契約書への押印や郵送の手間をなくしたいものの、「電子署名はまず無料で試したい」「できれば費用をかけずに使い続けたい」と考えていませんか。電子契約サービスの多くは無料プランや無料トライアルを用意しており、手元のPDFであれば専用ツールを入れなくても自分で署名を付けられます。一方で、無料で使える範囲や、無料のまま結んだ契約が法的に有効なのかは分かりにくいのが実情です。
費用をかけずに電子署名・電子契約を始めるには、どの方法を選び、無料枠のどこに注意すればよいのでしょうか。無料で使い続けられるサービス、期間限定で試せるサービス、手元の文書に自分で署名するツールでは、できることも証拠力も変わってきます。
本記事では、無料で使える電子署名・電子契約サービスを横断的に比較・解説します。無料プランと無料トライアルの違い、無料枠で確認すべき制限に加え、無料で結んだ契約の法的有効性や電子帳簿保存法への対応といった、費用をかけない運用ならではの注意点も整理しました。個人事業主から中小企業の担当者まで、自分の用途に合う無料の手段を見極めるための材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。無料で使い続けたいのか、期間を決めて試したいのか、手元の文書に署名したいだけなのかに応じて、合う手段を案内します。
目次
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本記事の対象範囲(無料で使いたい方へ)
本記事は、費用をかけずに電子署名・電子契約を使いたい方に向けて、無料で使える手段とサービスを比較します。想定しているのは、月々の契約締結件数がまだ多くない個人事業主・フリーランスや、紙と押印の運用を見直したい中小企業の担当者です。小規模なうちは無料で始め、取引が増えたら有料へ切り替えたい、という段階の方を主な読者としています。
一方で、月に数十件以上を締結する、複数部署で権限を分けて運用する、グループ会社をまたいで一元管理したいといった要件がある場合は、無料枠では足りないことがほとんどです。費用の有無にこだわらず、機能や導入実績まで含めて電子契約システム全体を比較したい方は、規模やタイプを問わず網羅した比較記事もあわせてご覧ください。
無料で電子署名・電子契約を使う方法の全体像
ここからは、無料で電子署名・電子契約を使う方法を整理します。大きく分けて、無料プランで使い続ける、無料トライアルで試す、手元の文書に自分で署名する、の3つがあり、それぞれ向いている用途と無料でできる範囲が異なります。

そもそも無料でどこまで電子署名・電子契約ができるのか
電子署名には、相手に送って合意を得る「契約の締結」と、自分の文書に署名を付ける「自己署名」の2つの場面があります。契約の締結は、電子契約サービスを通じて相手にメールで署名を依頼し、双方が署名して契約を成立させる使い方です。自己署名は、相手に送らず、手元のPDFや申請書などに自分の署名・印影を付ける使い方を指します。
契約の締結は、多くの電子契約サービスが無料プランや無料トライアルを用意しているため、費用をかけずに始められます。ただし無料で送信できる件数や登録できるユーザー数には上限が設けられていることが一般的で、どこまで無料でできるかはサービスごとに差があります。自己署名は、PDFの閲覧ソフトやオフィスソフト、オンラインツールの機能で、無料のまま行えるケースが多くあります。
無料プランでそのまま使い続けられるサービス
月に無料で送信できる件数や登録ユーザー数に上限はあるものの、期間の区切りなく無料のまま契約締結まで完結できるタイプです。送信件数が少ない個人事業主や、電子契約を小さく始めたい事業者に向いています。無料のまま使い続けられるため、まずコストをかけずに運用を定着させ、件数が増えた段階で有料プランに移行する進め方が取りやすいのが特徴です。
無料プランの多くは、送信者(自社)だけがアカウント登録すれば使え、受信側の取引先はメールのリンクから無料で署名できる方式を採っています。送信件数の上限は月数件程度のものから、より多く送れるものまで幅があり、タイムスタンプの付与や管理機能が有料プランに限られる場合もあります。具体的な無料枠は後述の比較表で各サービスを横並びに確認できます。
無料トライアルでフル機能を試せるサービス
一定期間だけ、有料プランの機能を含めて無料で利用できるタイプです。期間はおおむね2週間から1か月程度で、期間が終わると有料契約への切り替えが必要になります。恒常的に無料で使い続けるのではなく、本格導入の前に操作性や自社の業務への合い方を見極めたい場合に向いています。
無料トライアルは有料機能まで一通り試せる反面、期間が区切られているため、試用中に社内の運用ルールや取引先への案内まで固めておく必要があります。無料プランとトライアルの両方を用意しているサービスもあり、その場合はトライアルでフル機能を確かめてから、無料プランの範囲で使い続けるという進め方もできます。
自分の文書にPDFで署名する無料ツール
相手に送って合意を得るのではなく、手元のPDFやオフィス文書に自分で署名・印影を付ける方法です。PDFの閲覧ソフトやオフィスソフトに備わった署名機能、オンラインのPDFツールを使えば、追加費用なしで署名を付けられます。社内の申請書に承認の印を付ける、受け取った書類に署名して返すといった、相手との往復を伴わない用途に向いています。
ただし無料のPDF署名ツールの多くは、手描きや画像の署名を貼り付けるだけで、電子証明書やタイムスタンプを伴わないものが少なくありません。この場合、後から改ざんされていないことを技術的に示す仕組みは弱く、契約の証拠力という観点では電子契約サービスの署名に劣ります。手順と限界は記事後半で具体的に解説します。
自分はどの方法が向いているか
取引先と継続的に契約を締結するなら無料プランで使い続けられる電子契約サービス、導入を決める前に有料機能まで確かめたいなら無料トライアル、相手に送らず手元の文書に署名するだけなら無料のPDF署名ツールが向いています。次の章からは、それぞれの無料枠の違いと制限を具体的に見ていきます。
無料プランと無料トライアルの違い、無料枠の制限
ここからは、無料で使ううえで押さえておきたい無料枠の線引きを整理します。「無料プランあり」と書かれていても、何がどこまで無料なのかはサービスによって大きく異なるため、申し込む前に確認しておくと選び直しの手間を防げます。
無料プランと無料トライアルの違い
同じ「無料で始められる」でも、期間の区切りなく使い続けられる無料プランと、一定期間だけ有料機能まで試せる無料トライアルでは、申し込む前に見るべき点が変わります。使い続けたいなら無料プランの送信件数・ユーザー数の上限を、試してから判断したいならトライアルの期間と終了後の料金を、それぞれ先に確認しておくと、期間切れで慌てずに済みます。
無料枠でチェックすべき制限
無料枠で特に確認したいのは、月に送信できる契約の件数、登録できるユーザー数、タイムスタンプの有無の3点です。送信件数は月数件程度に絞られていることが多く、自社の締結ペースを超えると有料プランが必要になります。ユーザー数が1名に限られていると、複数人で手分けして送る運用には向きません。
タイムスタンプは、その時刻にその内容の文書が存在したことを証明する仕組みで、無料プランでは付与されない、または有料オプション扱いになっていることがあります。タイムスタンプの有無は後述する電子帳簿保存法への対応や、改ざんされていないことの証明に関わるため、保存や証拠力を重視する場合は、無料枠に含まれるかを確かめておくと安心です。
無料枠の「型」の違いに注意する
同じ「無料プランあり」でも、無料でできることの形は一様ではありません。大きく、毎月決まった件数まで送れる月次リセット型、累計で一定件数まで送れる累計型、そして自分からは送信できず受信や保管だけが無料の受信・保管型に分かれます。受信・保管型は、取引先が送ってきた契約を無料で受け取って署名・保管できるものの、自社を起点に契約を送ることはできません。

自社から契約を送りたいのか、相手から送られてくる契約を受けるだけでよいのかによって、必要な無料枠の型は変わります。「無料プランあり」という表記だけで選ぶと、いざ契約を送ろうとして送信ができないケースもあるため、どの操作が無料の範囲に入るのかまで見ておくことが大切です。
無料で使えるサービスの選び方
ここからは、無料で使うことを前提にしたサービスの選び方を整理します。無料という共通点の中でも、自社の使い方に合うかどうかで候補は絞り込めます。
無料枠が自社の締結件数・用途に足りるか
まず確認したいのは、自社が月にどれくらい契約を締結するか、それが無料枠の送信件数に収まるかです。月の締結が数件にとどまるなら、月次リセット型の無料プランで足りることが多く、費用をかけずに運用できます。繁忙期だけ件数が跳ね上がる、取引先ごとに別々の担当が送るといった場合は、送信件数とユーザー数の両方を自社の実態と照らし合わせ、上限に引っかからないかを見ておくとよいでしょう。
取引先に負担をかけない方式か
電子契約は自社だけでなく取引先も関わるため、相手に手間をかけない方式かどうかは見落とせない観点です。多くの電子契約サービスは、受信側の取引先はアカウント登録をせず、届いたメールのリンクから署名できる立会人型(事業者署名型)を採っています。この方式なら、相手にアプリの導入や会員登録を求めずに済み、導入のハードルを下げられます。
一方で、相手側にもアカウント登録や専用アプリを求める方式だと、取引先によっては対応を断られることがあります。特に多数の取引先と契約を交わす場合は、相手に負担をかけない方式かどうかで、実際に電子契約へ切り替えられる範囲が変わってきます。
タイムスタンプなど法的証拠力が必要か
扱う契約の重要度によっては、署名の証拠力をどこまで求めるかが選定の分かれ目になります。少額・短期の取引であれば、無料プランの標準的な署名でも実務上は差し支えないことが多い一方、金額が大きい契約や長期間保管する契約では、タイムスタンプや本人確認の仕組みがある方式を選んでおくと安心です。
無料枠でタイムスタンプが付かない場合は、重要な契約だけ有料プランやタイムスタンプ付きの方式に分けて使う運用も検討できます。証拠力の考え方は記事後半で詳しく解説します。
将来の有料プランへそのまま拡張できるか
無料で始めても、締結件数が増えれば有料プランへの移行を考える場面が来ます。そのときに同じサービス内でプランを上げるだけで済むか、別サービスへ乗り換える必要があるかで、手間は大きく変わります。
無料プランから有料プランへ連続して拡張できるサービスなら、過去に締結した契約データや取引先への案内をそのまま引き継げるため、乗り換えに伴う手戻りを避けられます。無料のうちから、有料に移ったときの料金や機能まで見て選んでおくと、後から選び直す負担を減らせます。
自社がどのタイプに向いているか判断に迷う場合でも、状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
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【比較表】無料で使える電子署名・電子契約サービス
ここからは、無料で使える電子署名・電子契約サービスを、無料枠の内容・署名方式・タイムスタンプの有無・有料に切り替える場合の最低料金といった同じ軸で比較します。無料になり方ごとに、無料プランで使い続けられるサービス、無料トライアルで試せるサービス、手元の文書に署名する無料ツールの順に整理しました。
無料プランでそのまま使えるサービスの比較
| サービス名 | クラウドサイン | 電子印鑑GMOサイン | freeeサイン | WAN-Sign | ドキュサイン(DocuSign) | SMBCクラウドサイン | Dropbox Sign | Zoho Sign | 契約大臣 | BtoBプラットフォーム契約書 | リーテックスデジタル契約 | DX-Sign | サインタイム(SignTime) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 署名方式 | 立会人型(事業者署名型) | 立会人型(契約印タイプ)。当事者型は有料 | 立会人型(電子サイン) | 立会人型(認印版)/当事者型(実印版) | 立会人型(クラウド型) | 立会人型(事業者署名型) | 立会人型(事業者署名型) | 立会人型(基本の電子サイン) | 立会人型(電子サイン)。電子署名は有料 | 立会人型(事業者署名型) | 電子債権記録機関の利用者登録で本人性を担保(方式区分は公式に明示なし) | 立会人型(メール認証) | 立会人型(事業者署名型) |
| 無料で使える範囲 | 月2件/1ユーザー | 月5件/1ユーザー | 月1通/3ユーザー | 認印版 月10件・実印版 月3件/ユーザー無制限 | 送信3通/1ユーザー(受信・署名は無制限) | 月2件/1ユーザー | 署名依頼 30日ごと3回/自己署名は無制限 | 月5件/1ユーザー | 累計2件/1ユーザー | 締結 月5件・保管 月3件/ユーザー無制限 | 受信のみ無制限(送信不可)/5ユーザー | 月5件/1アカウント | 累計10通 |
| 無料枠の型 | 月次リセット | 月次リセット | 月次リセット | 月次リセット(超過分は従量課金) | 要確認(リセット周期は公式未確認) | 月次リセット | 30日ごとリセット | 月次リセット | 累計 | 月次 | 受信・保管のみ | 月次リセット | 累計 |
| タイムスタンプ | ● | ●認定TS付与 | ●全プランで付与 | ●認定TS標準付与 | 要確認 | ● | △監査証跡に時刻記録(認定TSは不明) | ×無料プランは付与なし | ●認定TS付与 | ● | ×ENTRYは付与なし | ●10年長期署名も対応 | 要確認(フリープランでの付与は未確認) |
| 相手の登録要否 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 要確認(取引先の利用は無料) | 要(利用者登録) | 不要 | 不要 |
| 有料の最低料金 | 11,000円/月(税抜・Lightプラン) | 8,800円/月(税抜・ライト年間契約) | 5,980円/月(税抜・Starter年払い) | 0円+従量(認印1件100円・実印1件300円、税抜) | 1,333円/月〜(Personalプラン) | 10,000円/月(税抜・Lightプラン) | 月15米ドル〜(円建て非公表) | 要確認(公式の円建て料金が非公表) | 4,400円/月(税込・スターター、月20件) | 10,000円/月〜(税抜・シルバー) | 18,000円/月(送信はTOTAL 600以上) | 8,800円/月(税込・Normal+送信1件220円) | 8,600円/月(税抜・電子契約プラン) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※無料枠・料金は2026年10月時点の各社公式情報にもとづきます。送信件数やタイムスタンプの有無は改定される場合があるため、最新の条件は各公式サイトでご確認ください。料金の税表記は各社の公表にあわせています。
無料トライアルで試せるサービスの比較
| サービス名 | マネーフォワード クラウド契約 | シヤチハタクラウド | jinjerサイン | paperlogic電子契約 | クラウドコントラクト |
|---|---|---|---|---|---|
| 署名方式 | 立会人型 | 印影・手書きサイン(立会人型) | 立会人型(書類単位で認証のみ/TS付/電子署名を選択) | 立会人型(認印)/当事者型(実印) | 立会人型 |
| 無料トライアルの期間・範囲 | 1ヶ月(フル機能。クレカ登録不要・自動移行なし) | 15日間(人数制限なし。認定TS・会社印は対象外) | 1ヶ月(ジンジャー全製品。旧FAQは3通まで) | 1ヶ月(スタンダードのフル機能。最大50ユーザー・20GB) | 2週間または10件のいずれか早い方(クレカ登録不要) |
| 恒常無料プランの有無 | ×なし | ×なし | ×なし | ×なし | ×なし |
| タイムスタンプ | ●セコムトラストシステムズ | △認定TSは有料オプション(トライアル対象外) | △認証のみ無料/TS付30円・電子署名200円(1通) | ●トライアルで認定TS付 | ●アマノタイムスタンプ |
| 有料の最低料金 | 個人900円〜/法人2,480円〜(月額・税抜) | 1,320円/月(税込・ワークフローLite、10ユーザー単位) | 要確認(月額は公式非公開) | 20,000円/月(税抜・スタンダード) | 1,980円/月〜(税抜・スターター、月10件) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※無料トライアルの期間・条件と料金は2026年10月時点の各社公式情報にもとづきます。トライアルの送信件数などは変更される場合があるため、最新の条件は各公式サイトでご確認ください。料金の税表記は各社の公表にあわせています。
PDFに自分で署名できる無料ツールの比較
| ツール名 | Adobe Acrobat Sign | iLovePDF |
|---|---|---|
| 署名の種類 | 手描き・入力・画像+証明書ベース(デジタルID) | 手描き・画像のみ(無料) |
| 証明書・タイムスタンプ | △自己署名の証明書(デジタルID)による署名に対応。認定TSは有料・別契約 | ×無料はなし(証明書・TS付きは有料のデジタル署名) |
| 無料でできる範囲 | 手元のPDFへの自己署名(入力と署名/証明書ベース) | 自己署名は無制限(1回3ファイル・50MBまで) |
| 相手への署名依頼 | ×有料版(または無料体験)が必要 | △無料は回数制限あり(証明書なし) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト |
※無料でできる範囲は2026年10月時点の各ツールの公式情報にもとづきます。証明書・タイムスタンプの有無は変更される場合があるため、最新の条件は各公式サイトでご確認ください。
無料で使える電子署名・電子契約サービスの紹介
ここからは、無料で使える各サービスの特徴と無料枠の内容を個別に紹介します。各サービスの無料プラン・無料トライアルの範囲と、どんな事業者に向くかをあわせて見ていきます。診断ツールや比較表で候補を絞ったうえで、気になったサービスの紹介を読むと、効率よく比べられます。
無料プランでそのまま使えるサービス
1. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

弁護士ドットコム株式会社が提供し、導入社数250万社以上を公表する電子契約サービスです。無料の「フリープラン」はユーザー1名・月2件までの送信に対応し、有料プランと同じ事業者署名型(立会人型)の電子署名とタイムスタンプをそのまま利用できます。
送信件数の上限は、2025年12月に月3件から月2件へ引き下げられました。月に数件程度の締結にとどまる個人事業主や、まず費用をかけずに電子契約を試したい事業者に向いています。有料のLightプランは月額11,000円(税抜)・送信1件220円(税抜)で、件数が増えたら移行できます。
2. 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

期間の制限なく使える「お試しフリープラン」を備えた、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社の電子契約サービスです。無料枠は月5件までの送信に対応し、登録できるユーザーは1名、署名方式は立会人型(契約印タイプ)に限られます。
フリープランでも手書きサインと認定タイムスタンプを利用できる一方、当事者型(実印タイプ)やeシールは有料プランの機能です。月の無料枠を超えた分は従量課金では送れず、有料プランへの切り替えが必要になります。有料のライトプランは月額8,800円(税抜・年間契約)から、立会人型の送信料は1件100円(税抜)です。
3. freeeサイン(フリー株式会社)

フリー株式会社が提供する電子契約システムで、会計や人事労務などfreee製品と連携できます。無料プランは0円で、電子サインの送信は月1通までですが、ユーザーを3名まで登録できます。タイムスタンプは無料プランを含む全プランで利用可能です。
送信できる通数は月1通と限られる一方、無料枠が1名のみのサービスが多いなかで、複数人で手分けして使える点が特徴です。弁護士監修の契約書ひな形は無料プランを含む全ユーザーがダウンロードできます。有料のStarterプランは年払いで月あたり5,980円(税抜)から、電子サインの送信は1通100円(税抜)です。
4. WAN-Sign(株式会社NXワンビシアーカイブズ)

株式会社NXワンビシアーカイブズが提供する電子契約・契約管理サービスです。独立した無料プランではなく、初期費用・月額0円の「基本プラン」自体に無料枠が組み込まれており、ユーザー数は無制限で利用できます。
立会人型(認印版)は月10件まで、当事者型(実印版)は月3件まで無料で、無料枠を超えた月はその月の送信全件が従量課金(認印版1件100円・実印版1件300円、いずれも税抜)の対象になります。当事者型を使う場合は、署名者1名につき年8,000円の電子証明書発行料が別途かかります。無料枠を使い切っても送信は止まらず、従量課金で継続できます。
5. ドキュサイン(DocuSign)(ドキュサイン・ジャパン株式会社)

米国Docusign, Inc.が開発し、ドキュサイン・ジャパン株式会社が国内提供する電子署名サービスです。期限のない無料アカウントがあり、受信と署名は無制限ですが、自分から送信できるのは3通までです。
送信3通という枠は限られるため、継続的に契約を送る用途よりも、受け取った契約への署名が中心の使い方に向きます。これとは別に、有料プランの機能を30日間試せる無料トライアル(クレジットカード登録不要)も用意されています。有料のPersonalプランは月額1,333円からです。
6. SMBCクラウドサイン(SMBCクラウドサイン株式会社)

三井住友フィナンシャルグループと弁護士ドットコム株式会社の合弁会社、SMBCクラウドサイン株式会社が提供する電子契約サービスです。「Freeプラン」は永年無料で、ユーザー1名・月2件までの送信に対応します。
製品基盤は弁護士ドットコムの「クラウドサイン」と共通で、公式も「機能レベルでの差異はありません」としています。Freeプランでも電子署名とタイムスタンプを利用でき、有料のライトプランは月額10,000円(税抜)から、送信料は1件200円(税抜)です。送信料とライトプランの月額は2027年1月に改定が予告されています。
7. Dropbox Sign(Dropbox Japan株式会社)

米Dropboxが提供するクラウド型の電子署名サービスで、前身のHelloSignを2019年に買収し2022年に現名称へ変更しました。無料プランでは署名依頼が30日ごとに3回まで、自己署名は回数無制限で利用できます。
手元の文書に自分で署名する用途であれば、無料のまま回数を気にせず使えます。一方、料金は公式ページがUSD建てで、Essentialsプランは月額15ドル(年払いは月あたり10.05ドル)です。日本円建ての定価は公表されていないため、請求額の扱いは確認が必要です。
8. Zoho Sign(ゾーホージャパン株式会社)

ゾーホージャパン株式会社が提供する電子署名サービスで、Zoho CRMなど同社の業務アプリと連携できます。無料プランはユーザー1名で、月5件まで(毎月リセット)の送信に対応します。
ただし無料プランではタイムスタンプが付与されず、電子帳簿保存法に対応するタイムスタンプ付与は有料プラン(別途クレジットの購入が必要)での対応になります。別枠として、14日間はエンタープライズ相当の機能を試せる無料トライアル(クレジットカード登録不要、署名文書に透かしが入る)も利用できます。国内のデータセンター(東京・大阪)での運用に対応しています。
9. 契約大臣(株式会社TeraDox)

株式会社TeraDoxが提供する電子契約システムで、テンプレートからの作成・送付・締結・保管を一つのサービスで行えます。「フリープラン」は0円・ユーザー1名で、送信できるのは累計2件までです。
この2件は月ごとにリセットされる枠ではなく、有料プランで送った分も含めた累計である点に注意が必要です。フリープランでも立会人型の電子サインと認定タイムスタンプは使えますが、事業者署名型の「電子署名」は有料プランのオプションです。有料の最小プランは月額4,400円(税込)で、月20件まで送信できます。
10. BtoBプラットフォーム契約書(株式会社インフォマート)

株式会社インフォマートが運営する「BtoBプラットフォーム」シリーズの電子契約サービスです。無料のフリープランは月額0円で、契約締結は月5件、電子保管は月3件まで、ユーザー数は無制限で利用できます。
フリープランでも電子署名とタイムスタンプが付与されます。申し込みは通常の料金表とは別の専用ページからで、同業他社やフリーメールアドレスからの申し込みは受け付けていません。契約を受け取る取引先は無料で利用でき、有料のシルバープランは月額10,000円(税抜)からです。
11. リーテックスデジタル契約(リーテックス株式会社)

リーテックス株式会社が提供する電子契約サービスで、電子署名法に加えて電子記録債権法を併用し、電子債権記録機関の利用者登録で本人性を担保する仕組みを持ちます。無料の「ENTRY」プランは月額0円で、5名まで登録できます。
ただしENTRYは契約の受け取り専用で、自社から契約を送信することはできません。受信は無制限で無料のため、取引先から送られてくる契約を受けるだけなら費用はかかりません。自社から送信する場合は、月額18,000円の「TOTAL 600」プラン以上が必要になります。
12. DX-Sign(株式会社バルテックサイン)

期限のない無料プランを備える、株式会社バルテックサインの電子契約サービスです。「Freeプラン」は月額0円・1アカウントで、月5件まで送信できます。相手方はメール認証で参加でき、事前のアカウント登録は不要です。
タイムスタンプと10年間の長期署名は、Freeプランを含む全プランに付与されます。月5件を超えて送る場合は、月額8,800円(税込)に送信1件220円(税込)が加わる「Normal」プランが選択肢になります。
13. サインタイム(SignTime)(サインタイム株式会社)

サインタイム株式会社が提供する電子契約サービスで、署名者はアカウント登録なしで署名できます。無料のフリープランは期間の定めがなく、合計10通まで送信できます。
フリープランの送信枠は累計10通までで、月ごとに戻るものではありません。有料の電子契約プランは月額8,600円(税抜)で、ユーザー数と送信通数がいずれも無制限になります。商業登記のオンライン申請に使える、法務省の認定事業者としても登録されています。
無料トライアルで試せるサービス
14. マネーフォワード クラウド契約(株式会社マネーフォワード)

「マネーフォワード クラウド」シリーズの一製品で、契約書の作成から電子契約による締結、締結後の保管・管理までを一つのプラットフォーム上で扱えるサービスです。会計・請求書・経費など同シリーズの他製品と同じ基盤で利用できます。
無料で試せるのは1ヶ月間の無料トライアルで、期間の区切りなく使える無料プランは設けられていません。個人向けページでは期間終了後に有料プランへ自動で移行しない旨が案内されており、導入の可否を見極めてから契約する流れを取れます。
料金はユーザー数をもとにした基本料金で決まり、契約書の送信料・保管料は0円で、送信件数や保管件数による従量課金・上限はありません。電子署名は立会人型で、セコムトラストシステムズのタイムスタンプを付与します。
15. シヤチハタクラウド(シヤチハタ株式会社)

電子印鑑・電子決裁(ワークフロー)を主軸に、電子契約・電子署名を関連機能として提供するサービスです。氏名印・日付印・役職者印といった印影に加えて手書きサインにも対応し、社内外の承認業務をデジタルで完結できます。
無料トライアルは15日間で、人数の制限なく試せる点が特徴です。ただし認定タイムスタンプや会社印など一部の機能はトライアルの対象外とされており、文書に電子署名を付けるには有料オプション「セキュリティ強化」の契約が必要になります。
受信側のゲストは登録不要・無料で捺印でき、相手に会員登録を求めずに済みます。料金はワークフロー Liteが10ユーザー単位で月額1,200円(税込1,320円)からで、契約は1年単位の自動更新です。
16. jinjerサイン(jinjer株式会社)

統合型人事システム「ジンジャー」のラインナップに含まれる電子契約サービスです。契約書の作成から送付・締結・保管までをオンラインで完結でき、相手先がjinjerサインを導入していなくても、受信側はアカウント登録なしで締結できます。
無料で試せるのは、ジンジャー全体で案内されている1ヶ月間の無料トライアルです。恒常的な無料プランは公式に案内されていないため、トライアルで送信できる件数などの条件は、申し込み時に確認しておくと安心です。
署名方法は契約の重要度に応じて書類単位で選べる設計です。2022年の公式発表では、メール認証による「認証のみ」は無料、タイムスタンプ付きが1通30円、電子署名付きが1通200円と案内されており、重要度に合わせて費用を抑えられます。
17. paperlogic電子契約(ペーパーロジック株式会社)

公認会計士・税理士が関わって設立された経緯を持ち、電子帳簿保存法や内部統制への対応に重点を置いた電子契約・文書電子化サービスです。立会人型(認印相当)と当事者型(実印相当)の両方の電子署名に対応します。
無料トライアルは1ヶ月間・0円で、最大50ユーザー・容量20GB・認定タイムスタンプ付きというスタンダードプランのフル機能をそのまま試せます。期間の区切りなく使える無料プランはありません。
ただし当事者型で使う電子証明書は1枚あたり7,000円(税抜・有効期限1年)の別料金オプションで、トライアル中に無料で使えるかは公式に明記されていません。契約書のほか、請求書・納品書・取締役会議事録などの法定保存文書も電子化・保管できます。
18. クラウドコントラクト(クラウドコントラクト株式会社)

中小企業・個人事業主を主な対象に、PDFのアップロードから送信・締結・保管までをWebブラウザ上で完結できる電子契約サービスです。電子署名は立会人型で、受信者はアカウント登録なしでメールから締結できます。
期限なく使える無料プランはなく、無料で試せるのは登録から2週間、または期間内に10件の締結に達するまでのいずれか早い方の無料トライアルです。クレジットカードなど支払い情報の登録は不要で、有料プランと同じ機能を試せます。
有料に切り替える場合はスタータープランが初期費用0円・月額1,980円(税抜・12ヶ月契約)からで、月10件までの締結が基本料金に含まれ、超過分は1件100円です。タイムスタンプはアマノタイムスタンプサービスを利用します。
PDFに自分で署名できる無料ツール
19. Adobe Acrobat Sign(アドビ株式会社)

PDFの作成・編集で広く使われるアドビ株式会社のAcrobat製品には、手元のPDFに自分で署名を付けられる無料ツールが用意されています。閲覧ソフトのAcrobat Readerやブラウザ版で「入力と署名」を選ぶと、手書き・入力・画像による署名を文書内の任意の位置に配置できます。
認証局が発行する電子証明書を用いた当事者型のデジタル署名にも対応しており、署名後に文書が変更されていないかを検証できます。一方で、相手にメールで署名を依頼して双方で締結する機能は無料ツールの対象外で、Acrobatの有料版(または無料体験)が必要です。手元の文書への署名までを無料で済ませたい用途に向いています。
20. iLovePDF(ILOVEPDF, S.L.)

スペインのILOVEPDF, S.L.が運営するiLovePDFは、ソフトを入れずにブラウザ上でPDFへ署名できるオンラインツールです。画面は日本語に対応し、手描きや画像(PNG・JPG・SVG)で作成した署名を文書に配置して、自分で署名するほか、相手に署名を依頼することもできます。
無料のベーシックプランで使えるのは、証明書やタイムスタンプを伴わない手描き・画像のシンプルな署名のみです。認定ハッシュと認定タイムスタンプを埋め込み、署名後の改ざんを検知できるデジタル署名(高度な電子署名)は、月額5米ドル(年間請求)からの有料プランの機能になります。
自己署名の回数に制限はなく、1回に署名できるのは3ファイル・1タスクあたり50MBまでです。日本の電子署名法や電子帳簿保存法への対応は公式サイトに記載がないため、証拠力が問われる契約の締結よりも、手元の文書に自分で署名する用途に向いています。
自分のPDF・Office文書に無料で署名する手順
ここからは、相手に送らず手元の文書に自分で署名する具体的な手順を解説します。普段使っているPDFの閲覧ソフトやオフィスソフト、オンラインツールで、追加費用なく署名を付けられます。
Adobe Acrobat Reader で署名する手順
PDFの標準的な閲覧ソフトであるAdobe Acrobat Reader(アドビ アクロバット リーダー)には、無料で使える署名機能が備わっています。署名したいPDFを開き、ツールの中から「入力と署名」を選ぶと、手書きの署名やテキスト、画像の印影を文書内の任意の位置に配置できます。
より厳密な電子署名を付けたい場合は、「証明書ベースの署名」を使い、自分のデジタルID(電子証明書)を作成したうえで署名します。自己署名のデジタルIDを使うと、署名後に文書が変更されていないかを検証できる点が、手書き署名の貼り付けとの違いです。
ただし自己署名の証明書は第三者機関による本人性の保証がないため、重要な契約では認証局が発行する証明書やタイムスタンプとの組み合わせを検討するとよいでしょう。
Word・Excel の署名機能で署名する
Microsoft WordやExcelにも、文書に署名を付ける機能があります。「挿入」タブの「署名欄」から署名欄を追加し、そこに署名することで、誰がいつ承認したかを文書上に残せます。社内の稟議書や申請書など、オフィスソフトで作成した文書にそのまま承認の印を付けたい場合に使えます。
オフィスソフトのデジタル署名も、証明書を用いることで署名後の変更を検知できます。普段作成している文書の延長で署名まで完結できる手軽さがある一方、相手に送って双方で合意を得る契約締結の用途には、電子契約サービスのほうが適しています。
オンラインPDFツールで署名する
ソフトを入れずに、ブラウザ上でPDFに署名できるオンラインツールもあります。署名したいPDFをアップロードし、手書き・入力・画像のいずれかで署名を作成して配置し、署名済みのファイルをダウンロードする流れです。インストール不要で手軽に使える反面、無料で使える範囲ではファイルサイズや1回あたりの処理件数に上限があることが多く、多くの場合は証明書やタイムスタンプを伴わない簡易な署名になります。
機密性の高い契約書をアップロードする場合は、提供元のデータの取り扱いやセキュリティの説明を確認しておくと安心です。手元での簡単な署名には向きますが、証拠力を重視する契約には、次に述べる限界を踏まえて使い分けます。
自分で署名する無料ツールの限界
手元の文書に自分で署名する方法は手軽ですが、いくつかの限界があります。第一に、手書きや画像の署名を貼り付けるだけの場合、その署名を誰が付けたか、後から文書が変更されていないかを技術的に示す仕組みがなく、契約の証拠としては弱くなります。第二に、これらのツールは自分の文書に署名するためのもので、相手に送って双方の合意を記録する契約締結には向きません。
取引先と交わす契約のように、後々の証拠力が問われる場面では、電子証明書やタイムスタンプを伴う電子契約サービスの署名のほうが適しています。自己署名の無料ツールは、社内文書への押印や、相手との往復を伴わない軽微な用途に絞って使うのが現実的です。
無料の電子署名で結んだ契約は法的に有効か
無料で署名したことで契約が無効になるのではないか、という不安は、費用をかけない運用でつまずきやすい点です。ここでは、無料の電子署名で結んだ契約の有効性と証拠力、電子帳簿保存法への対応を整理します。
電子署名法上の有効性と証拠力
そもそも契約は、法令に特別の定めがある場合を除いて、書面の作成などの方式を要せずに成立します。民法は契約方式の自由を定めており、書面や押印がなくても、電子データや電子署名によって契約は有効に成立します。無料かどうかは、契約が有効に成立するかどうかには直接影響しません。
契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
出典:民法(明治29年法律第89号)第522条第2項|e-Gov 法令検索
問題になりやすいのは、有効性よりも「証拠力」です。電子署名及び認証業務に関する法律(以下、電子署名法)は、本人による一定の電子署名が行われた電子文書は、真正に成立したものと推定すると定めています。この推定が働くと、裁判の際にその文書が本人の意思で作成されたことを立証しやすくなります。
電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
出典:電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)第3条|e-Gov 法令検索
無料プランで多く使われているのは、利用者の指示にもとづいてサービス提供事業者が自社の署名鍵で暗号化する立会人型(事業者署名型)です。国の公式見解では、この方式でも、利用者の意思のみにもとづいて機械的に暗号化されたと認められる場合には、措置を行った者は利用者であると評価し得るとされ、電子署名法上の電子署名に当たると整理されています。
そのうえで第3条の推定効が働くには、本人だけが行うことができるという「固有性の要件」を満たす必要があり、例えば二要素認証などで十分な水準の固有性を満たすと評価され得るとされています(二要素認証が必須というわけではありません)。
注意したいのは、利用者の身元確認は推定効の必須の要件ではないものの、身元確認の水準や、なりすましへの防御レベルが低い場合には、実際の裁判で推定が得られないと判断される可能性がある、という点です。つまり「無料だから」「本人確認が簡易だから」といって一律に証拠力がないわけではなく、固有性や防御レベルの水準によって推定の働き方が変わります。
少額・短期の契約では無料プランの署名で実務上は足りることが多い一方、金額が大きい契約や後で争いになりやすい契約では、本人確認やタイムスタンプの水準が高い方式を選ぶなど、契約の性質に応じてサービスを使い分けるのが適切です。
電子契約サービスにおける利用者の身元確認の有無、水準及び方法やなりすまし等の防御レベルは様々であるところ、現状では必要な基準についての裁判例の蓄積が十分でなく、身元確認の水準や防御レベルが低い場合には、実際の裁判において真正な成立を推定するためには不十分であると判断される可能性がある。
出典:利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法第3条関係)問5|総務省・法務省・経済産業省(令和2年9月4日、一部改定 令和6年1月9日)
出典は以下のとおりです。
出典・参考資料(4件)
電子帳簿保存法の保存要件を満たせるか
電子契約で取り交わした契約書は、電子取引のデータとして電子帳簿保存法のルールに沿って保存する必要があります。国税庁は、原則的な保存ルールとして、改ざん防止の措置をとること、画面や書面で確認できるようにすること、日付・金額・取引先で検索できるようにすることの3点を挙げています。
① 改ざん防止のための措置をとること 具体的には、次のいずれかの措置をとることが必要です。○ タイムスタンプが付与されたデータを受領 ○ 受領したデータにタイムスタンプを付与 ○ 訂正・削除の履歴が残るシステム等で授受・保存 ○ 改ざん防止のための事務処理規程を策定、運用、備付け
出典:電子取引データの保存方法をご確認ください|国税庁(令和6年11月)
ここで押さえておきたいのは、改ざん防止の措置はタイムスタンプに限られないという点です。タイムスタンプが付かない無料プランでも、訂正・削除の履歴が残るシステムで保存するか、改ざん防止のための事務処理規程を定めて運用・備え付ければ、改ざん防止の要件を満たせます。
したがって「タイムスタンプのない無料プランは電子帳簿保存法に対応できない」とは限りません。事務処理規程のひな形は国税庁が公開しており、無料でも運用面の整備で保存要件に対応できる余地があります。
検索要件についても、基準期間の売上高が一定額以下で、税務調査の際にデータのダウンロードの求めに応じられる場合などは、検索機能の確保が不要になる緩和措置があります。無料で運用する場合は、どの措置で改ざん防止と検索要件を満たすかを決め、必要に応じて事務処理規程を備えておくと、保存面での不安を抑えられます。
出典・参考資料(1件)
タイムスタンプが付かない無料プランで電子帳簿保存法に対応する具体的な要件(訂正・削除の履歴が残るシステムや事務処理規程の整備)は、以下の記事で条文に沿って詳しく解説しています。
電子帳簿保存法でタイムスタンプが不要になる条件|訂正削除履歴システムと事務処理規程の要件を条文で解説
電子帳簿保存法(電帳法)の対応で、タイムスタンプ付与の仕組みを新しく入れると、時刻認証局との契約や既存システムの改修が必要になり、月々の付与件数に応じた費用も上乗せされます。「規程を整備すれば付与しなくて済む」と社内で話題になり、その根拠を…
取引先に不安や手間を与えないための配慮
無料で電子契約を始める際は、取引先が安心して署名できるかにも気を配ります。国の公式見解でも、本人確認の方法やなりすましへの防御レベルはサービスごとに様々であり、締結する契約の性質や、当事者間で必要とする本人確認の水準に応じて、適切なサービスを選ぶことが望ましいとされています。
重要な契約では本人確認の水準が高い方式を選ぶ、相手にアカウント登録を求めない立会人型を使うなど、相手の負担と証拠力のバランスを見て決めると、電子契約への切り替えを無理なく進められます。
無料で足りるか、有料に切り替える目安
無料で始めても、使い続けるうちに無料枠では足りなくなる場面が出てきます。ここでは、有料への切り替えを考えるタイミングと、有料にすることで得られることを整理します。
無料枠では足りなくなる典型的なケース
最もよくあるのは、月の締結件数が無料枠の上限を超えるケースです。取引が増えて毎月の送信件数が上限に達するようになったら、有料プランへの切り替えを検討する時期といえます。また、複数の担当者で手分けして契約を送りたい、部署ごとに権限を分けたいといった運用になると、ユーザー数が1名に限られる無料枠では回らなくなります。
証拠力や保存の面で要件が上がったときも、切り替えの目安になります。金額の大きい契約を扱うようになった、タイムスタンプ付きで保存して電子帳簿保存法に確実に対応したい、といった段階では、無料枠では対応しきれないことが多く、有料プランの機能が必要になります。
有料に切り替えると得られること
有料プランに切り替えると、月の送信件数やユーザー数の上限が広がり、組織での運用に耐えられるようになります。タイムスタンプの付与、契約書の一覧管理や検索、テンプレートの共有、アクセス権限の設定といった機能が加わり、締結から保管までを一つのサービスで完結しやすくなります。サポート体制も手厚くなる傾向があり、運用に不安がある場合の後ろ盾になります。
無料プランから同じサービスの有料プランへ上げられる場合は、これまでの契約データや取引先への案内を引き継いだまま拡張できます。無料のうちから有料プランの料金と機能まで見て選んでおくと、件数が増えたときの切り替えがスムーズです。各サービスの有料プランの料金は、資料を取り寄せてまとめて見比べると判断しやすくなります。
まとめ
電子署名は、無料で使い続けられるサービス、期間限定で試せるサービス、手元の文書に自分で署名する無料ツールのいずれかで、費用をかけずに始められます。取引先と継続して契約を交わすなら無料プランで使い続けられるサービス、本格導入の前に確かめたいなら無料トライアル、相手に送らず自分の文書に署名するだけなら無料のPDF署名ツールが、それぞれの用途に向いています。
選ぶ際は、月の締結件数が無料枠に収まるか、取引先に負担をかけない方式か、必要な証拠力を満たせるか、将来そのまま有料へ拡張できるかを確認します。無料でも契約は有効に成立し、固有性や防御レベルの水準によっては証拠力も確保でき、電子帳簿保存法も事務処理規程などの運用で対応できる余地があります。
無料で小さく始め、件数や要件が増えた段階で有料へ切り替える進め方が、費用をかけずに電子契約を定着させる現実的な道筋です。気になるサービスがあれば、まず無料プランや無料トライアルに登録して使い勝手を確かめるのが手早い方法です。各サービスの無料枠や有料プランの料金をまとめて見比べたいときは、資料を一括で取り寄せると、自社に合う一つを選びやすくなります。
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よくある質問(FAQ)
Q. 電子署名とは何ですか?
A. 電子署名とは、電子文書に対して行う、作成者が誰かを示し、作成後に改ざんされていないかを確認できる電子的な措置のことです。紙の契約書における署名・押印に相当するもので、電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)に定義があります。無料で使えるサービスの多くは、サービス提供事業者が利用者の指示にもとづいて署名する立会人型(事業者署名型)を採用しています。
Q. 無料の電子署名で結んだ契約は法的に有効ですか?
A. 無料の電子署名で結んだ契約も、有料の場合と同じく法的に有効に成立します。契約は、法令に特別の定めがある場合を除いて、書面の作成や押印がなくても成立すると民法が定めており(第522条第2項)、無料かどうかは契約の有効性に直接影響しません。ただし、後から契約の成立を証明しやすいかという「証拠力」は署名の方式によって変わるため、有効性とは分けて考える必要があります。
出典・参考資料(2件)
Q. 無料の電子署名で結んだ契約は裁判で証拠になりますか?
A. 無料プランでも、固有性や本人確認・なりすまし防御の水準を満たせば、裁判上の証拠力(真正な成立の推定)を確保できます。電子署名法第3条は、本人だけが行える電子署名が付された電子文書を真正に成立したものと推定すると定めており、立会人型でも二要素認証などで十分な固有性を満たせば推定が働き得ます。
一方、身元確認や防御のレベルが低い場合は推定が得られないと判断される可能性があるため、金額が大きい契約や争いになりやすい契約では、本人確認やタイムスタンプの水準が高い方式を選ぶのが安全です。なお、利用者の身元確認そのものは推定効の必須要件ではありません。
出典・参考資料(2件)
Q. 電子署名の無料プランと無料トライアルの違いは何ですか?
A. 無料プランは期間の区切りなく使い続けられるのに対し、無料トライアルは有料機能を一定期間だけ試せる仕組みです。無料プランは送信件数や機能に上限がある代わりに恒常的に0円で使え、無料トライアルは期間(おおむね2週間〜1か月)が終わると有料契約への切り替えが必要になります。継続して無料で使いたいのか、本格導入の前に試したいだけなのかで選び分けると、期間切れで慌てずに済みます。
Q. 無料プランの電子署名でタイムスタンプは付きますか?
A. タイムスタンプが無料プランに付くかどうかはサービスによって分かれます。無料プランでもタイムスタンプを付与できるサービスがある一方、無料プランではタイムスタンプが付かず、有料プランでの対応になるサービスもあります。無料枠でのタイムスタンプの有無は比較表で横並びにご確認ください。
保存や証拠力を重視する場合は、申し込み前に無料枠にタイムスタンプが含まれるかを確認しておきます。
Q. 無料の電子署名でも電子帳簿保存法に対応できますか?
A. タイムスタンプの付かない無料プランでも、事務処理規程などの運用で電子帳簿保存法の保存要件に対応できる余地があります。国税庁は、改ざん防止の措置としてタイムスタンプのほかに、訂正・削除の履歴が残るシステムでの保存や、改ざん防止のための事務処理規程の策定・運用・備え付けも認めています。
事務処理規程のひな形は国税庁が公開しているため、「タイムスタンプのない無料プランは電子帳簿保存法に対応できない」とは限らず、運用面を整えれば無料でも要件を満たせます。
出典・参考資料(1件)
Q. PDFに自分で無料で署名するにはどうすればよいですか?
A. PDFへの自己署名は、Adobe Acrobat Readerの「入力と署名」、Word・Excelの署名欄、オンラインのPDF署名ツールのいずれかを使えば無料で行えます。相手に送らず手元の文書に署名や印影を付けるだけであれば、追加費用はかかりません。
ただし手描きや画像を貼り付けるだけの署名は、後から改ざんされていないことを示す仕組みが弱く証拠力が限られるため、取引先と交わす重要な契約には電子契約サービスの署名が向いています。
Q. 無料の電子署名は取引先もアカウント登録が必要ですか?
A. 多くの電子契約サービスは立会人型(事業者署名型)を採用しており、受信側の取引先はアカウント登録なしでメールのリンクから署名できます。送信する自社だけが登録すれば使えるため、相手にアプリの導入や会員登録を求めずに済み、導入のハードルを下げられます。
一方で、相手側にも登録を求める方式もあり、その場合は取引先に対応を断られることがあるため、多数の取引先と契約するなら相手の負担が少ない方式かを確認します。
Q. 無料プランの電子署名では月に何件まで送れますか?
A. 無料プランで送れる件数は月1〜5件程度が中心で、サービスによって幅があります。各サービスの無料枠の件数は比較表で横並びに確認でき、自社の月間の締結ペースに収まるかを見比べられます。
なかには月ごとにリセットされず累計で上限を設けるサービスもあるため、月次リセットか累計かもあわせて確認します。自社の月間の締結ペースが無料枠に収まるかが、最初の見極めどころです。
Q. 立会人型(事業者署名型)と当事者型の電子署名は、どちらを無料で使えますか?
A. 無料プランで使えるのは立会人型(事業者署名型)が中心で、当事者型(実印タイプ)は有料や別料金になることが多いです。立会人型はサービス提供事業者が利用者の指示で署名する方式で、取引先も登録不要で手軽に使えます。
当事者型は署名者ごとに電子証明書が必要で、証明書の発行料が別途かかるサービスもあります。重要度の高い契約で当事者型を使いたい場合は、こうしたコストも含めて確認します。発行料の有無や金額は比較表でご確認ください。
Q. 個人事業主やフリーランスでも電子署名を無料で使えますか?
A. 個人事業主やフリーランスでも、無料プランや無料のPDF署名ツールで費用をかけずに電子署名を使えます。月の締結件数が少ないうちは、月数件まで無料で送れる無料プランで足りることが多く、受け取った書類に署名して返すだけなら自己署名ツールでも対応できます。法人向けの最低料金が負担に感じる段階まで無料のまま運用を続け、件数が増えてから有料プランを検討する進め方が取りやすいです。
Q. 無料プランで締結した契約書は、有料プランに移行した後も閲覧できますか?
A. 同じサービス内で有料プランへ移行する場合は、無料プランで締結した契約書をそのまま引き継いで閲覧できるのが一般的です。無料のうちに結んだ契約データや取引先への案内を保持したまま拡張できるため、別サービスへ乗り換えるより手戻りが少なくて済みます。将来の件数増を見込むなら、無料プランと有料プランが連続して用意されているサービスを選んでおくと、切り替え時の負担を抑えられます。
Q. 電子署名を無料から有料プランに切り替える目安はいつですか?
A. 月の締結件数が無料枠の上限を超えたときや、複数人での運用・高い証拠力が必要になったときが、有料へ切り替える目安です。毎月の送信件数が上限に達する、担当者を増やして手分けしたい、タイムスタンプ付きで電子帳簿保存法に確実に対応したい、といった段階では無料枠では足りなくなります。無料プランから同じサービスの有料プランへ上げられるものを選んでおけば、契約データを引き継いだまま拡張できます。
Q. 無料のフリーソフトやオープンソースの電子署名ツールを業務で使っても問題ないですか?
A. 業務で交わす契約には、提供元が不明確なフリーソフトやオープンソースのツールより、無料プランのある電子契約サービスのほうが安心です。提供元の責任やサポート、改ざん防止・本人確認の仕組みがはっきりしないツールは、トラブル時の対応や証拠力の面でリスクが残ります。無料で済ませたい場合でも、事業者が運営し、立会人型やタイムスタンプに対応したサービスの無料枠を使うほうが、業務利用には適しています。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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