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労働保険料等算定基礎賃金等の報告の書き方|各欄の記入方法と常用・臨時の区分を記入例つきで解説

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労働保険の年度更新の時期になり、労働保険事務組合から送られてきた「労働保険料等算定基礎賃金等の報告」という1枚の様式を前にして、どの欄に何を書けばよいのか迷っていませんか。常用労働者と臨時労働者をどう分けるのか、パートや役員はどちらに入れるのか、左側と右側で書く人の範囲がどう違うのか——年に一度しか触らない書類だけに、毎年つまずきやすい項目です。

この報告は、労働保険事務組合に労働保険の事務を委託している事業主が、組合に提出する書類です。本記事では、様式の各欄に何をどう書くかを欄ごとに整理したうえで、常用・臨時の区分の判定、賃金の集計ルール、提出の方法までを解説します。読み終えたときには、自社の従業員構成に当てはめて記入し、提出できる状態を目指します。

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労働保険料等算定基礎賃金等の報告とは|誰が出す書類か・提出時期

ここからは、この報告がどのような書類で、誰がいつ提出するのかを整理します。記入そのものは次章から始めますので、全体像だけ先に押さえておきましょう。

労働保険料等算定基礎賃金等の報告は、労働保険の年度更新にあたって、前年度に労働者へ支払った賃金の総額を区分ごとに集計し、労働保険事務組合へ報告するための書類です。事務組合は、会員となっている各事業主からこの報告を集め、それをもとにまとめて年度更新の申告・納付を行います。様式の頭に「組」が付く(組様式第4号・組機様式第5号)のは、労働保険事務組合用の様式であることを示しています。

そのため、この報告を提出するのは「労働保険の事務を労働保険事務組合に委託している事業主」です。事務組合に委託していない事業主は、この報告ではなく「確定保険料算定基礎賃金集計表」で賃金を集計し、年度更新の申告書を自ら労働局・労働基準監督署へ提出します。自社がどちらに当たるかは、商工会・商工会議所や業界団体などの事務組合に労働保険事務を委託しているかどうかで判断できます。

年度更新の手続きは、例年6月1日から7月10日までの間に行うこととされています(初日が土日などで閉庁の年は、翌開庁日から受け付けられます)。事務組合に委託している場合は、組合が定める提出期限が本来の期限より前に設定されていることが多いため、組合からの案内に従って早めに報告を提出します。

出典・参考資料(2件)

各欄の書き方|記入例つき欄別ガイド

ここからは、様式の各欄に何を書くかを上から順に見ていきます。まず全体の記入欄を一覧で確認し、そのあと判断に迷いやすい欄を個別に解説します。区分の分け方・賃金の集計・見込額の入れ方は、それぞれ後の章で詳しく扱います。

記入欄書く内容
労働保険番号年度更新の通知書や前年度の控えに記載された14桁の番号を転記します
雇用保険事業所番号雇用保険の適用事業所として付番された番号を記入します
事業の名称・所在地・事業主氏名登記上の事業所名・所在地・事業主(代表者)名を記入します
事業の概要製品名・製造工程・提供サービスなど、何を行う事業かを具体的に書きます
特掲事業の該当(イ/ロの○印)農林・水産・建設・清酒製造の各事業は「イ」、その他の事業は「ロ」に○を付けます
確定賃金(区分別)前年度に支払った賃金を、常用労働者・役員で労働者扱いの者・臨時労働者の区分ごとに集計して記入します
月別の賃金内訳・賞与等4月から翌3月までの各月の賃金を集計し、賞与等は別の行に記入します
雇用保険の対象者分雇用保険の被保険者のみを抜き出して記入します。うち高年齢労働者分も別に記入します
特別加入者労災保険に特別加入している事業主・役員等の希望基礎日額などを記入します
翌年度の賃金総額の見込額翌年度の概算保険料の算定基礎となる賃金の見込額を記入します
延納(分割納付)の希望概算保険料を3回に分けて納める延納を希望するかどうかを選びます

労働保険番号・事業の名称・所在地・事業の概要の欄

労働保険番号は、年度更新の通知書や前年度に提出した報告の控えに記載されています。府県・所掌・管轄・基幹番号・枝番号からなる番号を、間違えずに転記してください。事務組合のソフトで作成する場合に労働保険番号が反映されないときは、事業所情報の登録内容を確認してください。

事業の名称・所在地・事業主氏名は、登記や適用事業所の届出の内容と一致させます。事業の概要は、製品名や製造工程、提供しているサービスの内容など、どのような事業かが具体的に伝わるように記入します。「サービス業」「製造業」といった大分類だけでは不十分で、何を扱う事業かまで書くのが原則です。

特掲事業の判定と業種の○印

様式には業種を「イ」か「ロ」で選ぶ欄があります。これは雇用保険率の区分で、一般の事業より保険率が高く設定されている「特掲事業」に当たるかどうかを示すものです。特掲事業に当たる場合は「イ」、当たらない場合は「ロ」に○を付けます。

特掲事業に当たるのは、農林の事業、畜産・養蚕・水産の事業、土木建築その他の建設の事業、清酒製造の事業です。自社がこれらに該当しなければ「ロ(一般の事業)」を選びます。判定に迷う場合は、労働保険番号の業種区分や、所轄労働局の雇用保険率の案内で確認してください。

出典・参考資料(1件)

区分別の確定賃金の欄

確定賃金の欄は、前年度に支払った賃金を、常用労働者・役員で労働者扱いの者・臨時労働者の3区分に分けて集計し、それぞれの合計を記入します。3区分を足したものが全体の合計です。常用と臨時の分かれ目は雇用保険の加入要件を満たすかどうかで、パートや役員・家族従業員の扱いとあわせて次章の区分の判定で詳しく解説します。

各区分の金額を書いたら、3区分を合算した合計欄の記入も忘れずに行います。合計欄の記入漏れは起こりやすく、事務組合から差し戻される原因になりやすい点です。

月別の賃金内訳・賞与等の欄

月別の賃金内訳は、前年度の4月から翌3月までの各月に支払った賃金を集計して記入します。賞与や期末手当などは、毎月の給与とは別の行にまとめて記入します。どの時点の賃金を対象にするか、通勤手当や社会保険料控除前後の扱いといった集計のルールは、月別賃金の集計ルールでまとめて解説します。

雇用保険の対象者・高年齢労働者・特別加入者の欄

雇用保険の欄には、労働者全体のうち雇用保険の被保険者だけを抜き出して、人数と賃金を記入します。そのうち高年齢労働者(基準日時点で満64歳以上の被保険者)に当たる人の人数・賃金を別に記入する欄があります。

かつてあった高年齢労働者の雇用保険料の免除は令和2年度(2020年4月)に廃止されており、現在は高年齢労働者も雇用保険料の対象です。様式の年度版によって欄の構成が異なることがあるため、手元の様式の欄名に従って記入してください。

出典・参考資料(1件)

特別加入者の欄は、労災保険に特別加入している事業主や役員などがいる場合に、承認を受けた基礎日額や適用月数、翌年度の希望基礎日額を記入します。年度の途中で特別加入の開始・脱退があった場合も、その内容を記入します。

翌年度の賃金総額の見込額・延納希望の欄

翌年度の賃金総額の見込額は、翌年度分の概算保険料を計算するための基礎になります。原則は前年度に確定した賃金総額と同額を記入し、大きく変動する見込みのときだけ入れ直します。判断のルールは翌年度(概算)賃金総額の見込額の入れ方で、延納(分割納付)を希望するかどうかの欄は提出の章で要件とあわせて解説します。

常用・役員で労働者扱いの者・臨時の区分の判定と、左欄・右欄の書き分け

ここからは、記入で最も迷いやすい「誰をどの区分に入れるか」と「左側(労災)と右側(雇用保険)で書く対象者がどう違うか」を整理します。自社の従業員を思い浮かべながら読み進めてください。

常用・役員で労働者扱いの者・臨時の区分判定

確定賃金は、常用労働者・役員で労働者扱いの者・臨時労働者の3区分に分けます。常用労働者と臨時労働者の分かれ目は、雇用保険の加入要件を満たすかどうかで判断するのが基本です。雇用保険は、1週間の所定労働時間が20時間以上で、かつ同じ事業主に継続して31日以上雇用される見込みがある人が被保険者になります。この要件を満たす人を常用労働者、満たさないパート・アルバイトなどを臨時労働者として記入します。

出典・参考資料(1件)

役員については、原則として労働者ではないため記入の対象外ですが、「役員で労働者扱いの者」に当たる場合は専用の区分に記入します。これは、業務執行権を持つ取締役などの指揮監督を受けて労働に従事し、一般の労働者と同じ条件で賃金の支払いを受けている役員を指します。代表取締役、業務執行権を持つ取締役、監査役は含まれません。

出典・参考資料(1件)

事業主と同居の親族は、原則として労災保険・雇用保険の対象となる労働者には当たらないため、賃金の記入対象から外します。

ただし、事業主の指揮命令に従って働き、就業の実態や賃金が他の労働者と同様で、取締役など事業主と利益を一にする地位にない、という要件をすべて満たせば、労働者として扱われることがあります。判断に迷う場合は所轄の労働局・労働基準監督署に確認してください。

左欄(労災=家族従業員を除く全労働者)・右欄(雇用保険=被保険者のみ)の書き分け

様式は、左側が労災保険の対象、右側が雇用保険の対象という作りになっています。労働保険は労災保険と雇用保険の2つからなり、それぞれ対象になる人の範囲が違うため、同じ人でも左右で記入の有無が変わります。

左側(労災保険)には、パートやアルバイトを含め、原則としてすべての労働者の賃金を記入します。労災保険は雇用形態を問わず労働者全員に適用されるためです。先ほどの同居の親族は、ここでも原則として対象から外します。

右側(雇用保険)には、雇用保険の被保険者だけを抜き出して記入します。週20時間未満のパートなど雇用保険に加入していない人は、左側には含めても右側には含めません。

この左右の対象者の違いを図にすると、右欄(雇用保険)が左欄(労災)の一部、つまり被保険者だけを抜き出したものだと分かります。

労働保険料等算定基礎賃金等の報告の左欄と右欄で記入対象者が異なることを示す図。左欄は労災保険で、正社員・パート・アルバイト(週20時間未満を含む)・役員で労働者扱いの者まで家族従業員を除く全労働者の賃金を記入する。右欄は雇用保険で、その中の被保険者(週20時間以上かつ継続31日以上雇用見込み)だけを記入し、週20時間未満のパート等は右欄に記入しない。同居の親族は労災・雇用保険とも原則対象外で左右いずれにも記入しない。

記入例|従業員を区分と左右欄に当てはめる

ここまでの区分判定と左右欄の書き分けを、架空の会社を例に当てはめてみます。たとえば次の5名を雇用する事業所を考えます。

従業員働き方区分左欄(労災)右欄(雇用保険)
正社員A週40時間・常用常用労働者記入する記入する
正社員B週40時間・常用常用労働者記入する記入する
パートC週15時間(雇用保険の加入要件を満たさない)臨時労働者記入する記入しない
取締役D代表の指揮監督を受けて労働し、一般社員と同条件の賃金を受ける兼務役員役員で労働者扱いの者記入する(労働者分)雇用保険の被保険者なら記入する
事業主の配偶者E同居の親族で、就業実態が他の労働者と異なる原則として対象外記入しない記入しない

金額の集計もこの区分ごとに行います。たとえば常用労働者(正社員A・B)の前年度1年間の賃金が、賞与を含め控除前の総額で合計720万円だったとします。この場合、確定賃金の常用労働者の欄に7,200,000円と記入し、月別内訳の各月にはその月に支払った額、賞与等は別の行に記入します。

月別内訳と賞与等を合計した金額が、確定賃金欄の金額と一致するように集計します。パートCの賃金は左欄(労災)の臨時労働者分には含めますが、右欄(雇用保険)には含めません。

月別賃金の集計ルール(対象期間・締切日基準・控除前・賞与の扱い)

ここからは、賃金をどの期間・どの基準で集計するかを解説します。集計のルールを押さえておけば、月別の内訳欄も確定賃金の欄も同じ考え方で埋められます。

集計の対象は、前年度(4月1日から翌年3月31日まで)に支払った賃金です。労働保険では、この4月1日から翌3月31日までを「保険年度」と定めています。どの年度に含めるかは、賃金の支払日ではなく締切日が属する年度で判断します。たとえば3月末締め・4月払いの給与は、支払いが4月でも締切日が3月のため前年度分として集計します。

ここでいう賃金は、法律上、名称を問わず労働の対償として事業主が労働者に支払うものを指します。

この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであつて、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く。)をいう。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第2条第2項|e-Gov法令検索

したがって、基本給だけでなく、通勤手当・時間外手当・役職手当などの各種手当や、賞与・期末手当も賃金に含めて集計します。金額は、所得税や社会保険料などを差し引く前の支払総額(控除前の総支給額)で計上するのが原則です。手取り額ではない点に注意してください。賞与や期末手当は、毎月の給与とは分けて別の欄にまとめます。

出典・参考資料(2件)

翌年度(概算)賃金総額の見込額の入れ方

ここからは、翌年度の賃金総額の見込額をどう入れるかを解説します。確定した賃金と違い、見込みの数字なので入れ方に迷いやすい欄です。

翌年度の賃金総額の見込額は、翌年度分の概算保険料を計算するための基礎になります。原則は、前年度に確定した賃金総額と同額を見込額として記入します。従業員数や給与水準が前年度と大きく変わらない見込みであれば、確定額をそのまま書けば足ります。

例外として、翌年度の賃金総額が前年度の2倍を超える、または半分以下に減ると見込まれる場合は、その見込額を改めて記入します。大幅な増員や事業縮小などで賃金総額が大きく変動する予定があるときだけ、確定額とは異なる見込額を入れると考えておくと分かりやすいでしょう。判断に迷う場合は、前年度と同額で記入しておくのが無難です。

出典・参考資料(1件)

組様式第4号(手書き用)と組機様式第5号(総合コンピュータ用)の違い・提出先・提出期限

ここからは、2種類ある様式の使い分けと、提出の実務を解説します。どちらの様式も労働保険事務組合に委託している事業場が使うもので、違いは作成の方式にあります。

組様式第4号(手書き用)の書き方

組様式第4号は、手書きで記入することを前提とした様式です。事務組合から配布された用紙、または厚生労働省のダウンロードコーナーで入手したExcel様式に、これまで解説してきた各欄を記入します。区分別の確定賃金と月別内訳、雇用保険の対象者分、翌年度の見込額を手元の賃金台帳から転記して作成します。

組機様式第5号(総合コンピュータ用)の書き方

組機様式第5号は、総合コンピュータ(電算)処理用の様式です。事務組合が使う処理システムに合わせた様式で、事務組合向けの労務ソフトで賃金データを入力して出力する際にはこの様式が用いられることがあります。記入する内容の考え方は組様式第4号と同じで、どちらの様式を使うかは委託先の事務組合の案内に従います。

出典・参考資料(2件)

提出先・提出期限・提出物(部数・訂正方法・持参物)

この報告の提出先は、労働保険事務を委託している労働保険事務組合です。労働局へ直接提出するのではなく、組合が各事業主の報告を取りまとめて年度更新の申告を行います。提出期限は、国の年度更新期間(例年6月1日〜7月10日)より前に組合が独自の締切を設けていることが多いため、組合からの案内に従って早めに提出します。

提出の際は、事業主控と事務組合控が必要になることがあり、様式を複数部用意するよう案内される場合があります。記入内容の訂正に備えてデータを持参するよう求められることもあります。Excel様式の自動計算を使う場合も、合計額が正しいかは自分で検算してから提出すると安心です。必要な部数や持参物は委託先の事務組合によって異なるため、組合の案内を確認してください。

概算保険料を3回に分けて納める延納(分割納付)は、概算保険料の額が40万円以上(労災保険または雇用保険のどちらか一方のみが成立している事業は20万円以上)の場合に申請できます。労働保険事務を事務組合に委託している場合は、金額にかかわらず延納を申請できます。延納を希望するときは、様式の延納希望欄で希望する旨を選びます。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第18条・同法施行規則 第27条|e-Gov法令検索(徴収法/施行規則)

賃金集計表・年度更新申告書との関係(転記・集計の流れ)

ここからは、この報告が年度更新の他の書類とどうつながっているかを整理します。1枚の報告だけで手続きが完結するわけではないため、全体の流れを押さえておくと安心です。

労働保険事務組合に委託している事業主の場合、各事業主が提出したこの報告をもとに、事務組合が賃金を取りまとめ、労働保険の年度更新の申告・納付を行います。この報告は、事務組合が申告書を作成するために事業場ごとの賃金データを集める書類に当たります。

一方、事務組合に委託していない事業主は、この報告は使わず、「確定保険料算定基礎賃金集計表」で自社の賃金を集計し、その数字を年度更新申告書に転記して労働保険料を算出します。厚生労働省は、こうした集計表や、継続事業・雇用保険・建設事業それぞれの年度更新申告書計算支援ツールを配布しています。自社が委託の有無のどちらに当たるかで、使う書類と提出のルートが変わる点を押さえておきましょう。

出典・参考資料(1件)
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年度更新を含む手続きを外部に任せる選択肢(給与計算・労務の委託)

ここからは、毎年の年度更新や日々の給与計算・社会保険の手続きを外部に任せたい場合の選択肢を紹介します。年に一度の年度更新だけでなく、月々の給与計算や入退社に伴う社会保険の手続きまで含めて負担を減らしたい場合に検討できます。

前提として、労働保険・社会保険の書類の作成や提出代行は、社会保険労務士(社労士)または社労士法人の独占業務です。

社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。

社会保険労務士法 第27条(業務の制限)|e-Gov法令検索

このため、年度更新の申告書の作成や提出代行まで任せたい場合は、社労士・社労士法人、または社労士と連携する給与計算アウトソーシング会社が選択肢になります。社会保険手続きのアウトソーシングを専門に扱う社労士法人のなかには、労働保険事務組合を自ら運営し、委託事業主の年度更新をまとめて行うところもあります。

以下では、年度更新を含む労働保険・社会保険の手続きに対応するサービスを紹介します。対応範囲や料金は各社で異なるため、詳細は公式情報や資料で確認してください。

出典・参考資料(1件)
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サービス名小林労務東京丸の内社会保険労務士法人社会保険労務士東京福寿事務所DIG社会保険労務士法人
提供形態社労士法人
(労働保険事務組合を併設)
社労士法人社労士事務所社労士法人
(会計・税務グループ内)
年度更新への対応△要問い合わせ●給与計算と一括電子申請●手続き単位で対応△労務顧問の併用で対応
社保・労保手続き代行●●●△労務顧問の併用で対応
給与計算代行●●●●
料金要問い合わせ給与計算代行
月額10,000円+(2,000円×対象者数)
(2026年10月時点・税別、賞与別途)
給与計算代行5,500円〜/
社会保険新規適用15,000円〜/
労働保険成立10,000円〜
(2026年10月時点)
1〜100名は月額10万円まで/
101名〜は月額9万円〜
(2026年10月時点・税別)
特徴グループに労働保険事務組合を持ち
労働保険の事務まで一体で対応
給与計算と社保・労保手続きを
まとめて電子申請
手続き単位の料金を公開
スポット(単発)依頼にも対応
人数レンジ別の月額料金を公開
会計・税務もグループ内で相談可
詳細情報サービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイト

1. 小林労務(社会保険労務士法人小林労務)

小林労務のウェブサイト

小林労務は、KBRグループの社会保険労務士法人小林労務が運営する、社会保険手続きと給与計算のアウトソーシングサービスです。社労士法人として、就業規則・労務相談から社会保険・労働保険の手続き代行、給与計算代行までを扱います。グループには厚生労働大臣の認可を受けた労働保険事務組合(中小企業経営労務支援機構)があり、会員事業主の労働保険事務をまとめて処理する体制を持ちます。

年度更新を含む手続きの受託範囲や料金は公式サイトに明示がなく、要問い合わせとなっています。事務組合への委託を前提に労働保険の事務を任せたい事業主にとって、相談先の一つになります。

2. 東京丸の内社会保険労務士法人

東京丸の内社会保険労務士法人のウェブサイト

東京丸の内社会保険労務士法人が手がけるのは、月次の給与計算・賞与計算や住民税処理に、社会保険の月額変更届・算定基礎届、労働保険の年度更新までを一括で電子申請する給与計算代行です。給与計算と社会保険・労働保険の手続きをまとめて引き受ける点を掲げています。

給与計算代行の料金は、月額・税別で「10,000円+(2,000円×対象者数)」と公開されています(2026年10月時点、賞与計算は別途)。給与計算と年度更新などの手続きをまとめて任せたい中小企業に適した選択肢です。

3. 社会保険労務士東京福寿事務所

社会保険労務士東京福寿事務所のウェブサイト

社会保険・労働保険の手続き代行を中核に据えるのが、社会保険労務士東京福寿事務所です。給与計算代行まで扱い、SmartHRやマネーフォワード社会保険といったクラウド労務ソフト上で、社労士アカウントによる電子申請に対応しています。

料金は手続き単位の起点価格を公開しており、労働保険の成立手続きは10,000円から、社会保険の新規適用は15,000円からとされています(2026年10月時点)。従業員数に応じた月額の顧問料(税別)も公開されています。手続きごとに費用を見通しながら依頼したい事業主に適しています。

4. DIG社会保険労務士法人

DIG社会保険労務士法人のウェブサイト

公認会計士・税理士・社労士を擁するDIGグループの社労士法人が、DIG社会保険労務士法人です。給与計算代行を提供し、勤怠の集計結果や昇給情報を受け取って給与明細と振込データを作成・納品する流れで、人数レンジ別の月額料金を公開している点が特徴です。

料金は、小規模企業向けが1名〜100名で100,000円まで、中堅・大手向けが101名以上で90,000円からと公開されています(2026年10月時点、月額・税別)。労務顧問契約なしで給与計算だけを依頼することもでき、会計・税務と労務をグループ内でまとめて相談したい企業に適します。年度更新など労働保険手続きの対応可否や料金は、依頼内容に応じて確認するとよいでしょう。

ここで紹介したのは、労働保険・社会保険の手続きに対応する社労士・社労士法人が中心です。給与計算そのものの委託先を、業務範囲や料金体系、従業員規模から広く比べたい場合は、次の記事で各社を比較し、規模別の選び方まで解説しています。

まとめ

労働保険料等算定基礎賃金等の報告は、労働保険事務組合に労働保険事務を委託している事業主が、前年度の賃金を区分ごとに集計して組合へ提出する書類です。記入の要点は、常用・役員で労働者扱いの者・臨時の区分を雇用保険の加入要件で分けること、左側(労災)は家族従業員を除く全労働者、右側(雇用保険)は被保険者のみを書くこと、賃金は締切日基準の前年度分を控除前の総額で集計することの3点に整理できます。

様式には手書き用の組様式第4号と総合コンピュータ用の組機様式第5号があり、提出先は委託先の事務組合です。毎年の年度更新や日々の給与計算・社会保険手続きの負担を減らしたい場合は、社労士・社労士法人や社労士と連携する給与計算アウトソーシングへの委託も選択肢になります。自社の状況に合う方法を選んで、期限内に正しく提出できるようにしておきましょう。

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よくある質問(FAQ)

Q. 労働保険料等算定基礎賃金等の報告とは何ですか?

A. 労働保険料等算定基礎賃金等の報告とは、労働保険事務組合に労働保険の事務を委託している事業主が、前年度に労働者へ支払った賃金を区分ごとに集計して組合へ提出する書類です。事務組合はこの報告を各会員事業主から集め、それをもとにまとめて労働保険の年度更新の申告・納付を行います。様式の頭に「組」が付く(組様式第4号・組機様式第5号)のは、労働保険事務組合用の様式であることを示しています。

Q. 従業員がおらず役員だけの会社もこの報告は必要ですか?

A. 労働保険料等算定基礎賃金等の報告は、労働者が一人もいない役員だけの会社では、原則として提出の対象になりません。労働保険は労働者を雇用して初めて成立する制度で、労働者がいなければ報告も発生しないためです。ただし、業務執行権を持つ者の指揮監督を受けて働き賃金を得ている「役員で労働者扱いの者」がいる場合や、事業主・役員が労災保険に特別加入している場合は、その分を報告します。

Q. 年度の途中で入社・退職した従業員の賃金も報告に含めますか?

A. 年度の途中で入社・退職した従業員の賃金も、前年度(4月1日〜翌3月31日)の間に支払った分はすべて集計の対象に含めます。確定賃金はその年度に実際に支払った賃金の総額で計上するため、すでに退職した人へ在職中に支払った賃金や、途中入社の人の賃金も漏れなく合算します。各月にどの年度の賃金として入れるかは、支払日ではなく締切日が属する年度で判断します。

Q. 労働保険事務組合に委託していない場合はどの書類を使いますか?

A. 事務組合に委託していない事業主は、この報告ではなく「確定保険料算定基礎賃金集計表」で賃金を集計し、年度更新申告書を自ら労働局・労働基準監督署へ提出します。頭に「組」が付く本報告は、労働保険事務を事務組合に委託している事業主が組合へ提出するための様式です。集計表や計算支援ツールは厚生労働省が配布しているので、委託の有無で使う書類が変わる点を押さえておきましょう。

Q. 提出期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?

A. 提出が遅れた場合でも、自己判断で放置せず、できるだけ早く委託先の事務組合へ連絡して報告を提出することが大切です。事務組合は各事業主の報告を取りまとめ、国の年度更新期間(例年6月1日〜7月10日)内に申告・納付を行います。組合の締切に間に合わないと手続き全体が遅れ、延滞金や追徴金の対象になるおそれがあります。やむを得ず遅れるときは、組合に状況を伝えて指示を仰いでください。

Q. 記入を間違えたときはどう訂正しますか?

A. 記入を間違えたときは、提出前であれば誤った箇所を二重線で消して正しい内容を書き直し、提出後に気づいた場合は速やかに委託先の事務組合へ連絡します。手書きの組様式第4号では修正液の使用を避け、訂正印の要否などは組合の案内に従うのが確実です。Excel様式で作成している場合はデータを修正して再出力でき、提出時に訂正用データの持参を求められることもあります。

Q. この報告は電子申請できますか?

A. この報告は委託先の事務組合へ提出する書類のため、紙で提出するかデータで提出するかは、委託している事務組合の案内によって決まります。国への労働保険の年度更新申告そのものはe-Govで電子申請できますが、事務組合に委託している場合に申告を行うのは各事業主ではなく事務組合です。事業主は、組合が指定する方法(紙の様式・Excelデータ・事務組合向けソフトでの入力など)でこの報告を提出します。

Q. 建設業でもこの様式で報告してよいですか?

A. 建設の事業は、労災保険の部分について、通常の様式とは別に「一括有期事業報告書」などの提出が必要になる場合があります。建設業は現場ごとに労災保険が成立する一括有期事業として扱われることが多く、賃金総額ではなく請負金額をもとに労災保険料を算定するなど、手続きが一部異なるためです。自社がどの様式で何を提出すべきかは、委託先の事務組合や所轄の労働局に確認してください。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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