取引先や送金相手を「制裁リストに当ててほしい」と言われたものの、具体的に何を・どのリストと照合すればよいのか、どんな法律で求められているのかが掴みきれない。マネー・ローンダリングやテロ資金供与の対策を任された担当者から、そうした戸惑いの声をよく聞きます。
制裁スクリーニングとは、取引の相手や送金の関係者などを公的な制裁リストと照合し、制裁対象者との取引を防ぐ仕組みです。本記事では、まず照合先となる実在のリスト(財務省が公表するリスト・国連安保理・米国OFAC・EU)を一覧で示したうえで、根拠となる法令、照合の仕組み、ヒットしたときの対応フロー、そして自社でどう実装するか(内製かツールか)までを順に整理します。
結論を先に言えば、日本の事業者はまず財務省が公表する制裁対象者リストを基準に照合し、米ドル建てや輸出入など取引の広がりに応じてOFAC・EU・国連のリストへ対象を広げます。根拠は外為法の確認義務を軸に、金融庁ガイドラインやFATFの国際基準が重なります。自社の取引(米ドル建てがあるか、輸出入があるか など)に照らして、当てるべきリストと負うべき義務を見極められるはずです。
目次
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制裁スクリーニングとは?
制裁スクリーニングとは、取引の相手や送金の関係者などを、各国・国際機関が公表する制裁リストと照合し、制裁対象者との取引を未然に防ぐ仕組みです。「サンクションスクリーニング」とも呼ばれます。照合してヒットがなければ取引を進め、ヒットすれば真偽を確かめたうえで、資産凍結や取引停止などの対応をとります。
照合する対象は、口座の名義人や契約先といった「顧客」だけにとどまりません。金融庁のガイドラインは、取引フィルタリングの照合対象として、送金先や取引関係者(その実質的支配者を含む)、輸出入品目までを挙げています。
イ.取引の内容(送金先、取引関係者(その実質的支配者を含む)、輸出入品目等)について照合対象となる制裁リストが最新のものとなっているか、及び制裁対象の検知基準がリスクに応じた適切な設定となっているかを検証するなど、的確な運用を図ること
出典:マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン Ⅱ-2(3)(ⅲ)|金融庁(令和8年3月31日改正)
つまり、取引の相手そのものだけでなく、その背後にいる実質的な支配者や、送金・輸出入の相手まで視野に入れて照合する必要があります。顧客名だけを当てて終わりにすると、支配者や送金先を通じた制裁対象との関わりを見逃しかねません。なお、法人の取引先について実質的支配者をどこまで確認すればよいか(議決権25%超の考え方や間接保有の合算)は、上記リンク先で詳しく解説しています。
反社チェック・取引モニタリングとの違い
制裁スクリーニングは、名前の似た2つの業務と混同されがちです。整理しておくと、自社で何をすべきかが見えやすくなります。
- 反社チェック:国内の反社会的勢力との関係がないかを確認する業務です。確認の相手は国内の取引先が中心で、根拠は暴力団排除条例や各社の契約実務にあります。
- 取引モニタリング:口座開設後の入出金・送金の動きを継続的に監視し、不自然な取引を検知する業務です。「取引の動き」を見る点で、名簿と照合する制裁スクリーニングとは着眼点が異なります。
- 制裁スクリーニング(取引フィルタリング):外為法や国連安保理決議などにもとづく国際的な経済制裁の対象者と、取引関係者を照合する業務です。相手が「誰か」を名簿と突き合わせる点が特徴です。
金融庁のガイドラインでも、この「取引モニタリング」と「取引フィルタリング(制裁スクリーニング)」は別の機能として整理されています。実務では両方が必要になりますが、本記事では制裁リストとの照合=フィルタリングを中心に解説します。
照合する主な制裁リスト一覧(財務省・国連安保理・OFAC SDN・EU)
制裁スクリーニングで最初に押さえたいのが、「結局どのリストに当てればよいのか」です。実務で照合先となる主なリストを、発行主体・内容・自社にとっての位置づけ・公式の入手元とあわせて整理します。
| リスト | 経済制裁措置及び対象者リスト | 国連安保理 制裁リスト(Consolidated List) | SDNリスト(Specially Designated Nationals and Blocked Persons List) | EU制裁リスト(金融制裁の統合リスト) |
|---|---|---|---|---|
| 発行主体 | 財務省(外為法に基づき公表) | 国連安全保障理事会(各制裁委員会) | 米国財務省 外国資産管理室(OFAC) | EU理事会が採択し、欧州委員会が維持 |
| 主な内容 | 日本が現在実施している資産凍結等の措置の対象者(個人・団体)。Excel/CSVの一覧で公開 | 制裁対象の個人(A)と団体・その他グループ(B)を収録 | 米国が指定する制裁対象の個人・団体(別名も収録、対象者が50%以上保有する法人も対象) | EUが指定する制裁対象の個人・団体 |
| 自社にとっての位置づけ | 日本の事業者がまず照合すべき国内の基準リスト | 加盟国が国連憲章上の履行義務を負う。日本は外為法等で国内実施 | 米国人・米国が関与する取引に適用。日本企業でも米ドル建て取引などでは事実上対応が必要 | EU規則は加盟国に直接適用。日本企業でもEUが関与する取引では事実上対応が必要 |
日本の事業者にとっての出発点は、財務省が外為法にもとづいて公表する「経済制裁措置及び対象者リスト」です。資産凍結等の対象者が一覧(Excel・CSV)で公開されており、自社の取引先・送金先がこの一覧に含まれていないかを照合するのが基本です。このリストは、国連安保理決議にもとづく措置などを外為法の枠組みで国内実施して反映したものなので、国内の取引を行う事業者はまずこのリストを基準にできます。
加えて、米ドル建ての取引があれば米国OFACのSDNリスト、EUが関わる取引ならEUの制裁リストというように、取引の通貨や相手国に応じて照合すべきリストが広がる点に注意が必要です。

いずれのリストも各発行主体の公式サイトで入手でき、頻繁に更新されます。古いリストで照合し続けると新たに指定された対象者を見逃すため、常に最新版を取り込む運用が前提になります。
出典・参考資料(4件)
各リストの具体的な中身や、取引先がこれらの一覧に該当するかを実際に確認していく手順をもう一歩踏み込んで知りたい場合は、以下の記事で主要な制裁リストの一覧と照合の進め方を解説しています。
なぜ制裁スクリーニングが必要か(根拠法令)
ここからは、制裁スクリーニングを支える法令・基準を整理します。根拠は一つではなく、法令上の義務と、監督上の期待水準、国際基準が重なり合っています。義務と期待水準を混同しないよう、それぞれが「何を求めているか」「誰に適用されるか」とあわせて確認します。
根拠法令の対応表
| 根拠 | 外為法(外国為替及び外国貿易法) | 犯罪収益移転防止法(犯収法) | 金融庁 マネロン・テロ資金供与対策ガイドライン | FATF勧告 |
|---|---|---|---|---|
| 何を求めているか | 制裁対象への支払・資本取引を許可制とし(16条・21条)、銀行等には為替取引の前に支払等の内容を確認する義務を課す(17条)。輸出入・役務取引の許可・承認(25条・48条・52条) | 取引時確認(実質的支配者の確認を含む・4条)、確認事項を最新に保つ措置(11条)、記録の保存・疑わしい取引の届出 | 制裁対象取引を検知する取引フィルタリング体制の構築、最新リストとの照合、対象者が指定された際の遅滞ない照合、記録の保存 | テロ資金供与・拡散金融に対する、対象を絞った金融制裁の実施を各国に求める |
| 位置づけ | 法令上の義務 | 法令上の義務。ただし制裁リスト照合そのものを課す条文ではなく、本人確認・記録の土台を担う | 監督上の期待水準(「対応が求められる事項」。不備は報告徴求・業務改善命令等の行政対応につながる) | 国際基準(事業者を直接拘束する法令ではない。日本は外為法・ガイドライン等で実施) |
| 主な適用対象 | 居住者・非居住者、銀行等、輸出入・貿易事業者など広く(金融は財務大臣、輸出入は経済産業大臣の所管) | 犯収法上の特定事業者 | 金融機関等(犯収法上の金融庁所管の特定事業者) | 各国(日本は国内法で実施) |
制裁スクリーニングを法令上もっとも直接的に求めているのは、外為法第17条の銀行等の確認義務です。銀行等は、顧客の支払等が許可を要するものに該当しないか(または必要な許可を備えているか)を確認した後でなければ、その取引を行ってはならないと定められています。
銀行等は、その顧客の支払等が、次の各号に掲げる支払等のいずれにも該当しないこと、又は次の各号に掲げる支払等に該当すると認められる場合には当該各号に定める要件を備えていることを確認した後でなければ、当該顧客と当該支払等に係る為替取引を行つてはならない。
出典:外国為替及び外国貿易法 第17条|e-Gov法令検索
金融庁のガイドラインは法令そのものではありませんが、「対応が求められる事項」が不十分だと、報告徴求や業務改善命令といった行政対応につながります。この点で、金融機関等にとっては実質的に強い拘束力をもつ監督上の期待水準といえます。一方のFATF勧告は各国向けの国際基準であり、事業者を直接縛るものではありません。日本はこの基準を外為法や金融庁ガイドラインなどの形で国内実施しています。
日本はFATF(金融活動作業部会)の第4次対日相互審査(2021年8月公表)で「重点フォローアップ国」と評価されました。これを受け、政府の行動計画のもとで、金融庁ガイドラインに沿った態勢整備を金融機関に求めてきた経緯があります。
これらに違反すると、罰則の対象になる点も押さえておきたいところです。たとえば外為法第16条の許可を受けずに制裁対象者へ支払等をすると、外為法第70条の罰則の対象になります。法定刑は3年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその併科で、違反対象の価格の3倍が100万円を超えるときは罰金はその価格の3倍以下となります。
加えて、米ドル建てや米国が関与する取引では、米国OFACの制裁に違反すると米国法上の処分を受ける可能性があります。制裁スクリーニングは、こうした違反を未然に防ぐための実務でもあります。
出典・参考資料(5件)
対象となる事業者・取引(誰に義務があるか)
「制裁スクリーニングは金融機関だけのもの」と捉えられがちですが、根拠ごとに適用対象は異なります。自社がどの立場で何を負うのかを、取引の種類から整理すると分かりやすくなります。
- 銀行・送金・決済などの金融機関等:外為法17条の確認義務に加え、金融庁ガイドラインの取引フィルタリングが監督上の期待水準として求められます。
- 商社・製造業など輸出入・貿易を行う事業者:外為法の輸出入・役務取引の許可・承認(48条・52条・25条)が関わり、所管は経済産業大臣です。輸出入品目や仕向地が制裁の対象でないかの確認が必要になります。
- 一般の事業会社:制裁対象者への支払や資本取引は外為法で許可制の対象になり得ます。金融庁ガイドラインの直接の対象ではありませんが、外為法の規制は居住者に広く及びます。
このように、金融機関には外為法と金融庁ガイドラインの双方が、輸出入事業者や一般の事業会社には主に外為法がかかります。自社の取引に米ドル建てや海外送金・輸出入が含まれるほど、照合すべきリストと確認すべき範囲は広がります。
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制裁スクリーニングの仕組み
ここからは、照合が実際にどのように行われるのかという仕組みを解説します。中心になるのは「名前の照合」ですが、単純な完全一致だけでは見逃しが生じるため、あいまい一致という考え方が組み合わされます。
完全一致とあいまい一致(ファジーマッチング)
照合には大きく2つの考え方があります。完全一致は、入力した名称が制裁リストの記載と文字どおり一致するかを見る方法です。確実な半面、表記のゆれや別名には弱く、1文字でも違えば検知できません。
そこで用いられるのが、あいまい一致(ファジーマッチング)です。氏名や団体名には、ローマ字表記のゆれ、語順の違い、別名(エイリアス)が付きものです。
たとえば同じ人物でも Muhammad と Mohammed、Sergey と Sergei のように転写が分かれたり、姓と名の順序が入れ替わったりします。音の近さ(音声的な類似)まで見て拾う照合もあります。あいまい一致は、こうした名称の似ている度合いをスコアとして数値化し、一定の閾値を超えたものをヒット候補として拾い上げます。
閾値を低くすれば見逃しは減りますが、無関係な同姓同名まで拾って誤検知が増えます。逆に高くすれば誤検知は減りますが、見逃しのリスクが上がります。この見逃しと誤検知のバランス調整が、照合の精度を左右します。
照合するタイミング
照合は一度行えば終わりではありません。実務では、主に次の3つのタイミングで照合します。
- 取引開始時:口座開設や新規契約の際に、相手が制裁対象でないかを照合します。
- 送金・取引の都度:送金の依頼人・受取人や取引関係者を、その取引のたびに照合します。
- リスト更新時の既存顧客の再照合:制裁リストに新たな対象者が追加された際に、既存の顧客・取引先をあらためて照合します。
とりわけ3つ目が見落とされがちです。金融庁のガイドラインは、国連安保理決議等で経済制裁対象者が指定された際に「遅滞なく照合する」ことを求めています。新たな指定があるたびに、過去に取引を始めた顧客まで遡って一斉に照合し直す運用が必要になるということです。
ヒット時の対応と運用上の留意点
照合でヒットが出たときに、どう動くのか。そして、ヒットの大半を占める誤検知をどう切り分け、継続的な運用をどう回すのか。ここでは判定と対応、そして運用負荷の実像を整理します。
ヒット時の対応フロー(一次判定→二次判定→対応実行)
ヒットが出ても、すぐに取引を止めるわけではありません。多くはあいまい一致による候補なので、本物の制裁対象者かどうかを段階的に見極めます。

- 一次判定:担当者が、ヒットした候補を明らかな誤検知と要確認に振り分けます。名称がたまたま似ているだけの同姓同名などは、ここで切り分けます。
- 二次判定:一次で残った候補について、生年月日・国籍・別名などの属性を照らし合わせ、本物の制裁対象者か(真陽性か)を見極めます。判断に迷う場合はコンプライアンス部門が確認します。
- 対応実行:制裁対象者と確認された場合は、外為法にもとづき許可の要る支払・資本取引は許可を得るまで実行せず、金融機関等は資産凍結の措置をとります。あわせて、犯罪収益の疑いがあれば犯収法上の疑わしい取引の届出を検討し、社内ではコンプライアンス責任者へエスカレーションします。
真偽判定に使う生年月日や本人特定事項は、犯収法の取引時確認で取得する情報と重なります。取引時確認で得た属性が整っているほど、二次判定での切り分けが正確になります。
誤検知(フォールスポジティブ)の切り分けと運用負荷
あいまい一致を使う以上、ヒットの多くは無関係な同姓同名などの誤検知(フォールスポジティブ)になります。この切り分けに人手がかかること自体が、制裁スクリーニングの運用負荷の中心です。切り分けの精度を上げるには、名称だけでなく生年月日・国籍・住所といった属性を突き合わせられる状態にしておくことが効きます。
運用負荷という点では、「仕組み」の節で触れたリスト更新時の既存顧客の一斉再照合も見逃せません。新たな指定があるたびに全顧客を再照合すれば、その分だけ判定の件数が増えます。照合の件数・頻度と、誤検知の切り分けにかかる工数を見積もることが、体制づくりの出発点になります。
あわせて、照合の記録を残すことも求められます。金融庁のガイドラインは、顧客との取引・照会等の記録を保存することを「対応が求められる事項」に挙げています。犯収法も確認記録・取引記録の保存を定めており、「いつ・誰を・どのリストと照合し・どう判断したか」をたどれる監査証跡を残す運用が、継続的な顧客管理の前提になります。
出典・参考資料(2件)
制裁スクリーニングを実装するには(内製かツールか)
ここまでの内容を自社でどう回すかを考えると、大きく内製とツール導入の2つの選択肢があります。判断の分かれ目になるのが、次のような論点です。
- 規制知識とリストの維持:外為法・金融庁ガイドラインの要請を理解し、財務省・国連・OFAC・EUなど複数のリストを常に最新の状態に保てるか。
- 多言語の名寄せ精度:ローマ字表記のゆれや別名に対応したあいまい一致を、見逃しと誤検知のバランスをとりながら設計・調整できるか。
- 既存システムとの連携:口座・送金・基幹システムと照合の仕組みをつなぎ、取引の都度・リスト更新の都度の照合を自動化できるか。
- 監査証跡の保存:照合の実行履歴と判定の記録を、後から検証できる形で残せるか。
照合対象が国内取引に限られ件数も少なければ、財務省リストを中心に自社で照合する内製でも回せる場合があります。一方、海外取引や米ドル建て・輸出入が絡み、複数リストの維持や多言語の名寄せ、システム連携まで必要になると、負担は大きくなります。
そのため、制裁リスト・PEPs(重要な公的地位にある人物)との照合を備えたスクリーニングツールや、公知情報とあわせて確認できる反社・コンプライアンスチェックサービスを使う企業が少なくありません。次の章では、制裁リストやPEPsとの照合に対応する主なサービスを紹介します。
制裁スクリーニングに対応する主なサービス
ここでは、制裁リストやPEPs・海外の懸念情報との照合に対応するサービスを紹介します。いずれも反社チェックを主としつつ制裁リスト・PEPs照合を備えたサービスで、取引先を1件ずつ調べる用途が中心です。制裁・PEPs照合そのものを主目的とするなら、対応範囲が広く継続的な照合に対応するサービスを軸に比べると、判断がぶれにくくなります。
送金のたびに基幹システムと連携してリアルタイムに照合したい場合は、API連携の可否やウォッチリストの更新頻度が自社の運用に合うかを、提供形態とあわせて確認してください。照合できるリストの範囲、あいまい一致や継続的なモニタリングへの対応はサービスごとに異なります。まずは一覧で違いを俯瞰し、続けて各サービスの特徴を見ていきます。
| サービス名 | RiskAnalyze(リスクアナライズ) | RISK EYES(リスクアイズ) | 日経リスク&コンプライアンス | SP RISK SEARCH |
|---|---|---|---|---|
| 海外制裁リスト照合 | ●海外240以上の国・地域のSanction情報に対応 | ●米財務省・日本財務省・金融庁・経産省+ダウ・ジョーンズ | ●各国制裁リスト・OFAC対象企業5.4万社(ダウ・ジョーンズ400万件超) | ●海外コンプライアンスチェックで対応(info4c連携) |
| PEPs照合 | ●海外PEPs+国内PEPs(2026年対応) | △海外の制裁・PEP情報は対応強化中 | ●200ヵ国以上・22職種・親族関係 | ●海外PEPsリストに対応 |
| 国内の懸念情報 | ●国内約1,000媒体・官報・行政処分・訴訟 | ●WEB・新聞・ブログ・独自反社DB・行政処分 | ●日経テレコン(50紙以上)・行政処分・Web風評 | ●独自DB(反社60万件)・新聞(1960年〜)・ネット風評 |
| あいまい一致・名寄せ | ●異体字に対応 | ●生年・住所・除外ワード・AI判定で絞り込み | ●自然言語解析で同名異人のノイズを抑制 | ●氏名の表記ゆれ・年齢レンジ指定 |
| 継続モニタリング | ●取引先管理でリスク監視を自動化 | ●リスクアラートで日次監視・差分検索 | ●ウォッチリストを24時間365日更新し再照合 | ×継続監視機能は公開情報で確認できず |
| 提供形態 | WEB・API・CSV一括検索 | WEB・API・一括検索(Excel) | WEB・API/データフィード・一括照合(代行) | WEB・API・一括検索(最大2万件) |
| 初期費用 | 無料 | 無料 | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 27,500円〜(ライトプラン/年間600検索) | 15,000円〜/月(税別)+従量(300円/検索) | 要問い合わせ(ID利用料+検索単価×件数) | 要問い合わせ(会員制・個別見積もり) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※2026年10月時点の各社公式情報に基づきます。最新の対応範囲・料金は各社サイトでご確認ください。
制裁スクリーニングだけでなく、取引モニタリングやKYC(本人確認)まで含めてAML/CFT(マネロン・テロ資金供与対策)対応のシステムを幅広く比較したい場合は、以下の記事で主要サービスを機能・対応法令・提供形態ごとに整理しています。導入を具体的に検討する際の比較材料としてご覧ください。
1. RiskAnalyze(KYCコンサルティング株式会社)

個人名・企業名を入力するだけで、反社会的勢力とのつながり・逮捕歴・行政処分・訴訟歴・風評などをまとめた調査レポートが表示される。RiskAnalyzeは、そうした手軽さが特徴のWEBサービス型コンプライアンス・反社チェックツールです。AML/CFT対応として海外のPEPs・制裁情報の照合にも対応し、2026年には国内PEPsの照合も加わりました。
1件あたり最短0.4秒で結果を表示し、CSVによる一括検索(1,000件を約1分)にも対応します。調査の証跡はクラウド上に7年間自動保存され、CRM・基幹システムと連携するAPIも無料で提供されます。料金は初期導入費用が無料で、月額27,500円(年間600検索のライトプラン)から用意されています。
2. RISK EYES(ソーシャルワイヤー株式会社)

WEBニュースや新聞記事などの公知情報を使って取引先・従業員をスクリーニングできるのが、RISK EYESです。法人名・人名とネガティブワードを組み合わせて検索でき、検索対象にはWEB記事・新聞記事・ブログ/掲示板に加えて制裁リスト・行政処分情報・商業登記情報などが含まれます。
複数対象の一括検索やAPI連携に対応し、検索結果や確認履歴を証跡として残せます。取引先の登録・更新や検索をきっかけに、検索・結果の絞り込み・承認・証跡保存までを自動化するワークフロー機能も備え、海外の制裁・PEP情報への対応も強化が進められています。料金は初期費用が無料で、月間最低利用料金15,000円(税別)に検索ごとの従量料金が加わる体系です。
3. 日経リスク&コンプライアンス(株式会社日本経済新聞社)

日本経済新聞社が提供する日経リスク&コンプライアンスは、取引先のコンプライアンスリスク・レピュテーションリスクを特定・監視するスクリーニングソリューションです。日経グループのメディアデータベースによるネガティブニューススクリーニングと、ダウ・ジョーンズ提供のグローバルウォッチリストによるウォッチリストスクリーニングを組み合わせて提供します。
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4. SP RISK SEARCH(株式会社エス・ピー・ネットワーク)

企業危機管理を専門とする株式会社エス・ピー・ネットワークが提供するのが、会員制の反社チェックシステム「SP RISK SEARCH」です。ひとつのキーワードで、独自データベース・新聞記事検索・インターネット風評検索の結果を同時に取得し、統一フォーマットのレポートとして出力できます。
2021年には海外コンプライアンスチェック機能が加わり、海外取引における企業名・個人名でのリスク確認に対応しました。海外の制裁リスト・PEPsリストに対応し、AML/CFTや贈賄リスク対策の用途で利用できます。会員制のサービスで、料金は個別見積もり(要問い合わせ)です。
まとめ
制裁スクリーニングは、取引相手や送金の関係者・実質的支配者・輸出入品目を、財務省・国連安保理・米国OFAC・EUなどの制裁リストと照合し、制裁対象者との取引を防ぐ仕組みです。日本の事業者はまず財務省が外為法にもとづいて公表するリストを起点に、取引の通貨や相手国に応じてOFACやEUのリストへと照合範囲を広げます。
根拠は、外為法の確認義務(法令上の義務)、金融庁ガイドラインの取引フィルタリング(監督上の期待水準)、そして国際基準であるFATF勧告が重なり合っています。実務ではあいまい一致による照合とヒット時の判定、誤検知の切り分け、リスト更新時の再照合、監査証跡の保存が一連の運用になります。
これらを自社で維持する負担を踏まえ、制裁リスト・PEPsとの照合に対応したツールやサービスの活用も視野に入れて検討することをおすすめします。自社に合うサービスを見極めるために、まずは下記から複数サービスの資料をまとめて取り寄せ、照合できるリストの範囲や提供形態を比べてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 制裁スクリーニングとは何ですか?
A. 制裁スクリーニングとは、取引の相手や送金の関係者などを、各国・国際機関が公表する制裁リストと照合し、制裁対象者との取引を未然に防ぐ仕組みです。「サンクションスクリーニング」とも呼ばれます。照合する対象は口座名義人などの顧客だけでなく、送金先・取引関係者(その実質的支配者を含む)・輸出入品目まで及ぶ点が特徴です。
Q. 制裁スクリーニングは反社チェックや取引モニタリングと何が違いますか?
A. 制裁スクリーニングは、外為法や国連安保理決議などにもとづく国際的な経済制裁の対象者と、取引関係者を照合する業務です。国内の反社会的勢力との関係がないかを確かめる反社チェックや、口座開設後の入出金・送金の動きを監視する取引モニタリングとは、目的と着眼点が異なります。
反社チェックは「国内の反社該当性」、取引モニタリングは「取引の動き」、制裁スクリーニングは「相手が制裁対象の名簿に載っていないか」を見ます。実務では複数が併存しますが、本記事が扱うのは制裁リストとの照合(取引フィルタリング)です。
Q. 制裁スクリーニングで自社はどのリストに照合すればよいですか?
A. 日本の事業者は、まず財務省が外為法にもとづいて公表する「経済制裁措置及び対象者リスト」を起点に、取引の通貨や相手国に応じてOFAC(米国)・EU・国連安保理のリストへ照合範囲を広げるのが基本です。
米ドル建ての取引があれば米国OFACのSDNリスト、EUが関わる取引ならEUの制裁リストというように、取引の内容に応じて照合すべきリストが増えます。いずれも各発行主体の公式サイトで入手でき頻繁に更新されるため、常に最新版を取り込む運用が前提になります。
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Q. 制裁スクリーニングであいまい一致(ファジーマッチング)はなぜ必要ですか?
A. 氏名や団体名には表記のゆれや別名があり、完全一致だけでは制裁対象者を見逃すおそれがあるためです。 完全一致は入力した名称が制裁リストの記載と文字どおり一致するかを見る方法で確実な半面、ローマ字表記のゆれや語順の違い、別名(エイリアス)には弱く、1文字違うだけで検知できません。
あいまい一致は名称の似ている度合いをスコアとして数値化し、一定の閾値を超えたものをヒット候補として拾い上げます。閾値を下げれば見逃しは減りますが無関係な同姓同名まで拾って誤検知が増え、上げれば誤検知は減りますが見逃しのリスクが上がる、というトレードオフがあります。
Q. 制裁スクリーニングで同姓同名などの誤検知はどう切り分けますか?
A. ヒットした候補を、生年月日・国籍・住所などの属性と照らし合わせて真偽を判定します。 まず一次判定で、名称がたまたま似ているだけの明らかな誤検知と、要確認の候補に振り分けます。続く二次判定で、残った候補の属性を本物の制裁対象者の情報と突き合わせ、判断に迷う場合はコンプライアンス部門が確認します。
真偽判定に使う生年月日や本人特定事項は、犯収法の取引時確認で取得する情報と重なります。取引時確認で得た属性が整っているほど、切り分けが正確になります。
Q. 制裁リストが更新されたとき、既存の顧客も再照合が必要ですか?
A. はい。制裁リストに新たな対象者が追加された際は、過去に取引を始めた既存の顧客・取引先もあらためて照合する必要があります。 金融庁のガイドラインは金融機関等に対し、国連安保理決議等で経済制裁対象者が指定された際に「遅滞なく照合する」ことを求めています。
新たな指定があるたびに全顧客を遡って一斉に再照合することになり、その分だけ判定の件数が増えます。照合の件数・頻度と、誤検知の切り分けにかかる工数を見込んで体制を組むことが大切です。
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Q. 制裁スクリーニングは金融機関以外の事業会社にも必要ですか?
A. 金融機関以外の商社・製造業・一般の事業会社にも、外為法を通じて制裁スクリーニングに相当する確認が求められ得ます。 金融庁ガイドラインの取引フィルタリングが直接の対象とするのは金融機関等ですが、外為法の支払・資本取引の規制は居住者に広く及び、制裁対象者への支払や資本取引は許可制の対象になり得ます。
輸出入・貿易を行う事業者には、さらに輸出入・役務取引の許可・承認(所管は経済産業大臣)が関わり、輸出入品目や仕向地が制裁の対象でないかの確認が必要になります。
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Q. 制裁スクリーニングは内製とツール導入のどちらがよいですか?
A. 外為法・金融庁ガイドラインの要請を踏まえた規制知識、複数リストの最新維持、多言語の名寄せ精度、既存システムとの連携、監査証跡の保存を自社だけで担えるかが判断の分かれ目です。これらをすべて自前で維持する負担は大きいのが実情です。
そのため、制裁リストやPEPs(重要な公的地位にある人物)との照合に対応したスクリーニングツールや、公知情報とあわせて確認できる反社・コンプライアンスチェックサービスを活用する企業が少なくありません。自社の取引範囲・照合件数・運用体制に照らして、内製とツール導入を比較検討するとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















