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固定残業代の計算方法をわかりやすく解説|手当型・組込型の計算式と超過分の計算例つき

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固定残業代(みなし残業代)を導入したり、すでにある固定残業代分の給与を計算し直したりするとき、まず必要になるのが「手当額を何時間分・いくらに設定するか」を自分で計算することです。求人票や雇用契約書にも金額と時間数を記載するため、担当者が計算式を正しく理解している必要があります。

固定残業代とは、一定時間分の時間外労働・休日労働・深夜労働に対して、実際の残業時間にかかわらず定額で前払いする割増賃金のことです。名称が「みなし残業手当」「営業手当」などでも、その実質が割増賃金の定額払いであれば固定残業代に当たります。

この記事では、固定残業代の基本の計算式と数字を入れた計算例から始め、時給換算のもとになる月平均所定労働時間の出し方、割増率の一覧、手当型と組込型の違い、固定分を超えたときの超過分の計算、運用上の注意点までを順番に解説します。

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固定残業代の計算方法【基本の計算式と数字入り計算例】

ここからは、固定残業代の金額を出す基本の計算式を、数字を入れた例とあわせて確認します。時間外労働分の固定残業代は、次の式で求めます。

固定残業代 = 1時間あたりの賃金 × 固定残業時間 × 割増率(1.25)

「1時間あたりの賃金」は、月給から一部の手当を除いた「基礎賃金」を月平均所定労働時間で割って求めます(基礎賃金の詳しい作り方と除外できる手当は後述します)。割増率の1.25(25%増し)は、時間外労働に対する割増賃金の割増率です。労働基準法第37条第1項は、時間外労働の割増賃金を「二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上」と定めており、通常の時間外労働は25%が下限です。

使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

出典:労働基準法 第37条|e-Gov 法令検索

たとえば、基本給20万円(ここでは家族手当などがなく、この額をそのまま基礎賃金とみなせる前提とします)・月平均所定労働時間160時間の従業員に、40時間分の固定残業代を設定する場合は、次のように計算します。

  • 1時間あたりの賃金:200,000円 ÷ 160時間 = 1,250円
  • 固定残業代:1,250円 × 40時間 × 1.25 = 62,500円
固定残業代の計算を2ステップで示した図解。STEP1で基礎賃金20万円を月平均所定労働時間160時間で割り1時間あたりの賃金1,250円を求め、STEP2で1,250円に固定残業時間40時間と割増率1.25を掛けて固定残業代62,500円を算出する流れ。

この従業員には、毎月40時間分の残業に相当する62,500円を固定残業代として支給します。実際の残業がこの40時間以内であっても満額を支払い、40時間を超えた月は超過分を別途支給します(超過分の計算は後述します)。上の例は基本給と固定残業代を分けて支払う「手当型」の考え方で、基本給に固定残業代を組み込む「組込型」では計算式が変わります(手当型と組込型の違いを参照)。

出典・参考資料(1件)

固定残業代(みなし残業代)とは?通常の残業代との違い

ここでは、通常の残業代との違いを整理します。厚生労働省の資料では、固定残業代は名称にかかわらず「一定時間分の時間外労働、休日労働および深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金」と説明されています。

「固定残業代」とは、その名称にかかわらず、一定時間分の時間外労働、休日労働および深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金のことです。

出典:固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク

通常の残業代は、実際に働いた残業時間を月ごとに集計して支払う「実績精算」です。これに対して固定残業代は、あらかじめ決めた時間数分をまとめて前払いする点が異なります。ただし前払いだからといって、それ以上は支払わなくてよいわけではありません。固定残業代はあくまで割増賃金の定額前払いであり、実際の残業が設定した時間を超えれば、超えた分の割増賃金を追加で支払う義務があります。

反対に、実際の残業が設定した固定残業時間に満たない月でも、固定残業代は減額せず満額を支給します。

出典・参考資料(1件)

1時間あたりの賃金と月平均所定労働時間の求め方

ここからは、計算式の各パーツを自社の数字で埋められるように、1時間あたりの賃金と、その計算に使う月平均所定労働時間の求め方を確認します。

月平均所定労働時間の算式

1時間あたりの賃金は、月給を「月平均所定労働時間」で割って求めます。月ごとに所定労働時間が変わるため、労働基準法施行規則第19条第1項第4号は、月給制の割増賃金の単価を「一年間における一月平均所定労働時間数」で除して求めると定めています。これを実際に計算する式が、次のものです。

月平均所定労働時間 = (365日 − 年間の所定休日日数)× 1日の所定労働時間 ÷ 12か月

1日の所定労働時間を8時間とすると、年間休日日数によって次のようになります。

  • 年間休日125日の場合:(365 − 125)× 8 ÷ 12 = 160時間
  • 年間休日120日の場合:(365 − 120)× 8 ÷ 12 = 約163.3時間

月平均所定労働時間が小さいほど1時間あたりの賃金は高くなり、固定残業代も高くなります。自社の就業規則に定めた年間休日と1日の所定労働時間を当てはめて計算してください。

出典・参考資料(1件)

基礎賃金と除外できる手当

1時間あたりの賃金を出す際の分子になるのが「基礎賃金」です。基礎賃金は、次の式で求めます。

1時間あたりの賃金 = (基本給 + 割増賃金の基礎に算入する諸手当)÷ 月平均所定労働時間

すべての手当を基礎に含めるわけではありません。労働基準法第37条第5項と同法施行規則第21条は、割増賃金の基礎となる賃金に算入しない手当を定めています。第37条第5項が家族手当と通勤手当を、施行規則第21条がそのほかの5つを挙げており、合わせて次の7種類です。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

法第三十七条第五項の規定によつて、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、同条第一項及び第四項の割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。/一 別居手当/二 子女教育手当/三 住宅手当/四 臨時に支払われた賃金/五 一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

出典:労働基準法施行規則 第21条|e-Gov 法令検索

ここで注意したいのは、この7種類は限定列挙であり、除外できるのはこれらの手当だけという点です。たとえば役職手当や精皆勤手当は、名称が「手当」でもこの7種類に含まれないため、基礎賃金に算入します。「手当だから除外できる」と考えて誤って除くと、1時間あたりの賃金が小さくなり、固定残業代や超過分の残業代が不足する原因になります。

また、家族手当・通勤手当・住宅手当でも、扶養家族数や通勤距離などに関係なく一律に支給されているものは、名称にかかわらず基礎賃金に算入すると解されています。

出典・参考資料(2件)

固定残業代に関わる割増率の一覧

ここでは、固定残業代の計算で使う割増率を種類ごとに整理します。固定残業代を「何時間分」に設定するかによって、どの割増率を使うかが変わります。主な割増率は次のとおりです。

労働の種類割増率主な根拠
時間外労働(法定労働時間を超える労働)25%以上労働基準法 第37条第1項
時間外労働のうち月60時間を超える部分50%以上労働基準法 第37条第1項ただし書
深夜労働(22時〜翌5時)25%以上労働基準法 第37条第4項
法定休日労働35%以上労働基準法第37条第1項にもとづく政令
時間外労働+深夜労働(重複)50%以上労働基準法施行規則 第20条
法定休日労働+深夜労働(重複)60%以上労働基準法施行規則 第20条
月60時間超の時間外労働+深夜労働(重複)75%以上労働基準法施行規則 第20条

時間外労働と深夜労働のように、複数の割増が重なる時間帯は、それぞれの割増率を足して計算します。たとえば時間外労働が深夜に及んだ場合は、時間外の25%と深夜の25%を合わせて50%以上になります。

固定残業代に深夜分や休日分も見込む場合は、その時間帯の割増率を使い、同じように「1時間あたりの賃金 × 見込む時間 × 割増率」で計算して合算します。

とくに見落としやすいのが、月60時間を超える時間外労働の割増率です。以前は月60時間超50%の割増は大企業のみが対象でしたが、働き方改革関連法(平成30年法律第71号)による猶予措置の廃止により、2023年4月1日からは中小企業にも適用されています。固定残業時間を月60時間近くに設定している場合は、超過分に50%以上の割増率がかかる点に注意してください。

中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が50%になります/2023年4月1日から労働させた時間について、割増賃金の引き上げの対象となります。

出典:月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます(2023年4月1日から)|厚生労働省
出典・参考資料(3件)

手当型と組込型|2つの計算方法の違い

固定残業代の計算方法には、基本給と固定残業代を分けて支払う「手当型」と、基本給の中に固定残業代を組み込む「組込型」の2つがあります。自社がどちらの方式かによって計算式が変わるため、分母の違いに注意が必要です。まず2つの式を並べて確認します。

方式考え方固定残業代の計算式
手当型基本給とは別に、固定残業手当として上乗せして支払う(基本給 ÷ 月平均所定労働時間)× 固定残業時間 × 1.25
組込型提示した基本給(月給)の中に固定残業代を含める基本給 ÷ {月平均所定労働時間 +(固定残業時間 × 1.25)}×固定残業時間 × 1.25

組込型の分母に「固定残業時間 × 1.25」を足すのは、提示した基本給の中に、通常の労働時間分の賃金と固定残業代分がまとめて含まれているためです。分母に固定残業分を加えることで、まず通常の労働時間あたりの単価を求め、それをもとに固定残業代を算出します。手当型と同じ分母で計算すると、通常賃金部分と固定残業代部分の切り分けがずれてしまいます。

固定残業代の手当型と組込型で分母が異なることを示した比較図。手当型は分母が月平均所定労働時間の160時間。組込型は提示した基本給に固定残業代を含めるため分母が月平均所定労働時間に固定残業時間×1.25を足した160+(40×1.25)=210時間になる。

手当型の計算例

手当型は、先ほど基本の計算式で求めた固定残業手当を、基本給に上乗せして支払う形です。同じ例(基本給20万円・月平均所定労働時間160時間・40時間分)では、総支給額まで含めると次のようになります。

  • 1時間あたりの賃金:200,000円 ÷ 160時間 = 1,250円
  • 固定残業手当:1,250円 × 40時間 × 1.25 = 62,500円
  • 総支給額:200,000円 + 62,500円 = 262,500円

組込型の計算例

月給30万円の中に40時間分の固定残業代を組み込む場合(月平均所定労働時間160時間)は、次のようになります。

  • 分母:160時間 +(40時間 × 1.25)= 210時間
  • 1時間あたりの賃金:300,000円 ÷ 210時間 ≒ 1,428.57円(途中は端数を丸めずに計算します)
  • 固定残業代:1,428.57円 × 40時間 × 1.25 ≒ 71,429円(月給30万円のうち約71,429円が固定残業代、残り約228,571円が通常賃金)

組込型は、提示する月給の総額は変えずに固定残業代を明確化できる一方、通常賃金部分と固定残業代部分の区分を就業規則や賃金規程ではっきり示す必要があります。区分があいまいだと、後述する有効要件を満たさず、固定残業代が無効と判断されるリスクがあります。

固定残業時間を超えた場合の超過分の計算

固定残業代は、あくまで設定した時間数分の割増賃金を前払いするものです。実際の残業がその時間を超えた月は、超えた分の割増賃金を別途支払う必要があります。「固定残業代を払っているから追加は不要」という運用は、割増賃金の未払いにつながります。超過分は次の式で計算します。

超過分の残業代 = 1時間あたりの賃金 ×(実際の残業時間 − 固定残業時間)× 割増率

先ほどの手当型の例(1時間あたりの賃金1,250円・固定残業時間40時間)で、ある月の実際の残業時間が50時間だった場合は、次のように計算します。

  • 超過した残業時間:50時間 − 40時間 = 10時間
  • 超過分の残業代:1,250円 × 10時間 × 1.25 = 15,625円

この月は、固定残業代62,500円に加えて、超過分15,625円を追加で支給します。超過分に深夜労働や法定休日労働が含まれる場合は、その時間帯に応じた割増率(深夜なら合計50%、法定休日なら35%など)を使います。実際の残業時間を正確に把握できていないと超過分を計算できないため、勤怠管理で残業時間を集計する仕組みが前提になります。

固定残業代の運用で押さえる注意点

ここでは、固定残業代を求人票や給与に反映する際に押さえておきたい注意点を、無効リスク・最低賃金・端数処理・明示の4点に分けて解説します。

有効となる要件(明確区分性・対価性)と無効リスク

固定残業代が有効と認められるには、判例上、大きく2つの要件が求められます。1つ目は「明確区分性」で、通常の労働時間の賃金に当たる部分と、割増賃金に当たる部分を判別できることです。最高裁は、割増賃金をあらかじめ基本給などに含めて支払う場合について、次のように判断しています。

割増賃金をあらかじめ基本給等に含める方法で支払う場合においては,…労働契約における基本給等の定めにつき,通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要であり…上記割増賃金に当たる部分の金額が労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回るときは,使用者がその差額を労働者に支払う義務を負う

出典:最高裁判所第二小法廷 平成29年7月7日判決(医療法人社団康心会事件)|裁判所

2つ目は「対価性」で、その手当が実際に時間外労働などの対価として支払われていることです。最高裁は、手当が時間外労働の対価かどうかは、契約書の記載内容のほか、使用者の説明内容や実際の労働時間の状況などを考慮して判断すべきとしています。

雇用契約においてある手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされているか否かは,雇用契約に係る契約書等の記載内容のほか,具体的事案に応じ,使用者の労働者に対する当該手当や割増賃金に関する説明の内容,労働者の実際の労働時間等の勤務状況などの事情を考慮して判断すべきである。

出典:最高裁判所第一小法廷 平成30年7月19日判決(日本ケミカル事件)|裁判所

これらの要件を満たさないと、固定残業代を支払っていても割増賃金を支払ったとは認められず、あらためて割増賃金の未払いを請求されるおそれがあります。就業規則や雇用契約書で、固定残業代の金額・対応する時間数・通常賃金との区分を明確に示しておくことが重要です。

出典・参考資料(2件)

基本給が最低賃金を下回らないかの確認

最低賃金額以上の賃金を支払っているかを判断する際、時間外・休日・深夜の割増賃金(固定残業代を含む)は比較の対象から除かれます。そのため、固定残業代を除いた基本給部分だけで、時間あたりの金額が最低賃金額を上回っている必要があります。組込型で基本給の中に固定残業代を組み込んでいる場合は、組み込み後の通常賃金部分が最低賃金を下回っていないかをとくに確認してください。

たとえば前述の組込型の例では、通常賃金部分の約228,571円を月平均所定労働時間160時間で割ると時給は約1,429円となり、これが事業所に適用される地域別最低賃金額を上回っているかを確認してください。

最低賃金は毎年改定されるため、改定のたびに見直しが必要です。

出典・参考資料(1件)

端数処理の考え方

残業代の計算では端数が生じますが、事務を簡便にするための一定の端数処理は認められています。厚生労働省の通達では、1か月における時間外労働・休日労働・深夜業の各時間数の合計に1時間未満の端数がある場合、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる処理などが、労働基準法違反として扱われないとされています。

1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。

出典:賃金計算の端数の取扱い(昭和63年3月14日 基発第150号)|厚生労働省 愛知労働局

ここで認められているのは、あくまで「1か月の合計」に対する端数処理です。日々の残業時間を都度切り捨てる(たとえば毎日5分の残業を切り捨てる)ような処理は、賃金の全額払いの原則に反し違法になります。また、1時間あたりの賃金額や割増賃金額に円未満の端数が出た場合に、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げる処理も、同じ通達で認められています。

出典・参考資料(1件)

求人票・雇用契約書・就業規則への明示

固定残業代を採用する場合、求人票や募集要項、雇用契約書に、その内容を明示する必要があります。労働契約の締結時には労働基準法第15条にもとづく労働条件の明示が、求人・募集時には職業安定法第5条の3にもとづく労働条件の明示が求められます。とくに求人票では、厚生労働省が次の3項目すべてを明示するよう求めています。

固定残業代制を採用する場合は、募集要項や求人票などに、次の①~③の内容すべてを明示してください。/① 固定残業代を除いた基本給の額/② 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法/③ 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨

出典:固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク

金額・時間数だけでなく、「超過分は別途支給する」という3つ目の項目まで明示することが求められています。これらが不明確だと、前述の有効要件(明確区分性・対価性)を満たさないと判断されるリスクが高まります。

出典・参考資料(3件)
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給与計算ソフトで固定残業代の計算を自動化する

ここまで見てきたとおり、固定残業代の計算では、基礎賃金からの単価算出、割増率の使い分け、超過分の計算、最低賃金や割増率改定への対応など、確認すべき項目が多くあります。従業員ごとに毎月これを手作業やExcelで行うと、除外手当の判定ミスや割増率の適用漏れが起きやすくなります。手当項目の設定や勤怠データからの給与計算を給与計算ソフトに任せると、こうした負担とミスを減らせます。

下記では、固定残業代の運用に関わる観点から、給与計算ソフトの特徴を整理しています。

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比較項目弥生給与 Next
提供会社弥生株式会社
提供形態クラウド型
手当項目のカスタマイズ●明細項目の作成・カスタム計算式に対応
勤怠データ連携●弥生勤怠 Next(KING OF TIMEのOEM)と連携
法令改正への自動対応●「法令改正にも自動対応」と公式訴求
対象規模300名未満の中小企業(公式訴求)
初期費用0円
月額費用750円〜7,000円(税抜・年契約の月あたり換算)
無料トライアル●初回申込限定・最大2か月間(ベーシックプラス相当)
詳細情報公式資料を見る

1. 弥生給与 Next(弥生株式会社)

弥生給与 Next の公式サイト

弥生給与 Nextは、会計ソフトで知られる弥生株式会社が提供するクラウド型の給与計算ソフトです。公式サイトでは「300名未満の中小企業」向けと位置づけられ、給与・賞与計算からWeb給与明細の配信、年末調整、法定調書の作成までをカバーします。給与計算業務を初めて内製化する中小企業も主な対象としています。

固定残業代の運用では、明細項目のカスタマイズが役立ちます。公式の機能一覧では「『住宅手当』や『役職手当』など、給与(賞与)明細に必要な明細項目を作成できます。また、カスタム計算式を使用すると事業所に合わせた独自の計算式も設定可能です」と説明されており、固定残業手当のような手当項目を追加して毎月の給与計算に組み込めます。

また、弥生の勤怠管理システム(弥生勤怠 Next)で集計した勤怠データを給与計算に自動反映できるため、実際の残業時間の把握と給与への反映を一連の流れで扱えます。時間外労働の上限規制などの法改正にも無料かつ自動で対応するとされており、割増率の改定にも追従しやすい点が特徴です。

料金は年契約の月あたり換算で750円〜7,000円(税抜、プランにより異なる)、初期費用は0円で、初回申込限定・最大2か月間の無料体験プランも用意されています。

弥生給与 Next のほかにも給与計算ソフトは多数あります。固定残業代の手当設定や割増率の改定対応も含めて、機能・料金・対象規模で各製品を比較検討したい場合は、次の記事で13製品の選び方を詳しく解説しています。

まとめ

固定残業代は、「1時間あたりの賃金 × 固定残業時間 × 割増率」で計算します。1時間あたりの賃金は、基礎賃金を月平均所定労働時間で割って求め、家族手当や通勤手当など7種類の手当は基礎賃金から除外します。基本給と手当を分ける手当型か、基本給に組み込む組込型かで分母が変わる点、そして実際の残業が固定分を超えた月は超過分を別途支給する点が、計算でとくに間違えやすいポイントです。

あわせて、明確区分性・対価性という有効要件、最低賃金を下回らないかの確認、求人票への明示など、運用面の注意点も押さえておく必要があります。手作業での計算に負担や不安を感じる場合は、手当項目の設定や勤怠データからの給与計算を自動化できる給与計算ソフトの導入も検討してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 固定残業代(みなし残業代)とは何ですか?

A. 固定残業代(みなし残業代)とは、一定時間分の時間外労働・休日労働・深夜労働に対して、実際の残業時間にかかわらず定額で前払いする割増賃金のことです。「みなし残業手当」「営業手当」などの名称でも、その実質が割増賃金の定額払いであれば固定残業代に当たります。あくまで割増賃金の定額前払いにすぎないため、実際の残業が設定した時間を超えた月は、超えた分の割増賃金を追加で支払う必要があります。

出典・参考資料(1件)

Q. 固定残業代は手当型と組込型のどちらで計算すればよいですか?

A. 固定残業代は、基本給とは別に手当として上乗せするなら手当型、提示した基本給(月給)の中に含めるなら組込型で計算します。手当型は「基本給 ÷ 月平均所定労働時間 × 固定残業時間 × 1.25」で求めますが、組込型は基本給の中に通常の労働時間分の賃金と固定残業代分がまとめて含まれるため、分母に「固定残業時間 × 1.25」を足して単価を出す点が異なります。

どちらの式を使うかは、自社の賃金規程で固定残業代をどう位置づけているかによって決まります。

Q. 固定残業代の計算で、役職手当や住宅手当は基礎賃金から除外できますか?

A. 役職手当や精皆勤手当は基礎賃金から除外できず、住宅手当も一律に支給しているものは除外できません。割増賃金の基礎から除外できるのは、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金の7種類に限られる限定列挙で、これ以外の手当はすべて基礎賃金に算入します。

住宅手当などでも、扶養家族数や住宅費用に関係なく一律に支給しているものは、名称にかかわらず基礎賃金に含めます。誤って除外すると1時間あたりの賃金が小さくなり、固定残業代や超過分の残業代が不足する原因になります。

出典・参考資料(2件)

Q. 固定残業代を払っていれば、追加の残業代は支払わなくてよいですか?

A. 固定残業代を支払っていても、実際の残業が設定した固定残業時間を超えた月は、超えた分の割増賃金を追加で支払う必要があります。固定残業代は一定時間分の割増賃金を定額で前払いするものであり、その時間を超えた残業まで免除する仕組みではありません。超過分は「1時間あたりの賃金 ×(実際の残業時間 − 固定残業時間)× 割増率」で計算します。

「固定残業代を払っているから追加は不要」という運用は、割増賃金の未払いになります。

出典・参考資料(1件)

Q. 固定残業代を求人票に記載するときの注意点は何ですか?

A. 固定残業代を求人票に記載するときは、①固定残業代を除いた基本給の額、②固定残業代に関する労働時間数と金額などの計算方法、③固定残業時間を超える時間外労働などには割増賃金を追加で支払う旨、の3項目すべてを明示します。厚生労働省は募集要項・求人票にこの3点をすべて示すよう求めており、金額と時間数だけでなく「超過分は別途支給する」という3つ目の項目まで書く必要があります。

これらが不明確だと、通常賃金と割増賃金部分を判別できず、固定残業代が無効と判断されるリスクが高まります。

出典・参考資料(2件)

Q. 固定残業代はどのような場合に無効になりますか?

A. 固定残業代は、通常の賃金部分と割増賃金部分を判別できない場合(明確区分性を欠く場合)や、その手当が時間外労働などの対価として支払われていると認められない場合(対価性を欠く場合)に無効と判断されます。最高裁も、割増賃金を基本給などに含めて支払うには両部分を判別できることが必要で、判別できる割増賃金部分が法定の額を下回るときは使用者が差額を支払う義務を負うとしています。

無効と判断されると、固定残業代を払っていても割増賃金を支払ったとは認められず、あらためて未払い分を請求されるおそれがあるため、就業規則や雇用契約書で金額・対応する時間数・通常賃金との区分を明確にしておくことが重要です。

出典・参考資料(2件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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