところから、始めてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 管理会計とは何ですか?

A. 管理会計とは、社内の経営判断や経営管理のために、会社が自由に設計して使う会計です。決算・納税のように社外へ報告する財務会計と違い、法律で定められた形式や作成義務はなく、部門別の損益や将来の見込みといった「経営に使える数字」を自社の目的に合わせて作れます。

Q. 管理会計と財務会計は何が違いますか?

A. 管理会計と財務会計の違いは「誰のための会計か」にあります。財務会計は金融機関や税務署など社外への報告が目的で作成義務があるのに対し、管理会計は経営者が社内の意思決定に使う任意の会計です。財務会計が過去の実績を決められた形式でまとめるのに対し、管理会計は将来の予測や部門別の損益まで自由に扱える点も大きな違いです。

Q. 管理会計は人も時間もない中小企業にも必要ですか?

A. 管理会計は、人も時間も限られる中小企業ほど取り組む価値があります。決められた形式や作成義務がなく、月次決算の早期化や部門を2つに分けた損益把握など、身の丈に合わせて小さく始められるためです。どんぶり勘定から抜け出し、どの部門・商品で儲かっているか、資金繰りがいつ苦しくなるかを、勘に頼らずつかめるようになります。

Q. 管理会計に法律上の作成義務はありますか?

A. 管理会計に法律上の作成義務はありません。会社法上の計算書類(決算書)を会社計算規則に準拠して作る財務会計と異なり、管理会計は各社が任意で、自由な形式で取り組む社内向けの会計です。義務がないぶん、自社に必要なことだけを無理のない範囲で始められます。

出典・参考資料(1件)

Q. 管理会計は何から始めればいいですか?

A. 管理会計は、月次決算を早く締めることから始めるのがおすすめです。年に一度の決算を毎月に変えるだけでも、月ごとに数字が出て打ち手を早く取れるようになります。最初は請求書の到着を待たず概算で計上してよいので、正確さよりスピードを優先します。慣れてきたら、気になる部門や商品を2つほどに分けて損益を見る、費用を変動費と固定費におおまかに分ける、と少しずつ広げていくとよいでしょう。

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Q. 管理会計はExcelだけでもできますか?

A. 管理会計はExcelでも始められますが、扱うデータが増えると限界が出やすい点には注意が必要です。費用をかけず自由に表を組めるため、部門別損益や予実の管理はまずExcelから始める会社が多くあります。一方で、担当者しか触れず属人化する、月をまたぐと計算式が崩れる、集計ミスが起きやすい、といった悩みが出てきたら、会計ソフトの管理会計機能や専用の予実管理ツールが選択肢に入ります。

Q. 管理会計は顧問税理士に頼めますか?

A. 顧問税理士は財務会計や「どの数字を見るべきか」の相談相手になりますが、日々の予実管理を社内で回す役割まで肩代わりしてくれるわけではありません。何を見るべきかの助言は受けつつ、月次決算の運用や予算と実績の突き合わせは自社で続ける前提で考えると、税理士に頼る範囲と自社で回す範囲を見極めやすくなります。

Q. 損益分岐点はどう計算しますか?

A. 損益分岐点売上高は「固定費÷(1−変動費率)」で計算します。損益分岐点とは、利益がゼロ(売上高=総費用)になる売上規模を指します。計算には費用を、売上に応じて増減する変動費と、売上に関係なく一定でかかる固定費に分ける必要があります。この数字が分かると、「あといくら売れば黒字か」「値下げや増産をどこまでできるか」といった判断に根拠を持てます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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