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覚書のリーガルチェックで確認すべき項目は?法的効力・収入印紙・依頼先まで解説

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契約書レビュー比較表(2026年版)

取引先と結んだ契約の一部を変更したり、追加の取り決めを交わしたりするときに作成するのが覚書です。契約書よりも簡易な書面という印象から、「覚書だから内容を細かく確認しなくてもよい」と考えてしまう場面は少なくありません。

しかし、覚書も記載した内容によっては契約書と同じ拘束力を持ちます。相手から受け取った覚書案をそのまま締結する前に、法的な観点で中身を確認しておくことが、後々のトラブルを避ける近道になります。

この記事では、覚書の法的効力と契約書との違いを整理したうえで、締結前に確認すべき項目、無効やリスクになりうる条項とその法的根拠、収入印紙の要否、弁護士やAI契約書レビューといった依頼先の選び方までを解説します。

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覚書とは?契約書との違いと法的効力

最初に結論からお伝えします。覚書も、記載した内容によっては契約書と同じ法的効力を持ちます。効力の強さは「覚書」か「契約書」かという名称ではなく、何が書かれているかで決まります。ここでは、その理由を順に整理します。

覚書とは(原契約の一部変更・追加合意を定める書面)

覚書は、すでに結んである契約(原契約)の条件を一部変更したり、原契約では決めていなかった事項を追加で取り決めたりするときに作成する書面です。たとえば、業務委託の報酬額を見直す、契約期間を延長する、納期を変更するといった合意を記録する場面で使われます。

原契約そのものを作り直すのではなく、変更点だけを書き足すイメージに近いものです。そのため、覚書は単独で読んでも意味が完結せず、原契約とセットで初めて取り決めの全体像がわかる、という性質を持ちます。

覚書と原契約の関係を示した図解。原契約(報酬・期間・納期などを定める土台)に、覚書(原契約の一部を変更・追加する書面)を足すことで取り決めの全体像になり、覚書は単独では完結せず原契約との照合が必要であることを表す。

覚書と契約書・合意書の違いと法的効力(名称でなく記載内容で決まる)

法律には、「覚書」「契約書」「合意書」といった名称を定義して区別する規定はありません。民法でも、契約は当事者が内容を示して申し込み、相手が承諾した時点で成立し、書面の作成などの方式は原則として必要とされていません。

(契約の成立と方式)
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

出典:民法第522条|e-Gov法令検索

契約が方式を問わず成立する以上、書面の名称が「覚書」であっても効力が弱まるわけではありません。記載された内容が当事者の権利や義務を定めていれば、覚書は契約書と同じように当事者を拘束します。「覚書だから法的拘束力がない」という理解は正確ではありません。

逆に言えば、効力の有無や強さは記載内容で決まるため、覚書も締結前の内容確認が欠かせない、ということになります。

なぜ覚書もリーガルチェックが必要か

ここからは、覚書も締結前に確認したほうがよい理由を具体的に見ていきます。契約書と同じ効力を持つ以上、確認を省くと実際の不利益につながる場面があるためです。

たとえば、覚書で納期だけを後ろ倒しにしたのに、原契約の遅延違約金の条項をそのままにしていると、変更後の納期なのに旧来の基準で違約金を問われかねません。原契約との食い違いは、覚書だからこそ起きやすいトラブルです。

第一の理由は、曖昧な表現による解釈のずれを防ぐことです。「可及的速やかに対応する」「必要に応じて協議する」といった表現は、具体的な期限や基準が決まっていないため、後から双方の認識が食い違う原因になります。期日・金額・対象範囲は数値や条件で特定しておくほうが安全です。

第二の理由は、法令違反による無効化を避けることです。合意して署名していても、強行法規や公序良俗に反する条項は効力を持ちません。無効な条項を前提に取引を進めると、いざというときに想定していた取り決めが使えない事態になります。

第三の理由は、トラブルが起きたときの証拠としての価値です。誰が・いつ・何に合意したのかを明確に残した覚書は、紛争になった際に当事者の意思を裏づける材料になります。記載が曖昧だと、せっかく作成しても証拠としての力が弱まります。

覚書のリーガルチェックで確認すべき項目

締結前に確認すべき項目を、まず早見リストとして整理します。目の前の覚書と照らし合わせ、抜けがないかを指さし確認する目安にしてください。

  • 当事者が正確に特定されているか(正式名称・立場)
  • 合意内容が具体的かつ明確に書かれているか(金額・期日・対象範囲)
  • 原契約との整合性がとれているか(後述の「覚書ならではの確認ポイント」で解説)
  • 有効期間が適切に設定されているか
  • 解除・債務不履行時の取り決めがあるか
  • 秘密保持に関する条項が必要な内容か、その場合に含まれているか
  • 権利義務の譲渡に関する規定が明確か
  • 管轄裁判所の合意ができているか
  • 覚書を解除・失効させる条件が明記されているか(後述の「覚書ならではの確認ポイント」で解説)
  • 無効・リスクになる条項がないか(後述の法的根拠を参照)
  • 収入印紙が必要な内容か(後述の「収入印紙は必要か」で解説)

このうち、原契約との整合性と覚書の終了条件は「覚書ならではの確認ポイント」、無効条項と収入印紙はそれぞれ後の章で詳しく扱います。ここでは、覚書本文のなかで見るべき項目を順に掘り下げます。

当事者の特定・合意内容の明確さ

最初に確認したいのは、誰と誰の合意なのかが正確に書かれているかどうかです。会社名は法人格を含む正式名称で記載されているか、原契約の当事者と一致しているかを照らし合わせます。グループ会社間では、取引の主体を取り違える誤記が起きやすいため注意が必要です。

次に、合意した内容が具体的に特定されているかを見ます。変更後の金額・適用開始日・対象となる業務や物品の範囲を、数値や条件で一義的に読める形にしておくと、解釈のずれが生じにくくなります。

たとえば「別途協議の上定める」で止めると、肝心の条件が未確定のまま残り、後日の紛争の火種になりやすい書き方です。金額・期日・数量はその場で特定しておくほうが安全です。

有効期間・解除・債務不履行時の取り決め

覚書で定めた取り決めが、いつからいつまで有効なのかを確認します。原契約の期間と連動するのか、覚書で独自の期間を設けるのかで、適用範囲が変わってきます。期間の定めがないと、変更がいつまで続くのかをめぐって後から争いになりかねません。

約束が守られなかった場合の取り決めも重要です。債務不履行があったときの解除要件や損害賠償の扱いが、原契約と覚書のどちらに従うのかを整理しておきます。覚書で金銭の支払いやリスク分担を定めるときは、履行されなかった場合の対応まで書いておくと、いざというときの判断がぶれません。

たとえば解除事由が「重大な違反があったとき」とだけ書かれていると、どの程度で解除できるかがあいまいになりがちです。催告の要否や是正期間、無催告で解除できる場合を具体的に書いておくと、判断がぶれにくくなります。

秘密保持・権利義務の譲渡・管轄裁判所

覚書の内容に新しい技術情報や取引条件が含まれる場合は、秘密保持の扱いを確認します。原契約の秘密保持条項が覚書の内容にも及ぶのか、覚書で改めて定める必要があるのかを見極めておくと、情報の取り扱いが曖昧になりません。

権利義務を第三者へ譲渡できるかどうか、できる場合に相手方の承諾が必要かも押さえておきたい点です。あわせて、万一紛争になったときにどこの裁判所で解決するかを定める管轄の合意があるかを確認します。

たとえば「相手方の本店所在地を専属的合意管轄とする」と書かれていると、相手が遠方の場合は自社の訴訟対応の負担が重くなりがちです。自社の所在地や中立な地を管轄にできないか検討し、合意内容を見落とさないようにします。

覚書ならではの確認ポイント(原契約との整合性・変更/失効条項)

ここからは、一般的な契約書のチェックとは別に、覚書だからこそ注意したい観点を取り上げます。覚書は原契約を前提とする文書であるため、原契約との関係を確認することが要になります。

原契約と照合して論点を洗い出す

覚書の確認で最も重要なのが、原契約との照合です。覚書で変更する条項が原契約のどの条文に対応するのか、覚書と原契約で矛盾する記述が生じていないかを一つずつ突き合わせます。原契約を手元に置かずに覚書だけを読むと、変更の影響範囲を見落とします。

照合の際は、覚書で変更する部分と変更しない部分の切り分けも確認します。一部を変えたことで、原契約の他の条項との整合がとれなくなるケースがあるためです。変更後の全体像が矛盾なく読めるかを、原契約とセットで検証します。

将来の変更・失効に対応する条項

覚書で定めた内容を、将来さらに変更する必要が出たときにどう扱うかも決めておくと安全です。実務では、覚書の内容を変更する場合は双方が書面で合意する、という取り決めを入れておく例があります。口頭での変更を認めない形にしておくと、言った・言わないの争いを避けやすくなります。

変更だけでなく、覚書の効力を終わらせる条件も将来を見据えて整理しておきます。一定の期限が来たら失効する、特定の条件を満たしたら元の条件に戻る、原契約が終了したら覚書も自動的に失効する、といった終了のルールを明記しておくと、変更が意図せず続いてしまう事態を防げます。ここが曖昧だと、契約関係の見通しも立てにくくなります。

覚書の文例・テンプレート利用時の注意(相手方ひな形の受領ケース)

インターネット上の文例やテンプレートは作成の出発点として便利ですが、そのまま使うと自社の取引に合わない条件が残る点に注意します。テンプレートは一般的な想定で作られているため、金額・期間・対象範囲は自社の合意内容に必ず置き換える必要があります。

相手方からひな形を受け取ったケースでは、より慎重な確認が求められます。相手が用意した文面は、相手に有利な条項が含まれていることがあるためです。受け入れてよいかどうかは、金額の大きさや自社の立場、交渉の余地によって変わります。内容をそのまま飲むのではなく、自社にとって不利な点がないかを一つずつ確かめてから署名します。

無効・リスクになる条項と法的根拠(公序良俗・強行法規)

ここでは、合意して署名していても効力を持たない条項について、その法的な根拠とともに整理します。社内で「この条項は危ないのでは」と説明するときの裏づけとして活用してください。

前提として、契約の内容は当事者が自由に決められるのが原則です(契約自由の原則、民法第521条)。ただし、その自由には法令による制限があり、一定の条項は合意しても効力を持ちません。

その代表が、公序良俗に反する条項です。民法は、社会の秩序や善良の風俗に反する法律行為を無効と定めています。

(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

出典:民法第90条|e-Gov法令検索

著しく一方に不利で社会通念上許されない取り決めは、覚書に書いて双方が署名していても無効になりえます。公序良俗違反かどうかは個別の事情で判断されるため、相手にのみ極端に有利な条項を見つけたら、そのまま受け入れず内容を見直すのが安全です。

BtoBの覚書で問題になりやすいのは、相手の損害賠償責任を全部免除する一方的な免責条項、実際の損害とかけ離れた過大な違約金・損害賠償額の定め、著しく不利な支払サイトへの変更などです。一方に極端に不利な取り決めは、公序良俗や強行法規に照らして効力が問われることがあります。

当事者の合意より優先される強行法規に反する条項も、効力を持ちません。強行法規は適用場面によって異なります。BtoCや消費者向けの覚書では、事業者が損害賠償責任をすべて免れる条項や、消費者の利益を一方的に害する条項が無効とされています(消費者契約法第8条・第10条)。

従業員との間で労働条件を定める覚書では、労働基準法の基準に達しない部分が無効となり、その部分は同法の基準に置き換わります(労働基準法第13条)。雇用に関わる覚書を交わすときは、法定の基準を下回っていないかを確かめる必要があります。

取引上の立場に差がある当事者間の取り決めには、業種横断の規制も関わります。下請法は2026年1月1日施行の改正で「中小受託取引適正化法(取適法)」へ名称が変わり、委託事業者が中小の受託事業者に対して守るべきルールが定められています。

たとえば、委託事業者が覚書で支払サイトを一方的に延ばすような変更は、取適法が求める取引条件の明示(第4条)などのルールに触れることがあります。中小の受託側と取引する覚書で支払条件や納期を変えるときは、これらの規制に反していないかの確認が欠かせません。

出典・参考資料(4件)

支払条件や納期を変更する覚書で特に関わる取適法(旧・下請法)の改正点は、以下の記事で委託者の義務や禁止行為まで条文に沿って整理しています。該当する取引を扱う場合は、確認の前にあわせて目を通しておくと安全です。

覚書に収入印紙は必要か

収入印紙が必要かどうかは、書面の名称ではなく記載された内容で決まります。「覚書」という表題であっても、印紙税法上の課税文書に当たる内容であれば、収入印紙の貼付が必要です。国税庁も、課税文書に当たるかどうかは実質的な内容で判断すると示しています。

課税文書に該当するかどうかの判断は、文書に記載されている内容に基づいて判断します。また、文書の内容判断は、その文書の名称、呼称や形式的な記載文言によるのではなく、その文書に記載されている文言などの実質的な意味を汲み取って行います。

出典:No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁

覚書が課税文書に当たるかは、記載内容が課税の対象となる文書の種類(課税物件)に該当するかで判断します。該当する場合の税額は、契約金額などに応じて国税庁の印紙税額一覧表(No.7140)に定められています。覚書が課税文書になりうる代表的なパターンを、いくつか見ておきましょう。

一つ目は、覚書で請負や売買などの契約金額を定める場合です。記載した金額に応じた印紙が必要で、金額の小さい区分では200円から始まり、金額が大きくなるほど段階的に上がります。契約金額が1万円未満のものは非課税です(具体的な税額は一覧表で確認します)。

二つ目は、金額を定めない・変更しない覚書です。課税文書に当たる場合でも、第1号文書・第2号文書であれば「契約金額の記載のないもの」として一律200円になります。金額の記載がなければ印紙も不要、とは限らない点に注意が必要です。

三つ目は、継続的な取引の基本となる条件を変更する覚書です。契約金額が記載されない類型の課税文書に当たることもあり、その場合の税額は上記とは別の区分になります。自社の覚書がどの区分に当たるかは、国税庁の一覧表で確認するのが確実です。

名称が「申込書」などであっても、契約の成立を証明する目的で作られた文書は課税対象になる、と国税庁は説明しています。覚書も同じ考え方で、表題にかかわらず中身で判断されると理解しておくと、印紙の要否を見誤りにくくなります。

収入印紙を貼り忘れても、覚書そのものの私法上の効力が失われるわけではありません。印紙税を納めたかどうかは、契約の成立や効力とは別の問題として扱われるためです。

ただし、課税文書に収入印紙を貼らなかった場合は、本来納めるべき印紙税額とその2倍を合わせた、原則として3倍の過怠税が徴収されます。税務上のペナルティがあるため、効力とは別に、貼付の要否は確認しておく必要があります。

出典・参考資料(3件)

印紙の要否のように、形式面の見落としは締結前の確認で防げます。覚書を含む契約書をチェックする手段は、弁護士監修のAIレビューから弁護士への相談まで幅広く、各サービスの機能や料金を資料で見比べると選びやすくなります。

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覚書のリーガルチェックを誰に依頼するか

覚書を自分で確認するか、外部に依頼するか迷う場面もあります。ここでは、依頼先の選択肢と使い分け、費用の目安、依頼の流れ、AIで一次チェックできる範囲までを中立に整理します。

依頼先の選択肢(弁護士/行政書士/AI契約書レビュー/社内)と使い分け

覚書のリーガルチェックの依頼先を使い分けで示した図解。社内チェックは定型・少額の覚書、AI契約書レビューは抜け漏れや一般的リスクの一次チェック、行政書士は作成・内容面の助言(紛争性案件の代理交渉は不可)、弁護士は法的有効性の判断や紛争時の見通し・交渉代理に向く。社内やAIで一次確認し、リスクの高い論点だけ専門家に相談する組み合わせが現実的と示す。

弁護士は、法的な有効性の判断や紛争時の見通しまで踏まえた確認ができ、相手方との交渉の代理も担えます。金額が大きい取引や、相手ともめる可能性がある覚書は、弁護士に相談するのが安心です。

行政書士は、契約書・覚書の作成や内容面の助言を業務としています。ただし、紛争性のある案件での代理交渉は弁護士の領域となるため、トラブルが見込まれる場合は依頼先を分けて考える必要があります。

AI契約書レビューは、条項の抜け漏れや一般的なリスクを短時間で洗い出す一次チェックに向いています。社内での確認は、定型的で金額の小さい覚書や、過去に確認済みのひな形を使う場面に適しています。これらは二者択一ではなく、社内やAIで一次確認し、リスクの高い論点だけ専門家に相談する、という組み合わせが現実的です。

依頼先別の費用相場

弁護士に都度依頼する場合の費用は、覚書の分量や内容の難易度によって変わります。原契約の確認まで必要になると、その作業分が加わって費用も上がります。スポット相談・顧問契約のいずれも、相場を一律に示すのは難しいため、見積もりで確認するのが確実です。行政書士に作成・内容面を依頼する場合も同様に、事前に費用を確かめておくと安心です。

AI契約書レビューのサービスは、月額定額で利用できるものが多く、確認する覚書の件数が多いほど一件あたりの負担を抑えやすくなります。この記事の後半で、代表的なサービスの料金と機能を紹介します。

公開されている料金には幅があり、たとえばLegalBaseは月額5,000円(税抜、個人事業主プラン)から、LawFlowの有料プランは月額16,500円(税込、スタンダード)からとなっています(いずれも2026年10月時点)。要問い合わせのサービスは見積もりで確認します。

依頼の流れと準備する情報(原契約・変更履歴・立場・目的)

依頼をスムーズに進めるには、確認してほしい覚書案だけでなく、前提となる情報をそろえて渡すことが大切です。覚書は原契約の一部を変える文書のため、原契約の最新版や、これまでの変更履歴があると、整合性の確認が正確になります。

あわせて、自社がどちらの立場か(委託側か受託側かなど)、この覚書で実現したい目的、特に気になっている懸念点を伝えます。背景と目的が共有されていると、確認する側も優先順位を付けやすく、的を射た指摘が返ってきます。

AIで一次チェックできる範囲(最終判断は人間)

AI契約書レビューは、条項の抜け漏れの確認や、一般的に不利とされる条項の指摘など、一次チェックの作業を効率化するのに役立ちます。短時間で全体を見渡し、確認すべき箇所の当たりを付けられる点が強みです。

一方で、個別の事情を踏まえた法的な有効性の判断や、紛争になったときの見通しまでをAIが保証するわけではありません。金額が大きい取引や相手ともめる可能性がある覚書では、AIの結果を出発点にしつつ、最終的な判断は人(必要に応じて専門家)が行う前提で使うのが安全です。

覚書も安全にチェックできるサービス

ここからは、覚書を含む契約書を締結前に確認するのに役立つサービスを紹介します。覚書は契約書の一種であり、いずれのサービスも契約書のAIレビューを通じて内容の確認に活用できます。まずは主要なサービスの料金と機能を一覧で比較します。

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サービス名CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)法務オートメーション「OLGA」LegalOn CloudLeCHECK(リチェック)LegalBase(リーガルベース)LawFlow(ローフロー)クラウドサイン レビュー
提供形態クラウド(法務BPaaS/AI+弁護士)クラウド(法務プラットフォーム)クラウド(法務AIプラットフォーム)クラウド(AI契約書レビュー)クラウド(AI+弁護士チャット)クラウド(AI契約書チェック)クラウド(AI契約書レビュー)
不利・欠落条項の検出・修正案●●●●●△(リスク・欠落条項の検出が中心)●
自社基準でのレビュー●●●●(β版)—△(自社ひな形との比較)●
弁護士への相談●(契約書作成・レビュー・法務相談を弁護士体制で提供)××△(弁護士が確認するクイックレビューは別サービス)●(弁護士チャット相談。個人事業主プランは対象外の場合あり)△(エンタープライズで弁護士サポート)×
初期費用0円要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ0円要問い合わせ要問い合わせ
月額費用11,000円〜
(税込、ブロンズプラン)
要問い合わせ
(中小企業向けプランは1万円〜、税別)
要問い合わせ
(モジュール選択型)
要問い合わせ5,000円〜
(税抜、個人事業主プラン)
無料〜
(有料プランは16,500円〜、税込)
要問い合わせ
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイト

ここで取り上げたサービスを含め、契約書レビューサービスの選び方やAIレビューと弁護士レビューの違い・費用の目安は、以下の記事で詳しく比較しています。自社に合う手段を本格的に選びたい方は、あわせてご覧ください。

CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)のウェブサイト

弁護士監修のAIと、弁護士・司法書士などの専門士業の体制を組み合わせ、契約書の作成・レビューや法務相談をオンラインで提供するのがCLOUD LEGALです。MOLTON株式会社が運営し、法務の専任担当や顧問弁護士を置いていない企業が、必要なときに専門家の確認を受けられる形を目指しています。

契約書レビューは、Microsoft Word上で完結できる「CloudLegal AIエディター」として提供され、不利な条文や欠落条項を検出して修正案を提示します。CLOUD LEGALならではの価値は、AIの一次チェックで終わらせず、同じサービス内で弁護士によるレビューや法務相談まで頼める点です。契約書を広く扱うため、覚書のように原契約の一部を変える文書の確認にも生かせます。

公式サイトでは、初期費用0円・月額11,000円(税込)から利用できるプランが案内されています(2026年10月時点)。情報セキュリティ管理の国際規格であるISMS(ISO/IEC 27001)の認証取得も掲げています。

法務の専任担当や顧問弁護士を置きにくい企業の実情について、CLOUD LEGALを提供するMOLTON株式会社はインタビューで次のように述べています。

金沢由樹氏
MOLTON株式会社 CSMO(最高営業・マーケティング責任者)
金沢由樹氏
独自インタビューより

日本の産業を下支えし多くを占める個人事業主や中小企業だと「法務部がない」「法務専任担当者がいない」さらにはコスト面で「顧問弁護士もいない」という状況がまだまだ多いです。では顧問弁護士に全部お願いすればいいかというと、正直コスト面の壁もあって、なかなか現実的に難しいです。さらに人材不足の影響で、専門人材である法務人材の採用も難しくなっています。

法務オートメーション「OLGA」(GVA TECH株式会社)

法務オートメーション「OLGA」のウェブサイト

契約書の作成から審査、締結後の管理までを一つにまとめたクラウド型の法務プラットフォームが、GVA TECH株式会社の「OLGA」です。法務案件の受付・蓄積から契約書の台帳作成まで、法務業務の工程を幅広くカバーします。

中核機能の一つがAI契約レビューです。自社の審査基準(プレイブック)やひな型を与えると、項目ごとに合否とその判断理由を表示し、修正文の生成からWordへの反映までを自動化します。依頼の受付からレビュー、締結後の台帳管理までを一つにつなげる点がOLGAの軸で、公式フォームでは「金額変更の覚書」「契約期間変更の覚書」のひな形も配布されています。

標準プランの料金は要問い合わせですが、2026年7月末には中小企業向けの契約管理プランが新設され、初期費用10万円(税別・初年度のみ)、月額1万円(税別)からの料金が案内されています。メール・Slack・Teamsのまま依頼できるなど、事業部門を巻き込んだ運用を想定している点も特徴です。

締結前に内容を確認しないまま進めるとどうなるかについて、OLGAを提供するGVA TECH株式会社はインタビューで、現場で起こりがちな事態を次のように挙げています。

大沢氏
GVA TECH株式会社 法務オートメーション事業部 パートナーアライアンスチーム マネージャー
大沢氏
独自インタビューより

事業部門がリスクをある程度把握できていれば未然に防げるケースもあります。リスクに気づかずそのまま締結してしまい、後から「これおかしくない?」という話になるケースもあるんですが、そういったことも防げるようになります。

LegalOn Cloud(株式会社LegalOn Technologies)

LegalOn Cloudのウェブサイト

LegalOn Cloudは、AI契約審査と契約管理の技術を土台に、法務相談からレビュー、契約管理までを一つの基盤で扱えるサービスです。株式会社LegalOn Technologiesが提供し、締結前の確認から締結後の管理までを同じプラットフォームで進められます。

契約書レビューは、弁護士監修のチェックリストに加え、自社独自の基準(プレイブック)を設定して行えます。不利な条項や欠落条項を検出し、修正文案や交渉コメント、修正が必要な理由までを提示します。2026年8月には、レビュー対象の契約書に関連する基本契約書や原契約、変更覚書を参照情報として追加できる機能が実装されており、覚書のように原契約を前提とする文書の確認に適した仕組みが整っています。

料金はモジュール選択型で、選ぶ機能や契約書のボリュームに応じた個別見積もりとなるため要問い合わせです。弁護士監修のひな形を多数収録し、電子契約機能も備えるため、契約業務全体を一元化したい企業に向いています。

LeCHECK(リチェック)(株式会社リセ)

LeCHECK(リチェック)のウェブサイト

株式会社リセが提供する、契約書に特化したAI契約書レビューのクラウドサービスです。2026年10月に「Lisse法務AI 契約書レビュー」へ名称が変更されましたが、アカウントや機能は引き継がれています。

契約書をアップロードするか、Word上で開くと、弁護士監修のAIがリスク箇所や欠落している条文を指摘し、修正案とコメント案を提示します。社外向け・社内向けのコメントをまとめて作成できるため、相手方への説明や社内確認にそのまま使えます。LeCHECKならではの選択肢として、弁護士がLeCHECKで確認し修正案・コメント付きのWordを返す有償のクイックレビュー(月額2万円)も用意されています。

自社の社内チェックリストや過去の弁護士指摘を基準として登録し、弁護士監修AIのレビューと同時に実行する自社基準レビューも提供されています。契約書を広く扱うため、覚書のような文書の確認にも使えます。料金は個別見積もり制で要問い合わせですが、無料トライアルが用意されています。

LegalBase(リーガルベース)(株式会社アシロ)

LegalBase(リーガルベース)のウェブサイト

法務担当者が不在の中小企業を主な対象に、株式会社アシロが2026年3月に提供を開始したサービスです。AI契約書レビュー「LEGIEW」で契約書の抜け漏れやリスクを検出し、判断の難しい案件は弁護士へのチャット相談「THEMIL」で補う二段構えが特徴です。

料金は個人事業主プランが月額5,000円(税抜)、従業員10名未満が月額10,000円(税抜)です(2026年10月時点)。弁護士チャット相談は個人事業主プランでは対象外となる場合があるため、利用できる範囲は申し込み前に確認してください。

LawFlow(ローフロー)(LawFlow株式会社)

LawFlow(ローフロー)のウェブサイト

契約書のリスクや不足している条項を自動検出するAI契約書チェックサービスです。自社の過去契約やひな形と比較でき、版ごとの差分比較やPDF・紙のOCR取り込みにも対応します。料金は個人向けスターターが無料、スタンダードが月額16,500円(税込)、法人向けエンタープライズが月額33,000円(税込・年間契約)です(2026年1月以降)。

クラウドサイン レビュー(弁護士ドットコム株式会社)

クラウドサイン レビューのウェブサイト

弁護士ドットコム株式会社が提供する、大手法律事務所出身の弁護士監修によるAI契約書チェック支援サービスです。同社の電子契約「クラウドサイン」とは別の製品で、契約書をアップロードすると自社の立場を踏まえて欠落条項や不利な条項を指摘し、修正・追加の解説と変更条文例を日本語・英語で提示します。自社のひな形を登録して独自基準でチェックでき、料金は要問い合わせです。

まとめ

覚書は、名称こそ契約書より簡易な印象を与えますが、記載された内容によっては契約書と同じ法的効力を持ちます。効力は名称ではなく中身で決まるため、「覚書だから確認は不要」という判断は避けたほうが安全です。

締結前には、当事者の特定や合意内容の明確さ、原契約との整合性、無効やリスクになる条項の有無、収入印紙の要否までを一つずつ確認します。特に覚書は原契約を前提とする文書のため、原契約と照らし合わせて論点を洗い出すことが要になります。

確認の手段は、社内やAIでの一次チェックと、リスクの高い論点についての専門家への相談を組み合わせるのが現実的です。AI契約書レビューを使えば一次確認の負担を抑えられます。自社に合う手段を選ぶ際は、各サービスの機能や料金を見比べたうえで、資料で詳細を確かめてみてください。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】契約書レビューの資料を
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よくある質問(FAQ)

Q. 覚書とは何ですか?

A. 覚書とは、すでに結んだ契約(原契約)の内容を一部変更したり、原契約で定めていなかった事項を追加で取り決めたりするときに作成する書面です。報酬額の見直しや契約期間の延長、納期の変更といった合意を記録する場面で使われます。原契約の内容を前提とするため、覚書だけでは意味が完結せず、原契約とセットで初めて取り決めの全体像がわかる性質を持ちます。

Q. 覚書は契約書より法的効力が弱いのですか?

A. いいえ。覚書も記載した内容によっては契約書と同じ法的効力を持ちます。効力の強さは「覚書」か「契約書」かという名称ではなく、何が書かれているかで決まります。契約は民法上、名称や書面の方式を問わず当事者の合意で成立するため(民法第522条)、書面の表題が「覚書」であっても効力が弱まるわけではありません。「覚書だから法的拘束力がない」という理解は正確ではなく、締結前の内容確認が欠かせません。

出典・参考資料(1件)

Q. 覚書に収入印紙は必要ですか?

A. 覚書に収入印紙が必要かどうかは、書面の名称ではなく記載された内容で決まります。「覚書」という表題であっても、印紙税法上の課税文書に当たる内容であれば収入印紙の貼付が必要です。国税庁も、課税文書に当たるかどうかは名称ではなく実質的な内容で判断するとしています。

貼り忘れても覚書そのものの私法上の効力が失われるわけではありません。ただし課税文書に収入印紙を貼らなかった場合は、原則として本来納めるべき印紙税額の3倍の過怠税が徴収されます。

出典・参考資料(2件)

Q. 覚書のリーガルチェックは自分でできますか、それとも弁護士に頼むべきですか?

A. 定型的で金額の小さい覚書は社内やAIでの一次チェックで対応し、金額が大きい取引や相手ともめる可能性がある覚書は弁護士に相談するのが安全です。すべてを二者択一で決める必要はなく、社内やAIで一次確認したうえで、リスクの高い論点だけ専門家に相談する組み合わせが現実的です。覚書は原契約の一部を変更する文書のため、原契約との整合性に不安がある場合も、専門家の確認が向いています。

Q. 覚書のチェックだけでも弁護士に依頼できますか?費用の目安は?

A. 覚書のチェックだけでも弁護士に依頼できます。ただし、覚書は原契約の一部を変更する文書のため、原契約の内容確認まで必要になると、その作業分が費用に加わります。費用は依頼先や分量・難易度で変わり、相場を一律には示しにくいため、スポット相談・顧問契約のいずれも事前に見積もりで確認するのが確実です。

Q. 覚書のチェックはAI契約書レビューだけで十分ですか?

A. AI契約書レビューは条項の抜け漏れや一般的なリスクを短時間で洗い出す一次チェックに役立ちますが、それだけで締結を判断するのは、リスクの高い覚書では十分とはいえません。個別の事情を踏まえた法的な有効性の判断や、紛争になったときの見通しまでをAIが保証するわけではないためです。

金額が大きい取引や相手ともめる可能性がある覚書では、AIの結果を出発点にしつつ、最終的な判断は人(必要に応じて専門家)が行う前提で使うのが安全です。

Q. 相手方から受け取った覚書のひな形は、そのまま締結してもよいですか?

A. 相手方が用意した覚書のひな形は、そのまま締結せず、自社に不利な条項がないかを確認してから署名するのが安全です。相手が作成した文面には、相手に有利な条項が含まれていることがあり、受け入れてよいかどうかは金額の大きさや自社の立場、交渉の余地によって変わります。インターネット上のテンプレートを使う場合も同様で、金額・期間・対象範囲は自社の合意内容に必ず置き換える必要があります。

Q. 覚書の内容を後から変更するにはどうすればよいですか?

A. 覚書の内容を後から変更する場合は、口頭ではなく双方が書面で合意する形をとるのが安全です。実務では、覚書に「内容を変更する場合は双方が書面で合意する」という取り決めをあらかじめ入れておく例があります。口頭での変更を認めない形にしておくと、言った・言わないの争いを避けやすくなります。

原契約が終了したら覚書も自動的に失効するのかなど、効力を終わらせる条件もあわせて整理しておくと、契約関係の見通しが立てやすくなります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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