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ゼロトラストセキュリティ製品の比較|ID・端末・ネットワークなど機能領域別の選び方を解説

ゼロトラスト セキュリティ製品の比較のサムネイル画像

社内システムのクラウド移行やテレワークが定着し、「社内ネットワークは安全」という前提が崩れたいま、ゼロトラストの考え方にもとづくセキュリティ製品を検討する企業が増えています。ところが製品を調べ始めると、IDaaS・EDR・ZTNA・DLP・SIEMなど種類が多く、「どれがゼロトラストなのか」「何から比べればよいのか」が分かりにくいという声をよく聞きます。

ゼロトラストは単一の製品で実現するものではなく、複数の機能領域を組み合わせて少しずつ近づけていく考え方です。そのため製品比較も、1本の「おすすめランキング」ではなく、自社で強化したい領域ごとに候補を見比べるほうが判断しやすくなります。

本記事では、ゼロトラストを構成する5つの機能領域(ID統制・端末保護・ネットワーク制御・データ漏えい防止・ログ分析)ごとに、主要なセキュリティ製品を比較・解説します。それぞれの領域でどんな製品があり、どう選べばよいか、既存のVPNやUTMとどう共存させ、どの領域から着手すればよいかまで整理しました。情報システム・セキュリティ担当の方が、自社に合う製品を絞り込むための材料としてご活用ください。

自社で強化すべき領域と候補製品を手早く把握したい方向けに、「30秒で終わる選定診断ツール」も用意しています。あわせてご活用ください。

ゼロトラストという切り口にこだわらず、情報資産・端末・ネットワークなど「守りたい対象」ごとに社内セキュリティ製品を広く見渡したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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ゼロトラストとは|「すべてを検証する」考え方と単一製品では実現しない理由

はじめに、製品を比較する土台として、ゼロトラストという考え方の中身を整理します。ゼロトラストは、社内外を問わずすべてのアクセスを信用せず、その都度検証するという発想のセキュリティモデルです。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、その定義を次のように説明しています。

ゼロトラストとは、2010 年にアメリカの調査会社フォレスターリサーチが提唱した概念で、「境界型防御内のネットワークは安全で、境界外部のネットワークは危険だ」という従来の考え方に対して、「たとえ境界内部であっても無条件に信用せず、全てにおいて確認し認証・認可を行う」という概念である。

出典:IPA「ゼロトラスト移行のすゝめ」(独立行政法人情報処理推進機構、2022年6月)1.1 ゼロトラストとは

従来の「境界型防御」は、社内ネットワークとインターネットの間に壁を設け、社内を信用できる領域として守る考え方でした。これに対しゼロトラストは、利用者・端末・通信のすべてをアクセスのたびに確認し、最小限の権限だけを許可します。

国際的な技術文書である米国国立標準技術研究所(NIST)の「SP800-207 Zero Trust Architecture」も、資産や利用者アカウントに暗黙の信頼を与えないという原則を基本に据えています。

ゼロトラストが必要とされる背景(境界型防御の限界)

ゼロトラストが注目される背景には、守るべき情報資産が社内の壁の内側に収まらなくなった事情があります。クラウドサービスの利用やテレワークが広がり、社員は社外から業務データにアクセスし、データ自体もクラウド上に置かれるようになりました。

IPAも、テレワークの普及やDX推進に伴うクラウド利用の急増により、社内の情報資産が境界の内側に留まらず、境界の外側の資産も守る必要が生じていると指摘しています。境界の内側だけを守るVPNやファイアウォールでは、社外からのアクセスやクラウド上のデータ、持ち出された端末を守りきれません。だからこそ、場所を問わずアクセスのたびに検証するゼロトラストの発想が求められています。

ゼロトラストとVPN・ZTNA・SASE・境界型セキュリティの違い

製品を比較するうえで、混同されやすい関連用語の違いを押さえておくと選定がスムーズになります。これらは「置き換え合う競合」ではなく、守り方の考え方と、それを実現する手段の関係にあります。

  • 境界型セキュリティ:社内と社外の境目に壁を設け、内側を信用する従来の考え方。VPNやファイアウォールが代表例です。
  • VPN:社外から社内ネットワークへ安全に接続する仕組み。一度つながると社内全体に広くアクセスできることが多く、ゼロトラストの「最小権限」とは発想が異なります。
  • ZTNA(ゼロトラスト・ネットワーク・アクセス):利用者とアプリを1対1でつなぎ、認証したアプリにだけアクセスを許可する仕組み。VPNの置き換え・併用先として、ゼロトラストを接続面で実現する手段です。
  • SASE(サシー):ネットワークとセキュリティの機能をクラウド上で統合して提供する枠組み。ZTNAやSWG(セキュアWebゲートウェイ)、CASB(キャスビー)などをまとめて指します。

整理すると、ゼロトラストは「考え方」、ZTNAやSASEは「それをネットワーク面で実現する手段」という関係です。本記事では、こうしたネットワーク面の製品も含め、ゼロトラストを構成する機能領域ごとに製品を見ていきます。

ゼロトラストを構成する5つの機能領域

ここで、本記事の比較の軸になる考え方を確認します。重要なのは、ゼロトラストが特定の1製品を指すものではない点です。IPAは、この前提を次のように明言しています。

ゼロトラストは具体的なソリューションを指しているわけではないため、ベンダーに導入を依頼することで実現できるものではない。

出典:IPA「ゼロトラスト移行のすゝめ」(独立行政法人情報処理推進機構、2022年6月)まえがき

NISTも、ゼロトラストは単一のアーキテクチャではなく、設計・運用のための一連の指針であり、既存の技術を一括で置き換えて実現するものではないとしています。ゼロトラストは、複数の機能領域を組み合わせて段階的に近づけていくものです。そこで本記事では、IPAがゼロトラストを構成する要素として整理した分類を土台に、製品を5つの機能領域に分けて比較します。

IPAは構成要素を「ID 統制」「デバイス統制・保護」「ネットワークセキュリティ」「データ漏洩防止」「ログの収集・分析」に分類しています(表記はIPA原文のまま)。本記事ではこれを、読者が「自社で強化したい領域」で見分けやすいよう、次の5領域として扱います。

  • ID・アクセスを統制する(ID統制):誰が何にアクセスできるかを一元管理し、アクセスのたびに本人確認を行う領域。IDaaS(クラウドで社員のIDと認証を一元管理する仕組み)・SSO(シングルサインオン)・多要素認証・特権ID管理などが該当します。
  • 端末を守る(デバイス統制・保護):PCやスマートフォンの状態を監視し、脅威を検知・隔離する領域。EDR(端末の不審な挙動を検知し対応する仕組み)・EPP(端末へのマルウェア侵入を防ぐ仕組み)・XDR(端末に加えメールやクラウドも横断して検知する仕組み)などが該当します。
  • 社外からの接続を安全に制御する(ネットワークセキュリティ):アプリ単位でアクセスを制御し、クラウド利用を可視化・制御する領域。ZTNA・SWG・CASB・SASEなどが該当します。
  • データの持ち出しを防ぐ(データ漏えい防止):機密データの持ち出しや不正コピーを制御する領域。DLP(機密データの持ち出しを検知・制御する仕組み)・IRM(ファイル自体を暗号化して利用を制御する仕組み)、端末にデータを残さないデータレスの仕組みなどが該当します。
  • 通信・操作を記録して異常を見つける(ログの収集・分析):各所のログを集約し、不審な挙動を検知する領域。SIEM(各所のログを集約し相関分析して脅威を検知する仕組み)・NDRなどが該当します。

この5領域が、以降の比較表・診断ツール・製品紹介に共通する切り口です。まずは自社でどの領域を優先して強化したいかを意識しながら読み進めると、候補を絞り込みやすくなります。

ゼロトラストを構成する5つの機能領域を示した図解。ID・アクセスを統制する(ID統制:IDaaS・SSO・多要素認証・特権ID管理)、端末を守る(デバイス統制・保護:EDR・EPP・XDR)、社外からの接続を安全に制御する(ネットワークセキュリティ:ZTNA・SWG・CASB・SASE)、データの持ち出しを防ぐ(データ漏えい防止:DLP・IRM・データレス)、通信・操作を記録して異常を見つける(ログの収集・分析:SIEM・NDR)の5領域を組み合わせて実現する。

30秒でわかる|強化したい領域から選ぶゼロトラスト製品診断

まず「自社がどの機能領域から強化すべきか」を決めるための交通整理ツールです。強化したい領域を選ぶと、その領域の候補製品を一覧で確認できます。候補を見比べる前の最初の絞り込みとしてお試しください。

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【比較表】ゼロトラスト製品を機能領域別に比較

ここからは、5つの機能領域ごとに主要な製品を比較します。各領域で、主な機能・提供形態・対象規模の目安・費用感・既存システムとの連携を横並びで確認できます。自社で強化したい領域の表から見ていくと、候補を絞りやすくなります。

ID・アクセスを統制する製品の比較

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サービス名CloudGate UNOYubiKey as a ServiceDZ PassIIJ IDサービスOkta Workforce Identity CloudGMOトラスト・ログインHENNGE OneCyberArk Identity Security PlatformSailPoint Identity Security Cloud
主な機能SSO・多要素認証・アクセス制限・ID管理を統合したIDaaS。FIDO2パスキーのパスワードレス認証FIDO2物理セキュリティキーによる多要素認証。導入・運用代行を含むサブスク型顔認証+スマホによる継続認証でPCをパスワードレス化。離席・のぞき見・なりすまし検知SSO・多要素認証・AD連携を備える国産IDaaSSSO・MFA・ユーザーディレクトリ・IDライフサイクル管理を統合したIDaaSSSO・ID/パスワード一元管理・多要素認証を提供するIDaaSID統制(SSO・MFA・アクセス制御)を軸にメール・エンドポイント対策も統合特権アクセス管理(PAM)を中核にSSO・MFA・IDライフサイクル管理を統合アイデンティティガバナンス(IGA)。権限の棚卸し・申請承認・証跡を自動化
提供形態クラウドクラウド(物理キー+サブスク運用代行)オンプレミス(Windows PCインストール型)+スマホアプリクラウドクラウドクラウドクラウドクラウド/オンプレミスクラウド
対象規模の目安中小〜大企業中〜大規模(最低200ライセンス)中小〜中堅中小〜大企業中堅〜大企業・グローバル中小〜大企業(最少30ID)中堅〜大企業(最少200ID)中堅〜大企業大企業中心
費用感月額400円〜/ユーザー(税抜。価格公開は3プラン、上位は要問い合わせ)要問い合わせ(ユーザー単位・サブスク)1ライセンス月額500円が目安(要問い合わせ)月額120円〜240円/ID(税抜・初期費用0円)月額940円〜/ユーザー(年単位・年間最低24万円)月額300円〜500円/ID(税抜)月額400円〜1,000円/ID(税抜)要問い合わせ要問い合わせ
既存システムとの連携Google Workspace・Microsoft 365等とSSO連携、Active Directory連携(上位プラン)FIDO2対応サービス全般、CloudGate UNO経由でSSO連携既存のWindowsログインに監視機能を追加可能、SSO連携はオプション(Microsoft 365等)Active Directoryの自動同期(Directory Sync)、SAML/OIDC対応SaaSActive Directory・SCIM・8,000件超の事前構築連携(OIN)Active Directory連携、SAML/OIDC/フォーム/BASIC認証Microsoft 365・Google Workspace等とSSO連携、IPアドレス制限・デバイス証明書既存IT基盤の特権ID・認証情報を一元管理、SSO/MFA統合Okta・Microsoft Entra ID等の認証基盤と組み合わせて利用(ガバナンス専業)
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端末を守る製品の比較

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サービス名CrowdStrike FalconSentinelOneTrend Vision OneMicrosoft Defender XDRPalo Alto Cortex XDRCybereasonESET PROTECT
主な機能NGAV・EDR・脅威ハンティング・ID保護を単一エージェントで提供(EPP/EDR/XDR)EPP・EDR・XDRを単一エージェントで統合。AI自律検知と1クリック・ロールバック複数レイヤーを相関分析するXDR統合基盤+リスク管理(CREM)ID・端末・メール・クラウド横断のXDR。自動攻撃かく乱・自動デバイス隔離EPP/EDR起点にネットワーク・クラウド・IDを相関分析するXDREDRを核にXDR・運用代行MDR(MalOp検知)。日本語で24時間365日のMDR予防(EPP)を基盤に上位でEDR/XDR/MDRを選べるエンドポイント保護(5プラン)
提供形態クラウドクラウド(単一エージェント+管理コンソール)クラウドクラウドクラウドクラウド/オンプレミスクラウド/オンプレミス
対象規模の目安中小〜大企業中小〜大企業中小〜大企業中堅〜大企業(Microsoft 365 E5中心)中堅〜大企業中堅〜大企業中小〜大企業
費用感デバイス単価$7.99〜/月(Falcon Go、グローバル公式価格。日本円建ては要問い合わせ)要問い合わせ(エンドポイント単位の年額)要問い合わせ(クレジットベースのTrendAI Flex。無料体験30日)Microsoft 365 E5等のバンドルに含む(E5は月額8,995円/ユーザー、年払い・Teams込み)要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ(2026年12月1日に価格改訂予定)
既存システムとの連携単一エージェントにモジュールを追加、API・SIEM連携単一エージェント、各種セキュリティ製品と連携(Singularity Marketplace)端末・メール・クラウド・ネットワークを統合、トレンドマイクロ製品を一元管理Microsoft 365・各Defender製品と統合ネットワーク・クラウド・IDを相関、サンドボックスはWildFireと組み合わせEDRを核にネットワーク・クラウド・IDのログを横断分析単一コンソールで一元管理(クラウド/オンプレ)
詳細情報サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

社外からの接続を安全に制御する製品の比較

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サービス名Netskope OneZscaler Zero Trust ExchangeCloudflare Zero TrustForcepoint ONEIIJ Safous 特権リモートアクセス
主な機能CASB・SWG・ZTNAにネットワーク機能を統合したSASE。クラウド利用の可視化・制御ZIA・ZPA・ZDXをクラウド基盤で統合するゼロトラストSASE。ZPAがVPN代替VPN代替のZTNA(Access)を中核に、社内アプリ・SaaSへのアクセスを都度検証CASB・SWG・ZTNA・DLP・Cloud Firewallを単一基盤に統合したSSEゼロトラストベースの特権リモートアクセス(VPN代替のZTNA)。SSH/RDP/VNCを録画
提供形態クラウドクラウドクラウドクラウドクラウド
対象規模の目安中堅〜大企業中堅〜大企業小規模〜大企業中堅〜大企業中堅〜大企業
費用感要問い合わせ(ユーザー数・契約期間に応じたサブスク)要問い合わせ(モジュール別サブスクリプション)Freeプラン0円(最大50ユーザー)/Pay-as-you-go/Enterpriseは要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ(ユーザー数ベース)
既存システムとの連携主要SaaS・IdPと連携(SSE/SASEとして統合)IdP・既存ネットワーク機器と連携、必要なモジュールから構成Microsoft Entra ID・Okta・Google Workspace等のIdPと連携IdP連携、CASB/SWG/ZTNA/DLPを単一基盤で一元管理社内システムへVPN代替で接続を仲介(エージェントレス/エージェント方式)
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

データの持ち出しを防ぐ製品の比較

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サービス名ZENMU Virtual DriveFlex Work Place Passage DriveDataClasysForcepoint DLP秘文(Hibun)
主な機能秘密分散で端末にデータを残さないデータレス(VDI代替・併用)ローカル保存を禁止しOneDriveへ集約するデータレスPCファイルを暗号化したまま利用できる透過暗号化(IRM/DRM)。CADにも対応機密情報の社外送信・クラウドアップロード・印刷を検知・ブロックするDLP暗号化・外部デバイス制御・持ち出し制御・操作ログを統合した国産の情報漏洩防止
提供形態クライアントソフトインストール型(Windows)クライアントソフトインストール型(Windows)オンプレミス(Windowsクライアント/サーバー)ソフトウェア/SaaSオンプレミス/クラウド
対象規模の目安中小〜大企業中小〜大企業(Microsoft 365利用企業)中小〜大企業(年間ライセンスは10〜)中堅〜大企業中堅〜大企業・官公庁
費用感月額500円/ライセンス〜(ZLE、税抜。ZEEは月額1,800円/ユーザー)月額500円/ユーザー(税抜。別途OneDrive利用料)要問い合わせ(30日間フル機能評価版あり)要問い合わせ(利用人数・対象チャネルに応じる)要問い合わせ
既存システムとの連携VDIの置き換え・併用、PC内とクラウド/サーバに分散して保管Microsoft 365(OneDrive for Business)と連携Active Directory連携で権限管理、Office・CAD・PDM/PLM等に対応端末・ネットワーク・クラウド・メールを横断、Forcepoint ONEで一元管理オンプレミス/クラウドで既存の運用環境に合わせて導入
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通信・操作を記録して異常を見つける製品の比較

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サービス名Network BlackboxDarktraceVectra AIL2BlockerSplunk Enterprise SecurityLogRhythm SIEM
主な機能全パケットを収集し検知から事後調査まで担うNDR(フルパケットキャプチャ)自己学習AIで正常からの逸脱を検知するNDR。検知後は自動で封じ込めAI行動分析で侵入後の不審な動きを検知・優先度付けするNDRARPパケット監視で不正接続を検知・遮断(エージェントレス)各種ログを横断相関し脅威を検知・調査・対応するSIEM(UEBA/SOAR統合)プリセットの相関ルールやダッシュボードで立ち上げやすいSIEM
提供形態ミラーリング方式で導入(通信を複製して収集)アプライアンス/ハイブリッド(オンプレ・クラウド)オンプレミス/クラウド(ハイブリッド対応)アプライアンス(管理はクラウド版/オンプレ版)クラウド(Splunk Cloud)/オンプレミスオンプレミス/クラウド(SaaS型Axon)
対象規模の目安中堅〜大企業中堅〜大企業中堅〜大企業中小〜大企業中堅〜大企業中堅〜大企業
費用感要問い合わせ要問い合わせ(監視デバイス数に応じる)要問い合わせセンサー14万円〜(タグVLAN版34万円)、管理機能は要問い合わせ要問い合わせ(取り込むデータ量に応じたサブスク)要問い合わせ(構成・データ量に応じる)
既存システムとの連携EDR・SIEMとSyslog/REST APIで連携ネットワークを中心にメール・クラウド・端末を横断相関CrowdStrike・Splunk等の既存EDR・SIEMと連携エージェント不要、既存LANにセンサーを接続して導入各種システムのログを横断収集、UEBA・SOAR・脅威インテリジェンスを統合各種ログを集約、Trend Vision One等の外部製品と統合
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機能領域別の代表サービス紹介

比較表で気になった製品について、ここからは機能領域ごとに特徴を個別に紹介します。それぞれの製品がどんな課題に向くか、どんな企業で使われているかを確認しながら、資料請求の候補を選んでください。

ID・アクセスを統制する(ID統制)

誰が何にアクセスできるかを一元管理し、認証を強化する領域の製品です。ゼロトラストの出発点として、まず着手されることの多い領域です。

ID統制を重点的に強化したい場合は、IDaaS単体での選び方やメリット、導入事例まで掘り下げた以下の記事もあわせて参考になります。

1. CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

CloudGate UNOの公式サイト

CloudGate UNOは、株式会社インターナショナルシステムリサーチが2008年から提供するSSO(シングルサインオン)を起点に、多要素認証・アクセス制限・ID管理を統合したIDaaSです。Google WorkspaceやMicrosoft 365など複数のクラウドサービスへのログインを一元化できます。

認証方式はFIDO2準拠のパスキーによるパスワードレス認証に対応し、全プラン・全ユーザーで追加費用なく利用できます。IPアドレスやデバイス証明書に加え、場所・時間帯によるアクセス制限も設定できます。

料金は月額400円/ユーザー(税込440円)のStandard Plusから3段階で、デバイス証明書は1台あたり月額100円(税込110円)のオプションです。30日間の無料トライアルも用意されています。

パスワードレス化が運用面にもたらす効果について、提供元の株式会社インターナショナルシステムリサーチは、自社インタビューで次のような事例を挙げています。

平澤氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部マーケティング部
平澤氏
独自インタビューより

導入と同時にパスワードレス認証に切り替えた企業では、IT部門の業務の約20%を占めていたパスワード関連のヘルプデスク業務が「0%」になったという事例があります。

2. YubiKey as a Service(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

YubiKey as a Serviceの公式サイト

物理的なセキュリティキーで多要素認証を実現するのが、株式会社インターナショナルシステムリサーチが提供するYubiKey as a Serviceです。Yubico社のUSB型キー「YubiKey」を、買い切りではなくサブスクリプションで導入できます。

秘密鍵がキー本体の内部に保持されネットワーク上に流出しないため、SMSやアプリのワンタイムパスワードより不正ログインに強い方式です。スマートフォンを使えない製造現場や医療・コールセンターでも利用できます。

キッティングや故障・紛失時の予備キー提供、専任担当による導入支援を含む運用代行型で、年ごとに契約数の25%分の予備キーが無償提供されます。最低200ライセンスから、契約期間は3年または5年で、料金は構成に応じた個別見積もりです。

物理キーによる認証が、どのような背景で検討されているのか。提供元の株式会社インターナショナルシステムリサーチは、自社インタビューで近年の相談傾向を次のように述べています。

内田氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部 セールスアライアンス部 部長
内田氏
独自インタビューより

近年はサプライチェーン対策としての需要も高まっています。経済産業省による新たなセキュリティ対策評価制度の開始を見据え、委託先の認証強化を急ぐ企業が増えています。

3. DZ Pass(株式会社AnchorZ)

DZ Passの公式サイト

DZ Passは、株式会社AnchorZが提供するWindows PC向けのパスワードレス認証・情報漏えい対策ソフトウェアです。独自の「バックグラウンド認証®」により、スマートフォンと顔認証を組み合わせ、パスワードを入力せずPCにサインインできます。

ログイン時だけでなく利用中も継続して本人確認を行い、離席時の自動ロックや、登録外の人物を検知した際の画面ロックと管理者通知に対応します。顔認証のみでスマートフォンが不要な「ライトモード」や、既存のWindowsログインに監視機能だけを足す構成も選べます。

対応OSはWindows 10(64bit、20H2以上)で、Webカメラが必須です。料金は個別見積もりで、AnchorZによると1ライセンスあたり月額500円(年6,000円)が目安とされています。

継続的な本人確認が、在宅勤務時の情報漏えい対策としてどう働くのか。提供元の株式会社AnchorZは、自社インタビューで具体的な場面を次のように説明しています。

徳山氏
株式会社AnchorZ 代表取締役CEO
徳山氏
独自インタビューより

当社の常時認証では、ご本人がパソコンに向かってスマートフォンのカメラを構えた瞬間にロックすることができます。すぐに画面ロックがかかるので画面を撮影されることはありませんし、同時に「在宅勤務中のAさんがスマートフォンでパソコンの画面を撮ろうとしたので、画面をロックしました」という通知が、システム管理者へ即座に届くようにすることができます。

4. IIJ IDサービス(株式会社インターネットイニシアティブ)

IIJ IDサービスの公式サイト

IIJ IDサービスは、国内通信事業者の株式会社インターネットイニシアティブが自社で開発・運用するIDaaSです。1つのIDで複数クラウドサービスへログインするSSOを中核に、多要素認証とActive Directory連携を提供します。

多要素認証はFIDO2・デバイス証明書(自社CA/外部CA)・メールOTP・スマートフォンアプリの「IIJ SmartKey」などから選べ、認証方式ごとの追加料金は発生しません。AD上のID・パスワード・グループ情報を自動同期し、グループ単位でアクセスを制御できます。

料金は初期費用0円で、SSOのみが月額120円/ID、多要素認証を含むプランが月額240円/ID(いずれも税抜)です。連携するサービス数が増えても料金は変わりません。導入社数は5,000社以上(2023年4月時点)とされています。

5. Okta Workforce Identity Cloud(Okta Japan株式会社)

Okta Workforce Identity Cloudの公式サイト

Okta Workforce Identity Cloudは、米Okta, Inc.が提供する従業員向けのIDaaSで、世界で20,000社超が利用しています。SSO・多要素認証・ユーザーディレクトリ・IDライフサイクル管理を1つの基盤で提供します。

人事システムと連携し、入社・異動・退職に合わせてアカウントの作成・権限変更・アクセス失効を自動化できます。事前構築済みの連携は8,000件を超え(2026年9月時点)、SCIM標準やオンプレミスのActive Directoryとも連携します。

認証はパスワードレスの「Okta FastPass」やFIDO2に対応し、リスクに応じて認証を強めるAdaptive MFAも利用できます。料金は月額940円/ユーザーのStarterからで年単位請求、年間契約の最低額は24万円です。30日間の無料トライアルがあります。

6. GMOトラスト・ログイン(GMOグローバルサイン株式会社)

GMOトラスト・ログインの公式サイト

GMOトラスト・ログインは、SSL電子証明書の認証局事業を手がけるGMOグローバルサイン株式会社が提供するIDaaSです。Google WorkspaceやMicrosoft 365、サイボウズなどへのSSOとID・パスワードの一元管理を行います。

SSOはSAML・OIDC・フォームベース・BASIC認証に対応し、Active Directory連携も利用できます。多要素認証やデバイス制限、利用状況を可視化する「SaaS管理」機能を、プランやオプションで追加できます。

料金はSSO中心の「SSOプロ」が月額300円/ID、SaaS管理機能まで含む上位プランが月額500円/ID(いずれも税抜)です。いずれも最少30ID・12か月契約が条件です。

7. HENNGE One(HENNGE株式会社)

HENNGE Oneの公式サイト

HENNGE Oneは、ID統制を軸にメールやエンドポイントのセキュリティを統合した、HENNGE株式会社のクラウドセキュリティ基盤です。SSO・多要素認証・アクセス制御を中心に、情報漏えい防止や脅威対策まで組み合わせて導入できます。

SSOは連携するクラウドサービス数が増えても追加費用が発生しない設計で、IPアドレス制限やデバイス証明書によるアクセス制御にも対応します。契約企業数は3,731社(2026年3月末時点)、契約ユーザー数は300万を超えています。

構成はID統制中心のIdentity Editionと全機能を束ねたSuiteに分かれ、2026年10月1日からの新プランではIdentity EditionのIdPが月額400円/ID、全機能のSuite Basicが月額1,000円/ID(いずれも税抜)です。新規契約は最少200IDからとなります。

8. CyberArk Identity Security Platform(CyberArk Software)

CyberArk Identity Security Platformの公式サイト

CyberArk Identity Security Platformは、イスラエル発のCyberArk Softwareが提供する、特権アクセス管理(PAM)を中核としたアイデンティティセキュリティ基盤です。管理者やシステムが使う強い権限のID・認証情報を守ることに重点を置きます。

パスワードや鍵などの特権的な認証情報を保管庫(Vault)で一元管理し、自動更新や特権セッションの分離・記録を行います。これにより、なりすましや内部不正、侵入後の横移動を抑止し、誰がいつ何をしたかの監査ログを残せます。

SSOや適応型MFA、IDライフサイクル管理も統合し、SaaS型の「Privilege Cloud」と自己管理型(オンプレミス)から提供形態を選べます。国内は代理店経由での販売・導入支援が中心で、料金は構成に応じた個別見積もりです。

9. SailPoint Identity Security Cloud(SailPoint Technologies)

SailPoint Identity Security Cloudの公式サイト

SailPoint Identity Security Cloudは、米国発のSailPoint Technologiesが提供する、アイデンティティガバナンス&アドミニストレーション(IGA)のプラットフォームです。「誰がどのシステムにどの権限でアクセスできるか」の可視化と管理に特化しています。

入社・異動・退職に合わせて権限を自動で付与・剥奪し、アクセス権の棚卸しや申請承認、監査向けの証跡づくりを自動化します。AIによる権限のモデリングで、過剰な権限や退職者の残存アカウントを洗い出せます。

認証(SSO・MFA)そのものは提供せず、OktaやMicrosoft Entra IDなどの認証基盤と組み合わせて使うガバナンス専業の位置づけです。国内はパートナー経由での販売・導入で、料金はID数や機能に応じた個別見積もりです。

端末を守る(デバイス統制・保護)

PCやスマートフォンといった端末の状態を監視し、脅威を検知・対応する領域の製品です。社外で使う端末が増えるほど重要になります。

端末保護では、EDRとXDRのどちらを選ぶかが製品選びの分かれ目になります。両者の違いや監視できる範囲を踏まえて、より詳しく比べたい場合は以下の記事が参考になります。

10. CrowdStrike Falcon(クラウドストライク合同会社)

CrowdStrike Falconの公式サイト画面

CrowdStrike Falconは、クラウドストライク合同会社が国内の販売・サポート窓口を担う、クラウド型のエンドポイント保護プラットフォームです。次世代アンチウイルス(NGAV)・EDR・脅威ハンティング・ID保護などを単一の軽量エージェントから提供し、モジュールを追加する形で機能を段階的に広げられます。

機械学習とIOA(攻撃の兆候となる一連の振る舞い)を組み合わせ、シグネチャ更新に依存せず、未知のマルウェアやファイルレス攻撃を実行前に阻止します。侵害の兆候を継続的に監視するEDR(Falcon Insight)では、遠隔でのプロセス終了・ファイル隔離・ネットワーク遮断といった対応を行えます。

料金は、最小構成のFalcon Goがデバイスあたり月額7.99ドル、EDRを含むFalcon Enterpriseがデバイスあたり月額19.99ドルです(いずれもグローバル公式価格)。日本円建ての価格は公式サイトに掲載がなく、国内の販売代理店・SIer経由の個別見積もりが基本となります。

11. SentinelOne(SentinelOne Japan株式会社)

SentinelOneの公式サイト画面

SentinelOneの「Singularity Platform」は、SentinelOne Japan株式会社が国内提供を担う、EPP・EDR・XDRを単一エージェントと統合コンソールで扱うプラットフォームです。エージェント側のAIが脅威を自律的に検知し、不正なプロセスやファイルをリアルタイムに隔離・停止します。

ランサムウェアで暗号化されたファイルを、OSの再イメージングなしで攻撃前の状態へ戻す特許取得済みの1クリック・ロールバックを備える点が特徴です。検知した個々のイベントを時系列・因果関係で自動的に相関づける特許技術「Storyline」により、手動でログを追わずに攻撃の全体像を把握できます。

料金は公式日本語サイトでは非開示で、エンドポイント単位の年額ライセンスとして代理店見積もりが基本です。EDRデータの標準保持期間は14日間で、365日への有償アップグレードを選べます。

12. Trend Vision One(トレンドマイクロ株式会社)

Trend Vision Oneの公式サイト画面

Trend Vision Oneは、トレンドマイクロ株式会社が提供する統合サイバーセキュリティプラットフォームです。エンドポイント・サーバー・クラウド・メール・ネットワークなど複数のレイヤーを単一コンソールで管理し、各レイヤーのデータを相関分析して攻撃の全体像を可視化するXDRを中核機能とします。

端末の検知・対応に加え、攻撃を受ける前にIT環境のリスクを特定するCREM(サイバーリスクエクスポージャーマネジメント)を組み合わせられます。既存のトレンドマイクロ製品を本プラットフォームから一元管理できるため、すでに同社製品を使う企業は移行しやすい構成です。

料金は2026年にクレジットベースの単一ライセンス(現「TrendAI Flex」)へ一本化され、必要なソリューションにクレジットを割り当てる方式になりました。公式サイトに固定価格の記載はなく、全機能を30日間試せる無料体験が用意されています。

13. Microsoft Defender XDR(日本マイクロソフト株式会社)

Microsoft Defender XDRの公式サイト画面

Microsoft Defender XDRは、ID・エンドポイント・メール・クラウドアプリを横断して脅威を検知・対応するXDRプラットフォームです。提供元は日本マイクロソフト株式会社。単独で購入する製品ではなく、Defender for EndpointやDefender for Office 365など複数のDefender製品を組み合わせることで有効化される統合レイヤーという位置づけです。

複数の製品から集めた高信頼度のシグナルを相関させ、人の判断を待たずに進行中の攻撃を封じ込める自動攻撃かく乱や、侵害端末をネットワークから自動的に切り離す自動デバイス隔離により、ランサムウェアの横展開を遮断します。

XDR機能はMicrosoft 365 E5(ユーザーあたり月額8,995円、年払い・Teams込み)などのバンドルに含まれ、すでにE5を利用する企業は追加ライセンスなしで有効化できます。価格は改定頻度が高いため、最新額は公式の料金ページで確認してください。

14. Palo Alto Cortex XDR(パロアルトネットワークス株式会社)

Palo Alto Cortex XDRの公式サイト画面

Palo Alto Cortex XDRは、エンドポイント(EPP/EDR)を起点に、ネットワーク・クラウド・アイデンティティのデータを相関分析するXDRプラットフォームです。提供はパロアルトネットワークス株式会社が担います。機械学習がデバイスやユーザーの平常時の挙動を学習し、そこからの逸脱として内部不正やマルウェア感染後の挙動を検出します。

関連する複数のアラートを1つのインシデントに集約して根本原因を示すため、調査にかかる手間を抑えられます。エージェントを導入済みの端末は、ワンクリックでネットワークから隔離できます。

未知ファイルを仮想環境で実行検査するサンドボックスは、本製品単体ではなく別製品のWildFireと組み合わせて実現する構成です。料金は公式・代理店とも公開されておらず、販売代理店経由の見積もりとなります。

15. Cybereason(サイバーリーズン合同会社)

Cybereasonの公式サイト画面

Cybereasonは、エンドポイントでの検知・対応(EDR)を核に、ネットワーク・クラウド・IDなどのログを横断分析するXDRと、運用代行のMDRまでを備えるプラットフォームです。国内ではサイバーリーズン合同会社が提供します。

攻撃の開始から暗号化・身代金要求に至る一連の活動を「MalOp(悪意ある操作)」として1つのインシデントに集約し、対応者が攻撃の全体像を把握しやすくする検知アプローチが特徴です。次世代アンチウイルスと振る舞いの痕跡(IOB)分析による多層防御で暗号化前の遮断を狙い、複数端末の一括隔離で被害の拡大を抑えます。

日本・ボストン・テルアビブの3拠点のSOCによる日本語での24時間365日のMDRに対応し、エアギャップ環境などに向けたオンプレミス提供(Cybereason On-Prem)も選べます。料金は製品ラインナップごとの個別見積もりで、要お問い合わせとなります。

16. ESET PROTECT(イーセットジャパン株式会社)

ESET PROTECTの公式サイト画面

ESET PROTECTは、欧州発の独立系セキュリティ企業ESETが提供する法人向けエンドポイント保護プラットフォームで、国内ではイーセットジャパン株式会社が窓口を担います。予防を担うEPPを基盤に、上位プランでEDR・XDR・運用代行のMDRまで段階的に選べる構成です。

プランはEntry・Advanced・Complete・Elite・MDRの5段階で、XDRはElite以上、運用を代行するMDRは最上位のMDRプランで提供されます。ランサムウェアからの保護は全プランに含まれ、暗号化が始まったファイルの修復やクラウドサンドボックスはEntryを除くプランで対応します。

料金は公式・販売代理店とも価格表の掲載がなく、見積もりは問い合わせが必要です(2026年12月1日からの価格改訂が予告されています)。法人向けの問い合わせ窓口は平日9時から17時まで対応します。

社外からの接続を安全に制御する(ネットワークセキュリティ)

アプリ単位でアクセスを制御し、クラウド利用を可視化・制御する領域の製品です。VPNの置き換えや、クラウド利用の増加への対応で検討されます。

17. Netskope One(Netskope, Inc.)

Netskope Oneの公式サイト

Netskope One は、CASB・SWG・ZTNA といった SSE(Security Service Edge)の機能に、SD-WAN などのネットワーク機能を加えて、1つのプラットフォームに統合した SASE 製品です。社外からの Web・クラウド・SaaS へのアクセス経路を一元的に検査・制御します。

特徴の一つが、クラウドサービスの安全性を評価する独自データベース「Cloud Confidence Index」です。85,000以上のクラウドアプリと1,800以上の生成AIツールを、セキュリティやコンプライアンスに関する50以上の属性で格付けし、自社が利用中の SaaS のリスク把握に役立てられます。

国内ではソフトバンクや SCSK セキュリティなどの販売パートナー経由で導入・運用サポートを受けられます。料金は公式サイトでは公開されておらず、ユーザー数と契約期間に応じたサブスクリプション型で、具体額は要お問い合わせとなります。

18. Zscaler Zero Trust Exchange(Zscaler, Inc.)

Zscaler Zero Trust Exchangeの公式サイト

ZIA・ZPA・ZDX という3つの中核機能を同一のクラウド基盤でまとめて提供するのが Zscaler Zero Trust Exchange です。利用者の通信をクラウド上のプロキシで終端して検査する設計を公式が明記しています。

社外からの接続の面では、許可された利用者と特定のアプリを1対1でつなぐ ZPA が、VPN や VDI の置き換えを想定した機能です。アプリを社内ネットワークに直接公開せず、仲介を経由して接続します。

料金は公開されておらず、初期費用・月額ともに要お問い合わせです。機能はモジュール別のアドオン方式で提供され、必要な領域から選んで構成する契約形態になっています。

19. Cloudflare Zero Trust(Cloudflare, Inc.)

Cloudflare Zero Trustの公式サイト

Cloudflare Zero Trust は、VPN に代わって社内アプリや SaaS へのアクセスを、利用者の身元・デバイスの状態・状況に応じて都度検証する ZTNA を中核とする製品です。統合プラットフォーム「Cloudflare One」の一部として提供されます。

既存の Microsoft Entra ID・Okta・Google Workspace などの ID プロバイダと連携し、その手前にアクセス制御の層を追加する設計です。ID プロバイダを持たない組織向けには、メールのワンタイムPINでログインする方式も選べます。

料金は、最大50ユーザーまで無料で使える Free プラン、ユーザー数に応じて課金する Pay-as-you-go、個別見積もりの Enterprise の3段階です。小規模な試験導入から始めやすい構成になっています。

20. Forcepoint ONE(Forcepoint LLC)

Forcepoint ONEの公式サイト

Forcepoint ONE は、CASB・SWG・ZTNA・DLP・Cloud Firewall を単一のサブスクリプションに統合した SSE(Security Service Edge)プラットフォームです。クラウドアプリの可視化とアクセス制御、データ保護をまとめて扱えます。

未承認のクラウド利用(シャドーIT)を検出・制御する機能や、クラウドアプリごとに規制要件・業界認証にもとづいてリスクを分類する機能を備えます。オプションで、クラウド基盤や SaaS のテナント設定の不備を検出する CSPM/SSPM も追加できます。

国内では NVC などの販売パートナー経由で提供され、料金は要お問い合わせです。国内代理店の案内では501ユーザーからの契約が必要とされますが、公式サイトでの明記は確認できないため、契約条件は問い合わせ時の確認をおすすめします。

21. IIJ Safous 特権リモートアクセス(株式会社インターネットイニシアティブ)

IIJ Safous 特権リモートアクセスの公式サイト

国内大手の株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)が運用する IIJ Safous 特権リモートアクセスは、ゼロトラストにもとづいて社外から社内リソースへの接続を制御するサービスです。インバウンド通信を遮断したうえで、VPN の代替としてアクセスを仲介します。

ブラウザだけで接続するエージェントレス方式と、エージェントを使う方式の両方に対応し、SSH・RDP・VNC などのセッションを動画で録画できます。外部の委託先による作業の監査にも使える構成です。

ライセンスは利用するアプリケーション数ではなくユーザー数で課金する方式で、料金は要お問い合わせです。アクセスポイントは日本を含む14の地域に配置され、利用者は最寄りの拠点に自動で接続します。

データの持ち出しを防ぐ(データ漏えい防止)

機密データの持ち出しや不正コピーを制御する領域の製品です。情報漏えい対策や内部不正対策を重視する企業で選ばれます。

22. ZENMU Virtual Drive(株式会社ZenmuTech)

ZENMU Virtual Drive の公式サイト

株式会社ZenmuTechが独自開発した秘密分散技術「ZENMU-AONT」を使い、PC内のデータを断片に分けてPCとクラウド(またはサーバ)に分散して保管するエンドポイント保護ソフトです。鍵で復号する一般的な暗号化とは異なり、PC単体が盗難・紛失にあっても元データを復元できない「データレス」な状態をつくります。

VDI(仮想デスクトップ基盤)の置き換え・併用を想定した「セキュアFATクライアント」として提供され、対応OSはWindows 10(20H2以降)とWindows 11です。フル機能のZEEと、VDIと併用してPC上のデータ保護に絞ったZLEの2エディションがあり、ZLEは月額500円(税別・ライセンス数分)から利用できます。

導入事例では具体的な効果も公表されています。松井証券は協力会社スタッフ用の端末200台に導入してVDIサーバの物理台数を30%削減し、星野リゾート・アセットマネジメントは全社員約80名の端末に導入して運用コストをVDIの6分の1に抑えたとしています。

23. Flex Work Place Passage Drive(横河レンタ・リース株式会社)

Flex Work Place Passage Drive の公式サイト

PCのローカルディスクへの書き込みを禁止・不可視化し、作成したデータをMicrosoft OneDrive for Businessへ自動的に集約することで、端末内にデータを残さないデータレスPCを実現するソフトです。横河レンタ・リース株式会社が提供しており、端末の紛失・盗難時にも情報漏えいのリスクを抑えられます。

既存のPCにクライアントアプリをインストールして使う方式で、PCの入れ替えやVPN設定なしで導入できる点を公式が訴求しています。利用には別途OneDrive for Business(Microsoft 365)の契約が必要で、対応OSはWindows 10・11(Pro/Enterprise)です。

料金は本体が1ユーザーあたり月額550円(税込、税抜500円)で、保存先となるOneDriveの利用料は別途かかります。在宅勤務中の自宅プリンター印刷や外部メディアへの書き出しを制御するオプション「エンドポイントDLP」(月額300円/ユーザー・税抜)も用意されています。

24. DataClasys(データクレシス)(株式会社データクレシス)

DataClasys(データクレシス)の公式サイト

ファイルを常に暗号化した状態のまま、普段どおりに閲覧・編集できる透過暗号化方式の国産ソフトです。USBコピーやメール添付、クラウドへのアップロードで社外に持ち出されても、権限のない利用者は中身を復号できません。開発・提供元は、2018年に情報漏えい対策の専門企業として設立された株式会社データクレシスです。

対応アプリケーションの幅が広いことが特徴で、WordやExcelなどのオフィス文書に加え、AutoCAD・CATIA・SolidWorksといったCADや設計データ管理システムのファイルも暗号化したまま編集・印刷できます。権限は閲覧・更新・印刷・スクリーンショットの単位で設定でき、職制やActive Directory連携にもとづいて管理します。

暗号鍵は顧客ごとに独立した管理サーバーで一元管理し、対応OSはWindowsのクライアント・サーバーに限られます。公式サイトは1000社以上への導入実績を掲げ、30日間のフル機能評価版も利用できます。料金は非公開で、年間利用ライセンスは10ライセンスから申し込めます。

25. Forcepoint DLP(Forcepoint LLC)

Forcepoint DLP の公式サイト

機密情報の社外送信やクラウドへのアップロード、印刷などを検知・ブロックするデータ漏えい対策(DLP)製品です。米国のForcepoint LLCが提供し、エンドポイント・ネットワーク・クラウド・メールを横断して、同じポリシーで機密データを可視化・制御できます。

ファイル単位の制御に加え、利用者ごとにリスクの高さを評価してポリシーを適用する「リスク適応型」の制御を特徴とします。規制や情報種別に応じた100種類以上のプリセットポリシーを備え、ChatGPTやCopilotなどの生成AIへ機密データが入力される場面の可視化・制御にも対応します。

提供形態はソフトウェアとSaaSがあり、同社の「Forcepoint ONE」で一元管理できます。国内では代理店経由で提供され、料金は利用人数や対象とするチャネルに応じた見積もりとなります。

26. 秘文(Hibun)(株式会社日立ソリューションズ)

秘文(Hibun)の公式サイト

株式会社日立ソリューションズが提供する国産の情報漏洩防止ソリューションです。ファイルやディスク全体の暗号化、USBなど外部デバイスの利用制御、持ち出しファイルの制御、操作ログの収集を組み合わせ、内部からの情報流出と外部からの盗難の双方に対策します。

提供形態はオンプレミスとクラウドサービスの両方があり、既存の運用に合わせて導入できます。クラウド版では、情報漏洩対策とマルウェア対策をまとめて使えるオールインワン型も提供されています。

サポートは日立ソリューションズによる日本語での国内対応です。料金は公開されておらず、構成や端末数に応じた見積もりとなるため、個別の問い合わせが必要です。

通信・操作を記録して異常を見つける(ログの収集・分析)

各所のログや通信を集約し、不審な挙動を検知する領域の製品です。SIEMやNDRによる脅威検知に加え、社内ネットワークへの不正接続の可視化・検知も含みます。インシデントの検知と原因追跡の基盤になります。

27. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

Network Blackboxの公式サイト

Network Blackbox は、ネットワークを流れる通信を全パケット単位で収集し、脅威の検知から事後調査までを担うNDR(Network Detection and Response)製品です。韓国 Quad Miners 社の日本法人である株式会社クワッドマイナージャパンが提供し、国内では総代理店のフーバーブレインが2024年に資本参加しています。

一般的なログ収集型のSIEMがイベント記録を集めるのに対し、Network Blackboxは通信そのものをミラーリング方式で取り込んで保存します。そのため、検知済みの脅威をあとからパケット単位で遡って調べるフォレンジック用途に対応します。

検知はシグネチャによる既知攻撃の照合に加え、ユーザー行為ベースの検出やデータ内容を復元するコンテンツ分析を併用し、MITRE ATT&CKに基づく脅威ハンティングも備えます。EDRやSIEMとはSyslog・REST APIで連携でき、既存の対策を置き換えずネットワーク側の検知を足す使い方ができます。料金は要お問い合わせです。

28. Darktrace(Darktrace Limited)

Darktraceの公式サイト

Darktrace は、組織ごとの正常な通信や操作をAIが学習し、そこからの逸脱で未知の脅威まで検知する自己学習型AIを中核にした製品です。英国ケンブリッジで2013年に設立されたDarktrace Limitedが開発し、国内はダークトレース・ジャパン株式会社が展開しています。

ネットワーク挙動を分析するDarktrace/NETWORKを中核に、メール・クラウド・エンドポイントなど複数の領域を横断して相関分析します。シグネチャに頼らないため、既知の攻撃パターンに現れない内部不正やラテラルムーブメントの兆候を捉える設計です。

異常の調査はCyber AI Analystが自動で行い、検知後はAutonomous Responseが端末隔離などの封じ込めを自動実行します。

NDRの中核であるDarktrace/NETWORKは2025年・2026年のGartner Magic Quadrant for NDRでLeaderに選出されています。国内の導入は240社超とされ(2026年2月の記者説明会発表)、料金は監視対象のデバイス数に応じた個別見積もりです。

29. Vectra AI(Vectra AI, Inc.)

Vectra AIの公式サイト

Vectra AI Platform は、ネットワークトラフィックの挙動をAIで分析し、侵入後の不審な動きを検知・優先順位付けするNDR製品です。米国のVectra AI, Inc.が開発し、国内ではマクニカ株式会社が販売・サポート・監視サービスの窓口を担います。

検知エンジンのAttack Signal Intelligenceは、150以上のAIモデルで攻撃者の振る舞いを分析し、大量のアラートを優先度の高いものへ絞り込みます。ランサムウェアやラテラルムーブメント、認証情報の悪用など、シグネチャに現れない脅威を対象とします。

対象範囲はオンプレミスからマルチクラウド、ID基盤、Microsoft 365、IoT/OTまで広く、CrowdStrikeやSplunkなど既存のEDR・SIEMとの連携にも対応します。国内では三菱電機や遠鉄グループなどが導入しています。料金は要お問い合わせで、マクニカの窓口でトライアルの相談ができます。

30. L2Blocker(エクスジェン・ネットワークス株式会社)

L2Blockerの公式サイト

L2Blocker は、社内LANに接続された許可のない機器を検知し、ネットワークへの接続を遮断するアプライアンス型の製品です。エクスジェン・ネットワークス株式会社(ソフトクリエイトグループ)が提供しています。

監視セグメントごとに専用センサーを設置し、ネットワーク上のARPパケットを読み取って許可されていない端末を検知・遮断します。クライアント端末へのエージェント導入は不要で、既存のLAN構成を変えずにセンサーを接続するだけで導入できます。

許可端末はホワイトリストとして台帳で管理でき、収集・保留・ブロックの3モードで段階的に運用を始められます。接続機器の一覧や月次の利用状況レポート、検知ログの検索にも対応します。料金は、監視セグメントごとに設置するパッケージ版センサーが14万円、1台で最大32VLANを監視するタグVLAN版が34万円で(いずれも税区分の記載なし)、管理用のL2Bマネージャーは要お問い合わせです。

31. Splunk Enterprise Security(Splunk)

Splunk Enterprise Securityの公式サイト

Splunk Enterprise Security は、社内のさまざまなシステムから集めたログやイベントを横断的に相関分析し、脅威を検知・調査・対応するSIEM製品です。提供元のSplunkは2024年にシスコの傘下となり、国内はSCSKセキュリティなどのパートナー経由で展開されています。

大量のログを取り込めるデータプラットフォームを基盤に、UEBA(ユーザー・エンティティ行動分析)やSOAR(対応の自動化)、脅威インテリジェンスを統合した分析基盤として運用できます。シスコのTalos脅威インテリジェンスはEssentialsエディションで追加費用なく利用できます。

提供形態はクラウド型のSplunk Cloudと自己管理・オンプレミス型があり、エディションはEssentialsとPremierが用意されています。料金は取り込むデータ量やワークロードに応じたサブスクリプションで、国内では構築・チューニングを含めパートナーの見積もりとなります。

32. LogRhythm SIEM(Exabeam)

LogRhythm SIEMの公式サイト

LogRhythm SIEM も、各所のログを集約し相関分析で脅威を検知・対応するSIEM製品です。開発元のLogRhythmは米Exabeamと経営統合しており、国内は東京エレクトロン デバイス株式会社が販売代理店として展開しています。

特徴は、ログの取り込みルールやダッシュボード、相関分析ルールがあらかじめ用意されている点です。ゼロから設計する負担を抑えて立ち上げやすく、AIエンジンを使えば複雑な条件の相関分析ルールも記述できます。

提供形態はオンプレミスと、SaaS型のAxonなどクラウドから選べます。Trend Vision Oneなど外部製品との統合にも対応します。料金は構成やデータ量によって変わり、国内では構築・検証支援を含めて東京エレクトロン デバイスの見積もりとなります。

ゼロトラスト製品の選び方

ゼロトラスト製品は領域が広く、比べる観点を定めずに探すと迷いがちです。ここでは、候補を絞り込むうえで特に効く観点を整理します。既存システムとの連携や着手順序は、この後の専用のセクションでさらに詳しく解説します。

自社で強化したいセキュリティ領域はどこか

最初に決めたいのは、5つの機能領域のうちどこを優先して強化するかです。ゼロトラストはすべての領域を一度にそろえる必要はなく、自社のリスクが高い領域から着手できます。

たとえば、クラウドサービスの利用が広がりアカウント管理が煩雑なら「ID統制」、社外に持ち出す端末が多いなら「端末保護」、VPNの負荷や設定の複雑さに課題があるなら「ネットワーク制御」が優先候補になります。どの領域の製品かを意識して比較すると、機能の重複や抜け漏れを避けられます。着手する順序の考え方は、後述の段階導入ロードマップで詳しく扱います。

小規模な体制から始めたい場合は、ユーザー数に応じた課金で少人数から契約できる製品や、無料枠・既存のMicrosoft 365やクラウドサービスに含まれる機能から着手すると、初期費用を抑えて試せます。まず1領域だけを小さく導入し、効果を見ながら対象を広げる進め方も現実的です。

運用・サポート体制は自社の人員で回せるか

ゼロトラスト製品は、導入後の運用で効果が決まります。検知した脅威への対応や、ポリシーの見直しを継続できるかを確認しましょう。

自社のセキュリティ担当が少ない場合は、監視や検知後の対応を代行するマネージドサービス(MDRなど)の有無が選定の分かれ目になります。日本語でのサポート体制や、導入時の設定支援が受けられるかも、運用を属人化させないために確認しておきたい観点です。

監視や検知後の対応を社外に任せるMDRを検討する場合は、代行してもらえる範囲や課金単位、24時間監視の中身まで比較した以下の記事が選定の参考になります。

どこから始める?領域別の段階導入ロードマップ

5つの領域があると分かっても、「どこから着手すれば失敗しないか」は迷うところです。IPAは、ゼロトラストの実装順序について次のように提案しています。

ゼロトラスト構成を支えるソリューションは多くあるが、図 2-3 のような順序で実装していくことを提案する。(中略)まずは ID 統制から始めるべきである。ID 統制はゼロトラストの概念の中でも中核を担う要素であり(中略)次に取り掛かるべき課題は、デバイス統制である。

出典:IPA「ゼロトラスト移行のすゝめ」(独立行政法人情報処理推進機構、2022年6月)第2章 ロードマップを作成する

まず「ID統制」から着手し、次に「端末保護(デバイス統制)」へ進むのが基本の流れです。その後の領域は、自社のリスクの大きい順に優先度を決めていきます。IPAは、ログの収集・分析基盤の構築を後回しにする理由として、まず防御に必要なセキュリティ対策の基盤を整えてから環境の監視に進むべきだという考え方を挙げています。

ゼロトラストの段階導入の基本の順序を示した図解。STEP1 ID統制(中核・出発点)、STEP2 端末保護(デバイス統制)、STEP3 リスクの高い領域(ネットワーク制御・データ漏えい防止などリスクの大きい順)、STEP4 ログ分析(防御の基盤を整えてから監視・後回しでよい)の順にIPAが提案する。一本道ではなく複数領域を並行して進めてもよい。

ただし、これは一本道の順番を厳密に守るという意味ではありません。IPAも、ID統制を進めながら端末保護にも取り組むなど、複数の領域を並行して進めることは可能だとしています。自社の体制に合わせ、着手しやすい領域から段階的に広げていくのが現実的です。

既存のVPN・UTM・社内システムとの共存・連携

すでにVPNやUTM(統合脅威管理)を使っている企業にとって、ゼロトラストへの移行で気になるのは「既存の仕組みを全部入れ替える必要があるのか」という点です。結論から言えば、一括での置き換えは必須ではありません。

NISTは、多くの組織がすでにゼロトラストの要素を一部備えており、原則やプロセス、技術を段階的に取り入れていくべきだとしています。既存のVPNやUTMを当面は併用しながら、ID統制やZTNAなど強化したい領域から足していく進め方が現実的です。

そのため製品選定では、既存のActive DirectoryやIDプロバイダと連携できるか、現在のネットワーク機器と併用できるかを確認することが重要になります。将来的にVPNをZTNAへ置き換える場合も、段階的に移行できる製品を選ぶと、運用を止めずに切り替えられます。連携可否は本記事の比較表でも確認できます。

ゼロトラスト導入のメリットと注意点

最後に、導入判断に向けて、ゼロトラストを導入することで何が変わり、どこに気をつけるべきかを整理します。メリットと注意点の両方を押さえておくと、製品選定や社内説明の判断材料になります。

導入のメリット

最大のメリットは、社外からのアクセスやクラウド利用が増えても、場所に依存せず一貫したセキュリティを保てる点です。アクセスのたびに検証するため、万一認証情報が漏れても被害を最小限に抑えやすくなります。

利用者にとっても、SSOによって複数のサービスへのログインが一本化され、利便性と安全性を両立しやすくなります。アクセスログが集約されることで、監査や内部統制への対応がしやすくなる点も利点です。

導入時の注意点

一方で、ゼロトラストは複数の製品を組み合わせるため、領域をまたいだ設計と運用の負担が生じます。製品ごとにポリシーがばらばらだと、かえって管理が煩雑になりかねません。

また、認証や検証の仕組みを厳しくしすぎると、業務のたびに認証を求められて利用者の負担が増えることもあります。セキュリティと利便性のバランスを取りながら、段階的に適用範囲を広げることが、現場に定着させるうえで欠かせません。

ゼロトラスト製品の費用相場

ゼロトラスト製品は領域ごとに課金の考え方が異なり、「ゼロトラスト一式でいくら」という相場は存在しません。ここでは、領域ごとの費用の考え方を整理します。各製品の具体的な料金は本記事の比較表で確認でき、公開されていないものは要お問い合わせとなります。

ID統制やネットワーク制御のクラウド型製品は、利用するユーザー数に応じた月額課金(ユーザー単価×人数)が主流です。端末保護は、保護する端末(デバイス)の台数に応じた課金が一般的です。

データ漏えい防止やログ分析の製品は、機能範囲や取り込むデータ量によって価格が変わり、オンプレミス型では初期費用が発生することもあります。費用を見積もる際は、製品本体の料金に加えて、導入時の設定支援や運用代行(マネージドサービス)の費用も含めて比較すると、導入後の総額を見誤りにくくなります。

公開されている料金の例では、ID統制のクラウド型IDaaSは1ユーザーあたり月額数百円程度から、データを端末に残さないデータレス製品は1ライセンス月額500円程度からという水準です。製品ごとの具体額は、各機能領域の比較表の費用列で確認できます。

小規模から始めるなら、一定のユーザー数まで無料で試せる製品や、既存のクラウドサービス(Microsoft 365 など)に含まれる機能から着手する手もあります。必要な領域から段階的に広げれば、初期の費用を抑えやすくなります。

まとめ

ゼロトラストは単一の製品で実現するものではなく、ID統制・端末保護・ネットワーク制御・データ漏えい防止・ログ分析という5つの機能領域を組み合わせて段階的に近づけていく考え方です。製品比較も、1本のランキングで選ぶのではなく、自社で強化したい領域ごとに候補を見比べるのが近道になります。

着手の順序(まずID統制、次に端末保護)や既存のVPN・UTMとの共存の進め方は、本文の段階導入ロードマップと共存・連携の章で詳しく解説しました。本記事の比較表と診断ツールを使って、自社に合う製品の候補を絞り込んでください。

出典・参考資料(2件)

よくある質問(FAQ)

Q. ゼロトラストとは何ですか?

A. ゼロトラストとは、社内外を問わずすべてのアクセスを無条件に信用せず、その都度検証するという考え方のセキュリティモデルです。2010年に米国の調査会社が提唱した概念で、「境界の内側は安全」という従来の前提を見直し、利用者・端末・通信をアクセスのたびに確認して最小限の権限だけを許可します。IPAやNISTも、特定の製品ではなく設計・運用の指針としてこの考え方を位置づけています。

Q. ゼロトラストは一つの製品で実現できますか?

A. ゼロトラストは、一つの製品だけで実現できるものではありません。IPAは「ゼロトラストは具体的なソリューションを指しているわけではない」と明言しており、NISTも一連の設計・運用の指針であり、既存の技術を一括で置き換えて実現するものではないとしています。ID統制・端末保護・ネットワーク制御・データ漏えい防止・ログ分析といった複数の機能領域の製品を組み合わせ、段階的に近づけていくものです。

Q. ゼロトラストとVPNの違いは何ですか?

A. VPNは一度接続すると社内ネットワーク全体へ広くアクセスできるのに対し、ゼロトラストはアクセスのたびに検証し、必要な資源にだけ最小限の権限で接続を許可する点が異なります。VPNは社外から社内へ安全につなぐ仕組みで、「境界の内側は信用する」という発想に立ちます。ゼロトラストの接続面を担うZTNAは、このVPNの置き換え・併用先として位置づけられます。

Q. ゼロトラストとSASE・ZTNAの違いは何ですか?

A. ゼロトラストが「考え方」であるのに対し、ZTNAやSASEはそれをネットワーク面で実現する「手段」です。ZTNA(ゼロトラスト・ネットワーク・アクセス)は、利用者とアプリを1対1でつなぎ、認証したアプリにだけアクセスを許可する仕組みです。SASEは、そのZTNAやSWG・CASBなどのセキュリティ機能とネットワーク機能をクラウド上で統合して提供する枠組みを指します。

Q. 中小企業でもゼロトラストは必要ですか?

A. ゼロトラストは企業規模を問わず有効で、中小企業でも導入を検討する価値があります。サイバー攻撃は企業規模にかかわらず対象になり得るうえ、クラウドサービスやテレワークの利用は中小企業でも広がっているためです。すべての領域を一度にそろえる必要はなく、IDaaSやZTNAなど導入しやすい領域から段階的に始められます。無料枠や少人数から使える製品もあり、小さく試すことも可能です。

Q. ゼロトラストはどの領域から導入すべきですか?

A. ゼロトラストは、まず「ID統制」から着手し、次に「端末保護(デバイス統制)」へ進むのが基本の順序です。IPAも、ID統制はゼロトラストの中核を担う要素でありまず始めるべきだとし、次にデバイス統制に取り組むことを提案しています。その後は、自社のリスクが高い領域から優先度を決めていきます。一本道の順番を厳密に守る必要はなく、複数の領域を並行して進めることもできます。

Q. ゼロトラスト導入で既存のVPNやUTMは全部入れ替える必要がありますか?

A. 一括での入れ替えは必須ではなく、既存のVPNやUTMを併用しながら段階的に移行できます。NISTも、多くの組織はすでにゼロトラストの要素を一部備えており、原則やプロセス、技術を段階的に取り入れるべきだとしています。既存のActive DirectoryやIDプロバイダと連携できる製品を選べば、運用を止めずに、強化したい領域から足していけます。

Q. ゼロトラスト製品の費用はどれくらいかかりますか?

A. ゼロトラスト製品の費用は領域ごとに課金の考え方が異なり、「一式でいくら」という相場はありません。ID統制やネットワーク制御のクラウド型製品は利用ユーザー数に応じた月額課金、端末保護は保護する端末台数に応じた課金が一般的です。

データ漏えい防止やログ分析は機能範囲や扱うデータ量で変わり、オンプレミス型では初期費用が生じることもあります。製品本体に加え、導入支援や運用代行(マネージドサービス)の費用も含めて見積もると、導入後の総額を見誤りにくくなります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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