受発注や請求のデータを取引先とやり取りするEDIと、契約書を締結する電子契約は、どちらも「書類を電子でやり取りする仕組み」に見えるため、社内でも取引先との会話でも混同されがちです。すでにEDIを使っている企業ほど、「電子契約はEDIと何が違うのか」「EDIがあれば電子契約は要らないのか」と迷う場面が増えています。
本記事では、電子契約とEDIの違いを目的・扱う文書・法的証拠力などの軸で整理し、すでにEDIを導入している企業が電子契約も必要になるのはどんな場合か、両方をどう使い分け・併用すればよいかを解説します。契約の電子化を具体的に検討する段階に進むための判断材料として活用してください。
目次
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電子契約とEDIの違いを一言で
電子契約とEDIの違いは、扱う対象が「契約そのもの」か「日常の取引データ」かという点に集約されます。電子契約は、契約書への合意を電子署名で残し、法的な合意の証拠をつくる仕組みです。一方のEDI(Electronic Data Interchange)は、受発注・納品・請求といった日々の取引データを企業間で電子的に交換する仕組みを指します。
両者はどちらか一方を選ぶ二者択一の関係ではなく、カバーする領域が異なる別々の仕組みです。基本契約書を電子契約で締結し、その契約に基づく日々の受発注をEDIで回す、といったように役割を分けて使います。まずは下の早見表で、主な軸ごとの違いを確認してください。
【比較表】電子契約とEDIの違い早見表
| 比較の観点 | 目的 | 扱う文書・データ | 主な利用部門 | 利用場面 | 法的証拠力 | 通信規格・ネットワーク |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 電子契約 | 契約の締結と、合意した事実の証拠を残す | 契約書・基本契約書・秘密保持契約書(NDA)・覚書など | 法務・総務・経営管理など | 取引開始時や更新時など、契約を取り交わすとき | 本人による電子署名により、文書が真正に成立したものと推定される(電子署名法第3条) | インターネット経由。電子署名・タイムスタンプの基盤を利用 |
| EDI | 受発注・納品・請求など日常の取引データを交換する | 注文書・注文請書・納品書・請求書など定型の取引データ | 購買・調達・情報システム・生産管理など | 継続的な取引のなかで日々発生する受発注・請求のやり取り | 本人による電子署名を前提としないため、それ自体で契約成立の証拠とするには弱い | 専用回線やインターネット上で、業界ごとの標準規格やVANを介して接続 |
※上記は電子契約とEDIの一般的な役割の違いを整理したものです。個別のサービスで対応できる範囲は各社情報をご確認ください。
電子契約とは
電子契約とは、紙の契約書に代わり、契約書への電子署名とタイムスタンプの付与によって、契約の締結から保管・検索までをオンラインで完結させる仕組みです。印刷・押印・郵送が不要になり、締結までの時間と、郵送・印紙にかかるコストを抑えられます。
締結の中心にあるのが電子署名です。電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)第2条第1項は、電子署名を、作成者を示すためのものであり、かつ改変の有無を確認できるもの、と定義しています。これは、誰が作成したか(本人性)と、後から改ざんされていないか(非改ざん性)を確認できる措置を指します。
契約当事者本人が電子証明書で署名する当事者型と、利用者の指示を受けてサービス提供事業者が署名する方式(いわゆる立会人型・事業者署名型)があり、多くのクラウド型サービスは後者を標準にしています。
事業者署名型の電子契約サービスについても、一定の要件を満たせば電子署名法上の電子署名として扱えることが、法務省・デジタル庁の公式Q&Aで整理されています。
出典・参考資料(2件)
電子契約の主なメリット
電子契約を導入すると、契約締結のリードタイムが短縮されます。郵送での書類の往復や押印のための出社が不要になり、オンライン上で署名を完了できるためです。
コスト面では、印紙税と郵送費の削減につながります。電子データでやり取りする契約書には印紙税が課されないという国税庁の見解があり、紙の契約書で発生していた収入印紙代を抑えられます。さらに、締結済みの契約書をシステム上で保管・検索できるため、書類の保管スペースや、過去の契約を探す手間も減らせます。
EDIとは
EDI(Electronic Data Interchange)とは、企業間で受発注・納品・請求などの取引データを、あらかじめ定めた形式で電子的に交換する仕組みです。日本語では電子データ交換と訳されます。紙やファクスで行っていた注文書・納品書・請求書のやり取りを電子化し、取引のたびに発生する定型業務を効率化します。
受発注が多い製造業・流通業・小売業などで広く使われており、取引先との継続的なデータ連携を前提とします。接続の方式によっていくつかの種類に分かれます。
EDIの種類(個別EDI・標準EDI・VAN型EDI・Web-EDI)
EDIは接続先やデータ形式の取り決め方によって、主に次の4つに分けられます。
- 個別EDI:取引先ごとに通信手順やデータ形式を個別に取り決める方式。相手に合わせて細かく設定できる一方、取引先が増えるほど対応の負担が大きくなります。
- 標準EDI:業界団体などが定めた共通規格(流通BMSなど)に沿ってやり取りする方式。同じ規格の企業どうしであれば、個別の取り決めなしに接続しやすくなります。
- VAN型EDI:VAN(付加価値通信網)事業者が提供するネットワークを介して、複数の取引先とデータを交換する方式。特定の業界内で使われることが多くあります。
- Web-EDI:専用の回線や端末を用意せず、Webブラウザからインターネット経由で取引データをやり取りする方式。導入のハードルが比較的低いのが特徴です。
EDIの主なメリット
EDIの導入によって、受発注処理が自動化され、担当者が手入力していた作業を減らせます。取引データが定型の形式で連携されるため、転記ミスや入力漏れといった人的ミスも抑えられます。
取引件数が多いほど効果は大きく、サプライチェーン全体での取引の円滑化にもつながります。日々繰り返される大量の受発注を、人手を介さずに処理できる点がEDIの中心的な価値です。
電子契約とEDIの違いを軸別に詳しく解説
ここからは、早見表で整理した違いを軸ごとに掘り下げ、なぜ電子契約とEDIが別の仕組みなのかを確認します。
目的・扱う文書の違い
最も大きな違いは目的です。電子契約が扱うのは「取り決めそのもの」で、基本契約書・秘密保持契約書(NDA)・覚書といった合意を記した文書を締結し、その証拠を残します。EDIが扱うのは「その取り決めに基づく日々のやり取り」で、注文書・納品書・請求書などの取引データを交換します。同じ電子でのやり取りでも、一方は合意の確定、もう一方は確定済みの取引の処理と、役割の出発点が異なります。
主な利用部門・利用場面の違い
目的が違うため、使う部門と場面も分かれます。電子契約は法務・総務・経営管理などが取引の開始時や更新時という「節目」で使い、EDIは購買・調達・情報システムなどが日々の受発注という「日常」で使い続けます。電子契約が節目ごとに登場するのに対し、EDIは取引のあいだ動き続ける点が対照的です。
通信規格・ネットワークの違い
やり取りの土台となる仕組みも異なります。電子契約は、インターネット経由で相手に契約書を送り、電子署名と認定タイムスタンプの基盤を使って締結します。取引先ごとに事前の技術的な取り決めをしなくても、メールアドレスがあれば署名を依頼できるのが一般的です。
EDIは、専用回線やインターネット上で、業界ごとの標準規格やVANを介して接続します。あらかじめ取引先と通信手順やデータ形式をそろえておく必要があり、相手ごとの準備が前提になる点が電子契約と違います。
法的証拠力の違い
電子契約とEDIが別の仕組みであることを最もはっきり示すのが、法的証拠力の違いです。電子契約では、本人による電子署名が行われた電子データは、真正に成立したものと推定されます。電子署名法第3条が、次のように定めています。
第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
出典:電子署名及び認証業務に関する法律 第三条|e-Gov法令検索
「真正に成立したものと推定する」とは、その文書が本人の意思でつくられたと一応認められ、争いになったときに相手がそれを覆す立証をしない限り、本人が作成したものとして扱われるという意味です。電子契約はこの推定が働くように設計されており、契約締結の証拠として機能します。
これに対してEDIは、取引データの交換に特化した仕組みで、本人による電子署名を前提としていません。そのため、EDIでやり取りした受発注データだけでは、第3条の推定は働かず、契約が成立したことの証拠としては弱いと考えられます。
EDIが法的に無効という意味ではなく、契約の成立を証拠立てる役割はEDIが担う領域の外にある、と理解するのが適切です。ただし、文書が真正に成立したかどうかは第3条の推定だけで決まるものではなく、個別の事情も踏まえて判断されます。
EDIでやり取りする注文書や注文請書も、個々の取引(個別契約)を成立させる役割は果たします。ただし、その合意を後から証拠として示せる強さは、電子署名の有無で変わります。基本契約書のように重要な合意ほど、電子署名で真正性の推定が働く電子契約で締結しておくと安心です。
出典・参考資料(2件)
電子契約とEDIの共通点
電子契約とEDIは別の仕組みですが、重なる部分もあります。どちらも、紙や手作業で行っていた業務を電子化し、ペーパーレス化と業務効率化を進める点では共通します。
また、企業間でやり取りする書類やデータを電子的に扱う以上、どちらも電子帳簿保存法に沿った保存が必要になります。この保存義務については後の「導入時の注意点」で詳しく触れます。共通するのは「電子化による効率化」という方向性であり、何を電子化するか(契約か、日々の取引データか)が分かれる、という整理になります。
すでにEDIを導入している企業に電子契約は必要か
すでにEDIで受発注を電子化している企業にとって、電子契約も追加で必要かどうかは判断に迷うところです。結論として、取引先と契約書を取り交わす場面があるなら、EDIとは別に電子契約を検討する価値があります。
理由は、EDIがカバーする範囲と電子契約が対象とする範囲が異なるためです。EDIは日々の受発注データの交換に特化しており、基本契約書や覚書といった契約そのものを締結する機能は備えていません。EDIで発注処理を自動化していても、その取引の前提となる基本契約書は紙のまま、というケースは少なくありません。契約書の締結だけが紙に残ると、押印や郵送の手間がそこに集中してしまいます。
一方で、取引先との間で定型の受発注データのやり取りが中心で、契約書を取り交わす頻度が低い業務であれば、EDIだけで足りる場面もあります。自社にとって、契約の締結が負担になっているのか、日々の取引処理が負担になっているのかを見極めることが、電子契約を追加すべきかの判断軸になります。
電子契約とEDIの併用と導入の順序
電子契約とEDIは役割が重ならないため、併用すれば契約の締結から日々の取引処理までを一続きで電子化できます。前の章までで見たとおり、基本契約書は電子契約、日々の受発注はEDIという役割分担が基本です。

どちらを先に導入するかは、自社の業務のどこに負担が集中しているかで決めます。受発注の件数が多く、手入力や転記に追われているなら、EDIの導入が効果を生みやすい領域です。反対に、契約書の締結や更新に時間がかかり、押印・郵送の負担が大きいなら、電子契約から着手すると改善を実感しやすくなります。
すでにどちらか一方を導入済みであれば、もう一方を追加して取引の流れをつなげられないかを検討します。まずは負担の大きい業務から電子化を進め、段階的に対象を広げていくのが現実的な進め方です。
受発注の電子化を先に進める場合は、取引先ごとに異なる通信規格やデータ形式にどう対応するかがシステム選びの要点になります。主要なEDIシステムの違いと選び方は、以下の記事で詳しく比較しています。
電子契約・EDI導入時の注意点
電子契約・EDIのいずれを導入する場合も、事前に押さえておきたい点があります。導入してから運用でつまずかないよう、取引先との関係と、法令に沿った保存の2点を確認しておきましょう。
取引先との事前合意が必要
電子契約もEDIも、相手がある取引で使う仕組みのため、取引先の理解と協力が欠かせません。電子契約では、相手方が電子署名での締結を受け入れるか、EDIでは、相手方が同じ規格・手順でデータを交換できるかを、事前に確認しておく必要があります。
自社だけが電子化を進めても、相手が紙や従来の方式を求める場合は運用が成り立ちません。導入の検討段階で、主要な取引先の対応可否を確かめておくと、導入後の手戻りを防げます。
電子取引データと電子帳簿保存法
電子契約で締結した契約書も、EDIでやり取りした受発注データも、電子帳簿保存法上の「電子取引」にあたり、電子データのまま保存する義務があります。同法第2条第5号は、電子取引を「注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項」の授受を電磁的方式で行う取引と定義しており、第7条が電磁的記録の保存を義務づけています。
(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)第七条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。
出典:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第七条|e-Gov法令検索
注文書や契約書に相当する電子取引データを受け取った・交付した場合は、その電子データを一定の要件を満たす形で保存する必要があります。国税庁は、電子取引データの保存ルールとして次の3点を示しています。
- 改ざん防止の措置(タイムスタンプの付与、訂正・削除の履歴が残るシステムの利用、事務処理規程の整備などのいずれか)
- 保存したデータを確認できるディスプレイ・プリンタ等の備付け
- 日付・金額・取引先で検索できること
電子契約・EDIのどちらを導入する場合も、この保存要件を満たせるかを確認しておきましょう。
出典・参考資料(3件)
電子帳簿保存法の保存要件は、帳簿・書類・電子取引という保存区分ごとに真実性・可視性の確保の中身が分かれます。自社の保存方法が区分ごとの要件を満たすかを具体的に確認したい場合は、以下の記事で解説しています。
契約の電子化を始めるなら
電子契約とEDIの違いを押さえたうえで、「契約の締結が紙のまま残っている」と気づいたなら、次の一歩は電子契約サービスの検討です。ここでは、契約締結の電子化で広く利用されている2つのサービスを紹介します。それぞれ電子署名の方式や料金体系に特徴があるため、自社の契約量や運用に合うかを確認する手がかりにしてください。
クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

クラウドサインは、弁護士ドットコム株式会社が提供する電子契約サービスです。書類のアップロード・送信から電子署名・タイムスタンプの付与、締結後の保管・検索までをオンラインで完結でき、契約締結の業務をまとめて電子化できます。
電子署名は、利用者の指示に基づきサービス提供事業者が署名する事業者署名型(立会人型)を標準とし、認証局での本人確認が不要なため導入しやすいのが特徴です。あわせて、マイナンバーカードの電子証明書を用いて契約当事者本人が署名する当事者型の「マイナンバーカード署名」も提供しています。
導入社数は250万社以上、累計送信件数は4,000万件を超えると公式に公表されています。富士キメラ総研の調査(2025年版、電子契約ツール部門、2024年度実績)ではシェア首位と示されています。料金は有料プランのLightが月額11,000円(税抜)から、送信は1件220円(税抜)です(2026年9月時点)。
出典・参考資料(1件)
電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供する電子印鑑GMOサインは、立会人型(契約印タイプ)と当事者型(実印タイプ)の両方に対応したクラウド型の電子契約・電子署名サービスです。両者を組み合わせたハイブリッド署名も使え、契約の重要度に応じて署名方式を選べます。
公式サイトによると、導入実績は350万社以上の事業者、累計送信件数は5,000万件にのぼります。送信料は契約印タイプが1件100円、実印タイプが1件300円(いずれも税抜)で、月額8,800円(税抜)からのライトプランがあります(2026年9月時点)。契約書の送信・締結・管理に加え、オプションで契約レビューや対面契約などの機能を追加できます。
出典・参考資料(1件)
クラウドサインと電子印鑑GMOサインの比較
以下はご紹介した電子契約サービスの比較表です。
| サービス名 | クラウドサイン | 電子印鑑GMOサイン |
|---|---|---|
| 提供会社 | 弁護士ドットコム株式会社 | GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社 |
| 電子署名タイプ | 立会人型(事業者署名型) 当事者型(マイナンバーカード署名) | 立会人型(契約印タイプ) 当事者型(実印タイプ) ハイブリッド署名も可 |
| 無料プラン | ●月2件まで・1名(フリープラン) | ●月5件まで・1名(お試しフリープラン) |
| 月額費用 | 無料(フリープラン) 有料は月額11,000円〜(税抜) | 無料(お試しフリープラン) 有料は月額8,800円〜(税抜・年間契約) |
| 送信料 | 220円/件(税抜) ※マイナンバーカード署名は+200円/件 | 立会人型100円/件 当事者型300円/件(税抜) |
| 電子帳簿保存法対応 | ●認定タイムスタンプを標準付与 | ●JIIMA認証取得(契約印&実印プラン) |
| 導入実績 | 導入250万社以上 累計送信4,000万件超 | 導入350万社以上 累計送信5,000万件 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
今回取り上げた2サービスのほかにも電子契約システムは数多くあります。料金やタイプ別の選び方まで含めて幅広く比較し、自社の契約量や運用に合う一社を見極めたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
電子契約とEDIは、名前は似ていても扱う対象が異なる別々の仕組みです。電子契約は契約そのものを締結して合意の証拠を残し、EDIは日々の受発注・納品・請求といった取引データを交換します。どちらか一方を選ぶのではなく、役割を分けて併用できる関係にあります。
- 違いの芯:電子契約=契約の締結と証拠、EDI=日常の取引データの交換。カバーする領域が別。
- 法的証拠力:電子契約は本人による電子署名で真正な成立が推定される(電子署名法第3条)。EDIはそれ自体では契約成立の証拠として弱い。
- 使い分け:基本契約書は電子契約、日々の受発注はEDI。負担の大きい業務から導入を進める。
自社の取引のどこが紙や手作業で残っているかを確認し、契約の締結が紙のままであれば、電子契約の導入から検討してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 電子契約とEDIの違いは何ですか?
A. 電子契約が「契約そのものの締結と合意の証拠」を扱うのに対し、EDIは「受発注・納品・請求など日々の取引データの交換」を扱う点が違いです。どちらかを選ぶ二者択一ではなく、カバーする領域が異なる別々の仕組みで、役割を分けて併用できます。
Q. 電子契約とEDIはどちらを導入すべきですか?
A. 電子契約とEDIのどちらを導入すべきかは、自社の業務のどこに負担が集中しているかで決まります。契約書の締結・更新に時間がかかり、押印や郵送の負担が大きいなら電子契約から着手すると改善を実感しやすくなります。反対に、受発注の件数が多く手入力や転記に追われているなら、EDIの導入が効果を生みやすい領域です。両者は役割が異なるため、負担の大きい業務から順に電子化を進めるのが現実的です。
Q. すでにEDIを導入している企業でも電子契約は必要ですか?
A. すでにEDIを導入している企業でも、取引先と契約書を取り交わす場面があるなら、電子契約を別途検討する価値があります。EDIは日々の受発注データの交換に特化しており、基本契約書や覚書といった契約そのものを締結する機能は備えていないためです。
EDIで発注処理を自動化していても、その前提となる基本契約書は紙のまま、というケースは少なくありません。一方で、定型の受発注データのやり取りが中心で契約書を取り交わす頻度が低い業務であれば、EDIだけで足りる場面もあります。
Q. EDIで法的証拠力のある契約を締結できますか?
A. EDIは、それ自体で法的証拠力のある契約を締結する仕組みを備えていません。EDIは取引データの交換に特化しており、本人による電子署名を前提としないため、電子署名法第3条が定める「真正に成立したものと推定する」効果が働きにくいためです。契約が成立した事実を証拠として残したい場合は、電子署名とタイムスタンプで締結する電子契約を利用するのが適切です。
出典・参考資料(1件)
Q. Web-EDIがあれば電子契約は不要ですか?
A. Web-EDIがあっても、取引先と契約書を取り交わすなら電子契約は別に必要です。Web-EDIはWebブラウザからインターネット経由で取引データをやり取りできるEDIの一種ですが、扱うのは注文書・納品書・請求書などの取引データであり、基本契約書や覚書への電子署名による締結には対応していません。
インターネット経由で手軽に使えるという共通点はあっても、契約の合意を証拠として残す役割はWeb-EDIの対象外です。
Q. 電子契約とEDIは併用できますか?
A. 電子契約とEDIは役割が重ならないため、併用して取引の流れ全体を電子化できます。取引開始時の基本契約書を電子契約で締結し、その契約に基づいて日々発生する受発注・納品・請求をEDIで処理する、という役割分担が基本の形です。
契約という土台を電子契約が担い、その上で動く日常の取引をEDIが担う、と整理すると分かりやすくなります。すでにどちらか一方を導入済みであれば、もう一方を追加して取引の流れをつなげられないかを検討するとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















