サービス比較の記事一覧

AIで顧客対応・サポート業務を自動化したい

サービス比較の記事一覧

AIで顧客対応・サポート業務を自動化したい

基本契約書と個別契約書の違いとは?役割分担・記載事項・どちらが優先するかを比較表で解説

基本契約書と個別契約書の違いのサムネイル画像
契約書レビュー比較表(2026年版)のプレビュー

主要15サービスの料金・機能を無料で一覧比較

契約書レビュー比較表(2026年版)

取引先と継続的に取引を始めるとき、多くの企業は「基本契約書」と「個別契約書」という2種類の契約書を使い分けます。共通するルールをまとめた基本契約書を一度結んでおき、個々の注文のたびに数量や単価、納期を個別契約書で定める——この二段構えが、継続取引の契約実務の基本形です。

もっとも、いざ自社の契約書を整えようとすると、「どちらに何を書けばよいのか」「2つの内容が食い違ったらどちらが優先するのか」「そもそも両方とも必要なのか」といった疑問が次々に出てきます。役割分担が曖昧なまま運用すると、取引先との認識のずれやトラブルの火種になりかねません。

本記事では、基本契約書と個別契約書の違いを比較表で整理したうえで、それぞれに記載する内容、両方を結ぶケースと一方だけで足りるケース、矛盾したときの優先関係(優先条項の文例つき)、締結後に整合性を保つ方法、そして電子契約・収入印紙の実務までを解説します。自社の契約体系を組み立て、運用する際の判断材料としてご活用ください。

契約書レビューの関連サービス資料
PR
料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】契約書レビューの資料を
一括ダウンロードする
本セクションにはプロモーションが含まれており、表示順は当社独自の基準や提携状況に基づいています。

基本契約書と個別契約書とは?違いを比較表で解説

基本契約書と個別契約書は、継続的な取引を2つの階層に分けて管理するための契約書です。まずはそれぞれが何を定める書類なのかを押さえたうえで、違いを比較表で確認します。

基本契約書とは

基本契約書とは、特定の取引先との間で継続的に取引を行うことを前提に、個々の取引に共通して適用されるルールをあらかじめ定めておく契約書です。取引基本契約書と呼ばれることもあります。支払条件や検収の方法、秘密保持、契約不適合責任、契約解除の条件といった、取引全体を通じて変わらない事項をまとめて取り決めておきます。

一度基本契約書を結んでおけば、取引のたびに同じ条件を交渉し直す必要がなくなります。継続取引では注文が繰り返し発生するため、共通ルールを先に固めておくことで、1件ごとの契約手続きを軽くできるのが基本契約書の役割です。

個別契約書とは

個別契約書とは、基本契約書で定めた共通ルールのもとで、個々の注文ごとに固有の取引条件を定める契約書です。発注する商品やサービスの仕様・数量・単価・納期・支払時期など、取引のたびに変わる具体的な条件を記載します。注文書と注文請書のやり取りが個別契約書の役割を果たすこともあります。

基本契約書で共通ルールが決まっているため、個別契約書には「今回の取引で何を・いくつ・いつまでに・いくらで」という最小限の条件だけを書けば足ります。基本契約書と個別契約書は、継続取引における「全体のルール」と「個々の注文内容」という関係にあります。

基本契約書と個別契約書の関係を示す構造図。上段に基本契約書を置き、取引全体に共通するルール(支払条件・検収方法・秘密保持・契約不適合責任・解除・準拠法など)を最初に一度定めると示す。下段には個別契約書(注文1・注文2・注文3…)を並べ、仕様・数量・単価・納期・支払時期など注文ごとに変わる条件を注文のたびに締結すると示す。基本契約書の共通ルールが、そのもとで結ぶすべての個別契約に適用される二段構えの関係を表す。

以下は、基本契約書と個別契約書の違いを整理した比較表です。

← 横にスクロールできます →
比較項目役割主に定める内容締結のタイミング想定する取引単体で取引が成立するか
基本契約書継続的な取引全体に共通するルールを一度定める支払条件・検収方法・秘密保持・契約不適合責任・解除・準拠法など取引全体に関わる事項取引を始める最初に一度締結する継続的・反復的な取引原則として成立しない(個別契約で具体的な注文内容が定まって取引になる)
個別契約書個々の注文ごとの具体的な取引条件を定める商品やサービスの仕様・数量・単価・納期・支払時期など取引ごとに変わる事項注文が発生するたびに締結する基本契約書のもとで行う個々の取引単発取引なら1通で成立する場合もある

※上記は一般的な役割の整理です。実際の取り決めは契約内容によって異なります。

基本契約書・個別契約書に記載する内容

役割分担が分かったところで、実際にそれぞれへ何を書くのかを具体的に見ていきます。基本契約書には取引全体に共通する事項を、個別契約書には注文ごとに変わる事項を書き分けるのが基本の考え方です。

基本契約書に定める主な項目

基本契約書には、取引全体を通じて適用する共通ルールを定めます。代表的な項目は次のとおりです。

  • 基本契約を適用する取引の範囲と、基本契約と個別契約の関係(優先関係を含む)
  • 納品・検収の方法と期間
  • 代金の計算方法・支払方法・支払期日
  • 契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)の内容と通知期間
  • 知的財産権の帰属
  • 秘密保持
  • 契約の解除事由と損害賠償
  • 製造物責任や、第三者の権利(知的財産権など)を侵害したときの責任分担・補償
  • 準拠法・合意管轄・契約期間

これらは取引のたびに変わるものではないため、基本契約書にまとめておくことで、個別契約書の記載を最小限に抑えられます。

個別契約書に定める主な項目

個別契約書には、その注文に固有の条件を記載します。基本契約書で共通ルールが定まっているため、記載するのは次のような具体的な条件に絞られます。

  • 発注する商品・サービスの仕様、数量、納期
  • 代金の金額・支払時期
  • その注文に限って適用したい特約事項

個別契約書で定めていない事項は、基本契約書の内容が適用されます。逆に、その取引だけ基本契約書と異なる扱いにしたい場合は、個別契約書に特約事項として明記します。代金のように両方に関わる事項は、計算方法や支払方法の枠組みを基本契約書に、今回の金額や支払時期を個別契約書に、と役割で分けて書くと重複や矛盾を避けられます。

契約不適合責任と2020年民法改正の影響

基本契約書の記載事項のうち、2020年(令和2年)4月1日に施行された改正民法で扱いが変わったのが「契約不適合責任」です。改正前の「瑕疵担保責任」に代わって新設された規律で、引き渡された目的物が契約の内容に適合しない場合に、買主が売主へ請求できる権利を定めています。

民法 第562条第1項(買主の追完請求権) 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

出典:民法|e-Gov法令検索

買主は、この追完請求のほか、代金減額請求(第563条)、損害賠償請求や契約解除(第564条)を求めることができます。

また、危険負担についても改正がありました。改正前は、特定物の売買などで目的物が当事者双方の責めによらず滅失しても、買主(債権者)が代金を支払う義務を負う「債権者主義」(旧第534条)が原則でした。

改正でこの規定は削除され、債権者は反対給付(代金の支払)の履行を拒むことができる(第536条第1項)という履行拒絶権の構成に改められました。継続取引でも、納品前の目的物が滅失したときに代金を支払う必要があるかに関わるため、基本契約書の危険負担条項を見直す際に押さえておきたい点です。

契約不適合責任で注意したいのが、権利を行使できる期間です。民法は、種類または品質に関する不適合について、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しなければ、原則として権利を行使できないと定めています。

民法 第566条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限) 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

出典:民法|e-Gov法令検索

この期間制限は種類・品質の不適合についてのもので、数量の不適合には及びません。検収期間や通知期間を基本契約書でどう定めるかは、この規定を踏まえて検討することになります。

改正民法が適用されるのは施行日以降に締結した契約で、法務省も「今回の改正は、一部の規定を除き、令和2年(2020年)4月1日から施行されます」と説明しています。施行日より前に結んだ契約には従来の民法が適用されるため、既存のひな型を見直す際は改正内容を反映しておくことが望ましいといえます。

出典・参考資料(1件)
料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】契約書レビューの資料を
一括ダウンロードする

基本契約と個別契約を両方結ぶケース・一方だけで足りるケース

基本契約書と個別契約書は常に両方が必要というわけではありません。取引の形によって、両方を結ぶべきケースと、一方だけで足りるケースがあります。判断の目安は、取引の継続性と、注文ごとに変わる条件の多さです。

  • 継続・反復する取引で、注文ごとに数量や納期が変わる → 基本契約書と個別契約書の両方を結ぶ
  • 継続取引だが取引条件が毎回ほぼ同じ → 基本契約書に取引条件まで織り込み、個別契約書を省く運用も可能
  • 一度きりの単発取引 → 必要な条件を盛り込んだ契約書1通で足りる

両方を結ぶケース

同じ取引先と継続的・反復的に取引する場合は、基本契約書と個別契約書の両方を結ぶのが一般的です。共通ルールを基本契約書で一度固め、注文のたびに個別契約書で具体的な条件を決める形にすると、1件ごとの契約手続きが軽くなり、条件のばらつきも防げます。

具体的には、継続的な商品の売買、業務委託、システム開発などのソフトウェア関連の継続取引、デザインやライティングといった制作業務の反復発注、SES(システムエンジニアリングサービス)契約などが当てはまります。いずれも取引が繰り返し発生し、共通条件を毎回定め直すのは非効率なため、二段構えの契約が適しています。

一方だけで足りるケース

一度きりの単発取引であれば、基本契約書と個別契約書に分ける必要はありません。その取引に必要な条件をすべて盛り込んだ契約書を1通作成すれば足ります。取引が1回で完結するのに共通ルールを別途定めても、活用される場面がないためです。

逆に、取引条件が毎回ほぼ同じで注文内容の変動が小さい場合は、基本契約書の中に取引条件まで織り込み、個別契約書を省く運用もあります。どちらの書類をどこまで作るかは、取引の継続性と、注文ごとに変わる条件の多さで判断します。継続取引であっても、個別契約書を正式な書面でなく注文書・注文請書のやり取りで代える方法もあり、その場合も個別契約書と同じ役割を果たします。

基本契約書と個別契約書はどちらが優先されるか

基本契約書と個別契約書を併用すると、両者の内容が食い違う場面が出てきます。食い違いが起きやすいのは支払サイト(支払期日)の定めです。基本契約で「月末締め翌月末払い」としたのに、個別契約で「納品後10日払い」と書くケースが典型です。

ほかにも、キャンセル料・納期遅延時の違約金・知的財産権の帰属・再委託の可否などで、基本契約と個別契約の定めが食い違うことがあります。どちらを適用するのかは実務で必ず押さえておきたいポイントで、優先関係は、契約書に優先順位を定める条項(優先条項)があるかどうかで決まります。

基本契約書と個別契約書の内容が矛盾・抵触したときの優先関係を示す分岐図。優先順位を定める優先条項があるかどうかで決まる。優先条項がある場合は契約で定めた側が優先し、合意した定めにそのまま従う。優先条項がない場合は、後に締結した個別契約が優先と解されるのが一般的だが、最終的には個々の事情を踏まえて解釈される。トラブルを避けるには優先関係を優先条項で明記しておくのが確実だと示す。

優先条項がある場合

基本契約書または個別契約書に、矛盾したときの優先関係を定める優先条項が置かれている場合は、その定めに従います。契約当事者が合意した内容がそのまま適用されるため、「基本契約と個別契約が矛盾した場合は個別契約を優先する」と定めてあれば個別契約が、逆の定めがあれば基本契約が優先します。トラブルを避けるには、この優先条項をあらかじめ明記しておくのが最も確実です。

優先条項がない場合

優先条項が置かれていない場合は、後に締結された個別契約が優先すると解釈されるのが一般的です。個別契約は、その取引に向けて後からより具体的に取り決めた合意であり、当事者の直近の意思を反映していると考えられるためです。後に成立した合意ほど当事者の最新の意思を表す、という考え方に沿うものです。

ただし、優先条項がない以上、最終的には個々の事情を踏まえて当事者がどちらを優先させる意思だったのかを解釈して判断することになります。「後の個別契約が当然に優先する」と言い切れない場面もあるため、優先関係は条項で明示しておくに越したことはありません。

優先条項の文例

優先条項の書き方は、どちらを優先させたいかで変わります。代表的な3つのパターンを紹介します。いずれも一般的な書き方の例であり、実際の契約では自社の取引実態に合わせて調整します。

個別契約を優先させる型(個別の取引ごとに柔軟な特約を利かせたい場合)

本基本契約と個別契約の内容が矛盾し、又は抵触する場合には、個別契約の定めを優先して適用する。

基本契約を優先させる型(取引全体で統一したルールを崩したくない場合)

本基本契約と個別契約の内容が矛盾し、又は抵触する場合には、本基本契約の定めを優先して適用する。

事項ごとに使い分ける型(原則は基本契約、個別契約で明示的に変更した事項だけ個別契約を優先させたい場合)

個別契約において本基本契約と異なる定めをした場合には、その事項について個別契約の定めを優先し、個別契約に定めのない事項については本基本契約の定めを適用する。

どの型を選ぶかは、取引全体の統制と個々の取引の柔軟性のどちらを重視するかの判断です。

基本契約を優先させる型は、取引全体で統一したルールを保ちやすく統制を効かせられる一方、個別の取引で現場が条件を柔軟に変えにくくなります。個別契約を優先させる型は、現場の裁量を広げられる反面、個別契約の積み重ねで基本契約の統制が形骸化しやすい点に注意が必要です。事項ごとに使い分ける型は、その中間として原則は基本契約で統一しつつ、変更したい事項だけ個別契約を優先させられます。

自社が受注側か発注側か、取引ごとの条件変更をどこまで認めたいかによって、適した型は変わります。優先条項をどう設計するかは、基本契約書を作成・見直しする際の重要な論点です。

継続取引の契約を電子化するメリットと収入印紙・押印の実務

継続取引では個別契約書を何度も締結するため、書面での締結は手間もコストもかさみます。電子契約の活用と、収入印紙・押印の実務を押さえておくと、運用の負担を抑えられます。

個別契約を電子契約で締結するメリット

個別契約書を電子契約で締結すると、郵送や押印のために取引先とやり取りする時間が省け、注文から締結までの期間を短縮できます。契約書の原本を電子データで一元管理できるため、保管場所を取らず、必要な契約書を検索して取り出すのも容易です。紛失や改ざんのリスクを抑えられる点もメリットです。注文が頻繁に発生する継続取引ほど、電子化の効果は大きくなります。

収入印紙・押印の要否

基本契約書は、印紙税法上の「継続的取引の基本となる契約書」(第7号文書)に該当すると、収入印紙が必要になります。国税庁は該当する文書と税額を次のように示しています。

印紙税額一覧表の第7号文書の「継続的取引の基本となる契約書」とは、特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書のうち次の文書をいい、税額は1通につき4,000円です。ただし、その契約書に記載された契約期間が3か月以内であり、かつ、更新の定めのないものは除かれます。

出典:No.7104 継続的取引の基本となる契約書|国税庁

第7号文書に当たるのは、営業者間で売買や請負などの複数取引を継続的に行うために、取扱商品の種類・数量・単価・対価の支払方法などの事項を定める契約書などに限られます。該当する場合は、契約金額の多寡にかかわらず1通4,000円の印紙税がかかります。一方、契約期間が3か月以内で更新の定めがないものは対象から除かれます。

個別契約書の扱いは、その内容によって変わります。請負に関する契約の成立を証する注文請書などは第2号文書に当たり、印紙税額は記載された契約金額に応じて変動します(契約金額1万円未満は非課税、1万円以上100万円以下は200円など)。

注文書そのものは原則として課税文書ではありませんが、申込みに対する応諾として契約の成立を証する注文請書は課税文書になり得ます。基本契約書の一律4,000円とは課税方式が異なる点に注意が必要です。

これらの印紙税は、紙の書面を作成した場合にかかるものです。電子契約で締結した場合、国税庁はPDFなどの電磁的記録を電子メールで送信する方法について、課税文書の作成に当たらないとの見解を公表しています。

本注文請書の記載内容が請負契約の成立を証するものである場合において、これの現物を相手方に交付した時は、印紙税の課税文書の作成となるが、現物の交付に替えて、PDFファイル等の電磁的記録に変換した媒体を電子メールを利用して送信した時は、課税文書を作成したことにはならないものと解して差し支えないか。(これに対する回答)標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

出典:請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について|国税庁(福岡国税局)

この見解は照会者の事実関係を前提としたものですが、電子データでやり取りする契約書は課税文書の作成に当たらないという扱いが実務に定着しており、電子契約で締結すれば収入印紙は不要になる根拠として参照できます。継続取引で個別契約書を繰り返し締結する場合、電子化による印紙税の削減効果は積み重なります。

紙の契約書では記名押印が一般的ですが、契約の成立に押印は必須ではなく、当事者の合意があれば契約は成立します。電子契約では押印に代えて電子署名を用います。

個別契約を電子契約で締結すれば、収入印紙の負担を抑えつつ、締結までの期間短縮や原本の一元管理といった効果も得られます。自社の取引量や運用に合う電子契約システムを、料金やタイプ別の選び方から選びたい場合は、以下の記事で詳しく比較しています。

締結後に基本契約と個別契約の整合性を保つ方法

優先条項を定めていても、基本契約書と個別契約書の内容に不要な矛盾があれば、解釈をめぐる争いの火種は残ります。契約を結んだ後も両者の整合性を保つには、締結の前後で内容を点検する仕組みが欠かせません。

実務では、締結前に個別契約書の条件が基本契約書と矛盾していないか、基本契約書に定めた必須事項の抜けがないかをチェックすることがまず基本になります。

あわせて、個別契約書を社内で承認するフローを整え、担当者の判断だけで基本契約と食い違う条件を結んでしまわないようにします。さらに、締結後も基本契約書とひも付けて管理し、どの個別契約がどの基本契約のもとにあるのかを追えるようにしておくと、更新や見直しの際に整合性を確認しやすくなります。

こうした点検や管理は、契約件数が増えるほど手作業では負担が大きくなります。契約書のレビューで不足条項や矛盾条項を洗い出したり、基本契約と個別契約をひも付けて管理したりする業務は、契約書レビューや契約管理のサービスを活用することで効率化できます。次の章では、基本契約と個別契約の整合性チェックに役立つサービスを紹介します。

基本契約・個別契約の整合性チェックに使えるサービス

基本契約書と個別契約書の作成・レビューや、締結後の整合性管理を効率化するには、契約書レビューや契約管理のサービスが役立ちます。ここでは、基本契約と個別契約のひも付けや、不足条項・矛盾条項のチェックに使えるサービスを紹介します。まずは各サービスの特徴を比較表で確認します。

← 横にスクロールできます →
サービス名CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)法務オートメーション「OLGA」HubbleContractS CLMLegalOn Cloud
提供形態クラウド
(法務アウトソーシング/ALSP)
クラウド
(法務オートメーション)
クラウド
(AI契約業務・管理クラウド/CLM)
クラウド(CLM)クラウド
(AI法務プラットフォーム/CLM)
契約書レビュー(AI審査)●AIと弁護士によるレビュー●自社基準でAI審査●Wordアドイン・プレイブック●AI Agent Platform(CLM連携前提)●弁護士監修のAI審査
契約管理(CLM)△標準メニュー(高度な管理は提携WAN-Sign)●●●●
基本契約・個別契約のひも付け管理×△関連契約の自動紐付け◎手動+AI自動で親子を紐付け・契約ツリー表示△原契約・変更契約などを紐付け△基本契約・原契約を参照したレビュー
電子契約標準メニュー
(高度な締結は提携WAN-Sign)
外部サービス連携
(クラウドサイン等、有料オプション)
外部サービス連携
(クラウドサイン/DocuSign/GMOサイン/Adobe)
外部サービス連携
(クラウドサイン/GMOサイン等)
自社「サイン」機能
(Adobe提携の署名技術)
初期費用0円要問い合わせ
(中小企業向けプランは10万円〜)
0円要問い合わせ要問い合わせ
月額費用11,000円〜
(税込・ブロンズ)
要問い合わせ
(中小企業向けプランは1万円〜)
要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約オンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見る

※料金・機能は2026年10月時点の各社公式情報によります。最新の提供内容・料金は各社の公式情報をご確認ください。

CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)のウェブサイト

CLOUD LEGALは、弁護士監修のリーガルAIと、弁護士・司法書士などの士業の体制を組み合わせた企業法務アウトソーシングサービス(ALSP)です。契約書の作成・レビューから法務相談までを、インターネット上のサービスとしてまとめて依頼できます。法務部門や顧問弁護士を持たない中小企業・個人事業主にとって、社内法務や顧問弁護士の役割を代替できる点が特徴です。

基本契約書・個別契約書のような取引基本契約について、不足条項や不利な条項の洗い出し、優先条項の設計、ひな型の整備を、AIと弁護士などの士業の両面から支えます。自社に法務の専任者がおらず、契約書の内容を専門家に確認しながら進めたい企業に向いています。

契約書レビューを専門家に依頼したときの対応スピードについて、提供会社は次のように説明しています。

金沢由樹氏
MOLTON株式会社 CSMO
金沢由樹氏
独自インタビューより

従来の顧問弁護士だと回答に1〜2週間かかることがありましたが、クラウドリーガルの弁護士相談や契約書レビュー・リーガチェックは1日、2日でお返しできています。また、クラウドリーガルで搭載しているリーガルAIも活用してさらに対応スピードを上げています。

2. 法務オートメーション「OLGA」(GVA TECH株式会社)

法務オートメーション「OLGA」のウェブサイト

GVA TECH株式会社が提供するOLGAは、契約書の作成から審査、締結後の契約管理までをカバーするリーガルテックのクラウドサービスです。自社の運用基準と照らし合わせてAIが契約書のリスクを検知・レビューできるほか、交渉条件や判断の理由といったナレッジを自動で蓄積し、社内で再利用できる形にします。関連する契約のひも付けにも対応しています。

法務部門だけでなく事業部門も使える設計で、レビュー依頼を行う事業部門のアカウントを無料で提供している点が強みです。基本契約と個別契約が食い違っていないかを、法務と現場の双方でチェックできる体制を整えたい企業に適しています。

契約管理の現場でどのような課題感からの相談が多いかについて、提供会社は次のように説明しています。

大沢氏
GVA TECH株式会社 法務オートメーション事業部 パートナーアライアンスチーム マネージャー
大沢氏
独自インタビューより

契約書の更新管理で手作業の台帳管理に工数がかかっている、ミスが発生しやすいといった問題や、法務のノウハウが属人化していて新人が育たない、人によって対応に差が出てしまうといったお悩みが多くあります。知見を会社全体で蓄積していきたいというご要望は非常に多いです。

3. Hubble(株式会社Hubble)

Hubbleのウェブサイト

Wordのバージョン管理ツールを起点に発展したCLM(契約ライフサイクル管理)サービスがHubbleです。契約書の作成・レビューから締結、締結後の保管までを一気通貫で管理し、蓄積された契約書データをもとに、各社の運用や判断基準に合わせてAIが契約内容を整理します。法務部門に閉じず、契約に関わるすべての部署が使える点を重視しています。

基本契約書と個別契約書を親子関係でひも付けて管理し、条項ごとの相違点や優先関係を整理する機能を備えています。継続取引で基本契約と個別契約のひも付けを体系的に管理し、締結後の整合性まで追いたい企業に向いています。

締結後の契約管理の作業負担がどの程度軽くなるかについて、提供会社は次のように説明しています。

安田氏
株式会社Hubble Partner Sales Manager
安田氏
独自インタビューより

ある企業様では契約書の件数が多く、その管理作業に週1時間ほどかかっていらっしゃったのですが、Hubbleで契約書をPDF化してアップロードしていただくと、相手方や契約期間といった項目をAIがすべて自動で入力しますので、1時間かかっていた作業が5分で終わるようになりました。これによって、本来注力すべき業務に時間を割けるようになったというお声をいただいています。

4. ContractS CLM(ContractS株式会社)

ContractS CLMのウェブサイト

ContractS CLMは、契約の申請・審査・承認・締結・管理までを一元化する契約ライフサイクル管理サービスです。原契約と変更契約などの関連する契約をひも付けて管理でき、契約全体の進行状況を可視化します。上場企業40社以上を含む企業に導入されています。

契約の審査から締結後の管理までを一つのプラットフォームで扱えるため、基本契約と個別契約が混在する継続取引の契約業務を部門横断で整理したい企業に適しています。

5. LegalOn Cloud(株式会社LegalOn Technologies)

LegalOn Cloudのウェブサイト

AIによる契約審査(レビュー)を中核に、締結前のレビューから締結後の契約管理までを統合した法務プラットフォームが、LegalOn Cloudです。基本契約や原契約を参照しながら個別の契約書をレビューでき、契約情報を一元管理します。

契約書のレビュー精度を高めつつ、締結後の契約管理まで同じ基盤で行いたい企業に向いています。基本契約と個別契約の整合性を、レビューと管理の両面から担保したい場合の選択肢になります。

ここで紹介したのは、基本契約・個別契約の整合性チェックに役立つサービスの一部です。契約書レビューサービスをより幅広く比較し、選び方や機能、料金から自社に合う一社を見極めたい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ

基本契約書は継続取引に共通するルールを一度定める契約書、個別契約書は注文ごとの具体的な条件を定める契約書です。継続的・反復的な取引では両方を結び、単発取引なら契約書1通で足ります。両者が矛盾したときは優先条項の定めに従い、定めがなければ後の個別契約が優先すると解されるのが一般的ですが、トラブルを避けるには優先条項を明記しておくのが確実です。

基本契約書には取引全体に共通する事項を、個別契約書には注文ごとに変わる事項を書き分け、2020年改正民法の契約不適合責任や、電子契約・収入印紙の扱いも踏まえて整えておくと、継続取引の契約運用が安定します。締結後の整合性チェックや基本契約と個別契約のひも付け管理には、契約書レビュー・契約管理のサービスも活用できます。自社の取引実態に合った契約体系を組み立てる際の参考にしてください。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】契約書レビューの資料を
一括ダウンロードする

よくある質問(FAQ)

Q. 基本契約書と個別契約書の違いは何ですか?

A. 基本契約書は継続取引の全体に共通するルールを一度だけ定める契約書で、個別契約書は注文ごとの仕様・数量・単価・納期といった具体的な条件を定める契約書です。基本契約書で支払条件や秘密保持などの共通ルールを固めておくことで、個別契約書には毎回の取引で変わる最小限の条件だけを書けば足ります。両者は、継続取引における「全体のルール」と「個々の注文内容」という関係にあります。

Q. 基本契約書を結ばず、個別契約書だけで取引してもよいですか?

A. 一度きりの単発取引であれば、基本契約書を結ばず、必要な条件をすべて盛り込んだ契約書1通だけで取引できます。取引が1回で完結するのに共通ルールを別途定めても、繰り返し使う場面がないためです。

一方、同じ取引先と継続的に取引する場合は、基本契約書がないと個別契約書のたびに支払条件や秘密保持などの共通事項をすべて書き込む必要があり、かえって手間が増えます。継続取引では、基本契約書を先に結んでおくのが効率的です。

Q. 個別契約書を作らず、基本契約書だけで取引できますか?

A. 基本契約書だけでは「何を・いくつ・いつまでに・いくらで」という具体的な注文内容が定まらないため、原則として基本契約書だけでは個々の取引は成立せず、個別契約にあたる合意が別途必要です。ただし、個別契約は正式な書面に限らず、注文書と注文請書のやり取りがその役割を果たすこともあります。取引条件が毎回ほぼ同じで変動が小さい場合は、基本契約書の中に取引条件まで織り込み、個別契約書を省く運用も可能です。

Q. 基本契約書や個別契約書は電子契約で締結できますか?

A. 基本契約書・個別契約書はいずれも電子契約で締結でき、押印は契約成立の要件ではありません。契約は当事者の合意があれば成立し、書面や押印がなくても有効です。電子契約なら郵送や押印のやり取りの手間が省けて締結までの期間を短縮でき、契約書の原本を電子データで一元管理して検索・保管できます。注文のたびに個別契約書を結ぶ継続取引ほど、電子化の効果は大きくなります。

Q. 基本契約書や個別契約書に収入印紙は必要ですか?

A. 紙で作成する基本契約書は、印紙税法上の「継続的取引の基本となる契約書」(第7号文書)に該当すると1通4,000円の収入印紙が必要です(契約期間が3か月以内で更新の定めがないものは除かれます)。

個別契約書は内容によって扱いが変わり、請負契約の成立を証する注文請書などは第2号文書として契約金額に応じた印紙税がかかります。いずれも紙で作成・交付した場合の話で、電子契約で締結すれば課税文書の作成に当たらず、収入印紙は不要です。

出典・参考資料(1件)

Q. 基本契約書の優先条項はどう書けばよいですか?

A. 優先条項は、基本契約書と個別契約書の内容が矛盾したときにどちらを適用するかを定める条項で、どちらを優先させたいかに応じて「個別契約を優先する型」「基本契約を優先する型」「事項ごとに使い分ける型」の3通りの書き方があります。

たとえば個別契約を優先させたい場合は「本基本契約と個別契約の内容が矛盾し、又は抵触する場合には、個別契約の定めを優先して適用する」と定めます。優先条項がないと後に締結した個別契約が優先すると解されるのが一般的ですが、解釈をめぐる争いを避けるため、優先関係は条項で明記しておくのが確実です。

Q. 労働者派遣など業態によって個別契約書の記載事項は変わりますか?

A. 変わります。労働者派遣では、労働者派遣法に基づき個別契約書(労働者派遣個別契約書)に記載すべき事項が法律で定められています。

業務内容・就業場所・指揮命令者・派遣期間などを明記する必要があり、一般的な売買や業務委託の個別契約書より記載事項が多くなります。このように業態特有の法規制がある取引では、通常の記載事項に加えて法定事項を漏れなく盛り込む必要があるため、ひな型を業態に合わせて整えておくことが重要です。

出典・参考資料(1件)

契約書レビュー・契約管理サービスの料金・資料を一括チェック

MCB FinTechカタログでは、基本契約書や個別契約書の作成・レビュー、締結後の契約管理に使えるサービスの最新資料を無料で一括請求できます。機能や対応範囲を比べて、自社の契約業務に合うサービスを選べます。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】契約書レビューの資料を
一括ダウンロードする

MCB FinTechカタログに掲載しませんか?

MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

関連記事

新着記事

契約書レビュー
おすすめの診断サービス