「犯収法への対応が必要」と言われても、そもそも何を定めた法律で、自社が対象になるのか、具体的に何をすればよいのかが見えにくいものです。犯罪収益移転防止法(犯収法)は、マネー・ローンダリングやテロ資金供与を防ぐために、金融機関をはじめとする「特定事業者」へ、取引時の本人確認や記録の保存、疑わしい取引の届出などを義務づける法律です。
対象となる事業者は銀行や証券会社だけではありません。貸金業者や資金移動業者、暗号資産交換業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引業者、宝石・貴金属の売買業者、士業まで、幅広い業種が特定事業者として法律上の義務を負います。自社が該当するのかどうかを、まず確かめておきたい方は多いはずです。
本記事では、犯収法の目的と全体像をおさえたうえで、特定事業者に該当する業種の一覧、課される4つの義務、取引時確認で確認する事項や必要になる金額の基準を整理します。あわせて、違反した場合の是正命令・罰則と2026年の罰則強化、2027年4月に施行される本人確認方法の改正、そして確認業務を効率化する手段までを解説します。
自社に何が求められるのかを判断し、実務の次の一歩に進むための材料としてご活用ください。
目次
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犯罪収益移転防止法(犯収法)とは
犯罪収益移転防止法(犯収法)とは、犯罪で得られた収益が移転して組織的犯罪やテロ資金に使われるのを防ぐため、特定事業者に本人確認・記録の保存・疑わしい取引の届出などの措置を義務づける法律です。正式名称は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」で、2008年に全面施行されました。マネー・ローンダリング(資金洗浄)対策とテロ資金供与対策を、事業者側の確認・記録・届出という形で担保する点に特徴があります。
法律の目的は、第1条で次のように定められています。犯罪収益の移転を防ぐために、特定事業者が本人特定事項などの確認・取引記録の保存・疑わしい取引の届出といった措置を講じることが、法律の柱に据えられています。
この法律は、(中略)特定事業者による顧客等の本人特定事項(中略)等の確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を講ずることにより、(中略)犯罪による収益の移転防止を図り、併せてテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確保し、もって国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。
出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律 第1条|e-Gov法令検索
所管するのは国家公安委員会・警察庁で、警察庁内のJAFIC(犯罪収益移転防止対策室)が、疑わしい取引の届出の集約や犯罪収益移転危険度調査書の公表などを担っています。事業者が行う確認や届出は、この仕組みを通じて犯罪収益の追跡可能性を確保する役割を果たします。
出典・参考資料(2件)
あなたの会社は「特定事業者」?該当する業種の一覧
ここからは、犯収法の義務を負う「特定事業者」の範囲を確認します。特定事業者は第2条第2項に業種ごとに列挙されており、金融機関にとどまらず、決済・不動産・貴金属・士業まで広く含まれます。自社がどこに当てはまるかを、次の一覧で確かめてください。
- 預貯金取扱・協同組織金融機関:銀行、信用金庫・信用金庫連合会、労働金庫、信用協同組合、農業協同組合、漁業協同組合、農林中央金庫、商工組合中央金庫、日本政策投資銀行など
- 保険・共済:保険会社、外国保険会社等、少額短期保険業者、共済水産業協同組合連合会
- 金融商品取引関係:金融商品取引業者、証券金融会社、信託会社、商品先物取引業者、振替機関・口座管理機関、電子債権記録機関など
- 貸金・決済・資金移動:貸金業者、無尽会社、前払式支払手段発行者(届出事業者)、資金移動業者、電子決済手段等取引業者、暗号資産交換業者、両替業者
- クレジットカード・リース:クレジットカード等を交付する事業者、指定した物品を購入して賃貸するファイナンスリース事業者
- 不動産・貴金属・その他:宅地建物取引業者、金・白金・ダイヤモンドなどの貴金属等取扱事業者、郵便物受取サービス・電話受付代行業者、カジノ事業者
- 士業:弁護士・弁護士法人、司法書士・司法書士法人、行政書士・行政書士法人、公認会計士・監査法人、税理士・税理士法人
自社がこの一覧に含まれる場合は、特定事業者として犯収法の義務を負う可能性が高いといえます。ただし、特定事業者であっても義務の範囲は一律ではありません。弁護士(第2条第2項第45号)は取引時確認の義務(第4条)の対象から除かれています。
司法書士・行政書士・公認会計士・税理士の士業は、疑わしい取引の届出が第8条第2項で別建てに定められています。自社の業種ではどの義務が及ぶのかは、条文と所管官庁の解説で個別に確認することが大切です。
出典・参考資料(1件)
特定事業者に課される4つの義務
特定事業者に課される主な義務は、取引時確認・記録の作成と保存・疑わしい取引の届出・体制整備の4本柱です。どれが自社に関係するかを俯瞰できるよう、順に要点を整理します。

取引時確認(法第4条)
口座開設などの「特定取引」を行う際に、顧客の本人特定事項などを確認する義務です。ここでは全体像だけをおさえ、確認する事項の中身と、確認が必要になる取引・金額の基準は、後続の専用セクションで詳しく解説します。本人確認はこの取引時確認の中心的な手続きにあたります。
確認記録・取引記録の作成と原則7年保存(法第6条・第7条)
取引時確認を行ったら、直ちに確認記録を作成し、保存しなければなりません。保存期間は法第6条で明確に定められています。
特定事業者は、確認記録を、特定取引等に係る契約が終了した日その他の主務省令で定める日から、七年間保存しなければならない。
出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律 第6条第2項|e-Gov法令検索
取引記録についても、第7条で原則として取引が行われた日から7年間の保存が義務づけられています。確認記録は「契約が終了した日など」、取引記録は「取引が行われた日」が起算点で、起算のタイミングが異なる点に注意が必要です。
疑わしい取引の届出(法第8条)
取引で受け取った財産が犯罪収益である疑いがある場合などに、速やかに行政庁へ届け出る義務です。届出を行ったことやその内容を、対象の顧客に漏らしてはならないとされています(第8条第4項)。
届出先は業種ごとの所管行政庁で、提出された情報は警察庁(JAFIC)に集約されます。提出方法は、電子申請(オンライン)・電磁的記録媒体・書面が用意されています。司法書士・行政書士・公認会計士・税理士は第8条第2項で別建ての扱いとなり、弁護士はこの届出義務の対象外です。
取引時確認等を的確に行うための措置=体制整備(法第11条)
確認した情報を最新の内容に保つとともに、使用人への教育訓練、社内規程の作成、業務を統括管理する者(統括管理者)の選任などに取り組む義務です。第11条の各号に挙げられた措置は条文上「講ずるように努めなければならない」とされる努力義務ですが、実務では確認・記録・届出を的確に回すための土台として重視されています。
確認した顧客情報を取引期間を通じて最新に保ち、リスクに応じて再確認する「継続的顧客管理」も、この体制整備の一環として位置づけられます。
出典・参考資料(1件)
取引時確認で確認する事項(個人・法人の対比)
取引時確認では、何を確認するのかが法第4条第1項に定められています。顧客が個人か法人かで確認する項目が変わるため、対比して押さえておくと実務で迷いません。
| 確認事項 | 個人(自然人) | 法人 |
|---|---|---|
| 本人特定事項 | 氏名・住居・生年月日 | 名称・本店または主たる事務所の所在地 |
| 取引を行う目的 | 必要 | 必要 |
| 職業/事業内容 | 職業 | 事業の内容 |
| 実質的支配者 | — | 議決権などから実質的に支配する自然人の本人特定事項 |
法人の「実質的支配者」とは、その法人の事業経営を実質的に支配できる自然人を指します。株式会社など資本多数決法人の場合、施行規則では議決権の総数の「四分の一を超える」(25%超)議決権を持つ自然人が該当するとされ、全国銀行協会も25%超の議決権を持つ人を確認する旨を案内しています。法人取引では、背後にいる個人まで確認する点が特徴です。
法人取引で背後の個人まで確認することは、相手方が反社会的勢力の隠れ蓑になっていないかを見極めるうえでも意味を持ちます。取引先の会社名や代表者名を調べるだけでは不十分だとして、弁護士の阿部由羅氏は次のように指摘しています。

インターネット検索や新聞記事のデータベースなどを利用して、相手方の会社名や代表者名を検索しても、背後にいる反社会的勢力の存在は判明しません。相手方の実質的な支配者まで遡って徹底的に反社チェックを行い、少しでも疑わしい要素があれば取引中止を検討するといった厳密な取り組みが求められます。
本人確認書類の区分と注意点
個人の本人特定事項は、運転免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きの書類で確認するのが基本です。有効期限のある書類は提示・送付を受ける日において有効なものに限られ、有効期限のない書類は原則として6か月以内に作成されたものに限られます。窓口での確認では、原本の提示が必要でコピーは認められません。代表的な本人確認書類は、次のように区分されます。
- 顔写真付きの書類(原則1点で確認可):運転免許証、マイナンバーカード(個人番号カード)、パスポート、在留カード、特別永住者証明書、運転経歴証明書など
- 顔写真のない書類(複数点や補完書類との組み合わせが必要):各種健康保険証、国民年金手帳、住民票の写し、印鑑登録証明書など
書類ごとの細かな要件や、対面・非対面それぞれの確認方法は施行規則で定められています。
ハイリスク取引で追加される確認
なりすましの疑いがある取引や、制裁対象国に関係する取引などは「ハイリスク取引」とされ、通常の確認に加えて厳格な方法での確認が求められます。こうした取引で、価額が200万円を超える財産の移転を伴う場合には、資産および収入の状況の確認も必要になります。このハイリスク取引の200万円は、後述する特定取引の判定で使う「200万円超」とは適用される場面が異なる点に注意してください。
出典・参考資料(3件)
取引時確認が必要になる取引と金額の基準(200万円超・10万円超)
取引時確認は、すべての取引で必要になるわけではなく、法令で定められた「特定取引」に該当する場合に求められます。金融機関の代表的な例では、次の取引が該当します。
- 口座開設、貸金庫、保護預りなどの取引を開始するとき
- 200万円を超える現金・持参人払式小切手などの受払いを伴う取引をするとき
- 10万円を超える現金による振込み(公共料金の収納を含む)をするとき、10万円を超える現金を持参人払式小切手で受け取るとき
- 融資取引をするとき
金額の基準は施行令で明確に規定されており、現金等の受払いは200万円、現金による振込みなどは10万円がラインです。いずれも「超える」ものが対象で、ちょうどの金額は含まない点に注意が必要です。
現金(中略)の受払いをする取引(中略)であって、当該取引の金額が二百万円(現金の受払いをする取引で為替取引又は自己宛小切手の振出しを伴うものにあっては、十万円)を超えるもの
出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令 第7条第1項第1号ケ|e-Gov法令検索
自社の取り扱う取引のうち、どれが特定取引に当たるかを棚卸ししておくと、確認が必要な場面を取りこぼしにくくなります。
出典・参考資料(2件)
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違反した場合の是正命令・罰則と2026年改正(令和8年)
義務に違反した場合の帰結も、条文で確認しておきましょう。重要なのは、取引時確認や記録保存、疑わしい取引の届出などの義務違反が、それ自体で直ちに刑罰につながるわけではないという点です。まず行政庁が是正命令(第18条)を出し、その命令に違反したときに罰則が科される二段構えになっています。
第十八条の規定による命令に違反したときは、当該違反行為をした者は、二年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律 第33条|e-Gov法令検索
法人の従業者が業務に関して違反した場合は、両罰規定(第35条)により、行為者を罰するほか法人にも罰金刑が科されます。是正命令違反については、法人に対して3億円以下の罰金が定められています。義務を軽視せず、体制を整えておくことが重要です。
罰則に関しては、2026年に成立した改正(令和8年法律第34号)で強化が進みました。預貯金通帳などの不正な譲渡・譲受けに対する罰則の引上げや、送金犯罪に関する罰則が設けられ、これらは2026年7月10日に施行されています。架空名義口座に関する措置などは2027年6月9日の施行が予定されています。これらは法律本体の改正であり、次に述べる本人確認方法の改正とは別の内容である点に注意してください。
出典・参考資料(2件)
2027年4月の本人確認方法改正で変わること(全特定事業者向け)
2027年4月1日には、施行規則の改正により、非対面での本人確認方法が見直される予定です。これは罰則を強化した令和8年の法律改正とは別で、本人確認の「やり方」に関わる施行規則の改正にあたります。オンラインで本人確認を行う事業者はもちろん、幅広い特定事業者が今から備えておきたい変更です。

改正の柱は、顔写真と本人確認書類の画像を送信して完結させる、いわゆる「ホ方式」(撮影による認証)の見直しです。改正後は、マイナンバーカードなどのICチップを読み取る方式や、公的個人認証(JPKI)を軸とする方式への移行が求められる方向です。対面の確認でもICチップの読み取りが必要になる場面が想定されています。
施行日や、撮影画像のみで完結する方式が見直されるという大枠は確定した事実です。一方で、各事業者がいつまでに何をどう切り替えるかという移行の運用は、自社の取引形態に応じた判断になります。利用しているシステムやサービスが改正後の方式に対応するかを、早めに確認しておくと安心です。
廃止される撮影認証(ホ方式)と、移行先となるICチップ読み取りや公的個人認証(JPKI)が具体的にどう違うのか、eKYCをどう選び直し移行を進めるのかまで踏み込みたい方は、本人確認方法の変更に絞って解説した次の記事もあわせてご覧ください。
犯罪収益移転防止法改正(2025・2027)で本人確認はどう変わる?eKYCのホ方式廃止やワ方式(JPKI)への移行ポイントも解説
改正される犯罪収益移転防止法(犯収法)への対応が迫るなか、 「結局どの本人確認方法がNGになるのか」「2027年4月の完全施行までに何を準備すべきか」 と不安を感じている担当者も多いのではないでしょうか。 特に2025年施行の新ルールでは、…
出典・参考資料(2件)
犯収法対応の実務をどう回す・効率化するか
ここからは、制度を理解したうえで、各義務を実務でどう満たすかに橋渡しします。犯収法の義務は、それぞれ対応するソリューションと結びつけて整理すると見通しが立てやすくなります。
- 取引時確認(本人確認):オンライン本人確認(eKYC)サービスで、書類とICチップ読み取り・公的個人認証などに対応し、2027年4月の方式変更にも備える
- 継続的顧客管理・反社/制裁リスト照合:反社会的勢力や制裁リストとの照合、ネガティブ情報のスクリーニングを効率化する
- 取引モニタリング・疑わしい取引の届出:入出金や取引の異常を検知し、疑わしい取引の判断・届出につなげる
これらの義務ごとに活用できる主なサービスを、次の比較表にまとめました。自社でとくに負担の大きい業務から、対応する手段を検討してみてください。
| サービス名 | ネクスウェイの本人確認(eKYC) | RiskAnalyze | RISK EYES | TRUSTDOCK | コンプライアンス・ステーション | 日経リスク&コンプライアンス | FraudAlert |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 主な役割 | 本人確認(eKYC) | 反社・制裁スクリーニング | 反社・制裁スクリーニング | 本人確認(eKYC・KYB) | 実質的支配者(UBO)確認 | 反社・制裁スクリーニング | 取引モニタリング(不正検知) |
| 取引時確認(本人確認) | ◎ | × | × | ◎ | △実質的支配者(UBO)確認 | × | × |
| 継続的顧客管理 | × | ● | ● | × | ● | ● | × |
| 反社・制裁リスト照合 | × | ◎ | ◎ | △法人確認に付帯 | × | ◎ | × |
| 取引モニタリング | × | × | × | × | × | × | ◎犯収法8条の一部に該当 |
| 料金 | 初期費用50,000円〜/月額25,000円〜 (2026年10月時点) | 初期費用無料/月額27,500円〜 (2026年10月時点) | 初期費用無料/月額15,000円〜(税別) (2026年10月時点) | 要お問い合わせ (2026年10月時点) | 初期費用無料/年額500,000円〜(税別) (2026年9月時点) | 要お問い合わせ (2026年8月時点) | 要お問い合わせ (2026年10月時点) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
◎=主な機能として対応/●=付帯して対応/△=限定的に対応/×=非対応。料金・対応状況は変動するため、最新の内容は各社の公式情報・資料でご確認ください。
1. ネクスウェイの本人確認(eKYC)ソリューション(株式会社ネクスウェイ)

犯収法が定める取引時確認(本人確認)をオンラインで完結させる、株式会社ネクスウェイのクラウド型本人確認サービスです。スマートフォンで容貌と書類を撮影するeKYCに加え、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)、確認後の目視・突合を代行するBPO、法人確認、転送不要郵便の発送追跡までを一つの窓口で扱います。
2027年4月の改正でホ方式(容貌画像と書類画像の送信)が見直される流れを見据え、ICチップを読み取るヘ方式や公的個人認証への移行を支援します。導入実績は300社以上で、うち犯収法の特定事業者は100社以上とされています(公式サイト)。
出典・参考資料(1件)
2. RiskAnalyze(リスクアナライズ)(KYCコンサルティング株式会社)

個人名・法人名を入力すると、反社会的勢力とのつながりや逮捕歴・行政処分・訴訟歴などを判定済みのレポートとして1件あたり最短0.4秒で表示する、KYCコンサルティング株式会社のAI反社チェックツールです。CSVによる一括検索は1,000件を約1分で処理し、調査の証跡はクラウドに7年間自動保存されます。
国内約1,000媒体を1時間おきに自動収集し、海外は240以上の国と地域のリスク情報や、PEPs(重要な公的地位にある人物)・制裁(Sanction)対応のメディアを常時更新します。2026年7月提供開始の取引先管理機能では、最短日次の自動再チェックと、最終チェックから365日が経過した取引先への自動警告により、継続的な顧客管理を支援します。
累計導入企業数は2,000社を超え(2026年6月時点、公式発表)、情報セキュリティの国際規格ISO/IEC 27001:2022も取得しています。
出典・参考資料(1件)
3. RISK EYES(リスクアイズ)(ソーシャルワイヤー株式会社)

運営元のソーシャルワイヤーが自社の上場準備で抱えた反社チェックの負担をきっかけに開発し、2017年10月に提供を始めた反社・コンプライアンスチェックサービスです。法人名・人名とネガティブワードを組み合わせ、WEBニュース・新聞記事・ブログ・掲示板・独自の反社データベース・制裁リスト・行政処分情報などを1画面で横断検索します。
制裁リストは米財務省OFAC・財務省・金融庁・経済産業省のリストに加え、2026年に追加されたダウ・ジョーンズ社のWATCH LISTにも対応します。登録先や過去の検索先を日次で監視するリスクアラートと、前回以降の更新だけを確認する差分検索を備え、新規取引時だけでなく既存取引先の継続的な再確認にも使えます。
生成AIによる記事判定を備え、公式は「記事確認工数を最大92%削減」と説明しています。新規取引時の確認から既存取引先の定期的な再確認まで、継続的な顧客管理を1つの画面で回せる点が特徴です。
出典・参考資料(1件)
犯収法が求める記録の保存や継続的な顧客管理は、実務の現場では日々の業務上の課題として立ち現れます。こうした確認業務でどのような相談が寄せられるかについて、同社の杉山氏はインタビューで次のように説明しています。

主なご相談は、①新聞記事検索とWEB検索を別々に行う手作業の負担を減らしたい、②担当者ごとに異なる検索・判断方法を標準化したい、③検索結果と確認履歴を証跡として残したい、④新規取引時だけでなく既存取引先も定期的に再確認したい、というものです。
4. TRUSTDOCK(株式会社TRUSTDOCK)

株式会社TRUSTDOCKが提供する、犯収法に準拠したeKYC(オンライン本人確認)と法人確認(KYB)のプラットフォームです。身分証画像とセルフィーによる確認やマイナンバーカードの公的個人認証に加え、確認業務そのものをTRUSTDOCK側の専任スタッフに委託できるBPOを24時間365日体制で用意しています。
対応方式は犯収法施行規則第6条第1項の「ホ/ヘ/ト/チ/リ/ヌ/ル」に、公的個人認証の「ワ」を加えた範囲です。実装はAPI・JavaScriptアップローダー・自社アプリの3系統から選べます。
東京商工リサーチ調べで、eKYCのコア機能を自社開発しているサービスにおける導入社数は300社以上・No.1とされています(2024年12月時点、公式サイト)。
出典・参考資料(1件)
5. コンプライアンス・ステーション(コンプライアンス・データラボ株式会社)

金融機関のマネーロンダリング・テロ資金供与対策(AML/CFT)に照準を合わせた、コンプライアンス・データラボ株式会社のオンラインプラットフォームです。中核は、犯収法が確認を求める実質的支配者(UBO)情報をオンラインで即時取得できる点にあります。
東京商工リサーチの1,000万件超の法人データベースを使い、実質的支配者・資本系列・役員・取引先の情報を一元的に取得します。取引先法人の重要な変化を日次で通知するモニタリング機能もあり、継続的な顧客管理に対応します。
導入は大手金融機関を中心に20社以上で、常陽銀行・足利銀行・ゆうちょ銀行などが公表されています(2025年4月時点、公式発表)。情報セキュリティの国際規格ISO/IEC 27001:2022も取得しています。
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6. 日経リスク&コンプライアンス(株式会社日本経済新聞社)

日本経済新聞社が提供する、取引先のコンプライアンスリスク・レピュテーションリスクをスクリーニングするソリューションです。1975年以降蓄積の国内記事データを持つ日経テレコンを基盤に、全国紙・地方紙・業界紙など50紙以上のネガティブ報道を横断検索できます。
これにダウ・ジョーンズ社のグローバルウォッチリスト(制裁リスト、200ヵ国以上のPEPs、国有企業データなど400万件以上)を組み合わせます。あわせて官公庁・自治体の行政処分情報やWeb上の風評情報も照合します。差分検索と登録取引先の自動モニタリングにより、一度確認した取引先の新たなリスクを継続的に検知します。
料金は非公開で要問い合わせです。契約は1年単位で、契約時にID利用料金の12か月分のデポジットが必要とされています(公式サイト、2026年8月時点)。
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7. FraudAlert(フロードアラート)(株式会社カウリス)

口座開設・ログイン・入出金の各場面で、端末情報の変化や不審な振る舞いからリスクを判定する、株式会社カウリスのクラウド型不正アクセス検知サービスです。金融機関などが自社のWeb・アプリに組み込んで利用し、250を超えるパラメーターでシナリオを柔軟に設定できます。
2024年12月に正式リリースした入出金検知は、振込ルールと端末情報を組み合わせ、不正送金やマネーロンダリング等を検知します。不正利用に使われた端末情報を導入企業間で共有する仕組みは、犯収法第8条の履行の一部に該当することを警察庁に確認済みと公式が説明しています。
インヴァスト証券やauフィナンシャルサービスなどへの導入が公表されており、公式プレスリリースは「月間約6億件に及ぶモニタリング実績」を挙げています。
出典・参考資料(1件)
ここで取り上げたのは、犯収法対応で中心になる本人確認・反社/制裁照合・取引モニタリングの代表的なサービスです。取引モニタリング・制裁スクリーニング・KYCまで含めたAMLシステム全体を、機能・対応法令・提供形態で横断比較し、自社に合う選び方まで確かめたい方は、次のまとめ記事もあわせてご覧ください。
まとめ
犯罪収益移転防止法は、マネー・ローンダリングやテロ資金供与を防ぐために、特定事業者へ取引時確認・記録の保存・疑わしい取引の届出・体制整備を求める法律です。自社が特定事業者に該当するかをまず確かめ、取引時確認が必要になる取引と金額の基準、確認する事項を押さえることが対応の出発点になります。
違反への備えとしては、是正命令から命令違反の罰則へという二段構えの仕組みと、2026年の罰則強化を理解しておくことが欠かせません。さらに2027年4月には本人確認方法の改正が控えており、ICチップ読み取りや公的個人認証への対応が求められます。制度を理解したうえで、本人確認・反社/制裁照合・取引モニタリングといった実務を支えるサービスを組み合わせ、確実で効率的な体制づくりを進めていきましょう。
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よくあるご質問(FAQ)
Q. 犯罪収益移転防止法(犯収法)とは何を定めた法律ですか?
A. 犯罪収益移転防止法(犯収法)は、マネー・ローンダリングやテロ資金供与を防ぐために、銀行などの「特定事業者」へ、取引時の本人確認・記録の保存・疑わしい取引の届出などを義務づけた法律です。正式名称は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」で、2008年に全面施行されました。犯罪で得た収益の流れを追跡できるようにし、組織的犯罪やテロへの資金の移転を防ぐことを目的としています。
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Q. 自社が「特定事業者」に該当するか分からない場合は、どう確認すればよいですか?
A. 特定事業者に当たるかは、犯収法第2条第2項に列挙された業種に自社の事業が含まれるかで判断します。銀行・貸金業者・資金移動業者・暗号資産交換業者・クレジットカード事業者・宅地建物取引業者・宝石貴金属等取扱事業者・士業など幅広い業種が対象です。
判断に迷う場合は、条文(e-Gov法令検索)や所管の警察庁JAFICの解説で自社の業種を確認し、必要に応じて所管行政庁や専門家に相談するのが確実です。同じ特定事業者でも、業種によって及ぶ義務の範囲が異なる点にも注意してください。
出典・参考資料(1件)
Q. 犯収法の取引時確認では、職業や取引を行う目的の確認にも書類の提出が必要ですか?
A. 個人の職業と取引を行う目的は、原則として窓口などでの申告による確認でよく、証明書類の提出は求められません。一方、法人の事業内容は、定款や登記事項証明書など所定の確認書類で確認するのが原則です。本人特定事項(氏名・住居・生年月日など)の確認には本人確認書類が必要ですが、職業・取引目的の確認方法とは分けて考えると実務で迷いません。
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Q. 犯収法の本人確認は、本人確認書類のコピーでも受け付けてもらえますか?
A. 窓口など対面での確認では、原本の提示が必要で、コピー(写し)は認められません。ただし郵送やオンライン(eKYC)など非対面の方法では、本人確認書類の画像やICチップ情報の送信など、施行規則が定める方式に沿った形で確認を行います。どの方法が使えるかは取引の形態によって異なるため、自社の確認フローがどの方式に当たるかを整理しておくことが大切です。
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Q. 親が未成年の子ども名義で口座を開設する場合、子どもの本人確認書類だけで足りますか?
A. 子ども本人の本人確認書類に加えて、窓口に来店する親権者(代理人)の本人確認書類も必要です。犯収法では、本人に代わって代理人が取引を行う場合、顧客本人の確認に加えて、来店した代理人についても本人特定事項を確認する扱いになっています。未成年者の口座開設に限らず、代理人が手続きする取引では両者の確認が原則と覚えておくとよいでしょう。
出典・参考資料(1件)
Q. 200万円を超える税金を納付する場合も、犯収法の取引時確認は必要ですか?
A. 税金の納付手続きについては、金額が200万円を超えても取引時確認は不要とされています。取引時確認が必要になるのは、口座開設や200万円超の現金等の受払い、10万円超の現金振込みといった法令上の「特定取引」に該当する場合です。納税はこれらの特定取引に当たらないため、高額でも確認の対象外となります。金額だけで一律に判断せず、その取引が特定取引に該当するかで考えることが重要です。
出典・参考資料(1件)
Q. サークルや同好会など団体名義で口座を開設する場合も、取引時確認は必要ですか?
A. 法人格のないサークル・同好会などの名義で口座を開設する場合も、実際に手続きを行う代表者などについて取引時確認が必要です。団体そのものに本人特定事項がなくても、取引を行う自然人(代表者等)の確認を通じて、取引の背後にいる人物を把握する趣旨です。任意団体だからといって確認が省略されるわけではない点に注意してください。
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Q. 犯収法の本人確認は、オンライン(eKYC)だけで完結できますか?
A. 犯収法は、施行規則が定める方法に沿えば、来店せずオンライン(eKYC)だけで本人確認を完結させることを認めています。具体的には、容貌と書類の画像を送信する方法(いわゆるホ方式)、ICチップを読み取る方法(ヘ方式)、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)などが用意されています。
ただし2027年4月の改正で、画像送信のみで完結する方式は見直され、ICチップ読み取りや公的個人認証を軸とする方式への移行が求められる方向です。利用中のeKYCサービスが改正後の方式に対応するかを早めに確認しておくと安心です。
Q. 一度取引時確認をした顧客でも、継続的に確認し続ける必要がありますか?
A. 取引時確認とは別に、確認した顧客情報を最新の内容に保つ「継続的な顧客管理」が、体制整備の措置(法第11条)として求められます。取引のたびに一から確認をやり直すわけではありませんが、顧客のリスクに応じて情報を更新し、必要な場合には再確認を行うことが望まれます。反社会的勢力や制裁対象リストとの定期的な照合、取引モニタリングなどと組み合わせて運用するのが実務の基本です。
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Q. 疑わしい取引の届出をしたことを、対象の顧客に伝えてもよいですか?
A. 疑わしい取引の届出を行ったことやその内容を、取引の相手方(顧客)やその関係者に漏らすことは、法第8条第4項で禁止されています。届出を知らせてしまうと、資金の隠匿や証拠の隠滅を招き、マネー・ローンダリング対策の実効性が失われるためです。届出の事実は社内でも取扱いを限定し、顧客対応の中で漏らさないよう運用面で徹底することが求められます。
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Q. 犯収法に違反した場合、罰金はいくらになりますか?
A. 取引時確認などの義務違反は直ちに罰金とはならず、是正命令(第18条)に違反した場合に、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり)が科されます。さらに、法人の従業者が業務に関して違反したときは、両罰規定により法人にも罰金が科され、是正命令違反では法人に3億円以下の罰金が定められています。
義務違反がまず是正命令につながり、それに従わないと罰則に至るという二段構えを理解しておくことが大切です。
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Q. 犯収法への対応と、マネー・ローンダリング対策(AML/CFT)は同じものですか?
A. 犯収法への対応はマネー・ローンダリング対策(AML/CFT)の土台となる一部で、両者は完全に同じものではありません。犯収法は、特定事業者が守るべき本人確認・記録保存・疑わしい取引の届出などの最低限の義務を定めた国内法です。
これに対しAML/CFTは、金融庁のガイドラインやFATF(金融活動作業部会)の勧告を踏まえ、自社のリスクを評価して対策の水準を高めていく、より広いリスクベースの取り組み全体を指します。犯収法の義務を満たしたうえで、リスクに応じた管理体制を整えていくという関係にあります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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