月次決算がいつまでも締まらず、試算表が出てくる頃には経営判断のタイミングを逃していないでしょうか。月末月初は証憑と請求書の回収に追われ、担当者の残業と属人化が常態化している会社も少なくありません。こうした悩みは、特別に段取りが悪い会社だから起きているわけではありません。遅れには共通したいくつかの原因があり、原因ごとに効く打ち手も決まっています。
では、自社の月次決算はどの原因でつまずいていて、翌月何営業日で締めることを目標に、どこから手をつければよいのでしょうか。早期化は「気合いで早く締める」ことではなく、遅れる原因を一つずつ取り除き、締めずに済む・待たずに締める仕組みをつくることで達成します。
本記事では、月次決算が遅れる原因を自己診断できる形で整理し、翌月5〜10営業日で締めるための改善手順と逆算スケジュール例を示します。あわせて、概算計上など「待たずに締める」会計実務の考え方や、手作業・属人化を減らす会計システムの選択肢までを解説します。自社の月次決算を早期化する道筋を、具体的に描けるようにまとめました。
目次
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月次決算早期化とは|「頑張って締める」のではなく遅れる原因を直して仕組み化すること
月次決算早期化とは、毎月の決算(試算表の確定と月次業績の把握)を、より短い日数で安定して締められる状態にすることです。残業や号令で一時的に早めることではなく、遅れを生んでいる原因そのものを取り除き、毎月同じ段取りで早く締まる仕組みをつくる取り組みを指します。
目標とする日数は、企業規模や業種、上場準備の有無によって幅があります。一般的な実務の目安としては翌月10営業日以内、さらに踏み込むなら翌月5営業日前後が一つの到達点とされます。上場準備企業では、月次を5営業日前後で締められる体制が投資家向けの業績開示や内部統制の前提になります。
この「報告日から逆算して締める」という発想は、上場企業の年次決算の開示実績が一つの傍証になります。東京証券取引所の集計では、2026年3月期の決算発表(本決算)に要した日数は平均41.3日で、45日以内が98.8%でした。
規模の大きい上場企業が年に一度の本決算を報告日から逆算して固めているのですから、件数の少ない月次決算ならなおさら、「報告すべき日」を先に決めて逆算する段取りが早期化の出発点になります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:2026年3月期決算発表状況の集計結果について|株式会社東京証券取引所(リンク)
「翌月5営業日」といった数値はあくまで実務上の目安で、すべての会社が一律に目指すべき基準ではありません。取引量や拠点数、連結の有無によって現実的な目標は変わります。大切なのは他社の日数に合わせることではなく、自社の経営判断や報告に間に合う日数を決め、そこへ近づけていくことです。
手入力やExcel中心で遅れている場合は、いきなり5営業日を目指す必要はありません。まずは締め日・提出ルールの徹底と資料の催促だけでも、現状から1〜2営業日は縮められます。そのうえで記帳の自動化を進め、翌月10営業日、次に5営業日へと段階的に縮めていくのが現実的です。
月次決算が遅れる6つの原因【自己診断】
ここからは、月次決算が遅れる代表的な6つの原因を、自社に当てはまるかを確認できる形で整理します。早期化の第一歩は、自社がどこでつまずいているのかを特定することです。次の表で「こんな状態」に心当たりがある行が、優先して手をつけるべきボトルネックです。
| 遅れる原因 | こんな状態なら当てはまる | 主な打ち手(詳しくは後述) |
|---|---|---|
| ① 証憑・請求書の回収と承認の遅れ | 月初になっても経費の領収書や請求書が集まらない。承認者が出張・多忙で稟議や支払承認が止まる | 締め日・提出ルールの明文化/証憑の電子化・ワークフロー化 |
| ② 手入力・紙やExcelでの処理 | 通帳やカード明細、売上データを手で会計ソフトに転記している。Excelの集計表を人手で突き合わせている | 金融機関・周辺システムとのデータ連携で記帳を自動化 |
| ③ 勘定科目の金額確定待ち | 請求書が届かない・見積もりが固まらない費用の計上を待ち、締めが後ろにずれる | 概算計上・見積計上で先に数字を置き、確定後に修正 |
| ④ 属人化・業務ルールの未整備 | 特定の担当者しか手順が分からない。処理のルールが文書化されておらず、担当者が不在だと止まる | 手順の標準化・マニュアル化/担当の複線化 |
| ⑤ システム間の連携不足・分断 | 販売管理・経費精算・給与・会計がバラバラで、都度エクスポートして取り込んでいる | システムの一体化・API連携でデータをつなぐ |
| ⑥ 経理の人員不足 | 少人数で月次・年次・支払・請求を兼務し、月末に作業が集中する | 自動化で工数を削減/記帳・決算の外部委託も選択肢 |
特に①の証憑まわりは、2023年10月に始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)以降、負担が増えた会社が少なくありません。仕入税額控除を受けるには、登録番号や税率ごとの消費税額など一定の事項が記載された適格請求書(インボイス)の保存が要件となり、請求書1枚ごとの確認項目が増えたためです。回収と確認に時間がかかると、そのまま締めの遅れに直結します。
出典・参考資料(1件)
- 出典:No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)|国税庁(リンク)
④の属人化や⑥の人員不足は、担当者の退職や異動をきっかけに月次が一気に回らなくなるリスクを抱えています。手順が特定の人の頭の中にある状態は、早期化以前に、決算が止まる原因そのものです。原因が一つではなく複数重なっているケースも多いため、表で当てはまった行を起点に、次章の改善手順へ進んでください。
月次決算を翌月5〜10営業日で締める改善手順
ここからは、前章で特定した原因を取り除き、月次決算を早期化する具体的な手順を6つのステップで解説します。上から順に進めることで、現状の棚卸しから自動化・全社体制づくりまで、無理なく早期化を進められます。

Step1. 現状の業務フローを可視化する
まず、月初から試算表確定までの作業を、担当者・所要日数・使っているシステムとともに書き出すことから始めます。「どの作業が・いつ始まり・何を待って止まっているか」を一覧にすると、感覚ではなく事実としてボトルネックが見えてきます。可視化しないまま個別の改善に着手すると、効果の小さい工程に手をかけてしまいがちです。
Step2. ボトルネックを特定して優先順位をつける
可視化した工程のうち、最も日数を食っている作業と、後工程を待たせている作業を洗い出しましょう。前章の6つの原因のどれに該当するかを当てはめると、打ち手につなげやすくなります。すべてを一度に変えようとせず、効果が大きく着手しやすい工程から手をつけるのが現実的です。
Step3. 締め日・提出ルールを明文化して全社に周知する
経費精算の提出期限、請求書の回収期限、承認の締切を日付で決め、経理部門の外にも周知しましょう。月次決算の遅れは、経理の作業そのものより、他部署からの資料が集まらないことに起因する場合が多いためです。「毎月◯営業日までに提出」というルールを決め、守られない場合の扱いも含めて運用に落とし込んでおくと確実です。
特に経費の提出・精算の遅れが締めのボトルネックになっている場合は、スマホからの申請やワークフローで承認までを電子化する経費精算システムを使うと、回収や差し戻しの待ち時間そのものを減らせます。製品ごとの機能や料金は以下の記事で比較しています。
Step4. 金額未確定の費用は概算で計上する
請求書の到着や金額の確定を待つと、その1科目のために締め全体が遅れます。金額が固まらない費用は、合理的な根拠に基づいて概算・見積りで先に計上し、確定後に差額を修正する運用に切り替えましょう。この会計実務としての正確な扱い(重要性の原則や後日修正の前提)は次章で詳しく解説するため、ここでは手順上の位置づけにとどめます。
Step5. システム連携と証憑の電子化で手作業を減らす
銀行口座やクレジットカードの明細、販売管理・経費精算のデータを会計システムに自動で取り込めば、手入力と転記ミスを大きく減らせます。証憑の電子化も有効です。電子帳簿保存法では、電子的に授受した取引情報(電子取引データ)は電子データでの保存が義務づけられており、紙で受け取った請求書や領収書もスキャナ保存によって電子データで保存できます。
証憑を電子で扱えるようにすると、回収・確認・保管の手作業が減り、締めの速度に直結します。具体的なシステムの選択肢は後述の「手作業・属人化を減らす打ち手」で紹介します。
出典・参考資料(1件)
- 出典:電子帳簿保存法の概要|国税庁(リンク)
証憑を電子で扱う際は、電子取引データの保存義務やスキャナ保存の要件など、電子帳簿保存法のルールを満たす必要があります。3つの保存区分ごとの要件と2024年1月からの完全義務化への対応は、以下の記事で詳しく解説しています。
Step6. 経営層・他部署を巻き込んで全社の取り組みにする
月次決算早期化は経理部門だけでは完結しません。証憑の提出も承認も他部署が関わるため、経営層が「月次を早く締める意義」を全社に示し、協力を引き出すことが欠かせません。早期化で得た速報を経営会議で実際に使うようにすると、現場にも早く締める意味が共有され、取り組みが続きやすくなります。
翌月5営業日で締める逆算スケジュール例
手順を実際の営業日に落とし込むと、各作業の締切が明確になります。以下は翌月5営業日で月次を締める場合の配分例です。報告すべき日(第5営業日)を先に固定し、そこから逆算して作業を割り当てている点がポイントです。自社の取引量に合わせて、第7〜10営業日の配分に広げて使うこともできます。
| タイミング | 主な作業 | ポイント |
|---|---|---|
| 前月末まで(事前準備) | 締め日・提出ルールの周知、概算計上する科目の決定 | 当月中に段取りを固め、月初の判断を減らす |
| 第1営業日 | 証憑・請求書・経費の回収状況を確認、売上・仕入の確定分を計上 | 未達の資料は早期に催促し、滞留を防ぐ |
| 第2営業日 | 金融機関・カード明細の自動取込と仕訳、経費精算・支払データの取り込み | 手入力を避け、連携データで一気に記帳 |
| 第3営業日 | 勘定科目の金額確定、未確定分は概算計上、債権・債務の照合 | 確定を待たず概算で前に進める |
| 第4営業日 | 決算整理仕訳、試算表の作成、前月比・予算比の差異確認 | 異常値はこの段階で原因を特定する |
| 第5営業日 | 最終承認、月次レポート作成、経営層へ報告 | 報告の形式を定型化し、作成時間を短縮 |
スケジュールは翌月5営業日で締める場合の一例です。取引量・業種により配分は調整してください。
「待たずに締める」会計実務の考え方(重要性の原則・概算計上)
月次決算を早く締める会社は、すべての数字が1円まで確定するのを待っていません。速報値と確定値を分け、金額が固まらない費用は概算で計上して先に締め、後から確定値に修正します。この「待たずに締める」運用を支えているのが、会計実務の考え方です。
その土台の一つが、国の企業会計審議会が定めた企業会計原則の「重要性の原則」です。企業会計原則注解では、重要性の乏しいものについては簡便な方法によることも認められるとされています。
企業会計は、定められた会計処理の方法に従って正確な計算を行うべきものであるが、企業会計が目的とするところは、企業の財務内容を明らかにし、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにあるから、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理によらないで他の簡便な方法によることも正規の簿記の原則に従った処理として認められる。
出典:企業会計原則注解【注1】重要性の原則の適用について|企業会計審議会(最終改正 昭和57年4月20日)
ここで注意したいのは、この原則が認めているのはあくまで「重要性の乏しいもの」の簡便処理である点です。金額が大きく判断に影響する項目まで何でも省略してよいという意味ではありません。
また、重要性の原則は本来、株主や債権者に開示する財務諸表に関する原則です。社内の経営判断に使う月次の試算表は法定の財務諸表ではないため、ここでは「財務諸表でも認められる簡便処理の考え方を、月次の速報に援用する」という位置づけで理解するのが正確です。
概算計上そのものの根拠は、企業会計原則の発生主義の原則にあります。費用および収益は、その支出・収入にかかわらず、発生した期間に正しく割り当てて処理することが求められます。請求書の到着が翌月になる費用でも、その月に発生しているなら当月に計上するのが本来の姿であり、金額が未確定なら合理的な見積りで概算計上し、確定後に修正するのが実務上の対応です。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:企業会計原則 第二 損益計算書原則|企業会計審議会(リンク)
概算計上を使うときは、見積りの根拠を残し、確定値との差額を翌月以降に必ず修正する運用が前提です。根拠のない数字を置いたり、修正を忘れたまま放置したりすると、月次の数字が実態とずれ、経営判断を誤らせます。早く締めることと正確であることは対立しません。確定を待つ範囲と概算で進める範囲をルールで線引きし、根拠を残して後で直す運用にすれば、両立できます。
月次決算早期化を定着させる仕組み
改善策を一度試しても、翌月には元の段取りに戻ってしまうことは珍しくありません。ここでは、早期化を一過性で終わらせず定着させるための条件を整理します。
第一に、決めた締め日・提出ルールを崩さない継続策を用意することです。号令だけでは繁忙期に元へ戻るため、提出状況を可視化して遅れがちな部署を個別にフォローし、月次の速報を経営会議の定例議題にして経営層の関与を保ちます。ルールを作る手順と、作ったルールを守り続ける仕組みは別物で、後者がなければ定着しません。
第二に、作業を月末に集中させず、日次・週次へ前倒しすることです。仕訳や証憑の処理を日常業務のなかで片付けておけば、月初にまとめて処理する負担が減り、属人化や作業集中による遅れも起きにくくなります。こうした前倒しは、次章で紹介する会計システムの自動化と組み合わせると定着しやすくなります。
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手作業・属人化を減らす打ち手|会計の自動化と周辺業務の一体化
ここからは、月次決算が遅れる原因のうち、手入力・転記や証憑・経費の回収といった作業に直接効く選択肢を紹介します。記帳・証憑・経費・請求を会計と一体化して自動化するサービスと、記帳・決算そのものを引き受ける記帳代行型のサービスが対象です。どのサービスも、導入しただけで自動的に早くなるわけではなく、前章までの締め日ルールや運用の前提があってこそ効果が出る点は共通しています。
まず、前章で挙げた遅れる原因と、会計システムの自動化・一体化が効く範囲を対応づけると、自社が優先すべき機能が見えてきます。
| 遅れる原因 | 会計システムで効く主な機能 |
|---|---|
| ① 証憑・請求書の回収と承認の遅れ | 証憑の電子保存・請求書発行・経費精算のワークフロー連携 |
| ② 手入力・紙やExcelでの処理 | 金融機関・カード明細の自動取込、AIによる仕訳・科目提案 |
| ③ 勘定科目の金額確定待ち | システムで直接は解決せず、概算計上・見積計上の運用で対応(前章「待たずに締める会計実務の考え方」) |
| ④ 属人化・業務ルールの未整備 | 仕訳承認フロー・権限管理・操作ログで処理を標準化。記帳・決算の外部委託も選択肢 |
| ⑤ システム間の連携不足・分断 | 会計・経費・請求・給与の一体化、API連携 |
| ⑥ 経理の人員不足 | 記帳の自動化による工数削減、記帳・決算の外部委託 |
次の比較表で、月次決算早期化に効くサービスの特徴を整理しました。自社の規模や「どの原因に効かせたいか」に合わせて検討してください。
| サービス | Tenbook(テンブック) | 弥生会計 Next | マネーフォワード クラウド会計Plus |
|---|---|---|---|
| 会社名 | シンアカウンティングサービス株式会社 | 弥生株式会社 | 株式会社マネーフォワード |
| 月次決算の遅れに効く主なポイント | 記帳から月次処理・決算・申告までを専門チーム(原則3名体制)が代行。経理の人員不足・属人化による遅れや、担当者の退職で経理が止まるリスクを解消できる | 2,500以上の金融機関と連携して入出金明細を自動取得し、会話するように入力するとAIが仕訳を生成する「AI取引入力」で手入力・転記を削減。残高試算表・消費税集計表も自動作成 | 仕訳承認フロー・権限管理・操作ログ・月次締めで承認の滞りと属人化を解消。明細の自動取得とAIによる科目提案で記帳を自動化し、監査法人ともシステムを共有。導入事例では月次決算を7営業日に短縮した例(ゴーゴーカレーグループ)がある |
| 対応範囲(どこまで一体化できるか) | 会計・支払管理・請求・経費精算・給与計算を「10book」に集約し、記帳・決算・申告の代行まで一体化。金融機関連携、インボイス制度・電子帳簿保存法に対応 | 会計帳簿・決算書作成に加え、請求業務・経費精算・証憑保存を同一システムで完結(経費精算はベーシックプラン以上)。弥生給与 Next とは機能連携。インボイス制度・電子帳簿保存法に対応 | 会計を中核に、経費精算・給与・債権・請求までクラウドシリーズで一気通貫に連携。証憑の電子管理、公開API・iPaaS連携に対応し、内部統制機能を内包 |
| 料金 | 初期費用0円 月額29,500円〜(免税事業者)/43,500円〜(課税事業者) 決算料不要 | 初期費用0円 年額34,800円〜84,000円(税抜) 最大2か月の無料体験あり(決算書の作成・出力は対象外) | 要見積もり(利用ID数に応じる) 無料トライアルなし(無料見積もり・オンライン相談あり) |
| 向いている企業規模・フェーズ | 創業期〜中小企業(会計サービスの主な対象は売上5億円以下)。経理の人員不足・属人化に悩む企業 | 法人専用(個人事業主は対象外)。1人〜300人未満まで幅広く、簿記の知識がない担当者でも使える小規模〜中堅の法人 | IPO準備企業・中堅〜上場企業。内部統制やJ-SOX対応を整えながら月次決算を早期化したい企業 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | ミーティングを予約する |
料金・機能は2026年10月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の内容は各社の公式サイト・資料でご確認ください。
上記は月次決算の遅れに効くサービスの一例です。会計を中心に据えた財務管理システムを、機能・料金・タイプ別の選び方まで含めて幅広く比較検討したい場合は、以下の記事で全体像を解説しています。
1. Tenbook(テンブック)|シンアカウンティングサービス株式会社

Tenbook(テンブック)は、公認会計士・税理士が代表を務めるシンアカウンティングサービスが提供する会計アウトソーシング型サービスです。自社開発のクラウド会計ソフト「10book」を基盤に、記帳代行から月次処理・決算・法人税申告までをオンライン完結で代行・サポートします。ソフトを導入して自社で入力する形ではなく、専門チーム(原則3名体制)が実務そのものを引き受ける点が特徴です。
月次決算の遅れの原因が「経理の人員不足」や「属人化」にある会社にとって、記帳・月次処理を専門家に任せられる効果は大きく、担当者の退職で経理が止まるリスクも避けられます。10bookは会計・支払管理・請求・経費精算・給与計算を一つのシステムに集約し、金融機関連携やインボイス・電子帳簿保存法への対応も備えるため、システムの分断による手作業も抑えられます。
料金は初期費用0円、月額29,500円〜(免税事業者)・43,500円〜(課税事業者)で、決算料は不要です。創業期〜中小企業(売上5億円以下が会計サービスの主な対象)に向いています。
経理の属人化が実際にどのようなリスクにつながるのか、多くの中小企業の経理を引き受けてきた同社代表の上田氏は、導入相談でよく見かける状況を次のように語っています。
それと、経理担当者の退職などで業務が不安定になるケースもよくあります。属人的なフローになっていると引き継ぎが大変ですし、退職に伴って経理が回らなくなるリスクが出てきます。
2. 弥生会計 Next|弥生株式会社

弥生会計 Next は、弥生株式会社が2025年4月に正式リリースした法人専用のクラウド会計サービスです。会計帳簿・決算書の作成に加え、請求業務や経費精算、証憑保存を同一システムで完結できるため、会計・経費・請求がバラバラで都度データを受け渡している会社の手作業を減らせます。
月次決算の自動化という観点では、2,500以上の金融機関と連携して入出金明細を自動取得でき、取引内容を会話するように入力するとAIが仕訳を生成する「AI取引入力」も備えます。手入力・転記が遅れの原因になっている会社に向いた機能です。残高試算表や消費税集計表を自動で作成でき、インボイス制度・電子帳簿保存法にも対応します。
料金は初期費用0円、年額34,800円〜84,000円(税抜)で、最大2か月の無料体験も用意されています(決算書の作成・出力は体験対象外)。簿記の知識がない担当者でも使いやすい設計で、1人規模から100〜300人未満まで幅広い規模の法人に対応します。
3. マネーフォワード クラウド会計Plus|株式会社マネーフォワード

マネーフォワード クラウド会計Plusは、IPO準備・中堅〜上場企業向けに内部統制機能を加えたクラウド会計システムです。無印の「マネーフォワード クラウド会計」で培った自動連携やAIによる科目提案の利便性はそのままです。そのうえで仕訳の申請・承認、権限管理、操作ログ・仕訳更新履歴、月次締めといった機能を備え、月次決算の早期化と正確性の両立を支えます。
承認フローや月次締めをシステム上で完結できるため、承認の滞りや属人化が月次を遅らせている中堅企業に向いています。銀行・カードなどの明細自動取得、経費・給与・債権・請求との一気通貫の連携、監査法人とのシステム共有にも対応します。
公式の導入事例では、月次決算を7営業日に短縮した例(株式会社ゴーゴーカレーグループ)や、月次決算にかかる期間を4分の1まで短縮した例(株式会社FOR YOU)が示されています。料金は利用ID数に応じた要見積もり方式で、導入前に無料のオンライン相談・見積もりを受けられます。
こうした効率化はシステムを入れるだけで生まれるわけではなく、本記事で繰り返し触れてきた運用・ルールの整備が前提になります。同社の栗本氏は、グループ会社での会計データ統一による効率化について、何が成功の鍵だったかを次のように説明しています。

SmartHR様は、グループ6社の会計データを統一し、運用フローを揃えたことで大きく効率化を実現されました。システムの入れ替えに合わせて、科目の考え方や承認フローといったルール面もグループ全体で統一されたことが成功の鍵でした。
まとめ|原因の特定から仕組み化まで、順番に進めれば月次決算は早くなる
月次決算早期化は、気合いで早く締めることではなく、遅れる原因を特定し、締めずに済む・待たずに締める仕組みをつくる取り組みです。まず自社がどの原因でつまずいているかを自己診断し、締め日・提出ルールの明文化、概算計上による「待たずに締める」運用、金融機関連携や証憑電子化による自動化を、翌月の目標営業日から逆算して段取りに落とし込みます。
手入力・転記や証憑回収、システムの分断といった作業面の原因には、会計の自動化・一体化を担うサービスが直接効きます。自社の規模や「どの原因を優先して解決したいか」に合わせて、複数のサービスの資料を比べながら検討するのがおすすめです。下のボタンから月次決算の効率化に役立つサービスの資料をまとめて請求し、自社に合う一社の比較検討を進めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 他部署が証憑や経費を期限までに出してくれません。どうすればよいですか?
A. 月次決算の遅れは経理内部よりも他部署からの資料が集まらないことに起因する場合が多く、提出期限のルール化と、それを守りやすくする仕組みづくりが有効です。まず「毎月◯営業日までに提出」という締め日を決めて全社に周知し、守られない場合の扱いも含めて運用に落とし込みます。
あわせて、スマホから申請できる経費精算システムやワークフローで提出・承認を電子化すると、紙の回収や差し戻しの待ち時間そのものを減らせます。経営層が月次の速報を実際の意思決定に使う姿勢を示すと、現場の協力も得やすくなります。
Q. 月次決算は翌月何営業日で締めるのが目安ですか?
A. 月次決算の目安は、一般的な実務では翌月10営業日以内、踏み込むなら翌月5営業日前後とされます。ただし取引量・拠点数・連結の有無によって現実的な目標は変わるため、他社の日数に合わせるのではなく、自社の経営判断や報告に間に合う日数を決めて近づけていくのが基本です。上場準備企業では、投資家向けの業績開示や内部統制の前提として、月次を5営業日前後で締められる体制が求められます。
Q. 月次決算の早期化にデメリットはありますか?
A. 月次決算早期化の主なリスクは、速さを優先するあまり数字の正確性が落ち、修正作業や経理担当者への負担が増えることです。ただしこれは早期化そのものの弊害ではなく、ルールのないまま号令だけで早めようとしたときに起きる問題です。確定を待つ範囲と概算で進める範囲をルールで線引きし、見積りの根拠を残して確定後に必ず修正する運用にすれば、早く締めることと正確であることは両立できます。
Q. 月次決算で金額が未確定の費用を概算計上しても問題ないですか?
A. 月次決算での概算計上は、合理的な見積りに基づき、確定後に差額を修正する運用であれば問題ありません。企業会計原則の発生主義では、費用は支出の有無にかかわらず発生した期間に割り当てて処理するのが原則で、請求書の到着が翌月になる費用でも当月に発生しているなら概算で計上するのが本来の姿です。
企業会計原則の重要性の原則も、重要性の乏しいものについては簡便な方法によることを認めています。ただし認められるのはあくまで「重要性の乏しいもの」で、金額が大きく判断に影響する項目まで省略してよいわけではなく、根拠を残さない概算や修正忘れは月次の数字を実態からずらすため避けてください。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:企業会計原則 第二 損益計算書原則/企業会計原則注解【注1】重要性の原則の適用について|企業会計審議会(リンク)
Q. 小規模企業や少人数の経理でも月次決算を早期化できますか?
A. 小規模企業や少人数の経理でも月次決算の早期化は可能で、むしろ工程が少ない分、締め日・提出ルールの明文化と記帳の自動化だけでも効果が出やすいといえます。金融機関やクレジットカードの明細を自動で取り込めば手入力と転記を減らせますし、人員不足や属人化が深刻な場合は、記帳・決算の外部委託も選択肢になります。
委託できる業務範囲や料金の比較は経理アウトソーシングの比較記事で解説しています。目標とする営業日数は、取引量に合わせて無理のない水準から設定してください。
Q. 月次決算の早期化は何から手をつければよいですか?
A. 月次決算の早期化は、まず月初から試算表確定までの業務フローを可視化し、どこで止まっているか(ボトルネック)を特定することから始めます。そのうえで、締め日・提出ルールの明文化、金額未確定費用の概算計上、システム連携・証憑電子化による自動化へと順に進めます。いきなりシステム導入から着手するより、現状把握とルール整備を先に行うほうが、効果が安定して定着しやすくなります。
Q. 会計システムを導入すれば月次決算は早くなりますか?
A. 会計システムの導入は手入力・転記や証憑回収の負担を大きく減らしますが、導入しただけで自動的に早くなるわけではなく、締め日・提出ルールや運用の整備が前提になります。金融機関・カード明細の自動取込やAIによる仕訳、会計・経費・請求の一体化は遅れる原因に直接効きますが、他部署から資料が集まる仕組みや概算計上のルールが伴って初めて締めが前倒しされます。
自社がどの原因でつまずいているかを特定したうえで、その原因に効く機能を備えたサービスを選ぶことが重要です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















