公益社団法人・公益財団法人や、公益認定を目指す一般社団・財団法人では、令和6年(2024年)に改正された公益法人会計基準への対応が課題になっています。令和10年(2028年)4月1日以後に開始する事業年度からは新しい会計基準が原則適用され、これまでの正味財産増減計算書に代わる活動計算書をはじめ、財務諸表の様式や純資産の区分が変わります。
事業区分ごとの会計処理や共通費の配賦、注記の作成など、公益法人会計には一般の企業会計にはない実務が数多くあります。新基準に準拠した決算書類を正確に作成し、移行を無理なく進めるには、どのような会計ソフトを選べばよいのでしょうか。
本記事では、公益法人会計基準に対応した会計ソフトを中心に、対応基準・提供形態・料金・サポートを比較します。あわせて、令和6年改正で変わる財務諸表の要点と2028年度の移行スケジュール、一般の会計ソフトでは対応が難しい理由、自法人に合う製品の選び方を整理しました。公益法人の経理担当者や事務局の方が、導入・乗り換えを判断するための材料としてご活用ください。
また、自法人の状況から候補を絞り込める選定診断ツールも本記事内に用意しています。
目次
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本記事の対象範囲
本記事では、公益法人会計基準に準拠した決算書類(貸借対照表・活動計算書・注記・財産目録など)を作成することを前提にした会計ソフトを中心に、9サービスを比較します。公益法人会計に専用で対応する製品に加え、公益認定を受けていない一般社団・財団法人が企業会計基準を採用する場合の選択肢として、主要なクラウド会計ソフトもあわせて取り上げます。
公益法人会計基準による絞り込みを設けず、クラウド会計ソフト全般を幅広く比較したい場合は、以下の記事もご参照ください。
公益法人向け会計ソフトの比較表
ここからは、公益法人会計への対応状況を軸に各製品を比較します。対応している会計基準(令和6年改正基準/平成20年基準)、作成できる主な財務諸表、事業区分会計と共通費配賦への対応、提供形態、料金、サポートを横並びで整理しました。自法人の要件に照らして候補を絞り込む際の材料としてご活用ください。
| サービス名 | FX4クラウド(公益法人会計用) | パワフル会計「公益」 | PCAクラウド 公益法人会計 | MJSLINK DX 財務大将「公益法人決算書」 | 公益法人会計システム The会計 | ヒューマンライズInfinity2 公益法人会計システム | 弥生会計 Next | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応会計基準 | 令和6年改正・平成20年の両基準に対応 | 令和6年改正・平成20年ほか複数基準に対応 | 公益法人会計基準に対応(令和6年改正の対応は公式未確認) | 平成20年基準に対応(令和6年改正は2026年12月対応予定・現時点未対応) | 公益法人会計基準に対応(令和6年改正の対応は公式未確認) | 公益法人会計基準に対応(旧・現基準の両区分に対応。令和6年改正の明示は公式未確認) | 企業会計基準向け(公益法人会計基準は非対応) | 企業会計基準向け(公益法人会計基準は非対応) | 企業会計基準向け(公益法人会計基準は非対応) |
| 作成できる主な財務諸表 | 貸借対照表・活動計算書・注記・財産目録・附属明細書 | 要問い合わせ | 決算書・試算表・注記・附属明細書(活動計算書の新様式出力は公式未確認) | 貸借対照表・正味財産増減計算書・注記・財産目録・附属明細書・キャッシュ・フロー計算書 | 貸借対照表・試算表・決算書ほか(個別の帳票は公式未確認) | 総合計算書類・収支計算書ほか(個別の帳票は公式未確認) | 貸借対照表・損益計算書(企業会計基準の決算書) | 貸借対照表・損益計算書(企業会計基準の決算書) | 貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書(企業会計基準) |
| 事業区分会計・共通費配賦 | ●自動配賦・内部取引配賦に対応 | 公式未確認 | △事業区分別の予算管理に対応(配賦は公式未確認) | ●内部取引消去・共通費配賦に対応 | ●配賦計算・帳票作成に対応 | ●共通経費の一括按分処理に対応 | ×公益法人の事業区分会計は非対応 | ×区分は勘定科目等で手動管理が必要 | ×公益法人の事業区分会計は非対応 |
| 提供形態 | クラウド | クラウド/インストール(オンプレミス) | クラウド | 要問い合わせ | 要問い合わせ | インストール型とみられる(公式未確認) | クラウド | クラウド | クラウド |
| 料金 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 月額19,200円〜(税抜)/初期費用0円 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 初期費用0円/年34,800円〜(税抜) | 初期費用0円/月額2,980円〜(税抜・年払い時) | 初期費用0円/月額3,980円〜(税抜) |
| サポート・導入支援 | TKC会員の税理士・公認会計士が導入〜運用を支援。無料の体験会あり | 全国4か所のサポートセンター。保守契約で基準改正対応を無償提供 | 新基準移行のコンバート研修・導入支援。2か月の無料体験あり | 全国の支社・営業所による設定・操作説明。研修・e-learningあり | 要問い合わせ(公式未確認) | 導入前コンサル・無料の操作個別指導(平日9〜18時) | 導入運用支援・電話サポート等(プランによる)。最大2か月の無料体験 | チャット等のサポート。30日間の無料トライアル(カード登録不要) | AI・有人チャットと登録後2か月の電話サポート(予約制)。1か月の無料トライアル(カード登録不要) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
公益法人専用の6製品のうち、令和6年改正の新基準への対応を公式で明確に確認できるのは、現時点で2製品です。1製品は2026年12月の対応を予定しており、残る3製品は対応状況を各社に確認する必要があります。どの製品が該当するかは、比較表の「対応会計基準」列でご確認ください。
専用製品の料金は、法人の規模や事業区分の数によって変わるため、金額を公開せず個別見積もりとするベンダーが多く、表では多くを「要問い合わせ」としています。費用を把握するには、自法人の規模や事業区分の数を伝えて見積もりを依頼することになります。
公益認定を受けた、または取得を目指す法人は専用製品が選定の対象になり、公益認定を受けない一般社団・財団法人は、企業会計基準を前提に表の後半の汎用クラウド会計ソフトも選べます。
公益法人向け会計ソフトの選定診断
製品が多く、自法人にどれが合うか判断が難しい場合もあります。そのときは、会計基準や提供形態、求める対応時期などの質問に答えると条件に合うサービスを確認できる選定診断ツールを以下に用意しています(令和6年改正と2028年度移行の詳細は、本記事の後半で解説します)。
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公益法人会計基準(令和6年改正)と2028年度移行
製品を選ぶ前提として、まず令和6年に改正された公益法人会計基準の要点と、移行のスケジュールを押さえておきます。改正の内容は、内閣府 公益認定等委員会が令和6年12月に決定した会計基準と運用指針で確認できます。
新しい公益法人会計基準(令和6年基準)の要点
新基準では、公益法人が作成すべき財務諸表等が次のように定められています。
16.公益法人は、次の各号に掲げる財務諸表及びその注記、附属明細書並びに財産目録を作成しなければならない。
出典:公益法人会計基準(令和6年12月)第16項|内閣府 公益認定等委員会
(1) 貸借対照表
(2) 活動計算書
(3) キャッシュ・フロー計算書
大きな変更点は、従来の「正味財産増減計算書」が廃され、法人の活動状況を示す活動計算書が本体の計算書になったことです。活動計算書は、一会計期間の収益・費用の増減と、その結果としての純資産の変動を表します。会計監査人を設置していない法人は、キャッシュ・フロー計算書を作成しないことができます。
貸借対照表の純資産も区分が変わりました。新基準では、従来の「正味財産」が「純資産」に、「指定正味財産」が「指定純資産」に改められています。指定純資産は「資源提供者との合意により、使途の制約を受ける資源」、一般純資産は「自らの活動目的を達成する観点から自ら使途を決定できる資源」と定義されています。
これらの様式に沿った決算書類を正確に作成できるかどうかが、公益法人向けの会計ソフトを選ぶうえでの出発点になります。
2028年度移行の逆算スケジュール
新基準の適用時期は、運用指針で次のように定められています。
本会計基準等については、令和7年(2025年)4月1日以降に開始する事業年度から適用するものとする。ただし、令和10年(2028年)4月1日前に開始する事業年度までは、本会計基準等によらず従前の会計基準を引き続き適用することができる。
出典:公益法人会計基準の運用指針(令和6年12月)「7.適用時期について」|内閣府 公益認定等委員会
整理すると、移行には2つの段階があります。令和7年(2025年)4月1日以後に開始する事業年度からは、新基準を任意で早期適用できます。そして令和10年(2028年)4月1日以後に開始する事業年度からは、新基準が原則適用となり、それより前に開始する事業年度までは従来(平成20年)基準を引き続き使うことができます。

3月決算の法人であれば、2028年4月1日に始まる事業年度(2028年度)から新基準での処理が必要になります。移行時には、純資産区分の組み替えや過年度との比較表示など準備に時間がかかるため、早期適用の時期や使用する会計ソフトの切り替えを、決算期から逆算して計画しておくと安全です。
一般社団法人は採用する会計基準を選べる
すべての法人が公益法人会計基準に従うわけではありません。運用指針では、会計基準が適用される公益法人の範囲が次のように限定されています。
1.会計基準等における公益法人は、以下に定めた法人とする。
出典:公益法人会計基準の運用指針(令和6年12月)「Ⅰ 会計基準適用対象関係」|内閣府 公益認定等委員会
(1) 認定法第2条第3号に定めのある公益法人(以下「公益社団・財団法人」という。)
(2) 整備法第123条第1項に定めのある移行法人(以下「移行法人」という。)
(3) 認定法第7条の申請をする一般社団法人又は一般財団法人
この規定により、公益法人会計基準に拘束されるのは、公益社団・財団法人、移行法人、そして公益認定を申請する一般社団・財団法人に限られます。公益認定を受けておらず移行法人でもない通常の一般社団・財団法人は、公益法人会計基準による義務づけの対象外です。
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第119条は、一般社団法人の会計について「その行う事業に応じて、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする」と定めています(一般財団法人は第199条で準用)。
このため、公益認定を目指さない一般社団・財団法人は、企業会計基準など一般に公正妥当と認められる会計慣行を採用することもできます。この場合は、公益法人専用ソフトではなく、一般のクラウド会計ソフトが選択肢になります。
特に職員数名規模の事務局で費用を抑えたい場合は、無料で使える会計ソフトも候補に入ります。法人・個人事業主別に「どこまで無料で使えるか」を比較した以下の記事もあわせてご覧ください。
一般の会計ソフトで公益法人会計ができない理由
公益認定を受けた法人や公益認定を目指す法人では、企業向けの一般的な会計ソフトだけでは決算書類を整えきれない場面が出てきます。ここでは、新基準が求める処理のうち、一般の会計ソフトでは対応が難しい代表的な3点を見ていきます。

活動計算書(新様式)を作れるか
活動計算書は、公益法人会計基準で次のように位置づけられています。
33.活動計算書は、公益法人の活動状況を明らかにするため、一会計期間に属する公益法人の全ての収益及び費用の増減並びにその結果としての純資産の変動を示すものである。
出典:公益法人会計基準(令和6年12月)第33項|内閣府 公益認定等委員会
一般的な会計ソフトが出力するのは、株式会社向けの損益計算書や株主資本等変動計算書です。活動計算書は科目の構成や表示区分が企業会計の計算書とは異なるため、一般の会計ソフトの標準機能では所定の様式で作成できないことが多く、表計算ソフトでの手作業に頼らざるを得なくなります。
事業区分会計と共通費の配賦
公益法人は、法令により必要と認めた場合に会計区分を設け、貸借対照表や活動計算書について会計区分別・事業区分別の内訳を注記することが求められます。この区分ごとの表示を支えるのが、費用の活動別分類と配賦です。新基準は配賦について次のように定めています。
出典:公益法人会計基準(令和6年12月)第41・42項|内閣府 公益認定等委員会
- 41.費用の按分については、単一の活動に起因する直接費は、その活動に直課することとし、複数の活動に共通に発生する間接費は、それらの活動に配賦する。
- 42.費用配賦の方法は、毎期継続して採用し、費用を配賦する方法を選択する際には、適用可能で適正な配賦基準を決定する。配賦基準には、例えば、以下のものがある。
- (1) 建物面積比(活動によって利用している面積など)
- (2) 従業員数比(従業員の各活動に関連する人数)
- (3) 従事割合(従業員の各活動に関連する時間数)
- (4) 使用割合(所要時間、使用された容量、活動の使用量など)
人件費や家賃などの共通費を、建物面積比や従事割合といった配賦基準で各事業・各会計区分に割り振り、その結果を区分別の内訳に反映する処理は、公益法人会計に固有のものです。一般の会計ソフトには事業区分別の集計や配賦を自動で行う仕組みがないことが多く、公益法人向けの専用ソフトが必要になる中心的な理由がここにあります。
使途拘束資産(控除対象財産)の管理と注記
公益法人では、基金や特定目的のために使途が定められた資産を区別して管理し、注記する必要があります。新基準では、従来「特定資産」と呼ばれてきたものに相当する資産を、貸借対照表の注記として次のように扱います。
32. 使途拘束資産(控除対象財産)の内訳と増減額及び残高を注記する。使途拘束資産とは、法人の機関決定により使途の制約を課した資産(資源提供者により使途の制約を課されて提供された資産を含む。)であり、法令における控除対象財産が該当する。
出典:公益法人会計基準(令和6年12月)第32項|内閣府 公益認定等委員会
使途の制約がある資産の内訳や増減、残高を会計帳簿と連動させて管理し、注記や財産目録に反映する処理も、一般の会計ソフトの標準機能だけでは手当てしにくい部分です。こうした公益法人固有の帳票・処理をまとめて担えるのが、公益法人会計に対応した専用ソフトの役割です。
公益法人向け会計ソフトの選び方
ここからは、公益法人向けの会計ソフトを見極めるための観点を整理します。自法人の状況に当てはめながら、優先したい条件を絞り込んでいきましょう。
令和6年改正の新基準に対応しているか
最初の分かれ目は、令和6年改正の新基準に対応しているかどうかです。公益法人会計に対応したソフトでも、現時点では平成20年基準までの対応にとどまり、新基準への対応を今後のバージョンで予定している製品があります。2028年度からの原則適用を見据えるなら、新基準の活動計算書や純資産区分に対応済みか、対応予定の時期が公表されているかを確認します。
任意適用で早期に新基準へ移行する予定がある法人は、対応時期が自法人の移行計画に間に合うかどうかが選定の決め手になります。製品公式サイトで対応状況が明記されていない場合は、問い合わせて確認することをおすすめします。
提供形態で選ぶ(クラウド型かインストール型か)
公益法人向けの会計ソフトには、ブラウザで使うクラウド型と、自法人のパソコンに導入するインストール(パッケージ)型があります。クラウド型は、法令改正に伴う様式変更が自動で反映され、複数の担当者や会計事務所と同じデータを共有しやすい点が利点です。
一方、インストール型は、データを手元で管理したい法人や、インターネット接続に制約がある環境に向きます。新基準への対応はバージョンアップで提供されることが多いため、保守契約やアップデートの提供方法もあわせて確認しておくと、移行時に慌てずに済みます。
料金・費用で比べる
料金は提供形態によって考え方が異なります。クラウド型は月額または年額の利用料で、月額1〜2万円台から利用できる製品があります。インストール型のパッケージは、ソフトを購入する買い切り型が中心で、業種別会計のオプションを含めると数十万円規模になることもあります。
公益法人専用ソフトは、料金を公開せず個別見積もりとするベンダーも少なくありません。初期費用・年間の保守料・バージョンアップ費用まで含めた総額で比べると、導入後の負担を見通しやすくなります。
事務局の規模・サポート・導入実績で選ぶ
職員数名の事務局では、簿記や公益法人会計に詳しい担当者が常にいるとは限りません。導入時の初期設定支援、操作マニュアルや講習会、サポート窓口が整っているかは、運用を続けられるかどうかを左右します。
公益法人や非営利法人での導入実績が豊富な製品は、事業区分の設定や注記の作成といった実務のつまずきやすい点にノウハウが蓄積されています。会計事務所や税理士に記帳を委託している場合は、その事務所が対応している製品かどうかもあわせて確認すると、乗り換え後の連携がスムーズです。
公益法人向け会計ソフトのサービス紹介
ここからは、各サービスの特徴を個別に紹介します。まず公益法人会計基準に対応した専用の会計ソフトを取り上げ、続いて企業会計基準を採用する一般社団・財団法人向けの選択肢として主要なクラウド会計ソフトを紹介します。
公益法人会計基準に対応した会計ソフト
1. FX4クラウド(公益法人会計用)(株式会社TKC)

株式会社TKCが提供する、データセンター経由で利用するクラウド型の公益法人向け財務会計システムです。導入から運用までは、TKC全国会に所属する税理士・公認会計士が会計事務所としてサポートします。
令和6年会計基準と平成20年会計基準の両基準に対応し、移行期には両基準の勘定科目を切り替えて使えます。会計区分・事業・プロジェクト単位での集計に加え、共通費の自動配賦や、内部取引科目を経由した会計区分間の配賦にも対応します。
料金は公式サイトに記載がなく、導入時は問い合わせが必要です。参加費無料の体験会がWebや全国の会場で随時開かれており、実際の画面を確認してから検討できます。
2. パワフル会計「公益」(株式会社サクセス)

クラウド版とオンプレミス版のどちらでも使える、公益法人専用の会計システムです。開発元は「パワフル会計」シリーズを手がける株式会社サクセスです。
公式サイトでは、平成16年・平成20年・令和6年に改定された各公益法人会計基準のいずれにも対応すると明記されています。勘定科目は最大8階層まで登録でき、電子帳簿等保存ではJIIMA認証を取得しています。
保守契約に加入すると、税制改正や会計基準改正への対応プログラムが無償で提供されます。全国4か所のサポートセンターが問い合わせに対応します。料金は公式サイトに記載がないため、個別の確認が必要です。
3. PCAクラウド 公益法人会計(ピー・シー・エー株式会社)

月額19,200円(税抜)から、初期費用は0円で導入できるクラウド型の公益法人向け会計システムです。提供元はピー・シー・エー株式会社で、申し込み前に2か月の無料体験も利用できます。
令和6年改正基準への対応は注意が必要です。製品ページには「新公益法人会計基準対応」と表示されていますが、これが令和6年改正を指すかは明記されていません。公式の制度改革特設サイトで令和6年基準に対応済みと案内されているのは、別製品の「PCA Arch 財務経理 公益法人」です。
このため、クラウド版が令和6年改正基準に対応するかは、導入前に問い合わせて確認することをおすすめします。令和6年改正への対応を優先する場合は、対応済みと案内されている「PCA Arch 財務経理 公益法人」についても、あわせて問い合わせるとよいでしょう。PCAソフトの利用法人向けには、勘定科目や仕訳を新基準の領域へ変換するコンバート研修などの移行支援も用意されています。
4. MJSLINK DX 財務大将「公益法人決算書」(株式会社ミロク情報サービス)

株式会社ミロク情報サービスが公益法人向けに案内するERP「財務大将」の機能で、公益法人特有の決算処理に対応します。公益情報システム株式会社の事業停止を受けた、移行相談の窓口も設けています。
現在は平成20年公益法人会計基準に準拠した決算帳票を作成でき、令和6年改正基準への対応は2026年12月のリリースが予定されています(現時点では未対応)。貸借対照表・正味財産増減計算書・注記・財産目録などを出力します。
内部取引消去や、拠点間・法人全体の共通費配賦、事業別・部門別・拠点別の予算管理に対応します。提供形態と料金は公式サイトに記載がないため、個別の確認が必要です。
5. 公益法人会計システム The会計(株式会社WorkVision)

資金収支管理や配賦計算、予算実績管理、電子申請(ワークフロー)を備えた、株式会社WorkVisionの公益法人専用の会計システムです。管理費などを対象事業へ配賦する計算と帳票作成にも対応します。
ただし、令和6年改正基準への対応は公式サイトで確認できていないため、導入を検討する際は問い合わせが必要です。料金も公開されておらず、要問い合わせとなっています。
6. ヒューマンライズInfinity2 公益法人会計システム(満喜株式会社)

1987年以降、公益法人や社会福祉法人など非営利法人に特化したシステムを提供してきた、満喜株式会社の公益法人向け会計システムです。
共通経費の一括按分処理や、旧基準・現基準の両方の会計区分で決算帳票を出力するカスタマイズに対応します。導入前コンサルティングや無料の操作個別指導など、平日のサポート体制も用意されています。
令和6年改正基準への明示的な対応表記は公式サイトで確認できず、導入前の問い合わせが必要です。料金も公式サイトには掲載されていません。
一般社団・財団法人向け(企業会計基準を採用する場合)の会計ソフト
ここからは、公益認定を受けていない一般社団・財団法人が企業会計基準を採用する場合に候補となる、主要なクラウド会計ソフトを紹介します。いずれも公益法人会計基準には対応していないため、公益認定を受けている法人や取得を目指す法人には適さない点にご注意ください。
7. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Nextは、デスクトップ版の会計ソフトを長く提供してきた弥生株式会社が、2025年4月に提供を始めた法人向けのクラウド会計サービスです。会計に加えて請求書発行・経費精算・証憑管理を1つのサービスにまとめ、これらのデータが自動で会計処理に連携します。
初期費用は0円で、年契約の場合はエントリープランが年34,800円、ベーシックプランが年50,400円、ベーシックプラスプランが年84,000円(いずれも税抜)の3段階です。ベーシックプラス相当の機能を最大2か月試せる無料体験もありますが、決算書の作成・出力は体験の対象外です。
ただし企業会計基準にもとづく記帳・決算を前提とした製品で、公益法人会計基準の活動計算書や事業区分会計には対応していません。公益認定を受けている法人や取得を目指す法人には向かず、企業会計基準を採用する一般社団・財団法人向けの選択肢です。他社の会計ソフトや表計算ソフトからのデータ移行には対応しています。
8. freee会計(フリー株式会社)

簿記の知識が浅い担当者でも記帳を進められる操作性を掲げているのがfreee会計です。提供元はフリー株式会社で、銀行口座やクレジットカードなど1,000を超える金融機関・サービスと連携し、取引データの自動取得から仕訳、決算書の作成までを一通り行えます。
初期費用は0円で、法人向けは事業規模別のプラン構成です。ひとり法人プランは年払いで月額2,980円、スタータープランは月額5,480円(いずれも税抜、スターター以上は従量課金が別途)から利用できます。無料トライアルは30日間で、クレジットカードの登録は不要です。
公益法人会計基準には対応しておらず、freee公式の案内でも、一般社団法人向けには事業費・管理費の区分を勘定科目の新設やメモタグで手動管理する必要があるとされています。公益法人会計基準に沿った活動計算書をfreee会計だけで作成するのは難しいため、企業会計基準を採用する一般社団・財団法人に向く製品です。
9. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計は、複式簿記を前提に、経理担当者が勘定科目や仕訳を自分で扱いながら記帳できる法人向けのクラウド会計ソフトです。株式会社マネーフォワードが提供し、2,300以上の金融関連サービスと連携して明細を自動取得します。振替伝票入力・簡単入力・仕訳帳入力の3つの入力方式を使い分けられます。
初期費用は0円で、月払いの料金はひとり法人プランが月額3,980円、スモールビジネスプランが月額5,980円、ビジネスプランが月額7,980円(いずれも税抜)です。年払いにすると月額換算で安くなり、1か月の無料トライアル(クレジットカード登録不要)も利用できます。
こちらも企業会計基準向けの製品で、公益法人会計基準の活動計算書や事業区分会計には対応していません。公益認定を受けている法人や取得を目指す法人には専用ソフトが必要で、本製品は企業会計基準で決算を組む一般社団・財団法人向けの選択肢です。また、IPO準備・上場企業向けには内部統制機能を備えた上位版「クラウド会計Plus」が別製品として用意されています。
まとめ
公益法人向けの会計ソフトを選ぶうえで最も重要なのは、令和6年改正の新基準が求める活動計算書・事業区分会計・共通費の配賦・使途拘束資産の注記を、所定の様式で作成できるかどうかです。2028年度からの原則適用に向けて、新基準への対応状況と対応予定時期を軸に、提供形態・料金・サポート・導入実績を比べて候補を絞り込みましょう。
公益認定を受けていない一般社団・財団法人で企業会計基準を採用する場合は、一般のクラウド会計ソフトも選択肢になります。自法人がどちらの基準で決算を組むかを確認したうえで、比較表と選定診断ツールを使って自法人に合う製品を見つけてください。
公益法人専用の製品は、料金や機能を公開せず個別見積もりとするベンダーが多いため、資料請求や問い合わせを前提に検討を進めることになります。気になる製品を2〜3社に絞り、自法人の規模や事業区分の数を伝えたうえで、令和6年改正への対応状況・料金・移行支援を直接確認するのが、失敗の少ない進め方です。
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よくある質問(FAQ)
Q. 公益法人会計基準とは何ですか?
A. 公益法人会計基準とは、公益社団・財団法人などが貸借対照表や活動計算書といった計算書類を作成するための会計ルールです。法人ごとに様式がばらばらだと財務情報の信頼性を保てないため、内閣府の公益認定等委員会が基準を定めています。令和6年(2024年)12月には新しい基準が公表され、従来の正味財産増減計算書に代わる活動計算書の作成や、純資産区分の見直しなどが盛り込まれました。
Q. 公益法人会計基準の令和6年改正は、いつから適用されますか?
A. 令和6年改正の新しい公益法人会計基準は、令和10年(2028年)4月1日以後に開始する事業年度から原則適用されます。それより前の令和7年(2025年)4月1日以後に開始する事業年度からは、任意で早期適用することもできます。
原則適用の時期までは、従来(平成20年)基準を引き続き使うことも認められています。移行時は純資産区分の組み替えや過年度比較の準備に時間がかかるため、決算期から逆算して新基準対応ソフトへの切り替え時期を計画しておくと安全です。
Q. 公益法人と一般社団法人で、使う会計ソフトは違いますか?
A. 公益認定を受けた公益社団・財団法人は公益法人会計基準に対応した専用ソフトが必要ですが、公益認定を受けていない一般社団・財団法人は企業会計基準を採用して一般のクラウド会計ソフトを使うこともできます。
公益法人会計基準に拘束されるのは、公益社団・財団法人、移行法人、そして公益認定を申請する一般社団・財団法人に限られます。これらに当てはまらない一般社団・財団法人は、一般に公正妥当と認められる会計慣行(企業会計基準など)を選べるため、まず自法人がどちらの基準で決算を組むかを確認することが、ソフト選定の出発点になります。
Q. 一般の会計ソフトで公益法人の決算書類は作れますか?
A. 公益認定を受けた法人や公益認定を目指す法人では、一般の会計ソフトだけで公益法人会計基準に沿った決算書類を整えるのは難しく、専用ソフトが必要になる場面が多くあります。
一般的な会計ソフトが出力するのは株式会社向けの損益計算書で、公益法人会計基準が求める活動計算書とは科目構成や表示区分が異なります。さらに、事業区分ごとの集計や共通費の配賦、使途拘束資産(控除対象財産)の注記といった公益法人固有の処理は、一般ソフトの標準機能では手当てしにくいため、表計算ソフトでの手作業に頼らざるを得なくなります。
Q. 2028年度の新基準移行は、何から準備すればよいですか?
A. まず自法人の決算期を起点に、どの事業年度から新基準で決算を組むかを決め、その前年度までに移行作業を終える段取りを立てます。
純資産区分の組み替えや会計区分・事業区分の設定、過年度との比較表示の準備には時間がかかるため、本稼働の前に試用や並行稼働の期間を設けると安全です。使用する会計ソフトが新基準に対応する時期も確認し、対応版の提供スケジュールと自法人の移行計画が合うかを早めに擦り合わせておきましょう。
Q. 会計事務所や税理士に記帳を委託している場合、ソフトはどう選べばよいですか?
A. 委託先の会計事務所が対応している製品かどうかを、選定の早い段階で確認するのが近道です。
委託先と同じソフトを使えば、データの受け渡しや決算・申告の連携がスムーズになります。クラウド型であれば、事務所と同じデータを共有しながら作業を分担できる製品もあります。委託の範囲(記帳代行まで任せるか、自法人で入力して確認だけ依頼するか)によって適した製品が変わるため、委託先と相談しながら決めるとよいでしょう。
Q. 会計ソフトが令和6年改正の新基準に対応しているかは、どう確認すればよいですか?
A. 製品の公式サイトで「令和6年改正基準」や「活動計算書」への対応が明記されているかを確認し、記載がなければベンダーに直接問い合わせるのが確実です。
公益法人会計に対応したソフトでも、現時点では平成20年基準までの対応にとどまり、新基準への対応を今後のバージョンで予定している製品があります。「新公益法人会計基準対応」という表記が令和6年改正を指すとは限らないため、早期適用を予定している法人は、対応時期が自法人の移行計画に間に合うかまで確認しておくと安心です。
Q. 無料で使える公益法人向け会計ソフトはありますか?
A. 公益法人会計基準に対応した専用ソフトで、ずっと無料で使えるものは基本的にありません。 ただし、申し込み前に一定期間の無料体験や無料トライアルを用意している製品は多く、実際の画面を確かめてから導入を判断できます。また、公益認定を受けていない一般社団・財団法人が企業会計基準を採用する場合は、無料で使える一般向けの会計ソフトも選択肢になります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















