案件ごとの採算が見えず、「全社では黒字なのに、どの案件で稼いでどの案件で損をしているのか分からない」と感じていませんか。勘定科目や部門の単位でしか予実を追えないと、受託・プロジェクト型のビジネスでは案件別の赤字を取りこぼし、気づいたときには着地が大きくぶれてしまいます。
Excelでの案件別予実管理は、案件数が増えるほど集計と更新に時間がかかり、担当者しか中身を触れない属人化も招きがちです。工数や外注費を案件ごとの原価に紐付けて、予算と実績をリアルタイムに突き合わせたい——そう考えて、案件単位で予実を管理できるシステムの導入を検討する企業が増えています。
本記事では、案件(プロジェクト)単位で予実を管理したい企業に向けて、予実管理システム18サービスを比較・レビューします。「勘定科目より細かい案件単位で予実を見られるか」「工数・外注費を案件原価に紐付けられるか」という案件管理に特有の選定観点を軸に整理しました。案件の採算管理を進める担当者が、自社の案件管理に合う製品を判断する材料としてご活用ください。
また、自社の案件管理のニーズに合うサービスを最短で見つけられるよう、「案件予実管理システムの選定診断ツール」をご用意しています。いくつかの質問に答えるだけで候補を絞り込めるので、ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事は、案件(プロジェクト)単位で予算と実績を管理したい企業を対象に、予実管理システムを比較します。IT・制作・広告・コンサルティング・建設など、売上と原価が案件ごとに積み上がる受託・プロジェクト型のビジネスで、案件別の収支や採算を把握したいケースを想定しています。
本記事は案件単位で予実を見られるかどうかを評価軸の中心に据えています。一方で、案件という絞り込みを外して、部門・全社も含めた予算編成・予実管理を広く比較したい場合は、予算管理システム全般を扱った次の記事が出発点になります。自社の管理範囲がまだ定まっていない段階でも、タイプ別の選び方・料金・機能から全体像をつかめます。
案件(プロジェクト)単位の予実管理とは
案件単位の予実管理とは、ひとつの案件(プロジェクト)を単位として、見込んでいた予算(売上・原価・利益)と、実際に発生した実績を突き合わせ、差異を把握する管理のことです。受託開発やコンサルティング、広告・制作のように、案件ごとに売上と費用が積み上がるビジネスでは、案件が利益を生む最小の単位になります。
そのため、全社や部門の数字が黒字でも、個々の案件を見ると赤字が隠れていることが起こります。案件単位で予実を管理すると、どの案件で利益が出て、どの案件で想定より原価がかさんでいるのかを、進行中から追えるようになります。製造業でいう個別原価計算(製造指図書ごとに原価を集計する考え方)を、役務提供の案件に当てはめたものと捉えると理解しやすいでしょう。
勘定科目単位・部門単位の予実管理との違い
一般的な予実管理は、売上高・人件費・外注費といった勘定科目の単位や、事業部・支店といった部門の単位で予算と実績を比べます。これは全社の財務を管理するうえで欠かせませんが、案件という横串が通っていないため、「どの案件がこの原価を使ったのか」までは分かりません。
案件単位の予実管理では、集計の軸に案件を加えます。全社から部門へ、部門から案件へ、案件から勘定科目へと階層をたどれるようにすることで、同じ実績を「部門別」でも「案件別」でも見られるようになります。勘定科目・部門だけの管理に案件の軸を一段加えるイメージで、ここが対応できるかどうかが、案件型ビジネス向けのシステム選びの分かれ目になります。

Excelでの案件別予実管理が限界になる理由
案件別の予実管理は、案件数が少ないうちはExcelでも回せます。しかし案件が増えると、案件ごとのシートや行が膨らみ、予算と実績の取り込み・集計・更新に手間がかかります。月次で各担当から実績を集め、関数やピボットで組み直す作業が、担当者の時間を圧迫していきます。
さらに、複雑な計算式が組まれたファイルは担当者しか扱えなくなり、更新が止まると最新の数字が分からなくなります。会計システムや工数管理と二重入力になりやすく、入力漏れや転記ミスも起こりがちです。リアルタイムに案件の採算を把握したい、複数人で同じ数字を共有したいという段階になると、Excelでは追いつかなくなります。
案件単位で予実管理システムを導入するメリット
ここからは、案件単位で予実を管理できるシステムを導入すると何が変わるのかを整理します。製品の比較に入る前に、案件単位で管理する価値を押さえておきましょう。
第一のメリットは、案件別の採算を同じ物差しで比較できることです。案件ごとに予算・実績・利益率が並ぶため、利益率の低い案件や原価が超過した案件を抽出し、改善や受注判断の対象を絞り込めます。勘定科目の集計では見えなかった案件ごとの採算が、一覧で扱えるようになります。
第二に、着地見込みの精度が上がります。進行中の案件の実績と残りの見込みを積み上げることで、月末・期末の着地を早めに読めるようになります。予算と実績の差異が出た時点で手を打てるため、赤字の深掘りを防ぎやすくなります。
第三に、属人化の解消とデータの一元化が進みます。Excelの集計から解放され、同じ数字を関係者がリアルタイムに共有できます。工数や外注費を案件原価に自動で紐付けられるシステムなら、現場の入力がそのまま案件の採算に反映され、二重入力の手間も減ります。
案件単位の予実管理に必要な機能
ここでは、案件単位で予実を見るために必要な機能を整理します。製品ごとの優劣ではなく、「案件管理のために何が備わっているべきか」という要件の解説です。
案件別の予算策定・実績集計・差異分析
案件ごとに予算(売上・原価・利益)を登録し、実績を集計して差異を表示する機能が土台になります。勘定科目や部門だけでなく案件を集計の軸に持てること、予算・実績・着地見込みを同じ画面で並べられることが、案件単位の管理では欠かせません。
工数・外注費を案件原価に紐付ける仕組み
案件型ビジネスの原価の多くは、人件費(工数)と外注費が占めます。そのため、工数や外注費をどこまで案件の原価に結び付けられるかは、製品によって差が出る部分です。工数管理と連携して、入力した作業時間を単価で労務費に換算し、案件原価へ自動で積み上げられる製品もあれば、原価は手入力・取り込みが前提の製品もあります。
間接費をどう扱うかも確認したいポイントです。特定の案件に直接ひもづく費用(直課)はそのまま案件原価になりますが、複数案件にまたがる間接費は、工数比や売上比などの基準で各案件へ配賦する必要があります。配賦の基準を自由に設定できるか、そもそも配賦に対応しているかは、案件採算の正確さに直結します。
着地見込み・会計システム連携・ダッシュボード
進行中の案件について、実績と残りの見込みから着地を予測する機能があると、早めの軌道修正に役立ちます。また、会計ソフトやERPと連携して実績データを取り込めると、二重入力を避けられます。案件・部門・全社と視点を切り替えながら、気になる数字を掘り下げられるダッシュボードやドリルダウンの使い勝手も、日々の運用では重要です。
この着地見込みを、期の途中で繰り返し更新しながら運用していく手法が「ローリングフォーキャスト」です。進行中の案件が多く計画の前提が変わりやすいビジネスとは相性がよく、以下の記事で考え方・運用のコツと、対応する国内システムまで解説しています。
案件予実管理システムのタイプ
案件単位で予実を管理できるシステムは、得意とする領域によって大きく3つのタイプに分けられます。自社が案件管理のどこに重きを置くかで、向いているタイプが変わります。
| タイプ | 案件・プロジェクト単位の予実・原価に強いタイプ | 部門・全社の経営管理を一元化するタイプ | Excel親和・手軽に始めるタイプ |
|---|---|---|---|
| 向いている企業 | 受託開発・制作・コンサルなど、案件ごとの採算と原価を細かく管理したい企業 | 部門・拠点・グループ横断で予算編成から予実・連結まで一元化したい企業 | Excelの運用を活かしつつ、小規模から脱属人化・自動集計を進めたい企業 |
| 特徴 | 勘定科目より細かい案件単位で予算・実績・着地を管理できる。工数や外注費を案件原価まで自動で積み上げる製品(PSA型)と、案件・プロジェクト単位の予実・KPIに強い製品が含まれ、原価の紐付けの深さには幅がある | 全社の経営管理が中心で、案件は部門配下のセグメントとして扱う。多軸の分析やレポーティングに強い | Excelの操作性やデータ資産を活かして導入しやすい。案件は集計軸やタグとして設計して扱う |
案件ごとの原価管理を最優先するなら最初のタイプ、全社の経営管理の一部として案件も見たいなら2つ目のタイプ、まずは小さく始めたいなら3つ目のタイプが候補になります。
特に、工数や外注費を案件原価まで自動で積み上げたい場合は、最初のタイプのなかでもプロジェクト原価管理を主機能とする製品が中心的な選択肢になります。該当する製品は、次の比較表と診断ツールで確認できます。
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【比較表】案件単位で選ぶ予実管理システム
ここからは、案件単位で予実を管理できる18サービスを、先ほどの3タイプ別に比較します。「案件/プロジェクト単位の予実管理の可否・粒度」「工数・原価の案件への紐付け」「会計・ERP連携」「提供形態/対象規模」「料金」を軸に整理しました。
案件単位での予実・原価管理を必須とするなら、最初の「案件・プロジェクト単位の予実・原価に強いタイプ」が中心的な選択肢です。2つ目・3つ目のタイプは案件を部門配下の軸やタグとして扱う代替候補で、案件単位の対応度は製品ごとに差があるため、下表の「案件単位の予実管理」「工数・原価の案件への紐付け」の列で見極めてください。
表中の◎は主機能として対応、●は対応(範囲に限定あり)、△は設定や確認が必要なことを表します。
案件・プロジェクト単位の予実・原価に強いタイプ
| サービス名 | DIGGLE(ディグル) | X-KPI(クロスケーピーアイ) | Scale Cloud(スケールクラウド) | クラウドERP ZAC | MA-EYES | Reforma PSA | プロカン |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 案件単位の予実管理 | ●勘定科目より細かい単位で損益を管理(予算ID・多段階配賦) | ●部門・拠点・プロジェクト単位でKPIと予実を集約 | ●部門・得意先・プロジェクト単位でPLを管理(KPI積み上げ) | ◎案件・プロジェクト単位の収支管理が主眼 | ◎プロジェクト単位で損益を管理(製品・ジョブ単位にもカスタマイズ可) | ◎案件・プロジェクト単位で損益・予実を管理 | ◎案件単位で予算・実績・原価を管理 |
| 工数・原価の案件紐付け | △多段階配賦に対応(工数からの労務費自動集計は要確認) | 公式に記載なし | 公式に記載なし | ◎工数を案件別の労務費へ自動集計+共通費配賦 | ◎工数×基準時間単価で労務費を案件原価へ反映+配賦(基準を自由設定) | ◎工数登録から労務費を案件原価へ反映+共通費配賦 | ◎工数×労務単価で人件費を案件原価へ換算+間接費按分 |
| 会計・ERP連携 | freee会計・マネーフォワードクラウド会計・勘定奉行クラウド・弥生等とAPI/CSV連携 | 会計ソフト・グループウェアとAPI連携(ETLでExcel/CSV・基幹・SFAも取込) | 勘定奉行クラウド・freee・Salesforce等とAPI/CSV連携 | 仕訳取込に対応する会計システムと連携(勘定奉行クラウド等)。販売・原価をZAC内で統合 | 勘定奉行クラウドとAPI連携(仕訳・工数・案件データ等を連携) | 勘定奉行クラウド・弥生会計・マネーフォワードクラウド会計へファイル連携(API直接連携ではない) | 弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードと連携(会計連携はオプション) |
| 提供形態/対象規模 | クラウド(SaaS) 中堅〜大企業 | クラウド(SaaS) 中堅〜大企業 | クラウド(SaaS) 成長企業〜上場企業 | クラウドERP 従業員50名〜の中堅〜大企業 | クラウドERP(SaaS/一括) 中堅〜大企業 | クラウドERP 従業員50名以下が目安の中小・成長企業 | クラウド(SaaS) 中小〜中堅企業 |
| 料金(初期/月額) | 初期: 要問い合わせ 月額: 要問い合わせ | 初期: 要問い合わせ 月額: 要問い合わせ | 初期: 要問い合わせ 月額: 15万円〜(公式トップ) | 初期: 10万円〜 月額: 要問い合わせ(保守6万円〜/月) | 初期: 要問い合わせ 月額: 要問い合わせ | 初期: 0円 月額: 3万円〜(税抜) | 初期: 15万円〜(税込16万5,000円〜) 月額: 3万円〜(税込3万3,000円〜) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
※2026年10月時点の各社公式情報に基づく。最新の料金・機能は各社にご確認ください。
部門・全社の経営管理を一元化するタイプ
| サービス名 | Loglass 経営管理 | Manageboard | BizForecast | Sactona | AVANT Cruise | Amoeba Pro 管理会計クラウド | fusion place |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 案件単位の予実管理 | △全社・部門の経営管理が主眼。案件は部門配下の分析軸として扱える範囲(案件単位の対応は要確認) | △タグ分析・部門グルーピングの範囲で案件を扱う(専用の案件軸は要確認) | △管理セグメントの一区分として扱う設計が想定(案件単位の範囲は要確認) | △プロジェクト管理機能を備える(案件単位の予実の粒度は要確認) | △案件(プロジェクト)を独立した管理軸にできるかは公式に明記なし(要確認) | ●最大6つの分析セグメントの1つにプロジェクトを設定し部門と掛け合わせ分析 | △多次元データベースの設計次第で案件を分析軸にできる(要確認) |
| 工数・原価の案件紐付け | △配賦に対応(工数の案件原価への自動集計は要確認) | △共通費配賦(売上高比・人数比)に対応(工数の案件原価紐付けは要確認) | △配賦処理に対応(工数の案件原価紐付けは要確認) | 公式に記載なし | △多段階配賦に対応(工数の案件原価紐付けは要確認) | △配賦・徴収の管理会計ルールに対応(工数の案件原価紐付けは要確認) | 公式に記載なし |
| 会計・ERP連携 | 散在するExcel・会計ソフトの予算・実績データを収集・統合(Excel/API連携) | マネーフォワードクラウド会計・freee・勘定奉行クラウドとAPI連携(スプレッドシート・CSVも) | 会計システムとAPI連携・Excel/CSVインポート(API仕様は要確認) | SuperStream(キヤノンITS)とアライアンス連携・Excel連携(汎用APIは要確認) | 個別会計システム連携・ノーコードETLに対応(API提供の明示は要確認) | 勘定奉行クラウド連携(財務連携オプション)。Excel・会計・販売管理とファイル連携 | Excel-Link・多次元DBへのデータ取込(会計/ERPのAPI連携仕様は要確認) |
| 提供形態/対象規模 | クラウド(SaaS) 中堅〜大企業 | クラウド(SaaS) 中堅〜大企業(事例は60〜1,500名) | クラウド/オンプレミス(Enterprise) 中堅〜大企業 | クラウド/オンプレミス 小規模〜大規模(10〜1,000ユーザー超) | クラウド(SaaS) 成長企業〜大規模・グローバル企業 | クラウド(SaaS) 規模を問わず(5ユーザー〜) | クラウド(AWS)/オンプレミス 3ユーザー〜数万ユーザー |
| 料金(初期/月額) | 初期: 要問い合わせ 月額: 要問い合わせ | 初期: 要問い合わせ 月額: 要問い合わせ(3プラン) | 初期: 要問い合わせ 月額: 要問い合わせ(連結FCは月額10万円〜) | 初期: 要問い合わせ 月額: 要問い合わせ | 初期: 要問い合わせ 月額: 要問い合わせ | 初期: 要問い合わせ 月額: 要問い合わせ(個別見積もり、最低12か月) | 初期: 要問い合わせ(無料版は0円) 月額: 無料版あり・有償は要問い合わせ |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※2026年10月時点の各社公式情報に基づく。最新の料金・機能は各社にご確認ください。
Excel親和・手軽に始めるタイプ
| サービス名 | iFUSION | kpiee(ケーピー) | ヨジツティクス | Finovo(フィノボ) |
|---|---|---|---|---|
| 案件単位の予実管理 | △既存Excelフォーマットの設計次第で案件を集計軸にできる(固定ロジックなし) | △分析軸を自由に設定でき最大20階層までドリルダウン(案件を軸にできるかは要確認) | △P/Lの勘定科目が分析の軸(案件を集計軸にできるかは要確認) | △データの持たせ方次第で案件を分析軸に組み込める(案件単位を主眼とした製品ではない) |
| 工数・原価の案件紐付け | △Excel運用で原価集計に活用可(工数連携・配賦基準は要確認) | △事業部横断の配賦計算に対応(工数の案件原価紐付けは要確認) | 公式に記載なし | △配賦計算に対応(工数の案件原価への自動集計は要確認) |
| 会計・ERP連携 | 基幹・会計・販売システムと連携(SMILEシリーズ等。API可否は要確認) | 会計・人事・販売管理・SFA等とAPI/RPA/SFTPで自動連携 | 会計システム等の実績をアップロードで取込(API連携は公式に記載なし) | CSV/Excelをアップロードで取込(API連携はオプション・要確認) |
| 提供形態/対象規模 | クラウド/オンプレミス 上場企業含む全規模 | クラウド(SaaS、DWH搭載) 中堅〜大企業 | クラウド(SaaS) 全社利用前提(規模の明示なし) | クラウド(SaaS) スタートアップ〜大企業 |
| 料金(初期/月額) | 初期: 要問い合わせ 月額: 要問い合わせ | 初期: 要問い合わせ 月額: 要問い合わせ(最低12ヶ月) | 初期: 要問い合わせ 月額: 要問い合わせ(ユーザー数無制限の定額制) | 初期: 要問い合わせ 月額: 要問い合わせ |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※2026年10月時点の各社公式情報に基づく。最新の料金・機能は各社にご確認ください。
サービス個別紹介
比較表で挙げた各サービスについて、案件単位への対応を中心に特徴を紹介します。自社の案件管理の進め方に照らしながら読み進めてください。
案件・プロジェクト単位の予実・原価に強いタイプ
まずは、案件(プロジェクト)単位での予実・原価管理を主眼に置いたサービスです。工数や外注費を案件原価に紐付けたい企業に向いています。
1. DIGGLE(ディグル株式会社)

予算策定から予実突合、着地見込みの管理、レポーティングまでをクラウド上で完結させる、予実管理に特化したサービスです。会計システムとAPI連携して実績を自動で取り込み、勘定科目より細かい粒度で損益を管理・分析できます。
配賦は、配賦元・配賦先・配賦基準を設定できる多段階配賦に対応します。配賦ルールはワンクリックで切り替えられ、配賦後の数値はスナップショットとして保存して比較できます。予算IDを付けて予算と実績を個別に突き合わせられるため、科目を横断した細かい単位でも採算を追えます。
計画・見込・実績を対比し、複数年度にわたる分析やBIツールへのデータ出力にも対応します。Excel中心の属人的な予実管理から脱し、経営企画・管理部門が同じ数字を共有したい企業の選択肢になります。
なお、勘定科目より細かい単位での損益管理と配賦が主眼で、工数を単価換算して案件原価へ自動で積み上げる仕組みは公式に明示されていません。工数ベースの案件原価管理を重視する場合は、対応範囲を確認しておくとよいでしょう。
2. X-KPI(株式会社パブリックアイデンティティ)

株式会社パブリックアイデンティティが日本経済社グループの一員として提供する、クラウド型のKPI・予実管理ツールです。部門・拠点・プロジェクトごとのKPIと予実データを一つの画面に集約し、リアルタイムに可視化します。
予算と実績のズレや異常値を自動で検知し、原因とともにチャットツールへ通知する仕組みを備えます。KPIやダッシュボードはノーコードで設計でき、会計ソフト・グループウェアとAPI連携して実績データを取り込めます。
部門・拠点・プロジェクトを横断してKPIと予実を一元把握したい中堅〜大企業に向いた構成です。Excelでの集計が属人化・非効率になった状態の解消を主な用途に据えており、導入実績として大手メディア・金融・小売・IT・制作会社など5社が掲載されています(個社名は非公表)。
KPIと予実の可視化が主眼で、工数や外注費を案件原価へ自動で積み上げる原価計算機能は公式に確認できません。案件単位の採算を原価まで踏み込んで管理したい場合は、対応可否を問い合わせで確認しておくと安心です。
3. Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)

公認会計士である代表のコンサルティング経験をもとに開発された、財務数値(PL・BS・CF)と非財務指標であるKPIを関連づけて一元管理する経営管理クラウドです。予算の達成度と、その再現性を高めることを狙って設計されています。
特徴は、KPIを積み上げて予算を作成できる点です。たとえば商談数と成約率から契約数を求め、単価を掛けて売上予算を組み立てる設計ができます。部門・得意先・プロジェクトなどの単位でPLを管理でき、KPIの変化がPLにどう影響するかをシミュレーションできます。
料金は公式サイトで月額15万円からと案内されています。導入事例では、他社システムからの乗り換えで予実管理の工数が約40%削減できた、Excelやスプレッドシートからの移行で工数が約6分の1になったといった声が公表されています。
PL・KPIの管理が中心で、作業工数を案件原価へ自動で積み上げる仕組みは公式に明示されていません。プロジェクト単位のPL管理には対応するため、原価の紐付けをどこまで行えるかは導入前に確認するとよいでしょう。
4. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

案件・プロジェクト単位で業務が進む業種に特化した、統合型のクラウドERPです。東証プライム市場に上場する株式会社オロが提供し、IT・広告・コンサル・士業などを対象に、プロジェクト別の収支管理を軸として販売・購買・勤怠/工数・経費・管理会計を一元化します。
工数管理で入力した作業時間は、自動的に案件別の労務費として集計されます。直接作業は指定した案件に直課し、間接作業は部門配下の案件へ再配賦する仕組みで、外注費・仕入・経費とあわせて案件ごとに原価を積み上げられます。共通費や販売費・一般管理費の配賦にも対応します。
案件単位で予定・実績の労務費や作業時間、進捗率を同じ画面で確認でき、進行中から採算のずれを追えます。料金はモジュール(機能)×ライセンス数の課金で、初期設定費用10万円、保守費用は月額6万円から(ライセンス数により変動)と公開されています。
5. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

日々の工数登録から人件費・外注費・経費を案件原価へ反映し、プロジェクト単位の損益をリアルタイムに可視化するクラウド型ERPです。システム開発・SES・コンサルティングなど、人件費が主な原価になるプロジェクト型ビジネスを対象にしています。
工数はマスタに設定した基準時間単価と作業時間を掛けて労務費に換算し、案件原価へ反映します。配賦基準には工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数といった非システム情報も設定できます。原価の把握単位は標準ではプロジェクトですが、製品・ジョブなど別の単位にもカスタマイズできます。
導入形態は、利用人数と機能で料金が変わるSaaS版、カスタマイズに対応するSaaS+版、人数によらず定額の一括版の3種類から選べます。公式サイトでは30日間の無料トライアルも用意されています。
6. Reforma PSA(株式会社オロ)

同じ株式会社オロが提供する、案件・プロジェクト型ビジネス向けの機能を標準パッケージに絞ったクラウドERPです。公式の比較では従業員50名程度までを目安とし、ZACより短期間・低コストで導入できる位置づけとされています。
初期費用は0円、月額は3万円(税抜)からで、利用する機能と人数に応じて変動します。販売管理・購買管理・勤怠工数管理・経費管理を備え、導入期間は1〜2か月程度が目安とされています。
工数登録を前提とした労務費配賦・共通費配賦により、案件ごとに外注費と労務費を集計し、仕掛中でも案件別の損益を把握できます。プロジェクト別に予定工数と実績工数を対比して、労務費の上振れを早めに捉えられます。
7. プロカン(株式会社PROCAN)

案件単位で進行する受託型ビジネスに特化した、クラウド型のプロジェクト収支管理システムです。株式会社PROCANが提供し、IT・システム開発向けの「プロカンIT」、制作・広告向けの「プロカン制作」、建設・工事向けの「プロカン建設工事」を業種別に用意しています。
案件ごとに予算・実績・原価を一元管理し、社内人員の工数を工数×労務単価で人件費に換算して、外注費などの社外コストとあわせて案件別の粗利を可視化します。Googleカレンダーに登録した作業内容と連携し、工数入力を支援する機能も備えます。
料金は初期費用15万円(税込16万5,000円)から、月額3万円(税込3万3,000円)からで、利用人数に応じて変動します。弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードといった会計ソフトとの連携に対応します。
部門・全社の経営管理を一元化するタイプ
続いて、部門・全社の経営管理を一元化するなかで案件も扱えるサービスです。これらは全社の予算編成・予実・連結が主眼で、案件は部門配下のセグメントや分析軸として扱う位置づけのため、案件単位の原価管理の深さは製品ごとに差があります。予算編成から予実・レポーティングまで広くカバーしたい企業に向いています。
8. Loglass 経営管理(株式会社ログラス)

散在するExcelや会計ソフトの予算・実績・見込データを収集・統合し、予算策定から予実管理、多軸分析、レポーティングまでを一つの基盤で扱うクラウド型の経営管理システムです。提供元は株式会社ログラスです。
予算・実績・見込を自由に組み合わせて並べて比較でき、差異はドリルダウンで仕訳・摘要レベルまで遡れます。配賦機能や独自KPIの設定、多軸分析に対応し、チャットで差異検知や要因分析、報告サマリ作成までを行うAI分析機能を追加費用なしで利用できます。
ただし全社・部門の経営管理を主眼とする製品のため、案件(プロジェクト)を部門配下の分析軸としてどこまで扱えるかは、資料請求や問い合わせで確認したい点です。料金は要問い合わせで、対象は中堅〜大企業とされています。
9. Manageboard(マネーフォワードコンサルティング株式会社)

予算編成・予実管理・着地見込み・財務分析・業績シミュレーションを一つのクラウド上で扱う、予算管理・経営管理プラットフォームです。提供元はマネーフォワードコンサルティング株式会社です。
財務三表とKPIを連動させ、PLの勘定科目から配下のKPIや総勘定元帳の明細へドリルダウンできます。マネーフォワード クラウド会計・freee・勘定奉行クラウドとのAPI連携やGoogleスプレッドシート連携で実績を取り込み、最大10階層の部門グルーピングと共通費配賦(売上高比・人数比)に対応します。
料金はプレミアム・スタンダード・エッセンシャルの3プランで、ユーザー数に応じた従量課金(金額は要問い合わせ)です。案件単位の予実は、タグによるデータのセグメンテーションや部門グルーピングの範囲で扱う形が中心で、工数・外注費を案件原価に積み上げられるかは確認が必要です。
10. BizForecast(プライマル株式会社)

プライマル株式会社が提供する「BizForecast」は、予実管理・管理会計(BC)、連結決算・連結会計(FC)、人事評価(HR)の3モジュールで構成されるシリーズです。予算編成から予実・連結まで一つのシリーズでカバーできる点が特徴です。
予実管理のBCモジュールは、管理セグメント明細単位での計画策定、予算実績対比、着地見込み(ローリングフォーキャスト)、配賦処理、ワークフローに対応します。「脱Excel」ではなく「活Excel」を掲げ、Excelの入力・集計を保ちつつデータをデータベースで一元管理する設計です。
案件(プロジェクト)は管理セグメントの一区分として扱う設計が想定され、案件単位でどこまで予実を持てるかは問い合わせで確認したい点です。料金は連結のFC Standardが月額100,000円〜(税抜・年払い・連結対象グループ5社まで)、BCモジュールとFC Enterpriseは個別見積もりです。
11. Sactona(アウトルックコンサルティング株式会社)

経営管理最適化プロジェクトで蓄積したノウハウを製品化した経営管理システムです。提供元のアウトルックコンサルティング株式会社は、マネジメント・システムコンサルティングを手がける会社だと位置づけています。
予算編成・予実管理・見込管理・経営計画を軸に、連結管理やプロジェクト管理、承認ワークフロー、ダッシュボードなどの機能を備えます。ユーザーインターフェースにExcelを採用し、Microsoft技術ベースで10ユーザーの小規模から1,000ユーザー超の大規模までスケールするとしています。日本語・英語・中国語に対応します。
主要機能にプロジェクト管理が含まれ、案件を管理の軸に寄せられる可能性がありますが、案件単位の予実をどこまで細かく持てるかは確認したい点です。提供形態はクラウド・オンプレミスから選べるとされ(公式の明示は要確認)、料金は要問い合わせです。
12. AVANT Cruise(株式会社アバント)

連結会計パッケージ「DivaSystem」を展開してきた株式会社アバントが提供するクラウド型の経営管理システムです。財務情報に加え、PSI(生産・販売・在庫)や人事・営業などの非財務情報も統合して管理できます。
中期経営計画・予算管理・予実比較に加え、ROIC/ROEなどのKPIマネジメント(事業別ROIC算出を含む)、配賦、差異分析、連結処理(会社間・セグメント間取引消去)に対応します。経営管理レポート90種を標準搭載し、設定のみで最短1週間から利用を始められる「導入レスパッケージ」として提供されます。
案件(プロジェクト)を独立した管理軸として扱えるかは公式に明記がなく、問い合わせで確認したい点です。導入実績として示される「1,200社超」はアバントの経営管理支援実績であり、AVANT Cruise単体の導入社数ではありません。料金は要問い合わせです。
13. Amoeba Pro 管理会計クラウド(京セラコミュニケーションシステム株式会社)

京セラのアメーバ経営を背景に持つクラウド型の管理会計システムです。提供元は京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)で、公式FAQでは「アメーバ経営導入企業様だけではなく、一般的な予実管理・経営管理ツールとして、幅広い業種に導入されています」と説明しています。
予算の作成・集計から実績連携までを自動化し、部門・事業・商品・プロジェクトなど最大6つの分析セグメントを設定してマトリックス分析ができます。配賦や徴収といった管理会計の運用ルールに合わせた処理に対応し、一人当たり売上高などの非財務KPIを独自の計算式で設定できます。
最大6セグメントのひとつにプロジェクトを設定でき、部門と掛け合わせた採算分析に案件の軸を加えられます。料金は現行ではユーザー数に応じた個別見積もりで、最低利用期間は12か月です(提供開始時の2020年8月には月額65,000円/5ユーザー〜〈税抜〉と公表されていました)。
14. fusion place(株式会社フュージョンズ)

株式会社フュージョンズが提供する経営管理システム(公式呼称「クラウド経営管理ワークプレイス」)です。リアルタイムに更新・集計する独自の多次元データベースを核に、ユーザーが設計したExcelシートをフロントエンドとして経営管理プロセスを支援します。
予算編成・予算管理、管理会計(月次の予実管理・差異分析)、グループ経営管理を主要領域とし、Excelのセルと多次元データベースを双方向連携するExcel-Link、部署ごとに未確定データを保持するワークスペースとワークフロー、版管理を備えます。提供形態はクラウド(AWS基盤)とオンプレミスから選べます。
3ユーザーまで主要機能を使える恒久無料プラン(Standard)があり、費用をかけずに導入を検証できます。有償のEnterprise・Enterprise Non-Stopは年間利用料で要問い合わせです。案件(プロジェクト)を分析軸として扱えるかは多次元データベースの設計次第のため、問い合わせで確認したい点です。
Excel親和・手軽に始めるタイプ
最後に、Excelの操作性や資産を活かして手軽に始められるサービスです。案件は集計軸やタグとして設計して扱うため、案件単位の予実を主目的にするなら設定の自由度を確認したいところですが、小規模から脱属人化と自動集計を進めたい企業に向いています。
15. iFUSION(株式会社インプレス)

iFUSIONは、現場で使っているExcelのフォーマットをそのまま活かしながら、各部門に散らばるExcelデータをデータベース化して一元管理する、株式会社インプレスのExcel運用サポートシステムです。予算編成や予実・見込管理のデータ収集・エラーチェック・集計・レポート作成を自動化し、Excelの配布や集計にかかる手間を減らします。
案件(プロジェクト)単位で予実を見られるかは、自社が用意するExcelフォーマットの設計に左右される点に注意が必要です。iFUSIONは固定の原価積み上げロジックを持つ専用システムではなく、既存のExcel運用をそのままデータベース化する仕組みのため、案件を集計軸として設けるかは現行フォーマットの作り方次第になります。
案件単位での実行予算の登録や原価集計に対応できるかは公式サイトで明示されていないため、案件単位の運用可否は問い合わせで確認するのが確実です。料金は要お問い合わせで、クラウドとオンプレミスのどちらでも導入できます。既存のExcel資産を大きく作り替えずに脱属人化と自動集計を進めたい企業に向いています。
16. kpiee(株式会社データX)

kpiee(ケーピー)は、株式会社データXが提供する、DWH(データウェアハウス)を搭載した経営管理SaaSです。会計・人事・販売管理などのシステムやExcel・スプレッドシートのデータをAPIやRPAなど複数の方式で自動的に取り込み、予算・実績・見込みの突合や可視化を一つのダッシュボードで行えます。
分析軸を自由に切り替えられ、最大20階層までドリルダウンできるため、部門や事業を横断した多軸の分析に対応します。ただし案件(プロジェクト)を集計軸として扱えるかは公式情報では明示されていないため、案件単位で予実を見たい場合は、その設計が可能かを問い合わせで確かめておくと安心です。
料金は初期費用と月額のサブスクリプションで、要お問い合わせです。最低利用期間は12ヶ月で、無料トライアルはなくデモの提供となります。公式では中堅から大企業、複数事業や子会社を抱える組織を主な対象としており、小規模から手軽にというより、散在するデータの統合を自動化したい企業に向いたタイプです。
17. ヨジツティクス(株式会社カオナビ)

ヨジツティクスは、タレントマネジメントシステムで知られる株式会社カオナビが提供する予実管理クラウドです。損益計算書(P/L)の勘定科目などの経営データと非財務データを一元化し、複数の部門が入力した予算・見込み・実績を自動で集計・可視化して、経営陣から現場までが同じ数字をリアルタイムに共有できます。
表計算ソフトのデータをアップロードして始められる手軽さがあり、Excelの配布・回収・集計をシステム上の入力と自動集計に置き換えられます。着地見込みレポートやローリングフォーキャスト、予算との乖離を設定した幅でアラート表示する乖離レポートなど、予実管理に絞った機能を備えています。
料金はユーザー数無制限の定額制で金額は要お問い合わせ、経営企画から現場まで全社で使う前提の設計です。分析はP/Lの勘定科目を軸に据えており、案件(プロジェクト)を集計軸として扱えるかは公式に明示がないため、案件単位の予実を重視する場合は対応可否を確認するとよいでしょう。連結対応は公式に明示がなく、単体P/Lの予実管理が中心です。
18. Finovo(株式会社Finovo)

Finovo(フィノボ)は、公認会計士の久田隆大氏が代表を務める株式会社Finovoが2023年11月に提供を始めた管理会計プラットフォームです。CSVやExcelなど任意の形式のファイルをそのままアップロードすると、事前に設定した内容に基づいて集計・加工が自動で行われ、散在する財務・非財務データの回収から分析までをノーコードで進められます。
公式が対応業務として挙げるのは、予実管理(予実差異分析・部門別P/L・見込み管理)・原価管理・連結業績管理・KPIモニタリング・監査対応です。データへのタグ付けや組替・配賦計算・為替換算に対応するため、データの持たせ方を設計すれば案件を分析軸に組み込む使い方も考えられますが、案件(プロジェクト)単位の予実を主眼にうたった製品ではなく、対応範囲は問い合わせで確認するのが確実です。
料金は複数プラン制で、いずれも要お問い合わせです。無料トライアルの有無は公式では確認できないため、提供の有無や条件は問い合わせで確かめてください。公認会計士など専門性の高い担当者が導入から運用まで伴走する支援体制を設けており、管理会計の体制づくりから相談したい企業に向いたタイプです。
案件単位で予実管理システムを選ぶときの比較ポイント
製品を見てきたうえで、案件単位での予実管理に絞って、どのような観点で選べばよいかを整理します。自社の案件の進め方に当てはめて確認してください。
案件粒度で管理できるか。最も重要なのは、勘定科目や部門より細かい案件単位で予算・実績を持てるかどうかです。案件の下にさらに工程やフェーズを設けたい場合は、その階層まで扱えるかも確認します。全社・部門の予実管理が主眼の製品は、案件は部門配下の一区分としてしか扱えないことがあります。
工数・原価を案件に紐付けられるか。人件費と外注費が原価の中心になる案件型ビジネスでは、工数管理と連携して労務費を案件原価に自動で積み上げられるか、間接費を配賦できるかが採算の正確さを左右します。原価が手入力・取り込み前提の製品と、工数から自動集計できる製品では、運用の手間が大きく変わります。
評判・導入実績を確認できるか。機能表だけでは分からない使い勝手は、自社と近い業種・規模の導入事例や、レビューサイトでの評価が補ってくれます。特に案件単位の運用で使えているかという観点の口コミは、導入後のミスマッチを避ける手がかりになります。資料請求とあわせて、公式の導入事例や第三者の評価も確認しておくとよいでしょう。
そのほか、会計ソフト・ERPとの連携(実績の取り込みで二重入力を避けられるか)、リアルタイムな共有と権限設定(関係者が同じ数字を見られ、案件ごとに閲覧範囲を制御できるか)、自社の規模と料金の釣り合い(中小の案件管理に対して過剰な大規模向け製品になっていないか)、無料トライアルやデモの有無(導入前に案件単位で使えるか試せるか)も、合わせて確認したい観点です。
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案件予実管理システムの費用相場
費用は製品のタイプと規模によって幅があります。2026年10月時点では、料金を公開せず個別見積もりとする製品が多く、正確な費用は各社への問い合わせで確認するのが前提になります。ここでは、おおまかな傾向を押さえておきましょう。
案件・プロジェクト単位に強いタイプには、初期費用0円〜10万円程度・月額3万円台から始められる製品があります。小規模から案件別の収支管理を始めたい企業は、この価格帯が目安になります。各製品の具体的な金額は、比較表の料金列で確認してください。
一方、部門・全社の経営管理を一元化する大規模向けの製品やグローバル製品は、要件に応じた個別見積もりで費用も相応に大きくなります。料金体系も利用人数で決まるもの、機能や管理対象の範囲で決まるものなどさまざまで、正確な費用は各社への問い合わせで確認するのが前提です。
自社の案件数・利用人数・必要な機能に照らして、料金の釣り合いを見極めることが大切です。
導入・運用時の注意点(案件単位で見られない失敗を避ける)
案件単位の予実管理システムは、導入すれば自動で案件の採算が見えるわけではありません。「入れたのに結局案件単位では見られなかった」という失敗を避けるために、導入前に押さえておきたい点を挙げます。
ひとつは、案件の粒度と原価の集計ルールを最初に設計することです。どこまでを1案件とするか、工数や間接費をどの基準で案件に割り振るかを曖昧にしたまま運用を始めると、案件ごとの数字がそろわず比較できません。配賦の基準は、工数比・売上比など自社の実態に合うものを選び、運用しながら見直せるようにしておきます。
もうひとつは、既存の会計システムや工数管理との二重管理を避けることです。実績を手入力する運用のままでは、会計側の数字と案件側の数字がずれ、現場の入力負荷も残ります。会計ソフトからの取り込みや工数管理との連携を前提に運用を組み、現場が無理なく入力を続けられる形にすることが、案件単位の予実を定着させる鍵になります。
まとめ
案件単位の予実管理では、勘定科目や部門より細かい案件の粒度で予算・実績を持てるか、工数や外注費を案件原価に紐付けられるかが、製品選びの分かれ目になります。案件の採算を細かく追いたいのか、全社の経営管理のなかで案件も見たいのか、まず小さく始めたいのか——自社の重点に合うタイプから候補を絞り込むのが近道です。
気になるサービスが見つかったら、資料を取り寄せて、自社の案件管理の進め方に合うかを具体的に確かめてみてください。複数サービスの資料をまとめて請求すれば、案件単位の対応や料金を横並びで比較できます。
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よくある質問(FAQ)
Q. 案件(プロジェクト)単位の予実管理とは何ですか?
A. 案件単位の予実管理とは、ひとつの案件(プロジェクト)を単位として、見込んだ予算(売上・原価・利益)と実際に発生した実績を突き合わせ、差異を把握する管理のことです。受託開発・制作・コンサルなど、案件ごとに売上と費用が積み上がるビジネスでは、案件が利益を生む最小の単位になります。
全社や部門の数字が黒字でも個々の案件に赤字が隠れることがあるため、案件を軸に予実を見ることで、どの案件で利益が出てどの案件で原価がかさんでいるかを進行中から追えるようになります。
Q. 案件予実管理システムは、勘定科目単位ではなく案件単位で予実を見られますか?
A. 案件予実管理システムで案件単位の予実を見られるかは、製品によって分かれます。案件を集計の軸に加えられる製品なら、勘定科目や部門より細かい案件単位で予算・実績・着地見込みを管理できます。全社から部門、部門から案件、案件から勘定科目へと階層をたどれるため、同じ実績を「部門別」でも「案件別」でも把握できます。
一方、全社・部門の経営管理を主眼とする製品では、案件は部門配下の一区分やタグとしてしか扱えないことがあるため、案件を独立した集計軸に設定できるかを導入前に確認することが大切です。
Q. 案件予実管理システムは、工数や外注費を案件の原価に紐付けられますか?
A. 案件予実管理システムには、工数管理と連携して入力した作業時間を単価で労務費に換算し、外注費とあわせて案件原価へ自動で積み上げられる製品があります。ただし、原価を手入力やデータ取り込み前提とする製品もあり、工数から自動集計できる製品とは運用の手間が大きく変わります。人件費(工数)と外注費が原価の中心になる案件型ビジネスでは、ここが案件採算の正確さを左右します。
複数案件にまたがる間接費を工数比や売上比などの基準で配賦できるかも、あわせて確認したいポイントです。
Q. SFA(営業支援ツール)の案件管理と、案件予実管理システムは何が違いますか?
A. SFAの案件管理は商談や受注の進捗・売上見込みを管理するのが主眼で、原価を含めた案件の採算までは扱わないのが一般的です。これに対して案件予実管理システムは、売上だけでなく工数・外注費などの原価を案件に紐付け、案件ごとの利益(粗利)と着地見込みまで管理します。
営業の進捗や受注の見込みを管理したい場合はSFA、案件ごとの収支や原価を把握して赤字案件を防ぎたい場合は案件予実管理システムが向いています。
Q. Excelでの案件別予実管理には、どのような限界がありますか?
A. Excelでの案件別予実管理は、案件数が増えるほど集計・更新に手間がかかり、複雑な計算式が属人化して最新の数字が分からなくなる点が主な限界です。月次で各担当から実績を集めて関数やピボットで組み直す作業が担当者の時間を圧迫し、会計システムや工数管理との二重入力による入力漏れや転記ミスも起こりがちです。
リアルタイムに案件の採算を把握したい、複数人で同じ数字を共有したいという段階になると、Excelでは追いつかなくなります。
Q. 案件予実管理システムは中小企業でも導入できますか?
A. 案件予実管理システムは、月額数万円程度から始められる製品や、小規模向けの無料・低価格プランを備えた製品があり、中小企業でも導入できます。部門・全社の経営管理を一元化する大規模向けの製品は個別見積もりで費用が大きくなる傾向がありますが、案件・プロジェクト単位に強いタイプやExcel親和で手軽に始めるタイプには、初期費用を抑えて小さく始められる製品もあります。
自社の案件数・利用人数・必要な機能に見合った料金かを基準に選ぶとよいでしょう。
Q. 案件予実管理システムの導入には、どのくらいの期間がかかりますか?
A. 案件予実管理システムの導入期間は、製品や要件によって数週間から数か月程度が目安です。標準パッケージを設定して使う製品では最短1週間〜1、2か月で始められるものもある一方、会計システムとの連携範囲や配賦ルールが複雑な場合は、要件定義から運用開始まで数か月かかることもあります。案件の粒度や原価の集計ルールを設計する時間も見込んでスケジュールを組むと安心です。
Q. 案件予実管理システムは、会計ソフトと連携できますか?
A. 案件予実管理システムは、主要な会計ソフトとはAPI連携やCSV取り込みで実績データを取り込める製品が一般的です。弥生会計・freee・マネーフォワード・勘定奉行など広く使われている会計ソフトに対応する製品が多く、連携すれば会計側と案件側の二重入力を避けられます。対応する会計ソフトや連携方式は製品ごとに異なるため、自社が使っている会計ソフトとつながるかを導入前に確認しておくとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















