工事ごとの原価や収支をExcelや紙で管理していて、担当者しか中身が分からない、月次の集計に何日もかかる、といった負担を感じていませんか。工事台帳システムを使えば、工事別の実行予算・原価・粗利をその場で記録・集計でき、経営事項審査(経審)や税務で使う帳票の作成も楽になります。
ただ、工事台帳システムは提供会社ごとに、得意な工事規模も、経審対応や会計ソフト連携の有無も、料金体系も大きく異なります。工事台帳に特化した専用製品もあれば、会計ソフトの建設業対応として工事別原価を扱える製品もあり、どの会社の製品が自社に合うのかは一覧で並べてみないと判断しづらいのが実情です。
本記事では、建設業向けの工事台帳システムを提供する会社の製品を横断的に比較します。提供形態(クラウド型・インストール型)・工事別原価管理・経審帳票の出力・会計ソフト連携・対象規模・料金という、建設業の工事台帳ならではの選定軸で整理しました。
専用製品と会計ソフトの建設業対応のどちらが自社に合うかまで判断できる材料をまとめています。建設会社・工務店・リフォーム会社の経理や工事管理の担当者が、自社に合う一本を選ぶためにご活用ください。
また、自社の工事規模や運用体制に合う製品を最短で絞り込めるよう、かんたん診断ツールも用意しています。いくつかの質問に答えるだけで候補が見えるので、比較の入り口としてお使いください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事が扱うのは、建設会社・工務店・リフォーム会社など工事を請け負う側(受注者)が、工事ごとの実行予算・原価・収支を記録して利益を管理するための工事台帳システムです。工事原価管理システムや建設業向けの業務管理システムと呼ばれる製品も、工事別の原価管理を主な役割とするものはここに含めて比較します。
「工事台帳」という言葉は、受注側の原価・収支管理のほかにも使われるため、混同しやすい点に注意が必要です。自治体が発注業務を管理するための「工事台帳」システムは、受注側の原価管理とは目的が異なります。現場の写真管理や日報・施工管理が中心で、工事別の原価・収支を記録する機能を持たないアプリも、工事台帳システムとは役割が異なります。本記事は、工事ごとの原価・収支を管理する工事台帳システムを比較します。
混同しやすいところなので、自社の目的が「工事ごとの原価・粗利の管理」にあるかを確認したうえで読み進めてください。
建設業の工事台帳という絞り込みを外して、クラウド会計ソフトを規模・タイプ別に広く見比べたい場合は、カテゴリ全体を横断比較した次の記事が入り口になります。
工事台帳システムとは|役割とExcel・紙管理の限界
ここでは、工事台帳システムの役割と、Excelや紙での管理が抱えやすい課題を簡単に押さえます。本題は次の選び方以降なので、基礎を確認したい方向けに短くまとめます。
工事台帳の役割(工事別の原価・粗利の記録と、経審・税務での用途)
工事台帳は、工事(現場)ごとに契約金額・実行予算・実際にかかった原価(材料費・労務費・外注費・経費)を記録し、工事単位の収支と粗利を把握するための台帳です。工事台帳システムは、この記録・集計をデジタルで行い、見積や発注、請求、会計と連動させて、工事ごとの採算をリアルタイムに可視化します。
工事台帳は、経営事項審査(経審)や建設業許可の更新で提出する工事経歴書や、建設業会計の完成工事高・完成工事原価を裏付ける社内の管理資料としても使われます。工事台帳そのものに法律上の作成義務があるわけではなく、作成が義務づけられているのは下請の施工体制を示す「施工体制台帳」など別の法定台帳です。
工事台帳は、こうした提出書類や決算の数字を正確に組み立てるための土台になる、と捉えると役割を掴みやすくなります。
Excel・紙の工事台帳が抱える限界
Excelや紙での工事台帳管理は、手軽に始められる一方で、工事件数や関係者が増えると次のような限界が見えてきます。
- 担当者ごとに様式がばらばらで、作り方がその人しか分からず属人化する
- 原価の入力・集計を手作業で行うため、月次で工事別の粗利を出すのに時間がかかる
- 現場で発生した原価が事務所にすぐ届かず、リアルタイムに収支を把握できない
- 経審や決算で使う帳票を、台帳から改めて手作業で作り直す必要がある
これらの負担は、工事台帳システムを導入することで軽くなります。導入で具体的に何が変わるかは、記事後半の導入するメリットで整理します。
工事台帳システムの選び方|建設業で外せない比較軸
ここからは、工事台帳システムを選ぶときに確認したい軸を順に見ていきます。次に紹介する比較表やサービス個別紹介も、この軸に沿って整理しています。
クラウド型とインストール型のどちらが自社に向くか
工事台帳システムは、提供形態で大きくクラウド型とインストール型に分かれます。クラウド型はインターネット経由で利用し、現場・事務所・外出先のどこからでも入力でき、月額課金が中心です。インストール型は自社のPCやサーバーに導入し、通信環境に左右されにくく運用コストを抑えやすい反面、外出先からの操作には弱い傾向があります。
現場が複数あり、職人や協力会社も含めてその場で原価や日報を入力したいならクラウド型が向きます。社内の事務所で経理担当者が集中して入力し、既存の会計ソフトと同じ環境で完結させたい場合は、インストール型やパッケージ型も選択肢になります。
経営事項審査(経審)用の帳票を出せるか
公共工事を元請として直接受注する建設業者は、経営に関する客観的事項について審査(経営事項審査)を受けることが建設業法で定められています。
公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。
出典:建設業法 第二十七条の二十三|e-Gov法令
経審では経営規模などが数値で評価され、その代表的な指標が工事の年間完成工事高です。工事台帳システムで工事別の完成工事高や原価を正確に積み上げておくと、経審や許可更新で提出する工事経歴書・財務諸表の裏付けを揃えやすくなります。公共工事の受注を視野に入れるなら、工事経歴書や建設業会計の帳票を出力できるか、どの様式に対応しているかを確認しておくと安心です。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:建設業法 第二十七条の二十三(経営事項審査)|e-Gov法令(https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100)
自社の工事規模・体制に合うか(一人親方〜中小〜中堅の目安)
製品ごとに、想定している利用者数や工事規模が異なります。一人親方や数名規模なら、入力が簡単で低価格のクラウド型が扱いやすく、複数現場を同時に抱える中堅規模なら、部門管理や予算実績の分析、会計・勤怠との連携まで備えた製品が向きます。
無理に多機能な製品を入れても使いこなせないため、現在の工事件数と担当者数、数年先の体制を見据えて、過不足のない規模感の製品を選ぶのが失敗を避けるこつです。自社のケースに近い候補は、後述の診断ツールでも確認できます。
現場担当者でも使える操作性か
工事台帳システムは、経理担当者だけでなく現場の職長や協力会社が原価や日報を入力して初めて効果が出ます。入力画面が複雑だと現場で使われず、結局これまでどおり事務所で打ち直すことになりかねません。
スマートフォンやタブレットから写真付きで入力できるか、普段使っているチャットやLINEと連携できるかを確認しましょう。現場の人が迷わず使える作りかは、無料トライアルで実際に触って確かめるのがおすすめです。
料金体系と費用対効果が見合うか
料金は、月額制のクラウド型と、買い切り+保守のインストール型で考え方が異なります。クラウド型は初期費用を抑えて始めやすい一方、利用人数やオプションで月額が変わります。インストール型は初期の導入費用が大きくなりやすいものの、長く使うほど一人あたりのコストは下がる傾向があります。
料金の桁感は記事後半の料金相場で整理しますが、金額だけでなく、削減できる集計作業の時間や、粗利改善につながる効果まで含めて費用対効果を判断してください。
会計ソフト・既存システムと連携できるか
工事台帳で把握した原価は、最終的に決算や申告のための会計処理につながります。工事台帳システムが自社の会計ソフトとデータ連携できれば、転記の手間と入力ミスを減らせます。見積・発注・勤怠など、すでに使っているシステムと連携できるかも確認しておきたいところです。この連携の考え方は、工事台帳を専用製品で持つか、会計ソフトの建設業対応でまとめて回すかという次の判断軸にも直結します。
専用の工事台帳・原価管理製品と、会計ソフトの建設業対応はどちらを選ぶべきか
工事台帳システムを検討すると、工事台帳・原価管理に特化した専用製品と、会計ソフトの建設業向けエディション(建設業会計)という2つの入り口に行き当たります。どちらも工事別の原価を扱えますが、守備範囲が違うため、自社が「工事台帳だけを効率化したいのか」「会計・決算・経審まで一体で回したいのか」で選択が変わります。
工事台帳・原価管理に特化した専用製品が向くケース
専用製品は、見積から実行予算、原価入力、工事台帳の自動作成、現場とのやり取りまで、工事の採算管理に必要な機能を使いやすくまとめているのが強みです。会計まで一体化する必要はない、まずは工事ごとの粗利をリアルタイムに見える化したい、現場での入力しやすさを重視したい、といった場合は専用製品が向きます。
会計は既存のソフトや顧問税理士に任せ、工事台帳システムからデータを連携する形が取りやすいのも利点です。
会計ソフトの建設業対応(工事別原価・完成工事原価)で一体化が向くケース
建設業の会計は、一般の会計と勘定科目が異なります。売上高にあたる「完成工事高」、売上原価にあたる「完成工事原価」、仕掛品にあたる「未成工事支出金」など、建設業に固有の科目を使い、これらは建設業法施行規則の財務諸表様式と告示で定められています。
会計ソフトの建設業対応(建設業会計のエディション)は、工事別原価の管理から、こうした建設業特有の決算書・経審用の帳票作成までを一つのシステムで完結できるのが強みです。
工事台帳と会計・決算・経審までを同じデータで一体化して回したい、経理の二重入力をなくしたい、という中堅規模や、公共工事の経審を見据える会社には、会計ソフトの建設業対応が向きます。建設業会計に工事別原価管理や経審書類の作成まで備えたクラウド会計ソフトは、本記事の比較表・個別紹介でも取り上げています。
どちらのタイプが合うか迷う場合は、まず自社の会計処理を誰がどこまで担っているかを整理すると、判断の軸が定まります。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:建設業法施行規則 別記様式第十五号・第十六号、建設業法施行規則別記様式第十五号及び第十六号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類を定める件(昭和五十七年建設省告示第千六百六十号)|国土交通省(https://www.mlit.go.jp/common/000057754.pdf)
かんたん診断|自社に合う工事台帳システムを探す
ここまでの選び方をふまえ、工事規模・運用体制・重視する機能から、自社に合う候補を絞り込める診断を用意しました。いくつかの質問に答えるだけで、向いているタイプと製品の方向性が見えてきます。
【比較表】工事台帳システム提供会社の機能・料金・経審対応
建設業向けの工事台帳システムを、提供形態(クラウド型・インストール型)ごとに、工事別原価管理・経審対応・会計連携・対象規模・料金の軸で横断比較します。専用製品と会計ソフトの建設業対応を同じ軸で並べているので、タイプをまたいで検討できます。各社の詳しい特徴は、サービス個別紹介で解説します。
表の記号は、●が対応、△が条件付き・一部対応(注記参照)、×が非対応を表します。「公式記載なし」は公式サイトを確認したうえで対応の記載が見つからなかった項目、「要確認」は公式サイトの仕様が確認できず判断を保留した項目、「要お問い合わせ」は料金などが非公開の項目です。いずれも最終的には各社の資料や問い合わせでご確認ください。
経審帳票の出力や会計ソフト連携は、建設業会計まで扱える会計ソフトの建設業対応では手厚く、工事台帳・原価管理に特化した専用製品では製品差が大きいため、自社が重視する軸で絞り込んでください。
クラウド型の工事台帳システム比較
| 製品 | 勘定奉行クラウド 建設業編 | PCAクラウド 建設業会計 | サクミル | アイピア | ANDPAD | AnyONE | uconnect | 使えるくらうど工事台帳(V3) | らくらく!工事台帳 Web版 | KAKUSA | BUILDY NOTE | 建て役者 | Anymore施工管理 | 工事台帳アシストAI | アーキLink | 注文分譲クラウドDX | SAKIRAKU |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | オービックビジネスコンサルタント | ピー・シー・エー | プレックス | アイピア | アンドパッド | エニワン | unlimited | アサクラソフト | ウィズ | アクティブシステム | フィックス | システムサポート | Anymore | ネクスゲート | Archi Village | ダイテック | SAKIRAKU合同会社 |
| 提供形態 | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド(買い切り型) | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド |
| 料金(初期/月額) | 初期50,000円〜/月27,500円〜(税抜) | 初期0円/月19,200円〜(税抜) | 初期0円/月9,800円〜(税別) | 初期120,000円〜/月10,000円〜(税抜) | 要お問い合わせ | 初期は個別見積/月16,000円〜 | 初期0円/月7,920円〜(税込) | 買い切り型/要お問い合わせ | 新規90,000円〜(1名・360日・税別) | 初期50,000円〜/月5,000円〜(税別) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 初期0円/月15,000円〜 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 初期49,800円/月9,800円〜(税別) |
| 工事別原価・粗利管理 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
| 経審帳票の出力 | △最上位iSで対応 | ●評点シミュレーション | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし | △工事経歴書PDFを出力(経審対応の明示なし) | ●完成工事原価報告書を出力 | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし | 要確認 | 公式記載なし | 公式記載なし |
| 会計ソフト連携 | 会計ソフト一体型 | 会計ソフト一体型 | 公式記載なし | △会計連携プラン(連携先は別途案内) | △CSV経由で連携可(連携先は要問い合わせ) | △カスタマイズで対応(標準機能外) | ●弥生/freee/MF(freee・MFはAPI連携) | △仕訳データ出力 | 公式記載なし | △CSV出力のみ | 公式記載なし | 公式記載なし | △請求データをCSV出力(API連携なし、会計ソフト名は非公開) | △CSV出力(会計ソフト名は非公開) | 要確認 | 公式記載なし | 公式記載なし |
| 対象規模 | 中小〜中堅 | 中小〜中堅 | 一人親方〜中小 | 中小 | 中小〜中堅 | 一人親方〜中小 | 一人親方〜中堅 | 中小 | 中小 | 中小(5〜30名) | 中小 | 中小 | 中小 | 中小 | 中小 | 住宅会社向け | 中小 |
| 無料トライアル | ●30日間 | ●2ヶ月 | ●2ヶ月 | △無料デモ | × | 要確認 | ●30日間 | 要確認 | ●14日間 | 要確認 | 要確認 | △デモ申込 | ●1ヶ月 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
インストール型・パッケージ型の工事台帳システム比較
| 製品 | JSI工事台帳lite | JDL IBEX原価管理・工事台帳 | レッツ原価管理Go2 | 工事原価Pro | どっと原価NEO | 建設大臣NX | スイート建設会計 | Galileopt DX 工事大将 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | ジャパンシステムイノベーション | 日本デジタル研究所(JDL) | レッツ | アイ・ジェイ・エス | 建設ドットウェブ | 応研 | フォーラムエイト | ミロク情報サービス |
| 提供形態 | インストール型 | インストール型(単一PC) | パッケージ(クラウド版あり) | オンプレミス(クラウド版あり) | オンプレミス・LAN | パッケージ型 | パッケージ型 | パッケージ型(ERP) |
| 料金(初期/月額) | 年額22,000円(税込) | 買い切り38,000円〜(税抜) | 買い切り660,000円〜(税別、保守別) | クラウド年額171,600円〜(税込)/オンプレは要問い合わせ | 初期850,000円〜(税別、保守別) | 買い切り792,000〜1,716,000円(税込) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
| 工事別原価・粗利管理 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
| 経審帳票の出力 | ●添付書類に対応 | 要確認 | △工事経歴書を出力 | 要確認 | 要確認 | △上位グレードで対応 | 要確認 | 要確認 |
| 会計ソフト連携 | ●弥生会計 | ●JDL会計 | ●弥生/PCA/奉行 | ●弥生/PCA/奉行 | ●奉行/弥生 | 会計ソフト一体型 | 会計ソフト一体型 | 会計ソフト一体型 |
| 対象規模 | 中小・零細 | 中小(1PC) | 中小〜中堅 | 中小〜中堅 | 中小〜中堅 | 中小〜中堅 | 中小 | 中堅 |
| 無料トライアル | 要確認 | 要確認 | ●クラウド版45日間 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
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工事台帳システムのサービス個別紹介
比較表で取り上げた各製品の特徴を、提供形態ごとに詳しく紹介します。工事別原価管理の得意分野、経審・会計連携への対応、向いている工事規模を中心に整理しました。
クラウド型(工事台帳・原価管理クラウド/会計ソフトの建設業対応)
現場・事務所・外出先から入力でき、月額で使えるクラウド型です。はじめに建設業会計まで一体で扱える「会計ソフトの建設業対応」(勘定奉行クラウド建設業編・PCAクラウド建設業会計)を取り上げ、続いて工事台帳・原価管理に特化した専用クラウド製品を紹介します。会計・経審まで一体で回したいか、工事台帳の使いやすさを優先するかで読み分けてください。
1. 勘定奉行クラウド 建設業編(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

株式会社オービックビジネスコンサルタントの汎用クラウド会計「勘定奉行iクラウド」に、工事ごとの原価計算・配賦や工事台帳といった建設業特有の機能を加えた業種特化エディションです。会計・決算・消費税申告から工事別原価管理までを一つの会計ソフトで扱えます。
工事別の仕訳・原価計算や間接費・労務費の配賦を自動化し、工事台帳や原価帳票で工事ごとの収支を見える化できます。最上位のiSシステムでは、工事経歴書や経営規模等評価申請書など経営事項審査(経審)向けの書類作成にも対応します。工事別原価管理から経審書類の作成までを一つの会計ソフトで一体運用したい会社に向いた製品です。
料金は基本機能のiAシステムが月額27,500円(税抜、年額330,000円)・初期費用50,000円からで、多角的分析のiB、管理会計・経審対応のiSと3段階から選べます。30日間の無料体験が用意されています。
2. PCAクラウド 建設業会計(ピー・シー・エー株式会社)

建設業に特化したクラウド型の会計ソフトで、東証プライム上場のピー・シー・エー株式会社が提供しています。「工事」「工種」マスターを軸に、工事別の原価管理から工事台帳、経営事項審査(経審)対応までを一つの会計ソフトで扱えます。
公共工事の入札に必要な経審では、財務データ・工事データから審査項目を自動集計し、総合評点をシミュレーションできます。工事進行基準・工事完成基準・原価回収基準の複数の収益認識基準に対応する点も、経理方針が分かれる中小建設業で扱いやすい設計です。
料金は建設業会計のみで月額19,200円(税抜)から、初期費用は0円です。ライセンスは端末数ではなく同時接続ユーザー数(CAL)で決まるため、端末を増やしても追加費用がかからないのが特徴です。2ヶ月の無料体験があります。
3. サクミル(株式会社プレックス)

建設業・設備工事業の現場管理から工事管理までをまとめたクラウドで、株式会社プレックスが運営しています。案件管理・見積・実行予算・原価管理・請求・工事台帳・出面管理までを一つのサービスにまとめています。
作業日報や写真を現場からスマートフォンで入力でき、日報から原価を自動集計して工事ごとの売上・原価・利益をリアルタイムに把握できます。機能ごとの追加課金がない単一プラン構成で、一人親方から中小規模の工事会社まで導入しやすい作りです。
料金は月額9,800円(税別、20アカウント込み)からで、初期費用は0円です。すべての機能を追加料金なしで使えます。本契約の前に2か月の無料トライアルを利用できます。
4. アイピア(株式会社アイピア)

工務店・リフォーム会社など中小規模の建築事業者向けに、株式会社アイピアが自社開発するクラウド型の業務管理システムです。顧客管理・見積・原価/発注管理・請求・工程管理・工事台帳作成までを1つのシステムに集約しています。
見積の情報が原価管理・工事台帳にそのまま連動し、契約時・予算時・発注時・最終の各段階で粗利の推移をリアルタイムに確認できます。相見積機能や写真台帳など、建築・リフォーム業ならではの機能を備える点も特徴です。
料金はライトプランが初期費用120,000円・月額10,000円(いずれも税抜、5ユーザーまで)から。1ユーザーにつき2,000円の追加や、上位のベーシック・プロフェッショナルプランで規模に合わせられます。
5. ANDPAD(株式会社アンドパッド)

建設・建築のプロジェクト管理を幅広く担うクラウドサービスで、提供元は株式会社アンドパッドです。工事台帳が扱う契約・実行予算・原価・粗利・請求の情報は、「ANDPAD引合粗利管理」と「ANDPAD施工管理」を組み合わせて管理します。
見積から実行予算、原価、請求・入金までを一元管理し、着工後の粗利の変動をダッシュボードで可視化できます。デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査(2025年12月)では、建設業マネジメントクラウドサービス市場で導入企業数8年連続シェア1位と発表されています。
料金は利用プランによって異なり、公式サイトでは非公開のため見積もりでの確認が必要です。アカウント数による機能制限はなく、無料トライアルは提供されていないため、個別デモや見積依頼から検討する形になります。
6. AnyONE(エニワン株式会社)

工務店・リフォーム会社をおもな対象とする、クラウド型の基幹業務管理システムです(提供はエニワン株式会社)。見積から実行予算・発注・入出金・工事台帳・アフター管理までを一元化し、Excelに近い操作感を訴求しています。
見積・発注・支払いのデータをボタン一つで工事台帳へ集約し、Excel形式での出力や書式のカスタマイズに対応します。AWSのサーバー利用料やバージョンアップ費用が月額利用料に含まれ、追加のインフラ費用がかからない点も特徴です。
導入企業数は4,300社を超え(2026年6月時点)、一人親方から中小の工務店まで対応します。料金はワンプラン構成で、ランディングページ上は月額16,000円からと案内され、初期費用は事業規模に応じた個別見積もりです。対応OSはWindowsに限られ、Macでは仮想化ソフトが必要です。
7. uconnect(株式会社unlimited)

工事業・建設業の原価・粗利管理に特化したクラウドで、株式会社unlimitedが提供します。案件ごとに売上・原価を入力すると工事台帳が自動で更新され、粗利益・粗利率が自動計算される仕組みを備えます。
見積・請求・入金・支払いの管理に加え、freee会計・マネーフォワード・弥生会計との会計連携に対応し、仕訳データを二重入力なしで渡せます。一人親方から年商10数億円規模までの土木・電気・内装・設備・リフォームなど幅広い業種を対象にしています。
料金は初期費用無料で、最小構成の月額は7,920円(税込、基本料6,600円+ユーザー1名分1,320円)から。クレジットカードの登録なしで30日間の無料トライアルを利用できます。
8. 使えるくらうど工事台帳(V3)(アサクラソフト株式会社)

建設業向けのクラウド型業務支援システムで、アサクラソフト株式会社が開発・提供しています。日報入力から工事台帳・原価管理・見積・発注・仕入・請求までを一気通貫で扱い、ブラウザやスマートフォンから入力したデータが工事ごとに自動集計されます。
見積データを実行予算に転用し、原価・発注・支払・請求・入金を工事単位で一元管理できます。重機マスタに損料を登録して稼働時間に応じ自動集計する重機管理機能や、グループウェア・ワークフローを同一システム内に備える点が特徴です。工事完成後は工事経歴書をPDF帳票として出力できます。
クラウド型ながら課金方式は月額制ではなく買い切り型で、基本システム料金・オプション・年間保守料金を組み合わせます。金額は公式サイトで公開されておらず、個別見積もりでの確認が必要です。2025年に株式会社Arentのグループ会社となりました。
9. らくらく!工事台帳 Web版(株式会社ウィズ)

製品名のとおり工事台帳の作成を主役に据えた、クラウド型(Web版)のシステムです。提供は株式会社ウィズ。インターネット接続があれば現場・事務所を問わず複数のPCから同時にアクセスでき、工事ごとの原価管理と請求・入金管理を行えます。
材料費・労務費・外注費・経費といった工事別の原価を管理し、工事台帳総括表や工事原価明細表など標準15種類の帳票を出力できます。リモートサポートは朝7時から夜22時まで対応し、土日祝も事前調整で受け付けるため、日中に時間を取りにくい現場でも使いやすい体制です。
料金は契約日数単位のプラン設計で、新規契約(360日)は1ユーザー版90,000円から、以降の更新費は360日契約で33,000円から(いずれも税別)です。14日間の無料体験で製品版と同等の機能を試せます。
10. KAKUSA(アクティブシステム株式会社)

従業員5〜30名ほどの中小の建設工事業者をおもな対象とした、クラウド型の工事原価管理・工事台帳システムです。開発・提供はアクティブシステム株式会社。見積・工事受注・請求・日報・発注・仕入・支払・予算・原価管理を工事番号単位で連結します。
日報はスマートフォンから入力でき、現場の出面(勤怠)や労務費を自動で計算します。必要な業務範囲だけを選んで導入できる設計で、見積から実行予算、日々の発注・仕入・請求までを工事ごとの収支としてリアルタイムに把握できます。
料金は初期費用50,000円から、月額5,000円から(いずれも税別)と小規模から始めやすい水準で、利用する機能範囲やライセンス数に応じた個別見積もりです。「デジタル化・AI導入補助金2026」の対象ツールに認定されています。
11. BUILDY NOTE(株式会社フィックス)

株式会社フィックスが「クラウド工事台帳」として提供する、建設・工事会社向けの業務管理システムです。見積・工程表・原価管理・受発注・請求/入金管理を一つのクラウドに統合し、現場とバックオフィスの情報を工事台帳・顧客台帳として一元管理します。
実行予算の作成から原価管理までを工事の進行に合わせて扱え、協力会社への発注のペーパーレス化や出面(労務費)の自動集計にも対応します。カスタマイズ可能な帳票作成機能(ODB機能)を備え、既存の業務フォーマットに合わせた帳票運用がしやすい点も特徴です。
料金はDXプラン・施工管理プラン・原価管理/受発注プランの3種類から機能範囲に応じて選ぶ構成で、金額は従業員数や課題に応じた個別見積もりです。仕訳・決算といった会計ソフトの機能は備えておらず、原価管理・工事台帳が中核のシステムです。
12. 建て役者(株式会社システムサポート)

株式会社システムサポートが2005年から提供する、建築・リフォーム業界に特化した工事管理システム(クラウド型)です。新規商談・見積から契約、実行予算、発注・請求・支払、工事台帳・原価管理、工程管理、アフターフォローまでを時系列で一元管理します。
見積の予定原価を実行予算へ自動転記し、請求入力と同時に工事台帳へ原価が反映される設計です。取引先(協力会社)との受発注はオプションの「電子受発注(EDI)」で電子化でき、クラウドサインやLINE WORKSとの連携も選べます。自社のワークフローへの合わせ込みを重視したカスタマイズ性を掲げています。
建築・リフォーム業で740社以上の導入実績があり、公式サイトでは過去15年平均の定着率96.1%(2020年4月実績)を訴求しています。料金は利用人数・使用頻度・環境に合わせたプランで、金額は公式に非公開のため問い合わせでの確認が必要です。
13. Anymore施工管理(Anymore株式会社)

中小規模の建設会社・住宅会社を対象にしたクラウド型の施工管理アプリで、Anymore株式会社が提供します。案件・工程・写真管理などの現場機能に加え、実行予算・見積・発注・請求といった工事台帳・原価管理に相当する機能を全17機能として備えます。
見積で設定した原価から粗利をリアルタイムに表示し、実行予算・発注・請求が連動します。現場の職人や協力会社が使い慣れたLINEから予定確認・報告・写真提出を行える点が特徴で、協力会社など外部メンバーの招待は人数にかかわらず無料です。
料金は初期費用0円、月額15,000円からで、利用人数に応じた従量課金制です。人数区分ごとの単価は資料で案内され、1か月の無料トライアルで全機能を試せます。
14. 工事台帳アシストAI(ネクスゲート株式会社)

建設業の原価管理に特化したクラウドサービスで、AIによる書類の読み取りを強みにしています。提供はネクスゲート株式会社。受領した請求書・納品書を撮影またはPDFでアップロードすると、AIが内容を読み取ってデータ化し、工事台帳への転記と原価入力を代行します。
案件(現場)ごとに原価を集計して粗利率を可視化し、経営者・工事部・経理部それぞれの原価管理業務を支援します。CSVダウンロードで既存システムと連携でき、利用するID数やパソコンの台数に制限がない点も特徴です。
料金は公式サイト上で画像として案内されており、金額は資料請求や問い合わせでの確認が必要です。請求書・納品書の入力作業を自動化したい、専門工事会社を含む建設業の原価管理に向いたサービスです。
15. アーキLink(株式会社Archi Village)

建設・工務店・リフォーム・外構/エクステリア業者に向けた、クラウド型のオールインワン業務管理ツールです(提供は株式会社Archi Village)。案件・顧客管理を起点に、見積・発注・請求などの帳票作成、原価・入金管理、工程管理、経営分析までを一つのシステムに統合します。
現場作業者がスマートフォンで行う操作を「工事日報の入力」と「施工写真のアップロード」に絞り込み、ITツールに不慣れな現場でも運用しやすい設計を掲げます。自社運営の建材データベース「建材サーチ」と連携し、見積作成時に建材カタログを参照できる点も特徴です。
料金は利用アカウント数に応じて変動する体系とみられ、金額は公式に非公開のため問い合わせでの確認が必要です。工事台帳・原価管理が中心で、仕訳・決算を行う会計ソフトの機能は備えていない点に留意してください。
16. 注文分譲クラウドDX(株式会社ダイテック)

注文住宅・分譲住宅を扱う住宅会社・ハウスメーカー・分譲事業者に向けた、基幹業務(ERP型)のクラウドシステムです。提供は株式会社ダイテック。見込み客管理・見積・契約・実行予算・電子受発注・工事原価管理・アフターフォローまでを一元管理します。
発注・支払データが工事原価台帳に自動転記され、工種別・業者別に集計して実行予算と対比できます。分譲住宅向けには、土地の原価を管理する土地台帳や、区画数・販売価格から利益を試算する事業計画機能も用意されています。
対象は注文住宅・分譲住宅の事業者に絞られており、土木・一般建築・リフォームを含む建設業全般の汎用工事台帳ソフトではない点に注意が必要です。料金は公式に非公開で、問い合わせでの確認となります。会社・データセンター全体でISO/IEC 27001を取得しています。
17. SAKIRAKU(SAKIRAKU合同会社)

中小の工事会社に向けた原価管理・作業予定SaaSで、SAKIRAKU合同会社が提供します。作業予定表に人と機械を配置すると、その配置が労務費・機械費として工事ごとの原価に自動で反映され、現場の日報入力を不要とする設計です。
材料費・外注費は伝票の到着時に手入力する運用を想定し、現場経費や法定福利費はマスターで設定した割合から自動計算します。計画と実績を同じ行で比べる予実比較や、売上・原価・粗利を見るダッシュボード、建退共の出面表・作業員名簿・請求書の自動作成にも対応します。
料金は作業予定と原価管理に絞った5 Simpleプランが月額9,800円(税別)から。初期設定費は通常49,800円で、先着30社限定の無料キャンペーンが案内されています。2026年10月に提供が紹介された新しいサービスで、導入社数は公表されていません。
インストール型・パッケージ型
自社のPCやサーバーに導入して使うインストール型・パッケージ型です。通信環境に左右されにくく、会計や原価管理の機能を据え置きでしっかり使いたい会社に向きます。
18. JSI工事台帳lite(株式会社ジャパンシステムイノベーション)

中小零細の建設工事業を主な対象とした、年額制の工事台帳作成ソフトです。ソフト本体はWindows PCにインストールして使い、入力データはデータセンターで管理するため、複数の拠点からインターネット経由で工事台帳を参照・入力できます。
会計ソフト「弥生会計」と自動連携し、総勘定元帳や未成工事支出金のデータを工事台帳へ取り込めるため、弥生会計を使う会社であれば原価データを二重入力せずに済みます。工事経歴書など、経営事項審査(経審)の添付書類として使える帳票の出力に対応している点を公式に明記しており、公共工事の申請書類づくりにも使えます。
料金は公式サイトで年額22,000円(税込)と案内されており、工事台帳の機能にしぼった低価格帯で導入できます。
19. JDL IBEX原価管理・工事台帳(株式会社日本デジタル研究所)

買い切り型で使う原価管理・工事台帳ソフトで、会計事務所向けのシステムを長年手がける株式会社日本デジタル研究所(JDL)が提供します。建設・土木の工事別原価管理に加え、製造業やサービス業のプロジェクト別原価管理にも使えます。
Windows専用のインストール型で、公式の仕様ページにはクラウド非対応・単一PC専用と明記されています。複数拠点・複数人での同時利用やリモートアクセスは想定しておらず、事務所の1台で原価管理を完結させる使い方に向きます。
自社の会計ソフト「JDL IBEX出納帳」「JDL IBEX会計」との仕訳連携や、「Web POSTBOX」を介した顧問会計事務所とのデータ連携に対応します。新規購入価格は38,000円(税抜)の買い切りで、月額課金は発生しません。
20. レッツ原価管理Go2(株式会社レッツ)

見積から実行予算、受注・発注・仕入、出面(労務)管理、支払査定、請求・入金管理までを一本の流れで扱う、建設業向けの原価管理・工事台帳ソフトです。株式会社レッツが開発・販売しています。
見積データを受注・発注・仕入・支払の各伝票へ複写する「伝票リレー機能」により、工程ごとの再入力を減らせます。工事コードは10桁+枝番2桁、工種は3階層まで登録でき、案件数が多い会社でも細かい単位で原価を集計できます。
自社サーバーに導入するパッケージ版(スタンドアロン/ネットワーク版)とクラウド版があり、機能は共通です。1996年発売の工事台帳ソフトから続く製品で、2023年8月時点で累計導入社数は5,000社を超えています。パッケージ版スタンドアロンの初期費用は660,000円(年間保守33,000円)です。
21. 工事原価Pro(株式会社アイ・ジェイ・エス)

7階層の見積を起点に、実行予算・受注・発注・仕入・支払査定・入金管理までを連動させる「見積連動型」の原価管理を特徴とする製品です。株式会社アイ・ジェイ・エスが提供し、工事ごとの原価と利益をリアルタイムに集計する工事台帳機能を中核に持ちます。
自社サーバーに導入するオンプレミス版と、サーバー不要のクラウド版「工事原価Pro for クラウド」の両方を選べます。会計機能は本体に持たず、弥生会計・PCA会計・勘定奉行クラウドといった会計ソフトと連携する前提の設計で、売上・入金・仕入・支払・完成工事振替の仕訳データを受け渡しできます。
クラウド版は1ライセンスあたり年額171,600円(税込)からで、オンプレミス版の価格は問い合わせで確認する形です。
22. どっと原価NEO(株式会社建設ドットウェブ)

建設業・土木工事業に特化した工事原価管理システムで、株式会社建設ドットウェブが提供します。実行予算管理・見積作成・発注管理・原価集計・出来高査定・支払管理などを一元化し、規模に応じてLT・ST・EXの3グレードから選べます。
汎用の会計ソフトではなく原価管理に特化した製品のため、決算・申告の会計処理は勘定奉行クラウドや弥生会計など外部の会計ソフトと連携して行う設計です。「どっと原価NEO」はオンプレミス/LAN版が中心で、クラウドで使う場合は別製品「どっと原価3」を選びます。
東京商工リサーチの調査(2025年2月調べ)で、建設業向け原価管理システムの2015年度〜2023年度 9年連続導入企業数 第1位とされ、累計導入社数は公式サイトで6,500社と案内されています。LT・LAN版の初期費用はAセットで850,000円(税別、年間保守102,000円)からです。
23. 建設大臣NX(応研株式会社)

財務会計ソフト「大蔵大臣NX」をベースに、建設業向けの原価管理・帳票機能を加えた応研株式会社の業種特化パッケージです。仕訳入力から工事台帳・工事原価帳票の作成までを一つのソフトで扱える、建設業会計一体型の製品です。
伝票入力時に現場を指定すると工事台帳が自動生成され、間接費の自動配賦や、完成工事高の計上に伴う未成工事支出金の振替伝票作成にも対応します。上位グレード(NX・NX Super)には、完成工事高や技術職員数の変化が評点にどう影響するかを試算する経営事項審査(経審)のシミュレーション機能を備えます。
経審対応や出面管理を含まない会計編、支払査定まで行えるNX Superなど、必要な機能に応じて3グレードから選べます。オンプレミスのパッケージが基本で、買い切りの参考価格は792,000円〜1,716,000円(税込、グレード・ライセンス形態により変動)です。別途、年間保守サービスDMSSへの加入が必要です。
24. スイート建設会計(株式会社フォーラムエイト)

株式会社フォーラムエイトが、無料会計クラウド「円簿」の開発元との協業で建設業向けに開発した会計ソフトです。建設業特有の勘定科目に対応し、工事ごとの仕訳・原価集計から工事台帳の作成、財務諸表の作成までを行えます。
工事完成基準と工事進行基準のどちらでも工事収益を計上でき、間接工事費の配賦や完成振替の仕訳も自動化できます。
姉妹製品「スイート給与計算-出面管理-」と連携すると、現場の出退勤データから労務費を工事別の直接費として計上できます(日報はスマートフォンから入力できます)。同社の設計・積算ソフト「UC-1 Engineer’s Suite積算」ともデータ連携でき、設計から会計までを同じベンダーのなかでつなげられます。
25. Galileopt DX 工事大将(株式会社ミロク情報サービス)

中堅企業向けERP「Galileopt DX」を構成する、建設業向けの工事原価管理モジュールです。株式会社ミロク情報サービスが提供し、ERP全体では年商50億〜500億円規模の中堅企業を主な対象としています。
工事完成基準・工事進行基準・部分完成基準に加え、企業会計基準第29号の原価回収基準まで対応し、工事ごとに収益計上の方法を選べます。材料費・労務費・外注費など原価の種別ごとに入力画面を切り替えられるほか、安全協力会費のような建設業特有の支払処理もパターン登録で自動計算できます。
受注申請をワークフロー上で承認すると工事マスターが自動登録され、二重入力を避けられます。会計モジュール「財務大将」やワークフローと同じ基盤で動くため、原価管理から会計処理までをひとつのERPのなかで運用したい中堅企業に向きます。料金は個別見積もりで、公式には初期費用・月額とも要問い合わせです。
工事台帳システムの料金相場(初期・月額の目安)
工事台帳システムの料金は、大きく3つの価格帯に分かれます。本記事で紹介する製品の公開料金をもとに、桁感の目安を整理します。実際の金額は利用人数・オプション・契約期間で変わるため、最終的には各社の見積もりで確認してください。
- クラウド型の専用製品(低価格帯):月額5,000円前後から始められるものが多く、一人親方〜小規模の建設会社が導入しやすい価格帯です。
- 会計ソフトの建設業対応(中価格帯):建設業会計まで含むぶん月額1〜2万円台が目安で、会計・決算・経審までを一体で回したい中小〜中堅向けです。
- インストール型・パッケージ型(買い切り):数万円の低価格帯から、建設業会計一体の上位製品では百万円超(例として本記事で紹介する製品では最大1,716,000円)まで幅があります。
「できるだけ安く始めたい」ならクラウド型の専用製品、「会計・経審まで一体化したい」なら会計ソフトの建設業対応やインストール型の会計一体製品、という順で候補を絞ると選びやすくなります。各製品の具体的な金額は上の比較表と個別紹介に記載しています。
クラウド型は、初期費用を抑えて始められ、月額は基本料金に利用人数分を加える形が一般的です。小規模向けのプランは月額数千円から、中規模以上で原価管理や会計連携まで使うと月額数万円という幅で分布します。無料トライアルや、一定期間の無料利用を用意する製品も多く、まず試してから本契約に進めます。
インストール型・パッケージ型は、ソフトウェアの購入費用と年間の保守費用が中心です。初期の導入費用はクラウド型より大きくなりやすいものの、長期間使う前提では一人あたりのコストを抑えやすい傾向があります。会計・原価管理を社内で据え置き運用する中堅規模では、こちらが選ばれることもあります。いずれのタイプも、金額だけでなく、削減できる集計作業の時間や粗利改善の効果と見合うかで判断してください。
工事台帳システムを導入するメリット
工事台帳システムを導入すると、原価管理の負担が減るだけでなく、経営判断や社内の情報共有にも効果が及びます。ここでは主なメリットを3つに分けて整理します。
原価・利益をリアルタイムに可視化し粗利を改善できる
工事ごとに実行予算と実際原価を突き合わせられるため、赤字になりそうな現場を早い段階で把握できます。月次の締めを待たずに粗利の見通しが立つので、追加の原価がかさむ前に手を打てます。複数現場の収支を一覧で見渡せると、どの工事種別や取引先が利益に貢献しているかも見えてきて、受注の判断材料になります。
帳票作成・請求業務を効率化できる(経審帳票の出力を含む)
見積・発注・請求のデータが工事台帳とつながることで、転記や二重入力が減り、請求漏れや計算ミスを防げます。工事経歴書や建設業会計の帳票を台帳のデータから出力できる製品なら、経審や許可更新の書類づくりにかかる時間も短縮できます。これまで決算期に手作業で作り直していた資料を、システムからそのまま出せるようになるのは大きな効果です。
属人化を解消し現場・事務所で情報を共有できる
台帳の様式と入力ルールがシステムで統一されるため、担当者が代わっても同じ基準で管理を続けられます。現場からスマートフォンで入力した原価や日報が事務所にそのまま届くので、現場と事務所の情報のずれがなくなります。データが一元化されることで、担当者しか分からないという属人化が解消され、事業承継や引き継ぎのリスクも下げられます。
導入前に押さえる注意点(失敗を避けるためのチェック)
工事台帳システムは導入すれば自動で効果が出るわけではありません。導入後に後悔しないために、次の4点を事前に確認しておきましょう。
初期・ランニングコストと費用対効果が見合うか
月額や保守費用は、利用人数やオプションで積み上がります。削減できる作業時間や、粗利改善につながる効果と見合うかを、導入前に試算しておくと稟議も通しやすくなります。安さだけで選ぶと、必要な機能が足りず結局Excelに戻ってしまうこともあるため、費用と機能のバランスで判断してください。
自社の工事業種・工法への適合性があるか
一口に建設業といっても、総合建設、専門工事、リフォーム、設備工事では、原価の付け方や管理したい単位が異なります。製品によって得意な業種・工法があるため、自社の工事の進め方に合う粒度で原価や実行予算を管理できるかを確認しましょう。導入事例や無料トライアルで、自社に近い使い方ができるかを確かめるのが確実です。
既存データ(Excel・旧システム)を移行できるか
これまでExcelや旧システムで管理してきた取引先・工事・原価のデータを、新しいシステムにどう移すかは見落としがちなポイントです。取り込み用のテンプレートがあるか、過去の工事データをどこまで持ち込めるか、移行の支援を受けられるかを事前に確認しておくと、切り替え時の負担を抑えられます。
現場担当者のITリテラシーと定着のしやすさはどうか
どれだけ高機能でも、現場で使われなければ効果は出ません。現場担当者が普段スマートフォンでできる範囲の操作で入力できるか、導入後のサポートや講習が用意されているかを確認することが重要です。最初から全機能を使おうとせず、まずは原価入力など一部の業務から小さく始めて、現場に無理なく定着させる進め方が現実的です。
導入の流れと現場に定着させるコツ
工事台帳システムは、申し込んで終わりではなく、現場に定着して初めて効果が出ます。導入から定着までの流れと、つまずきやすいポイントを押さえておきましょう。
導入までのステップ(問い合わせ〜トライアル〜本稼働)
一般的には、資料請求や問い合わせで候補を絞り、無料トライアルで現場担当者と一緒に使い勝手を確かめ、料金と機能に納得したうえで本契約に進みます。トライアルの段階で、自社の代表的な工事を1件登録してみて、見積から原価入力、工事台帳の出力までが無理なく回るかを試すと、導入後のギャップを減らせます。
Excel・旧システムからのデータ移行の勘所
データ移行は、取引先マスタと工事の基本情報から始めると進めやすくなります。過去の全工事を移そうとすると負担が大きいため、進行中の工事と直近の完成工事に絞り、過去分は参照用に残す、といった線引きをしておくと切り替えがスムーズです。提供会社に移行支援があれば、取り込み用のテンプレートや手順の案内を受けながら進めると安心です。
現場に定着させるオンボーディングのコツ
定着のこつは、現場の負担を増やさない形で始めることです。最初は原価入力や写真の記録など、現場にメリットが伝わりやすい機能から使い始め、慣れてきたら実行予算や日報へ広げていきます。入力ルールを簡単なマニュアルにまとめ、分からないときの問い合わせ先を決めておくと、現場が迷わず使い続けられます。提供会社の講習やサポートも活用して、立ち上げの時期を乗り切りましょう。
まとめ|自社に合う工事台帳システムを選ぶために
工事台帳システムは、提供会社ごとに得意な工事規模・経審対応・会計連携・料金が異なります。選ぶときは、提供形態(クラウド型かインストール型か)、経審や建設業会計の帳票を出せるか、自社の工事規模・体制に合うか、現場で使える操作性か、会計ソフトと連携できるか、という軸で比べるのが近道です。
工事台帳だけを効率化したいなら専用製品、会計・決算・経審まで一体で回したいなら会計ソフトの建設業対応、と自社の状況に合わせて入り口を選びましょう。本記事の比較表と診断ツール、各社の資料を活用して、自社に合う一本を見つけてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 工事台帳システムとは何ですか?
A. 工事台帳システムとは、工事(現場)ごとに契約金額・実行予算・原価(材料費・労務費・外注費・経費)を記録し、工事単位の収支と粗利を集計するためのシステムです。Excelや紙で行っていた工事別の原価管理をデジタル化し、見積・発注・請求・会計と連動させて採算をリアルタイムに可視化します。経営事項審査(経審)や決算で使う帳票づくりの土台としても使われます。
Q. 工事台帳システムの料金相場はどのくらいですか?
A. 工事台帳システムの料金相場は、クラウド型が月額数千円〜数万円、インストール型はソフトの購入費用に年間保守費用を加えた形が中心です。クラウド型は初期費用を抑えて始めやすく、利用人数やオプションで月額が変わります。
インストール型は初期の導入費用が大きくなりやすい一方、長く使うほど一人あたりのコストを抑えやすい傾向があります。実際の金額は人数・機能範囲・契約期間で変わるため、最終的には各社の見積もりで確認してください。
Q. 無料で使える工事台帳システムはありますか?
A. 継続的に無料で使える工事台帳システムは限られますが、多くの製品が一定期間の無料トライアルや無料体験を用意しています。コストをかけずに始めたいなら、Excelの無料テンプレートで自作する方法もありますが、工事件数が増えると様式の属人化や集計の手間といった課題が出やすくなります。まずは無料トライアルで操作性を確かめ、有料でも作業削減や粗利改善の効果に見合うかで判断するのが現実的です。
Q. 工事台帳システムはクラウド型とインストール型のどちらを選ぶべきですか?
A. 工事台帳システムは、現場や外出先からも入力したいならクラウド型、社内の事務所で据え置き運用したいならインストール型が向きます。クラウド型はインターネット経由でどこからでも使え、月額課金で始めやすいのが特徴です。
インストール型は通信環境に左右されにくく運用コストを抑えやすい反面、外出先からの操作には弱い傾向があります。複数現場で職人や協力会社も入力するならクラウド型、経理担当者が集中して入力するならインストール型、と運用体制で選ぶと迷いにくくなります。
Q. 工事台帳システムとExcelでの管理は何が違いますか?
A. 工事台帳システムは、Excel管理で起きがちな様式の属人化・手作業の集計・現場との共有の遅れを解消できる点が違います。Excelは手軽に始められる一方、工事件数や関係者が増えると、担当者ごとに様式がばらつき、月次で工事別の粗利を出すのに時間がかかります。システムなら入力ルールが統一され、現場から入力した原価や日報がそのまま集計され、経審や決算で使う帳票も台帳のデータから出力できます。
Q. 経営事項審査(経審)に対応した工事台帳システムはどれですか?
A. 会計ソフトの建設業対応(勘定奉行クラウド建設業編やPCAクラウド建設業会計など)や、一部の専用製品が経審関連の帳票出力に対応しています。工事別の完成工事高・原価を正確に積み上げ、工事経歴書や建設業会計の財務諸表を出力できると、経審や建設業許可の更新で提出する書類の裏付けを揃えやすくなります。
製品ごとに対応範囲や様式が異なるため、公共工事の受注を視野に入れるなら、どの書類まで出せるかを資料や問い合わせで確認してください。
Q. 工事台帳システムは会計ソフトと連携できますか?
A. 多くの工事台帳システムは会計ソフトと連携でき、工事台帳で把握した原価データを会計処理へ渡せます。freee会計・マネーフォワード・弥生会計などと連携できる製品があり、仕訳の二重入力や転記ミスを減らせます。
会計・決算・経審まで同じデータで一体化して回したい場合は、工事別原価管理を備えた会計ソフトの建設業対応を選ぶ方法もあります。自社の会計処理を誰がどこまで担うかで、専用製品+会計連携にするか、会計ソフト一体型にするかを選ぶとよいでしょう。
Q. Excelや旧システムで作った工事台帳のデータは移行できますか?
A. 取り込み用のテンプレートや移行支援を用意している製品が多く、取引先マスタや工事の基本情報から移行できます。ただし過去の全工事を移そうとすると負担が大きいため、進行中の工事と直近の完成工事に絞り、過去分は参照用に残すといった線引きが現実的です。移行できる範囲や支援の有無は製品によって異なるため、契約前に確認しておくと切り替え時の負担を抑えられます。
Q. 一人親方や小規模の建設業でも工事台帳システムは使えますか?
A. 一人親方や数名規模でも使え、入力が簡単で低価格のクラウド型が向いています。月額数千円から始められ、一定人数分を含む定額プランや、必要な機能範囲だけを選んで導入できる製品もあります。多機能すぎる製品は使いこなせずコストだけがかかることもあるため、現在の工事件数と担当者数、数年先の体制を見据えて、過不足のない規模感の製品を選ぶのが失敗を避けるこつです。
Q. 工事台帳の作成は法律で義務づけられていますか?
A. 工事台帳そのものに法律上の作成義務はありません。作成が義務づけられているのは、下請の施工体制を示す「施工体制台帳」など別の法定台帳です。工事台帳は、経営事項審査で提出する工事経歴書や、建設業会計の完成工事高・完成工事原価を裏付ける社内の管理資料として使われます。義務ではないものの、工事ごとの採算管理と、経審・決算で使う書類づくりの両面で役立つ台帳だと捉えると役割を掴みやすくなります。
Q. 工事台帳システムはインボイス制度や電子帳簿保存法に対応していますか?
A. 対応状況は製品によって異なるため、個別の確認が必要です。インボイス制度では2023年10月以降、仕入税額控除を受けるために適格請求書(インボイス)の保存が求められ、電子帳簿保存法では電子取引でやり取りした請求書・領収書などのデータを電子のまま保存する必要があります。
工事台帳システムの中には、請求書の発行・保存や受領データの管理を支援する製品もあります。自社の経理フローでどこまで対応できるかは、各社の資料や問い合わせで確かめてください。
電子帳簿保存法で何をどこまで電子で保存すればよいのか、自社の対応をこれから整えるなら、要件とメリット・注意点を次の記事で整理しています。
工事台帳システム・建設業向け会計ソフトの料金・資料を一括チェック
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















