管理会計の分析手法には、収益性分析や損益分岐点分析、予実管理など多くの種類があり、それぞれ目的も計算方法も異なります。自社の数字を経営判断に活かすには、どの手法で何を見て、どのように計算するのかを押さえることが第一歩になります。
本記事では、管理会計の代表的な分析手法を、手法名・目的・計算式・簡単な数値例の形で一覧的に整理します。収益性・安全性・生産性・成長性の経営分析から、予実管理・原価管理・損益分岐点(CVP)分析・部門別損益・資金繰りまで、主要な手法を順に解説します。
さらに、「利益が出ない」「資金が回らない」といった自社の課題からどの手法を使えばよいかの逆引きと、手計算が負担になってきた場合に分析を仕組み化する選択肢まで取り上げます。どの手法から着手するかを判断する材料としてご活用ください。
目次
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管理会計の分析手法の一覧
まず、管理会計で使われる代表的な分析手法を一覧にまとめます。手法ごとに「何を見るための分析か」と「代表的な指標・計算式」を並べているので、自社の知りたいテーマに近いものから本文の各解説に進んでください。

| 管理会計の主な分析手法 | 収益性分析 | 安全性分析 | 生産性分析 | 成長性分析 | 予実管理(差異分析) | 原価管理(標準原価差異分析) | 損益分岐点(CVP)分析 | 部門別(セグメント)損益分析 | 資金繰り分析 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 何を見るか | 利益を生み出す力 | 資金の安定性・支払能力 | 投入した資源あたりの成果 | 事業の伸び | 予算と実績のズレと原因 | 原価の無駄・差異の要因 | 利益ゼロとなる売上高 | 部門・事業ごとの採算 | 現預金の過不足 |
| 代表的な指標・計算式 | 売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100、ROA・ROE=利益÷総資本/自己資本×100、限界利益=売上高−変動費(CVP分析の基礎) | 自己資本比率=自己資本÷総資本×100、流動比率=流動資産÷流動負債×100 | 労働生産性=付加価値÷従業員数、労働分配率=人件費÷付加価値×100 | 売上高成長率=(当期売上−前期売上)÷前期売上×100、CAGR | 差異=実績−予算 | 原価差異=実際原価−標準原価(価格差異・数量差異などに分解) | 損益分岐点=固定費÷限界利益率 | 部門別損益=部門売上−直接費−配賦した共通費 | 資金繰り表(営業・投資・財務の収支) |
※計算式は本文の各解説で定義・数値例とともに説明します。
経営分析(収益性・安全性・生産性・成長性の4分析)
財務諸表の数値から経営の実態を読み取る分析は、一般に収益性・安全性・生産性・成長性の4つの観点で整理されます。ここからは、観点ごとに代表的な指標を定義・計算式・数値例の順で見ていきます。
独立行政法人中小企業基盤整備機構が提供する経営自己診断システムでは、経営指標を収益性・効率性・生産性・安全性・成長性の観点で分類しています。効率性は収益性・生産性と重なる部分が大きいため、本記事ではこの4つの観点で整理します。
出典・参考資料(1件)
収益性分析(売上高利益率・ROA・ROE・限界利益)
収益性分析は、売上や投下した資本からどれだけ効率よく利益を生み出しているかを測る分析です。代表的な指標と計算式は次のとおりです。
- 売上高総利益率=売上総利益÷売上高×100
- 売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100
- ROA(総資本経常利益率)=経常利益÷総資本×100
- ROE(自己資本利益率)=当期純利益÷自己資本×100
たとえば売上高1,000万円・営業利益80万円であれば、売上高営業利益率は80万円÷1,000万円×100=8%です。総資本2,000万円・経常利益100万円なら、ROA(総資本経常利益率)は100万円÷2,000万円×100=5%となります。自己資本600万円・当期純利益60万円なら、ROEは60万円÷600万円×100=10%です。
ROAは総資本に対する利益率、ROEは自己資本に対する利益率で、分母が異なる点に注意してください。ROAの分子は本記事のように経常利益を用いるのが一般的ですが、当期純利益や営業利益を分子に置く定義もあるため、他社資料や書籍の数値と比べるときはどの利益を使った指標かを確認してください。これらの利益率は単独の数値だけで高低を判断せず、同業他社の水準や自社の過去の推移と比べて読むのが基本です。
利益率とあわせて押さえたいのが限界利益です。限界利益は売上高から変動費を差し引いた金額で、固定費の回収に充てられる利益を表します。売上高1,000万円・変動費600万円であれば、限界利益は1,000万円−600万円=400万円、売上高に対する割合である限界利益率は400万円÷1,000万円×100=40%です。限界利益は後述する損益分岐点分析の基礎にもなります。
出典・参考資料(3件)
安全性分析(自己資本比率・流動比率)
安全性分析は、企業の支払能力や財務の安定性を測る分析です。代表的な指標が自己資本比率と流動比率です。
- 自己資本比率=自己資本÷総資本×100
- 流動比率=流動資産÷流動負債×100
自己資本比率は、総資本のうち返済不要の自己資本がどれだけを占めるかを示し、高いほど財務基盤が安定しているとされます。総資本2,000万円・自己資本600万円であれば600万円÷2,000万円×100=30%です。
流動比率は、1年以内に支払う流動負債を1年以内に現金化できる流動資産でどれだけまかなえるかを示し、流動資産800万円・流動負債500万円であれば800万円÷500万円×100=160%となります。一般に流動比率は100%を上回ることが短期的な支払能力の目安とされます。
生産性分析(労働生産性・労働分配率)
生産性分析は、投入した資源に対してどれだけの成果を生み出したかを測る分析です。代表的な指標である労働生産性について、財務省の法人企業統計は次のように定義しています。
労働生産性とは、従業員一人当たりの付加価値額を言い、付加価値額を従業員数で除したものです。
出典:キーワードで見る法人企業統計「労働生産性」|財務省 財務総合政策研究所
付加価値額=人件費+支払利息等+動産・不動産賃借料+租税公課+営業純益
たとえば付加価値額4,000万円・従業員数20人であれば、労働生産性は4,000万円÷20人=200万円(従業員1人あたり)です。あわせて、付加価値のうちどれだけを人件費に分配したかを示す労働分配率(=人件費÷付加価値×100)も用いられます。人件費2,400万円・付加価値4,000万円であれば2,400万円÷4,000万円×100=60%です。
また、経済産業省のローカルベンチマークのように労働生産性を営業利益÷従業員数で簡易的に求める考え方もありますが、本記事では財務省が用いる付加価値ベースの定義を基準としています。付加価値ベースは、人件費や賃借料まで含めて生み出した成果を幅広く捉えられる一方、集計に手間がかかります。
まず手元の損益計算書だけで概算したい段階では営業利益ベースの簡易式から始め、継続的に追うようになったら付加価値ベースへ移すと、負担を抑えつつ精度を高められます。労働生産性や労働分配率も業種や事業モデルで水準が異なるため、同業や自社の推移との比較で読みます。
成長性分析(売上高成長率・CAGR)
成長性分析は、事業がどれだけ伸びているかを測る分析です。単年の伸びを見る売上高成長率と、複数年の平均的な伸びを見るCAGR(年平均成長率)がよく使われます。
- 売上高成長率=(当期売上高−前期売上高)÷前期売上高×100
- CAGR(年平均成長率)=(末期の値÷初期の値)1÷年数−1
前期売上高1,000万円・当期売上高1,200万円であれば、売上高成長率は(1,200万円−1,000万円)÷1,000万円×100=20%です。
CAGRは複数年の伸びを1年あたりの平均成長率に換算する指標で、売上が1,000万円から3年で1,728万円に増えた場合、(1,728万円÷1,000万円)の3乗根から1を引いて20%と求められます。単年の変動に左右されず、中期的な成長ペースを把握するのに適しています。
出典・参考資料(1件)
予実管理の分析(予算実績の差異分析)
予実管理は、あらかじめ立てた予算と実際の実績を突き合わせ、そのズレ(差異)を分析して次の行動につなげる手法です。差異は「実績−予算」で求め、売上であれば予算を上回ればプラス、下回ればマイナスの差異となります。たとえば売上予算1,000万円に対して実績900万円であれば、差異は900万円−1,000万円=−100万円です。
差異分析で重要なのは、金額のズレを把握して終わりにせず、原因を掘り下げて対策につなげることです。実務では、差異を抽出する、差異が大きい項目の原因を深掘りする、対策を立てて次の予算や行動計画に反映する、という流れで進めます。月次など短い周期で差異を確認すると、期末になって初めて未達に気づく事態を避けられます。
原因を掘り下げるときは、差異を要因ごとに切り分けると特定しやすくなります。たとえば売上の差異は、販売単価の違いによる要因と販売数量の違いによる要因に分けて見ると、値引きが響いたのか販売数が伸びなかったのかを判断できます。
予実管理を最初の一歩にするなら、予算の立て方から差異分析までの具体的な進め方が次の関心になります。5ステップでの手順とExcelで予実管理表を作る方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
原価管理の分析(標準原価差異分析)
原価管理では、あらかじめ定めた目標原価(標準原価)と実際にかかった原価(実際原価)を比較し、その差額である原価差異を分析します。標準原価と原価差異は、企業会計審議会の原価計算基準で次のように定義されています。
標準原価とは、財貨の消費量を科学的、統計的調査に基づいて能率の尺度となるように予定し、かつ、予定価格又は正常価格をもつて計算した原価をいう。
原価差異とは、実際原価計算制度において、原価の一部を予定価格等をもつて計算した場合における原価と実際発生額との間に生ずる差額、ならびに標準原価計算制度において、標準原価と実際発生額との間に生ずる差額をいう。
出典:原価計算基準|企業会計審議会
原価差異は、原因別にさらに細かく分解できます。原価計算基準では、直接材料費の差異を「価格差異」(標準と実際の消費価格の差に実際消費数量を乗じたもの)と「数量差異」(標準と実際の消費数量の差に標準消費価格を乗じたもの)に分析するとしています。
たとえば標準が単価100円×数量1,000個=100,000円のところ、実際が単価110円×数量1,050個=115,500円だったとします。
このとき価格差異は(100円−110円)×1,050個=−10,500円、数量差異は(1,000個−1,050個)×100円=−5,000円です。いずれもマイナス、すなわち実際が標準を上回っており、合計15,500円が標準より多くかかった不利差異とわかります。
このように差異を価格面と数量面に切り分けることで、値上がりが原因なのか使いすぎが原因なのかを特定できます。
原価差異の把握や共通費の配賦を継続的に回すには、原価計算の方式・差異分析・配賦の観点から専用システムを選ぶ方法もあります。原価管理に絞ってシステムを比較したい場合は、以下の記事を参考にしてください。
損益分岐点(CVP)分析
損益分岐点分析(CVP分析)は、利益がちょうどゼロになる売上高を求める手法です。J-Net21(中小企業基盤整備機構)でも、損益分岐点は売上高と総費用が等しくなり利益がゼロとなる売上規模を指すと説明されています。費用を売上に比例する変動費と、売上に関わらず一定の固定費に分け、限界利益(売上高−変動費)が固定費と等しくなる点が損益分岐点です。
計算式は次のとおりです。
- 損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
- 限界利益率=限界利益÷売上高=(売上高−変動費)÷売上高
たとえば固定費が500万円、限界利益率が25%の場合、損益分岐点売上高は500万円÷0.25=2,000万円です。売上が2,000万円を超えて初めて利益が出る計算になります。損益分岐点を把握すると、「あと何円売れば黒字になるか」「固定費をいくら削れば損益分岐点が下がるか」といった判断がしやすくなります。
部門別(セグメント)損益分析
部門別損益分析は、会社全体の損益だけでなく、部門・事業・拠点などの単位ごとに採算を把握する手法です。部門別の損益は、その部門の売上から、その部門に直接ひもづく費用(直接費)と、全社で共通して発生する費用(共通費)のうち各部門に割り振った(配賦した)分を差し引いて求めます。
共通費を各部門に割り振ることを配賦といいます。原価計算基準でも、部門に共通して発生する費用は配賦基準によって関係する各部門に配賦するとされています。配賦基準には、実務上、人員数・売上高・使用面積・作業時間などが使われます。
たとえば本社の共通費300万円を人員数で配賦する場合、30人の部門には180万円、20人の部門には120万円を割り当てます。どの配賦基準を使うかで部門ごとの損益は変わるため、費用の発生実態に近い基準を選ぶことが重要です。
この部門の売上が1,000万円、その部門に直接ひもづく直接費が700万円、配賦された共通費が180万円であれば、部門別損益は1,000万円−700万円−180万円=120万円と求められます。会社全体では黒字でも、こうして分けると赤字の部門が見つかることがあります。
出典・参考資料(1件)
資金繰り分析
資金繰り分析は、現預金の入りと出を予測し、資金がショートしないかを確認する手法です。損益計算書上は黒字でも、売掛金の回収が遅れたり在庫や設備に先行して資金を投じたりすると、手元資金が足りなくなることがあります。利益と資金の動きは必ずしも一致しないため、利益の分析とは別に資金の流れを追う必要があります。
資金の流れは、本業で生み出す営業収支、設備投資などの投資収支、借入や返済などの財務収支の3つに分けて整理すると見通しやすくなります。将来の入出金を見込んで作る資金繰り表を用いれば、どの時点で資金が不足しそうかを事前に把握し、借入や支払いサイトの調整といった対策を前もって打てます。
たとえば月初の現預金残高が300万円だったとします。当月の営業収支が+150万円、設備投資による投資収支が−200万円、借入による財務収支が+100万円であれば、月末残高は300万円+150万円−200万円+100万円=350万円です。
損益が黒字でも、投資や支払いが先行すれば手元資金は大きく動きます。こうした入出金を先に見込んでおくことが、資金ショートを避けるうえで欠かせません。
自社の課題別・どの手法から着手するか
分析手法は数が多く、すべてを一度に始める必要はありません。自社が抱える課題から、まず使うべき手法を逆引きすると着手しやすくなります。
| 課題から探す分析手法 | 利益が思うように出ない | 資金が回らない・黒字なのに苦しい | どの部門・事業が稼いでいるか不明 | 原価が膨らむ原因がわからない | 予算どおりに進んでいるか不安 | 人の生産性や人件費の配分が気になる | 事業の伸びが鈍っていないか確認したい |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| まず使う分析手法 | 収益性分析・損益分岐点(CVP)分析 | 資金繰り分析・安全性分析 | 部門別(セグメント)損益分析 | 原価管理(標準原価差異分析) | 予実管理(差異分析) | 生産性分析 | 成長性分析 |
| 見えること | 利益率の水準、黒字化に必要な売上高 | 現預金の過不足、支払能力と財務の安定性 | 部門・事業ごとの採算、共通費配賦後の損益 | 原価差異の発生要因(価格・数量など) | 予算と実績のズレと、その原因 | 労働生産性・労働分配率の水準 | 売上高成長率・CAGRの推移 |
着手の順番に迷う場合は、まず予実管理から始めるのが実務的です。予算と実績を月次で突き合わせる仕組みができると、収益性や資金繰りの異変にも早く気づけるようになります。そのうえで、利益構造を詳しく見たい段階で収益性分析や損益分岐点分析へ、部門ごとの採算を把握したい段階で部門別損益分析へと広げていくと、負担を抑えながら管理会計を定着させられます。

重視すべき指標は事業の形によっても変わります。固定費の比重が大きい事業では損益分岐点の把握が効き、人の稼働で成り立つ事業では労働生産性や労働分配率が重要になります。成長局面にある事業では成長性分析で伸びのペースを、成熟した事業では収益性分析で利益の質を確認するなど、自社の段階に合わせて手法を選ぶとよいでしょう。
補足:管理会計とは・財務会計との違い
ここまで見てきた分析手法は、いずれも管理会計の一部です。管理会計とは、経営者や各部門が社内の意思決定に使うための会計で、外部への報告を目的とする財務会計とは位置づけが異なります。
財務会計は、株主や金融機関など社外の利害関係者への報告を目的とし、会社法や金融商品取引法、会計基準といった制度に沿って作成します。対象は主に過去の確定した数値です。一方、管理会計は社内向けで作成ルールは自由度が高く、予算や着地見込みのように将来を見据えた数値も扱います。本記事の分析手法は、この管理会計の考え方にもとづいて自社の数字を読み解くためのものです。
両者の違いを目的・義務・対象期間などの軸でより詳しく押さえ直したい場合は、以下の記事で比較表とともに整理しています。
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手計算が限界なら管理会計システムで仕組み化する
ここまでの手法は表計算ソフトでも計算できますが、部門が増えたり分析軸が細かくなったりすると、データの集計や予実の突き合わせ、共通費の配賦に多くの手間がかかり、特定の担当者に作業が集中しがちです。こうした作業を自動化し、分析を仕組み化する手段が管理会計システムです。ここでは、予実差異の分析や部門別の損益把握を支援するサービスを紹介します。
ここで取り上げる3サービスは代表例です。目的・規模別の選び方や主要16サービスの違いまで見比べたい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。
ここで取り上げる3サービスの主な違いを、まず比較表で整理します。
| サービス名 | DIGGLE(ディグル) | X-KPI(クロスケーピーアイ) | Scale Cloud(スケールクラウド) |
|---|---|---|---|
| 特徴 | 予実管理特化。多段階配賦と予実突合の自動化に強み | KPIツリーとノーコード設計。差異・異常値を自動検知しチャット通知 | PLとKPIを接続した経営管理。部門別・得意先別の多軸分析 |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 要問い合わせ (Standard / Enterprise の2プラン) | 要問い合わせ | 月額15万円〜 |
| 予実管理・差異分析 | 予算策定・予実突合・見込管理を一元化し、差異の要因コメントを管理 | 予実差・異常値を自動検知し、原因とともにチャットツールへ通知 | 予算策定・予実管理・着地見込み更新に対応し、異常値を自動検知・通知 |
| 配賦(共通費の割り振り) | 対応 (多段階配賦。ルールのON/OFF・スナップショット比較) | 公式に記載なし | 公式に記載なし |
| KPI・非財務指標の管理 | 財務・非財務指標の可視化に対応(予実管理が中心) | 部門・拠点・プロジェクトのKPIをKPIツリーでノーコード管理 | PL/BS/CFと先行・結果指標KPIを関連づけてモデリング |
| 会計ソフト・API連携 | freee会計・マネーフォワード・勘定奉行クラウド・弥生・Salesforceなどと API/CSV 連携 | 会計ソフト・グループウェアと API 連携 | 勘定奉行クラウド・freee・Salesforce・Googleスプレッドシート・CSV 連携 |
| 無料トライアル | 要問い合わせ | あり | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
※料金・機能は2026年9月時点の各社公式情報に基づきます。最新の提供状況は各社の公式情報をご確認ください。
1. DIGGLE(ディグル株式会社)

DIGGLEは、予算・実績・見込をクラウド上で一元管理する予実管理特化のサービスです。会計システムとAPIで連携して予実の突き合わせを自動化し、勘定科目より細かい粒度での損益管理・差異分析に対応します。表計算ソフト中心の予実管理で起こりがちな集計の手間や属人化を解消することを狙いとしています。
配賦では、配賦元・配賦先・配賦基準を柔軟に設定する多段階配賦に対応し、配賦ルールのオン・オフの切り替えや、配賦後の数値をスナップショットとして保存して比較する機能を備えます(2025年12月のアップデート)。部門別・共通費の割り振りを含めた予実管理を仕組み化したい企業に向いています。
2. X-KPI(株式会社パブリックアイデンティティ)

KPIと予実データを部門・拠点・プロジェクト単位でクラウドに集約し、リアルタイムに可視化するのが、KPI・予実管理ツールのX-KPIです。全体目標と個別目標の関係をツリー構造で管理できるほか、専門知識がなくてもKPI項目やダッシュボードを設計・運用できる点を特徴としています。
予算と実績の差異や異常値を自動で検知し、原因とともにチャットツールへ通知する機能を備えており、差異分析を担当者の手作業だけに頼らない運用ができます。会計ソフトやグループウェアとのAPI連携にも対応し、既存のデータ基盤を活かしながら予実の可視化を進めたい企業に適しています。
3. Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)

公認会計士である代表のコンサルティング経験を背景に設計された経営管理クラウドが、Scale Cloudです。財務数値(PL・BS・CF)と非財務数値(KPI)を関連づけて一元管理し、部門・得意先・プロジェクトなどの単位での損益の多軸分析や、異常値の自動検知・通知に対応します。KPIの数値をもとにPLをシミュレーションでき、複数パターンでの予算作成や着地見込みの更新がしやすい点も特徴です。
経営層・管理部・事業部それぞれの視点に応じたダッシュボードを作成でき、子会社ごとに異なるフォーマットを整理してグループ全体で比較・把握しやすくする機能も備えます。料金は月額15万円からとされています(2026年9月時点、公式サイト)。部門別・得意先別の採算をKPIと結びつけて分析したい企業に向いています。
財務数値とKPIを結びつけて管理する設計に至った背景について、代表取締役の広瀬氏は、財務データの分析を中心に据える従来の管理会計の課題を次のように話します。
従来の管理会計では、財務データを部門別や得意先別など様々な切り口で分析するのですが、それだけでは「この結果にどうやって至ったのか」というプロセスがまったくわからないです。事業の状況を正しく理解するためには、結果だけでなくそこに至るプロセスも含めて把握しなければ、どこに問題があるのか見えてこない。これが管理会計の限界だと感じていました。
まとめ
管理会計の分析手法は、収益性・安全性・生産性・成長性を見る経営分析を軸に、予実管理・原価管理・損益分岐点分析・部門別損益分析・資金繰り分析など多岐にわたります。それぞれ「何を見る手法で、どう計算するのか」を押さえたうえで、自社の課題に近いものから着手するのが現実的です。まずは予実管理で予算と実績のズレを月次で確認する仕組みを整え、必要に応じて収益性や部門別の分析へ広げていくとよいでしょう。
手計算での集計や配賦に負担を感じ始めたら、管理会計システムの導入も選択肢になります。自社の課題に合うサービスを比較し、資料を取り寄せて検討してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 管理会計の分析手法とは何ですか?
A. 管理会計の分析手法とは、自社の財務データを経営判断に活かすために、収益性や安全性などの観点から数字を読み解く手法の総称です。社外への報告を目的とする財務会計とは異なり、社内の意思決定のために用いられる点が特徴で、収益性・安全性・生産性・成長性の経営分析のほか、予実管理・原価管理・損益分岐点(CVP)分析・部門別損益分析・資金繰り分析などが含まれます。
Q. 管理会計の分析手法にはどんな種類(何種類)がありますか?
A. 管理会計の分析手法は、収益性・安全性・生産性・成長性を見る経営分析の4分析に、予実管理・原価管理・損益分岐点(CVP)分析・部門別損益分析・資金繰り分析を加えた手法群に大きく整理できます。本記事ではこの代表的な9つの手法を取り上げています。何種類と明確に決まっているわけではなく、「利益を見たいのか」「資金を見たいのか」など目的に応じて使い分けます。
Q. 管理会計と財務会計の違いは何ですか?
A. 管理会計と財務会計の違いは、目的と対象にあります。財務会計は株主や金融機関など社外への報告を目的に、制度に沿って主に過去の確定数値を扱うのに対し、管理会計は社内の意思決定のために作成ルールが自由で、予算や着地見込みなど将来の数値も扱います。本記事で解説した分析手法は、いずれもこの管理会計の考え方にもとづいて自社の数字を読み解くためのものです。
Q. 損益分岐点の求め方は?
A. 損益分岐点売上高は、固定費÷限界利益率で求めます。限界利益率は(売上高−変動費)÷売上高で計算します。たとえば固定費500万円・限界利益率25%であれば、損益分岐点売上高は500万円÷0.25=2,000万円となり、売上がこの金額を超えて初めて利益が出ることになります。
Q. 限界利益と営業利益の違いは何ですか?
A. 限界利益と営業利益の違いは、固定費を差し引く前か後かにあります。限界利益は売上高から変動費だけを引いた利益(固定費の回収に充てる原資)で、営業利益はそこからさらに固定費を差し引いた本業の利益です。たとえば売上高1,000万円・変動費600万円なら限界利益は400万円で、ここから固定費を引いた残りが営業利益になります。
Q. 収益性分析で使われる主な指標は何ですか?
A. 収益性分析の主な指標は、売上高総利益率・売上高営業利益率などの売上高利益率、ROA(総資本経常利益率)、ROE(自己資本利益率)、そして限界利益です。売上高営業利益率は営業利益÷売上高×100、ROAは経常利益÷総資本×100、ROEは当期純利益÷自己資本×100で求め、売上や投下した資本からどれだけ効率よく利益を生み出しているかを測ります。
Q. 自己資本比率や流動比率は、どのくらいが目安ですか?
A. 安全性分析では、自己資本比率は高いほど財務基盤が安定しているとされ、流動比率は100%を上回ることが短期的な支払能力の目安とされます。自己資本比率は自己資本÷総資本×100、流動比率は流動資産÷流動負債×100で求めます。ただし適正とされる水準は業種によって異なるため、同業他社の水準や自社の推移と比べて判断することが大切です。
Q. 予実管理の差異分析はどのような手順で進めますか?
A. 予実管理の差異分析は、差異(実績−予算)を抽出し、差異が大きい項目の原因を深掘りして、対策を次の予算や行動計画に反映する流れで進めます。金額のズレを把握して終わりにせず原因と対策まで踏み込むことが重要で、月次など短い周期で確認すると、期末になって初めて未達に気づく事態を避けられます。
Q. 原価差異を分析するときの注意点は何ですか?
A. 原価差異の分析では、差異を価格面(価格差異)と数量面(数量差異)に切り分けて原因を特定することと、基準となる標準原価の設定根拠を妥当に保ち定期的に見直すことが重要です。値上がりが原因なのか使いすぎが原因なのかを分けて把握できれば、打つべき対策が明確になります。
Q. 部門別損益分析で共通費はどのように配分しますか?
A. 部門別損益分析では、全社で共通して発生する費用(共通費)を、人員数・売上高・使用面積・作業時間などの配賦基準で各部門に割り振ります。これを配賦といい、どの基準を使うかで部門ごとの損益が変わるため、費用の発生実態に近い基準を選ぶことが大切です。部門別損益は、部門売上から直接費と配賦した共通費を差し引いて求めます。
Q. 中小企業は管理会計の分析をどの手法から始めればよいですか?
A. 中小企業の場合は、まず予実管理から始めるのが実務的です。管理会計は企業規模を問わず役立ち、予算と実績を月次で突き合わせる仕組みができると、収益性や資金繰りの異変にも早く気づけるようになります。そのうえで、利益構造を詳しく見たい段階で収益性分析や損益分岐点分析へ、部門ごとの採算を把握したい段階で部門別損益分析へと広げていくと、負担を抑えながら定着させられます。
Q. 管理会計の分析は手計算とシステムのどちらで行うべきですか?
A. 管理会計の分析は、小規模で部門が少ないうちは表計算ソフトでも対応できますが、部門や分析軸が増えて集計・予実の突き合わせ・共通費の配賦に手間がかかり属人化してきたら、管理会計システムで仕組み化するのが有効です。システムを使うと差異分析や部門別損益の把握を自動化でき、特定の担当者への作業の集中を抑えられます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















