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経理の委託はどこまで任せられる?業務範囲・費用相場と委託先の選び方

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経理アウトソーシング比較表(2026年版)

経理を担当してきた社員が退職しそう、一人で経理を回していて手が回らない、このまま社内だけで続けていいのか不安——。そんな状況で「経理って外に出せるのだろうか」と考え始めたとき、まず気になるのは「どこまでを任せられるのか」ではないでしょうか。

経理の委託(経理代行・経理アウトソーシング)では、記帳や給与計算といった日々の作業から月次決算まで幅広く任せられます。一方で、税務申告のように税理士でなければ代行できない業務もあり、何でも丸投げできるわけではありません。

本記事では、委託できる業務とできない業務の線引きを一覧で示し、費用相場を具体的な金額で整理したうえで、委託先の種類と失敗しない選び方までを解説します。自社のどの作業から外に出せるか、いくらかかるかの当たりをつけ、委託先選びの第一歩を踏み出すための材料にしてください。

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経理の委託(経理代行)とは?委託できる業務の一覧

経理の委託(経理代行・経理アウトソーシング)とは、自社で行っている経理業務の一部または全部を、外部の専門会社や会計事務所に代わりに行ってもらうことです。記帳や給与計算のような定型的な作業を切り出して任せられるため、担当者の退職や人手不足に左右されずに経理を回せるようになります。

まず押さえたいのは、「経理のどこまでを外に出せるのか」です。次の表は、主な経理業務ごとに、経理代行会社に委託できるか、税理士でないとできないかを整理したものです。自社でいま行っている作業と照らし合わせて確認してください。

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記帳(仕訳入力・会計帳簿の作成)請求書発行・売掛金管理支払・買掛金管理経費精算給与計算月次決算・試算表の作成決算書(財務諸表)の作成年末調整税務申告(確定申告書・法人税申告書などの作成・提出)税務相談
委託の可否委託できる委託できる委託できる委託できる委託できる委託できる委託できる一部のみ税理士が必要税理士が必要
補足会計事務であり税理士の独占業務ではない入金消込(入金データと請求データの照合)・未収の確認まで対応する委託先が多い振込データの作成・支払処理まで対応申請の承認は自社に残すのが一般的賞与計算を含むかは委託先により異なる経営判断に使う月次の数値を整える会計上の決算書の作成までは会計事務の範囲給与計算の一環としての計算は委託できるが、源泉徴収票など税務書類の作成・提出や税務判断を伴う部分は税理士の業務税理士でない会社には委託できない税額計算に関する相談は税理士の独占業務

記帳・請求・支払・経費精算・給与計算・月次決算といった日々の経理業務は、税理士の資格がなくても行える会計事務にあたり、経理代行会社に委託できます。記帳代行などが税理士の独占業務にあたらないことは、国税庁も公式に示しています。

一方で、税務申告や税務相談は税理士でなければ行えません。この線引きは次の章で詳しく解説します。

出典・参考資料(1件)

まずは一部の業務から始める「部分委託」という選択肢

経理の委託は、すべての業務を一度に丸投げする必要はありません。記帳や給与計算など、負担が大きく定型的な業務から切り出して任せる「部分委託」から始める方法が現実的です。

たとえば、決算・申告は従来どおり顧問税理士に依頼しつつ、日々の記帳だけを経理代行会社に委託するといった組み合わせも可能です。多くの委託先が、必要な業務だけを選んで依頼できる形を用意しています。自社の負担が特に重い作業から試し、効果を見ながら範囲を広げていくと、無理なく移行できます。

経理代行に頼めない業務(税理士の独占業務・財務業務の線引き)

経理を委託するうえで必ず知っておきたいのが、「税理士でないと代行できない業務」の存在です。頼めると思い込んでいると、計画が途中で崩れてしまいます。ここからは、経理代行会社に委託できない業務の線引きを解説します。

税務申告・税務相談は税理士の独占業務

確定申告書や法人税申告書などの税務書類の作成、税務署に対する申告の代理、税額計算に関する相談は、税理士法で税理士の業務と定められています。これらを税理士・税理士法人以外の者が行うことは法律で禁止されており、経理代行会社に委託することはできません。

税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 税務代理
二 税務書類の作成
三 税務相談

出典:税理士法 第2条第1項|e-Gov 法令検索

税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。

出典:税理士法 第52条|e-Gov 法令検索

この制限は有償・無償を問わず適用され、違反した場合は税理士法第52条違反として罰則の対象になると国税庁も案内しています。そのため、記帳までを経理代行会社に任せ、税務申告は税理士に依頼するという役割分担が基本の形になります。前章の可否表で「税理士が必要」としている業務は、いずれもこの税理士の独占業務にあたります。

出典・参考資料(2件)

年末調整は委託できる部分とできない部分がある

年末調整は、委託できる部分とできない部分が混在します。毎月の給与計算の延長としての過不足額の計算事務は、給与計算の代行として委託先が担えます。年末調整そのものは、給与を支払う事業者(雇用主)が行う手続きとして所得税法に定められているためです。

一方で、従業員に交付し税務署へ提出する源泉徴収票などの税務書類の作成や、個別の控除に関する税務判断を伴う部分は、税理士の業務に近づきます。年末調整を委託する場合は、どこまでを代行してもらえるのかを委託先に具体的に確認しておくと安心です。

出典・参考資料(1件)

資金調達・予算策定などの財務業務は対象外のことが多い

税理士の独占業務とは別の軸として、資金調達や予算の策定、投資判断といった財務業務は、経理代行の対象外とされていることが多い点にも注意が必要です。これは税理士法のような法的な制限ではなく、委託先が扱う業務範囲の問題です。財務業務は過去の取引を記録する経理業務と異なり、将来に向けた経営の意思決定にかかわる領域だからです。

資金繰り表の作成や経営アドバイスをオプションで提供する委託先もありますが、対応範囲は会社ごとに異なります。経理のオペレーションを任せたいのか、財務面の相談までしたいのかを整理しておくと、委託先を選びやすくなります。

経理を委託する費用相場

経理を委託するか判断するうえで、費用がいくらかかるかは避けて通れません。ここからは、業務別の単価と従業員規模別の月額という2つの切り口で、費用相場を具体的な金額で整理します。記帳など一部の業務だけを部分委託するなら業務別の単価を、経理をまとめて任せるなら従業員規模別の月額を目安にしてください。

いずれも2026年10月時点の各社の公開料金や一般的な相場をもとにした目安で、実際の金額は業務量や委託先によって変わります。委託先のタイプごとの料金の傾向は、後述の「経理の委託先の種類と自社に合うタイプ」で各タイプの説明とあわせて示します。

業務別の費用単価

記帳代行のように件数で課金される業務は、単価の目安を知っておくと見積もりの妥当性を判断しやすくなります。代表的な業務の単価の目安は次のとおりです。

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記帳代行給与計算決算・税務申告(税理士に依頼)
費用単価の目安1仕訳あたり50〜100円程度従業員1人あたり月1,000〜2,000円程度1回あたり10万〜25万円程度(年1回)
課金の考え方仕訳の件数に応じて変動人数に応じて変動年商や処理の複雑さで変動

月々の記帳の延長としての決算書(財務諸表)の作成までは経理代行会社に委託できますが、確定決算をもとにした税務申告書の作成・提出は税理士の業務です。そのため決算・申告の費用は、月額とは別に年1回の税理士費用として見込んでおきます。

記帳代行では、月の仕訳が一定件数を超えると追加料金がかかる料金体系が一般的です。たとえば基本料金に含まれる仕訳件数を超えた分を1件あたりの単価で加算する形です。見積もりを取る際は、自社の月間仕訳数を伝えて総額を確認すると、想定外の費用を防げます。

記帳だけを切り出して外に出したい場合は、各社の料金が1仕訳あたりの単価なのか月額定額なのかで見積もりの比べ方が変わります。会社ごとの単価相場と対応範囲を横並びで確認したいときは、以下の記事が参考になります。

従業員規模別の月額の目安

経理業務をまとめて委託する場合、料金は従業員規模や任せる業務の範囲でおおよそ決まります。規模別の月額の目安は次のとおりです。

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〜10名程度10〜50名程度50〜100名程度
月額費用の目安月3万〜10万円程度月10万〜30万円程度月20万〜50万円程度

実際の金額は、従業員数だけでなく取引の件数や締めの早さといった業務量でも変わります。記帳だけを部分委託するのか、給与計算や月次決算まで任せるのかによっても幅があるため、目安として捉えてください。

規模(おおよその年商)はあくまで目安で、実際の料金は業務の工数と納期で決まります。経理アウトソーシングを提供する株式会社Wheatの佃誠吾氏は、独自インタビューで料金の決まり方を次のように説明しています。

佃誠吾氏
株式会社Wheat 代表取締役
佃誠吾氏
独自インタビューより

料金は年商レンジを目安にしていますが、実際の金額は「工数」と「納期」の2つで決まってきます。「工数」については、単純な物量だけでなく、債権債務管理の細かさ、証憑の管理状況、部門別管理などの複雑さによって異なります。「納期」については、上場企業基準で6営業日以内に締める必要があるのか、月次試算表を翌月内に作成する中小企業向けのスケジュールで良いのか、といった要件によって必要な体制が変わりますので、これが料金を左右する大きな要因となります。

経理を委託するメリット・デメリット

経理を委託すべきかどうかは、得られる効果と注意点を天秤にかけて判断することになります。ここからは、委託するメリットと、デメリットおよびその対処法を順に解説します。

委託するメリット

最も大きいのは、経理人材の採用・教育コストを抑えられることです。経理担当者を一人採用すれば月々の給与や社会保険料がかかりますが、委託なら必要な業務量に応じた費用で専門的な処理を依頼できます。

次に、業務の属人化やブラックボックス化を解消できる点です。一人の担当者に経理が集中していると、その人が辞めた途端に業務が止まります。チーム体制で運用する委託先に任せれば、担当者の退職に左右されず経理を継続できます。

この退職や属人化は、実際に委託が相談される場面でも中心的な理由になっています。委託先への相談でどのような声が多いのか、株式会社Wheatの佃誠吾氏は独自インタビューで次のように話しています。

佃誠吾氏
株式会社Wheat 代表取締役
佃誠吾氏
独自インタビューより

最近特に多いご相談は、「急な退職で経理が止まってしまった」「担当者にしかやり方がわからない」といった、退職と属人化にまつわる切実な課題です。自走できる経理人材を新たに採用する場合、年収600万〜700万円程度の費用負担が生じるだけでなく、採用後の教育や管理負担も決して軽くはありません。中小企業にとって、これほどの人件費を「固定費」として抱え続けることは、経営上の大きなリスクになりかねません。

さらに、経理にかけていた時間を本業に振り向けられることや、専門知識に基づく処理で法改正にも対応しやすくなることも利点です。インボイス制度や電子帳簿保存法への対応を、委託先の知見を借りて進められます。

「委託する」「人を雇う」「今のまま社内で続ける」の3つを費用と特徴で比べると、違いがはっきりします。

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経理を委託する経理担当者を採用する今のまま社内で続ける
費用の目安月3万円〜(業務量に応じた変動費)給与+社会保険料(年収600万〜700万円なら月あたり50万円以上)+採用・教育コスト追加費用なし
特徴必要な業務だけを任せられ、採用・教育が不要。チーム体制なら担当者の退職に左右されない社内にノウハウが残る一方、繁忙期以外も人件費が固定費としてかかる担当者への属人化・退職リスクが残り、本業に使える時間が削られる

自社で経理人材を抱えると人件費が固定費になるのに対し、委託は任せる業務量に応じた費用で済みます。まずは負担の大きい業務だけを委託し、効果を見ながら範囲を調整していくと、コストを抑えながら経理を安定させられます。

デメリットと不安への対処

委託には外注費がかかり、社内に経理のノウハウが蓄積されにくいという面があります。加えて、多く挙がる不安が「自社の数字をリアルタイムに把握できなくなるのではないか」という点です。

この不安は、クラウド会計ソフトを共有し、月次試算表や月次レポートを定期的に受け取る運用にすることで和らげられます。クラウド会計を使えば、委託中でも経営者が最新の試算表を自分で確認できます。委託先を選ぶ際に、月次レポートの提供頻度や形式を確認しておくとよいでしょう。

情報漏洩のリスクは、守秘義務契約(NDA)やセキュリティ認証を確認して委託先を選ぶことで備えられます(確認の仕方は後述の選び方で解説します)。社内にノウハウが残らない点は、業務の進め方やルールを委託先と一緒に文書化しておくと、将来内製に戻す場合にも引き継ぎやすくなります。

委託して後悔しないためには、実際にどんな失敗が起きるのかを先に知っておくと対策を立てやすくなります。よくある失敗事例と、それを避けるための委託先選びのポイントは、以下の記事で具体的に解説しています。

経理の委託先の種類と自社に合うタイプ

経理の委託先は、大きく4つのタイプに分かれます。対応できる業務の範囲や料金帯、向いている企業規模が異なるため、自社に合うタイプを把握しておくと委託先を絞り込みやすくなります。

経理の委託先4タイプを料金帯と向いている企業で比較した図。税理士・会計事務所は月5万〜20万円+決算料で記帳から決算・税務申告まで一貫依頼でき税務の正確さ重視の企業向け。オンライン型は月3万〜15万円で必要な業務だけ組み合わせて始められ中小・一人経理向け。大手BPOは月20万円〜で大量処理・多拠点集約・内部統制に強く一定規模の企業向け。クラウド型は月3万〜20万円で会計ソフトの導入設計から実務代行までを一体で提供し仕組みから整える企業向け。

税理士事務所・会計事務所

記帳代行から決算・税務申告までを一貫して依頼できるのが、税理士事務所・会計事務所です。税務申告まで同じ窓口で完結する点が強みで、顧問契約とあわせて記帳を任せるケースが一般的です。日々の経理業務の効率化よりも、税務の正確さを重視する企業に向いています。料金の目安は月5万〜20万円程度に決算料が加わる形が一般的です。

オンライン型の経理代行

オンラインアシスタントや専門チームが、クラウドツールを使って記帳・請求・支払・給与計算などを代行するタイプです。必要な業務だけを組み合わせて依頼しやすく、比較的小さな規模から始められます。一人経理の負担を減らしたい中小企業やスタートアップに適しています。料金の目安は月3万〜15万円程度からで、任せる業務の範囲によって幅があります。

大手BPO

大手BPO(業務プロセスの外部委託を専門に手がける事業者)は、大量の取引処理や多拠点の経理集約、内部統制の強化を得意とします。対応できる業務の幅と処理能力が大きい一方、料金は月20万円以上と高くなる傾向があり、一定の規模がある企業に向いています。

クラウド型(クラウド会計ベンダー系)

クラウド会計ソフトの提供元やその連携パートナーが、ソフトの導入設計から実務代行までを一体で提供するタイプです。会計ソフトと代行をまとめて導入でき、業務フローの構築から任せられる点が特徴です。これからクラウド会計を導入する企業や、経理の仕組みごと整えたい企業に向いています。料金の目安は月3万〜20万円程度で、導入支援の有無や業務範囲によって変わります。

失敗しない経理委託先の選び方

委託先のタイプを絞ったら、具体的な会社を比較します。ここからは、委託先選びで確認したい5つのポイントを、それぞれ何をどう見るかとあわせて解説します。

依頼したい業務に対応できるか

最初に確認すべきは、自社が任せたい業務を委託先がカバーしているかです。記帳だけでよいのか、給与計算や月次決算まで任せたいのかを事前に整理し、対応範囲を照らし合わせます。税務申告まで必要なら、税理士と連携している委託先か、税理士事務所そのものを選ぶ必要があります。

セキュリティ体制は整っているか

経理では給与や取引先の情報など機密性の高いデータを扱います。守秘義務契約(NDA)を結べるか、プライバシーマークやISMS(ISO/IEC 27001)といった第三者認証を取得しているか、アクセス権限や再委託の管理方針はどうかを確認します。公式サイトの会社概要やセキュリティ方針のページで取得状況を確かめられます。

会計ソフト・ツールに対応しているか

すでに使っている会計ソフトがある場合、委託先がそのソフトに対応しているかは重要な判断材料です。freeeやマネーフォワード クラウドなど、どの会計ソフトを前提にするかは委託先によって異なります。ソフトを新たに導入するなら、導入設計から支援してくれるタイプを選ぶと移行がスムーズです。

契約期間や業務量の変動に柔軟か

繁忙期だけ業務量が増える、事業の拡大で処理件数が伸びるといった変動に対応できるかも確認します。最低契約期間の縛りがどの程度か、業務量が増減したときに料金やプランを見直せるかを見ておくと、状況の変化に合わせて使い続けられます。

コミュニケーションは取りやすいか

委託では、証憑のやり取りや質問への回答など、日常的なやり取りが発生します。連絡手段がチャットやオンライン会議に対応しているか、質問への回答が速いか、専任の担当者が付くかを確認しておくと、委託後のすれ違いを防げます。価格の安さだけで選ぶと、やり取りのしづらさでかえって手間が増えることもあるため注意が必要です。

経理の委託を始めるまでの流れ

委託先の見当がついたら、実際に依頼するまでの進め方を押さえておきましょう。委託先によって細部は異なりますが、大まかな流れは次のとおりです。

  1. 問い合わせ・相談:候補の委託先に問い合わせ、無料相談で現状の課題や任せたい業務を伝えます。
  2. ヒアリング・見積もり:現在の業務量や会計ソフトの利用状況を伝え、対応範囲と料金の見積もりを受け取ります。
  3. 契約・業務設計:契約後、業務の進め方やデータの受け渡し方法、締め日などのルールを委託先と決めます。
  4. データ連携・移行:会計ソフトの権限付与や過去データの引き継ぎ、初期設定を行います。
  5. 運用開始・月次レポート:運用が始まり、毎月の試算表やレポートを受け取りながら業務を回していきます。

相談から運用開始までは、業務設計やデータ移行を含めて1〜2ヶ月程度かかるのが一般的です。繁忙期を避けて、余裕をもって準備を始めると移行がスムーズになります。

運用が始まってから業務が安定するまでにも、もう少し時間がかかります。経理代行サービスを提供する株式会社ニットの劉氏は、独自インタビューで安定稼働までの期間とその理由を次のように説明しています。

劉氏
株式会社ニット 事業責任者
劉氏
独自インタビューより

なるべく早く引継ぎを行い、お客様の業務に支障が出ないような体制を整えますが、安定して回り始めるまでは、大体3〜4ヶ月です。経理には1ヶ月に1回しか発生しない業務がありますので、それを踏まえたスケジュールにしています。最初の1ヶ月目は、お客様が今やっている業務をそのままインストールさせていただき、どういうことをやっているのかをキャッチアップする期間です。2ヶ月目は当社側で実際に実務を回してみて、不明点や分からないところをすり合わせていきます。3〜4ヶ月目には当社側で自走できる状態になり、たまにしか出てこない仕訳などがあれば、その都度やり取りさせていただく、という流れが多いです。

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経理の委託先を比較・相談する

ここからは、委託できる業務・費用・選び方を踏まえて、実際に検討できる経理の委託先を紹介します。まずは主要な委託先を、対応業務の範囲・料金帯・対応する会計ソフトなどで比較します。

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サービス名Tenbook(テンブック)Wheat Accountingマネーフォワード おまかせ経理CASTER BIZ accountingメリービズ バーチャル経理アシスタントHELP YOU経理プレミアムBackofficeForceBricks&UKアウトソーシング
対応できる業務範囲記帳・決算書作成・税務申告書作成
(給与計算・年末調整はオプション)
記帳・請求・売掛管理・経費精算・支払・給与計算・月次決算
(税務申告は連携税理士)
記帳・請求・支払・給与計算・月次試算表(最短5営業日)
(税務申告は対象外)
経費精算・請求・支払・月次/年次処理・税理士連携
(記帳・給与計算は料金例に記載)
記帳・経費精算・請求書発行・売掛/買掛管理・月次決算
(給与計算は公式の対応業務に明記なし)
記帳・請求・支払・経費精算・給与計算・月次/年次決算・管理会計
(税務申告・税務相談は対象外)
記帳・消込・月締め・請求書発行・支払管理・給与計算
(経費精算・決算・税務申告は公式に記載なし)
記帳・請求書発行・売掛/買掛・入金消込・振込代行・給与振込・資金繰り表
(決算・税務申告は母体の税理士法人)
月額料金の目安免税事業者 29,500円〜
課税事業者 43,500円〜
(税別・決算料込み)
40,000円〜(従業員1〜10名)
60,000円〜(〜30名)
150,000円〜(〜100名)
個別見積もり
(例: 従業員5名で月10万円〜、25名で月20万円〜・税抜)
22.5万円〜68万円
(税抜・従業員規模や業務量で変動)
個別見積もり
(公式に規模・業種別の料金例あり)
15万円〜60万円
(業務範囲により/初期費用0円・税抜)
個別見積もり
(月ごとにプラン変更可/最短2カ月)
個別見積もり
(サービス単位の件数別料金)
対応会計ソフト自社「10book」
(他社ソフトからのデータ移行は可)
freee・マネーフォワード クラウド 等のクラウド会計マネーフォワード クラウド
(利用には切り替えが必要)
クラウド会計に対応
(具体的なソフト名は公式未明示)
40種類以上
(freee・マネーフォワード・勘定奉行クラウド・弥生 等)
マネーフォワード・freee・弥生・PCAクラウド 等利用中のシステムに合わせて対応
(具体名は非公表)
クラウド会計に対応
(既存利用中のソフトも活用可)
セキュリティ(NDA・認証)要問い合わせ
(第三者認証は公式に記載なし)
全スタッフと守秘義務契約
(第三者認証は公式に記載なし)
要問い合わせプライバシーマーク(運営会社)
※追加のセキュリティ対応はオプション
要問い合わせプライバシーマーク取得
(必要に応じてNDA締結)
要問い合わせ要問い合わせ
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

表の上から3社(Tenbook・Wheat Accounting・マネーフォワード おまかせ経理)は資料請求やオンライン相談に対応しており、次に特徴を詳しく紹介します。残りの会社も含め、より多くの委託先を料金や対応業務で横並びに比べたい場合は、記事末尾の比較記事もあわせてご覧ください。

Tenbook(テンブック)(シンアカウンティングサービス株式会社)

Tenbook(テンブック)のウェブサイト

Tenbook(テンブック)は、自社開発のクラウド会計ソフト「10book」を使い、記帳から決算書・税務申告書の作成までをオンラインで代行する会計サービスです。税理士法上の業務は連携するサン共同会計事務所が担うため、記帳から申告までを一つの窓口で進められます。

料金は決算料込みの月額定額で、免税事業者は月額29,500円から、課税事業者は月額43,500円から(いずれも税別)と公開されています。給与計算や年末調整はオプションです。2〜3名のチーム制で全工程をダブルチェックする体制をとっており、少人数の法人が記帳から申告までをまとめて任せたい場合に向いています。

Wheat Accounting(株式会社Wheat)

Wheat Accountingのウェブサイト

クラウド会計の導入と業務プロセスの設計から、記帳・請求・支払・経費精算・給与計算・月次決算までの継続運用までを一体で引き受けるのが、スタートアップ・スモールビジネス向けの経理アウトソーシング Wheat Accounting(ウィートアカウンティング)です。税務申告は連携する税理士が担います。

必要な業務だけを組み合わせて依頼でき、顧問税理士を変更せずに導入できる点が特徴です。料金はスモールプランが月額40,000円から用意されています。経理の仕組みづくりから任せたい、これから体制を整えたいという企業に適しています。

マネーフォワード おまかせ経理(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード おまかせ経理のウェブサイト

会計ソフト「マネーフォワード クラウド」を基盤に、導入支援から記帳・請求・支払・給与計算までを同じ窓口で代行するのが、マネーフォワード おまかせ経理です。月次試算表を最短5営業日で作成するなど、月々の数値を素早く把握できる体制が整っています。

決算や税務申告が必要な場合は、提携する税理士を紹介する形をとります。料金は、従業員5名の企業が経理業務をまとめて委託する場合で月額10万円から(税抜・個別見積もり)が目安です。クラウド会計を使って経理をまとめて任せたい中小企業に向いています。

ここで紹介した委託先のほかにも選択肢はあります。対応業務の範囲・料金・タイプ別の選び方まで含めて、経理アウトソーシングの委託先を横並びで比較検討したい場合は、以下の記事をご覧ください。

まとめ

経理の委託では、記帳・請求・支払・経費精算・給与計算・月次決算といった日々の業務を幅広く任せられます。一方で、税務申告や税務相談は税理士の独占業務にあたり、経理代行会社には委託できません。この線引きを押さえておけば、頼めると思い込んで計画が崩れる事態を避けられます。

費用は従業員規模や業務範囲で変わりますが、小規模なら月3万円台から始められる委託先もあります。最初から全部を丸投げせず、記帳や給与計算など負担の大きい業務から部分委託で始め、決算・申告は税理士に任せるという組み合わせが現実的です。自社に合いそうな委託先を2〜3社に絞り、資料を取り寄せて比較するところから始めてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 経理の委託(経理代行)とは何ですか?

A. 経理の委託(経理代行・経理アウトソーシング)とは、自社で行っている経理業務の一部または全部を、外部の専門会社や会計事務所に代わりに行ってもらうことです。記帳や給与計算といった定型的な作業から月次決算までを任せられ、担当者の退職や人手不足に左右されずに経理を回せるようになります。ただし税務申告など税理士でなければ代行できない業務もあり、すべてを丸投げできるわけではありません。

Q. 経理代行と記帳代行はどう違いますか?

A. 記帳代行は経理代行の一部で、仕訳入力や会計帳簿の作成に絞ったサービスを指します。経理代行(経理アウトソーシング)は、記帳に加えて請求・支払・経費精算・給与計算・月次決算まで幅広い経理業務を対象に含む点が異なります。記帳だけを切り出して任せたいなら記帳代行、経理全般をまとめて任せたいなら経理代行、と範囲で使い分けると分かりやすくなります。

Q. 経理代行会社と税理士事務所は、どちらに依頼すればよいですか?

A. 税務申告まで必要なら税理士事務所、日々の経理作業の負担軽減が目的なら経理代行会社が基本の選び方です。税務申告書の作成や税務相談は税理士の独占業務のため、経理代行会社には委託できず、税理士事務所か税理士と連携した委託先が必要になります。

一方、記帳・請求・支払・給与計算・月次決算といった日々の業務は税理士でなくても委託できます。作業負担の軽減が目的ならオンライン型やクラウド型の経理代行も選べます。多くの会社は、記帳などを経理代行会社に任せつつ決算・申告は税理士に依頼する役割分担をとっています。

Q. 決算・申告だけ税理士に頼んでいますが、記帳代行を追加で経理代行会社に委託できますか?

A. 委託できます。現在の顧問税理士との関係を維持したまま、記帳など日々の業務だけを経理代行会社に委託することが可能です。記帳や給与計算は税理士の独占業務ではないため、決算・申告を税理士に、記帳を経理代行会社に、と分担しても問題ありません。導入前に、税理士・経理代行会社・自社の三者でデータの受け渡し方法や会計ソフトの共有方法を決めておくと、二重入力や引き継ぎ漏れを防げます。

Q. 小規模な会社や個人事業主でも経理を委託できますか?

A. 委託できます。むしろ専任の経理担当を置きにくい小規模な会社や個人事業主こそ、経理の委託が向いています。記帳だけを部分委託する形であれば、月数万円程度から始められる委託先もあります。従業員規模や任せる業務の範囲で料金は変わるため、まずは負担の大きい作業から切り出し、月間の仕訳数などを伝えて見積もりを取ると、自社に合うか判断しやすくなります。

Q. 経理を委託すると、委託中も自社の経営の数字を把握できますか?

A. 把握できます。クラウド会計ソフトを委託先と共有すれば、委託中でも経営者が最新の試算表や残高を自分で確認できます。あわせて、月次試算表や月次レポートを定期的に受け取る運用にすると、数字を見る習慣を保てます。委託先を選ぶ際に、月次レポートの提供頻度や形式、試算表の作成にかかる日数を確認しておくとよいでしょう。

Q. 給与や取引先の情報を外部に渡すのが不安です。大丈夫ですか?

A. 守秘義務契約(NDA)の締結とアクセス権限の管理で、情報漏洩のリスクを抑えられます。あわせて、プライバシーマークやISMS(ISO/IEC 27001)といった情報セキュリティの第三者認証を取得しているか、再委託の方針はどうかを確認しておくと安心です。給与情報など特に機密性の高いデータについては、閲覧できる担当者を限定できるかを委託先に確認するとよいでしょう。

Q. 経理の委託は途中でやめられますか?

A. やめられます。契約で定めた期間や解約予告の条件に従えば、委託を終了して内製に戻すことができます。解約の際は、クラウド会計ソフトのアクセス権限の変更と、帳簿データのバックアップを忘れずに行います。最低契約期間の縛りは委託先によって異なるため、契約前に確認しておくと安心です。将来の内製化に備えるなら、委託中から業務の進め方やルールを委託先と一緒に文書化しておくと、引き継ぎがスムーズになります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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