サービス比較の記事一覧

AIで顧客対応・サポート業務を自動化したい

サービス比較の記事一覧

AIで顧客対応・サポート業務を自動化したい

経理・会計業務を効率化したい

給与計算アウトソーシング
の関連情報


関連サービス資料を
無料で一括ダウンロード

労働保険料申告書の書き方|記入例つきで概算・確定・一般拠出金の計算から提出まで解説

労働保険料申告書の書き方のサムネイル画像
給与計算アウトソーシング比較表(2026年版)のプレビュー

主要34サービスの料金・機能を無料で一覧比較

給与計算アウトソーシング比較表(2026年版)

毎年6月になると、労働基準監督署や都道府県労働局から緑色の3枚つづりの用紙が届きます。これが「労働保険 概算・増加概算・確定保険料申告書」で、一般に「労働保険料申告書」と呼ばれる書類です。1年に一度の「年度更新」で、前年度の賃金が確定した実際の保険料(確定保険料)を精算し、今年度の見込みの保険料(概算保険料)を申告・納付するために使います。

この申告書は、労災保険と雇用保険をまとめた「労働保険」の保険料を扱います。確定保険料・一般拠出金・概算保険料を自分で計算して各欄に書き込み、前年度に前払いした概算保険料との差額(差引額)を精算する仕組みのため、年に一度しか触れない担当者にとっては記入と計算でつまずきやすい書類です。

この記事では、手元の申告書を様式の並びどおりに埋められるよう、各欄の書き方を順に解説します。あわせて、確定・概算保険料と一般拠出金の計算方法(今年度の料率)、差引額の処理、紙とe-Gov電子申請それぞれの提出方法まで取り上げます。

給与計算アウトソーシングの関連サービス資料
PR
料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】給与計算アウトソーシングの資料を
一括ダウンロードする
本セクションにはプロモーションが含まれており、表示順は当社独自の基準や提携状況に基づいています。

労働保険料申告書とは(年度更新で出す「概算・増加概算・確定保険料申告書」)

労働保険料申告書は、正式には「労働保険 概算・増加概算・確定保険料申告書」といいます。労災保険と雇用保険をあわせた労働保険では、保険年度(4月1日から翌年3月31日まで)ごとに、まず見込みの賃金で概算保険料を申告・納付し、年度が終わって賃金総額が確定したら実際の保険料(確定保険料)を計算して精算します。この一連の手続きが「年度更新」です。

保険年度ごとに概算で保険料を申告・納付(労働保険徴収法第15条)し、保険年度終了後に賃金総額を確定させたうえで精算(同法第19条)する方法をとっています。

厚生労働省「労働保険の年度更新について」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/kousin.html)

申告書には労災保険分と雇用保険分の両方を記入します。労災保険の保険料は全額を事業主が負担し、賃金を受けるすべての労働者が対象です。雇用保険の保険料は事業主と労働者で分担し、雇用保険の被保険者が対象になります。労災保険と雇用保険で対象になる人の範囲が異なるため、賃金総額を別々に集計する点が、記入でつまずきやすい最初のポイントです。

年度更新の全体の流れ

年度更新は、次の流れで進みます。手を動かす順番で押さえておくと、申告書のどこを埋めているのかが分かりやすくなります。

  1. 賃金を集計する:前年度に労働者へ支払った賃金を、労災保険の対象・雇用保険の対象に分けて集計します(確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表を作成)。
  2. 保険料を計算する:確定保険料・一般拠出金と、今年度の概算保険料を算出します。
  3. 申告書に記入する:計算した金額を様式の各欄に書き込み、前年度の概算保険料との差引額を出します。
  4. 提出・納付する:紙またはe-Gov電子申請で申告書を提出し、保険料を納付します。
労働保険の年度更新の全体の流れを示す図。STEP1は賃金を集計する(前年度の賃金を労災保険の対象と雇用保険の対象に分けて集計し賃金集計表を作成)、STEP2は保険料を計算する(確定保険料・一般拠出金と今年度の概算保険料を算出)、STEP3は申告書に記入する(各欄に記入し前年度の概算保険料との差引額を出す)、STEP4は提出・納付する(紙またはe-Gov電子申請で提出し納付)の順に矢印でつながる。

提出期間・納付期限と様式の入手方法

ここでは、申告書をいつまでに出すのか、様式はどう手に入るのかを確認します。

年度更新の手続きは、原則として毎年6月1日から7月10日までに行います。この期間内に申告書を提出し、保険料を納付します(7月10日が土日にあたる年は翌開庁日が期限になります)。

この年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければなりません。

厚生労働省「労働保険の年度更新について」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/kousin.html)

これは労働保険徴収法が定める「保険年度の6月1日から40日以内」という期限にもとづくものです。6月1日から数えて40日目が7月10日にあたります。

申告書の様式は、例年5月下旬から6月上旬にかけて事業所あてに郵送されます。手元に届いた用紙を使うのが基本です。

紛失した場合や記入例を確認したい場合は、厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」や、年度版の書き方パンフレット「事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新 申告書の書き方」から、様式・記入例・計算支援ツール(Excel)を入手できます。また、後述する電子申請が義務づけられている法人には、今年度から紙の申告書が送付されません。

出典・参考資料(3件)

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】給与計算アウトソーシングの資料を
一括ダウンロードする

労働保険料申告書の記入例(様式の並びどおりに各欄を解説)

ここからは、手元の申告書を実際に埋められるよう、様式の上段から下段へ向かって各欄に何を書くかを順番に解説します。まずモデル事業所の数字で各欄を埋めた記入例を示し、続いて欄ごとの書き方を説明します。金額の計算の詳しい手順は次章で扱います。

記入例:モデル事業所で各欄を埋める

次のモデル事業所を例に、各欄に入る金額を様式の並びで示します。前年度の労災保険の対象賃金総額を30,000,000円、雇用保険の対象賃金総額を28,501,000円、前年度に申告済みの概算保険料を450,000円とし、労災保険率は1,000分の3の業種と仮定します(保険料の計算の手順は次章で解説します)。

記入する欄金額計算の内訳
確定保険料(労災保険分)90,000円30,000,000円 × 3/1,000
確定保険料(雇用保険分)384,763円28,501,000円 × 13.5/1,000(1円未満切捨て)
確定保険料 合計474,763円労災保険分 + 雇用保険分
一般拠出金600円30,000,000円 × 0.02/1,000
概算保険料(今年度の見込み)474,763円賃金総額を前年度と同額と見込む場合
申告済概算保険料450,000円前年度に申告した概算保険料
差引額(不足額)24,763円確定474,763円 − 申告済450,000円
今年度の納付額500,126円今年度概算474,763円 + 一般拠出金600円 + 不足額24,763円

この例では確定保険料が申告済みの概算保険料を上回ったため、差額は不足額として今年度の概算保険料・一般拠出金とあわせて納付します。ここから、各欄の書き方を順に見ていきます。

1. 労働保険番号・事業情報などの基本欄(様式最上段)

様式の最上段には、労働保険番号・事業の名称・所在地・事業の種類などが印字されています。まずこの印字内容が自社の情報と合っているかを確認します。労働保険番号は保険料を管理する基礎になる番号なので、転記や問い合わせの際に取り違えないよう控えておきます。印字がない用紙を使う場合は、届いた通知や前年度の控えを見ながら正確に記入します。

2. 確定保険料(労災保険分・雇用保険分の賃金総額と保険料)

確定保険料の欄には、前年度に実際に支払った賃金をもとに算出した保険料を書きます。先に作成した賃金集計表から、労災保険の対象賃金総額と雇用保険の対象賃金総額を転記し、それぞれに保険料率を掛けた保険料額を記入します。労災保険分と雇用保険分は別の行に分かれているので、集計した賃金総額を正しい側に入れることが重要です。賃金総額は千円未満を切り捨てた額で記入します。

3. 一般拠出金

一般拠出金は、石綿(アスベスト)による健康被害を受けた方の救済にあてる拠出金で、労災保険の対象賃金総額に一般拠出金率を掛けて計算し、確定保険料とあわせて申告・納付します。概算で前払いする仕組みはなく、確定した賃金総額をもとに一度だけ算出する点が保険料と異なります。

4. 概算・増加概算保険料

概算保険料の欄には、今年度の保険料の見込み額を書きます。今年度の賃金総額はまだ確定していないため、見込みの賃金総額に保険料率を掛けて算出します。見込みの賃金総額が前年度の2分の1以上2倍以下に収まる見込みであれば、前年度の確定賃金総額をそのまま今年度の見込みとして使えます。

年度の途中で使用する労働者が増えるなどして賃金総額の見込みが当初より増えたときに使う「増加概算保険料」の欄も同じ様式にあります。

5. 申告済概算保険料と差引額(不足・充当・還付)

この欄では、前年度に申告した概算保険料(申告済概算保険料)を記入し、今回計算した確定保険料との差額を出します。確定保険料が申告済概算保険料を上回れば不足額(追加で納付)、下回れば充当や還付の対象になります。差引額の具体的な処理の仕方は、ケースによって記入する欄と手続きが変わるため、差引額の処理(不足・充当・還付の3ケース)でくわしく解説します。

6. 延納(分割)区分・期別納付額・事業主控え(様式下部)

様式の下部には、保険料を分割して納める「延納」の区分と、各期の納付額を書く欄があります。延納できる条件(今年度の概算保険料が40万円以上など)は、記事末尾のFAQで解説します。

延納の記入は、まず延納(分割納付)を希望するかどうかの区分を選び、そのうえで各期の納付額を書きます。先ほどの例(今年度の概算保険料474,763円・一般拠出金600円・確定保険料の不足額24,763円)は、概算保険料が40万円以上のため延納でき、3期に分けて納められます。

延納するときは、今年度の概算保険料だけを3等分し(1円未満の端数は第1期に加算)、確定保険料の不足額と一般拠出金は分割せず第1期にまとめて納付します。この例では各期の納付額は次のようになります。

期別対象期間納期限(窓口・ペイジー納付の場合)納付額
第1期4月1日〜7月31日7月10日183,618円(概算158,255円+不足額24,763円+一般拠出金600円)
第2期8月1日〜11月30日10月31日158,254円(概算分のみ)
第3期12月1日〜翌3月31日翌1月31日158,254円(概算分のみ)

3期の合計は500,126円で、延納せずに一括で納める場合の納付額と一致します。労働保険事務組合に事務を委託している場合は、第2期・第3期の納期限が後ろ倒しになります(それぞれ11月14日・翌2月14日)。各期の納期限は年によって土日の関係で前後するため、届いた用紙や厚生労働省の年度版「申告書の書き方」で確認してください。

記入が終わったら、3枚つづりのうち事業主控えの1枚を手元に残します。控えは翌年度の年度更新で申告済概算保険料を転記するときに使うので、必ず保管しておきます。各欄の正確な記入位置は、厚生労働省の年度版「申告書の書き方」の記入例もあわせて確認すると確実です。

出典・参考資料(1件)

保険料の計算方法(賃金総額・今年度の料率・端数処理)

ここからは、確定保険料・概算保険料・一般拠出金を正しく計算する方法を解説します。計算の流れは「賃金総額を集計する → 料率を掛ける → 端数を処理する」の3段階です。

賃金総額の集計(含める/含めない賃金)

保険料の計算の出発点は賃金総額です。労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下「労働保険徴収法」)では「賃金総額」を、事業に使うすべての労働者に支払う賃金の総額と定めています。

この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであつて、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く。)をいう。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第2条第2項(e-Gov法令検索)

賃金総額に含めるのは、基本給のほか、残業手当・役職手当・通勤手当などの諸手当、賞与など、労働の対償として支払うものです。一方、退職金、結婚祝金などの慶弔見舞金、休業補償費、解雇予告手当、役員報酬(労働者でない役員に支払うもの)などは含めません。

労災保険の対象になる賃金と雇用保険の対象になる賃金は範囲が異なるため、集計表では別々に積み上げます。判断に迷う個別の賃金は、厚生労働省の賃金集計表の書き方で確認できます。

出典・参考資料(2件)

労災保険率・雇用保険料率・一般拠出金率(2026年度の料率)

保険料は、集計した賃金総額に保険料率を掛けて算出します。料率は保険の種類ごとに決まっています。

労災保険率は、事業の種類ごとに定められています。労災保険率表(2024年〈令和6年〉4月1日施行)で業種ごとに1,000分の2.5から1,000分の88までの幅があり、2026年度(令和8年度)もこの率表がそのまま適用されます。

たとえば建築事業は1,000分の9.5、林業は1,000分の52、機械装置の組立て又は据付けの事業は1,000分の6などと定められています。自社の業種に対応する率を率表で確認して使い、労災保険の保険料は全額を事業主が負担します。

雇用保険料率は、事業の区分ごとに決まっています。2026年度(令和8年度、2026年4月1日〜2027年3月31日適用)の料率は次のとおりで、前年度から0.1%引き下げられています。雇用保険の保険料は事業主と労働者で分担します。

事業の種類労働者負担事業主負担合計
一般の事業5/1,0008.5/1,00013.5/1,000
農林水産・清酒製造の事業6/1,0009.5/1,00015.5/1,000
建設の事業6/1,00010.5/1,00016.5/1,000

一般拠出金率は、1,000分の0.02です。石綿健康被害救済法にもとづく率で、2026年度も変更ありません。労災保険の対象賃金総額に掛けて算出します。

保険料率は毎年見直される可能性があります。申告の前に、必ず厚生労働省が公表するその年度の料率を確認してください。

出典・参考資料(3件)

端数処理(賃金総額は千円未満切捨て・保険料は1円未満切捨て)

計算では2段階で端数を切り捨てます。まず賃金総額は、千円未満の端数を切り捨てた額を使います。これは労働保険徴収法が定める原則で、概算・確定のどちらにも通用します。

次に、賃金総額に料率を掛けて出た保険料・一般拠出金は、1円未満(小数点以下)を切り捨てます。たとえば雇用保険の対象賃金総額が28,501,000円で料率が1,000分の13.5の場合、28,501,000円 × 13.5 ÷ 1,000 = 384,763.5円となり、1円未満を切り捨てて384,763円とします。

Q3.保険料(一般拠出金)の計算をしたら小数点以下が発生しました。切り捨てですか、切り上げですか?
A.切り捨てになります。
なお、労災保険と雇用保険の算定基礎額が同額の場合は、別々に計算して切り捨てるのではなく、両保険の算定基礎額を両保険の料率の合計に乗じ、その後切り捨ててください。

出典:厚生労働省 令和8年度(継続事業用)労働保険年度更新「年度更新でよくある質問」Q3

労災保険と雇用保険の算定基礎額(対象賃金総額)が同じ額になる場合は、保険ごとに別々に計算して切り捨てるのではなく、両保険の料率を合計した率を一度に掛けてから切り捨てます。切り捨てる順番を誤ると最終的な保険料が1円単位でずれるため、注意が必要です。

出典・参考資料(2件)

間違えやすい点(出向者の賃金・集計の注意)

賃金総額の集計では、いくつか判断に迷いやすい場面があります。たとえば出向者の賃金は、労災保険では出向先での労働の実態に応じて、雇用保険では賃金を支払う側で扱うなど、保険ごとに取り扱いが分かれます。離職後に支払った昇給の差額も、離職前に支給が決まっていたかどうかで賃金総額に含めるかが変わります。

昇給差額分の支払いを離職前に決定していた場合は、支払いが離職後であっても賃金総額に含めますが、離職後に支払うことが決定した場合は賃金総額に含めません。

出典:厚生労働省 令和8年度(継続事業用)労働保険年度更新「年度更新でよくある質問」Q20

こうした境界のケースは、自己判断で処理すると保険料の過不足につながります。判断に迷う賃金があるときは、賃金集計表の書き方や年度更新のよくある質問で確認してから集計しましょう。

差引額の処理(不足・充当・還付の3ケース)

確定保険料と、前年度に申告した概算保険料(申告済概算保険料)を比べると、差額(差引額)が出ます。この差額の向きによって、処理は不足・充当・還付の3つに分かれます。どのケースでも今年度の概算保険料と一般拠出金はあわせて納めます。

確定保険料と申告済概算保険料の差引額の処理を3ケースに分ける図。確定保険料と申告済概算保険料を比べ、どのケースでも今年度の概算保険料と一般拠出金はあわせて納める。ケース1は不足で、確定保険料が申告済概算保険料を上回る場合は不足額を今年度の概算保険料・一般拠出金とあわせて納付する。ケース2は充当で、確定保険料が申告済概算保険料を下回る場合は払いすぎた分を今年度の概算保険料などに充てる。ケース3は還付で、充当してもなお払いすぎが残るときは労働保険料・一般拠出金還付請求書(様式第8号)を別途提出する(申告書の提出だけでは還付されない)。

ケース1:不足が出る場合(追加で納付)

確定保険料が申告済概算保険料を上回る場合は、不足額が生じます。この不足額を、今年度の概算保険料・一般拠出金とあわせて納付します。申告書の差引額の欄に不足額を記入し、合計した納付額を納付書に書き写します。

ケース2:充当する場合

確定保険料が申告済概算保険料を下回る場合は、払いすぎた分を今年度の概算保険料などに充てることができます。これを充当といいます。申告書の充当意思の欄で、労働保険料と一般拠出金のどちらに充てるかを選び、充当後に納付する金額を計算します。たとえば確定保険料が450,000円、申告済概算保険料が500,000円であれば、払いすぎた50,000円を今年度の概算保険料などに充てられます。

ケース3:充当してもなお払いすぎが残る場合(還付請求)

充当してもなお払いすぎが残る場合は、その分の還付を受けられます。ただし、申告書を提出しただけでは還付されません。

Q14.還付額が出るときはどうしたらいいのですか?
A.申告書の提出だけでは還付されませんので、必ず「労働保険料・一般拠出金還付請求書」を管轄の労働基準監督署または労働局にご提出ください(P.33参照)。還付請求には時効がありますので、ご注意ください。

出典:厚生労働省 令和8年度(継続事業用)労働保険年度更新「年度更新でよくある質問」Q14

還付を受けるには、「労働保険料・一般拠出金還付請求書」(様式第8号)を、申告書とあわせて管轄の労働基準監督署または労働局に提出します。還付請求には時効があるため、還付が見込まれる年は申告と同時に請求書を用意しておくとよいでしょう。様式は厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーから入手できます。

出典・参考資料(2件)

提出方法(紙/e-Gov電子申請・電子納付)

記入と計算が終わったら、申告書を提出し、保険料を納付します。提出には紙と電子申請の2つの方法があります。

紙で提出する場合

紙で提出する場合は、申告書を管轄の労働基準監督署または都道府県労働局に提出します(郵送も可能です)。保険料の納付は、申告書に付いている領収済通知書(納付書)を使い、金融機関の窓口で行います。ペイジー(Pay-easy)による納付にも対応しています。

納付する保険料がない場合でも、申告書だけは提出する必要があります。申告書の控えに窓口の受付印が必要な場合は、金融機関では押印できないため、監督署または労働局に直接提出します。

保険料の納付には、窓口・ペイジーのほかに口座振替も利用できます。あらかじめ「保険料等口座振替納付書送付(変更)依頼書 兼 口座振替依頼書」を金融機関経由で提出して申し込むと、以降は指定口座から自動で引き落とされ、窓口に出向く手間がなくなります。

引き落とし日(約定日)は窓口納付やペイジーの納期限より後に設定され、延納する場合は各期ごとに引き落とされます。約定日は厚生労働省が年度ごとに定めるため、具体的な日付は同省の案内で確認してください。

e-Gov電子申請・電子納付

電子申請は、政府の電子申請システムe-Govから行います。ログインには、行政サービス共通の事業者向けID「GビズID」のアカウントを利用でき、保険料の電子納付にも対応しています。

電子申請を使うと、窓口に出向かずに申告・納付が完結し、計算の一部も画面上で補助されます。具体的な操作手順は、厚生労働省の年度版パンフレット(電子申請による申告書の提出・納付、GビズIDアカウントを利用した電子申請)とe-Govの公式案内で確認できます。

電子申請が義務づけられている対象

一定の法人(特定法人)には、労働保険料申告書の提出を電子申請で行うことが義務づけられています。対象は、事業年度開始時の資本金・出資金などの額の合計が1億円を超える法人、相互会社、投資法人、特定目的会社です。

……特定法人(事業年度……開始の時における資本金の額、出資金の額……の合計額が一億円を超える法人、保険業法……に規定する相互会社、投資信託及び投資法人に関する法律……に規定する投資法人又は資産の流動化に関する法律……に規定する特定目的会社をいう……)にあつては、電子情報処理組織……を使用して行うものとする。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則 第24条第3項(e-Gov法令検索)

資本金が1億円以下の中小企業は電子申請の義務対象ではなく、紙と電子申請のどちらを選んでも構いません。義務対象の法人には、今年度から紙の申告書が送付されなくなります。

出典・参考資料(3件)

特殊なケース(年度途中の加入・事業廃止・提出の遅れ)

標準的な年度更新から外れるケースもあります。年度の途中で加入した場合、事業を廃止した場合、提出が遅れた場合の扱いを押さえておきましょう。

年度の途中に労働保険へ加入した場合

年度の途中で労働者を雇って労働保険の関係が成立した場合は、成立した日から保険年度末までの賃金の見込み額で概算保険料を計算し、成立の日から50日以内に申告・納付します。翌年度からは、ほかの事業と同じく6月1日から7月10日の年度更新で精算します。

事業廃止時の確定保険料申告と期限

年度の途中で事業を廃止して労働保険の関係が消滅した場合も、確定保険料の申告は必要です。廃止の日までに支払った(支払うことが確定した)賃金をもとに確定保険料を計算し、保険関係が消滅した日の翌日から50日以内に申告書を提出します。

Q16.令和8年3月31日以前に事業を廃止しました。申告書の提出は必要ですか?
A.申告書の提出は必要です。事業を廃止した日までの確定保険料を申告してください(P.29参照)。

出典:厚生労働省 令和8年度(継続事業用)労働保険年度更新「年度更新でよくある質問」Q16

提出が遅れた・忘れた場合(延滞金・追徴金)

提出や納付が期限に間に合わなかった場合は、まず管轄の労働基準監督署または労働局に連絡します。申告内容に誤りがあって不足額が判明した場合は、政府が確定保険料を決定し、不足額とあわせてその10%の追徴金を徴収することがあります(追徴金の対象になる額が千円未満のときは追徴金はかかりません)。期限を過ぎた場合は延滞金が発生することもあるため、遅れに気づいたらできるだけ早く連絡・提出することが大切です。

政府は、事業主が第十九条第五項の規定による労働保険料又はその不足額を納付しなければならない場合には、その納付すべき額(その額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)に百分の十を乗じて得た額の追徴金を徴収する。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第21条第1項(e-Gov法令検索)

記入を間違えた場合は、領収済通知書(納付書)以外であれば訂正できます。誤った箇所を二重線などで消し、訂正後の数字や文字が分かるように書き直します。訂正印は不要です。領収済通知書は訂正できないため、新しいものを使います。

出典・参考資料(2件)

年度更新の負担を軽くするには(給与計算アウトソーシングの活用)

労働保険料申告書の作成は、賃金の集計・保険料の計算・各欄の記入・差引の処理と工程が多く、年に一度しか行わないため担当者の負担が大きい手続きです。社内で抱えきれない場合は、給与計算とあわせて労働保険の年度更新や社会保険の手続きまで代行できる外部サービスに委託する方法があります。

社会保険・労働保険の手続きの代行は社会保険労務士の独占業務のため、こうしたサービスの多くは社会保険労務士法人が母体になっています。年度更新を任せたい場合は、「労働保険の年度更新を受託範囲に含むか」「給与計算と社会保険手続きをまとめて委託できるか」を確認すると、自社に合うかを見極めやすくなります。ここでは、年度更新や社会保険手続きまで対応できるサービスを紹介します。

← 横にスクロールできます →
サービス名エスペイロールアクタス小林労務
提供形態社会保険労務士法人
社労士9名在籍
社会保険労務士法人
社労士21名在籍
社会保険労務士法人
社労士4名を公式紹介
労働保険の年度更新の代行●金額集計〜申告書記入を代行●労働保険手続きを代理・代行要問い合わせ
公式サイトに明記なし
社会保険手続きの代行●算定基礎届・月額変更届ほか●算定基礎届・月額変更届ほか●入退社・扶養異動・給付の手続き
給与計算●標準・ビジネス・マネージメントの3パッケージ●給与・賞与計算を一元受託●既存システムのまま代行可
料金要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
社会保険手続きは月額20,000円〜(1〜19名・税別)
対応規模中小〜中堅規模
導入事例は150〜500名
100名〜1,000名超
規模制限の明記なし
小規模〜大企業
1〜19名向けプランあり
詳細情報サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

エスペイロール(社会保険労務士法人エスネットワークス)

エスペイロール(社会保険労務士法人エスネットワークス)の公式サイト

エスペイロールは、社会保険労務士9名が在籍する社会保険労務士法人エスネットワークスが運営する給与計算アウトソーシングです。給与計算は標準・ビジネス・マネージメントの3パッケージで委託範囲を段階的に選べます。

社会保険手続き代行のサービスでは、労働保険年度更新について金額の集計から申告書の記入までの代行を公式に掲げており、算定基礎届や月額変更届の作成・提出代行にも対応します。年度更新そのものを任せたい企業に合うサービスです。料金は要問い合わせで、相談・見積もりは無料とされています。

アクタス(アクタス社会保険労務士法人)

アクタス(アクタス社会保険労務士法人)の給与計算アウトソーシングの公式サイト

社会保険労務士法人が契約主体となるアクタスは、給与計算・賞与計算から社会保険・労働保険の手続きの代理、年末調整までを一元的に受託するアウトソーシングです。「給与計算だけでも、社会保険手続きだけでも承ります」と、業務単位での部分委託にも対応します。

導入時はグループのITコンサルティング会社が標準で約3か月かけてシステム構築を伴走し、情報セキュリティマネジメントの国際規格ISO/IEC 27001を取得しています。社会保険・労働保険の手続きをまとめて任せたい企業に向くサービスです。料金は要問い合わせです。

小林労務(社会保険労務士法人小林労務)

小林労務(社会保険労務士法人小林労務)の公式サイト

KBRグループの社会保険労務士法人である小林労務は、社会保険・労働保険の手続きと給与計算のアウトソーシングを提供しています。電子申請を主体に、現在使っている人事給与システムを変えずに手続きを代行できる点を掲げ、グループ内に厚生労働大臣の認可を受けた労働保険事務組合(中小企業経営労務支援機構)を持ちます。

社会保険手続きのアウトソーシングには、従業員1〜19名向けの小規模プラン(月額20,000円〜・税別)があります。労働保険年度更新や算定基礎届を受託範囲に含むか、料金に含むかは公式サイトに明記がないため、問い合わせでの確認が必要です。

給与計算アウトソーシングは、委託できる業務範囲や料金体系、対応できる企業規模がサービスごとに異なります。年度更新だけでなく毎月の給与計算や社会保険手続きまで含めて比較したい場合は、複数社の資料をまとめて取り寄せて検討するのが近道です。

次の記事では、ここで取り上げた3社を含むより多くの給与計算アウトソーシングを、委託できる業務範囲・料金体系・対応できる企業規模から横断的に比較し、規模別の選び方を解説しています。年度更新の外注を本格的に検討するときの比較の出発点としてご覧ください。

まとめ

労働保険料申告書(労働保険 概算・増加概算・確定保険料申告書)は、毎年6月1日から7月10日の年度更新で提出する書類です。前年度の賃金で確定保険料と一般拠出金を計算し、今年度の概算保険料とあわせて申告・納付します。記入は様式の上段から順に、基本欄・確定保険料・一般拠出金・概算保険料・差引額・延納区分と進めると迷いにくくなります。

計算では、賃金総額の千円未満切捨てと保険料の1円未満切捨て、業種・事業区分ごとの料率に注意します。確定保険料と申告済概算保険料の差は不足・充当・還付の3ケースに分かれ、還付には別途請求書が必要です。

毎年の負担が大きいと感じる場合は、年度更新や社会保険手続きまで代行できる給与計算アウトソーシングの活用も選択肢になります。料率や様式は毎年更新されるため、申告の前にその年度の公式情報を確認して進めましょう。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】給与計算アウトソーシングの資料を
一括ダウンロードする

よくある質問(FAQ)

Q. 労働保険料申告書とは何ですか?

A. 労働保険料申告書は、労災保険と雇用保険をまとめた「労働保険」の保険料を、年に一度の「年度更新」で精算・申告するための書類です。正式名称は「労働保険 概算・増加概算・確定保険料申告書」といい、前年度の確定した賃金にもとづく確定保険料と一般拠出金を精算し、あわせて今年度の見込みの保険料(概算保険料)を申告・納付します。例年、緑色の3枚つづりの用紙として事業所に届きます。

出典・参考資料(2件)

Q. 労働保険料申告書はいつ届きますか?

A. 労働保険料申告書は、例年5月下旬から6月上旬にかけて、事業所あてに郵送されます。届いた用紙を使って、6月1日から7月10日までの年度更新期間内に申告・納付します。ただし、電子申請が義務づけられている特定法人(資本金・出資金などの合計額が1億円を超える法人など)には、今年度から紙の申告書が送付されません。この場合はe-Gov電子申請で手続きします。

出典・参考資料(2件)

Q. 労働保険料申告書が届かない場合はどうすればよいですか?

A. 労働保険料申告書が届かない場合は、管轄の労働基準監督署または都道府県労働局に連絡し、申告書の交付や手続き方法を確認します。連絡の際は、事業所の名称・所在地・労働保険番号を伝えるとスムーズです。一部の様式は厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」からも入手できます。電子申請が義務の特定法人には紙の申告書が送付されないため、その場合はe-Govでの電子申請に切り替えます。

出典・参考資料(1件)

Q. 労働保険料申告書の押印は省略できますか?

A. 労働保険料申告書の押印の要否は、提出先の管轄の労働基準監督署または都道府県労働局に確認するのが確実です。令和8年度の公式「年度更新でよくある質問」には押印の省略についての独立した項目がないため、本記事では省略の可否を断定しません。申告書の様式に記載された説明や提出先の案内に従って対応してください。

Q. 労働保険料申告書の延納(分割納付)はいくらから使えますか?

A. 労働保険料申告書で延納(分割納付)を使えるのは、今年度の概算保険料の額が40万円以上(労災保険または雇用保険のどちらか一方のみが成立している事業は20万円以上)の場合、または労働保険事務組合に事務を委託している場合です。

この要件を満たすと、保険料を最大3期(4月1日〜7月31日、8月1日〜11月30日、12月1日〜翌年3月31日)に分けて納められます。確定保険料の不足額を足して40万円以上になっても、概算保険料だけで40万円に満たなければ延納はできません。

出典・参考資料(3件)

Q. 労働保険料申告書のe-Gov電子申請は誰でも使えますか?

A. 労働保険料申告書のe-Gov電子申請は、資本金の規模を問わず、どの事業主でも任意で利用できます。一方で、資本金・出資金などの合計額が1億円を超える法人や、相互会社・投資法人・特定目的会社などの「特定法人」には、電子申請での提出が義務づけられています。電子申請のログインにはGビズIDアカウントを利用でき、保険料の電子納付にも対応しているため、窓口に出向かずに手続きを完結できます。

出典・参考資料(2件)

Q. 労働保険料申告書の提出期限を過ぎたらどうなりますか?

A. 労働保険料申告書の提出や納付が期限(7月10日)に遅れた場合は、まず管轄の労働基準監督署または都道府県労働局に連絡し、できるだけ早く提出・納付します。

政府が確定保険料を決定し不足額が生じた場合は、その不足額に10%の追徴金が加わることがあります(追徴金の対象となる額が千円未満のときはかかりません)。また、期限を過ぎた保険料には延滞金が発生することもあるため、遅れに気づいたら早めに対応することが大切です。

出典・参考資料(2件)

給与計算アウトソーシングの料金・資料を一括チェック

MCB FinTechカタログでは、労働保険の年度更新や社会保険手続きまで任せられる給与計算アウトソーシングの最新資料を無料で一括請求できます。委託できる業務範囲・料金体系・対応規模をまとめて比べられます。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】給与計算アウトソーシングの資料を
一括ダウンロードする

MCB FinTechカタログに掲載しませんか?

MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

関連記事

新着記事

給与計算アウトソーシング
おすすめの診断サービス