手計算やExcel、あるいは古いインストール型ソフトでの給与計算に、計算ミスや法改正対応の手間を感じていないでしょうか。毎月の勤怠集計から保険料や税額の計算、年末調整、給与明細の配付まで、担当者がひとりで抱え込みやすい業務です。こうした負担を軽くする手段として、場所を問わず使えて法改正にも自動で追従するクラウド型の給与計算ソフトへ乗り換える企業が増えています。
ただ、クラウド型の給与計算ソフトといっても製品は数多く、給与計算だけに絞ったものから勤怠・労務まで一元化できるもの、中堅・大企業の複雑な制度に対応する大規模向けまで幅があります。何がどう違い、自社の規模や機能要件にはどれが合うのか、並べて見比べないと判断しづらいのが実情です。
本記事では、クラウド型に絞った給与計算ソフト18製品を、「カバーする業務範囲」で3つのタイプに分けて比較します。給与・賞与計算や年末調整、Web明細、社会保険・労働保険、勤怠・会計との連携といった機能や料金・対象規模を整理したうえで、クラウド化のメリットと失敗しない選び方まで解説します。
給与計算を担当する方が、資料請求やトライアルへ進む候補を絞り込む材料としてご活用ください。
また、自社の機能要件や規模に合うクラウド給与計算ソフトを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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クラウド給与計算ソフトとは?インストール型・オンプレミス型との違い
クラウド給与計算ソフトとは、自社のパソコンにソフトをインストールせず、インターネット経由でブラウザから利用する給与計算の仕組みです。従業員の勤怠情報や基本給・手当をもとに、所得税・住民税・社会保険料を自動計算し、給与明細の発行や振込データの作成までを担います。ソフトやデータはサービス提供者のサーバー上にあるため、担当者は会社でも自宅でも、同じ環境で給与計算を進められます。
本記事はこのクラウド型に絞って製品を比較します。提供形態を先に押さえておくと、各製品の料金や運用イメージが掴みやすくなるため、まずはインストール型・オンプレミス型との違いから整理します。
クラウド型・インストール型・オンプレミス型は何が違うか
給与計算ソフトの提供形態は、大きく3つに分かれます。インストール型は、市販のパッケージを特定のパソコンに導入して使う従来型です。買い切りで手元にデータを置ける安心感がある一方、法改正や保険料率の変更があるたびに更新プログラムの適用や買い替えが必要になります。
オンプレミス型は、自社が用意したサーバーにシステムを構築して運用する形態です。カスタマイズの自由度が高く、社内ネットワーク内で完結させたい企業に向きますが、サーバーの構築・保守に専門人材とコストがかかります。これに対してクラウド型は、提供者のサーバー上のソフトを月額料金で使う形で、自動アップデートにより常に最新の税制・保険料率が反映され、ブラウザさえあればどの拠点からでも利用できる点が特徴です。

自社にはクラウド型とインストール/オンプレ型のどちらが向くか
どちらが向くかは、法改正対応の手間・初期費用と保守・働き方・連携のしやすさの4点で見極められます。給与計算は毎年のように制度が変わる業務です。クラウド型なら健康保険料率や雇用保険料率の改定、年末調整の様式変更などが自動で反映されるため、担当者が更新作業を抱える必要がありません。インストール型では、こうした変更のたびに手当てが要る点が運用負担として残ります。
費用面では、クラウド型は初期費用を抑えて月額で始められ、サーバー保守も不要です。テレワークや複数拠点での運用、勤怠・会計システムとのデータ連携を重視する企業にも適しています。
一方で、独自の給与規程に合わせた細かなカスタマイズを突き詰めたい、社内ネットワークの外にデータを置けないといった事情がある場合は、オンプレミス型やインストール型が選択肢になります。多くの中小〜中堅企業では、運用負担と働き方の柔軟さの両面からクラウド型が有力です。
インストール型やオンプレミス型も視野に入れたい場合や、提供形態を問わず給与計算ソフトを広く見比べて検討したい場合は、主要な製品を形態横断で比較した以下の記事が参考になります。
クラウド給与計算ソフトのタイプ(機能範囲)と向いている企業
クラウド給与計算ソフトを選ぶとき、最初の分かれ道になるのが「どこまでの業務をカバーするか」です。給与計算だけを効率化したいのか、勤怠や労務手続きまで一つにまとめたいのか、あるいは中堅・大企業の複雑な人事制度に対応したいのかで、候補となる製品が変わります。ここでは機能範囲で3つのタイプに分け、それぞれが向いている企業像を示します。自社がどこに当てはまるかを意識しながら読み進めてください。

給与計算に特化したタイプ
給与・賞与計算、年末調整、Web明細の発行といった給与業務に機能を絞ったタイプです。勤怠や労務は既存の方法を続け、必要になれば連携やオプションで補えます。まず給与計算そのものをソフト化したい企業が、機能範囲で候補を絞る入口になります。
対象規模や価格帯は製品によって幅があります。従業員数が少ない間は無料で使える低コストな製品もあれば、中堅〜大企業向けに初期費用や事務代行(アウトソーシング)を前提とする製品も含まれます。規模や予算は製品ごとに見極めてください。
勤怠・労務まで一元化できるタイプ
給与計算に加えて、勤怠管理・入退社や社会保険の労務手続き・人事情報の管理までを同じシリーズやプラットフォーム上でつなげられるタイプです。勤怠データがそのまま給与計算に流れ込み、年末調整の情報収集や社会保険の届出まで一気通貫で回せるため、バックオフィス全体を効率化したい中小〜中堅企業に適しています。会計ソフトとの連携で仕訳作成まで自動化できる製品も多く、転記の手間や入力ミスを減らせます。
中堅〜大企業向け(ERP・大規模対応)タイプ
複数法人やグループ会社の管理、複雑な給与体系、基幹システム(ERP)との統合運用に対応するタイプです。従業員数が多く、人事制度や就業ルールが細かく分かれている中堅〜大企業、上場企業やそのグループに向きます。自社運用を基本としつつ事務代行(アウトソーシング)を任意で組み合わせられる製品や、人事給与基盤をまるごとクラウド化できる製品があり、要件定義と移行を前提に導入を進めるのが一般的です。
自分の会社がどのタイプに当てはまるか、判断に迷うこともあります。そのような場合でも、機能要件や規模、既存システムをもとに候補を素早く絞り込めるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
診断では代表的な製品を取り上げています(本記事で紹介する18製品すべてではありません)。気になるタイプが見えたら、続く比較表と個別紹介で全製品を確認してください。
【比較表】クラウド給与計算ソフトおすすめ比較
ここからは、主要なクラウド給与計算ソフト18製品を、先ほどの3タイプ別に比較表で整理します。月額料金の目安・無料プランやトライアルの有無・カバーする業務(給与/賞与/年末調整/Web明細)・社会保険の電子申請・勤怠や会計との連携方式・対象企業規模を、公式情報をもとに並べました。まずはタイプごとの表で全体像をつかみ、気になる製品があれば次の個別紹介で詳しく確認してください。
※表の記号は、●=対応/△=一部・条件付き対応(各セルの備考を参照)/×=非対応を表します。料金・機能・対応範囲はプランや時期で変わるため、最新の内容は各社公式サイト・資料でご確認ください。
給与計算に特化したタイプ
| サービス名 | 弥生給与 Next | CYBER XEED給与 | 給与奉行クラウド | PCAクラウド 給与 | フリーウェイ給与計算 |
|---|---|---|---|---|---|
| 月額料金の目安 | 1,700円〜7,000円(税抜・年契約時の月額)/初期費用0円 | 月2万円〜(初期設定費用50万円〜) | 5,500円〜121,000円(従業員規模別5プラン) | 16,200円(税抜)〜(サブスク版は3,900円〜) | 無料(5人まで)/有料 月1,980円(税抜) |
| 無料プラン/無料トライアル | 無料トライアル 最大2か月(恒久無料プランなし) | 記載なし | 無料トライアル 30日間 | 無料トライアル 2か月 | 無料プラン(従業員5人まで無期限) |
| 給与・賞与計算/Web明細 | ● | ● | ● | ● | ● |
| 年末調整 | △ベーシックライト以上で対応 | ● | △計算は全プラン対応、申告書Web回収・源泉徴収票Web配付は別製品 | ● | ● |
| 社会保険の電子申請 | △ベーシック以上(弥生労務Next連携) | △帳票出力まで(電子申請は要お問い合わせ) | ● | ●e-Gov直接連動 | ×非対応 |
| 勤怠・会計連携 | 勤怠: 弥生勤怠Next・KING OF TIME等とAPI連携/会計: 弥生会計Nextへ仕訳連携 | 勤怠: CYBER XEED就業と自動連携/外部はCSV連携 | 勤怠: 奉行APIコネクト経由でKING OF TIME・ジョブカン等と連携(有償)/CSV | 勤怠: ジョブカン・KING OF TIME等とAPI/CSV連携/会計: PCA会計シリーズと連動 | 勤怠: フリーウェイタイムレコーダーと連携 |
| 対象企業規模 | 小〜中規模 | 中堅〜大企業 | 小規模〜中堅(20〜1,000名) | 中小〜中堅 | 小規模 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト |
勤怠・労務まで一元化できるタイプ
| サービス名 | マネーフォワード クラウド給与 | freee人事労務 | ジョブカン給与計算 | ジンジャー給与 | SmartHR 給与計算 | HRMOS(ハーモス)労務・給与 | KING OF TIME 給与 | レコル(RecoRu) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 月額料金の目安 | 2,480円〜(税抜・年払い、プラン制)/初期費用0円 | 2,000円〜(5名分・税抜・年払い、6名目以降+400円〜)/初期費用0円 | 無料(5名以下)/有料 1人400円(税抜、最低2,000円) | 月300円〜(税別)※単価・最低料金は要お問い合わせ | 要お問い合わせ(給与計算は有料オプション) | 要お問い合わせ(Web明細・年末調整は追加費用なし) | 1人300円/月(シリーズ共通、給与は追加料金なし)/初期費用0円 | 勤怠1人110円(税込)+レコル給与1人300円 |
| 無料プラン/無料トライアル | 無料トライアル 1ヶ月 | 無料トライアル 1ヶ月 | 無料プラン(5名まで)+無料トライアル 30日間 | 無料トライアル 1ヶ月 | 無料トライアル 15日間 | 記載なし | 無料トライアル 30日間 | 無料トライアル 30日間(全機能) |
| 給与・賞与計算/Web明細 | ● | ● | ● | ● | △賞与計算の明記なし | ● | ● | ● |
| 年末調整 | △別製品(クラウド年末調整)と連携 | △従業員の電子申告はスタータープラン以上 | △有料プランで対応 | ● | ● | △2026年10月から順次提供(移行期) | ● | ● |
| 社会保険の電子申請 | △別製品(クラウド社会保険)の機能 | △スタータープラン以上 | △書類作成・CSV出力まで | △別オプション(ジンジャー人事労務)側の機能 | ●労務管理機能で対応 | ●e-Gov連携 | △算定基礎届のデータ出力まで | 要お問い合わせ |
| 勤怠・会計連携 | 勤怠: API・CSVで20種類以上の外部勤怠に対応/会計: クラウド会計と連携 | 勤怠: 打刻機能はスタンダード以上で内蔵/会計: freee会計と仕訳連携 | 勤怠: ジョブカン勤怠管理とAPI連携(有料プラン) | 勤怠: ジンジャー勤怠と連携(共通ID) | 勤怠: SmartHR勤怠管理と自動連携 | 勤怠: HRMOS勤怠と連携 | 勤怠: KING OF TIME勤怠・人事労務と自動連携 | 勤怠: レコル勤怠を起点に給与計算(一体型) |
| 対象企業規模 | 個人・小規模〜中堅 | 小規模〜中堅 | 小規模〜中堅 | 中小〜中堅 | 中小〜大企業 | 中小〜中堅 | 中小〜中堅 | 小規模〜中小 |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
中堅〜大企業向け(ERP・大規模対応)タイプ
| サービス名 | SuperStream-NX 人事給与 | PROSRV(プロサーブ) | SmileWorks(スマイルワークス) | GrowOne 人事SX・給与SX | MJSLINK DX 給与大将 |
|---|---|---|---|---|---|
| 月額料金の目安 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 標準プラン 初期30,000円+月10,000円〜(税別、給与ワークス) | 要お問い合わせ(管理対象者数で変動) | 要お問い合わせ |
| 無料プラン/無料トライアル | 記載なし | 記載なし | 無料トライアル 最大2ヶ月 | 記載なし | 記載なし |
| 給与・賞与計算/Web明細 | ● | ● | ● | ● | ● |
| 年末調整 | ● | ● | ● | ● | ● |
| 社会保険の電子申請 | 要お問い合わせ(電子申告は連携製品経由) | ●マイナポータルAPI(5帳票) | △社会保険機能あり(電子申請は要お問い合わせ) | △電子申告データ編集機能/電子申請は連携 | ●マイナポータル電子申請連携 |
| 勤怠・会計連携 | 会計: SuperStream統合会計と連携/勤怠: 連携製品に対応 | 勤怠: 提携パートナーのシステムと連携/事務代行も組合せ可 | 勤怠: 給与ワークスに勤怠管理を内包/会計: 会計ワークスと自動仕訳 | 勤怠: ALIVE SOLUTION TA等と連携/会計: OPEN21 SIAS連携 | 勤怠: タイムパック・クロノス・楽々勤怠等と連携 |
| 対象企業規模 | 中堅〜大企業・上場 | 中小〜大企業 | 小規模〜大企業 | 中堅〜大企業・グループ | 中堅・中小(ERP) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト |
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クラウド給与計算ソフトおすすめ比較(サービス個別紹介)
比較表で気になった製品について、タイプ別に機能範囲・対応機能・対象規模・料金・連携・無料プランの詳細を紹介します。資料請求や無料トライアルへ進む前の判断材料としてご覧ください。自分のタイプの見出しから、該当する製品へそのまま読み進められます。
給与計算に特化したタイプ
まずは、給与・賞与計算と年末調整、Web明細を中心に、給与業務に機能を絞った製品です。無料で始められる小規模向けから、初期費用や事務代行を選べる中堅〜大企業向けまで、規模と価格帯には幅があります。給与計算をまず効率化したい企業が、機能範囲で候補を見比べられます。
1. 弥生給与 Next(弥生株式会社)

弥生給与 Next は、弥生株式会社が提供するクラウド型の給与計算サービスです。給与・賞与計算、Web給与明細の配信、年末調整、法定調書の作成に対応し、勤怠管理(弥生勤怠 Next)や労務管理(弥生労務 Next)をプランに応じて組み合わせられます(勤怠・労務は他社製品の連携提供)。
料金は初期費用0円で、年末調整を税理士等に委託する前提のエントリー(税抜・年契約時で月1,700円)から、電話サポートの付くベーシックプラス(同月7,000円)まで段階的に選べます。初回申込時は最大2か月間、ベーシックプラス相当の全機能を無料で試せます(電話サポート・労務相談等を除く)。
給与・賞与の明細を入力すると所得税や社会保険料を全プランで自動計算し、保険料率や税制の改正にも自動で対応します。会計ソフト「弥生会計 Next」へ仕訳データを連携でき、両サービスのセット購入で初年度25%オフになります。
2. CYBER XEED給与(アマノビジネスソリューションズ株式会社)

アマノグループのアマノビジネスソリューションズ株式会社が提供する、勤怠・人事・給与クラウド「CYBER XEED」シリーズの給与計算製品です。給与計算やWeb明細、年末調整など、給与に関わる一連の機能をクラウドで利用できます。
この製品では、給与・勤怠データの入力やマスター保守を専任オペレーターに任せられる「給与アウトソーシングオプション」を追加できます。全面委託に加え、明細発行・住民税・年末調整だけといった部分委託からも選べます。
CYBER XEED就業(勤怠管理)やCYBER XEED人事と同一データベース上で運用でき、就業を併用する場合は勤務データが自動連携されます。料金は初期設定費用50万円から、月次使用料は月2万円からで、導入規模や委託範囲に応じた見積もりとなります。
3. 給与奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

給与奉行クラウドは、東証プライム上場の株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供するクラウド型の給与計算システムです。給与・賞与計算から年末調整の計算、給与明細・源泉徴収票の電子配付までを行えます。
従業員規模に応じて5段階のプランがあり、20名までのiEシステムは月額5,500円から、300名を超える場合はiSシステム+社員数拡張で1,000名まで対応します。無料トライアルは30日間用意されています。
賞与支払届・算定基礎届・月額変更届など社会保険関連の手続きを電子申請でき、保険料率の改定も自動で反映されます。ただし、年末調整申告書のWeb回収や源泉徴収票のWeb配付、法定調書の作成・電子申告は別製品(奉行Edgeシリーズ・法定調書奉行iクラウド)が必要です。
4. PCAクラウド 給与(ピー・シー・エー株式会社)

「PCA給与DX」として知られる製品の現行後継にあたる、ピー・シー・エー株式会社のクラウド型給与計算ソフトです。買い切りパッケージ版の「PCA給与DX」は2024年3月末で新規販売を終了し、現在は「PCAクラウド 給与」「PCAクラウド 給与 hyper」として提供されています。
勤怠項目の入力から月次の給与・賞与計算、算定基礎届・月額変更届の作成、年末調整、社会保険のe-Gov直接連動による電子申請までを一つでカバーします。勤怠20・支給50・控除30の給与項目に対応し、さまざまな給与体系を設定できます。
料金は中小企業向けの標準版が月額16,200円(税抜)から、中堅企業向けのhyper版が月額19,200円(税抜)からで、月額3,900円(税抜)からのサブスク版もあります。初期費用0円の月額課金プランや2か月の無料体験が用意され、公式サイトでは25,000法人を超える利用実績が示されています。
5. フリーウェイ給与計算(株式会社フリーウェイジャパン)

株式会社フリーウェイジャパンが提供するクラウド型の給与計算ソフトで、会計や勤怠管理なども手がける「フリーウェイシリーズ」の一つです。給与・賞与計算、所得税や社会保険料の自動計算、年末調整、Web給与明細(メール配信)、全銀データ(全国銀行協会フォーマットの振込データ)出力に対応します。
この製品は、従業員5人までは期間の制限なく無料で使えます。無料プランでも計算・帳票機能は有料プランと同じで、違いは従業員数の上限・登録会社数・サポート範囲に限られます。6人以上になった場合の有料プランは月額1,980円(税抜、年23,760円)で、従業員数・登録会社数は無制限です。
公式サイトでは、2026年9月時点で148,977ユーザーが利用と示されています。一方で、社会保険関連の電子申請(e-Gov連携)には製品として対応していないため、電子申請まで自社で行いたい場合は確認が必要です。
勤怠・労務まで一元化できるタイプ
続いて、勤怠・労務・人事情報まで給与計算とつなげて一元管理できる製品です。バックオフィス全般を効率化したい中小〜中堅企業に向く、連携の幅が広い選択肢を紹介します。
6. マネーフォワード クラウド給与(株式会社マネーフォワード)

会計・勤怠・人事管理などをそろえる「マネーフォワード クラウド」シリーズの給与計算ソフトです。株式会社マネーフォワードが提供し、従業員情報や勤怠データをシリーズ内で連携しながら、給与・賞与計算、Web給与明細の発行、住民税のeLTAX(地方税の電子申告・納税システム)連携までを担います。年末調整は別製品「マネーフォワード クラウド年末調整」と連携します。
初期費用は0円で、ひとり法人プランが年払い月額2,480円、スモールビジネスプランが4,480円、利用者4名以上向けのビジネスプランが6,480円(いずれも税抜)です。ビジネスプランは6名目以降が1名あたり月額300円で、51名以上は個別見積もりになります。ビジネスプラン相当の機能を1ヶ月無料で試せます。
API連携とCSV連携を合わせて20種類以上の外部勤怠管理システムに対応し、既存の勤怠システムを残したまま給与計算だけを切り替えられる点が特徴です。前月の支給・控除項目との差分を自動表示する機能もあり、計算結果の確認に使えます。
7. freee人事労務(フリー株式会社)

フリー株式会社が提供する、勤怠管理・給与計算・年末調整・社会保険や雇用保険の手続き・入社手続きを一つにまとめたクラウド型の労務管理ソフトです。会計ソフト「freee会計」との給与仕訳連携にも対応し、バックオフィスをfreeeでそろえたい企業が候補にしやすい構成です。
料金は5名分を最低単位とし、6名目から1名ごとの従量課金が加わります。年払いの月額はミニマムプランが2,000円、スターターが3,000円、スタンダードが4,000円、アドバンスが5,500円で、6名目以降は1名あたり月額400円〜(税抜、プランにより異なる)、初期費用はかかりません。はじめの1ヶ月間は有料プランの機能を無料で試せます。
年末調整の従業員によるスマホ入力や電子申告はスタータープラン以上、勤怠打刻機能はスタンダード・アドバンスプランのみなど、プランによって使える機能が分かれます。必要な機能がどのプランに含まれるかを、導入前に確認しておくとよいでしょう。
8. ジョブカン給与計算(株式会社DONUTS)

勤怠管理や労務管理を展開する「ジョブカン」シリーズの給与計算ソフトです。株式会社DONUTSが提供し、月例給与・賞与の自動計算、Web給与明細や源泉徴収票の配布、年末調整、社会保険・労働保険の書類作成に対応します。
従業員5名以下であれば、無料プランを期間の制限なく使い続けられます。有料プランは1ユーザーあたり月額400円(税抜)で、最低利用料金は月2,000円です。申込から30日間は、人数無制限で有料プラン相当の全機能を試せます。
同シリーズの「ジョブカン勤怠管理」や「ジョブカン労務HR」とAPI連携でき、勤怠データの自動取り込みや年末調整の情報連携ができます。ただしこのAPI連携は有料プランが前提で、無料プランでは利用できません。
9. ジンジャー給与(jinjer株式会社)

jinjer株式会社が提供するクラウド型給与計算ソフトです。正社員やアルバイトといった雇用区分ごとに複数の計算式パターンを設定でき、企業独自の手当や計算方法にも対応します。給与・賞与計算、Web給与明細、年末調整の自動計算までをカバーします。
同じ「ジンジャー」ブランドの勤怠管理「ジンジャー勤怠」や「ジンジャー人事労務」と共通IDでデータ連携でき、勤怠や従業員情報を給与計算へ反映できます。社会保険の届出書作成や電子申請は、ジンジャー人事労務側のオプション機能が担う点に注意が必要です。
公式サイトでは月額300円〜(税別)と案内されますが、これがジンジャー給与単体の単価かは公開ページでは確認できず、初期費用や最低利用料金を含む具体的な金額は、資料請求や問い合わせで確認する形です。導入前には1ヶ月の無料トライアルを利用できます。
10. SmartHR 給与計算(株式会社SmartHR)

労務管理クラウドを中核とするHRプラットフォーム「SmartHR」の給与計算機能です。株式会社SmartHRが2025年6月に提供を開始したもので、単体の給与計算ソフトではなく、SmartHRの労務管理・勤怠管理で集めた従業員データや勤怠データを連携して使うオプション機能という位置づけです。
収集済みのデータを引き継ぐためCSV転記が要らず、社会保険料・雇用保険料・住民税・所得税の自動計算、複数事業所の計算、月給・日給・時給制への対応、計算式のカスタマイズに対応します。年末調整データとの連携や、Web給与明細・源泉徴収票の出力も行えます。
給与計算は有料オプションで、料金は従業員数に応じた見積もり制のため公式サイトには具体額の記載がなく、要問い合わせです。初期費用は無料で、15日間の無料トライアルが用意されています。
11. HRMOS(ハーモス)労務・給与(株式会社ビズリーチ)

株式会社ビズリーチが提供する、統合人事プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」シリーズの労務・給与管理サービスです。雇用契約のWeb締結、社会保険の電子申請(e-Gov連携)、給与・賞与計算、Web給与明細までを扱い、HRMOS勤怠の勤怠データを給与計算に反映できます。
年末調整機能は移行の途中にあります。従来「HRMOS勤怠」のオプションだった旧年末調整は提供を終える一方、令和8年度(2026年分)の税額計算や法定調書の作成・提出機能は、2026年10月からHRMOS労務給与内で順次提供が始まる段階です。年末調整まで任せたい場合は、提供状況を確認してから判断するとよいでしょう。
料金は利用計画に応じたプラン制で、公式サイトに具体額の記載はなく要問い合わせです。Web給与明細と年末調整は追加費用なしで利用でき、導入支援は別途費用がかかります。
12. KING OF TIME 給与(株式会社ヒューマンテクノロジーズ)

勤怠管理システム「KING OF TIME」シリーズの給与計算モジュールです。株式会社ヒューマンテクノロジーズが提供し、KING OF TIMEに登録した勤怠・人事労務データが自動で連携されるため、二重入力なしで勤怠から給与計算までを一元管理できます。
初期費用は0円で、料金は登録人数に応じた1人あたり月額300円の従量課金です。この課金はKING OF TIMEシリーズ共通で、勤怠などを利用していれば給与機能は追加料金なしで使えます。30日間の無料体験があり、体験中に設定した環境はそのまま継続利用できます。
年末調整は、申告書のWeb収集から税額計算、給与支払報告書の出力まで対応します。申告書の収集ではAI-OCRや電子的控除証明書(XMLファイル)の読み取りに対応し、従業員の入力負担を抑えられます。
13. レコル(RecoRu)(中央システム株式会社)

中央システム株式会社が提供するクラウド勤怠管理システムです。打刻や勤務時間の集計、休暇管理、申請・承認のワークフロー、36協定管理などの勤怠機能が中核で、給与計算は有償オプション「レコル給与」として追加する形です。勤怠を起点に、給与計算から明細発行までを一体で運用できます。
勤怠管理は1人あたり月額110円(税込)から利用でき、最低利用料金は月3,300円(税込)です。レコル給与を追加する場合は1人あたり月額300円で、Web給与明細や年末調整まで含まれます。初期費用はかからず、全機能を30日間無料で試せます。
レコル給与を加えると、勤怠情報から残業代や手当、社会保険料を自動で計算し、Web給与明細の発行や年末調整まで対応します。勤怠管理から始めて、必要になった段階で給与計算まで広げられる構成です。
中堅〜大企業向け(ERP・大規模対応)タイプ
最後に、複数法人管理や複雑な人事制度、基幹システムとの統合運用に対応する大規模向けの製品です。従業員数が多く要件が込み入った中堅〜大企業・上場グループに向く選択肢を取り上げます。
14. SuperStream-NX 人事給与(キヤノンITソリューションズ株式会社)

キヤノンITソリューションズ株式会社が提供する国産ERP「SuperStream-NX」の人事給与ソリューションで、会計モジュールと同じ基盤の上で給与管理・人事管理を運用できます。1995年発売のSuperStreamを源流とし、固定資産管理など他モジュールを含むシリーズ全体では11,000社以上の導入実績があります(公式トップの訴求値、集計基準日は非公開)。
給与管理モジュールは、年末調整計算・再年末調整計算や退職に伴う随時の年度調整に対応し、扶養控除申告書・保険料控除申告書の作成、マイナンバーの記載が必要な諸表の出力まで行えます。クラウド版「SuperStream-NX Cloud」も提供され、日本電波工業が人事給与基盤のクラウド移行を週末2日間で完了した事例が公式に紹介されています。
複数法人やグループ運用を前提とする中堅〜大企業・上場企業での利用が想定され、e-Tax・eLTAXへの電子申告は株式会社TKCの連携製品「e-TAX 法定調書」を介して対応します。料金は公式サイトに記載がなく、個別見積もり(要お問い合わせ)となります。
15. PROSRV(プロサーブ)(三菱総研DCS株式会社)

1970年の創業以来、給与計算サービスを主力事業として提供してきた三菱総研DCS株式会社の人事給与システムです。クラウド型人事給与システム「PROSRV on Cloud」を中核に、人事・給与情報の管理、給与計算、銀行振込データ作成、従業員向けWebポータルでの給与明細閲覧や年末調整申告までをカバーします。
システムの提供だけでなく、月次の人事給与事務や、年末調整・地方税年度更新・マイナンバー事務の代行(月例事務・スポット事務サービス)を組み合わせられる点が特徴です。システムのみの利用から業務全般のアウトソーシングまで、予算や検討段階に応じて委託範囲を段階的に広げられます。社会保険では、マイナポータルAPI対応により算定基礎届・月額変更届など5帳票を電子申請できます。
導入社数は約2,000社、月間の給与処理人数は55万人と公式に示されており、専門スタッフ400人以上による電話・メール・チャットのサポート体制を備えます。料金は公式に非公開で、状況に応じた個別見積もりとなります。
16. SmileWorks(スマイルワークス)(株式会社スマイルワークス)

株式会社スマイルワークスが提供する、販売・購買・在庫・会計・給与・経費・勤怠・ワークフローを一つにまとめた統合型クラウドERPです。給与計算は「給与ワークス」モジュールが担い、勤怠管理・給与計算・賞与計算・年末調整・賃金台帳・社会保険・マイナンバー管理に対応します。
出勤簿の承認後に給与計算を自動実行し、社会保険料・所得税の控除計算を経て差引支給額を給与明細として従業員に提示します。FBデータ(ファームバンキング用の振込データ)出力により給与振込・賞与振込・住民税納付を一括処理でき、販売・購買データから会計仕訳を自動生成する統合設計のため、給与だけでなくバックオフィス全体を一元管理したい企業に向きます。
必要な機能をモジュール単位で選ぶカフェテリア方式を採り、小規模向けの販売ERPプラン(月額5,000円〜、税別)から専用環境のEnterpriseプランまで幅があります。標準プランは初期費用30,000円・月額10,000円〜(税別、最初の1モジュール)で、恒久的な無料プランはなく、申込月の翌月末まで無料で試せる仕組みです。
17. GrowOne 人事SX・給与SX(株式会社ニッセイコム)

株式会社ニッセイコムが提供する、人事情報を一元管理する「GrowOne 人事SX」と給与計算を担う「GrowOne 給与SX」の2製品で構成される人事給与システムです。両者を連携させることで、異動・昇給・手当変更といった人事情報の変更を給与計算へ反映できます。
給与SXは、給与・賞与計算に加え、自在な項目・計算式の設定、給料表管理、通勤費管理、労働保険対応、グロスアップ計算(手取り額から逆算して総支給額を求める計算)、退職金管理に対応します。給与明細のWeb閲覧と年末調整申告は「モバイル給与SX」で行え、法人コード機能により複数法人をまとめて管理できるため、グループ企業での運用に適しています。
提供形態はクラウド(SaaS、月額サブスクリプション)とオンプレミスの両方から選べます。料金は公開されておらず、管理対象者数に応じて変わる個別見積もりで、グループ会社が2社目以降に導入する場合は割安価格が適用されます。
18. MJSLINK DX 給与大将(株式会社ミロク情報サービス)

株式会社ミロク情報サービスが提供する中堅・中小企業向けクラウドERP「MJSLINK DX」(Microsoft Azure環境)の、給与計算・人事管理モジュール「給与大将・人事大将」です。給与・賞与計算に加え、一時金計算や賞与シミュレーション、昇給差額計算など複雑な支給形態に対応します。
複数支給日や複数の社会保険組合に対応し、企業グループでの一括運用やグループ会社間の人事異動管理を人事大将と一体で扱えます。支給明細書のメール配信、マイナンバー対応、年末調整(Edge Tracker連携)を備え、アマノ「タイムパック」やクロノス、マックス「楽々勤怠」などの勤怠管理システムと連携して勤怠データを取り込めます。
給与大将は単体の給与計算ソフトではなく、財務・給与・人事・販売などで構成されるERPの一モジュールとして導入する形が基本です。料金は公式に非公開で、企業規模や要件に応じた個別見積もりとなります。
ここまで見てきた製品には給与事務の代行を組み合わせられるものもありますが、給与計算を社内で行わず業務ごと外部へ委託する選択肢とどちらが自社に合うか迷う場合は、以下の記事で代行サービスを業務範囲・料金体系・規模別に比較できます。
給与計算アウトソーシングおすすめ34選を比較|業務範囲・料金体系・規模別の選び方
毎月の給与計算や賞与計算、年末調整、社会保険の手続きに、特定の担当者が追われていないでしょうか。社会保険料率や税制は毎年のように改正され、その都度の確認作業まで含めると、経理や人事、総務の少人数体制では業務が属人化しやすくなります。担当者が…
自社に合うクラウド給与計算ソフトの選び方
タイプと候補が見えてきたら、次の5つの観点で絞り込めます。どれも導入後の運用負担や費用対効果に直結するため、資料請求や商談の前にチェックしておくと、後から「思っていた機能がなかった」という失敗を避けられます。
必要な機能(年末調整・Web明細・社会保険/労働保険・マイナンバー)が揃っているか
給与・賞与の計算そのものはどの製品も対応しますが、年末調整の電子化、Web給与明細、社会保険・労働保険の電子申請、マイナンバー管理といった周辺機能は製品やプランで差が出ます。
自社で毎年・毎月発生する業務を書き出し、どこまでをソフトで完結させたいかを決めてから、各製品の対応範囲と照らし合わせてください。上位プランでしか使えない機能や、別製品・オプションが前提の機能もあるため、プラン単位での確認が欠かせません。
既存の勤怠・会計システムと連携できるか
すでに使っている勤怠管理や会計ソフトを残したい場合は、その製品と連携できるかが選定の決め手になります。連携できれば勤怠データの取り込みや仕訳作成を自動化でき、転記の手間とミスを減らせます。
連携の実名(どの勤怠・会計と連携できるか)と方式、追加費用の有無は製品ごとに異なるため、この後の「勤怠・会計との連携方式と追加費用の見極め」で製品タイプ別に整理します。ここでは「既存システムとつなげられるか」を外せない条件として押さえておきましょう。
サポート体制・操作性は自社に合っているか
給与計算は締め日や支給日が決まっており、トラブル時に待てない業務です。メール・チャット・電話のどのサポートが受けられるか、無料か有料か、対応時間はどうかを確認しておくと安心です。操作性も見落とせません。無料トライアルや体験版が用意されている製品では、実際に担当者が月次の操作を試し、画面の分かりやすさや入力のしやすさを確かめてから導入を決めると、運用開始後のつまずきを減らせます。
自社の企業規模に適しているか
従業員数や拠点数、給与体系の複雑さに対して、機能が過不足ないかを見ます。小規模なら給与特化タイプで十分なことが多く、多機能な製品を選んでも使いこなせずコストだけがかさむ懸念があります。逆に、複数法人やグループ管理、込み入った就業ルールがある中堅〜大企業では、小規模向け製品では要件を満たせません。
料金が従業員1人あたりの従量制か定額制かによって、人数が増えたときの総額も変わるため、将来の人員計画も踏まえて選ぶと失敗しにくくなります。
セキュリティ・法改正への対応は十分か
給与データはマイナンバーを含む重要な個人情報です。マイナンバーを扱う事業者には、番号法に基づく安全管理措置(組織的・人的・物理的・技術的な措置)が求められるため、アクセス権限の管理やデータの暗号化、操作ログの記録といったセキュリティ機能を備えているかを確認します。
あわせて、法改正や保険料率の変更にソフト側が自動で追従するかも重要な観点です。クラウド型は自動アップデートが基本ですが、どの範囲まで無償で対応されるかは製品で差があるため、資料や公式情報で確かめておきましょう。
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勤怠・会計との連携方式と追加費用の見極め
既存の勤怠や会計を残したい企業にとって、連携は選定の大きな論点です。クラウド給与計算ソフトの連携は、実装の仕方で大きく3つに分かれます。どの方式かによって、連携の手間や自動化の度合い、追加費用の有無が変わるため、製品タイプごとの傾向を押さえておきましょう。
方式は、同じシリーズでそろえてデータが追加設定なしに流れる同一シリーズ自動連携、他社サービスとデータを自動でやり取りするAPI連携、ファイルを書き出して取り込むCSV連携の3つです。手間の少なさは自動連携・API連携・CSV連携の順で、どれを主軸にするかは製品タイプによって傾向が分かれます。

勤怠・労務まで一元化できるタイプは、同一シリーズ自動連携が中心です。勤怠・人事・給与を同じシリーズでそろえるため、勤怠データや従業員情報が給与計算へ追加設定なしで流れ込み、会計ソフトへの仕訳連携まで自動化できる製品もあります。ただし外部の勤怠にAPI・CSVで広くつなげる製品もあります。
給与計算に特化したタイプは、API連携とCSV連携が中心です。給与業務に機能を絞っているため、勤怠や会計は既存のものを残して連携する前提になりやすく、他社システムとAPIやCSVでデータをやり取りします。API連携を有償オプションとする製品もある点に注意が必要です。
中堅〜大企業向けのERPタイプは、基幹システムとの連携が軸です。会計など同じ基盤上のモジュールと連携するほか、グループ各社で使う勤怠システムや周辺製品とつなぐ構成が一般的で、要件に応じた個別の連携設計を前提とします。
各製品が具体的にどの勤怠・会計と連携できるかは、比較表の「勤怠・会計連携」列をご確認ください。
見極めで注意したいのは、連携できる相手と、連携に追加費用がかかるかどうかです。API連携や一部の外部サービス連携を有償オプションとする製品もあるため、「連携できる」とだけ書かれていても、自社が使っている勤怠・会計の実名が対応リストにあるか、その連携が標準機能か追加費用かを、比較表の「勤怠・会計との連携方式」列と各製品の公式情報で確かめてください。
同一シリーズでそろえるか、既存システムを残して連携するかは、連携の確実さと乗り換えコストを天秤にかけて判断するとよいでしょう。
クラウド給与計算ソフトでできること(主な機能)
クラウド給与計算ソフトは、毎月の給与計算にとどまらず、給与実務の広い範囲をカバーします。製品によって対応範囲は異なりますが、代表的な機能を押さえておくと、自社に必要なものを見極めやすくなります。
給与・賞与計算は中核の機能で、勤怠情報や基本給・各種手当から、所得税・住民税・社会保険料・雇用保険料を自動で計算します。Web給与明細は、紙の印刷・封入・配付をなくし、従業員がスマートフォンやパソコンから明細を確認できる機能です。テレワークや複数拠点でも配付の手間がかかりません。マイナンバー管理では、収集した個人番号を暗号化し、アクセス権限を分けて安全に保管できます。
年末調整は、担当者と従業員双方の負担が大きい業務ですが、クラウド型では申告書の配付・回収・計算をオンライン化できます。国税庁も年末調整手続の電子化を推進しており、その効果を次のように整理しています。
勤務先(給与担当)/① 関係書類の配付や回収が不要!/② 控除額や添付書類のチェックが簡単!/③ 会社のシステムへの手入力作業が不要!/④ 書類の保管場所も不要!
出典:年末調整手続の電子化で業務の効率化(いいね!! e-年調)|国税庁
さらに、社会保険・労働保険の電子申請に対応した製品なら、算定基礎届や月額変更届などの手続きを、窓口に行かずにオンラインで進められます。社会保険・労働保険の手続きは、国の電子申請システムであるe-Govを基盤に行えます。
インターネットを使って、社会保険や労働保険の手続きができるのをご存じですか。「電子政府の総合窓口(e-Gov:イーガブ)」の電子申請システムを利用すると、窓口に行かなくても、24時間いつでも社会保険や労働保険の手続きが行えます。
出典:社会保険・労働保険関係手続のオンライン申請をご活用ください。(e-Gov)|厚生労働省
資本金が1億円を超える法人など特定の大規模法人では、算定基礎届などの一部手続きについて電子申請が義務化されていますが、中小企業は義務の対象ではありません。義務の有無にかかわらず、電子申請は来庁・郵送の手間を省ける実務の標準になりつつあり、クラウド給与計算ソフトはその入口として使えます。各製品が電子申請にどこまで対応しているかは、公式情報で確認してください。
出典・参考資料(2件)
クラウド型にするメリット
クラウド給与計算ソフトに移ると、日々の運用がどう変わるのかを整理します。インストール型との「選ぶ判断」はすでに触れたため、ここではクラウド化によって得られる価値に焦点を当てます。
最大の利点は、法改正や保険料率の変更に自動で追従できることです。給与計算で使う保険料率のうち、健康保険料率・介護保険料率・雇用保険料率は年度ごとに見直され、ほぼ毎年のように改定されます(厚生年金保険料率は2017年9月以降18.3%で固定されています)。
クラウド型なら、こうした料率の改定や税制の変更がソフト側で反映されるため、担当者が計算式を直す必要がありません。たとえば2024年に実施された定額減税のような突発的な制度変更にも、ソフトのアップデートで対応できました。
そのほかにも、場所を問わず使えるためテレワークや複数拠点での運用に強く、担当者が出社しなくても給与計算を進められます。勤怠・会計・労務とデータを連携させれば、同じ情報を何度も入力する手間が消え、業務の分業や属人化の解消にもつながります。特定の担当者しか分からなかった給与計算を、権限を分けながら複数人で回せるようになる点は、引き継ぎや急な欠勤への備えとしても効果的です。
クラウド型にする前に押さえる注意点(デメリット)
メリットの大きいクラウド型ですが、導入前に知っておきたい注意点もあります。あらかじめ把握しておけば、運用開始後のギャップを防げます。
第一に、インターネット接続が前提になります。通信環境が不安定だと作業が止まるため、給与計算を行う拠点のネットワークは整えておく必要があります。第二に、月額課金が続く点です。買い切りのインストール型と違い、使い続ける限り費用が発生するため、従業員数や必要機能に見合ったプランを選ぶことが総額の抑制につながります。
第三に、カスタマイズの自由度はオンプレミス型に劣ることがあります。独自色の強い給与規程をそのまま再現したい場合は、標準機能でどこまで対応できるかを事前に確認し、必要なら設定の相談ができる製品を選びましょう。
インストール型からの移行・導入でつまずかない進め方
インストール型や手計算からクラウドへ切り替えるとき、つまずきやすいのはデータの引き継ぎと既存システムとの連携、そして運用の立ち上げです。順を追って備えておけば、移行をスムーズに進められます。
移行データの引き継ぎでは、従業員情報・給与規程・各種手当や控除の設定・年度途中の累計額(課税支給額や社会保険料の累計など)を正確に移すことが肝心です。多くの製品がCSVでの取り込みに対応していますが、年の途中で切り替える場合は累計データの登録に手間がかかるため、導入支援サービスの有無も確認しておくと安心です。
連携の確認では、既存の勤怠・会計とつなげたい場合に、API連携かCSV連携か、追加費用がかかるかを導入前に見極めます。
そして、切り替え直後のミスを避けるうえで有効なのが並行運用です。移行後の1〜2か月は、旧来の方法と新しいソフトの両方で給与計算を行い、支給額や控除額が一致するかを突き合わせます。結果が合うことを確認してから新システムに一本化すれば、支給ミスのリスクを抑えられます。無料トライアルや体験期間を、この検証にあてるのも効果的な進め方です。
よくある質問(FAQ)
Q. 無料で使えるクラウド給与計算ソフトはありますか?
A. 従業員数が少ない企業向けに、期間の制限なく無料で使えるクラウド給与計算ソフトがあります。給与計算に特化したタイプや一元化タイプの一部に、従業員5名程度まで無期限で無料の製品があります。具体的な製品は比較表をご確認ください。
ただし無料プランは、従業員数の上限・登録できる会社数・サポート範囲・勤怠や労務とのAPI連携などに制限があることが多く、人数が増えると有料プランへの切り替えが必要です。無料で始めたい場合も、将来の人員規模や必要な連携を見込んで選ぶとよいでしょう。多くの製品は、有料プラン相当の機能を1〜2か月ほど試せる無料トライアルも用意しています。
Q. クラウド給与計算ソフトで年末調整まで完結できますか?
A. 多くのクラウド給与計算ソフトが年末調整に対応していますが、どこまで完結できるかは製品やプランで差があります。申告書のWeb回収から税額計算、源泉徴収票のWeb配付までを一つで行える製品もあれば、別製品や上位プラン、オプションの契約が前提になる製品もあります。
年末調整まで任せたい場合は、従業員によるスマホ入力や電子申告が標準で含まれるか、どのプランで使えるかを契約前にプラン単位で確認してください。国税庁も年末調整手続の電子化を推進しており、書類の配付・回収やチェック、システムへの手入力を減らせる効果が示されています。
Q. クラウド給与計算ソフトで社会保険・労働保険の電子申請はできますか?
A. 対応する製品なら、算定基礎届や月額変更届などの社会保険手続きを、国の電子申請システムであるe-Govと連携してオンラインで申請できます。窓口に行かずに手続きを進められ、来庁や郵送の手間を省けます。
ただし電子申請への対応は製品差が大きく、人事労務側のオプション機能が担う製品や、そもそも電子申請に対応していない製品もあります。また、資本金が1億円を超える法人など特定の大規模法人では一部手続きの電子申請が義務化されていますが、中小企業は義務の対象ではありません。義務の有無にかかわらず電子申請は実務の標準になりつつあるため、各製品の対応範囲を公式情報で確かめておきましょう。
Q. クラウド給与計算ソフトは既存の勤怠・会計システムと連携できますか?
A. 多くのクラウド給与計算ソフトは、既存の勤怠管理や会計システムと連携できます。連携できれば勤怠データの取り込みや仕訳作成を自動化でき、転記の手間とミスを減らせます。
連携の方式は、同一シリーズ内でデータが自動で流れる自動連携、他社サービスとデータをやり取りするAPI連携、ファイルを書き出して取り込むCSVインポート/エクスポートの3つに大きく分かれます。連携できる相手製品や、標準機能か追加費用のオプションかは製品ごとに異なるため、自社が使っている勤怠・会計の実名が対応リストにあるかを、導入前に確認してください。
Q. 中小企業にはどのタイプのクラウド給与計算ソフトが向いていますか?
A. 中小企業では、給与計算に特化したタイプか、勤怠・労務まで一元化できるタイプが有力な選択肢になります。まず給与計算そのものを低コストでソフト化したいなら給与特化タイプ、勤怠・労務・人事情報までまとめて効率化したいなら一元化タイプが向きます。
複数法人のグループ管理や複雑な人事制度への対応が必要な中堅〜大企業は、ERP・大規模対応タイプが候補です。従業員数や拠点数、給与体系の複雑さに対して機能が過不足ないかを基準に選ぶと、多機能すぎて使いこなせない、あるいは要件を満たせないといった失敗を避けられます。
Q. インストール型からクラウド給与計算ソフトへの移行は大変ですか?
A. 事前に準備しておけば、インストール型からクラウド給与計算ソフトへの移行は過度に難しくありません。多くの製品がCSVでの取り込みに対応しており、従業員情報や給与規程、各種手当・控除の設定を移せます。
注意したいのは、年度の途中で切り替える場合に、課税支給額や社会保険料の累計といった年度途中のデータの登録に手間がかかる点です。導入支援サービスの有無を確認しておくと安心です。切り替え直後は1〜2か月ほど旧来の方法と新しいソフトで並行運用し、支給額や控除額が一致することを確かめてから一本化すると、支給ミスのリスクを抑えられます。
Q. クラウド給与計算ソフトのセキュリティ対策は十分ですか?
A. 主要なクラウド給与計算ソフトは、データの暗号化やアクセス権限の管理、操作ログの記録といったセキュリティ機能を備えています。給与データはマイナンバーを含む重要な個人情報であり、取り扱う事業者には番号法に基づく安全管理措置が求められるためです。
製品を選ぶ際は、アクセス権限を役割ごとに分けられるか、通信やデータが暗号化されるか、ISMS(ISO/IEC 27001)などの第三者認証を取得しているかを確認するとよいでしょう。自社サーバーで運用するオンプレミス型と違い、バックアップやサーバーの保守を提供者が担うため、災害時の事業継続の面でも利点があります。
まとめ
本記事では、クラウド給与計算ソフトを機能範囲で3タイプに分け、18製品の比較とクラウド化のメリット・選び方を解説しました。
製品選びでまず決めたいのは、「給与計算だけを効率化したいのか、勤怠・労務まで一元化したいのか、中堅・大企業の複雑な制度に対応したいのか」という機能範囲です。そのうえで、必要な機能・既存システムとの連携・自社規模への適合・セキュリティと法改正対応を確認すれば、候補を数本まで絞り込めます。
給与特化タイプは低コストで始めたい小〜中規模に、勤怠・労務一元化タイプはバックオフィス全体を効率化したい中小〜中堅に、ERP・大規模対応タイプは要件が込み入った中堅〜大企業に、それぞれ有力な選択肢となります。
気になる製品が見つかったら、資料請求や無料トライアルで実際の機能・操作性・料金を確かめてみてください。MCB FinTechカタログでは、掲載中のクラウド給与計算ソフトの資料を無料で請求できます。各社の資料を並べて、自社に合う1本の比較検討を進めてください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















