受託開発やWeb制作、広告、コンサルティングのように、案件・プロジェクト単位で仕事を請け負う事業は少なくありません。こうした事業では、案件ごとの売上・原価・工数がExcelや個別のファイルに分散し、粗利がリアルタイムに見えないという悩みがつきまといます。月次の集計が締まってから赤字案件に気づく、担当者ごとに工数の付け方が違って原価が信用できない、といった状態に心当たりはないでしょうか。
案件・プロジェクトの採算を管理できる業務システムを導入すれば、売上・原価・工数を案件に紐づけて採算を可視化できます。ただし製品ごとに得意な領域は異なり、機能や料金の一覧だけでは、導入後に自社の運用へなじむのか、本当に粗利が見えるようになるのかまでは判断しきれません。
本記事では、案件・プロジェクトの採算管理ができる業務システムをタイプ別に比較・解説します。基本的な機能や費用相場に加え、口コミ・評判を製品選びに活かすための見方も整理しました。自社の案件規模や業種に合うシステムを見つけるための検討材料としてご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲(案件・プロジェクトの採算管理)
本記事では、案件・プロジェクトごとの採算(収支・損益)を管理できる業務システムを扱います。具体的には、案件ごとに売上・原価・工数を積み上げ、進行中でも粗利や利益率を把握できる製品が対象です。受託開発・システム開発、Web制作・広告・映像などの制作業、コンサルティング、士業といった、案件単位で仕事を請け負う事業で検討されることが多い領域です。
一方で、全社や部門単位の予算実績管理(予実管理)・経営管理を中心に据えたシステムは、案件ごとの原価の積み上げを前提としないものも多く、本記事の比較軸とは目的が異なります。案件単位ではなく会社全体の予実や経営管理のしくみから広く比較したい場合は、管理会計システム全般を扱った記事もあわせてご覧ください。
採算管理ができる業務システムとは
案件採算を管理できる業務システムとは、案件・プロジェクトごとに売上・原価・工数を紐づけて記録し、案件単位の粗利や利益率を可視化するためのシステムです。見積もりや受注の段階から実績までを同じ案件に集約することで、「どの案件が儲かっていて、どの案件が赤字なのか」を、月次決算を待たずに把握できるようになります。
案件採算を見えづらくする主な原因は、原価の大半を占める人件費(労務費)です。案件ごとの作業時間を集計し、担当者の単価を掛けて人件費に換算し、外注費や経費と合わせて案件の原価として積み上げる──この一連の流れを手作業で行うと工数がかかり、精度も担当者次第になります。採算管理ができる業務システムは、この工数から原価への変換と、売上との突き合わせを自動化する点に価値があります。

案件採算を管理できる業務システムの主な機能
製品によって得意な領域は異なりますが、案件採算の管理に用いる業務システムは、一般的に次のような機能を備えています。
| 詳細 | |
|---|---|
| 案件別の収支・粗利の可視化 | 案件・プロジェクトごとに売上と原価を集計し、粗利・利益率を一覧やグラフで表示します。進行中の案件でも着地見込みを把握できる製品が多くあります。 |
| 工数から原価への換算 | 担当者や役割ごとに単価を設定し、作業時間(工数)を掛けて人件費を自動計算します。原価の大半を占める人件費を案件に正しく割り当てられます。 |
| 間接費・共通費の配賦 | 特定の案件に直接ひもづかない間接費を、売上比や工数比などの基準で各案件へ配分(配賦)します。配賦基準を自社ルールに合わせて設定できる製品もあります。 |
| 予算実績の対比(予実管理) | 案件ごとに売上・原価の予算を登録し、実績と対比して差異を把握します。予算を超過しそうな案件を早期に検知できます。 |
| 工数・勤怠管理との連携 | 既存の勤怠管理や工数入力のしくみと連携し、日々の作業時間を採算の計算に取り込みます。入力の二重化を避けられます。 |
| 会計・基幹システムとの連携 | 集計した売上・原価や仕訳データを会計システムや基幹システムへ連携します。経理の二重入力を減らし、全社の数字との整合を保てます。 |
案件採算の管理の仕方で選ぶ2つのタイプ
案件採算を管理できる業務システムは、採算をどのように管理するかという成り立ちの違いで、大きく2つのタイプに分けられます。自社がどちらの考え方に近いかを押さえると、候補を絞り込みやすくなります。

案件・プロジェクトの収支管理に特化したシステム
案件・プロジェクトごとの売上・原価・工数を管理し、採算を可視化することを主な目的とした製品です。見積もり・受注から工数入力、原価の積み上げ、粗利の把握までを一つの流れで扱えるものが多く、案件採算の管理を軸に導入したい場合の中心的な選択肢になります。
このタイプの中にも成り立ちの違いがあります。受注から請求まで案件を一元管理する収支管理型のほか、日々の工数入力を起点に単価を掛けて原価を算出する工数管理型、見積もり・受注・請求などの販売管理と一体で収支を見る販売管理一体型などがあり、既存の業務のどこを起点にするかで使い勝手が変わります。各製品がどの成り立ちに近いかは、後述の個別紹介で触れます。
基幹業務システム(ERP)で案件採算も管理するタイプ
会計・販売・購買・在庫などの基幹業務を一つの基盤で扱う基幹業務システム(ERP)の中で、案件別の収支・原価を一つの機能として管理するタイプです。採算管理だけでなく全社の基幹業務をまとめて刷新したい場合や、案件の数字を会計・販売と同じ基盤でリアルタイムに扱いたい場合に向きます。対象となる企業規模は中堅〜大企業が中心で、製品によって想定する規模帯が分かれます。
2つのタイプの特徴と、該当する主な製品を整理すると次のとおりです。
| 特徴 | |
|---|---|
| 案件・プロジェクトの収支管理に特化したシステム | 案件ごとの売上・原価・工数を管理し採算を可視化することが主目的。収支管理型・工数管理型・販売管理一体型などの成り立ちがあり、案件採算の管理を軸に導入する場合の中心的な選択肢。中小〜中堅での採用が多い。 |
| 基幹業務システム(ERP)で案件採算も管理するタイプ | 会計・販売・購買などの基幹業務と同じ基盤で案件別の収支・原価を扱う。全社の基幹業務ごと刷新したい場合や、案件の数字を会計・販売と一体で見たい場合に向く。中堅〜大企業が中心。 |
※上記は各タイプの一般的な傾向です。個別の製品における機能や対象規模は各社情報をご確認ください。
とはいえ、自社がどちらのタイプに向いているか、候補の中でどれが要件に合うかの判断は簡単ではありません。貴社の状況に合わせて候補を絞り込めるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
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【比較表】案件採算を管理できる業務システムの比較
ここからは、自社の案件規模や業務に合わせて比較・検討できるよう、主要な業務システムを前述の2つのタイプ別に整理してご紹介します。案件別の収支の可視化や工数・配賦への対応、会計・基幹システムとの連携、料金などの観点で並べています。
案件・プロジェクトの収支管理に特化したシステムの比較
| サービス名 | OBPM Neo | クラウドERP ZAC | プロカン | MA-EYES | Reforma PSA | SMILE V Project Director | HUE Classic Project Management | プロジェクト収支管理Rebo | LEEAD | SmileWorks | Flagxs | Lychee Redmine | TimeCrowd | TeamSpirit 工数 | マネーフォワード クラウド個別原価 | 楽楽販売 | freee販売 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 案件別の収支・粗利の可視化 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ●プレミアム以上 | △売上との突合は外部連携が前提 | △原価管理製品の併用が前提 | △売上側は会計連携が前提 | ● | ● |
| 工数→原価への換算(人件費) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ― 公式に記載なし(仕入・外注費が中心) | △工数管理は2025年追加 | △配賦機能オプションが必要 | ● | ●プレミアム以上 | ● | △原価管理製品の併用が前提 | ● | △単価設定の詳細は非公開 | △freee工数管理の連携が前提 |
| 予実管理(予算実績対比) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ●プレミアム以上 | × | △原価管理製品の併用が前提 | △公式に記載なし | ● | ● |
| 会計・基幹システム連携 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | △CSV連携が中心 | ● | △連携範囲は要確認 | △API連携(会計連携は明示なし) | △外部ツール連携が前提 | ●TS Connect連携 | ● | ● | ●freee会計と自動連携 |
| 対象企業規模 | 中小〜中堅(IT・開発業) | 中堅〜(従業員50名〜目安) | 中小企業中心 | 中小〜大企業 | 小〜中規模(従業員50名以下目安) | 公式に記載なし | 中堅〜大企業(目安) | 中小〜上場企業(企画・制作業) | 中小〜中堅 | 小規模〜大企業 | 中〜大企業(目安) | 中堅〜大企業を含む幅広い規模 | 小規模〜大規模 | 中堅〜大企業(50名〜目安) | 中堅〜上場企業(IPO準備) | 中小〜中堅(目安) | 個人事業主〜中小企業 |
| 提供形態 | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) | クラウド(3形態) | クラウド(SaaS) | 公式に記載なし | オンプレミス(クラウド運用代行あり) | オンプレミス(クライアントサーバ型) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) | クラウド/オンプレミス | クラウド(SaaS) | クラウド(Salesforce基盤) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 10万円(初期設定費用) | 150,000円〜(税込165,000円〜) | 要問い合わせ | 0円 | 要問い合わせ | 要問い合わせ(非公開) | 要問い合わせ(買い切り型) | 要問い合わせ(非公開) | 0円〜(プランにより異なる) | 要問い合わせ(公式非公開) | 記載なし(クラウド利用料5,000円/月〜) | 要問い合わせ(非公開) | 要問い合わせ | 要問い合わせ(非公開) | 200,000円(税抜) | 0円 |
| 月額費用 | 105,000円〜(税抜、最低10ライセンス) | 要問い合わせ(モジュール×ID+保守6万円〜/月) | 30,000円〜(税込33,000円〜) | 要問い合わせ(人数・機能で変動) | 30,000円〜(税抜) | 要問い合わせ | 要問い合わせ(非公開) | 月額課金なし(買い切り+年間保守) | 要問い合わせ(非公開) | 5,000円〜(税別、プランで変動) | 要問い合わせ(公式非公開) | 0円〜2,100円/ユーザー(原価機能はプレミアム1,400円/ユーザー〜) | 要問い合わせ(非公開) | 18,000円〜(税抜、工数単体・50ID分込み) | 要問い合わせ(非公開) | 70,000円〜(税抜) | 約5,000円〜/月(年払・税抜、プランで変動) |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
基幹業務システム(ERP)で案件採算も管理するタイプの比較
| サービス名 | Oracle NetSuite | OBIC7 プロジェクト管理 | Biz∫(ビズインテグラル) | GRANDIT miraimil |
|---|---|---|---|---|
| 案件別の収支・粗利の可視化 | ● | ● | ● | ● |
| 工数→原価への換算(人件費) | ● | △単価換算は公式非明記 | ● | △詳細仕様は要確認 |
| 予実管理(予算実績対比) | ● | △公式は収支把握まで | ● | ● |
| 会計・基幹システム連携 | ● | ● | ● | ● |
| 対象企業規模 | 中堅〜大企業・海外展開企業 | 中堅〜大手・上場企業 | 大手企業中心(年商500億円以上目安) | 中小〜中堅企業 |
| 提供形態 | クラウド(SaaS) | オンプレミス/プライベートクラウド | オンプレミス/クラウド/ハイブリッド | クラウド(SaaS) |
| 初期費用 | 要問い合わせ(非公開) | 要問い合わせ(非公開) | 要問い合わせ | 個別見積 |
| 月額費用 | 要問い合わせ(年間ライセンス、非公開) | 要問い合わせ(非公開) | 要問い合わせ | 450,000円〜(想定条件での目安) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
※各製品の情報は2026年10月時点の各社公開情報に基づきます。最新の機能・料金・提供形態(標準・オプション等)は各社の公式情報をご確認ください。
各サービスの特徴・料金
比較表で取り上げた各製品について、案件採算の管理で何ができるか、どの規模・業種に向くかを具体的に見ていきます。
案件・プロジェクトの収支管理に特化したシステム
案件ごとの売上・原価・工数を管理し、採算の可視化を主な目的とする製品です。既存業務のどこを起点にするか(収支管理・工数管理・販売管理)で使い勝手が変わるため、自社の運用に近いものを選ぶのが基本です。
1. OBPM Neo(株式会社システムインテグレータ)

PMBOK(プロジェクトマネジメントの国際的な知識体系)の10の知識エリアをカバーする統合型プロジェクト管理システムで、システム開発業(SIer・IT企業)向けに2008年から提供されてきました。2021年3月にクラウド版「OBPM Neo」として刷新され、品質・進捗・原価・要員を一つのシステムで扱います。導入実績は300社以上・約56,000ユーザーです(公式サイト記載、時点の明示なし)。
工数入力から原価・収支への反映に対応し、EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)によるPJ別・グループ別の採算分析で、予算と進捗を金額と進捗率の両面から把握できます。Web APIや自動データ取込、ETL連携により、月次の仕掛原価・計上収益・完成原価を会計システムへ出力する運用にも対応します。
料金は月額105,000円(税抜)からで、最低10ライセンス・1年単位の契約です。エディションはBasic・Limited・Enterpriseの3種類があり、原価管理機能が使えるのはEnterpriseエディションです。全機能を試せる無料トライアルも用意されています。
2. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

株式会社オロが、IT・広告・コンサル・士業などプロジェクト単位で業務が進む業種に向けて提供する統合型クラウドERPです。案件別の収支管理を軸に、販売管理・購買管理・勤怠/工数管理・経費管理・管理会計・内部統制を一つの基盤にまとめます。導入実績は1,100社超です(公式サイト記載、基準時点の明示なし)。
売上に外注費・仕入・労務費・経費を案件ごとに紐付け、案件損益をリアルタイムに可視化します。工数を登録すると案件別の労務費として自動集計され、直接作業は指定案件に直課、間接作業は部門配下の案件へ再配賦する仕組みです。共通費や販売費・一般管理費の配賦にも対応します。
料金は初期費用10万円に加え、機能(モジュール)×ライセンス数の課金と保守費(6万円〜/月)で構成され、販売管理などモジュール単体での契約もできます(各単価は要問い合わせ)。対象規模の目安は従業員50名以上です。
3. プロカン(株式会社PROCAN)

IT・制作・建設など、案件単位で進む受託型ビジネスに特化したクラウド型のプロジェクト収支管理システムです。業種別に「プロカンIT」「プロカン制作」「プロカン建設工事」の3ラインを展開し、中小企業を主な対象としています。
案件ごとに予算・実績・原価を一元管理し、社内人員の工数を「工数×労務単価」で原価に換算して、外注費などの社外コストと合わせた粗利を可視化します。見積・請求・経費精算・稟議承認までを1つの入力データから連続して処理でき、弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードとの会計連携にも対応します。
料金は初期費用150,000円(税込165,000円)から、月額30,000円(税込33,000円)からで、利用人数(ID数)に応じて変動します。IT導入補助金の対象サービスとして案内されています。
4. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

工数の登録を起点に、人件費・外注費・経費を案件原価へ反映するクラウド型ERPです。システム開発・SES(システムエンジニアリングサービス)・コンサルティングなどプロジェクト型ビジネス向けの「V ver.」と、広告業界向けの「A ver.」の2ラインを展開しています。
労務費はマスタに設定した基準時間の単価と作業時間の掛け算で算出し、単価は個人別またはジョブグレード別に設定できます。原価の把握単位は標準のプロジェクトのほか、製品やジョブなど別の単位にも変更できます。配賦基準には工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数といった情報も設定できます。
料金は公式非公開で、SaaS版・SaaS+版・一括版の3つの提供形態から選べます。30日間の無料トライアルがあり、ISO/IEC 27001とクラウドセキュリティ認証を取得しています。
5. Reforma PSA(株式会社オロ)

ZACと同じ株式会社オロが、ZACの機能を案件・プロジェクト型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化した製品です。従業員50名以下を目安とする中小・成長企業に向け、コストを抑えた導入を打ち出しています。導入実績は500社以上です(公式サイト記載)。
実行予算の入力と原価の自動計算により、仕掛中でも案件別の損益を把握できます。工数の登録を前提に労務費配賦・共通費配賦が動き、プロジェクト別の工数(労務費)予実対比で進行中の差異を追えます。会計システムへは固定フォーマットのファイル連携で仕訳データを出力します。
料金は初期費用0円・月額3万円(税抜)からで、導入期間は1〜2か月程度です(ZACは3〜6か月程度)。機能別ライセンス(販売管理6,000円・購買管理2,000円・勤怠管理300円・経費管理300円など)を人数分組み合わせる方式です。
6. SMILE V 2nd Edition Project Director(株式会社OSK)

大塚商会のERPナビで提供される、サービス業向けのプロジェクト収支管理システムです。案件ごとに見込みの発生から受注・発注・仕入・売上・請求・入金・支払までを一元管理し、案件ポータル画面で進捗と収支をまとめて確認できます。
Webの工数入力画面から入力した工数は案件別に自動集計され、社員別に設定した単価と掛け合わせてJOBごとの労務費が自動更新されます。勤怠管理「Universal 勤次郎」や会計「SMILE V 2nd Edition 会計」との連携も用意されています。収支管理帳票はプロジェクト別・部門別・サービスカテゴリー別など複数の切り口で、受注残を含めた見通しも出力できます。
一方で、標準原価計算や間接費の配賦への対応は公式サイトに明記がありません。料金や提供形態(クラウド/オンプレミス)も公開されておらず、導入検討時は問い合わせが必要です。
7. HUE Classic Project Management(株式会社ワークスアプリケーションズ)

「案件毎の採算を可視化し、原価計上まで統合する」ことを掲げるプロジェクト収支管理システムです。SI・工事・コンサルティング・研究開発など幅広いプロジェクト型の業種に対応し、TDKやNSDといった情報サービス業・製造業での導入事例が公開されています。
必要工程と配属人員を積み上げて予定原価を作成し、案件別の予算と実績を月次・勘定科目別に対比します。設定した基準値を超えそうな赤字見込み案件はアラートで検知できます。月次決算では勤怠・経費・売上を集約し、原価計算から仕訳作成、会計システムへの連携までを一連で処理します。
提供形態はオンプレミス型のパッケージで、AWSやOracle Cloud上で運用を代行する「HUE Classic Cloud」も選べます。料金は公式非公開で、資料請求・デモ依頼が導入検討の入口になります。
8. プロジェクト収支管理Rebo(株式会社ディータイド)

広告制作・TV番組制作・ソフトウェア開発など、企画・制作業に向けたプロジェクト収支管理のパッケージソフトウェアです。案件ごとに売上と仕入・外注費などの原価を紐付け、受注金額に対する利益額・利益率を把握できます。
売上予算・原価予算を月単位で登録して予算実績対比表で予実差異を確認でき、確定前の見込み原価も案件に紐付けられます。勘定奉行・大蔵大臣で直接動作するアドオン版では、伝票登録と同時に仕訳データを書き込めます。一方、工数実績から人件費(労務費)を原価へ振り替える機能や、配賦・標準原価計算については公式サイトに記載がありません。
提供形態はクラウドSaaSではなくクライアントサーバ型のパッケージで、買い切り型(年間サポートはパッケージ価格の10%)です。製品価格は非公開で、問い合わせでの見積もりになります。
9. LEEAD(株式会社ETVOX)

プロジェクト会計に機能を絞ったクラウドサービスで、案件ごとに売上・工数・費用の計画値と実績値を登録し、予算対実績を管理します。クリエイティブ・広告/企画業、士業・コンサルティング業、IT・システム業を対応業種として挙げています。
部署横断・顧客別・独自グループ別のセグメント分析により、事業全体との関係を見ながら個別プロジェクトの収益性を判断できます。2025年10月には日単位で実績工数を入力する「LEEAD工数管理」が加わり、入力データが本体へ自動連携される構成になりました。会計システムとの連携は、収支・工数・経費データのCSV取り込み・書き出しが基本です。
利用開始後30日間は無料で試せ、最短即日での導入に対応します。料金は公式非公開で、企業の状況に応じたプラン制としています。
10. SmileWorks(株式会社スマイルワークス)

販売・仕入・在庫・会計・給与・経費・勤怠・ワークフローを1つにまとめた、中小企業向けの統合型クラウドERPです。案件(プロジェクト)別の収支管理は、販売管理機能「販売ワークス」の中の案件管理として提供されます。
案件ごとに売上・仕入・稼働工数・経費を集約し、予算入力と実績対比、帳票出力までを標準機能で扱えます。ただし従業員の稼働報告自体は金額に換算されないため、人件費を案件別に自動配賦するには、給与ワークスの契約と配賦機能オプション(月額5,000円・税別)の追加が必要です。
料金は販売ERPプランが月額5,000円から、標準プランが初期費用3万円・月額1万円(最初のモジュール)からで、いずれも税別・機能ごとの積み上げです。恒久的な無料プランはなく、申込月の翌月末までを無料で利用できます。
11. Flagxs(フラッグス株式会社)

WBS(作業分解構成図)の3階層(成果物・工程・タスク)による標準化を軸に、タスクと工数のデータを一元管理するクラウド型のプラットフォームです。2024年10月に、複数プロジェクトを横断する「プロジェクト損益管理」と「リソースアサイン管理」の機能を追加しました。
プロジェクト損益管理では、要員グレード別に設定した単価をもとに工数実績から人件費を自動で換算し、当初予算と実績をリアルタイムに比較できます。リソースアサイン管理では、複数プロジェクトを掛け持つメンバーの過剰な割り当てを全社横断で特定できます。ISO/IEC 27001・27017を取得しています。
料金は公式サイトで公開されておらず、導入検討時は問い合わせが必要です。無料トライアルは用意されています。
12. Lychee Redmine(株式会社アジャイルウェア)

オープンソースのプロジェクト管理ツール「Redmine」をベースに、ガントチャートやカンバンなどのUIを拡張した有償ツールです。クラウド版とオンプレミス版の両方を提供し、IT業のほか製造業・自動車関連・金融など幅広い業種で導入されています。
コストマネジメント機能では、コストグループ別に工数単価を設定し、単価×作業時間で人件費を自動算出します。交通費・外注費などの経費も入力でき、予算・コスト予想金額・収支予測を可視化できます。EVM機能でSPI(スケジュール効率指数)・CPI(コスト効率指数)を算出し、納期遅延・予算超過の兆候を早期に検知できます。
料金はクラウド版で1ユーザー月額フリー0円〜ビジネス2,100円(税別・10ユーザー単位)、別途クラウド利用料が5,000円/月からです。工数・原価・EVMの機能が使えるのはプレミアムプラン(1ユーザー月額1,400円・税別)以上です。有料プランは30日間無料で試せます。
13. TimeCrowd(タイムクラウド株式会社)

作業時間の打刻を起点に、誰が・何に・どれだけ時間を使ったかを可視化する時間管理ツールです。案件・カテゴリ単位でメンバーの時間単価を設定し、稼働時間×単価で人件費を自動計算します。導入実績は5,500社・61,000IDです(公式サイト表示)。
単価はワークスペース単価とチーム単価の二階層で設定でき、将来日付での単価改定も事前に登録できます。ただし、売上と突き合わせた案件収支・粗利を見るには、boardなど外部の請求・案件管理システムとの連携が前提で、TimeCrowd単体では案件ごとの人件費原価の可視化が中心になります。
料金は公式非公開です。ISMS(ISO/IEC 27001)を本体で取得しており、工数から人件費を把握する使い方に適しています。
14. TeamSpirit 工数(株式会社チームスピリット)

Salesforce Platform上に構築されたバックオフィスSaaSの一つで、「チムスピ工数」は案件・作業単位の工数入力・記録・集計を担います。勤怠と工数を1画面で入力し、労働時間と工数時間を一致させる運用ができます。
ただし、標準単価×工数実績による原価計算や、売上予定額・目標利益率を設定した予実管理は、別製品「TeamSpirit プロジェクト原価管理」の機能です。案件別の収支を可視化するには、工数(またはチムスピMix/Mix+)とプロジェクト原価管理の組み合わせ導入が前提になります。
料金は工数単体で月額18,000円(税抜)からで、50ユーザー分のライセンスを含みます。Salesforce社との別契約や追加費用は不要で、トライアル環境で自社の要件を試せます。
15. マネーフォワード クラウド個別原価(株式会社マネーフォワード)

IPO準備や中堅〜上場企業のプロジェクト型ビジネスを対象に、工数入力・費用データ連携・間接費の配賦・原価の可視化までを一連で扱う個別原価管理システムです。IT・システム開発業、SaaS・ソフトウェア業、クリエイティブ業、コンサルティング業を想定しています。
ワンクリックで労務費・外注費・経費データからプロジェクト別の原価を算出し、労務費は勘定科目ごとに従業員別の単価を設定して按分します。間接費は部門・プロジェクトへ多段階で配賦でき、配賦基準はプロジェクト工数比率・部門の従業員数比率・売上予算比率・面積比率に加え、任意に作成できるカスタム基準を使えます。勤怠・工数管理システム4種やクラウド会計Plusと連携します。
料金は公式非公開で、利用人数や契約内容により変動します。SOC 1 Type 2報告書(受託業務にかかる内部統制の保証報告書)の対象サービスに含まれます。工数や費用のデータを勤怠・会計のしくみと組み合わせて原価を積み上げる設計です。
16. 楽楽販売(株式会社ラクス)

見積・受注・売上・請求・入金の一元管理を中核とするクラウド型の販売管理システムで、プロジェクト収支管理では「販売管理タイプ」の一つとして使われます。ノンプログラミングで画面・入力項目・ワークフローを自社の業務に合わせて構築できる点を打ち出しています。
受注(売上)と発注(原価)に加え、間接費などの原価データを案件・プロジェクト単位で紐付け、収支(予実)をリアルタイムに自動集計します。工数管理の機能もあり、工数と原価・利益率を紐付けて収支を見える化できます(工数の入力粒度や人件費単価の計算方式は公式非公開)。勘定奉行・freee会計など複数の会計システムと連携します。
料金は初期費用20万円(税抜)、月額7万円(税抜)からで、利用ユーザー数・データベース数に応じて変動します。設定サポート付きの無料トライアルが用意されています。
17. freee販売(フリー株式会社)

クラウド会計ソフト「freee会計」との連携を前提に設計された、案件型ビジネス向けのクラウド販売管理システムです。見積・受注・売上・請求・入金・案件別の原価/粗利を案件単位で一元管理します。
案件ごとに売上・仕入を登録すると案件別の売上・粗利が自動で作成され、2024年12月に加わった「原価推移レポート」では、進行中案件の月別原価実績から利益率低下・赤字の予兆を検知できます。人件費を含めた原価管理には、別契約の「freee工数管理」との連携が前提になります。
料金は初期費用0円で、スタータープランが3名利用で約5,000円/月から、スタンダードプランが10名利用で約40,000円/月から(いずれも年払い・税抜の参考価格)です。最長30日間の無料トライアルがあります。
基幹業務システム(ERP)で案件採算も管理するタイプ
会計・販売・購買などの基幹業務と同じ基盤で、案件別の収支・原価を扱う製品です。全社の業務をまとめて刷新したい場合や、案件の数字を基幹業務と一体で管理したい場合の候補になります。
18. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

会計・財務管理を中核に、受発注・在庫・CRM・プロジェクト管理までを一つのクラウド基盤へ統合したクラウドERPです。日本オラクル株式会社が提供し、公式サイトでは世界200か国以上・44,000社超で利用され、27以上の言語と190以上の通貨に対応すると案内されています(2026年10月時点)。
案件採算は、プロジェクト管理・プロジェクト会計のアドオンモジュールで扱います。収益とコストの予算を作成してマージンを予測し、見積を実際の取引と突き合わせて測定できます。購買発注を案件に紐付けて直接費・間接費を案件予算に配賦し、タイムシートに記録した工数は総勘定元帳へ転記されて自動で会計処理されます。
対象は中堅〜大企業で、海外拠点を含む連結・多通貨での経営管理を想定した位置づけです。IPO準備やM&A後のグループ統合をきっかけに検討されることもあります。料金は年間ライセンス料(コア・プラットフォーム/オプションモジュール/ユーザー数の3要素)と初期費用で構成され、金額は非公開で個別見積もりです。
19. OBIC7 プロジェクト管理統合ソリューション(株式会社オービック)

株式会社オービックの統合業務ソフトウェア「OBIC7」のうち、案件単位で収益を管理する業種に向けたモジュールです。引合いから受注・売上・開発・発注購買・外注支払・旅費経費まで、プロジェクトの全プロセスを案件ごとに一元管理します。
IT関連業・コンサルティング業・設備工事業・広告関連業を対象業種とし、開発工数管理や稼動工数の入力に対応します。案件ごとの進捗状況と収支の現状をタイムリーに把握でき、同じOBIC7シリーズの会計情報ソリューションや人事・給与情報ソリューションとシームレスに連携できるため、案件の数字を基幹業務と同じ基盤で扱えます。
開発元のオービックは、ITR「ITR Market View:ERP市場2026」で2024年度のベンダー別売上金額シェア1位(16.2%)を公表しています。提供形態はオンプレミス型と、自社専用のプライベートクラウド型から選べます。初期費用・月額とも非公開で、導入検討時は問い合わせが必要です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:ITR「ITR Market View:ERP市場2026」ERP市場ベンダー別売上金額シェア(2024年度実績)|株式会社オービック(プレスリリース)
20. Biz∫(ビズインテグラル)(株式会社NTTデータ・ビズインテグラル)

株式会社NTTデータ・ビズインテグラルが開発する国産ERPパッケージで、NTTデータの公式サイトでは年商500億円以上の大手企業を主な対象としています。会計・販売・購買・人事給与を一つの基盤でカバーし、2023年3月開始のサブスクリプション型クラウド「Biz∫Optima」で中堅企業へも間口を広げています。
案件採算は会計モジュールの「プロジェクト原価管理」で扱い、管理会計機能では予実管理や多段階の間接費配賦に対応します。2024年8月にはIT業向けにプロジェクト別予算管理の業種別テンプレートが加わりました。ライセンスは業務モジュール×指定ユーザー数の体系で、一般会計のみといった最小単位から段階的に導入できます。
採用社数は2,000社を突破しています(2025年12月時点、公式)。デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査では、大手企業向けERPパッケージ部門で2025年度の年間出荷本数1位とされています。提供形態はオンプレミス・クラウド・ハイブリッドから選べ、初期費用・月額とも要問い合わせです。
出典・参考資料(1件)
- 出典:大手企業向けERPパッケージ市場の年間出荷本数ランキング(2025年度)|デロイト トーマツ ミック経済研究所(株式会社NTTデータ・ビズインテグラル プレスリリースより)
21. GRANDIT miraimil(GRANDIT株式会社)

国産統合型ERP「GRANDIT」の知見を引き継いだ、中堅・中小企業向けのクラウドERP(SaaS)です。経理・債権・債務・販売・調達在庫・継続契約・プロジェクト原価・経費・資産管理・人事・給与という11の基幹業務を、単一の共通マスタで連携させてWebブラウザから利用します。
11業務の一つにプロジェクト原価管理が含まれ、案件の数字を会計・販売などと同じ基盤で扱えます。商社・卸売業、情報サービス業、製造業、設備工事業などを対象業種に挙げ、国内実績は約1,500社です(公式サイト記載、時点の明示なし)。インボイス制度や電子帳簿保存法といった法制度改正に対応すると公式に明記しています。
料金は月額45万円から(利用者10名・月間1万伝票・財務管理+販売管理の想定条件)で、初期費用は個別見積もりです。恒久的な無料プランはありませんが、1か月間の無料トライアルで実際の操作を試せます。導入作業の期間は3〜6か月が目安です。
口コミ・評判からわかる導入効果
機能や料金の一覧だけでは、導入後に自社の運用へなじむか、実際に採算が見えるようになるかまでは判断しきれません。ここでは、口コミ・評判から案件採算の導入効果をどう読み取ればよいか、その見方を整理します。
案件採算を管理するシステムの口コミを読むときは、次の3つの観点で整理すると、自社の課題に効くかどうかを見極めやすくなります。
- 赤字案件の可視化:進行中の案件で採算の悪化に早く気づけるようになったか。月次決算を待たずに手を打てるかどうかは、導入効果を測るうえで重要な観点です。
- 粗利・利益率の改善:案件ごとの粗利が見えることで、見積もりや要員配置の判断が変わり、利益率の改善につながったか。
- 工数の見える化と入力の定着:日々の工数入力が現場に定着し、原価の精度が上がったか。入力が続かなければ採算の数字も信用できないため、使い勝手や入力のしやすさに関する声は特に参考になります。
口コミは良い点だけでなく、導入初期の設定や運用定着の苦労に触れた声も、自社で導入したときのイメージをつかむうえで役立ちます。資料請求や無料トライアルの際に、こうした観点で利用企業の評価を確かめると、機能の一覧だけでは分からない使い勝手の差を見極めやすくなります。
自社に合う案件採算システムの選び方
ここからは、案件採算を管理する業務システムを選ぶときに確認したい観点を解説します。自社の案件の進め方や既存の業務環境に照らして、どこを重視するかを整理してみてください。
案件単位で収支・原価を可視化できるか
最も基本となる観点が、案件・プロジェクト単位で売上と原価を集計し、粗利を把握できるかどうかです。全社や部門単位の予実管理が中心の製品では、案件ごとの採算までは見えないことがあります。自社が「どの案件が儲かっているか」を知りたいなら、案件を軸に収支を積み上げられる製品かを最初に見極めたい点です。
あわせて、受注後の実績だけでなく、見積もり・受注の段階から予算を登録し、進行中に着地見込みを把握できるかも確認したい点です。赤字案件に早く気づきたい場合は、実績が締まってから集計する製品より、進行中に予実を対比できる製品が向きます。
工数から原価への換算と配賦に対応しているか
原価の大半が人件費となる事業では、工数(作業時間)を単価換算して案件原価へ自動で反映できるかが要になります。担当者や役割ごとに単価を設定し、工数を掛けて原価に積み上げられるかを見ておきたい点です。工数入力だけで単価換算のしくみを持たない製品では、別途その計算が必要になります。
複数の案件に共通してかかる間接費がある場合は、それを各案件へ配分する配賦の機能があるかもあわせて見ておきます。配賦基準を自社のルールに合わせて設定できるか、どこまで自動化できるかは、原価の正確さと運用負荷の両方に関わります。
原価計算の方式や差異分析、配賦の設計そのものを重視して選びたい場合は、原価管理に軸足を置いたシステムを比較した記事もあわせてご覧ください。
既存の会計・基幹システムと連携できるか
すでに会計システムや基幹システムを使っている場合は、集計した売上・原価や仕訳データを連携できるかを確かめておきたい点です。連携できれば経理の二重入力を減らし、全社の数字との整合も保てます。CSVの取り込み・書き出しで対応するのか、APIで自動連携できるのかによって、運用の手間が変わります。
基幹業務ごと刷新を検討しているなら、採算管理を含む基幹業務システム(ERP)を選ぶ考え方もあります。既存システムを活かすのか、まとめて入れ替えるのかで、適したタイプが分かれます。
自社の業種・案件の進め方に合っているか
同じ案件型のビジネスでも、受託開発・制作業・コンサルティングなどで案件の進め方や原価の構成は異なります。製品によって想定する業種や、見積もり・受注・請求などの業務範囲のカバー度合いが違うため、公式サイトで示されている対象業種や導入事例が自社に近いかも大切な観点です。
提供形態(クラウドかオンプレミスか)や対象とする企業規模も、自社に合うかを左右します。規模帯が合わない製品は、機能が充実していても運用やコストの面で過不足が生じやすいため、想定規模が自社に近いかをあわせて見ます。
現場に工数入力が定着する操作性か
案件採算のしくみは、日々の工数入力が現場に定着して初めて機能します。入力画面の分かりやすさや、スマートフォン・既存の勤怠ツールからの入力に対応しているかなど、現場が無理なく続けられる操作性かも見ておきたい点です。口コミ・評判を確かめる際は、入力のしやすさや定着に関する声が特に参考になります。
導入・運用の負荷も見落とせません。初期設定の手間、サポート体制、運用が軌道に乗るまでの期間を確認し、無料トライアルやデモがあれば実際の操作感を試したうえで判断すると、導入後のギャップを減らせます。
料金・費用相場
案件採算を管理する業務システムの料金は、提供形態や対象規模によって幅があります。クラウド型(SaaS)では、利用人数(ユーザー数)に応じた月額課金が多く、工数管理を起点とする製品ではユーザーあたり月額1,000円台から、収支管理に特化した製品では月額3万〜10万円程度を目安とするものが見られます。初期費用は無料のものから数十万円規模のものまで分かれます。
基幹業務システム(ERP)や大企業向けの製品、オンプレミス型では、個別見積もりを基本とし料金を公開していないケースが大半です。料金を見るときは、月額の基本料金だけでなく、工数管理や会計連携などの機能が標準かオプションかも見ておきます。
あわせて、ユーザー数が増えたときに課金がどう変わるかも見ておくと、導入後の総額を見積もりやすくなります。各製品の具体的な料金は、前述の比較表(2026年10月時点)でご確認ください。
導入のメリットと注意点
導入で得られるメリット
案件採算を管理する業務システムを導入する最大のメリットは、案件ごとの粗利がリアルタイムに見えるようになることです。進行中の案件で採算の悪化に早く気づければ、要員の見直しや追加費用の抑制など、赤字を小さくする手を早い段階で打てます。
工数から原価への換算が自動化されれば、これまで手作業で集計していた担当者の負担が減り、原価の精度も上がります。案件ごとの実績が蓄積されることで、次の案件の見積もり精度が高まり、利益率の改善にもつながります。経営層にとっては、どの事業・案件に注力すべきかを数字で判断できるようになる点も利点です。
導入・運用の注意点
一方で、案件採算のしくみは現場の入力があって初めて成り立ちます。工数や原価の入力ルールを決め、現場に定着させる取り組みをしないと、集計された数字そのものが信用できず、導入効果が得られません。導入時には、入力の負担をできるだけ軽くする設計と、運用ルールの整備をあわせて進める必要があります。
また、配賦基準や原価計算の考え方は、自社の実態に合わせて設定する必要があります。初期設定に一定の手間がかかるため、導入支援やサポートの体制を確認しておくと安心です。既存の会計・基幹システムとの連携方法も、事前に確認しておくことで、導入後の二重入力や手戻りを防げます。
まとめ
案件・プロジェクトの採算を管理できる業務システムは、案件ごとの売上・原価・工数を紐づけて粗利を可視化し、赤字案件の早期発見や利益率の改善につながります。製品は、案件採算の管理に特化したタイプと、基幹業務システム(ERP)の中で案件採算を扱うタイプに大きく分かれ、既存システムを活かすか基幹業務ごと刷新するかで適した方向が変わります。
選ぶ際は、案件単位で収支を可視化できるか、工数から原価への換算と配賦に対応しているか、既存システムと連携できるか、そして現場に入力が定着する操作性かを確認することが大切です。機能や料金だけでなく、実際に導入した企業の口コミ・評判もあわせて見ることで、導入後のイメージをつかみやすくなります。気になる製品があれば、資料を取り寄せて具体的に比較してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 案件採算を管理できる業務システムとは何ですか?
A. 案件採算を管理できる業務システムとは、案件・プロジェクトごとに売上・原価・工数を紐づけて記録し、案件単位の粗利や利益率を可視化するシステムです。
見積もり・受注の段階から実績までを同じ案件に集約することで、「どの案件が儲かっていて、どの案件が赤字なのか」を月次決算を待たずに把握できます。原価の大半を占める人件費(労務費)を工数から自動で計算し、売上と突き合わせる点に価値があります。
Q. 案件採算を管理できる業務システムと予実管理システムは何が違いますか?
A. 案件採算を管理できる業務システムは、案件・プロジェクト単位で売上・原価を積み上げて採算を見る点が、全社や部門単位の予算実績を見る予実管理システムとの違いです。
予実管理・経営管理を中心に据えたシステムは、案件ごとの原価の積み上げを前提としないものも多く、「どの案件が赤字か」までは見えないことがあります。会社全体の予実を管理したいのか、案件ごとの採算を管理したいのかで、適したシステムが分かれます。
Q. 工数管理ツールだけでも案件採算は管理できますか?
A. 工数管理ツールだけでは案件採算の全体像は見えにくく、工数を単価で原価に換算し、売上と突き合わせて粗利を表示する仕組みが別途必要です。
作業時間を集計するだけのツールでは、人件費への換算や売上との対比が自動化されず、採算の算出が手作業になりがちです。工数管理を起点とする製品でも、売上との突き合わせや粗利表示は外部の会計・請求ツールとの連携を前提とするものがあるため、どこまでを1つのシステムでまかなえるかを確認してください。
Q. 案件採算を管理できる業務システムの費用相場はどのくらいですか?
A. 案件採算を管理できる業務システムの費用は、工数管理を起点とする製品でユーザーあたり月額1,000円台から、収支管理に特化した製品で月額3万〜10万円程度が目安です。
初期費用は無料のものから数十万円規模のものまで分かれます。基幹業務システム(ERP)や大企業向けの製品、オンプレミス型は個別見積もりが基本で、料金を公開していないケースが大半です。月額の基本料金だけでなく、工数管理や会計連携が標準かオプションか、利用人数が増えたときの課金体系まで含めて確認すると、導入後の総額を見積もりやすくなります。
Q. 案件採算システムの口コミ・評判はどう見極めればよいですか?
A. 案件採算システムの口コミは、「赤字案件の可視化」「粗利・利益率の改善」「工数の見える化と入力の定着」の3つの観点で整理して読むと、自社の課題に効くかを見極めやすくなります。
良い点だけでなく、導入初期の設定や運用定着の苦労に触れた声も、自社で導入したときのイメージをつかむうえで役立ちます。特に工数入力のしやすさや現場への定着に関する声は、採算の数字の信頼性に直結するため参考になります。
Q. 中小企業でも案件採算を管理できる業務システムを導入できますか?
A. 中小企業でも導入でき、案件採算の管理に特化したクラウド型の製品には、初期費用0円・月額3万円程度から始められるものもあります。
収支管理に特化した製品は中小〜中堅での採用が多く、中小企業向けを明言する基幹業務システム(ERP)もあります。一方で中堅〜大企業を主な対象とする製品もあるため、各製品が想定する企業規模が自社に近いかを確認すると、機能やコストの過不足を避けられます。
Q. 案件採算を管理できる業務システムは既存の会計ソフトと連携できますか?
A. 多くの製品が既存の会計ソフトとの連携に対応しており、集計した売上・原価や仕訳データを会計システムへ連携して経理の二重入力を減らせます。
連携の方式は製品によって異なり、CSVの取り込み・書き出しで対応するものから、APIで自動連携するものまであります。主要なクラウド会計ソフトとの連携に対応した製品もあるため、自社が使っている会計システムと連携できるか、どこまで自動化できるかを事前に確認してください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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