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電子請求書とは?電子帳簿保存法・インボイス制度への対応とメリット・導入の進め方をわかりやすく解説

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クラウド請求書発行システム比較表(2026年版)

取引先とのやり取りで「請求書を電子化しませんか」と打診されたり、電子帳簿保存法やインボイス制度の話題を耳にして、自社も紙の請求書を見直すべきか気になっている経理担当の方は多いのではないでしょうか。郵送や押印の手間、毎月の切手代、過去の請求書を探す時間を減らしたいという動機も重なります。

一方で、「そもそも電子請求書とは何を指すのか」、今やっているPDFのメール送付も電子請求書に当たるのか、電子帳簿保存法やインボイス制度で自社は何をいつまでにやる義務があるのか——こうした点が曖昧なままだと、切り替えの判断に踏み出しにくいものです。

本記事では、電子請求書の定義と「どこまでが電子請求書か」の線引きから、電子帳簿保存法・インボイス制度との関係、保存要件、メリット・デメリット、送付方法の違い、導入の進め方までを整理します。制度の「いつから・何が義務か・発行側と受領側で何が違うか」まで、具体的に確認できるようにまとめました。

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電子請求書とは?定義と「どこまでが電子請求書か」の線引き

電子請求書とは、請求書に記載する取引情報を紙に印刷せず、電子データのままやり取りする請求書のことです。PDFなどのデータとして作成し、メールやWeb、システム連携を通じて送付・受領し、電子データのまま保存します。

判断に迷いやすいのが「どこまでが電子請求書か」という線引きです。電子帳簿保存法では、取引情報を電子データで授受する取引を「電子取引」と定義しています。メールへのPDF添付も、Web上での受け渡しも、EDIなどのシステム連携も、この電子取引に当たります。

「電子取引」とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいいます(法2五)。(中略)具体的には、いわゆるEDI取引、インターネット等による取引、電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます。)、(中略)インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引等をいいます。

出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)問2|国税庁

このように、「今やっているPDFのメール送付」も電子請求書(電子取引)に含まれます。一方で、取引先から紙で受け取った請求書をスキャンしてPDF化する行為は、電子取引ではなく「スキャナ保存」という別の制度の対象です。授受の時点で電子だったか紙だったかによって、適用される制度が分かれる点を押さえておくと、自社のどのやり取りがどの制度に当たるかを整理しやすくなります。

電子取引とスキャナ保存の線引きを示す図。授受の時点が電子か紙かで適用される制度が分かれることを示す。左は電子データで授受した場合(メール添付PDF・Web上の受け渡し・EDI等)で、電子取引に当たり電子データのまま保存する。右は取引先から紙で受け取ってスキャンしてPDF化した場合で、スキャナ保存という別の制度の対象になる。

電子請求書に関わる法制度(電子帳簿保存法・インボイス制度)

ここからは、電子請求書を扱ううえで押さえておきたい2つの制度、電子帳簿保存法とインボイス制度について、「いつから・何が義務か・発行側と受領側で何が違うか」を確認します。

電子帳簿保存法との関係(いつから・何が義務か・発行側と受領側の違い)

電子帳簿保存法のうち、電子請求書に直接関わるのが「電子取引」のルールです。電子データで授受した取引情報は、電子データのまま保存しなければならないと定められています。

所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税の保存義務者が取引情報(注文書、領収書等に通常記載される事項)を電磁的方式により授受する取引(電子取引)を行った場合には、その取引情報を電磁的記録により保存しなければならないという制度です(法7)。

出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)問1|国税庁

「いつから義務か」は、時系列を分けて理解すると正確です。電子取引データを電子のまま保存する義務自体は、令和3年度の税制改正により2022年(令和4年)1月1日から始まっています。このとき、電子データを紙に出力して保存する代替措置が廃止されました。

ただし、2022年1月1日から2023年(令和5年)12月31日までは「宥恕措置」により、事実上これまでどおり書面に出力して保存することも認められていました。この宥恕措置が2023年末で終了し、2024年(令和6年)1月1日以降は、原則どおり電子データのまま保存することになっています。

2024年1月以降も、(終了した宥恕措置とは別の)新しい猶予措置があります。「相当の理由」があると所轄税務署長が認める場合に、一部の要件を緩和するものです。ただしこれは電子データの保存を前提とした緩和であって、電子データに代えて書面だけで保存してよいという意味ではありません。「2024年以降は紙に戻してよい」と誤解しないよう注意が必要です。

義務の対象は、請求書を発行する側と受領する側の双方です。自社が発行した請求書データの控えも、取引先から受領した請求書データも、電子取引で授受したものは電子データとして保存する対象になります。

対応しないまま放置した場合のリスクも押さえておきましょう。国税庁は、電子取引データを要件に従って保存していない場合は青色申告の承認の取消対象となり得ると説明しています(取消しは違反の程度などを総合勘案して判断され、直ちに行われるものではありません)。税務調査で指摘を受ける可能性もあるため、早めに保存体制を整えておくと安心です。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)問1・問13・問19・問88|国税庁(リンク)

インボイス制度との関係(適格請求書の記載事項・電子インボイス)

もう一つ押さえたいのがインボイス制度(適格請求書等保存方式)です。2023年(令和5年)10月1日に始まり、買い手が仕入税額控除を受けるには、原則として売り手が交付する「適格請求書(インボイス)」の保存が必要になりました。適格請求書には、次の事項を記載します。

①書類作成者の氏名または名称および登録番号/②取引年月日/③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)/④税率ごとに区分して合計した税込対価(又は税抜対価)の額及び適用税率/⑤税率ごとに区分した消費税額等/⑥書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

出典:タックスアンサー No.6625「適格請求書等の記載事項」|国税庁

この適格請求書は、紙で交付する代わりに電子データで提供することも認められています。電子データで提供するものがいわゆる「電子インボイス」です。売り手は紙の適格請求書の交付に代えて電磁的記録を提供でき、受け取った買い手は、その電磁的記録を電子帳簿保存法の電子取引データの保存要件に従って保存することで、仕入税額控除の適用を受けられます。

ここで、インボイス制度と電子帳簿保存法がつながります。電子で受け取った適格請求書は、次章の保存要件(真実性・可視性)を満たす形で保存する必要があるためです。

出典・参考資料(2件)
  • 出典:タックスアンサー No.6625「適格請求書等の記載事項」|国税庁(リンク)
  • 出典:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問102|国税庁(リンク)

電子帳簿保存法に則った電子請求書の保存要件

電子取引で授受した請求書データは、ただ保存すればよいわけではなく、「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの要件を満たす必要があります。

電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存等に当たっては、真実性や可視性を確保するための要件を満たす必要があります(規則2②一イ 、二、⑥五、六、4①)。

出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)問18|国税庁
電子取引データの保存要件を示す図。電子で授受した請求書は真実性と可視性の両方を満たして保存する。真実性の確保は次の4つのうちいずれか1つの措置を行う:タイムスタンプ付きの取引情報を授受する/授受後すみやかにタイムスタンプを付す/訂正・削除の履歴が残るか訂正・削除できないシステムで授受・保存する/正当な理由のない訂正・削除を防ぐ事務処理規程を定めて運用する。可視性の確保はすべて必要で、見読可能装置(ディスプレイ・プリンタ等)の備え付けと、検索機能の確保(日付・金額・取引先で検索/範囲指定/項目の組み合わせ)を行う。

真実性の確保(タイムスタンプ・訂正削除履歴・事務処理規程)

真実性の確保とは、保存したデータが後から改ざんされていないことを担保する仕組みです。次の4つのうち、いずれかの措置を行うこととされています。

  • タイムスタンプが付された後の取引情報を授受する
  • 取引情報を授受した後、速やかに(またはその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す
  • データの訂正・削除を行った場合にその記録が残るシステム、または訂正・削除ができないシステムを利用して授受・保存する
  • 正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定め、運用する

タイムスタンプや専用システムを持たない事業者でも、4つ目の事務処理規程を整備する方法であれば対応できます。国税庁は法人向けの規程サンプルを公開しており、これを自社に合わせて整えることで真実性の要件を満たせます。

可視性の確保(検索機能)と保存期間

可視性の確保とは、保存したデータを必要なときに確認・検索できる状態にしておくことです。具体的には、ディスプレイやプリンタなどの見読可能装置を備え付けたうえで、検索機能を確保します。検索機能の記録項目は次のとおりです。

⑴ 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索の条件として設定することができること。/⑵ 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。/⑶ 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。

出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)問48|国税庁

保存期間は、法人の場合は原則7年です。適格請求書発行事業者が交付した適格請求書の写しや提供した電磁的記録についても、7年間の保存が必要とされています。

この7年は、請求書を発行・受領した日からではなく、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から数えます。たとえば3月決算の法人が2024年10月に電子請求書を発行・受領したとします。

この請求書が属する事業年度は2024年4月1日〜2025年3月31日で、確定申告書の提出期限は原則、事業年度終了日の翌日から2か月以内(3月決算なら2025年5月31日)です。その翌日にあたる2025年6月1日が起算日となり、保存期間は2032年5月31日までとなります。そのため、同じ事業年度に授受した請求書は保存期限が揃い、まとめて同じ期限まで保管できます。

いま多くの会社が行っている「請求書PDFをメールで受け取って保存する」運用でも、これらの要件は満たせます。国税庁は、専用システムがない場合でも次の方法で保存できると示しています。

  1. 請求書データ(PDF)のファイル名に、日付・取引先・金額を規則性をもって表示する(例:「20210131_㈱霞商店_110000」)
  2. 「取引の相手先」や「各月」などの任意のフォルダに整理して格納する
  3. 訂正・削除の防止に関する事務処理規程を作成して備え付ける

ファイル名の付け方・フォルダ整理・事務処理規程の3点を整えれば、今のPDFメール運用のままでも要件を満たせます。さらに、おおむね2期前(判定期間に係る基準期間)の売上高が5,000万円以下で、税務調査の際にデータのダウンロードの求めに応じられる場合は、検索機能の確保自体が不要になります。自社の売上規模や件数に応じて、どこまで仕組み化するかを判断するとよいでしょう。

出典・参考資料(2件)
  • 出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)問17・問18・問19・問33・問48|国税庁(リンク)
  • 出典:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁(リンク)

電子請求書を導入するメリット・デメリット

ここからは、電子請求書に切り替えることで得られるメリットと、導入前に押さえておきたいデメリット・注意点を、発行側と受領側に分けて整理します。

導入するメリット(発行側・受領側)

発行側の最も分かりやすい効果は、印刷・封入・郵送にかかる手間とコストの削減です。日本郵便は2024年10月1日に料金を改定し、25グラム以下の定形郵便物は84円から110円に引き上げられました。毎月まとまった通数を郵送している会社ほど、電子化による郵送コストの削減幅は大きくなります。

どの程度の削減につながるかは、送付している帳票の件数によって変わります。請求書関連サービスを提供するマネーフォワードは、導入企業での削減効果を次のように説明しています。

栗本賢人氏
株式会社マネーフォワード SMB本部 パートナービジネス部 部長 兼 パートナーアライアンス室 事業開発担当
栗本賢人氏
独自インタビューより

船井総研デジタル様では請求書発行コストの30%削減、メイコー様では債権関連業務の約3割の工数削減、奈良機械製作所様では月間33時間以上の郵送業務削減といった成果が出ています。

一番わかりやすい効果は、郵送や紙で行っていた送付業務をデジタルに置き換えることによる業務コストと郵送コストの削減です。送付していた帳票の件数が多いほど、導入効果は大きくなります。

このほか発行側では、請求書の発行・再発行・修正がデータ上で完結するため処理が速くなること、出社しなくても発行できるためテレワークに対応しやすくなること、郵便事故による未着を減らせることなどが挙げられます。

受領側にとっても、受け取った請求書の保管・検索がデータ上で済むため、ファイリングや保管スペースの負担が軽くなります。前章の検索機能を備えておけば、過去の請求書を取引先名や金額からすぐに探し出せる点も実務上の利点です。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:郵便料金の改定について(2024年6月13日プレスリリース・内国郵便料金表)|日本郵便(リンク)

導入前に押さえるデメリット・注意点(発行側・受領側)

発行側の注意点は、すべての取引先が電子での受け取りに対応できるとは限らないことです。紙を希望する取引先には個別対応が必要になり、しばらくは紙と電子が混在する運用になります。社内でも、発行フローや承認手順の見直し、システムを導入する場合の費用が発生します。

受領側で特に重要なのが、受け取った請求書データを電子帳簿保存法の要件(真実性・可視性)に従って保存する体制づくりです。加えて、データの誤送信や情報漏えいを防ぐセキュリティ対策も欠かせません。これらは手間ではありますが、前章のとおり事務処理規程やファイル名の工夫で対応できる部分も多く、自社の状況に合わせて無理のない範囲から整えるとよいでしょう。

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電子請求書の種類と送付方法(メール型・Web型・システム型)

電子請求書の送付方法は、大きくメール(PDF添付)型・Web/ダウンロード型・システム(連携)型の3つに分けられます。それぞれ手間・取引先の負担・電子帳簿保存法への対応のしやすさが異なるため、自社の取引件数や相手先に合わせて選びます。

メール(PDF添付)型

作成した請求書をPDFにして、メールに添付して送る方法です。特別なシステムがなくても始められ、取引先も受け取りやすいため、導入のハードルが最も低い送付方法といえます。

一方で、保存の要件(検索機能の確保や改ざん防止)は送る側・受け取る側それぞれの運用でカバーする必要があります。通数が増えてくると、ファイル名の付け方や保存ルールの徹底が負担になりやすい点は意識しておきましょう。

Web・ダウンロード型

発行側がシステム上に請求書を公開し、取引先が専用ページからダウンロードして受け取る方法です。発行側は宛先ごとの送信管理をシステムに任せられ、どの取引先がいつ受け取ったかを確認できる仕組みを備えた製品もあります。

取引先はログインやダウンロードの操作に慣れる必要がありますが、発行側にとっては大量の請求書を効率よく配信でき、保存・検索もシステム側で整えやすくなります。

システム(連携)型

EDI(企業間でデータを直接やり取りする仕組み)や電子インボイスの標準規格「Peppol(ペポル)」などを使い、請求データをシステム間で直接やり取りする方法です。電子帳簿保存法でも、EDI取引は電子取引の具体例として挙げられています。基幹システムや会計システムと連携し、入力や転記を介さずにデータが流れる点が特徴です。

取引件数が多く、定常的に同じ取引先とやり取りする企業ほど効果が大きい方法です。導入には取引先との規格の調整が必要になる場合があります。

3つの方法を、導入のしやすさ・取引先の負担・電子帳簿保存法への対応のしやすさで整理すると、次のようになります。

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送付方法メール(PDF添付)型Web・ダウンロード型システム(連携)型
導入のしやすさ高い(特別なシステム不要)中(発行側にシステムが必要)低い(規格の調整が必要)
取引先の負担小さい(受信するだけ)中(ログイン・DLに慣れが必要)相手も同じ仕組みへの対応が必要
電帳法対応のしやすさ運用ルールでカバーする比重が大きい保存・検索をシステム側で整えやすい要件を自動で確保しやすい
向いているケース通数が少なく、まず始めたい多くの取引先へ効率よく配信したい取引件数が多く定常的な取引が中心

総じて、電子帳簿保存法への対応のしやすさで見ると、検索機能や改ざん防止をシステム側で自動的に確保しやすいのはシステム型・Web型で、メール型は運用ルールでカバーする比重が大きくなります。自社の取引規模と、取引先が対応できる方法のバランスで選ぶとよいでしょう。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)問2|国税庁(リンク)

電子請求書の導入の進め方

電子請求書への切り替えは、次の流れで進めると無理がありません。

  1. 現状の棚卸し:どの取引先と、どの方法(紙・メール・Web・システム)で請求書をやり取りしているかを整理し、電子化する範囲を決めます。
  2. 送付方法・システムの選定:取引件数や相手先の対応状況に合わせて、メール型・Web型・システム型のどれを中心にするかを決め、必要に応じて請求書発行システムを選びます。
  3. 社内規程の整備と取引先への周知:電子帳簿保存法の真実性要件に対応する事務処理規程を整え(国税庁のサンプルを活用できます)、取引先に送付方法の変更を案内します。
  4. 運用開始:まず一部の取引先や帳票から始め、保存や検索が要件どおり運用できているかを確認しながら範囲を広げます。

自社だけで保存要件を満たす運用を組むこともできますが、タイムスタンプや検索機能、取引先ごとの送付方法の切り替えをシステムに任せると、担当者の負担を抑えながら要件に対応しやすくなります。請求書を受け取る側として電子化を進める場合も、考え方は同じです。受領した請求書データを要件どおりに保存・検索できる体制を整えることが要になり、受領・保存を自動化するサービスを使う選択肢もあります。

電子請求書はクラウド請求書発行システムで実現できる

電子請求書の作成・送付・受領と、電子帳簿保存法の保存要件への対応をまとめて楽にする手段が、クラウド請求書発行システムです。ここでは、送付方法や対応範囲の異なる代表的なサービスを取り上げます。より多くのサービスを比較したい場合は、後述の比較記事もあわせてご覧ください。

以下に、主なサービスの比較表をまとめました。

← 横にスクロールできます →
サービス名Bill Oneマネーフォワード クラウドインボイス楽楽明細Misoca
特徴請求書の受領と発行を
一体で扱えるプラットフォーム
既存システムはそのまま
送付業務に特化
既存データを取り込んで
発行・送付する専用システム
入力フォームで作れる
請求書作成ソフト
帳票の作成●請求書の作成に対応△取込データのレイアウトを再現・調整×取込データをそのまま発行●入力フォームで新規作成
主な送付方法メール・郵送代行Web・メール・郵送代行Web・メール・郵送代行・FAXメール・郵送代行
電帳法・インボイス対応●●●●
初期費用あり(要問い合わせ)要問い合わせ100,000円(税抜)0円
利用料金年額制・発行件数に応じて設定
(要問い合わせ)
発行件数に応じて設定
(要問い合わせ)
月額25,000円(税抜)〜無料プランあり(月10通まで)
有料は年8,800円+税〜
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見る

1. Bill One(Sansan株式会社)

Bill Oneの公式サイト

名刺管理のSansanが手がけるBill Oneは、請求書の受領と発行・送付を同じプラットフォーム上で扱えるクラウドサービスです。もともと請求書の受領業務の効率化から始まり、発行・送付の機能を加えてきた経緯があり、受け取る側・送る側の両方の電子化を一体で進めたい企業に向きます。インボイス制度・電子帳簿保存法に対応した請求書を、ネットワーク上で送受信できます。

料金は発行する請求書の件数に応じた年額制で、利用ユーザー数による追加料金はかからないと公式に案内されています。初期費用と年額の利用料で構成され、具体的な金額は問い合わせが必要です。

2. マネーフォワード クラウドインボイス(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウドインボイスの公式サイト

マネーフォワード クラウドインボイスは、請求書や納品書などの帳票の送付業務に特化したサービスです。既存の販売管理システムはそのまま使いながら、最後の送付業務だけを効率化したいという場合に適しています。マネーフォワードの請求書関連サービスのなかでは、発行・送付に特化した位置づけです。

帳票の見た目をパーツ単位でカスタマイズでき、既存のフォーマットを再現しやすい点が特徴として挙げられています。メール・Web・郵送代行といった送付方法に対応し、紙で送っていた帳票をデジタルに置き換えることで、送付業務と郵送コストの削減につなげられます。

3. 楽楽明細(株式会社ラクス)

楽楽明細の公式サイト

楽楽明細は、請求書・納品書・領収書・支払明細といった帳票の電子発行・送付を専門に扱うシステムです。Web発行・メール添付・郵送代行・FAX送信の4つの送付方法から、取引先ごとに最適な方法を選べるため、「A社にはWeb発行、B社には紙を郵送」といった混在運用にも対応できます。

既存の販売管理システムが出力したCSVやPDFを取り込んで発行する仕組みで、帳票を新しく作成するツールではない点に注意が必要です。すでに請求データを別システムで作っていて、送付と電子化だけを効率化したい企業に向いています。

4. Misoca(弥生株式会社)

Misocaの公式サイト

弥生が提供するMisocaは、見積書・納品書・請求書・領収書などの帳票を、入力フォームに記入するだけで作成・管理できるクラウド請求書作成ソフトです。スマートフォンアプリからも請求書の作成とメール送信・郵送代行ができ、少人数の事業者でも手軽に電子請求書を始められます。

会計ソフト「弥生会計」をはじめとする弥生製品と連携し、請求から記帳までをつなげられる点も特徴です。郵送代行は有償プランで利用でき、2024年10月1日以降の利用分から1通あたり210円(税抜)に改定されています。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:Misoca 郵送機能価格改定のお知らせ(2024年8月6日)|弥生株式会社(リンク)

ここで取り上げた以外にも、クラウド請求書発行システムは数多くあります。送付方法や料金、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応をタイプ別に見比べて自社に合うものを選びたい場合は、以下の記事で選び方とあわせて詳しく解説しています。

まとめ

電子請求書とは、請求書の取引情報を電子データのままやり取りする請求書で、メール添付PDFもWeb受け渡しもシステム連携も、電子帳簿保存法上の「電子取引」に当たります。2024年1月以降は、電子で授受した請求書データを電子のまま保存することが原則で、真実性(タイムスタンプ・事務処理規程など)と可視性(検索機能)の要件を満たす必要があります。

これらの要件は、ファイル名の工夫や国税庁の規程サンプルを使えば今の運用のままでも対応できますが、取引件数が増えるほどシステムに任せた方が負担を抑えられます。自社の取引規模と取引先の対応状況を踏まえて、送付方法とシステムを選ぶところから始めてみましょう。

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よくある質問(FAQ)

Q. PDFをメールで送付した請求書も電子請求書として認められますか?

A. PDFをメールに添付して授受した請求書も、電子帳簿保存法上の「電子取引」に当たり、電子請求書として扱われます。国税庁は電子取引の具体例として「電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む)」を挙げています。ただし、電子で授受したデータは紙に出力した控えではなく、電子データそのものを真実性・可視性の要件を満たして保存する必要があります。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)問2・問7|国税庁(リンク)

Q. 電子請求書に印鑑(押印)は必要ですか?

A. 法律上、請求書への押印を義務づける規定はなく、電子請求書でも印鑑は必須ではありません。請求書そのものは税法上の作成・保存が求められる書類ですが、押印の有無は書類としての有効性の条件ではありません。取引先との慣習や社内規程で押印が求められる場合は、電子印鑑や電子署名を用いることで、電子のまま対応できます。

Q. 電子請求書はいつから義務化されましたか?

A. 電子で授受した請求書データを電子のまま保存する義務は2022年1月から始まり、2023年末の宥恕措置の終了を経て、2024年1月以降は原則どおり電子保存することになっています。注意したいのは、義務化されたのは「電子請求書の発行そのもの」ではなく、電子取引で授受したデータの電子保存である点です。紙で発行・受領した請求書は、この電子保存義務の対象ではありません。

Q. 電子請求書を印刷して紙で保存してもよいですか?

A. 2024年1月以降、電子取引で授受した請求書を紙に印刷しただけの保存は、原則として認められません。電子で受け取ったデータは、真実性・可視性の要件を満たしたうえで電子データのまま保存する必要があります。社内の確認用に印刷すること自体は差し支えありませんが、正式な保存は電子データで行う点を押さえておきましょう。

Q. 請求書を電子と紙の両方で発行してもよいですか?

A. 取引先ごとに電子と紙を使い分けることも、同じ内容を電子と紙の両方で発行することも問題ありません。すべての取引先が電子での受け取りに対応できるとは限らないため、移行期は紙と電子が混在する運用が現実的です。保存については、電子で授受したものは電子データのまま、紙で授受したものは紙またはスキャナ保存でというように、授受した方法に応じて行います。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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