これまでExcelや古くからの個別システムで原価を集計してきた現場では、集計が属人化し、月次の損益や案件ごとの利益率がつかめるまでに時間がかかりがちです。システム化を考え始めると、情報収集の早い段階で2つの選択肢に出会います。
ひとつは、会計や販売・購買と一体になったERP(統合基幹業務システム)の原価管理機能を使う方法。もうひとつは、原価管理に専用のシステムを導入する方法です。どちらの方法でサービスを選べばよいかが定まらないと、製品一覧を眺めても比較の軸が決まりません。
本記事では、ERP統合型と専用型の違いを正面から並べ、自社がどちらに向くかを当てはめられる判断基準、ERPで原価管理するときに確認したいチェック項目、原価計算の種類、費用・導入期間の目安までを整理します。候補となるサービスも紹介しますので、資料請求や比較検討の材料としてご活用ください。
目次
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ERPの原価管理機能と専用の原価管理システムは何が違う
原価管理のシステム化では、まず「どちらのタイプで選ぶか」を決めると、その後の比較がぶれません。選択肢は、ERP(統合基幹業務システム)に組み込まれた原価管理機能を使う方法(以下、ERP統合型)と、原価管理に専用のシステムを導入する方法(以下、専用型)の2つに大きく分かれます。
ERP統合型(ERPの原価管理機能)とは
ERP統合型は、会計・販売・購買・在庫・人事などの基幹業務を1つの基盤に統合したERPの中で、原価管理を担う方法です。発注・仕入・工数・経費といった日々の取引データが同じ基盤に蓄積されるため、それらを原価へ自動的に反映しやすく、原価から会計仕訳までを二重入力なしでつなげられます。
基幹システムと一体で運用するため、全社の配賦設計やグループ・拠点をまたいだ原価の集約にも踏み込めます。その反面、対象範囲が広く、導入は基幹システムの刷新に近い規模になりやすいという特徴があります。
専用型(原価管理専用システム)とは
専用型は、原価の集計・配賦・案件別やプロジェクト別の原価積み上げに機能を絞ったシステムです。既存の会計ソフトや勤怠システムとデータ連携して使う前提の製品が多く、原価管理という目的に対して必要な範囲だけを導入できます。
基幹システム全体を入れ替えずに原価管理だけを強化できるため、導入範囲を限定でき、相対的に短期間・低コストで始めやすい傾向があります。一方で、会計や販売とのデータ連携は自社で設計・維持する必要があり、連携方式の確認が欠かせません。
【比較表】カバー範囲・既存基幹との関係・導入の重さ・費用・向いている会社
ERP統合型と専用型を、選び分けに効く5つの観点で並べます。各観点には「なぜそう言えるか」を添えました。
| カバー範囲 | 既存の基幹システムとの関係 | 導入の重さ・期間 | 費用感 | 向いている会社 | |
|---|---|---|---|---|---|
| ERP統合型 | 会計・販売・購買・在庫・人事と一体で原価を扱う。取引データが同一基盤にあるため原価への反映と会計仕訳までを一貫して処理できる。 | 基幹システムそのものを置き換える、または同じERP内のモジュールとして使う。既存の会計・販売を刷新する前提になりやすい。 | 対象範囲が広く、要件定義・マスタ整備・全社の配賦設計まで及ぶため導入は重くなりやすい。基幹刷新のタイミングと合わせる検討が一般的。 | 機能範囲とユーザー数が広いぶん費用は大きくなりやすく、個別見積もりが中心。基幹全体の投資として判断する。 | 会計・販売・在庫を一元管理したい、グループや海外拠点の連結・原価集約まで見据える中堅〜大企業。原価管理を全社の基幹整備の一部として進めたい会社。 |
| 専用型 | 原価の集計・配賦・案件/プロジェクト別の積み上げに機能を絞る。周辺業務は既存システムとの連携で補う前提のため、必要な範囲だけを導入できる。 | 既存の会計ソフト・勤怠システムを残したまま追加できる。連携方式(API・CSV)を自社で確認・維持する必要がある。 | 原価管理に範囲を絞るため、ERP統合型より短期間で始めやすい。既存会計との連携設計が導入工数の中心になる。 | 導入範囲が限定されるため、ERP統合型より費用を抑えやすい。利用人数・機能で変動し要問い合わせの製品が多い。 | 既存の会計基盤は変えずに原価管理だけを強化したい会社。案件・プロジェクト単位の原価を精緻に積み上げたいプロジェクト型ビジネス。 |
※上記は両タイプの一般的な傾向です。個別の製品における機能・提供形態は各社情報をご確認ください。
原価管理ソリューションの3つの見取り図(業界特化型・プロジェクト管理型・汎用型)
ERP統合型か専用型かという軸に加えて、原価管理に使えるサービスは対象とする業務の形によって3つに分けて眺めると、自社に近いものを見つけやすくなります。
1つ目は業界特化型で、建設業や製造業など特定業種の原価計算・帳票に合わせて作り込まれたタイプです。2つ目はプロジェクト管理型で、IT・広告・コンサルティングなど案件単位で業務が進む事業向けに、工数と原価を案件に紐付けて損益を可視化します。3つ目は汎用型で、特定業種に寄らず幅広い業務形態に対応します。
この3区分は、先ほどの「ERP統合型か専用型か」と重ねて捉えられます。たとえばプロジェクト管理型には、基幹一体のプロジェクト型ERPもあれば、会計と連携する案件別原価の専用型もあります。
本記事で後ほど紹介する6製品は、汎用型の統合ERPとプロジェクト管理型のERP(いずれもERP統合型)、会計と連携する個別原価の専用型に分かれます。建設業・製造業の工程別・総合原価に特化した業界特化型を検討する場合は、後掲の原価管理システム24製品の比較が参考になります。
自社はERP統合型と専用型、どちらを選ぶべきか
ここからは、自社の条件を当てはめてどちらのタイプで選ぶかを決めるための分岐を示します。業種・規模・既存基幹の状態・原価を積み上げたい単位から、自分に近い条件を確認してください。

ERP統合型が向いている会社の条件
次の条件に多く当てはまる会社は、ERP統合型が有力です。いずれも、原価データが会計・販売・在庫と一体で動くことの価値が大きい状況です。
- 会計・販売・購買・在庫を一元管理し、原価から決算までを二重入力なしでつなげたい
- グループ会社や複数拠点の原価を集約し、連結や全社の採算管理まで見据えている
- 基幹システムの老朽化・刷新や、上場準備に伴う内部統制の整備を同時に進めたい
- 全社共通の配賦ルールを設計し、部門横断で統一した原価の見方を持ちたい
これらは、原価管理を単独の課題としてではなく、基幹業務全体の整備の一部として捉える会社に当てはまります。導入は重くなりますが、全社のデータが1つにそろう効果はそのぶん大きくなります。
専用型が向いている会社の条件
一方、次の条件に当てはまる会社は専用型が合いやすいといえます。既存の会計基盤を活かしながら、原価管理の精度と速さを優先する状況です。
- すでに使っている会計ソフトは変えず、原価管理の部分だけを強化したい
- 案件・プロジェクト単位で工数や外注費を積み上げ、個別の採算を精緻に把握したい
- 短期間・限定した投資で始め、効果を見ながら段階的に広げたい
- IT・広告・コンサルティングなど、人件費が主な原価になるプロジェクト型ビジネスである
専用型を選ぶ場合は、既存の会計システムとの連携が成否を分けます。仕訳データや配賦結果を会計側へどう渡すか、連携方式と対応実績を事前に確認しておくと安心です。この確認の具体的な観点は、次のチェック項目で詳しく見ていきます。
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ERPで原価管理する際の選び方チェック項目
ERP統合型で進めると決まったら、ERPならではの観点で候補を絞り込むとよいでしょう。基幹統合ならではの論点を落とさないことが大切です。ここで挙げる観点は専用型を選んだ場合にも流用でき、専用型では特に会計との連携方式と連携実績の確認が重要です。
既存システム・会計/販売/人事モジュールとの連携範囲はどこまでか
ERPで原価管理する価値は、発注・仕入・工数・経費などのデータが原価へ自動的に流れ込む点にあります。そのため、会計・販売・購買・勤怠の各モジュールが同じ基盤で動くか、それとも一部を既存システムに残して連携するかを最初に確認するとよいでしょう。残す場合は、API連携かCSV連携か、連携の対象データと更新タイミングまで見ておくと、二重入力が残らないかを判断できます。
配賦方法・集計単位は自社に合わせられるか
間接費や共通費をどの基準で配賦できるかは、原価の正確さを左右します。工数比率・人数比率・売上比率など、自社が使いたい配賦基準に対応するか、基準を自由に定義できるかの確認が重要です。
あわせて、原価を積み上げる単位が部門別・案件別・製品別・工番別(案件ごとに付ける番号)のどこまで細かくできるかも確認しておきたい点です。自社の生産形態に必要な単位まで集計できなければ、導入後に手作業の補正が残ります。
対応できる原価管理機能(原価計算・差異分析・配賦・損益・シミュレーション・連携)の範囲は十分か
原価管理に必要な機能は、原価計算・原価差異分析・配賦計算・損益把握・原価シミュレーション・外部システム連携と幅があります。すべてが自社に必要とは限らないため、まず「何を管理したいか」を定め、それに対応する機能があるかを照らし合わせることが大切です。たとえば標準原価で差異分析まで行いたいなら、標準原価の設定と実績との差異を出せるかが要になります。必要な原価計算の種類については次章で整理します。
カスタマイズ・アドオンは可能か、Fit to Standardで収まるか
自社の原価計算ルールが複雑な場合、カスタマイズやアドオン開発で合わせる方法と、ERPの標準機能に業務を寄せるFit to Standard(標準機能への業務適用)で進める方法があります。
カスタマイズは柔軟ですが、費用と導入期間が膨らみ、法改正時の追従も重くなりがちです。どこまで標準で収められるかを見極めると、導入後の維持コストを抑えられます。社内ルールが複雑すぎる場合は、この機会に運用自体を見直す選択肢もあります。
拠点データの統合・拡張性に対応できるか
複数拠点やグループ会社を持つ場合、各拠点の原価データを統合して全社で比較できるかが論点になります。拠点ごとに異なる勘定科目や会計基準をどう束ねるか、将来の事業拡大・多通貨対応に拡張できるかの確認が重要です。ERP統合型は基幹を一本化できる強みがある一方で、統合範囲が広いほど要件定義の負荷も上がるため、現時点の必要性と将来の見通しを分けて考えると判断しやすくなります。
現場の工数・実績入力が定着するUIか
案件別・プロジェクト別の原価は、現場の工数入力や実績入力が続かなければ精度が出ません。入力画面が直感的か、スマートフォンやタブレットから入力できるか、打刻や勤怠データと連動して二重入力を避けられるかを確認するとよいでしょう。入力の手間が大きいと定着せず、せっかくの原価管理機能が形だけになってしまうため、導入前のデモで現場の使い勝手を試しておくと失敗を避けられます。
ERPで扱う原価計算の種類「計算目的(標準/実際)×生産形態(個別/総合)」
原価計算は、「計算目的(標準か実際か)」と「生産形態(個別か総合か)」の2つの軸で捉えると、自社に必要な方式が見えてきます。必要な方式が決まれば、それに対応したERP・モジュールの選び方も定まります。
この区分は、わが国の原価計算の実践規範として昭和37年(1962年)に定められた「原価計算基準」の定義に沿っています。設定したのは大蔵省(当時)の企業会計審議会で、現在は金融庁が所管しています。
ただし基準自体がこの2軸のマトリクスを一体として定めているわけではなく、別々の章・項にある定義を、選び分けの視点から並べ直したものです。
出典・参考資料(1件)
※「原価計算基準」は印刷物が原本で、公式サイトに全文のHTML/PDFは掲載されていません。本記事は項番号・旧字綴りを保った公表全文を参照し、出典は基準名と項番号で示しています。
計算目的で分ける:標準原価計算と実際原価計算
原価計算基準は、原価を「消費量および価格の算定基準」の違いによって、実際原価と標準原価に区別しています。
原価は、その消費量および価格の算定基準を異にするにしたがって、実際原価と標準原価とに区別される。
出典:原価計算基準 四「原価の諸概念」(一)(昭和37年 企業会計審議会中間報告)
実際原価は「財貨の実際消費量をもって計算した原価」とされ、標準原価は「財貨の消費量を科学的、統計的調査に基づいて能率の尺度となるように予定し、かつ、予定価格又は正常価格をもって計算した原価」と定義されています。両者の違いは「目的」そのものではなく、消費量と価格をどの基準で算定するかの違いにあります。
制度としても、基準は「原価計算制度を大別して実際原価計算制度と標準原価計算制度とに分類することができる」とし、企業が原価計算を行う目的の重点やその他の条件に応じて、いずれかを適用すると定めています。
標準原価計算の最も重要な目的は、基準の言葉では「原価管理を効率的にするための原価の標準」を設定することにあります。標準と実績の差異を分析して原価を改善したいなら、標準原価の設定と差異分析に対応したERP・モジュールが必要になります。
生産形態で分ける:個別原価計算と総合原価計算
もう1つの軸は生産形態です。原価計算基準は、製品別の計算を生産形態の種類別に対応させて類型化しています。
製品別計算は、経営における生産形態の種類別に対応して、これを次のような類型に区分する。
出典:原価計算基準 二〇「製品別計算の形態」(昭和37年 企業会計審議会中間報告)
- (一) 単純総合原価計算
- (二) 等級別総合原価計算
- (三) 組別総合原価計算
- (四) 個別原価計算
このうち前の3つが総合原価計算の下位の型にあたるため、生産形態の軸は「個別原価計算」と「総合原価計算」の2つに大きく分けて捉えられます。個別原価計算について、基準は次のように定めています。
個別原価計算は、種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態に適用する。個別原価計算にあっては、特定製造指図書について個別的に直接費および間接費を集計し、製品原価は、これを当該指図書に含まれる製品の生産完了時に算定する。
出典:原価計算基準 三一「個別原価計算」(昭和37年 企業会計審議会中間報告)
基準の言葉は「種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態」であり、「受注生産」という語そのものは使っていません。実務上は、受注生産や建設・ソフトウェア開発のように案件ごとに仕様が異なる事業が、個別原価計算の典型例にあたります。一方、総合原価計算は反復連続的な生産に対応します。
単純総合原価計算は、同種製品を反復連続的に生産する生産形態に適用する。
出典:原価計算基準 二一「単純総合原価計算」(昭和37年 企業会計審議会中間報告)
総合原価計算は、一定期間に発生した原価をその期間の生産量に均分して製品の単位原価を求める考え方です。同じ製品を大量に作り続ける製造業に向きます。また、総合原価計算には、単純総合のほかに等級別・組別といった型があります。
製造業(モノ)とプロジェクト型(ヒト)で必要な方式と、対応するERP/モジュールの選び方
2つの軸を自社に当てはめると、必要な原価計算の方式と、ERPで確認すべき機能が見えてきます。縦に生産形態、横に計算目的を置くと、次のように整理できます。
| 生産形態\計算目的 | 実際原価計算(実際にかかった原価を積み上げ) | 標準原価計算(標準を置き差異を分析) |
|---|---|---|
| 個別原価計算 (案件・指図書単位) | 受注生産・建設・ソフト開発・プロジェクト型が実務上の典型例。まず案件ごとの実際原価を正確に積み上げたい場合。 見る点:案件別の工数集計と配賦が得意か | 個別受注でも、見積りと実績の差異を管理して採算を改善したい場合。 見る点:標準(予定)原価の設定と差異分析に対応するか |
| 総合原価計算 (同種製品の反復連続生産) | 同種製品を反復連続生産し、期間の実際原価を生産量に均分したい製造業。 見る点:在庫・製造原価の計算に対応するか | 大量生産で標準原価を置き、差異分析で原価を作り込みたい製造業。 見る点:標準原価設定と原価差異分析に対応するか |
※縦軸・横軸は原価計算基準の別々の定義を選び分けの視点で並べたもので、基準が2軸のマトリクスを一体として定めているわけではありません。受注生産は個別原価計算の実務上の典型例です。
IT・広告・コンサルティングのようなプロジェクト型ビジネスでは、原価の多くが人件費(労務費)です。案件ごとに工数を積み上げ、基準単価を掛けて労務費を算出し、外注費や経費とあわせて案件原価に集計します。個別原価計算の考え方を人のコストに当てはめた運用です。
プロジェクト型ビジネスで案件ごとに工数や外注費を積み上げる原価管理は、工数から人件費原価を作る仕組みの違いで製品差が出ます。案件別原価の具体的な作り方や、プロジェクト収支を見るシステムの選び方まで踏み込んで比較したい場合は、次の記事が参考になります。
プロジェクト収支管理システム比較20選|タイプ別の選び方と料金、案件別原価の作り方を解説
案件が終わって締めてみるまで、その仕事が黒字だったのか赤字だったのか分からない状態になっていませんか。受託でビジネスを回している企業では、珍しくありません。売上は請求書で追えても、そこにぶつける原価は、メンバーの作業時間と外注費と経費に散ら…
候補となるERP・原価管理ソリューションの活用
ここからは、ERP統合型と専用型の選び分けを具体的な製品で確かめられるよう、代表的な6製品を紹介します。会計・販売・在庫まで束ねる汎用統合ERP、案件単位の原価に強いプロジェクト型ERP(ここまではERP統合型)、会計と連携して原価管理を担う会計寄りの専用個別原価(専用型)の順に並べます。
取り上げる6製品は、プロジェクト型ビジネスや、会計を軸に個別原価を加えたい事業に向きます。建設業や製造業の工程別・総合原価計算を中心に据えるなら、業界特化型を含めて広く見比べられる次の24製品比較が出発点になります。
原価管理システム比較24選|原価計算の方式・差異分析・配賦で選ぶ
製品別・工事別・案件別の利益が、締めが終わるまで分からない。Excelの原価集計が担当者ひとりに集中していて、転記のたびに数字が合わなくなる。原価管理システムの検討は、たいていこうした行き詰まりから始まります。 ところが製品を並べてみると、…
以下は、この後紹介する6製品の比較表です。タイプ欄の汎用統合ERP・プロジェクト型ERPはERP統合型、会計寄りの専用個別原価は専用型にあたります。
| サービス名 | Oracle NetSuite | OBIC7 会計情報ソリューション | クラウドERP ZAC | MA-EYES | マネーフォワード クラウド個別原価 | 勘定奉行クラウド[個別原価管理編] |
|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | 汎用統合ERP | 汎用統合ERP | プロジェクト型ERP | プロジェクト型ERP | 会計寄りの専用個別原価 | 会計寄りの専用個別原価 |
| 原価管理の範囲 | 在庫の原価計算(先入先出法・後入先出法・平均原価法など)。プロジェクト会計で購買発注を案件に紐付け、直接費・間接費を案件予算に配賦し予実を比較。標準原価・製造原価計算は公式に記載なし | 管理会計で複数の集計基準・配賦・部門別採算。プロジェクト原価管理で間接費の配賦、完成・仕掛の振替、原価収支管理を会計と一体で処理 | 個別原価計算を自動化。案件別に外注費・仕入・労務費を集計し、工数を案件別労務費に自動集計。直接作業は直課・間接作業は部門配下案件に再配賦。共通費・販管費の配賦、工事進行基準(原価比例法)に対応 | メンバー別の基準時間単価×実作業時間で労務費を算出し案件原価へ反映。配賦基準は工数・人数・売上高・人件費比率に加え面積や机の数まで自由設定。部門別・案件別・顧客別の損益、着地予測、工事進行基準に対応 | 労務費・外注費・経費からワンクリックで原価を算出。間接費を部門・プロジェクトへ多段階で配賦(工数比率・従業員数比率・売上予算比率・面積比率・カスタム)。資産振替仕訳を自動起票。予実管理は公式機能ページに記載なし | プロジェクト別原価報告書をワンタッチ出力(発生額・入金・粗利・予算を同一画面)。労務費計上、設定した基準に基づく自動配賦、進捗度を基準とした原価振替に対応 |
| 連携・カバー範囲 | 会計・販売・購買・在庫・CRMを単一基盤に統合。連結・多通貨に対応(基幹一体のERP統合型) | 会計を中核に販売・人事給与・生産などと連携。財務会計〜管理会計〜連結会計をカバー(基幹一体のERP統合型) | プロジェクト別収支を軸に販売・購買・勤怠/工数・経費・管理会計・内部統制を一元化。会計は仕訳インポート可能な外部システムと連携(プロジェクト型ERP) | プロジェクト管理・勤怠/工数・購買/経費・販売・経理・営業支援(SFA)を1つのERPで統合。勘定奉行クラウド等とAPI連携(プロジェクト型ERP) | ERPに一体化せず会計と連携する専用システム。クラウド会計Plusと共通マスタで連携、勤怠4種と連携(専用型) | 勘定奉行クラウドの会計基盤に個別原価管理を一体化。自動仕訳・50種の帳票、API・CSV連携(会計一体の専用型) |
| 対応業種・規模の目安 | 中堅〜大企業。海外拠点・連結を見据える企業(200か国以上で利用、公式2026年10月時点) | 中堅〜大企業(公式に規模の明記なし)。OBIC7シリーズ累計29,000社超・250業種 | IT・広告・コンサル・士業などプロジェクト型業種。ベンチャー〜上場企業。1,100社超 | システム開発・SES・受託開発・コンサルなどプロジェクト型。一括版は100名以上が目安 | IPO準備・中堅〜上場企業。IT・システム開発・SaaS・クリエイティブ・コンサルなどプロジェクト型 | 中小〜成長企業(公式料金ページは中小/中堅・成長/グループの3区分)。個別受注・案件型 |
| 提供形態 | クラウド(SaaS) | クラウド対応(統合基幹ERP) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS/SaaS+/一括) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) |
| 料金の目安 | 年間ライセンス料+初期費用。金額は公式非公開(要お問い合わせ) | 個別構築が前提で標準価格の公開なし(要お問い合わせ) | 初期設定費用10万円+モジュール×ライセンス数の月額+保守6万円〜/月(モジュール単価は要お問い合わせ) | 利用人数・利用機能により変動(要お問い合わせ)。30日間の無料トライアルあり | 利用人数・契約内容により変動。公式非公開(要お問い合わせ) | iA 月額27,500円〜(年330,000円〜・初期50,000円)、iB 31,250円〜、iS 37,750円〜。30日間の無料体験あり |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
1. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

会計・財務管理を中核に、販売・購買・在庫・CRMまでを1つのクラウド基盤に統合した統合ERPです。公式サイトによると200か国以上で利用され、27以上の言語と190以上の通貨に対応します(2026年10月時点の公式表記、導入は44,000社超)。会計・販売・在庫などの基幹業務と一体で原価を扱う構成です。
在庫の原価計算方法としては、先入先出法・後入先出法・平均原価法などに対応します。プロジェクト会計の機能では、購買発注を特定の案件に紐付けて集計し、直接費・間接費を案件予算に対して配賦したうえで、予算と実績を比較できます。海外子会社を含む連結や多通貨での経営管理を見据える中堅〜大企業に向く設計です。
ERP統合型がデータを一つの基盤にまとめる発想は、どこから生まれたのか。クラウドERPに至った背景について、提供元の日本オラクルは次のように語っています。
会計は会計のシステム、在庫は在庫のシステム、というように業務ごとにシステムが分かれていると、データが分断されてしまって、経営者が全体を見ようとしてもなかなか正確な数字がつかめません。(中略)そこで、あらゆる業務を一つの基盤で一元管理して、経営者がどこからでもリアルタイムにデータを確認できるようにしたい、という発想からクラウドERPという形にたどり着きました。
料金は年間ライセンス料と初期費用で構成され、金額は公式サイトに掲載されておらず個別見積もりとなります。導入はパートナー経由になることが多いため、原価計算の対応範囲や連携は資料と商談で確認するとよいでしょう。
2. OBIC7 会計情報ソリューション(株式会社オービック)

統合基幹業務システム「OBIC7」シリーズの会計領域を担うソリューションです。財務会計から管理会計・連結会計までをカバーし、会計を中核に販売・人事給与・生産などの各システムと連携します。シリーズ全体での累計導入社数は29,000社超・250業種とされ(公式「オービックの特長」ページ記載)、会計を軸に基幹を一体で運用する国産の統合ERPです。
管理会計システムでは、複数の集計基準の設定・配賦・部門別採算に対応し、原価計算や人件費配分を扱います。さらにプロジェクト原価管理の機能を備え、間接費の配賦、完成・仕掛の振替、原価収支の管理まで会計と一体で行えます。すべての伝票でワークフロー承認を利用できる点も、内部統制を重視する企業に向きます。
提供元の株式会社オービックが、コンサルティングから設計・開発・導入後サポートまでを自社一貫で手がけます。料金は業務要件に応じた個別構築が前提のため、公式サイトに標準価格の掲載はなく要お問い合わせです。
3. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

案件・プロジェクト単位で業務が進む業種に特化した、プロジェクト型のクラウドERPです。プロジェクト別の収支管理を軸に、販売・購買・勤怠/工数・経費・管理会計・内部統制を一元化します。IT・システム開発、広告・クリエイティブ、コンサルティング・士業、建設コンサルティングなどが主な対象で、導入実績は1,100社超・利用ライセンス約35万とされています(公式トップ、2026年10月確認)。
原価管理は個別原価計算の自動化が中核です。案件ごとに外注費・仕入・労務費を紐付けて一元管理し、登録した工数を案件別の労務費として自動集計します。直接作業は指定案件に直課し、間接作業は部門配下の案件へ再配賦する仕組みで、共通費や販売費・一般管理費の配賦にも対応します。工事の進捗に応じて売上を計上する工事進行基準にも対応し、長期案件では原価比例法による売上計上を自動化できます。
料金はZAC初期設定費用10万円に、機能(モジュール)×ライセンス数の月額課金と保守費(6万円〜/月)を組み合わせる形です。モジュール別の単価は公開ページに記載がなく、製品資料の請求が必要です。
4. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

プロジェクト型ビジネスに特化したクラウドERPで、見積から請求までのライフサイクルと工数・原価・売上を1つの基盤で管理します。システム開発・SES・受託開発・コンサルティングなどを主対象とし、プロジェクト管理・作業実績/勤怠・購買/経費・販売・経理・営業管理のモジュールで構成されます。ZACと同じくプロジェクト型ですが、工数から労務費を算出する過程を細かく設定できる点に特色があります。
労務費は、メンバーごとに設定した基準時間の単価と実際の作業時間を掛けて算出し、案件原価へ反映します。配賦基準は工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数といった非システム情報まで自由に設定できます。部門別・案件別・顧客別の損益を見たい切り口で出力でき、着地予測や工事進行基準にも対応します。
提供形態はSaaS・SaaS+・一括の3種類から選べ、料金は利用人数・利用機能によって変わるため要お問い合わせです。30日間の無料トライアルが用意されています。
5. マネーフォワード クラウド個別原価(株式会社マネーフォワード)

ERPに一体化するのではなく、会計システムと連携して使う個別原価管理の専用システムです。工数入力・費用データ連携・間接費の自動配賦・原価の可視化までを、プロジェクト単位で一貫して扱います。対象はIPO準備・中堅〜上場企業で、IT・システム開発、SaaS、クリエイティブ、コンサルティングなどプロジェクト型の事業を想定しています。
労務費・外注費・経費のデータから原価をワンクリックで算出し、勘定科目ごとに従業員別の単価を設定して労務費の内訳を求めます。間接費は部門・プロジェクトへ多段階で配賦でき、配賦基準は工数比率・従業員数比率・売上予算比率・面積比率に加えてカスタム基準を作成できます。
マネーフォワード クラウド会計Plusと共通マスタで連携し、資産勘定への振替仕訳の自動起票にも対応します。予算と実績の差異を対比する予実管理は公式の機能ページで確認できないため、必要な場合は問い合わせで確認するとよいでしょう。
料金は利用人数や契約内容によって変わり、具体的な金額は公式サイトで非公開のため要お問い合わせです。
6. 勘定奉行クラウド[個別原価管理編](株式会社オービックビジネスコンサルタント)
![勘定奉行クラウド[個別原価管理編]のウェブサイト](https://i0.wp.com/wpcatalog.cryptobk.jp/wp-content/uploads/2026/09/kanjo-bugyo-cloud-kobetsu-genka-sitecapture.png?resize=1200%2C517&ssl=1)
会計ソフトにプロジェクト別の個別原価管理を載せたタイプの製品です。勘定奉行クラウドの自動仕訳・帳票基盤の上で、請負金額・進捗・予定期間を案件ごとに一元管理し、個別原価を会計処理と一体で扱います。既存の会計を軸に原価管理を加えたい中小〜成長企業に向く構成で、料金が公式に明示されている点も検討材料になります。
機能面では、プロジェクト別原価報告書をワンタッチで出力し、発生額・入金情報・粗利・予算を同一画面で確認できます。労務費の計上、設定した基準に基づく自動配賦、進捗度を基準とした原価振替に対応します。銀行明細やクレジットカード・領収書・給与データからの自動仕訳も備えます。
料金はiAシステムが月額27,500円〜(年額330,000円〜、初期費用50,000円)、多角的分析機能付きのiBシステムが月額31,250円〜、管理会計機能付きのiSシステムが月額37,750円〜です(公式料金ページ、2026年9月確認)。30日間の無料体験が用意されています。
ここでは原価管理に使える代表的な6製品を取り上げましたが、製造業の工程原価に強いものや工事台帳を軸にしたものまで含め、原価管理に特化したシステムをより広く見比べたい場合は次の記事が役立ちます。対応する原価計算の方式・原価差異をどこまで分解できるか・配賦基準を自社に合わせられるかの3軸で、24製品を整理しています。
原価管理システム比較24選|原価計算の方式・差異分析・配賦で選ぶ
製品別・工事別・案件別の利益が、締めが終わるまで分からない。Excelの原価集計が担当者ひとりに集中していて、転記のたびに数字が合わなくなる。原価管理システムの検討は、たいていこうした行き詰まりから始まります。 ところが製品を並べてみると、…
ERP原価管理の費用・導入期間と失敗しない進め方
ここからは、費用と導入期間の目安、そして高額・長期になりやすいERP導入で失敗しないための進め方を整理します。金額や期間は前提によって大きく変わるため、幅と条件をあわせて押さえておくと社内の提案にも使えます。
提供形態・ユーザー数・モジュール数で変わる費用感
費用は、クラウド(SaaS)の標準機能を使うか、カスタマイズを伴うかで大きく変わります。さらに利用ユーザー数と、どのモジュールまで使うかによっても上下します。
タイプ別に見ると、基幹全体を束ねる統合ERPは機能範囲とユーザー数が広いぶん、規模や構成に応じた個別見積もりが中心で、金額は要件によって変動します。
一方、原価管理に絞った専用型や会計寄りの製品には、月額数万円台から始められる公表例もあります。どの製品がいくらかという具体的な金額は、前掲の比較表と各製品の個別紹介をご確認ください。
要件によって構成が変わるため、金額を公開せず個別見積もりとする製品が多いのが実情です。概算をつかむには、想定ユーザー数と必要なモジュールを整理したうえで、複数社に同じ条件で見積もりを依頼すると比較しやすくなります。
導入期間の目安
導入期間は、提供形態・カスタマイズの有無・既存システムからのデータ移行量によって大きく変わるため、一概には示せません。おおまかな見当として、クラウドの標準機能を中心に進めれば数ヶ月規模、大きなカスタマイズを伴うと1年規模に及ぶこともあります。
原価管理だけを対象とする専用型は、基幹全体を入れ替えるERP統合型より短く収まる傾向があります。正確な期間は、自社の要件を伝えてベンダーに確認してください。
失敗しない導入の進め方
原価管理システムの導入でつまずきやすいのは、自社の配賦基準や集計単位が曖昧なまま進めてしまうケースです。まず「何を、どの単位で、どの基準で配賦して管理したいか」を事前に整理しておくと、要件定義とシステム選定がぶれません。
要件定義には経理だけでなく、工数や実績を入力する現場の担当者にも参加してもらうと、入力が定着しやすい運用に落とし込めます。導入前にはデモやトライアルで、配賦の設定や現場の入力画面を実際に触って確認しておくと、稼働後のギャップを小さくできます。社内ルールが複雑すぎる場合は、システムに合わせて運用を見直す選択肢も検討する価値があります。
まとめ
ERPで原価管理するか、専用の原価管理システムを入れるかは、会計・販売・在庫を一元管理したいか、既存の会計基盤を活かして原価管理だけを強化したいかで分かれます。グループや拠点の連結・全社の配賦設計まで見据えるならERP統合型、案件単位の原価を精緻に積み上げたいなら専用型が有力な出発点です。
原価管理に限らず、予実管理や部門別損益まで含めた管理会計システム全体として比較検討したい場合は、目的・規模別の選び方とタイプ別の違いを整理した次の記事が出発点になります。
進める方向が決まったら、既存システムとの連携範囲・配賦と集計単位・必要な機能の範囲・カスタマイズとFit to Standard・拠点統合と拡張性・現場の入力定着という観点で候補を絞り込むとよいでしょう。
あわせて、自社の生産形態と計算目的から必要な原価計算の方式を見極めておくと、選定の軸がぶれません。費用・導入期間は前提で変わるため、本記事の費用・導入の章を目安に、要件を固めてから各社に相談してください。
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よくある質問(FAQ)
Q. ERPの原価管理機能とは何ですか?
A. ERPの原価管理機能とは、会計・販売・購買・在庫・人事を1つの基盤に統合したERPの中で、日々の取引データを原価へ自動的に反映し、原価から会計仕訳までを二重入力なしでつなぐ機能です。
発注・仕入・工数・経費といったデータが同じ基盤に蓄積されるため、原価の集計から決算までを一貫して処理できます。原価の集計・配賦・案件別の積み上げに機能を絞り、既存の会計ソフトと連携して使う「専用の原価管理システム」とは、カバーする業務範囲と既存基幹システムとの関係が異なります。
Q. ERPの原価管理機能と専用の原価管理システムは、どちらを選べばよいですか?
A. 会計・販売・在庫までを一元管理したいならERP統合型、既存の会計基盤を活かして原価管理だけを強化したいなら専用型が出発点になります。
グループ会社や複数拠点の原価を集約し、連結や全社の配賦設計まで見据えるならERP統合型が向きます。一方、すでに使っている会計ソフトは変えず、案件・プロジェクト単位の原価を精緻に積み上げたい場合は専用型が合いやすく、相対的に短期間・低コストで始められます。自社の業種・規模・既存基幹の状態・原価を積み上げたい単位を当てはめて判断してください。
Q. Excelでの原価管理からERP・原価管理システムへ移行する最適なタイミングはいつですか?
A. 手作業での集計が限界に達し、月次損益や案件別の利益率を把握するまでに時間がかかり始めたときが移行の目安です。
プロジェクト数や社員数が増えて属人的なExcel集計が追いつかなくなると、集計ミスや月次決算の遅れが起きやすくなります。基幹システムの老朽化・刷新や上場準備に伴う内部統制の整備など、原価データの正確さと速さが一段と求められる局面も、移行を検討するきっかけになります。
Q. ERPで原価管理を始める場合、費用と導入期間の目安はどのくらいですか?
A. 費用は多くが個別見積もりで、専用型には月額数万円台からの公表例もあります。導入期間は提供形態やカスタマイズの程度しだいで、数ヶ月規模から1年規模まで幅があります。
本文の費用・導入の章で、掲載製品の公表額と見積もりの進め方を具体的に挙げています。見積もりを取る前に、想定ユーザー数と必要なモジュールを決めておくと、各社の金額を同じ条件で比べられます。
Q. 複雑な配賦基準を設定していても、ERPの原価管理機能で対応できますか?
A. 多くのERP・原価管理システムで対応可能です。工数比率・人数比率・売上比率といった配賦基準や、部門・プロジェクトへの多段階配賦に対応する製品が一般的です。
自社が使いたい配賦基準を自由に定義できるか、基準をあとから変更できるかを導入前に確認しておくと安心です。ただし社内の配賦ルールが複雑すぎる場合は、この機会に運用自体を見直すと、カスタマイズに伴う費用や導入後の維持コストを抑えられます。
Q. 現場の工数入力や実績入力は定着しますか?
A. 定着するかどうかは、入力画面の使いやすさ(スマートフォン・タブレット対応、勤怠データとの連動)と、現場担当者を要件定義に巻き込む運用設計しだいです。
案件別・プロジェクト別の原価は、現場の工数入力や実績入力が続かなければ精度が出ません。打刻や勤怠データと連動して二重入力を避けられるか、入力の手間が大きすぎないかを、導入前のデモで実際に触って確認しておくと、稼働後のギャップを小さくできます。入力の重要性を全社で共有することも定着の鍵です。
Q. 自社にどの原価計算方式(標準・実際・個別・総合)が必要か、どう見分ければよいですか?
A. 必要な方式は、「生産形態(個別か総合か)」と「計算目的(標準か実際か)」の2つの軸で決まります。
仕様の異なる製品を個別に受注生産する事業やプロジェクト型ビジネスは個別原価計算、同じ製品を反復連続して大量生産する製造業は総合原価計算が中心になります。これに計算目的を重ね、標準原価を設定して実績との差異分析まで行いたいのか、まずは実際に発生した原価を正確に積み上げたいのかで、標準原価計算と実際原価計算のどちらを重視するかが定まります。
この区分は、わが国の原価計算の実践規範である「原価計算基準」(昭和37年 企業会計審議会)の定義に沿ったものです。必要な方式が決まれば、それに対応したERP・モジュールを選ぶという形で候補を絞り込めます。
Q. ERPの原価管理機能は、どんな業種に向いていますか?
A. 業種によって向く型が分かれ、製造業は総合原価計算に対応した汎用統合ERPや業界特化型、受注生産の建設業などは個別原価計算に対応した製品、IT・広告・コンサルティングなどのプロジェクト型ビジネスは工数を案件に紐付けるプロジェクト型ERP・専用型が向きます。
製造業は在庫や製造原価の計算、プロジェクト型は人件費(労務費)を案件へ積み上げる処理が原価管理の中心になります。自社の生産形態に合った原価計算方式と、「業界特化型・プロジェクト管理型・汎用型」という3つの見取り図を重ねると、自社に近い候補の輪郭が見えてきます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















