サービス比較の記事一覧

AIで顧客対応・サポート業務を自動化したい

サービス比較の記事一覧

AIで顧客対応・サポート業務を自動化したい

不正利用・金融トラブルを未然に防ぎたい

コンプライアンス支援サービス
の関連情報


関連サービス資料を
無料で一括ダウンロード

内部告発とは?内部通報・公益通報との違いと、企業が告発を受けたときの対応・通報窓口の作り方

内部告発とは?違いと企業の対応・通報窓口の作り方のサムネイル画像

現場から「検査データの扱いがおかしい」「経費の私的流用があるようだ」といった申告が社内に上がってきたとき、それが世に言う内部告発なのか、社内で収める内部通報なのか、法律が守る公益通報なのか、用語の線引きがぼやけたまま対応に迷う場面は少なくありません。呼び方によって、会社が負う義務も、通報した人を守る範囲も変わってきます。

社内に上がった申告が公益通報者保護法(平成16年法律第122号)で保護される通報にあたる場合、会社はその人を解雇・降格などで不利益に扱うことが禁じられ、一定規模以上の事業者には通報を受け止める体制の整備が義務づけられます。線を越えた対応は、裁判で無効と判断された例もあります。

本記事では、内部告発・内部通報・公益通報の違いを整理したうえで、公益通報者保護法が通報者をどう守り、企業に何を課すのかを条文に沿って解説します。あわせて、告発を受けたときの初動と、社外に出る前に社内で受け止める通報窓口の作り方までを取り上げます。

コンプライアンス支援サービスの関連サービス資料
PR
料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】コンプライアンス支援サービスの資料を
一括ダウンロードする
本セクションにはプロモーションが含まれており、表示順は当社独自の基準や提携状況に基づいています。

内部告発とは?内部通報・公益通報との違い

はじめに、よく混同される「内部告発」「内部通報」「公益通報」の3つの言葉を、それぞれが指す範囲と法律上の位置づけから整理します。

内部告発とは

内部告発とは、組織の内部にいる人が、その組織で起きている不正や法令違反を明らかにする行為を広く指す言葉です。通報先は社内に限らず、行政機関や報道機関、さらにはSNSなど社外も含みます。

「内部告発」は、公益通報者保護法に定義規定が置かれている言葉ではありません。同法が定義しているのは後述する「公益通報」であり、「内部告発」は日常的・一般的に使われる呼び方として理解するのが実情に近いといえます。

内部通報とは

内部通報は、社内に設けられた通報窓口や上司などを通じて、組織内部の不正を会社に知らせることを指します。社外ではなく、まず社内で受け止める点が、一般的な使われ方として内部告発と異なる部分です。

「内部通報」も、「内部告発」と同じく公益通報者保護法が定義する用語ではありません。社内の窓口や上司を通じて会社に知らせる通報が法の保護対象になる場合の扱いは、次の「公益通報とは」で整理します。

公益通報とは

公益通報は、公益通報者保護法が要件を定めて明確に位置づけている通報です。労働者や退職者、役員などが、不正の目的ではなく、法律に定められた対象事実を、法律に定められた通報先に知らせる行為が該当します。

消費者庁の指針は、法が守る社内への通報を「内部公益通報」と定義しています。通報窓口への通報だけでなく、上司などへの報告も含まれる点が示されています。

「内部公益通報」とは、法第3条第1号及び第6条第1号に定める公益通報をいい、通報窓口への通報が公益通報となる場合だけではなく、上司等への報告が公益通報となる場合も含む。

出典:公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して…必要な指針(令和3年内閣府告示第118号)第2|消費者庁

このように、内部告発・内部通報は不正を知らせる行為を広く指す一般的な言葉で、公益通報はそのうち法律の要件を満たし保護の対象となる通報を指します。会社が「どこまで守らなければならないか」を判断する起点は、その申告が公益通報にあたるかどうかにあります。

内部告発・内部通報と公益通報の関係を示す図。外側の枠は不正を知らせる行為(内部告発・内部通報)で、日常的な呼び方であり公益通報者保護法が定義する法律用語ではなく、通報先は社内のほか行政機関・報道機関・SNSなど社外も含む。その内側に公益通報の枠があり、法律の要件を満たす保護の対象で、解雇は無効、降格・減給などの不利益取扱いは禁止。会社がどこまで守るかの起点はその申告が公益通報にあたるか。

3者の違い早見表

3つの言葉の関係を、法律上の位置づけ・通報先・保護の有無・根拠法で整理すると次のようになります。

← 横にスクロールできます →
内部告発・内部通報・公益通報の違い内部告発内部通報公益通報
法律上の定義公益通報者保護法上の定義語ではない公益通報者保護法上の定義語ではない(指針は「内部公益通報」を用いる)公益通報者保護法第2条が定義
主な通報先社内・行政機関・報道機関など社外を含む社内に設けた通報窓口・上司など役務提供先等・行政機関等・報道機関等(第3条の3類型)
保護の有無公益通報の要件を満たせば保護の対象公益通報の要件を満たせば保護の対象要件を満たせば解雇は無効・不利益取扱いは禁止
根拠法固有の定義規定はない固有の定義規定はない公益通報者保護法

内部告発・内部通報という呼び方そのものは法律で決まっていませんが、その中身が公益通報の要件を満たせば、呼び方にかかわらず公益通報者保護法の保護が及びます。

出典・参考資料(2件)

公益通報者保護法は通報者をどう守るのか

ここからは、公益通報者保護法が通報者を保護する仕組みと、保護を受けるための要件を条文に沿って確認します。

公益通報者保護法は、公益通報をしたことを理由とする解雇の無効や不利益取扱いの禁止などを定めることで、通報した人を守ることを目的としています。法律の冒頭で、その目的が次のように示されています。

この法律は、公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効及び不利益な取扱いの禁止等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置等を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする。

出典:公益通報者保護法 第1条|e-Gov法令検索

保護される通報の4要件

公益通報として保護されるかどうかは、大きく4つの要素で決まります。①誰が通報したか、②何を通報したか、③どこへ通報したか、④どのような目的で通報したか、です。

公益通報として保護される4つの要件を示す図。この4つをすべて満たして初めて公益通報者保護法の保護を受ける。①誰が(通報者)=労働者・派遣労働者のほか退職者や役員。②何を(対象事実)=別表の法律に違反し刑事罰・過料の対象となる行為で刑法・金融商品取引法など。③どこへ(通報先)=役務提供先等・行政機関等・報道機関等の3類型(第3条)。④どんな目的で(目的)=不正の利益を得る・他人に損害を加えるなどの不正の目的でないこと。単なる社内規程違反やモラル上の問題は必ずしも対象事実にあたるとは限らない。

①の通報者には、労働者や派遣労働者のほか、「労働者であった者」すなわち退職者や、役員が含まれます(第2条第1項各号)。②の対象事実は、同法の別表に掲げる法律に違反する犯罪行為や過料の理由となる事実などです(第2条第3項)。

②の対象事実は、公益通報者保護法の別表に列挙された法律と、政令で定める法律に違反し、刑事罰や過料の対象となる行為に限られます。対象となる法律の一覧は消費者庁が公表しています。

代表的な対象法律には刑法・食品衛生法・金融商品取引法・労働基準法・個人情報保護法などがあります。一方、単なる社内規程違反やモラル上の問題は、必ずしも対象事実にあたるとは限りません。

③の通報先は、勤務先などの役務提供先等、権限を持つ行政機関等、報道機関等の3類型に分かれます(第3条各号)。④の目的は、「不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく」通報することが要件です(第2条第1項柱書)。この4つを満たして初めて、通報は法の保護を受けます。

出典・参考資料(1件)

不利益取扱いの禁止と解雇の無効

保護の中心にあるのが、通報を理由とする解雇の無効と、不利益取扱いの禁止です。公益通報をしたことを理由とする解雇は無効とされ(第3条)、解雇以外の降格・減給・退職金の不支給なども禁じられます(第5条)。

第3条 労働者である公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として…事業者…が行った解雇は、無効とする。

第5条第1項 第三条に規定するもののほか、第二条第一項第一号に定める事業者は、その使用し、又は使用していた公益通報者が第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、降格、減給、退職金の不支給その他不利益な取扱いをしてはならない。

出典:公益通報者保護法 第3条・第5条|e-Gov法令検索

この2つの条文が、会社が「触れてはいけない線」の土台になります。通報を受けたことに反応して人事上の措置をとると、それが報復とみなされ、無効と判断されるおそれがあります。

書面通報から20日ルール

通報先の選び方にも保護の条件があります。報道機関等への通報(3号通報)が保護されるための要件の一つとして、勤務先などへの書面通報から一定期間を過ぎても調査の通知がない場合が定められています。

書面により第一号に定める公益通報をした日から二十日を経過しても、当該通報対象事実について、当該役務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該役務提供先等が正当な理由がなくて調査を行わない場合

出典:公益通報者保護法 第3条第3号ホ|e-Gov法令検索

会社の側から読み替えると、社内の書面通報を受けて20日の間に調査着手の通知をせず放置すると、その後に報道機関などへ通報されても保護の対象となりうる、ということです。社内で受け止めた通報には速やかに調査の意思を示すことが、社外流出を防ぐ観点からも重要になります。

ここまでの保護の要件は企業側の視点で説明してきましたが、通報を考えている本人にとっても、どんな条件で保護され、どこまで社外に通報できるかを確かめる手がかりになります。

公益通報者保護法が企業に課すこと

続いて、会社の側から見て「何をしてはいけないか」「何をしなければならないか」を、禁止・義務・努力義務に分けて条文の粒度で整理します。

してはいけないこと(不利益取扱いの禁止・従事者の守秘義務)

禁止事項の一つは、前章で見た解雇・不利益取扱いです(第3条・第5条)。もう一つが、通報対応にあたる担当者に課される守秘義務です。公益通報対応業務従事者は、業務上知り得た公益通報者を特定させる情報を漏らしてはなりません。

公益通報対応業務従事者又は公益通報対応業務従事者であった者は、正当な理由がなく、その公益通報対応業務に関して知り得た事項であって公益通報者を特定させるものを漏らしてはならない。

出典:公益通報者保護法 第12条|e-Gov法令検索

この守秘義務に違反して通報者を特定させる情報を漏らした者には、「三十万円以下の罰金」という刑事罰が定められています(第21条)。通報者が誰かを探ったり、社内で言いふらしたりすることは、法令上の義務に反する行為になりえます。

出典・参考資料(1件)

しなければならないこと(体制の整備義務・従事者の指定)

会社がとらなければならない措置は、公益通報対応業務従事者を定めること(第11条第1項)と、通報を受け、調査し、是正するために必要な体制を整備すること(第11条第2項)です。窓口の設置から調査・是正までを担う部署と責任者を明確にすることが求められます。

この義務が全面的に課されるのは、常時使用する労働者が300人を超える(301人以上)事業者です。常時使用する労働者が300人以下の事業者については、同じ措置が努力義務に緩和されます。

常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者については、第一項中「定めなければ」とあるのは「定めるように努めなければ」と、前項中「とらなければ」とあるのは「とるように努めなければ」とする。

出典:公益通報者保護法 第11条第3項|e-Gov法令検索

具体的にどのような体制を整えればよいかは、消費者庁の指針が示しています。内部公益通報を受け付ける窓口を設置し、調査・是正を担う部署と責任者を定めることが基本です。あわせて、組織の幹部に関係する事案ではその者からの独立性を確保すること、事案に関係する者を対応業務に関与させないことなどが挙げられています。

出典・参考資料(2件)

改正で強まる企業の義務(現行体制と2026年12月1日施行の追加規制)

いま説明した体制の整備義務や従事者の守秘義務、守秘義務違反の刑事罰は、2022年(令和4年)6月1日に施行された改正で導入され、現在の体制の土台となっています。これが2026年10月時点で有効な現行法の内容です。

これに加えて、2025年に成立した改正(令和7年法律第62号)が、2026年12月1日に施行されます。本記事の公開時点ではまだ施行されていませんが、施行後は企業に課される規制が次のように強まります。

公益通報を理由として解雇又は懲戒をした者に対し、直罰(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、両罰)を新設する。法人に対する法定刑を3,000万円以下の罰金とする。【第21条、第23条関係】

事業者が…公益通報をしない旨の合意をすることを求めること等によって公益通報を妨げる行為をすることを禁止し…【第11条の2関係】 事業者が、正当な理由がなく、公益通報者を特定することを目的とする行為をすることを禁止する。【第11条の3関係】

出典:公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号)の概要|消費者庁

2026年12月1日施行の改正では、このほか通報後1年以内の解雇・懲戒を公益通報を理由とするものと推定する立証責任の転換も導入されます。保護される通報者の範囲には、業務委託先のフリーランスの追加なども盛り込まれています。施行日が近づく前に、改正後の義務を見据えて社内規程や体制を点検しておくことが望まれます。

出典・参考資料(2件)

裁判例に見る「企業が触れてはいけない線」

不利益取扱いの禁止を抽象論で終わらせず、実際に解雇や配転が無効・違法と判断された裁判例から、企業が触れてはいけない線を具体的に確認します。

消費者庁は、通報を理由とする不利益取扱いが問題となった参考事案を公式に編纂しています。そのなかの一つが、社内への情報提供の後に不当な配置転換を受けたオリンパス事件です。

上司による不当な引き抜き行為について、勤務先(コンプライアンス室)に情報提供したところ、不当な配置転換を受けた事案において、裁判所は、…業務上の必要性とは無関係に、主として個人的な感情に基づき、制裁的に配転命令をしたものとして、配転命令を無効とし、事業者に対する慰謝料請求を認めた(東京高判平成23年8月31日労判1035号42頁(上告不受理決定:最一小決平成24年6月28日))

出典:通報を理由とする不利益取扱いに対する行政対応・刑事罰に関する参考事案等|消費者庁(第15回公益通報者保護専門調査会 参考資料1、平成30年6月13日)

この判断は上告不受理決定(最一小決平成24年6月28日)で確定しています。法的な構成は人事権の濫用や不法行為が中心で、公益通報者保護法の条文を直接適用したものではありませんが、内部通報を理由とする報復的な人事措置が無効とされうる例として参考になります。

同じ編纂物には、不衛生な状況を保健所に通報したところ解雇され、通報内容に真実性などが認められるとして解雇が無効とされた事案(東京地判平成27年1月14日)や、研修の問題を情報提供した医師を手術から外す措置をとり慰謝料請求が認められた事案(東京高判平成26年5月21日)も収められています。いずれにも共通するのは、通報への反応として行われた制裁的な処分が否定されている点です。

これらの裁判例が示す線引きは明快です。通報の有無そのものではなく、事実を確認したうえで判断すること、通報と近い時期の人事措置は報復と受け取られうる前提で記録を残すことが、会社がこの線を越えないための実務上の要点になります。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】コンプライアンス支援サービスの資料を
一括ダウンロードする

内部告発を受けたときに企業がとる初動対応

ここからは、社内に申告が上がってきたときに会社がとるべき初動を、順を追って整理します。消費者庁の指針が求める「受付・調査・是正・記録」の流れが基本になります。

内部告発を受けたときの初動対応の流れを示す図。消費者庁の指針が求める受付・調査・是正・記録が基本の流れ。STEP1 事実調査の体制=申告された事実を確認する調査体制を組み、客観性が要るなら第三者委員会も選択肢。STEP2 通報者の保護・記録化=特定情報の共有は最小限にし、不利益取扱いの有無を確認して対応を記録・保管。STEP3 公表・当局対応=事実確認後、性質に応じて公表や監督官庁・警察の調査への協力を検討。STEP4 再発防止=規程見直し・業務改善・従業員教育までを一連で設計し体制の底上げにつなげる。

事実調査の体制をつくる

最初に行うのは、申告された事実を確認するための調査体制を組むことです。前述の体制要件(受付・調査・是正を担う部署と責任者の明確化、幹部関与案件での独立性の確保、事案関係者を関与させないこと)を、初動の調査体制づくりの文脈で具体化します。

社内の調査だけでは客観性を保ちにくい場合は、弁護士などで構成する内部調査委員会や、外部委員を中心とする第三者委員会を設けることが選択肢になります。経営幹部が関係するほど、こうした独立した体制の必要性は高まります。

通報者の保護と記録化

調査と並行して、通報者を守る措置を徹底します。通報者を特定させる情報は、対応にあたる担当者の守秘義務の対象であり、調査の過程でも共有範囲を必要最小限にとどめます。

通報者が不利益な取扱いを受けていないかを継続的に把握し、受けていた場合には救済・回復の措置をとることも指針が求めています。あわせて、受付から調査・是正までの対応を記録に残し、適切な期間保管することで、後日の説明責任にも備えられます。

公表・当局対応・再発防止

調査で事実が確認された場合は、事案の性質に応じて、企業は対外的な公表や関係者への説明、監督官庁の調査・警察の捜査への協力を検討することになります。どこまで公表するかは、法令上の義務や社会的な影響を踏まえて個別に判断することが求められます。

最後に、同じ問題を繰り返さないための再発防止策につなげます。規程の見直し、業務プロセスの改善、従業員への教育・周知までを一連の対応として設計することで、初動が一度きりの火消しで終わらずに体制の底上げになります。

こうした教育・周知は、消費者庁の指針も事業者がとるべき措置として挙げており、一度きりで終わらせず継続的な取り組みとして設計することが求められます。

出典・参考資料(1件)

社外に出る前に社内で受け止める内部通報窓口の作り方

不正の兆候が行政・報道・SNSに出る前に社内で受け止めるには、通報窓口の設計が鍵になります。誰が受けるか、匿名にどう対応するか、社内で運用するか外部に委託するかという論点を順に見ていきます。

企業が具体的な整備を進める際は、おおむね次の順序になります。前述の体制要件・従事者の指定・記録化を、一つの段取りに落とし込んだ流れです。

  1. 通報の受付から調査・是正までを定めた規程を策定する
  2. 通報者を特定させる情報の守秘義務を負う従事者を指定する
  3. 受付経路(社内担当・外部委託・両方)を用意する
  4. 窓口の存在と使い方を従業員へ周知する
  5. 通報の記録を作成し、適切な期間保管して運用する

誰が受けるか・匿名対応をどうするか

まず決めるのは、窓口を担う部署と責任者です。前述の体制要件(担当部署と責任者の明確化、幹部関与案件での独立性の確保)を、窓口設計の文脈で具体化します。

窓口に固有の論点として、通報を受ける担当者は、通報者を特定させる情報の守秘義務を負う「従事者」として指定しておく必要があります。

匿名での通報をどう扱うかも、設計段階で決めておきたい点です。匿名の通報でも調査・対応の対象とし、通報者の探索や範囲外共有を防ぐ措置をとることが、通報しやすい窓口と通報者保護の両立につながります。

内製か外部委託か

窓口の運用には、社内で受け付ける内製と、弁護士や専門事業者に委ねる外部委託があります。内製は社内事情を把握しやすい一方、幹部が関係する事案では独立性を保ちにくく、通報者が「社内の人に知られる」と感じて通報をためらう懸念もあります。

外部委託は独立性や心理的なハードルの面で利点がありますが、委託先が普段から会社の顧問を務めている場合などには、利益相反に配慮する必要があります。指針も、事案に関係する者を対応業務に関与させない措置を求めています。自社の規模や通報が上がりやすい現場の有無を踏まえ、内製・外部委託・両者の併用のどれが合うかを見極めることが、窓口整備の出発点になります。

外部委託を選ぶ場合、どのような依頼先があり、費用はどの程度かかるのかは判断の分かれ目になります。社内窓口との違いや依頼先の選び方、費用相場の目安は、次の記事で詳しく解説しています。

出典・参考資料(1件)

内部通報窓口・コンプライアンス研修で社内体制を整える

ここからは、内部通報の体制づくりや公益通報者保護法への対応に役立つサービスを紹介します。まず、内部通報窓口サービスを提供形態別に俯瞰できるよう、比較表で整理します。

← 横にスクロールできます →
サービス名CLOUD LEGALリスクホットライン®DQヘルプラインディアログ(Dear-Log)NHホットライン内部通報代行窓口(Zation)リスクフロントAI通報窓口(NaLaLys)内部通報サービス(ZeLo)外部窓口担当(青葉法律事務所)内部通報制度(渥美坂井法律事務所)完全匿名ヘルプラインコンプラチェッカー
提供形態法務BPaaS
(窓口を付帯)
受付代行・BPO型受付代行・BPO型受付代行・BPO型受付代行・BPO型受付代行・BPO型受付代行型
(弁護士監修)
AI一次受付型弁護士委託型弁護士委託型弁護士委託型ツール提供型ツール提供型
主な受付チャネル要問い合わせ電話・Web・メール
(電話は平日9〜18時)
Web・電話・メール電話・Web
(Webは24時間365日)
Web・メール・書面
(電話はスタンダード)
電話・メール・Web
チャットボット・書面
メール・専用ダイヤル
(平日9〜17時)
AIチャットボット
(24時間365日)
メール窓口
(電話・Web会議の相談可)
要問い合わせ要問い合わせWebフォームのみWebフォームのみ
特徴AI×弁護士の法務BPaaS。
ゴールド(Premium)プランに内部通報窓口を付帯
2003年開始の危機管理専門会社。
調査・研修まで一気通貫で支援
2003年開始で3,000社超。
Web36言語以上・GDPR対応
公益通報とハラスメントを1窓口。
提携弁護士コメントを無料付帯
中小向けの固定料金・従量課金なし。
受付〜報告に特化(調査は自社)
弁護士・社労士のクロスチェック体制。
英語・中国語はオプション対応
弁護士が監修。
従業員数別の月額を公開
AIが一次受付・5W1H整理・案件管理。
匿名/記名の双方向通信
規程策定〜調査〜法的助言まで一気通貫。
日英・インドネシア語対応
外部窓口を弁護士が担当。企業・自治体・
私大に対応し、料金を明示公開
大手総合法律事務所の業務分野。
グローバル内部通報・GDPR対応
メール・IP・ログ非取得の匿名設計。
専門家相談つき(窓口代行ではない)
弁護士事務所に専用通報ページを設置。
規模問わず一律料金(窓口代行ではない)
料金目安月額11,000円〜(税込)
窓口付帯は110,000円〜
要問い合わせ要問い合わせ初期10万円〜
月額3.5万円〜
初期4万円〜
月額1.5万円〜(税込)
初期5万円〜
月額1.5万円〜
初期10万円〜
月額1万円〜(税別)
要問い合わせ初期20万円+
月額5万円〜(年6件まで)
月額2.2万円〜(税込)
通報1件1.1万円
要問い合わせ初期3万円
月額3,000円〜(税別)
年額9,600円(税込)一律
詳細情報公式資料を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

以下では、資料請求できる2つのサービスを個別に紹介します。いずれも受付代行の窓口そのものとは別レイヤーの選択肢です。

CLOUD LEGAL は法務BPaaSに内部通報窓口が付帯する形、OneCompliance は通報制度を社内に根づかせる研修です。純粋な受付代行窓口を探す方は、上の比較表と前掲の外部窓口の記事をご覧ください。

CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)のウェブサイト

CLOUD LEGAL は、生成AIと弁護士をはじめとする専門家の体制を組み合わせた、契約・法務BPaaS型の企業法務アウトソーシングサービスです。MOLTON株式会社が運営し、契約書の作成・レビューや法務・労務相談、社内規程の整備などを、オンラインで利用できる形にまとめています。

内部通報に関しては、上位のゴールド(Premium)プランの提供内容に「内部通報窓口(法令違反、ハラスメント等の受付)」が含まれると案内されています(月額110,000円・税込〜、2026年10月時点のカタログ掲載情報)。社内規程の整備や株主総会・取締役会のサポートといった法務まわりの支援とあわせて、通報窓口の設置を進めたい企業に向いた選択肢です。

利用の入口は月額11,000円(税込)からのプランで、初期費用は0円とされています。弁護士監修のリーガルAIを使った契約書レビューはMicrosoft Word上で完結できる機能も備え、情報管理面では国際規格「ISO/IEC 27001」の認証を取得しています。ただし、通報を社外窓口として受け付ける代行や、通報後の事実調査まで担うかどうかは、資料や問い合わせで確認するのが確実です。

窓口の整備とあわせて効いてくるのが、公益通報者保護法や内部通報制度を従業員へ浸透させる研修です。もっとも研修は一度きりだと形骸化しやすく、コンプライアンス研修を手がける株式会社リスキルの人事担当者413名への意識調査でも、その実態が示されています。

山田氏
株式会社リスキル ビジネスプロデューサー
山田氏
独自インタビューより

対象は当社のお客様に限らない一般の人事担当者の方々です。その結果、約3割の企業様が現状の教育手法に「十分な効果を感じていない」と回答されました。要因を深掘りすると、「受講自体が作業化して形骸化している(62.8%)」「一時的な実施に留まり、内容を忘れてしまう(44.9%)」という声が上位を占めていたのです。

この調査が映すのは研修全般が形骸化しやすい業界の実情です。次に紹介する OneCompliance は、内部通報制度や公益通報者保護法をテーマに、こうした形骸化を避けて通報制度を社内に根づかせることを狙う研修サービスです。

2. OneCompliance(ワンコンプライアンス)(株式会社Oyster)

OneCompliance(ワンコンプライアンス)のウェブサイト

公益通報者保護法や内部通報制度を従業員に周知する手段として役立つのが、コンプライアンス研修に特化したeラーニングの OneCompliance です。株式会社Oyster が運営し、法務・労務・情報セキュリティなどの領域を横断する研修を、動画とテキストの両方で受講できます。

コース一覧には「内部通報制度・公益通報者保護法(規制概要と事業者の義務)」や「公益通報者保護法の改正点(令和7年改正)」が用意されており、本記事で触れた義務や改正点を、従業員向けの学習コンテンツとして展開できます。受講状況はダッシュボードで一元管理でき、未受講者への自動リマインドにも対応するため、指針が求める教育・周知を運用しやすい設計です。

初期費用はなく、受講者数に応じた課金で10名から利用できます(具体額は要お問い合わせ、2026年10月時点)。本契約の前に機能やコンテンツを試せる無料トライアルも用意されています。研修サービス全体の比較検討は、カテゴリの比較記事もあわせてご覧ください。

コンプライアンス研修eラーニングは、教材テーマや料金、受講状況を管理する仕組みがサービスごとに異なります。公益通報者保護法や内部通報制度の周知手段として研修を本格的に比較検討したい方は、次の記事で各社の特徴と選び方を確認できます。

まとめ

内部告発・内部通報は不正を知らせる行為を広く指す一般的な言葉で、そのうち法律の要件を満たすものが公益通報として保護されます。社内に申告が上がったときは、まずそれが公益通報にあたるかを判断し、通報を理由とする解雇・配転など「触れてはいけない線」を越えないことが出発点になります。

公益通報者保護法は、常時使用する労働者が300人を超える事業者に通報体制の整備を義務づけ、300人以下の事業者には努力義務としています。2026年12月1日には規制をさらに強める改正が施行されるため、現行法への対応と改正への備えを並行して進めておくと安心です。

告発を受けたときの初動と、社外に出る前に社内で受け止める窓口の整備、従業員への研修までを一連の体制として設計することが、リスクを抑える近道になります。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】コンプライアンス支援サービスの資料を
一括ダウンロードする

よくある質問(FAQ)

Q. 内部告発とは何ですか?

A. 内部告発とは、組織の内部にいる人が、その組織で起きている不正や法令違反を明らかにする行為を広く指す一般的な呼び方で、公益通報者保護法が定義する法律用語ではありません。通報先は社内に限らず、行政機関や報道機関、SNSなどの社外も含みます。

このうち、労働者や退職者・役員が不正の目的でなく法律に定められた対象事実を法定の通報先に知らせるなど、法律の要件を満たすものが「公益通報」として保護の対象になります。

出典・参考資料(1件)

Q. 内部告発(公益通報)をした従業員を会社は解雇できますか?

A. 内部告発が公益通報の要件を満たす場合、それを理由とする解雇は公益通報者保護法第3条により無効となり、降格・減給・退職金の不支給などの不利益な取扱いも第5条で禁止されています。通報と近い時期に人事上の措置をとると報復とみなされ無効と判断されるおそれがあるため、通報の有無ではなく事実を確認したうえで判断し、判断の過程を記録に残すことが実務上の要点になります。

出典・参考資料(1件)

Q. 匿名の内部告発でも会社は調査すべきですか?

A. 匿名の内部告発であっても、会社は原則として調査・対応の対象とすることが求められます。消費者庁の指針は、内部公益通報を受け付け、調査し、是正する体制を整えることを事業者に求めており、匿名であることだけを理由に対象から外すことは想定されていません。通報者を特定させる情報の共有範囲を必要最小限にとどめ、通報者の探索を防ぐ措置をあわせてとることが、通報しやすい窓口と通報者保護の両立につながります。

出典・参考資料(1件)

Q. 常時使用する労働者が300人以下の会社でも内部通報窓口は必要ですか?

A. 常時使用する労働者が300人以下の事業者にとって、内部通報の体制整備は現行法では義務ではなく努力義務です(公益通報者保護法第11条第3項)。体制整備が義務づけられるのは常時使用する労働者が300人を超える(301人以上)事業者で、300人以下の事業者は努力義務にとどまります。

ただし、不正が社外に出る前に社内で受け止める仕組みはリスク管理上の意義が大きいため、努力義務の対象であっても窓口の設置を検討する価値があります。

出典・参考資料(1件)

Q. 内部告発をした人が誰かを特定しようとする「通報者探し」は違法ですか?

A. 通報者探しについては、現行の公益通報者保護法でも、通報対応にあたる従事者が業務上知り得た通報者を特定させる情報を漏らした場合は第12条・第21条により30万円以下の罰金が科され、消費者庁の指針も通報者の探索を防ぐ措置を事業者に求めています。

さらに2026年12月1日に施行される改正(令和7年法律第62号)では、正当な理由なく公益通報者を特定することを目的とする行為そのものが法律上明確に禁止されます(第11条の3関係)。本記事の公開時点では改正は未施行ですが、施行後は規制が一段と強まります。

出典・参考資料(2件)

Q. 内部告発が行政機関や報道機関など社外に出るのを防ぐにはどうすればよいですか?

A. 内部告発が社外に出るのを防ぐうえで会社がまず押さえるべきは、社内の書面通報を受けてから20日以内に調査着手を通知し、通報を放置しないことです。公益通報者保護法は、書面による社内通報から20日を過ぎても調査を行う旨の通知がない場合などに、報道機関等への通報(3号通報)が保護の対象となりうると定めています(第3条第3号ホ)。

社内で受け止めた通報に速やかに調査の意思を示すことが、社外に出る前に社内で解決する近道になります。

出典・参考資料(1件)

Q. 2026年12月1日施行の公益通報者保護法改正で、企業の義務はどう変わりますか?

A. 2026年12月1日に施行される改正(令和7年法律第62号)では、公益通報を理由とする解雇・懲戒に対する直罰(法人は最大3,000万円の罰金)の新設が柱になります。あわせて、通報を妨げる行為や通報者を特定する行為の禁止、通報後1年以内の解雇・懲戒を公益通報を理由とするものと推定する立証責任の転換などが導入されます。

本記事の公開時点(2026年10月)では未施行で現行法が有効ですが、施行日に向けて社内規程や通報体制を点検しておくと安全です。

出典・参考資料(1件)

内部通報体制・コンプライアンス支援の資料を一括チェック

MCB FinTechカタログでは、内部通報窓口の整備や公益通報者保護法対応に役立つ法人向けサービスの最新資料を無料で一括請求できます。体制づくり・研修・相談窓口の選択肢をまとめて比べられます。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】コンプライアンス支援サービスの資料を
一括ダウンロードする

MCB FinTechカタログに掲載しませんか?

MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

関連記事

新着記事

コンプライアンス支援サービス
おすすめの診断サービス