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【令和8年度】労働保険料とは?計算方法と雇用保険料率・労災保険率の早見表

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給与計算アウトソーシング比較表(2026年版)

労働保険料は、仕事中や通勤途中のけがを補償する労災保険料と、失業時の給付などを支える雇用保険料を合わせた総称です。従業員を雇う会社は、毎年1回の「年度更新」で、この2つをまとめて国に申告・納付します。計算に使うのは「賃金総額 × 保険料率」という式で、肝心なのは掛け合わせる料率が今年度のものかどうかです。

保険料率は年度ごとに見直されます。古い年度の数字で計算すると、申告額がずれて、あとから過不足の精算や追徴が生じることもあります。本記事では、令和8年度(2026年4月1日〜2027年3月31日に適用)の雇用保険料率と業種別の労災保険率を、一覧表で示します。

そのうえで、料率を使った金額入りの計算例、年度更新の申告・納付の時期と分割納付の期限、労災と雇用の違い・負担者・加入要件まで順に解説します。自社の賃金総額を当てはめて、今年度の労働保険料を自分で概算できる状態を目指します。計算や毎年の手続きの負担が大きい場合に、外部へ委託する選択肢も最後に紹介します。

労働保険料の構成と負担者を示す図。労働保険料は労災保険料と雇用保険料を合わせた総称で、賃金総額に保険料率を掛けて年度更新でまとめて申告・納付する。労災保険料は全労働者が対象で全額を事業主が負担し、雇用保険料は要件を満たす被保険者が対象で事業主と労働者の双方が負担する。石綿健康被害の救済にあてる一般拠出金は別制度だが年度更新で一緒に納付し、全額を事業主が負担する。
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【令和8年度・早見表】雇用保険料率(3区分×会社/本人/合計)

まずは、第一に確かめたい雇用保険料率から見ていきます。令和8年度(2026年4月1日〜2027年3月31日に適用)の雇用保険料率は、事業の種類によって次の3区分に分かれます。表の数値はすべて1,000分のいくつ(◯/1,000)で、労働者(本人)負担と事業主(会社)負担の内訳、合計を並べました。

事業の種類労働者(本人)負担事業主(会社)負担雇用保険料率(合計)
一般の事業5/1,0008.5/1,00013.5/1,000
農林水産・清酒製造の事業6/1,0009.5/1,00015.5/1,000
建設の事業6/1,00010.5/1,00016.5/1,000
令和8年度(2026年4月1日〜2027年3月31日適用)の雇用保険料率。数値は賃金総額に対する1,000分比です。

一般の事業の合計料率は、前年度(令和7年度)の14.5/1,000から13.5/1,000へ引き下げられました。内訳では、労働者負担が5.5/1,000から5/1,000へ、事業主負担が9/1,000から8.5/1,000へ、それぞれ下がっています。手元に昨年度の料率が残っている場合は、この引き下げを反映した数字で計算し直してください。

事業主負担が労働者負担より高いのは、事業主だけが負担する「雇用保険二事業」の料率(一般の事業で3.5/1,000、建設の事業で4.5/1,000)が上乗せされているためです。失業等給付などにあてる料率は、労働者・事業主が同じ割合で負担します。令和8年度の料率は、厚生労働省のリーフレットに次のように記載されています。

令和8(2026)年4月1日から令和9(2027)年3月31日までの雇用保険料率は以下のとおりです。
・失業等給付等の保険料率は、労働者負担・事業主負担ともに5/1,000に変更になります(農林水産・清酒製造の事業及び建設の事業は6/1,000に変更になります。)。
・雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)は、引き続き3.5/1,000です(建設の事業は4.5/1,000です。)。

出典:令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内|厚生労働省

ただし、農林水産の事業のうち、園芸サービス・酪農・養鶏・内水面養殖など、および特定の船員を雇用する事業については、農林水産の率ではなく一般の事業の率が適用されます。自社がどの区分に当たるか判断しにくいときは、所轄の労働局に確認してください。

出典・参考資料(1件)

【令和8年度】労災保険率の業種別一覧(全54業種)

続いて、もう一つの料率である労災保険率です。雇用保険料率が事業の種類で3区分なのに対し、労災保険率は仕事の危険度に応じて業種ごとに細かく定められています。令和8年度に適用する率は、令和6年4月1日に改定された率表の数値がそのまま続きます。自社の業種の率を次の一覧で確かめてください。

事業の種類(業種)労災保険率(1/1,000)
林業52
海面漁業18
定置網漁業又は海面魚類養殖業37
金属鉱業、非金属鉱業又は石炭鉱業88
石灰石鉱業又はドロマイト鉱業13
原油又は天然ガス鉱業2.5
採石業37
その他の鉱業26
水力発電施設、ずい道等新設事業34
道路新設事業11
舗装工事業9
鉄道又は軌道新設事業9
建築事業9.5
既設建築物設備工事業12
機械装置の組立て又は据付けの事業6
その他の建設事業15
食料品製造業5.5
繊維工業又は繊維製品製造業4
木材又は木製品製造業13
パルプ又は紙製造業7
印刷又は製本業3.5
化学工業4.5
ガラス又はセメント製造業6
コンクリート製造業13
陶磁器製品製造業17
その他の窯業又は土石製品製造業23
金属精錬業6.5
非鉄金属精錬業7
金属材料品製造業5
鋳物業16
金属製品製造業又は金属加工業9
洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業6.5
めつき業6.5
機械器具製造業5
電気機械器具製造業3
輸送用機械器具製造業4
船舶製造又は修理業23
計量器、光学機械、時計等製造業2.5
貴金属製品、装身具、皮革製品等製造業3.5
その他の製造業6
交通運輸事業4
貨物取扱事業8.5
港湾貨物取扱事業9
港湾荷役業12
電気、ガス、水道又は熱供給の事業3
船舶所有者の事業42
農業又は海面漁業以外の漁業13
清掃、火葬又はと畜の事業13
ビルメンテナンス業6
倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業又はゴルフ場の事業6.5
通信業、放送業、新聞業又は出版業2.5
卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業3
金融業、保険業又は不動産業2.5
その他の各種事業3
労災保険率(令和6年4月1日改定。令和8年度も同じ率が適用されます)。数値は賃金総額に対する1,000分比です。

一般的なオフィスワーク中心の会社は「その他の各種事業」(3/1,000)に、小売店や飲食店は「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」(3/1,000)に該当するのが基本です。製造業や建設業は作業内容ごとに区分が細かく、同じ「製造業」でも率が業種区分によって異なります。自社の区分が判断しにくいときは、労働保険の成立手続きで交付された保険関係成立届や、所轄の労働局で確認できます。

労災保険率は、業種ごとに原則3年ごとの見直しが行われます。前回の改定が令和6年4月であるため、同じサイクルであれば次回の改定は令和9年4月が一つの目安になりますが、具体的な改定時期や率は、改定が公表された時点で確認してください。改定の考え方について、厚生労働省は次のように説明しています。

労災保険率は、業種ごとに定めており、原則3年ごとに改定しています。

出典:労災保険料の算出に用いる「労災保険率」の改定等を行います|厚生労働省
出典・参考資料(2件)

労働保険料の計算方法と金額入り計算例

ここからは、確かめた料率を使って実際の金額を出します。労働保険料は、原則として賃金総額に保険料率を掛けて計算します。労災保険分と雇用保険分を別々に計算し、合算して納めるのが基本です。算出方法は、労働局のリーフレットが次のように定めています。

(全ての労働者に支払った賃金の額(賃金総額)※)×(保険料率)
※雇用保険率については、被保険者でない者の賃金は除かれます。

出典:労働保険の成立手続(リーフレット)|厚生労働省・長崎労働局

労災保険料は、パート・アルバイトを含めた全労働者の賃金総額に労災保険率を掛けて求めます。一方、雇用保険料は、雇用保険の被保険者に支払った賃金だけを対象に計算し、被保険者でない人の賃金は除きます。このため、労災保険と雇用保険とで、計算の基礎になる賃金総額が異なる場合があります。

賃金総額の範囲と端数処理

計算の基礎になる「賃金総額」は、労働の対償として労働者に支払うすべての賃金です。基本給のほか、通勤手当・時間外手当・住宅手当などの各種手当、賞与も含みます。一方、退職金や結婚祝金・見舞金のように、労働の対償とはいえない支給は賃金総額に含みません。どの手当が含まれるかは個別の判断が必要な場合もあるため、迷うものは所轄の労働局や社会保険労務士に確認すると確実です。

給与から天引きする雇用保険料の被保険者負担額は、端数が50銭以下なら切り捨て、50銭1厘以上なら切り上げます(被保険者が現金で事業主へ支払う場合は、50銭未満切り捨て・50銭以上切り上げ)。労使間で慣習的な特約があるときは、この限りではありません。年度更新で申告する保険料額の端数の扱いは、申告書とあわせて届く計算の手引きに従います。

計算例(賃金総額3,000万円の場合)

具体的な金額を見てみましょう。ここでは、食料品製造業(労災保険率5.5/1,000)で、年間の賃金総額が3,000万円のケースを考えます。従業員は全員が雇用保険の被保険者とし、食料品製造業は雇用保険では「一般の事業」に当たるため、雇用保険料率は13.5/1,000です。令和8年度の料率を使うと、次のようになります。

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区分労災保険料(全額:事業主負担)雇用保険料(事業主負担分)雇用保険料(労働者負担分)一般拠出金(全額:事業主負担)合計(労働保険料+一般拠出金)
計算式3,000万円 × 5.5/1,0003,000万円 × 8.5/1,0003,000万円 × 5/1,0003,000万円 × 0.02/1,000—
金額165,000円255,000円150,000円600円570,600円

※令和8年度の料率(食料品製造業・一般の事業)を用いた計算例です。実際の申告では、年度ごとに最新の料率を確認してください。

このケースでの事業主の負担合計は、労災保険料165,000円・雇用保険の事業主負担分255,000円・一般拠出金600円を合わせた420,600円です。これに対し、労働者の負担は雇用保険料の労働者負担分150,000円で、これは毎月の給与から天引きして預かります。一般拠出金は、石綿による健康被害の救済にあてるもので、全額を事業主が負担し、労働保険料と一緒に申告・納付します。

雇用保険に加入していないパートがいる場合は、その人の賃金を雇用保険の計算から除きます。たとえば賃金総額3,000万円のうち500万円が雇用保険未加入のパート分であれば、雇用保険料は2,500万円を基礎に計算します。一方、労災保険はパートも含めた全労働者が対象のため、3,000万円のまま計算します。

出典・参考資料(2件)

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労働保険の年度更新|申告・納付の時期と手順

料率と計算方法がわかったら、次は申告・納付の時期です。労働保険料は、毎年1回の「年度更新」でまとめて申告・納付します。ここでは、申告・納付の期間と、分割して納める延納の条件・期限を押さえます。

申告・納付期間(6月1日〜7月10日)と概算・確定の精算

年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間に行います。この時期に、前年度の保険料を実際の賃金総額で計算し直して精算し(確定保険料)、あわせて当年度分を賃金総額の見込みで前払いします(概算保険料)。労働保険の保険年度は4月1日から翌年3月31日までで、申告と納付の流れを労働局は次のように案内しています。

毎年6月1日から7月10日までの間に、概算で申告・納付を行い(中略)翌年度の6月1日から7月10日までの間に、確定申告の上、精算する

出典:労働保険料の申告・納付(年度更新)|厚生労働省・兵庫労働局

6月ごろには、申告書などが入った封筒が事業所に届きます。令和8年度の年度更新の期間は、6月1日から7月10日(金)が基本です。初日や期限が土日・祝日に当たる年には前後にずれることがあるため、届いた案内で自社の年度の日付を確認してください。

分割納付(延納)の条件と各期の納期限

概算保険料が一定額以上になる場合などは、年3回に分けて納める「延納(分割納付)」を選べます。延納できるのは、概算保険料が40万円以上(労災保険・雇用保険のどちらか一方の保険関係のみが成立している事業では20万円以上)の場合、または労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合です。

概算保険料額が40万円(労災保険か雇用保険のどちらか一方の保険関係のみ成立している場合は20万円)以上の場合(中略)労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合は(延納できる)

出典:労働保険料の申告・納付(年度更新)|厚生労働省・兵庫労働局

延納する場合の各期の対象期間と、現金納付の法定納期限は次のとおりです。第2期・第3期の納期限(10月31日・1月31日)が土日・祝日に当たる年には、その翌営業日が期限になります。

← 横にスクロールできます →
期第1期第2期第3期
対象期間4月1日〜7月31日8月1日〜11月30日12月1日〜翌3月31日
納期限(原則)7月10日10月31日1月31日

※継続事業で延納する場合の各期の納期限(現金納付)です。納期限が土日・祝日に当たる年は翌営業日にずれます。

その保険年度の10月1日以降に保険関係が成立した事業は、延納が認められず、成立日から3月31日までの保険料を一括で納めます。口座振替を利用する場合は、各期の引落日が現金納付の法定納期限より後ろにずれます。自社のケースに合わせた具体的な納付期限や口座振替の引落日は、次の記事で日付入りにまとめています。

出典・参考資料(1件)

労働保険料とは?労災保険と雇用保険の違い・負担者・加入要件

ここで、計算の前提になる労災保険と雇用保険の違いを整理します。労働保険は、労災保険と雇用保険という目的の異なる2つの保険の総称で、保険料の負担者も加入の考え方も異なります。次の表で、両者の違いを並べました。

← 横にスクロールできます →
項目目的加入の対象者保険料の負担保険料率主な手続き窓口
労災保険仕事中や通勤途中のけが・病気・障害・死亡に対して補償するパート・アルバイトを含む全労働者(被保険者という区分はなく、雇われて働く人全員が対象)全額を事業主が負担する業種ごとに定められる(2.5/1,000〜88/1,000)労働基準監督署
雇用保険失業時の給付や、雇用の継続・再就職の支援などを行う週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあるなどの要件を満たす被保険者事業主と労働者の双方が負担する(労働者負担分は給与から天引き)事業の種類の3区分ごとに定められる(一般の事業は13.5/1,000)公共職業安定所(ハローワーク)

保険料の負担について、労働局のリーフレットは次のように記しています。労災保険分は会社が全額を負担し、雇用保険分は会社と労働者の双方が負担する、という違いが計算の前提になります。

労働保険料のうち、労災保険分は全額事業主負担、雇用保険分は事業主と労働者双方の負担になります。

出典:労働保険の成立手続(リーフレット)|厚生労働省・長崎労働局

加入要件・対象者(労災は全労働者、雇用は被保険者の要件)

労災保険は、雇われて働くすべての労働者が対象で、本人が加入手続きをしたり保険料を負担したりする必要はありません。これに対し雇用保険は、一定の要件を満たす人が被保険者になります。要件は、労働局の案内で次のように整理されています。

次の①~④のすべてに該当する場合は被保険者となります。
① 雇用保険の適用事業所に勤務していること
② 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
③ 31日以上継続して雇用される見込みがあること
④ 被保険者とならない者に該当しないこと

出典:雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!|厚生労働省・徳島労働局

この週20時間という基準は、令和8年度(2026年度)の要件です。パートやアルバイトのうち、この要件を満たす人は雇用保険の計算に含め、満たさない人は雇用保険の賃金総額から除いて計算します。

出典・参考資料(2件)

計算でズレやすい論点と注意点

基本の計算ができたら、間違えやすい細部を確認しておきましょう。ここでは、一般拠出金・出向や派遣の扱い・複数事業や料率改定への対応、そして正確に計算すべき理由を取り上げます。

一般拠出金の率と計算

一般拠出金は、石綿(アスベスト)による健康被害の救済にあてる費用を、労災保険の保険関係が成立するすべての事業主で負担する制度です。率は賃金総額の0.02/1,000で、全額を事業主が負担します。労働保険料とは別の制度ですが、年度更新の確定保険料の申告にあわせて一緒に申告・納付します。

一般拠出金率は1000分の0.02で変更ありません。

出典:労働保険の年度更新について|厚生労働省・栃木労働局

一般拠出金率は、平成26年4月以降0.02/1,000で据え置かれています。年度ごとに率が変わっていないかは、年度更新の案内で一読しておくと安心です。

出向社員・派遣社員の労働保険料の扱い

派遣社員の労働保険は、労災保険・雇用保険とも派遣元が加入します。労災保険率は、派遣先での作業実態に基づいて派遣元の事業の種類を判定して決めます。たとえば製造現場へ派遣するなら、その作業に応じた率が派遣元に適用される、という考え方です。

在籍出向の社員は、労災保険と雇用保険で適用先が分かれます。労災保険は出向先で、雇用保険は主たる賃金を受ける側(多くは出向元)の雇用関係で適用されます。労働局の案内に次のように記載があります。

(労災保険)出向労働者は出向先事業の組織に組み入れられ、出向先事業主の指揮監督を受けて労働に従事する者であり、出向先事業場で適用されます。
(雇用保険)出向元と出向先の2つに雇用関係を有する出向労働者のように、同時に2つ以上の雇用関係にある労働者は、その者が生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けているほうの雇用関係についてのみ被保険者となります。

出典:労働保険対象労働者の範囲|厚生労働省・福島労働局

出向・派遣は契約の形態によって保険関係の帰属や適用する率が変わり、個別の判断が必要な場面もあります。自社に出向者・派遣労働者がいる場合は、どちらの会社が・どの率で計算するかを、所轄の労働局や社会保険労務士に確認してください。

出典・参考資料(1件)

複数の事業を営む場合の計算

複数の事業を営んでいる場合は、事業の種類ごとに労災保険率が異なるため、それぞれの事業で賃金総額を分けて計算する必要があります。一つの会社でも、営む事業が複数の業種にまたがるときは、業種ごとの率を取り違えないよう注意が必要です。

最新の料率で正確に申告する重要性(未手続き・滞納のリスク)

労働保険料は、正しい料率で計算し、期限内に申告・納付することが前提です。手続きを怠ったり、保険料を滞納したりすると、過去にさかのぼって保険料を徴収されるほか、追徴金が加算されることがあります。また、労働保険料の滞納があると、事業主向けの助成金を受けられない場合があります。

1. 遡って保険料を徴収するほか、追徴金も徴収します(中略)労働保険料は手続を行っていなかった過去の期間についても遡って徴収することになり、併せて、追徴金も徴収します。
3. 事業主の方のための助成金が受けられません(中略)労働保険料の滞納がある場合、受給できない可能性があります。

出典:労働保険の成立手続(リーフレット)|厚生労働省・長崎労働局

これらは、手続きを怠った場合や滞納した場合の取り扱いです。料率を取り違えて申告した場合も、年度更新や確定精算で過不足の調整が必要になります。余計な手間や負担を避けるためにも、最新の料率で正確に計算し、期限内に申告・納付することが大切です。

出典・参考資料(2件)

計算・年度更新の手間を外に出すなら|給与計算アウトソーシングという選択肢

ここまで、自社で労働保険料を計算し、年度更新で申告・納付する流れを解説してきました。一方で、毎年の料率の確認、賃金総額の集計、申告書の作成・提出、期限の管理までを担当者が抱えると、負担は小さくありません。専任の担当を置きにくい中小企業では、この一連の作業を外部に委託する選択肢もあります。

給与計算アウトソーシングや社会保険労務士に委託すると、賃金の集計から労働保険の年度更新の手続きまでを任せられます。委託できる範囲や料金はサービスごとに異なるため、自社が外に出したい業務に対応しているかを確認しましょう。以下は、労働保険の年度更新に対応するサービスの比較です。

表の「労働保険の年度更新」欄は、●=標準・基本サービスに含む、△=別サービスやオプションで対応を表します。いずれのサービスも、労働保険の年度更新には対応できます。

← 横にスクロールできます →
サービス名COMIT HRNOC給与計算アウトソーシングエスペイロールYFPクレア
提供形態人事労務BPO型人事労務BPO型社会保険労務士法人型税理士法人型
労働保険の年度更新●標準業務に含む(提携社会保険労務士が担当)●基本サービスに含む(提携社会保険労務士法人が担当)△別サービス「社会保険手続き代行」で対応(金額集計〜申告書記入)△フルサポートで対応(年度更新 各20,000円/年)
給与計算以外の対応範囲勤怠管理・社会保険手続き・年末調整・入退社・住民税・従業員問い合わせ窓口
(社保は提携社会保険労務士が担当、組み合わせ選択)
年末調整・社会保険/労働保険業務・入退社対応・勤怠管理(オプション)
(社保はNOC社会保険労務士法人または提携社会保険労務士が担当)
年末調整・社会保険手続き代行・就業規則/賃金規程作成・労務顧問・助成金コンサル
(母体が社会保険労務士法人)
年末調整代行・賞与計算・社会保険/労働保険手続き(フルサポート)・振込/明細配布(オプション)
(税務・会計も同一法人)
最低対応規模明示なし(導入事例は400〜1,100名規模)主に300名以上(300名以下は要相談)明示なし(導入事例は150〜500名規模)1名から
料金の目安要問い合わせ
(価格シミュレーションで概算可)
要問い合わせ
(業務範囲・規模で個別見積もり)
要問い合わせ
(標準/ビジネス/マネージメントの3パッケージ)
1〜5名 一律10,000円/月
6〜20名 1,700円/名(税別)
21名以上は見積もり
詳細情報サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

この比較表で取り上げたのは、年度更新に対応するサービスの一例です。料金体系や委託できる業務範囲まで含めて幅広く比べたい場合は、次の記事で給与計算アウトソーシング34社を選び方とあわせて解説しています。

1. COMIT HR(株式会社InfoDeliver)

COMIT HRの公式サイト

給与計算を基盤に、勤怠管理・社会保険手続き・年末調整・入退社手続き・従業員からの問い合わせ対応までを組み合わせて委託できる、株式会社InfoDeliverの人事労務BPO(業務プロセスの外部委託)サービスです。フルアウトソーシングから一部の業務だけの委託まで、自社が外に出したい範囲を選んで設計できます。

労働保険の年度更新は標準業務に含まれ、公式サイトでは概算・確定保険料の計算と納付書の作成が対応範囲として示されています。ただし社会保険・労働保険の申請や手続き代理は、InfoDeliver自身ではなく提携する社会保険労務士(法人)が担当し、年末調整の電子申告は提携税理士法人が行う分担です。

公式の導入事例は従業員400〜1,100名規模の企業が中心で、料金は対象人数や法人数などを入力する価格シミュレーションで概算を確認する形です。固定の料金表は公開されていないため、具体的な費用は問い合わせが必要です。

2. NOC給与計算アウトソーシング(芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社)

NOC給与計算アウトソーシングの公式サイト

芙蓉総合リースグループの芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社(略称FOC、旧NOCアウトソーシング&コンサルティング株式会社)が提供する給与計算アウトソーシングです。給与・賞与計算や年末調整に加え、社会保険・労働保険業務を基本サービスとして受託します。

基本サービスの「社会保険・労働保険業務」には「労働保険年度更新処理」が項目として挙げられており、年度更新の手続きを給与計算とあわせて任せられます。これらの手続きはFOC自身ではなく、NOC社会保険労務士法人または提携する社会保険労務士事務所が担います。

対応規模は主に従業員300名以上が目安で、300名以下は別途相談とされています。住民税の年度更新や年末調整などのスポット業務にも対応しますが、料金は業務範囲や従業員規模に応じた個別見積もりで、公式サイトに金額の記載はありません。

3. エスペイロール(社会保険労務士法人エスネットワークス)

エスペイロールの公式サイト

社会保険労務士法人エスネットワークスが母体となって運営する給与計算アウトソーシング「エスペイロール」です。標準・ビジネス・マネージメントの3パッケージがあり、給与計算だけを任せる形から人事制度の企画支援まで、委託範囲を段階的に選べます。

給与計算の3パッケージ自体には社会保険・労働保険の手続きは含まれませんが、同じ社会保険労務士法人が別サービスの「社会保険手続き代行」として引き受けます。ここでは労働保険の年度更新を、金額の集計から申告書の記入まで代行するほか、算定基礎届・月額変更届や、入退社に伴う手続きにも対応します。

導入事例には従業員150〜500名規模の企業が挙げられ、合併時に増えた手続きをスポットで依頼したケースも紹介されています。料金は3パッケージ・社会保険手続き代行とも公式サイトに金額の記載がなく、相談・見積もりは無料とされています。

4. YFPクレア(税理士法人YFPクレア)

YFPクレアの給与計算代行の公式サイト

税理士法人YFPクレアが手がける給与計算代行で、1名から依頼できる点が特徴です。経理担当者を置きにくい小規模の事業者や、繁忙期だけ手が足りない事業者を対象に挙げています。

料金は公開されており、給与計算代行は1〜5名が一律10,000円/月、6〜20名が1人あたり1,700円/月(いずれも税別)で、21名以上は個別見積もりです。賞与計算やタイムカード集計、特別徴収の届出代行などは、必要なものだけをオプションで追加できます。

労働保険の年度更新を含む社会保険の手続きは、給与計算に手続き代行を加えた「フルサポート」で対応し、公式の事例では算定基礎届・年度更新が各20,000円/年と示されています。給与計算代行のページには手続きの詳細な範囲の記載がないため、対応範囲は問い合わせで確認すると確実です。

まとめ

労働保険料は、労災保険料と雇用保険料を合わせたもので、賃金総額に保険料率を掛けて計算します。令和8年度の雇用保険料率は、一般の事業で13.5/1,000(会社8.5・本人5)、農林水産・清酒製造で15.5/1,000、建設で16.5/1,000です。労災保険率は業種ごとに2.5/1,000〜88/1,000の幅があり、自社の業種の率を一覧で確かめて使います。

計算では、労災保険は全労働者、雇用保険は被保険者分を基礎にし、一般拠出金(0.02/1,000)も加えます。申告・納付は年度更新として毎年6月1日〜7月10日に行い、概算保険料が40万円以上などの要件を満たせば年3回の延納も選べます。料率は年度ごとに見直されるため、必ず申告する年度の数字で計算してください。毎年の手続きの負担が大きい場合は、年度更新まで対応する委託先を活用するのも選択肢です。

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よくある質問(FAQ)

Q. 労働保険料とは何ですか?

A. 労働保険料とは、仕事中や通勤途中のけがを補償する「労災保険料」と、失業時の給付などを支える「雇用保険料」を合わせた保険料の総称です。従業員を雇う会社は賃金総額に保険料率を掛けて算出し、毎年1回の「年度更新」で国に申告・納付します。令和8年度は一般の事業の雇用保険料率が13.5/1,000、労災保険率が業種別に2.5〜88/1,000です。

Q. 労働保険料は、従業員が1人でも加入・納付が必要ですか?

A. 労働保険料は、パート・アルバイトを含めて従業員を1人でも雇えば、原則として加入・納付が必要です。労災保険は雇われて働くすべての労働者が対象で、本人の手続きや保険料の負担は要りません。雇用保険は、1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがあるなどの要件を満たす人が被保険者になります。計算では、労災保険は全労働者、雇用保険は被保険者分の賃金を基礎にします。

Q. 労働保険料の「概算保険料」と「確定保険料」は何が違いますか?

A. 労働保険料の概算保険料と確定保険料の違いは、概算保険料がその年度分を賃金総額の見込みで前払いするもの、確定保険料が前年度分を実際の賃金総額で計算し直して精算するものという点です。年度更新(毎年6月1日〜7月10日)では、この2つを同時に申告します。前年度の概算額と確定額に差があれば、その過不足を今年度の納付額で調整します。

Q. 会社の役員や社長も労働保険料の対象になりますか?

A. 労働保険料は、法人の役員や社長は「労働者」に当たらないため、原則として対象外(賃金総額に含めない)です。ただし労災保険には、中小事業主や役員などが任意で加入できる「特別加入」の制度があり、一定の要件を満たせば加入できます。また、役員であっても労働者としての実態を併せ持つ「兼務役員」は、その労働者部分が対象になる場合があります。判断に迷うときは、所轄の労働局や社会保険労務士に確認してください。

Q. 労働保険料の仕訳・勘定科目はどう処理しますか?

A. 労働保険料の会計処理は、事業主負担分を「法定福利費」、給与から天引きする従業員負担分を「立替金」や「預り金」で処理するのが一般的です。概算保険料を先に納付する労働保険では、納付・天引き・精算のタイミングによって使う科目や処理の仕方が変わります。自社の会計方針に沿った具体的な仕訳は、顧問の税理士や会計士に確認すると確実です。

Q. 年度の途中で従業員や賃金が大きく増えた場合、労働保険料はどうなりますか?

A. 年度の途中で賃金総額の見込みが当初を一定以上上回った場合は、年度更新を待たずに「増加概算保険料」として追加の申告・納付が必要になることがあります。該当する増加の幅や申告の期限には要件があり、自社が当てはまるかは所轄の労働局で確認できます。見込みを下回った場合は、翌年度の年度更新の確定精算で過不足が調整されます。

Q. 労働保険料の計算や年度更新は、社会保険労務士や代行サービスに外注できますか?

A. 労働保険料の計算や年度更新は、給与計算アウトソーシングや社会保険労務士に外注でき、賃金の集計から申告書の作成・提出まで任せられます。ただし、年度更新の申告書の提出など手続きの代理は社会保険労務士(法人)の業務のため、給与計算会社が窓口でも実際の申請は提携先の社会保険労務士が担う形が一般的です。自社が外に出したい業務に対応しているかを確認しましょう。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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