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契約書は覚書で変更できる?変更契約書との違い・書き方・収入印紙まで解説

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取引先と結んだ契約の一部だけを変えたいとき、「覚書」という書面で対応できると聞いたことがある方は多いはずです。報酬額の改定、契約期間の延長、業務範囲の追加など、原契約を丸ごと作り直すほどではない変更は実務で頻繁に発生します。

ただし、覚書で変更して本当に有効なのか、変更契約書と何が違うのか、どう書けば後からもめないのか、収入印紙は必要なのかといった疑問は尽きません。書き方を誤ると、変更した内容が原契約と紐づかず、効力や解釈をめぐるトラブルの原因になります。

本記事では、変更覚書の法的な位置づけから、変更契約書との使い分け、そのまま使える書式例、収入印紙の要否と金額、効力発生日・遡及適用の注意点までを整理します。自社の契約変更を正しい形で書面に残すための判断材料としてご活用ください。

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覚書で契約変更できる?効力は契約書と同じ

結論から言えば、覚書で契約内容を変更することは有効です。「覚書」という表題だからといって、「契約書」より法的な効力が弱くなることはありません。覚書は、契約書の一種として扱われます。

契約は、当事者が合意した時点で成立します。民法は、契約の成立に特別な方式を求めていません。

契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

出典:民法 第522条第2項|e-Gov法令検索

契約が当事者の合意で成立し、書面の形式を問わないのであれば、変更の合意を書き残す書面の表題が「覚書」か「変更契約書」かで効力が変わる理由はありません。当事者を拘束する力は、書面の名前ではなく、そこに表された合意そのものから生じます。

覚書とは=契約内容を書き残す契約書の一種

覚書とは、当事者間の合意事項を書き残す書面の呼び方の一つです。新しく取り決めを追加する場面、未定だった事項を補充する場面、そして締結済みの契約内容を変更する場面などで使われます。本記事で扱う「変更覚書」は、このうち既存の契約内容を一部変更するために作成する覚書を指します。

覚書で定めた変更内容は、その変更部分について原契約と同じ効力を持ちます。たとえば業務委託契約の報酬額を覚書で変更すれば、変更後はその金額が当事者を拘束します。「念書」「合意書」など別の表題でも、合意の内容を書き残す書面であれば、同様に契約としての効力を持ちます。

覚書と変更契約書の違いと使い分け

ここでは、覚書と変更契約書のどちらで対応すべきかの判断軸を整理します。前述のとおり両者に効力の差はないため、違いは「書面としての作り方」と「扱いやすさ」にあります。

変更契約書は、変更後の内容を条項として書き起こす書面です。一方の覚書は、「原契約の第○条をこう変える」という変更点だけを簡潔に書き残す書面として使われることが多く、原契約の大部分をそのまま残したまま一部を修正するのに向いています。

使い分けの基本は、変更が局所的か広範囲かです。報酬額や契約期間など限られた条項の変更であれば覚書が簡便で、原契約との対応関係も追いやすくなります。変更する条項が多岐にわたる、あるいは契約の骨格に関わる重要条項を大きく組み替えるような場合は、変更契約書として全体を書き直すか、新たに契約書を結び直すほうが、後から読む人にとって分かりやすくなります。

判断に迷うときは、次の点を目安にすると整理しやすくなります。変更が少数の条項にとどまるか、そして賠償や解除など紛争に直結する重要条項に触れないか。これらに当てはまるほど覚書で足り、外れるほど変更契約書が適します。

また、誤字の訂正や住所表記の修正など、契約内容に実質的な変更がない軽微な修正であれば、訂正印による対応で済む場合もあります。金額・期間・業務範囲・支払条件といった契約の中身を変えるときは、訂正印ではなく覚書や変更契約書として書面に残すのが安全です。

変更の範囲の大きさで使い分ける書面を示した図。軽微な修正(誤字・住所表記など実質的な変更がないもの)は訂正印、報酬額や契約期間など少数の条項の局所的な変更は覚書、多数の条項や契約の骨格を組み替える広範囲な変更は変更契約書、と対応させている。

変更覚書の書き方と書式例(コピペ可・シーン別)

ここからは、変更覚書に書くべき事項と、そのまま自社の契約名・金額に差し替えて使える書式例を紹介します。

変更覚書に記載すべき事項

変更覚書に盛り込む要素は、次のとおりです。それぞれ「なぜ必要か」とあわせて押さえておくと、抜け漏れを防げます。

  • 原契約の特定:当事者名・契約締結日・契約書名(必要に応じて契約番号)を記載します。これがないと、どの契約を変更する覚書なのかが特定できず、原契約と紐づきません。
  • 変更条項:「原契約第○条を次のとおり変更する」と、対象の条番号と変更後の内容を明記します。変更前・変更後を併記すると、何がどう変わったかが一目で分かります。
  • 効力発生日:変更をいつから適用するかを記載します。締結日とは別に定められるため、明記しておくと適用開始時期の認識齟齬を防げます。
  • 原契約の存続:「本覚書に定めのない事項は原契約の定めに従う」と記載し、変更しない部分は原契約がそのまま有効であることを示します。
  • 署名押印:当事者双方が記名押印し、各自1通ずつ保有します。合意の成立を証する部分です。

書式例(シーン別)

変更内容に応じて、2つの型を使い分けると書きやすくなります。1つは報酬・期間など単一の条項を変える単純変更型、もう1つは変更箇所が複数ある場合の新旧対照表型です。効力をさかのぼらせる遡及適用型の書き方は、効力発生日と遡及適用の注意で解説します。

単純変更型(業務委託の報酬額を変更する例)

覚書

○○株式会社(以下「甲」という)と△△株式会社(以下「乙」という)は、甲乙間で2024年4月1日に締結した業務委託契約書(以下「原契約」という)について、次のとおり変更することに合意し、本覚書を作成する。

第1条(委託料の変更)
原契約第3条に定める委託料「月額300,000円(消費税別)」を「月額350,000円(消費税別)」に変更する。

第2条(効力発生日)
前条の変更は、2026年11月1日以降の業務から適用する。

第3条(原契約の適用)
本覚書に定めのない事項については、原契約の定めに従うものとする。

本覚書の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ、各1通を保有する。

2026年○月○日
甲 (住所・会社名・代表者名・押印)
乙 (住所・会社名・代表者名・押印)

新旧対照表型(変更箇所が複数ある場合)

変更する条項が複数にわたるときは、覚書の本文で「別紙新旧対照表のとおり変更する」と定め、変更前後を別紙の表で並べると漏れなく伝えられます。覚書本体は、単純変更型と同じ枠のまま、第1条を別紙参照に差し替えれば使えます。

覚書

○○株式会社(以下「甲」という)と△△株式会社(以下「乙」という)は、甲乙間で2024年4月1日に締結した業務委託契約書(以下「原契約」という)について、次のとおり変更することに合意し、本覚書を作成する。

第1条(変更内容)
原契約の各条項を、別紙新旧対照表のとおり変更する。

第2条(効力発生日)
前条の変更は、2026年11月1日から適用する。

第3条(原契約の適用)
本覚書に定めのない事項については、原契約の定めに従うものとする。

本覚書の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ、各1通を保有する。

2026年○月○日
甲 (住所・会社名・代表者名・押印)
乙 (住所・会社名・代表者名・押印)

別紙の新旧対照表は、次のように変更前後を並べ、変更しない条項は「変更なし」、削除する条項は「削除」と明示します。

原契約(変更前)変更後
第3条(委託料)月額300,000円第3条(委託料)月額350,000円
第5条(契約期間)2024年4月1日から1年間第5条(契約期間)2024年4月1日から2年間
第8条(再委託)記載あり削除
第3条・第5条・第8条以外変更なし

作成時の注意点(書面化の落とし穴)

記載事項をそろえたうえで、書面化の段階で見落としがちな点を押さえておきます。

まず、変更内容は相手方と事前にすり合わせ、双方の認識が一致した状態で書面に落とします。口頭で合意した金額や時期が覚書と食い違うと、後から解釈をめぐって対立しかねません。次に、原契約の扱いを明記しておくことも欠かせません。「本覚書に定めのない事項は原契約による」の一文を欠くと、変更しなかった部分の効力が曖昧になります。

加えて、同じ契約を何度も変更する可能性があるなら、原契約の時点で「本契約の変更は書面による」といった変更条項を定めておくと、将来の変更手続きが整理しやすくなります。

署名押印と権限者

覚書に記名押印するのは、その変更について合意する権限を持つ人です。原契約に押印した担当者と同一人物である必要はなく、変更時点でその契約を所管し、合意する権限を持つ役職者が署名押印すれば足ります。押す印鑑も、実印や印鑑証明書が必須というわけではなく、通常は原契約と同じ方法(会社の記名押印など)で差し支えありません。

作成した覚書は、原契約とひも付けて同じ場所に保管します。原契約と覚書が別々に保管されると、現在有効な契約内容を確認する際に片方を見落とし、変更前の条件で業務を進めてしまうおそれがあります。

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変更覚書に収入印紙は必要?要否と金額

変更覚書でとくに判断に迷いやすいのが、収入印紙の要否と金額です。ここは文書の表題ではなく、変更する内容で決まります。

印紙が必要になるケース(原契約が課税文書×重要な事項の変更)

覚書に印紙が必要かどうかは、「原契約が収入印紙を要する課税文書か」と「その覚書が原契約の重要な事項を変更しているか」で判定します。国税庁は、覚書・念書などの表題で原契約の内容を変更する文書について、次のように説明しています。

「覚書」や「念書」等の表題を用いて、原契約書の内容を変更する文書を作成する場合がありますが、これらの文書(以下「変更契約書」といいます。)が課税文書に該当するかどうかは、その変更契約書に「重要な事項」が含まれているかどうかにより判定することとされています。

出典:No.7127 契約内容を変更する文書|国税庁

引用にあるとおり、国税庁は表題が覚書でも、原契約を変更するこれらの文書をまとめて「変更契約書」と呼んでいます。本記事でいう変更覚書も、この判定の対象に含まれます。

ここでいう「重要な事項」は、文書の区分ごとに定められています。不動産の譲渡・請負などの第1号・第2号文書では、次の10項目が重要な事項とされ、このいずれかを変更する覚書は課税文書になります。自社の変更がどれかに当たるかを、1つずつ照らし合わせて確認してください。

  • 目的物の内容
  • 目的物の引渡方法又は引渡期日
  • 契約金額
  • 取扱数量
  • 単価
  • 契約金額の支払方法又は支払期日
  • 割戻金等の計算方法又は支払方法
  • 契約期間
  • 契約に付される停止条件又は解除条件
  • 債務不履行の場合の損害賠償の方法

逆に、これらに当たらない事項だけを変更する覚書は、課税文書に該当せず印紙は不要です。

出典・参考資料(1件)
変更覚書に収入印紙が必要かを2つの関門で判定する図。関門1は原契約が課税文書か(不動産譲渡・請負の第1・2号、継続的取引の基本契約の第7号など。委任・準委任や物品の単発売買は原則非課税)、関門2は契約金額や契約期間などの重要な事項を変更するか。いずれかがいいえなら印紙は不要、両方はいなら印紙が必要で、金額は原契約の文書区分と増額・減額で決まる。

金額の決まり方(増額・減額・変更後のみ記載)

契約金額を変更する覚書で印紙が必要な場合、いくらの印紙を貼るかは、増額か減額かで扱いが分かれます。原契約(変更前の契約金額を記載した契約書)が作成されていることが明らかな場合、国税庁は次のように定めています。

イ 変更金額が変更前の契約金額を増加させるものであるときは、その増加金額が記載金額になります。
ロ 変更金額が変更前の契約金額を減少させるものであるときは、その変更契約書の記載金額はないものとなります。

出典:No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額|国税庁

たとえば当初90万円の委託料を110万円に増額する覚書は、増加分の20万円が記載金額になります。逆に90万円を70万円に減額する覚書は、「記載金額のない文書」として扱われます。変更後の金額だけを記載し増減が明らかでないときは、その変更後の金額が記載金額になります。この扱いは、覚書が原契約を特定して作成されていることを前提としています。

「記載金額のない文書」になったときの印紙額は、原契約の文書区分で変わります。原契約が不動産売買契約書などの第1号文書、請負契約書などの第2号文書であれば、記載金額のない文書は200円です。一方、原契約が業務委託基本契約など継続的取引の基本となる第7号文書に当たる場合は、記載金額の有無にかかわらず一律4,000円で、減額の覚書でも200円にはなりません。

自社の原契約がどの文書区分かは、契約の性質で見分けます。不動産の売買は第1号文書、工事やシステム開発などの請負は第2号文書、継続的な取引の基本を定める業務委託基本契約や売買基本契約は第7号文書です。

動産(物品)の単発の売買契約書や、相談対応・事務処理の委任・準委任のように仕事の完成を約束しない契約は、原則として課税文書に当たりません。判断に迷うときは、原契約に実際に貼られている印紙の有無や額から、文書区分の見当をつけられます。

これを整理すると、印紙が必要な場合の金額は次のようになります。

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原契約の文書区分第1号文書(不動産の譲渡など)・第2号文書(請負など)第7号文書(継続的取引の基本契約。業務委託基本契約など)委任・準委任など課税対象外の契約
増額する覚書増加額を記載金額として、印紙税額表に当てはめて判定一律4,000円不要
減額・金額の記載がない覚書200円一律4,000円不要

※原契約が課税文書で、かつ「重要な事項」を変更する覚書を紙で作成する場合の金額です。第1号・第2号文書の増額は、増加額に応じた印紙税額が印紙税額表で定められています。

たとえば本記事の書式例で挙げた、月額の委託料を変更する覚書を考えてみます。継続的な業務委託の基本契約(第7号文書)を変更するものであれば、増額でも減額でも印紙は一律4,000円です。一方、工事やシステム開発の請負契約(第2号文書)のように金額を定めた契約を増額する覚書なら、増加額を記載金額として印紙税額表に当てはめ、税額を求めることになります。

出典・参考資料(2件)

誰が貼る?貼り忘れたときの過怠税と、電子契約での扱い

紙の覚書で印紙が必要な場合、覚書を2者で共同して作成したときは、その2者が連帯して印紙税を納める義務を負います。どちらが貼るか・負担するかは当事者間の取り決めによりますが、納税義務そのものは双方にある点を押さえておきます。

出典・参考資料(1件)

印紙を貼り忘れても、契約変更そのものの効力が否定されるわけではありません。印紙の貼付は印紙税の問題であり、当事者の合意によって成立する契約の効力とは別の話だからです。ただし、紙の課税文書に印紙を貼らなかった場合は、過怠税の対象になります。

その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、すなわち当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになります。

出典:No.7131 印紙税を納めなかったとき|国税庁

ただし、自主的に不納付を申し出て、調査による決定を予知してされたものでないときは、1.1倍に軽減されます。また、印紙を貼っても所定の方法で消印しなかった場合は、消印されていない印紙の額面に相当する過怠税が徴収されます。過怠税の根拠は印紙税法第20条に定められています。

出典・参考資料(1件)

一方、印紙税は紙の課税文書を作成したことに対して課される税金です。覚書を電子データだけで締結し、紙の文書を作成しないのであれば、課税対象となる「文書」が存在しないため、収入印紙は不要になります。印紙税法も、課税文書の作成者に納税義務を課す仕組みをとっています。

契約のたびに生じる印紙税や、印刷・製本・郵送の手間そのものを見直したい場合は、紙を作らない電子契約への切り替えも選択肢になります。サービスごとの料金やタイプ別の選び方は、次の記事で比較しています。

効力発生日と遡及適用の注意

覚書は、いつから変更が効くのかを明確にしておくことが重要です。あわせて、合意していても一方的な減額が認められない場合がある点にも注意が必要です。

効力発生日・遡及適用の書き方と記載例

覚書を取り交わした日(締結日)と、変更内容を適用する日(効力発生日)は、必ずしも同じではありません。たとえば月初から新しい報酬額を適用したいのに、覚書の締結が月の半ばになることもあります。そのため、効力発生日は独立の条項で明記し、締結日と区別しておくと安全です。

過去にさかのぼって適用する遡及適用も、条項で明示すれば可能です。たとえば次のように記載します。

第○条(効力発生日)
前条の変更は、2026年10月1日にさかのぼって適用する。

ただし、遡及適用は当事者双方が合意していることが前提です。さかのぼる期間が長いほど、その間に行われた取引や支払いとの整合をどう扱うかを覚書の中で取り決めておかないと、精算をめぐる混乱を招きます。

合意しても一方的な減額が許されない場合(取適法・フリーランス法)

報酬や代金を引き下げる変更では、当事者が合意していても法律上認められない場合があります。とくに、発注済みの代金を後から減らす遡及的な減額には注意が必要です。

一定の委託取引には、取適法(旧・下請法。2026年(令和8年)1月1日施行の改正により「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」へ名称変更)が適用されます。対象となる取引では、委託側に次の行為が禁じられています。

三 中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、製造委託等代金の額を減ずること。

出典:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 第5条第1項第3号|e-Gov法令検索

重要なのは、相手方の了解を得ていても違反になり得る点です。公正取引委員会は、委託側が中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに発注後に代金を減額すると取適法違反になる、と説明しています。そのうえで、たとえ相手方の了解を得ていても、また違法性の意識がなくても規定に触れる、としています。発注済み分への単価引き下げを後から遡って適用するような減額は、合意があっても認められないことがあります。

出典・参考資料(2件)

また、従業員を使う発注者がフリーランス(特定受託事業者)に継続的な業務委託をする場合も、フリーランス法により、受託者の責めに帰すべき事由がないのに報酬を減額することが禁じられています。報酬を下げる覚書を作る前に、自社の取引がこれらの規制の対象になるかを確認しておくと安心です。

ここで触れた取適法(旧・下請法)は2026年1月の改正で名称や適用対象が見直されています。自社の取引が規制の対象に当たるかを条文ベースで確かめたい場合は、改正の要点を整理した次の記事が参考になります。

変更覚書の作成・レビューを支援するサービス

変更覚書は、ここまでの書式例を使えば自力でも作成できます。一方で、変更する条項が多い、原契約が複雑で他の条項との矛盾が心配、自社に不利な変更が紛れていないか不安、といったケースでは、ツールの力を借りて原契約と突き合わせておくと安心です。

変更条項が原契約の他の条項と矛盾していないか、必要な条項が抜けていないかを突き合わせる作業を効率化するために、AIによる契約書レビューや新旧対照表の作成を支援するサービスがあります。以下に、変更覚書の作成と原契約との突き合わせに使えるサービスを紹介します。

以下はご紹介するサービスの比較表です。

← 横にスクロールできます →
サービス名CLOUD LEGALLAWGUEOLGALegalOn Cloud
提供形態クラウド(AI×弁護士の法務BPaaS)クラウド(文書作成・レビューのAIワークスペース)クラウド(法務オートメーション)クラウド(AI法務プラットフォーム)
AI契約書レビュー●不利な条文・欠落条項を検出(Word完結)●自社ナレッジ型・不足条項の提案●リスク箇所を自動検出・修正案提示●弁護士監修AIがリスク・体裁を審査
新旧対照表・差分比較×公式に記載なし◎新旧対照表をWord出力●Word/PDFの差分抽出●締結前に文書比較が可能
弁護士監修ひな形・契約書作成◎弁護士監修ひな形+作成代行●自社テンプレートで作成支援●弁護士監修ひな型を多数搭載◎弁護士監修ひな形1,500点以上
料金(初期/月額)初期0円/月額11,000円〜(税込)要問い合わせ(個別見積もり)中小企業向けは初期10万円(初年度のみ)・月額1万円〜(税別)/標準は要問い合わせ要問い合わせ(モジュール選択型)
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約オンライン相談を予約サービス詳細を見る

※上記は2026年10月時点の各社公式情報をもとに作成しています。料金・機能・対応範囲は変更される場合があるため、最新の内容は各サービスの公式情報をご確認ください。

CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)のウェブサイト

MOLTON株式会社が提供するCLOUD LEGAL(クラウドリーガル)は、生成AIと弁護士の体制を組み合わせた法務アウトソーシングサービスです。契約書の作成・レビューから法務・労務・税務の相談までを、オンライン上でまとめて依頼できます。

普段使うMicrosoft Word上で契約書レビューを完結できるAIエディターを備え、弁護士監修のひな形や契約書作成にも対応します。変更覚書の文面づくりと、原契約との整合確認を支援できる構成です。月額11,000円(税込)から利用でき、初期費用は無料。社内に法務の専任者を置いていない企業や、顧問弁護士のコストを抑えたい企業が主な対象です(2026年10月時点)。

2. LAWGUE(FRAIM株式会社)

LAWGUE(ローグ)のウェブサイト

契約書や社内規程などの文書を、作成・編集・レビューまで一つのクラウド上で扱えるのが、FRAIM株式会社のLAWGUE(ローグ)です。公式には「クラウド ドキュメント ワークスペース」と位置づけられています。

編集履歴の自動蓄積や新旧バージョンの差分可視化、新旧対照表のWord出力に対応しており、変更覚書で用いる新旧対照表の作成と相性がよい点が特徴です。自社の過去文書を学習源としたレビューや類似条項検索、不足条項の提案も備えます。料金は利用人数や要件に応じた個別見積もり方式です。企業の法務・総務部門のほか、法律事務所や自治体まで幅広く導入されています(2026年10月時点)。

3. 法務オートメーション「OLGA」(GVA TECH株式会社)

法務オートメーション「OLGA」のウェブサイト

GVA TECH株式会社のOLGA(オルガ)は、法務案件の受付からレビュー、締結後の契約管理までを一つにまとめた法務プラットフォームです。AI契約レビューのモジュールと文書比較機能を備え、変更覚書の内容確認や原契約との突き合わせに活用できます。

事業部門はメール・Slack・Teamsなど普段のツールのまま法務部へ依頼でき、やりとりや契約書のバージョンが案件単位で蓄積されます。2026年7月には、初期費用10万円(税別・初年度のみ)・月額1万円(税別)からの中小企業向け契約管理プランも新設されました。標準プランは機能ごとの個別見積もり方式です(2026年10月時点)。

4. LegalOn Cloud(株式会社LegalOn Technologies)

LegalOn Cloudのウェブサイト

株式会社LegalOn TechnologiesのLegalOn Cloudは、契約審査から契約管理までを同じ基盤で扱うAI法務プラットフォームです。AI契約審査「LegalForce」と契約管理「LegalForceキャビネ」で培った技術を統合し、締結前のレビューから締結後の管理までを一体で運用できます。

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ここで取り上げた4サービスは、変更覚書の作成と原契約との突き合わせに使える機能を中心に紹介したものです。契約書レビューサービスそのものを、選び方や機能の違いまで含めて広く比較検討したい場合は、カテゴリ全体をまとめた次の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

覚書は、契約書の一種として、締結済みの契約内容を有効に変更できる書面です。表題が「覚書」でも「変更契約書」でも効力に差はなく、局所的な変更なら覚書、広範囲なら変更契約書、と使い分けると実務で扱いやすくなります。

書面には、原契約の特定・変更条項・効力発生日・原契約の存続・署名押印を盛り込みます。収入印紙は「原契約が課税文書か」「重要な事項を変更するか」で要否が決まり、金額は増額なら増加額、減額なら記載金額のない文書として扱われます。報酬を下げる変更では、取適法やフリーランス法により合意しても認められない場合がある点にも注意が必要です。

変更内容が原契約と矛盾しないか、不利な変更や抜け漏れがないかを確実に確認するには、AI契約書レビューや新旧対照表の作成を支援するサービスの活用も検討できます。各サービスの資料をまとめて請求し、自社の契約業務に合うものを比較してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 変更覚書とは何ですか?

A. 変更覚書とは、すでに締結した契約の内容の一部を変更するために、当事者間で取り交わす書面です。報酬額の改定や契約期間の延長など、原契約を丸ごと作り直さずに必要な変更点だけを書き残したいときに用いられ、覚書は契約書の一種として扱われます。「覚書」「変更契約書」「合意書」など表題は問わず、変更の合意を書面に残すものが該当します。

Q. 覚書は契約書より法的効力が弱いのですか?

A. 覚書だからといって、契約書より法的効力が弱くなることはありません。契約は当事者が合意した時点で成立し、書面の作成などの方式は原則として求められないため、「覚書」でも「変更契約書」でも表題によって効力は変わりません。当事者を拘束する力は、書面の名前ではなく、そこに表された合意そのものから生じます。

出典・参考資料(1件)

Q. 契約変更の覚書に収入印紙はいくら必要ですか?

A. 契約金額を変更する覚書で印紙が必要な場合、金額は増額なら増加分の金額が記載金額となり、減額なら「記載金額のない文書」として扱われます。原契約を特定して作成していることが前提で、たとえば委託料を90万円から110万円に増額するなら、増加分の20万円が記載金額です。

「記載金額のない文書」の印紙額は原契約の文書区分で決まり、不動産の譲渡・請負などの第1号・第2号文書なら200円、業務委託基本契約など継続的取引の基本となる第7号文書なら記載金額の有無にかかわらず一律4,000円です。印紙が必要になるのは、原契約が課税文書で、かつ契約金額・契約期間などの「重要な事項」を変更する場合に限られます。

出典・参考資料(4件)

Q. 電子契約で変更覚書を結べば収入印紙は不要ですか?

A. 電子データだけで変更覚書を締結し、紙の文書を作成しないのであれば、収入印紙は不要です。印紙税は紙の課税文書を作成したことに対して課される税金であり、電子契約では課税対象となる「文書」が存在しないためです。ただし、電子データを印刷して紙の正本として保管するような運用があるときは、印紙税の扱いを別途確認してください。

出典・参考資料(1件)

Q. 変更覚書に収入印紙を貼り忘れると契約変更は無効になりますか?

A. 収入印紙を貼り忘れても、契約変更そのものの効力が否定されるわけではありません。印紙の貼付は印紙税の問題であり、当事者の合意によって成立する契約の効力とは別の話だからです。ただし、紙の課税文書に印紙を貼らなかった場合は過怠税の対象となり、原則として本来納めるべき印紙税額の3倍(自主的に不納付を申し出た場合は1.1倍)が徴収されます。

出典・参考資料(2件)

Q. 契約内容の変更は訂正印だけで対応できますか?

A. 訂正印で対応してよいのは、誤字脱字や住所表記の修正など、契約内容に実質的な変更がない軽微な修正に限られます。契約金額・契約期間・業務範囲・支払条件といった契約の中身を変えるときは、訂正印ではなく変更覚書や変更契約書として書面に残すのが安全です。後から「どちらが変更後の条件か」をめぐって解釈が対立するのを防げます。

Q. 変更覚書は過去にさかのぼって適用できますか?

A. 変更覚書は、当事者双方が合意していれば、効力発生日の条項で遡及適用を明記することで過去にさかのぼって適用できます。ただし、報酬や代金を引き下げる変更では注意が必要です。

取適法(旧・下請法)やフリーランス法の対象となる取引では、受託側の責めに帰すべき理由がないのに発注後に代金を減額することが禁じられており、相手方の了解を得ていても違反となる場合があります。発注済み分への遡及的な減額は、合意があっても認められないことがあるため、自社の取引が規制の対象かを確認しておきましょう。

出典・参考資料(3件)

Q. 同じ契約について変更覚書が複数重なったとき、どの内容が優先されますか?

A. 一般に、同じ事項を定めた複数の覚書では、後から締結した覚書の内容が当事者の最新の合意として優先されると考えられます。

もっとも、覚書が積み重なると現在有効な条件が分かりにくくなります。各覚書に効力発生日を明記し、原契約とすべての覚書をひも付けて保管して、どれが最新の内容かを一目で把握できるようにすることが大切です。どの覚書が効力を持つかで認識が食い違うと、変更前の条件のまま業務を進めてしまうおそれがあります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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